説明

電子顕微鏡用試料作製方法

【課題】透過型電子顕微鏡(TEM)により一連の回転像を撮影して画像処理を行うTEMトモグラフィーにおいて、位置合わせの目印のために用いる金微粒子は、直径が数nmであり、試料上に分散して載せることが困難であった。針状試料に金微粒子を載せる方法を提供する。
【解決手段】試料を集束イオンビームで針状に加工する際に、同時にマスク10を加工形成する。次に、マスク10を近傍に有する針状試料に対して、所定の角度を持たせて金微粒子を蒸着させると、針状試料の特定の領域には金微粒子が付着し、他の領域にはマスクにより金微粒子が付着しないので、蒸着装置内で金微粒子を付着させる領域と付着させない領域を分離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度の三次元像を得るのに適した、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)トモグラフィーに用いる試料及びその作製方法、並びに前記試料を用いた電子顕微鏡画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノメートルもしくはそれ以下のオーダーでの観察を必要とする材料や生物などの研究分野で、透過型電子顕微鏡が広く利用されている。TEMは、観察試料に電子線を照射し、試料を透過した電子の作る像をCCDカメラなどの撮像媒体に投影させる装置である。TEMで得られる画像は試料を透過した電子が形成する2次元像であり、試料の厚み方向(電子の入射方向)の詳細な情報は得られない。そこで、試料の構造をナノメートルスケールで、しかも3次元で取得する手法としてTEMトモグラフィーが近年注目されている。これは、TEMで試料を数度ステップずつ回転させ、その都度像を撮影し、撮影した一連のTEM像(回転像シリーズと呼ぶ)数十枚〜百数十枚に対して、CT(Computerized Tomography)法を用いて画像処理を行うことにより三次元再構成像を得る手法である。病院などで用いられているX線CTと原理は同じであるが、得られる画像の分解能は、X線CTがサブミリメートルであるのに対し、TEMトモグラフィーでは数ナノメートルである。
【0003】
TEM像の中心軸と試料の回転軸とをナノメートルオーダーで一致させることは非常に困難であるため、CT法で処理する前に、一連のTEM像の位置合わせを行う必要がある。この位置合わせとは、一連のTEM像から、TEM像の中心軸に対する試料の回転軸の傾斜角度と、像の位置ずれ補正量を算出するための手法である。位置あわせの手法としては、試料表面に載せた金微粒子などの粒子の位置を目印にする方法(マーカー法)(非特許文献1参照)と、再構成を行う物体自体の位置を目印にして行う方法(非特許文献2参照)が代表的である。どちらも回転像シリーズの各像に写っている同じ物体を目印としている点は同じである。マーカー法は、画像中の複数個の金微粒子を目印として選択し、それぞれの目印の軌道から回転軸の方向と各画像の位置ずれ補正量の最適値を求める方法であり、マーカー法の方が高精度の位置合わせができるため幅広く用いられている。
【0004】
ところで、TEMトモグラフィーにおいて、従来は薄膜上に観察対象物が載った試料の像が撮影される場合が多かったが、近年は真空中に突き出した針状形状の試料を観察する例が増えてきている。針状形状にすることにより、試料の回転角度によらず電子線に対する試料の厚みがほぼ一定であり、等方的な分解能の像が得られるからである。
【0005】
TEMやSEMその他の分析を行うための試料を作製する方法として、集束イオンビーム(Focused Ion Beam、略してFIB)を利用して、試料の必要な箇所を切り出し、分離試料に対して分析を行う方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−52721号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Frank,B.F.McEwen,1992. Alignment by Cross−Correlation. In: J.Frank edit, Electron Tomography. Plenum Press, New York,pp.205−213.
