説明

電極活物質、電池および重合体

【課題】軽量でエネルギー密度が高い電池、およびこの電池の構成要素である電極活物質、また電極活物質となりうる重合体を提供する。
【解決手段】正極および負極の少なくとも一方の活物質として、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を含有する電極活物質を用いる。


(R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子またはメチル基、R3〜R5はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量密度が大きな電極活物質およびエネルギー密度が大きな電池、および電極活物質となりうる重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン、携帯電話などの携帯電子機器は、通信システムの発展に伴い急激に普及してきた。その電源である電池に対して、小型、軽量、高エネルギー密度などの要求が高まっている。
【0003】
現在実用化されている最も高いエネルギー密度をもつ二次電池はリチウムイオン二次電池であり、携帯電話用電池として1990年代以降に急激に普及した。リチウムイオン二次電池は活物質として正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムといったリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素を用いたものであり、これら活物質へのリチウムイオンの挿入、脱離反応を利用して充放電を行っている。このリチウムイオン電池は特に正極に比重の大きな重金属酸化物を用いているため単位質量当たりの容量密度には改善の余地があった。また、重金属酸化物を用いているために廃棄時には、特別な回収、処理が必要であった。
【0004】
軽量な電極材料を得る目的で、活物質に硫黄化合物や有機化合物を用いた電池も開発されてきた。例えば、特許文献1(米国特許第4,833,048号明細書)、特許文献2(特許第2715778号公報)にはジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。この電池は硫黄や炭素といった比重の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されているため、高エネルギー密度の大容量電池という点において一定の効果を奏している。しかし、解離した結合が再度結合する効率が小さいことや活物質の電解液への拡散のため、充放電サイクルを重ねると容量が低下しやすいという欠点がある。
【0005】
有機化合物を活物質に利用した電池として、導電性高分子を電極材料に用いた電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンのドープ、脱ドープ反応を原理とした電池である。ドープ反応とは、導電性高分子の酸化もしくは還元によって生ずる荷電ラジカルを、対イオンによって安定化させる反応のことである。特許文献3(米国特許第4,442,187号明細書)には、このような導電性高分子を正極もしくは負極の材料とする電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素といった比重の小さな元素のみから構成されたものであり、高容量電池として期待された。しかし、導電性高分子には、酸化還元によって生じる荷電ラジカルがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが静電反発やラジカルの消失をもたらす相互作用をするという特性がある。これは発生する荷電ラジカルすなわちドープ濃度に限界をもたらすものであり、電池の容量を制限するものである。例えば、ポリアニリンを正極に用いた電池のドープ率は50%以下であり、またポリアセチレンの場合は7%であると報告されている。導電性高分子を電極材料とする電池では軽量化という点では一定の効果を奏しているものの、大きなエネルギー密度をもつ電池は得られていない。
【0006】
有機化合物を二次電池の活物質に用いた電池として、ラジカル化合物の酸化還元反応を用いる電池が提案されている。たとえば、特許文献4(特開2002−151048公報)には、ニトロキシドラジカル化合物、アリールオキシラジカル化合物および特定のアミノトリアジン構造を有する高分子化合物などのラジカル化合物が活物質として開示されており、またラジカル化合物を正極もしくは負極の材料として用いる電池が開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,833,048号明細書
【特許文献2】特許第2715778号公報
【特許文献3】米国特許第4,442,187号明細書
【特許文献4】特開2002−151048公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、軽量でエネルギー密度を高める技術としては、更なる改善の余地があった。本発明は、軽量でエネルギー密度が高い電池、およびこの電池の構成要素である電極活物質、また電極活物質となりうる重合体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、鋭意検討した結果、今までに電極活物質として利用されなかった特定の有機化合物、すなわち式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を電極活物質として利用することにより、前記課題を解決できることを見出した。本発明によれば、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を電極活物質として用い、この部位の酸化還元を利用した電池とすることにより、大きなエネルギー密度をもつ電池を提供することができる。
【0009】
すなわち本発明は、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を含有する電極活物質、正極および負極の両方またはいずれか一方の電極活物質として、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を含有する電極活物質を用いることを特徴とする電池に関する。
【0010】
【化1】

