説明

電子部品装着装置

【課題】装着されたケースに確実にキャップを被せるようにして、電子部品を保護すること。
【解決手段】基板認識カメラ17で撮像された画像を認識処理装置が認識処理してプリント基板P上に装着されたシールドケース20の位置を認識し、この認識結果に基づいて、吸着ノズル18を補正移動させてケースキャップ22の「く」の字形状の各保持部22B2の外方に傾斜した外向き傾斜面がシールドケース20の上壁20Bの外周部分に当接するまで吸着ノズル18を下降させる。次いで吸着ノズル18による真空吸着を解除して上昇させ、次に真空吸引をしない状態で単に吸着ノズル18を下降させることによりケースキャップ22を下降させて押し込み、保持爪22Bの各保持部22B2をシールドケース20の周側壁20Aに開設した各取付け用開口21に嵌合させることにより、ケースキャップ22をシールドケース20に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に装着された電子部品を保護する電子部品の保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置は、例えば特許文献1などに開示されているが、前記基板上に装着した電子部品を物的な衝突から保護したり、また電気的なノイズを遮断して保護するために、前記基板上に装着された電子部品を保護するケースを同じく前記基板上に装着することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−77205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基板上に装着された電子部品を保護するために、この電子部品を囲う側面及び開口を有した上面を有し、面が開口する角筒状のケースを保持具により保持して基板上に装着し、更にケースの上にキャップを被せるものでは、半田ペーストを介して基板上に装着する際に軟らかい半田ペーストにより前記ケースが移動し易く、装着位置ズレが起こると、その後ケースにキャップを被せることができない状態も起こり得る。
【0005】
そこで本発明は、上述せる問題を解決するために、装着されたケースに確実にキャップを被せるようにして、電子部品を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明に係る電子部品の保護装置は、プリント基板上に装着された電子部品を側面が間隔を存して囲うように前記プリント基板上に半田を介して装着されてアース接続される上面及び下面が開口したシールドケースと、このシールドケースに上方から覆うようにこのシールドケースの側面に開設された取り付け開口に保持爪が嵌合して取り付けられるケースキャップとから成ることを特徴とする。
【0007】
また第2の発明に係る電子部品の保護装置は、プリント基板上に装着された電子部品を側面が間隔を存して囲うように前記プリント基板上に半田を介して装着されてアース接続される上面及び下面が開口したシールドケースと、前記プリント基板に装着された前記シールドケースの位置を認識する認識処理装置と、供給装置から保持具により取出され前記認識処理装置による認識結果に基づいて前記保持具を補正移動して前記シールドケースに上方から覆うようにこのシールドケースの側面に開設された取り付け開口に保持爪が嵌合して取り付けられるケースキャップとから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、装着されたケースに確実にキャップを被せるようにして、電子部品を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電子部品の装着ラインの概略システム図である。
【図2】電子部品装着装置の平面図である。
【図3】シールドケースの平面図である。
【図4】シールドケースを撮像した画像を示す図である。
【図5】シールドケースにケースキャップを載置した状態を示す縦断面図である。
【図6】吸着ノズルによるケースキャップの押し込む順序を示す説明図である。
【図7】シールドケースにケースキャップを取り付けた状態の縦断側面図である。
【図8】シールドケースにケースキャップを取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は電子部品の装着ラインの概略システム図であり、A1は電子部品装着装置で、上流装置(図示せず)であるスクリーン印刷機、接着剤塗布装置から受け継いだ基板としてのプリント基板P上にクリーム半田及び接着剤を介して電子部品Dを装着すると共に、プリント基板P上に装着された電子部品Dを保護するための後述するシールドケース20を装着する。Bは検査機で、プリント基板Pの配線パターン(クリーム半田)と装着された電子部品Dとの位置関係を検査すると共に、プリント基板Pの配線パターン(クリーム半田)と前記シールドケース20との位置関係を検査する。即ち、配線パターン上のクリーム半田と電子部品Dの電極との位置関係が正しいか否か、また同クリーム半田と前記シールドケース20との位置関係が正しいか否かを検査する。