【非特許文献2】M.C.Lawrence,1992. Least−squares methods of alignment using markers, In: J.Frank edit, Electron Tomography. Plenum Press, New York,pp.197−204.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マーカー法において、位置合わせの目印のために用いる金微粒子は、直径が数nm〜数十nmである。従来のマーカー法では、金微粒子は、試料上に金微粒子の溶液を滴下して乾燥させることによって試料上に載せている。金微粒子は、観察領域(数十〜数百nm平方)に適当な密度で分散しているのが望ましい。しかしながら、従来の方法では、観察領域に金微粒子が全く載っていなかったり、逆に多く載りすぎて電子線の透過を妨げ、観察したい試料の像を正確に得られなかったりするという問題がある。
【0009】
特に、TEMトモグラフィーにおいて用いられる針状試料において、金微粒子等の粒子を所望の密度で分散付着させることが現実的に困難であった。
【0010】
まず、針状試料の作製方法について図6を参照して説明する。図6(a)〜(e)は、観察したい試料の埋め込まれている基板からTEMトモグラフィー観察用の針状形状の試料を作製する工程を表す。第1の工程では、集束イオンビームにより試料がダメージを受けないように保護する目的で、図6(a)に示すように、集束イオンビーム装置内で基板1上に保護膜を堆積させる。保護膜は、カーボン膜2を用い、C1410のガス雰囲気中での集束イオンビーム照射により形成されるビーム誘起堆積膜である。第2の工程では、カーボン膜2の周辺と底辺部分を集束イオンビーム3で削り取り、図6(b)のように一辺数μmの8面体が支持部4のみ基板に繋がっている状態にする。試料を傾斜させてから底辺部分を削り取るため、底辺部分は基板表面に対して傾斜している。第3の工程では、カーボン膜2上に集束イオンビーム装置内のプローブ5を接触させ、その接合部を第1の工程と同様の方法で堆積させたカーボン膜6で接合させる。そして、支持部4を集束イオンビーム3で削り取り、図6(c)に示すように、プローブ5を使って、試料を基板から取り出す。ここで、試料上面はXZ面に平行の姿勢のまま取り出される。第4の工程では、図6(d)のように、分離試料7をTEM観察用試料ステージ8へ移して、その上面と接触させる。ここで、試料ステージ8の上面がXZ面に平行である場合、分離試料7の底面の一部のみ接触する。(図6(d)では分離試料7の向かって右の底辺が、試料ステージ8の上面と接触している)。次に、第1の工程と同様の方法で堆積させたカーボン膜9を使って該分離試料7とTEM観察用試料ステージ8の接触部分を接合させる。その後、集束イオンビーム3を用いて、プローブ5を分離試料7から切断させる。第5の工程では、図6(e)のように、集束イオンビームを用いて、針状になるように加工する。
【0011】
ここで、針状試料に金微粒子を載せようとすると、針状試料上に金微粒子の溶液を滴下して乾燥させることが従来なされてきた。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、金微粒子を針状試料上に分散付着させるのに好適な作製方法を提供することを目的とするものである。また、金微粒子を付着させる領域(マーカー領域)と付着させない領域(観察領域)とを分離することを目的とするものである。また、高精度な三次元像を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
【0014】
本発明の方法は、電子顕微鏡用試料作製方法であって、試料を集束イオンビームで針状試料に形成加工する際に、前記試料からマスクを形成加工することを特徴とする。前記マスクは、前記針状試料に金微粒子を蒸着する際に、金微粒子を選択的に遮蔽する位置に設けられていることを特徴とする。針状形状とマスクの形成加工工程後、蒸着装置内で、前記マスクにより、金微粒子を付着させる領域と付着させない領域を分離させるよう蒸着する。前記金微粒子を付着させる領域が、針状先端部の保護膜であり、前記金微粒子を付着させない領域が電子顕微鏡の観察領域であることが好ましい。
【0015】
本発明の方法は、本発明の作製方法により作製した電子顕微鏡用試料の電子顕微鏡画像形成方法であって、前記針状試料の針状長手方向に対して垂直に電子線を入射し、針状試料の針状長手方向を回転軸として、透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影し、前記回転像の金微粒子をマーカーとして位置合わせを行い、試料の三次元像を得ることを特徴とする。
【0016】
本発明は、透過型電子顕微鏡に最適な試料であって、金微粒子が付着した領域を先端部に有して、金微粒子の付着しない観察領域を中間部に有する針状試料と、マスク部と、前記針状試料と前記マスク部とを繋ぐ台座部とを備える一体構造の試料であることを特徴とする。前記マスク部は、前記針状試料の前記観察領域より針状長手方向高さが低いことを特徴とする。
【0017】