【0011】
(式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子またはメチル基、を表す。)
【0012】
【化2】

【0013】
(式(2)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R3〜R5はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、を表す。)
二次電池において、活物質は充放電により酸化もしくは還元されるため、活物質は出発状態と還元状態の二つの状態を取る。本発明において、前記活物質は充電または放電された状態の何れかの状態で、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体となる。
【0014】
すなわち本発明は、活物質の電極反応を利用する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の電極反応が、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を反応物もしくは生成物とする電極反応であることを特徴とする二次電池に関する。
【0015】
また本発明は、正極活物質として前記電極活物質を含むことを特徴とする前記の電池に関する。
【0016】
また本発明は、前記二次電池がリチウム二次電池であることを特徴とする前記の電池に関する。
【0017】
本発明は、上記の重合体が電極活物質として優れていることを見出したことに基づいてなされたものである。これは、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体が、副反応をほとんどおこさない、ほぼ100%の割合で可逆に安定した酸化還元反応を起こすことによる。すなわち、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を電極活物質として用いた電池は、充放電を安定して行うことができ、サイクル特性に優れた電池となる。また、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を電極活物質として用いた電池は、従来のリチウムイオン電池などに比べ優れた高出力特性を有する。これは、式(1)または式(2)で表される構造が大きな電極反応速度をもつために、大きな電流を一度に放電できるためである。また、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体は、炭素、窒素、水素、酸素という質量の小さい元素のみから構成することができる。このため、活物質の質量を小さくでき、これを用いて製造した電極の単位質量あたりの容量密度は大きくなり、その結果、この活物質を用い電池を作製した場合、質量当たりのエネルギー密度が大きな電池となる。
【0018】
また、本発明では、正極もしくは負極での電極反応に、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体が直接寄与しており、これらを電極活物質として用いる電極は、正極もしくは負極のいずれかに限定されるものではない。ただし、エネルギー密度の観点から、特に正極の電極活物質としてこの重合体を用いることが好ましい。また、本発明の電池は、高い電圧、大きな容量が得られるという点から負極に金属リチウムあるいはリチウムイオンが挿入・脱着可能な炭素を用いたリチウム電池であることが好ましい。
【0019】
また、本発明は式(3)および式(4)で表されるポリラジカル化合物も提供する。
【0020】
【化3】

【発明の効果】
【0021】
本発明は、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体である電極活物質と、この電極活物質を用いた電池を提案したものである。これにより、電極活物質として重金属を含まない軽くて安全な元素から構成される電池を作製することを可能とするものであり、また、軽量でエネルギー密度が高い電池を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1に本発明の電池の一実施形態の構成を示す。図1に示された電池は、正極5と、負極集電体1上に配置した負極3とを、電解質を含むセパレータ4を介して対向するように重ね合わせ、さらに正極5上に正極集電体6を重ね合わせた構成を有している。負極集電体1と正極集電体6との間には、両者の電気的接触を防ぐ目的で、プラスチック樹脂等の絶縁性材料からなる絶縁パッキン2が配置される。なお、固体電解質やゲル電解質を用いる場合は、セパレータに代えてこれら電解質を電極間に介在させる形態にすることもできる。
【0023】
本実施形態では、このような構成において、負極3もしくは正極5または両電極に用いられる電極活物質が、前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を含有することを特徴とする。
【0024】
本発明の電池は、電池容量の点から、正極活物質として前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を用いたリチウム二次電池とすることが好ましい。
【0025】
[1]電極活物質
本発明における電極活物質とは、充電反応および放電反応等の電極反応に直接寄与する物質のことであり、電池システムの中心的役割を果たすものである。
【0026】
[1−1]式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体
本発明では電極活物質として式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を用いることができる。
【0027】
【化4】

【0028】
(式(1)において、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、及びターシャリーブチル基のいずれかの基、R2は水素原子またはメチル基、を表す。)
【0029】
【化5】