【0011】
Cはリフロー炉で、紫外線硬化型の前記クリーム半田に紫外線を照射して、クリーム半田を硬化させて、電子部品Dや前記シールドケース20の位置を固定する。A2は電子部品装着装置で、前記電子部品装着装置A1と同じ構造であって同じ機能を発揮するが、プリント基板P上に固定した前記シールドケース20にケースキャップ22を装着する。
【0012】
図2は電子部品装着装置A1の平面図であり、電子部品装着装置本体1は、機台2と、この機台2の中央部に左右方向に延在するコンベア部3と、機台2の前部(図示の下側)及び後部(図示の上側)にそれぞれ配設した2組の部品装着部4、4及び2組の部品供給部5、5とを備えている。そして、各部品供給部5には、電子部品供給装置である複数個の部品供給ユニット6がフィーダベース19上に横並びに且つ着脱自在に組み込まれて電子部品装着装置が構成される。前記フィーダベース19は、電子部品装着装置本体1に単に固定されたものでも、台車付きで前記電子部品装着装置本体1に着脱自在に固定されるものでもよい。
【0013】
前記コンベア部3は、中央のセットテーブル8と、左側の供給コンベア9と、右側の排出コンベア10とを有している。基板としてのプリント基板Pは、供給コンベア9からセットテーブル8に供給され、このセットテーブル8において電子部品の装着を受けるべく不動に且つ所定の高さにセットされる。そして、電子部品の装着が完了したプリント基板Pは、セットテーブル8から排出コンベア10を介して下流側装置に排出される。
【0014】
各部品装着部4には、ヘッドユニット13を移動自在に搭載したXYステージ12が配設されると共に、部品認識カメラ14及びノズルストッカ15が配設されている。ヘッドユニット13には、電子部品を吸着及び装着するための装着ヘッド16と、プリント基板Pの位置を認識するための基板認識カメラ17とが搭載されている。
【0015】
前記各XYステージ12はY軸駆動モータによりビーム12AがY方向に移動し、X軸駆動モータにより前記ヘッドユニット13がビーム12に沿ってX方向に移動し、結果としてヘッドユニット13はXY方向に移動することとなる。
【0016】
この部品供給ユニット6には、多数の電子部品Dをキャリアテープの凹部から成る各収納部に一定の間隔で収容したカバーテープで覆う収納テープが搭載されており、収納テープを間欠送りすると共にキャリアテープからカバーテープを剥離することで、部品供給ユニット6の部品取出位置に電子部品Dが1個ずつ供給され、各収納部から前記ヘッドユニット13により取出される。
【0017】
更には、前記部品供給ユニット6は以上のような収納テープの収納部内に格納された電子部品Dを供給するものに限らず、プリント基板P上に装着した電子部品Dを物的な衝突から保護したり、また電気的なノイズを遮断して保護するために、プリント基板P上に装着された電子部品Dを保護するシールドケース20を供給する部品供給ユニット6や、このシールドケース20に取り付けられるケースキャップ22を供給する部品供給ユニット6もある。即ち、電子部品装着装置A1にはシールドケース20を供給する部品供給ユニット6が配設され、電子部品装着装置A2にはケースキャップ22を供給する部品供給ユニット6が配設される。
【0018】
この電子部品装着装置本体1の記憶部に格納された装着データに基づく運転は、先ずXYステージ12を駆動しヘッドユニット13を部品供給ユニット6に臨ませた後、装着ヘッド16に複数本設けられた任意の吸着ノズル(保持具)18を下降させるにより所望の電子部品Dやシールドケース20等を取出す。続いて、吸着ノズル18を上昇させてから、XYステージ12を駆動して電子部品Dやシールドケース20等を部品認識カメラ14の直上方まで移動させ、吸着ノズル18に吸着保持された電子部品Dやシールドケース20等を撮像し、その吸着姿勢及び吸着ノズル18に対する位置ずれを認識処理装置が認識する。次に、装着ヘッド16をセットテーブル8上の基板Pの位置まで移動させ、基板認識カメラ17で基板Pの認識マークを撮像して認識処理装置で認識処理してプリント基板Pの位置を認識した後、前記部品認識カメラ14及び基板認識カメラ17による認識結果に基づき前記XYステージ12のX軸駆動モータ、Y軸モータ及び吸着ノズル18のθ軸駆動モータを補正移動させて電子部品Dやシールドケース20等をプリント基板P上に装着する。