本発明は、前記電子顕微鏡用試料を用いる電子顕微鏡画像形成方法であって、前記針状試料の針状長手方向に対して垂直に電子線を入射して、針状試料の針状長手方向を回転軸として、透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影し、前記回転像の金微粒子をマーカーとして位置合わせを行い、試料の三次元像を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の作製方法により、金微粒子を針状試料上に適切な密度で分散して確実に載せることができる。また、本発明の方法により、針状試料に金微粒子を付着させる領域と付着させない領域を分離して形成することができる。その結果、本発明の電子顕微鏡用試料は、金微粒子が付着していない領域である観察領域と、金微粒子が付着している先端部領域とを有しているので、試料観察に際して、金微粒子が電子線の透過を防ぐことがないので、正確な試料の三次元像を得ることができる。本発明の方法を用いることで、TEMトモグラフィーの試料作製の成功率が向上し、TEMトモグラフィーの精度が高まり、結果として実用性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の作製方法を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるマスクと針状試料を形成加工する方法を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における金微粒子の蒸着装置を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態の図2の蒸着装置内の試料周辺部を拡大した図である。
【図5】本発明の実施の形態のTEM画像を示す図である。
【図6】従来の試料作製方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、金微粒子を付着させる際のマスクを、針状試料の近傍に作製するものである。まず試料を集束イオンビームで針状に加工する際に同時にマスクを加工形成する。次に、マスクを近傍に有する針状試料に対して、所定の角度を持たせて金微粒子を蒸着させる。そうすると、針状試料の特定の領域には金微粒子が付着し、他の領域にはマスクにより金微粒子が付着しないので、金微粒子を付着させる領域と付着させない領域を分離することができる。
【0021】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、図1〜図5を参照して以下説明する。図1は、針状試料の作製方法を説明する図である。図1(a)〜(e)は、観察したい試料の埋め込まれている基板からTEMトモグラフィー観察用の針状形状の試料を作製する各工程を表す。図1のxyz軸は、作製後の針状試料との関係を説明するために付与したものであり、y軸はTEM内での試料の回転軸と平行な向きで、z軸はTEM内での試料への電子線入射方向と平行な向きである。x軸は、それらに垂直な軸である。
【0022】
第1の工程では、集束イオンビームにより試料がダメージを受けないように保護する目的で、図1(a)に示すように、集束イオンビーム装置内で基板1上に保護膜を堆積させる。保護膜は、カーボン膜2を用い、C1410のガス雰囲気中での集束イオンビーム照射により形成されるビーム誘起堆積膜である。その寸法は、例えば数μmであり、膜厚は、数百nmから数μm程度である。基板は、例えば半導体の配線など、観察したい試料が埋め込まれている基板全般を指す。
【0023】
第2の工程では、カーボン膜2の周辺と底辺部分を集束イオンビーム3で削り取り、図1(b)のように一辺数μmの8面体が支持部4のみ基板に繋がっている状態にする。試料を傾斜させてから底辺部分を削り取るため、底辺部分は基板表面に対して傾斜している。第3の工程では、カーボン膜2上に集束イオンビーム装置内のプローブ5を接触させ、その接合部を第1の工程と同様の方法で堆積させたカーボン膜6で接合させる。そして、支持部4を集束イオンビーム3で削り取り、図1(c)に示すように、プローブ5を使って、試料を基板から取り出す。ここで、試料上面はXZ面に平行の姿勢のまま取り出される。第4の工程では、図1(d)のように、分離試料7をTEM観察用試料ステージ8へ移して、その上面と接触させる。ここで、試料ステージ8の上面がXZ面に平行である場合、分離試料7の底面の一部のみ接触する。(図1(d)では分離試料7の向かって右の底辺が、試料ステージ8の上面と接触している)。次に、第1の工程と同様の方法で堆積させたカーボン膜9を使って該分離試料7とTEM観察用試料ステージ8の接触部分を接合させる。その後、集束イオンビーム3を用いて、プローブ5を分離試料7から切断させる。
【0024】
第5の工程では、図1(e)のように、集束イオンビームを用いて、試料が直径数十nmから百数十nmの針状になるように加工すると同時に、試料の一部を加工してマスク10を形成する。針状試料の長さは数μmである。
【0025】
上記第5の工程におけるマスクと針状試料の形成加工方法を、図2を参照して詳しく説明する。なお、図1における試料ステージは図2では省略した。切り出した試料を図2(a)の点線軸に対して90度反時計回りに回転させて図2(b)の状態にする。次に、集束イオンビームで、図2(c)のように、マスクと、保護膜のついた針状試料加工用部分とを加工する。図2(c)のように、加工残りの台座部によって、マスクと前記加工用部分とは繋がっている。次に図2(c)の点線軸に対して90度時計回りに回転させて、図2(d)の状態にする。図2(d)の状態で、集束イオンビームにより針状試料加工用部分を針状に加工して、図2(e)の構造を得る。図2(e)に示すように、本実施の形態の針状試料は、マスク部と、針状試料部と、これらを繋ぐ台座部とからなる一体構造である。TEM内で試料の観察領域に電子線が透過するために、マスクのy方向の高さは針状試料の観察領域に比べて低く作製する。
【0026】