【0030】
(式(2)において、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、及びターシャリーブチル基のいずれかの基、R3〜R5はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、を表す。)
本発明の電池において電極活物質は電極に固定された状態であっても、また、電解液へ溶解または分散した状態であってもよい。ただし、電極に固定された状態で用いる場合、電解液への溶解による容量低下を抑制するために、固体状態でさらに電解液に対し不溶性または低溶解性であることが好ましい。電解液への溶解性が高い場合、電極から電解液中に活物質が溶出することで、充放電サイクルに伴い容量が低下するためである。このため、式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体は、数平均分子量が500以上であることが好ましく、さらには5000以上であることがより好ましい。これは、数平均分子量が500以上であると電池用電解液に溶解しづらくなり、さらに数平均分子量5000以上になるとほぼ不溶となるからである。また、数平均分子量の上限には特に制限はないが、合成の都合上、数平均分子量が5000000以下、より好ましくは数平均分子量が1000000以下の重合体を好適に使用できる。重合体の形状としては鎖状、分岐状、網目状のいずれでもよい。また、架橋剤で架橋したような構造でもよい。
【0031】
式(1)または式(2)で表される構造をもつ重合体の例として、式(5)から(20)で表される構造を分子中に有する重合体が挙げられる。
【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
式(1)または式(2)で表される構造のみを有する単独重合体を用いることも、式(1)または式(2)で表される構造から適宜選択した2種以上を有する共重合体を用いることも、さらに他の単位構造を有する共重合体を用いることもできる。合成の都合上、式(1)または式(2)で表される構造のみを有する単独重合体が好ましい。さらに他の単位構造を有する共重合体の場合、式(1)または式(2)で表される構造が、重合体の全単位構造に対して、70〜99単位%であることが好ましく、80〜95単位%であることがより好ましい。
【0035】
本発明における式(1)で表される構造を分子中に有する重合体のうち式(12)で表される構造を分子中に有する単独重合体は、例えば下記の合成スキームに示すルートで合成することができる。式(1)で表される構造を分子中に有するその他の重合体も、類似の合成ルートにより合成できる。
【0036】
【化8】

【0037】
本発明における式(2)で表される構造を分子中に有する重合体のうち式(20)で表される構造を分子中に有する単独重合体は、例えば下記の合成スキームに示すルートで合成することができる。式(2)で表される構造を分子中に有するその他の重合体も、類似の合成ルートにより合成できる。
【0038】
【化9】