【0019】
このシールドケース20は、図3に示すように、4面の周側壁20Aと、各周側壁20Aの上端中央部から対向する周側壁20Aに向けて延びた4面の上壁20Bと、各上壁20Bが突き合わさって平面視中央位置に形成されて吸着ノズル18が吸着保持する吸着壁20Cとを備えている。また、前記各周側壁20Aには四角形状の取付け用開口21が、所定間隔を存してそれぞれ、例えば6つ開設されている。なお、このシールドケース20の材質は、アルミニウム等の金属製である。
【0020】
また、同じくアルミニウム等の金属製の材質で構成された前記ケースキャップ22は、平面視した前記シールドケース20の外郭の最大面積より大きな面積を有する平板状の上壁22Aと、上壁22Aの各外周端部にはそれぞれ6つ各保持爪22Bが下方へ向けて延びて形成される。即ち、各保持爪22Bは前記シールドケース20の周側壁20Aに開設した各取付け用開口21に対応しており、この保持爪22Bは前記上壁22Aの各外周端部から下方へ直角に折り曲げられて形成される平面部22B1と、この平面部22B1の下端部に連続して内方へ「く」の字形状に折り曲げて形成した保持部22B2とを備えている。
【0021】
以上の構成により、電子部品装着装置A1における電子部品のプリント基板Pへの装着動作について説明する。先ず、プリント基板Pは、供給コンベア9からセットテーブル8に供給され、セットテーブル8で位置決め固定される。そして、装着データに従い、XYステージ12を駆動させてヘッドユニット13を部品供給ユニット6に臨ませた後、装着ヘッド16に設けた吸着ノズル18を下降させることにより所望の電子部品を部品供給ユニット6より取出す。
【0022】
この場合、装着データに従い装着順序が最初のステップ番号の電子部品を供給する部品供給ユニット6に制御装置は送り指令を送り、制御装置は当該部品供給ユニット6に部品送り動作及びカバーテープの剥離動作を行わせ、収カバーテープが剥がされたキャリアテープの収納部内の電子部品Dが部品取出位置に送り込まれる。そして、部品取出位置まで送られた電子部品Dは吸着ノズル18により取出される。
【0023】
また、同様に、装着データに従い、他の部品供給ユニット6から前記シールドケース20を吸着壁20Cを吸着することにより吸着ノズル18により取出す。
【0024】
続いて、装着ヘッド16を上昇させてから、XYステージ12を駆動して電子部品を部品認識カメラ14の直上方まで移動させ、吸着ノズル18に吸着保持された電子部品やシールドケース20を撮像する。
【0025】
次に、装着ヘッド16をセットテーブル8上の基板Pの位置まで移動させ、基板認識カメラ17でプリント基板Pの位置認識マークを撮像した後、前記部品認識カメラ14及び基板認識カメラ17が撮像した画像を認識処理装置が認識処理した結果に基づいて、前記XYステージ12のX軸駆動モータ、Y軸駆動モータ及び吸着ノズル18のθ軸駆動モータを補正移動させて、上下軸駆動モータの駆動により吸着ノズル18を下降させて電子部品及びこの電子部品を囲むようにシールドケース20をプリント基板P上に装着する。そして、前記プリント基板P上に全ての電子部品及びシールドケース20を装着したら、前記セットテーブル8から排出コンベア10を介して検査機Bに排出される。
【0026】
そして、前記検査機Bにおいて、プリント基板Pの配線パターン(クリーム半田)と装着された電子部品Dとの位置関係を検査すると共に、プリント基板Pの配線パターン(クリーム半田)と前記シールドケース20との位置関係を検査する。そして、各位置関係が正しければ、検査機Bはプリント基板Pをその下流のリフロー炉Dに搬送し、このリフロー炉Dにおいて、紫外線硬化型の前記クリーム半田に紫外線を照射して、このクリーム半田を硬化させて、前記電子部品Dやシールドケース20の位置を固定する。
【0027】
次に、このリフロー炉Dから電子部品装着装置A2にプリント基板Pを搬送し、この電子部品装着装置A2において、前記シールドケース20にケースキャップ22を取り付ける。即ち、吸着ノズル18は部品供給ユニット6からケースキャップ22の上壁22Aの中央位置を真空吸着して取り出し、図4に示すように、基板認識カメラ17がプリント基板Pに固定された前記シールドケース20の対角の位置にある角部をそれぞれ撮像する(図4において、四角形状のカメラ視野VFを右上部及び左下部に示す。)。そして、基板認識カメラ17で撮像された画像を認識処理装置が認識処理して前記シールドケース20の位置を認識し、認識処理装置による認識結果に基づいて、前記XYステージ12のX軸駆動モータ、Y軸モータ及び吸着ノズル18のθ軸駆動モータを補正移動させて、確実に前記ケースキャップ22を前記シールドケース20に取り付ける。