加工した針状試料の保護膜の部分にのみ金微粒子を載せる方法を図3及び図4を参照して説明する。図3は、本実施の形態における金微粒子の蒸着装置を模式的に示す図である。図4は、図3の蒸着装置内の試料周辺部を拡大した図である。図3のように、蒸着装置内に金線33と試料を設置する。金線33はタングステンワイヤー32に取りつけられており、ワイヤー32に電極31によって電流を流すと、金線33が溶け、蒸着装置内に等方的に分散し、保護膜上に金の微粒子が蒸着される。金線33の長さにより、蒸着する粒子の大きさが変化するため、あらかじめ直径数nmとなる長さを計算して設定しておくことができる。
【0027】
マスクの寸法と針状試料の保護膜の膜厚の関係、並びに蒸着装置内の蒸着源の金線と試料との配置は、次のように設定する。マスク10の蒸着源側の表面と針状試料の蒸着面のz方向の距離をdzとする。保護膜であるカーボン膜2はマスク10の高さに比べてdy以上の高さの領域に付いている。図4で示すように、マスク10から針状試料の保護膜までのy方向の距離をdyとする。dyが観察領域のy方向の長さとなる。保護膜にのみ金を蒸着させるため、金線33の位置と針状試料とのy、z方向の距離dy’とdz’の比が、dyとdzの比に一致するように、蒸着装置内に試料を設置する。次の式1のように表すことができる。
【0028】
dz/dy=dz’/dy’ (式1)
なお、dzとdyは、集束イオンビーム装置の二次イオン像から確認しておく。
【0029】
本実施の形態の方法を用いれば、保護膜上にのみ金を載せることができる。本実施の形態で得られた針状試料を、透過電子顕微鏡(TEM)内に設置し、針状試料の回転軸の方向をy軸とし、針状試料へ電子線を入射(z軸方向)して観察する。図5に、TEM画像の例を模式的に示す。図示中央に、針状試料とその先端保護膜部分(縦縞部)に金微粒子(黒点)が観察できる。なお、上下は真空部分12である。金微粒子と観察領域11を同時にカメラの視野内に入るように回転像シリーズの撮影をし(図5参照)、撮影後、各像に写っている金微粒子をマーカーとして位置合わせを行うことにより、試料の三次元像が得られる。
【0030】
本実施の形態で作製した針状試料によれば、TEMの観察領域11には金微粒子が載っていないため電子線透過を妨げることがなくなるという効果を奏する。また、観察領域と金微粒子が重なって投影されてしまって金微粒子の位置を識別しにくくなることがない。
【0031】
上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
半導体材料の微細化が進んでおり、特性と構造を結びつけた検討が必要になってきている。そのため、TEMトモグラフィーを使って三次元構造を評価する例が増えている。本発明により試料作製の効率が上がるので、TEMトモグラフィーの普及に繋がり、半導体材料開発に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 基板
2 保護膜(カーボン膜)
3 集束イオンビーム
4 支持部
5 プローブ
6 カーボン膜
7 分離試料
8 試料ステージ
9 カーボン膜
10 マスク
11 観察領域
12 真空部分
31 電極
32 タングステンワイヤー
33 金線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子顕微鏡用試料の作製方法であって、試料を集束イオンビームで針状試料に形成加工する際に、前記試料からマスクを形成加工することを特徴とする電子顕微鏡用試料作製方法。
【請求項2】
前記マスクは、前記針状試料に金微粒子を蒸着する際に、金微粒子を選択的に遮蔽する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡用試料作製方法。
【請求項3】
前記マスクにより、蒸着装置内で、金微粒子を付着させる領域と付着させない領域を分離させるよう蒸着することを特徴とする請求項2記載の電子顕微鏡用試料作製方法。
【請求項4】
前記金微粒子を付着させる領域が、針状先端部の保護膜であり、前記金微粒子を付着させない領域が電子顕微鏡の観察領域であることを特徴とする請求項3記載の電子顕微鏡用試料作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の作製方法により作製した電子顕微鏡用試料の電子顕微鏡画像形成方法であって、前記針状試料の針状長手方向に対して垂直に電子線を入射し、針状試料の針状長手方向を回転軸として、透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影し、前記回転像の金微粒子をマーカーとして位置合わせを行い、試料の三次元像を得ることを特徴とする電子顕微鏡画像形成方法。
【請求項6】
金微粒子が付着した領域を先端部に有して、金微粒子の付着しない観察領域を中間部に有する針状試料と、マスク部と、前記針状試料と前記マスク部とを繋ぐ台座部とを備える一体構造の透過型の電子顕微鏡用の試料であって、
前記マスク部は、前記針状試料の前記観察領域より針状長手方向高さが低いことを特徴とする電子顕微鏡用試料。
【請求項7】
前記針状試料の針状長手方向に対して垂直に電子線を入射して、針状試料の針状長手方向を回転軸として、透過電子顕微鏡画像の回転像シリーズを撮影し、前記回転像の金微粒子をマーカーとして位置合わせを行い、試料の三次元像を得ることを特徴とする請求項6記載の電子顕微鏡用試料を用いる電子顕微鏡画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−2552(P2012−2552A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135634(P2010−135634)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】