【0039】
また、式(1)または式(2)で表される構造を有する重合体は、単独で用いることができるが、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、後述するような他の電極活物質と組み合わせて用いても良い。このとき、電極活物質中に、式(1)または式(2)で表される構造を有する重合体が10〜90質量%含まれていることが好ましく、20〜80質量%含まれていることがより好ましい。
【0040】
[1−2]他の電極活物質
本発明の電池は正極もしくは負極の一方の電極反応、または両方の電極反応における活物質として、前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を用いるが、このうち、一方の電極反応における活物質として用いる場合、もう一方の電極に電池の活物質として従来公知のものが利用できる。
【0041】
例えば、負極活物質として前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を用いる場合には、正極活物質として金属酸化物粒子、ジスルフィド化合物、および導電性高分子等を用いることができる。ここで、金属酸化物としては例えばLiMnO2、LiXMn24(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLiX25(0<x<2)等が、ジスルフィド化合物としては例えばジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が、また、導電性高分子としては例えばポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。本発明ではこれらの正極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用することもできる。また、正極活物質として、従来公知の活物質であるLiMnO2、LiXMn24(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLiX25(0<x<2)等の金属酸化物、ジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等のジスルフィド化合物、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子と、ニトロキシルラジカル化合物とを混合して複合活物質として用いてもよい。ニトロキシルラジカル化合物としては、前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体でも良く、ニトロキシルラジカルを有する他の化合物でも良い。
【0042】
一方、正極活物質として前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を用いる場合には、負極活物質としてグラファイトや非晶質カーボン、リチウム金属やリチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、導電性高分子等を用いることができる。これらの形状としては特に限定されず、例えばリチウム金属では薄膜状のものに限らず、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であっても良い。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用できる。また、負極活物質として、従来公知の活物質とニトロキシルラジカル化合物を組み合わせて用いても良い。ニトロキシルラジカル化合物としては、前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体でも良く、ニトロキシルラジカルを有する他の化合物でも良い。
【0043】
[2]補助導電材およびイオン伝導補助材
前記電極活物質を用いて電極を形成する場合に、インピーダンスを低下させる目的で、補助導電材やイオン伝導補助材を混合させることもできる。これらの材料としては、補助導電材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられ、イオン伝導補助材としては高分子ゲル電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。電極中のこれらの材料の割合としては、10〜80質量%が好ましい。
【0044】
[3]結着剤
電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。電極中のこれらの材料の割合としては、5〜30質量%が好ましい。
【0045】
[4]触媒
電極反応をより潤滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を用いることもできる。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン錯体等が挙げられる。電極中のこれらの材料の割合としては、10質量%以下が好ましい。
【0046】
[5]集電体およびセパレータ
負極集電体、正極集電体としては、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、金属平板、メッシュ状などの形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたり、電極活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。一方、上記の正極、および負極が接触しないようにポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルムや不織布などのセパレータを用いることもできる。
【0047】
[6]電解質
本発明において、電解質は、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には20℃で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、Li(C25SO22N、Li(CF3SO23C、Li(C25SO23C等の従来公知の材料を用いることができる。
【0048】
また,電解液に溶剤を用いる場合、溶剤としては例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
【0049】
さらに、本発明では電解質として固体電解質を用いることもできる。これら固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、電解質塩を含有させた高分子化合物のみをそのまま用いても良い。
【0050】
[7]電池形状
本発明において、電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。電池形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
[8]電池の製造方法
電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、活物質に溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させたのちに、対極、セパレータを挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法である。スラリー化のための溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素等が挙げられる。
【0052】
電池を製造する際には、活物質として前記式(1)または式(2)で表される構造を分子中に有する重合体そのものを用いて電池を製造する場合と、電極反応によって前記化合物に変化する化合物を用いて電池を製造する場合とがある。このような電極反応によって前記化合物に変化する化合物の例としては、前記ニトロキシルラジカル化合物を還元したアニオン体とリチウムイオンやナトリウムイオンといった電解質カチオンとからなるリチウム塩やナトリウム塩、あるいは、前記ニトロキシルラジカル化合物を酸化したカチオン体とPF6-やBF4-といった電解質アニオンとからなる塩などが挙げられる。
【0053】
本発明に於いて、電極からのリードの取り出し、外装等のその他の製造条件は電池の製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の詳細について合成例、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
(合成例1)
下記式(12)で表される構造を有する単独重合体(I)の合成例を示す。
【0056】
【化10】