【0028】
この場合、認識処理装置による認識結果に基づいて、前記吸着ノズル18を補正移動させて前記ケースキャップ22の「く」の字形状の各保持部22B2の外方に向けて傾斜した外向き傾斜面が前記シールドケース20の上壁20Bの外周部分に当接するまで吸着ノズル18を下降させて載置させる(図5参照)。次いで吸着ノズル18による真空吸着を解除して上昇させ、次に真空吸引をしない状態で単に吸着ノズル18を下降させることにより前記ケースキャップ22を下降させて押し込み、前記保持爪22Bの各保持部22B2を前記シールドケース20の周側壁20Aに開設した各取付け用開口21に嵌合させることにより、前記ケースキャップ22は前記シールドケース20に取り付けられる(図7及び図8参照)。しかも、前記シールドケース20の上壁20B上に前記ケースキャップ22の上壁22A下面が接するようにして、前記シールドケース20の上壁20Bを除く上面開口を閉塞するように、前記ケースキャップ22が前記シールドケース20を上方から覆うように、確実に取り付けられる。
【0029】
この押し込み方法は、吸着ノズル18の下降及び上昇を繰り返すが、吸着ノズル18による押し込む位置の順序は、図6における位置L1、L2、L3、L4の順で押し込み動作を行うが、これに限らず、他の順序でもよく、更には回数も4回に限らない。例えば、前記ケースキャップ22の上壁22Aの中央部を1回のみ、或いは対角関係にある両角部の2箇所において、押し込み動作を行うようにしてもよい。
【0030】
これにより、確実に前記ケースキャップ22を前記シールドケース20に取り付けることができ、前記ケースキャップ22と前記シールドケース20とにより、プリント基板P上に装着した電子部品Dを物的な衝突から保護したり、前記シールドケース20がプリント基板Pに形成された配線パターンを介してアース接続されて電気的なノイズを遮断して保護することができる。
【0031】
なお、基板認識カメラ17が前記シールドケース20を撮像して認識処理装置が認識処理した前記シールドケース20の位置認識結果と前記部品認識カメラ14が前記ケースキャップ22を撮像して認識処理装置が認識処理した前記ケースキャップ22の位置認識結果とを加味して、前記吸着ノズル18を補正移動させて、前記ケースキャップ22を前記シールドケース20に取り付けるようにしてもよい。
【0032】
そして、この電子部品装着装置A2において、前述したように、必要な個数の前記シールドケース20に前記ケースキャップ22がそれぞれ取り付けられると、電子部品装着装置A2の下流装置へと搬送されることとなる。
【0033】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0034】
1 電子部品装着装置本体
6 部品供給ユニット
18 吸着ノズル
20 シールドケース
20A 周側壁
20B 上壁
21 取付け用開口
22 ケースキャップ
22B 保持爪
22B2 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上に装着された電子部品を側面が間隔を存して囲うように前記プリント基板上に半田を介して装着されてアース接続される上面及び下面が開口したシールドケースと、このシールドケースに上方から覆うようにこのシールドケースの側面に開設された取り付け開口に保持爪が嵌合して取り付けられるケースキャップとから成ることを特徴とする電子部品の保護装置。
【請求項2】
プリント基板上に装着された電子部品を側面が間隔を存して囲うように前記プリント基板上に半田を介して装着されてアース接続される上面及び下面が開口したシールドケースと、前記プリント基板に装着された前記シールドケースの位置を認識する認識処理装置と、供給装置から保持具により取出され前記認識処理装置による認識結果に基づいて前記保持具を補正移動して前記シールドケースに上方から覆うようにこのシールドケースの側面に開設された取り付け開口に保持爪が嵌合して取り付けられるケースキャップとから成ることを特徴とする電子部品の保護装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−48128(P2013−48128A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185392(P2011−185392)
【出願日】平成23年8月28日(2011.8.28)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】