【0057】
1Lナスフラスコ中、p-ブロモニトロベンゼン5.00 g (24.8 mmol)をメタノール350 mlに溶解させ、塩化アンモニウム1.52 g (28.5 mmol, 1.15 eq)、水47 mlを加えた。亜鉛粉末6.48 g (99.1 mmol, 4eq)をゆっくりと加え、50℃で1.5時間反応させた。反応終了後、エバポレーションにより溶媒を除去し、エーテル抽出を行った。乾燥、溶媒除去後、淡黄色固体を得た。
【0058】
アルゴン雰囲気下、1L三口ナスフラスコ中、得られた淡黄色固体をエーテル371 mlに溶解させ、炭酸水素ナトリウム2.49 g (29.6 mmol, 1.2 eq)を加えた。0℃に冷却し、エーテル136 mlに溶解させた塩化ピバロイル3.28 g (3.35 ml, 27.2 mmol, 1.1 eq)を15分かけて滴下し、5時間反応させた。反応終了後、エーテル抽出を行った。乾燥、溶媒除去後、淡黄色固体を得た。ジクロロメタン/ヘキサン中から再結晶精製し、無色針状結晶として4-(N-ヒドロキシル-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼンを2.42 g得た (収率 36%)。
【0059】
[4-(N-ヒドロキシル−N−ピバロイルアミノ)ブロモベンゼン]
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 8.47 (s, 1H, N-OH), 7.56 (d, 2H, Ph-H), 7.31 (d, 2H, Ph-H), 1.20 (s, 9H, t-Bu);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 175.9, 139.9, 132.2, 128.6, 122.5, 39.2, 28.3;
IR(cm-1): 3442 (νO-H), 1623 (νC=O);
Mass: m/z 271, 273(found), 272.14(calcd).
50mlナスフラスコ中、4-(N-ヒドロキシル-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼンを4.00 g (14.7 mmol)、DMF 21 mlを加え溶解した。そこへt-ブチルジメチルシリルクロリド (TBDMS-Cl) 5.54 g (36.7 mmol, 2.5eq)、トリエチルアミン3.84 g (5.30 ml, 37.8 mmol, 2.57 eq)を加え、60℃、5時間反応させた。反応終了後、エーテル抽出を行い、乾燥した。溶媒除去後、酢酸エチル/ヘキサン 1/19を展開溶媒としてカラム精製(Rf = 0.14)を経て、4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼンを橙色針状結晶として5.40 g得た (収率 95%)。
【0060】
[4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼン]
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.51 (d, 2H, Ph-H), 7.22 (d, 2H, Ph-H), 1.19 (s, 9H, t-Bu), 0.89 (s, 9H, t-Bu), 0.06 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.8, 143.5, 132.0, 129.3, 122.0, 40.2, 28.0, 26.0, 18.2, -4.48;
IR(cm-1): 1670 (νC=O) 1255 (νSi-CH3);
Mass: m/z 386, 388(found), 386.40(calcd).
アルゴン雰囲気下、100ml二口ナスフラスコ中、4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼン5.00 g (12.9 mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム654 mg (0.93 mmol, 0.072 eq)、ヨウ化銅88.7 mg (0.47 mmol, 0.036 eq)を加え、トリエチルアミン54 mlに溶解させた。トリエチルアミン5.4 mlに溶解させたトリメチルシリルアセチレン1.84 g (2.65 ml, 18.8 mmol, 1.45 eq)を加え、80℃で1.5時間反応させた。反応終了後、溶媒除去し、ジクロロメタン抽出した。乾燥、溶媒除去後、酢酸エチル/ヘキサン 1/19を展開溶媒としてカラム精製(Rf = 0.14)を経て、1-(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニル)-2-トリメチルシリルアセチレンを白色針状結晶として4.96 g得た (収率 95%)。
【0061】
[1-(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニル)-2-トリメチルシリルアセチレン]
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.51 (d, 2H, Ph-H), 7.37 (d, 2H, Ph-H), 1.16 (s, 9H, t-Bu), 0.87 (s, 9H, t-Bu), 0.25 (s, 9H, Si-CH3), 0.07 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.3, 144.2, 132.4, 127.6, 123.1, 104.1, 95.6, 40.1, 28.1, 25.9, 18.2, -0.12, -4.58;
IR(cm-1): 2159 (νCC) 1682 (νC=O);
Mass: m/z 403(found), 403.71(calcd).
500mlナスフラスコ中、1-(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニル)-2-トリメチルシリルアセチレン4.5 gをメタノール255 mlに溶解させた。水酸化ナトリウムのメタノール溶液(水酸化ナトリウム0.4 gをメタノール100 mlに溶解したもの)63.6 mlを加え、室温下1時間反応させた。反応終了後、溶媒除去し、ジクロロメタン抽出を行った。乾燥、溶媒除去後、酢酸エチル/ヘキサン 1/9を展開溶媒としてカラム精製(Rf = 0.46)を経て、ヘキサンから再結晶精製し、4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレンを無色針状結晶として1.03 g得た (収率 95%)。
【0062】
[4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレン]
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.48 (d, 2H, Ph-H), 7.29 (d, 2H, Ph-H), 1.17 (s, 9H, t-Bu), 0.87 (s, 9H, t-Bu), 0.04 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.6, 144.6, 132.6, 127.5, 121.9, 82.8, 78.2, 40.1, 28.0, 25.9, 18.2, -4.53;
IR(cm-1): 2105 (νCC) 1669 (νC=O);
Mass: m/z 332(found), 331.52(calcd).
10mlナスフラスコに4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレンを100 mg、Rh触媒[Rh(nbd)Cl]2 13.9 mg (0.030 mmol, 0.1 eq)、トリエチルアミン1.53 mg (2.11 ml, 0.030 mmol, 0.1 eq)を加えた。アルゴン雰囲気下、三方コックを通して、トルエン1.41 mlに溶解させ、50℃、4時間反応させた。反応終了後、メタノールへの再沈殿精製、真空乾燥を経て、黄色粉末としてポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレン)99 mgを得た (Mn = 1.3×106, Mw/Mn = 6.6)。
【0063】
[ポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレン)]
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 6.98 (b, 2H, Ph-H), 6.88 (b, 2H, Ph-H), 5.78 (b, 1H, vinyl-H), 1.03 (s, 9H, t-Bu), 0.88 (s, 9H, Si t-Bu), -0.08 (s, 6H, Si-CH3).
アルゴン雰囲気下、5mlナスフラスコ中、ポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)フェニルアセチレン) 10 mgをTHF15 ml に溶解させた。テトラブチルアンモニウムフルオリド (TBAF) 79.0 mg、酸化銀70.0 mgを加え、室温下1時間反応させ酸化することにより重合体(I)を得た。
【0064】
(合成例2)
下記式(20)で表される構造を有する単独重合体(II)の合成例を示す。
【0065】
【化11】

【0066】
アルゴン雰囲気下、50ml二口ナスフラスコ中に合成例1で得た4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)ブロモベンゼン 2.30 g (5.95 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム186 mg (0.16 mmol, 0.027 eq)、BHT (Butylated hydroxytoluene) 6.95 mg (0.031 mmol, 0.0053 eq)を加え、トルエン17 mlに溶解させた。トルエン15 mlに溶解させたトリブチルビニルスズ2.28 g (7.2 mmol, 1.21 eq)を加え、100℃で15反応させた。反応終了後、溶媒除去し、ジクロロメタン抽出した。乾燥、溶媒除去後、酢酸エチル/ヘキサン 1/19を展開溶媒としてカラム精製(Rf = 0.07)を経て、4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)スチレンを白色針状結晶として1.03 g得た (収率 52%)。
【0067】
[4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)スチレン]
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, ppm): δ= 7.42 (d, 2H, Ph-H), 7.30 (d, 2H, Ph-H), 6.72 (dd, 1H, vinyl-H), 5.78 (d, 1H, vinyl-H), 5.31 (d, 1H, vinyl-H), 1.16 (s, 9H, t-Bu), 0.87 (s, 9H, t-Bu), 0.11 (s, 6H, Si-CH3);
13C-NMR(CDCl3, 125MHz, ppm): δ= 179.1, 143.4, 137.7, 135.9, 128.2, 126.5, 115.0, 40.0, 28.3, 25.9, 18.2, -4.63;
IR(cm-1): 1670 (νC=O), 1631 (νC=C);
Mass: m/z 334(found), 333.54(calcd).
5mlアンプルに4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)スチレンを50 mg (0.15 mmol)入れ、アゾビスイソブチロニトリル 0.12 mg (0.749 μmol)を含むベンゼン溶液0.15 ml を加えた。真空ラインを用いて溶封し、80℃、19時間反応後、メタノールへ沈殿精製したが、沈殿しなかった。溶媒を除去、真空乾燥を経て、ポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)スチレン)を得た (Mn = 800, Mw/Mn = 1.1)。
【0068】
アルゴン雰囲気下、5mlナスフラスコ中、ポリ(4-(N-t-ブチルジメチルシリロキシ-N-ピバロイルアミノ)スチレン) 10 mgをTHF15 ml に溶解させた。テトラブチルアンモニウムフルオリド (TBAF) 79.0 mg 、酸化銀70.0 mgを加え、室温下1時間反応させ酸化することにより重合体(II)を得た。
【0069】
(実施例1)
【0070】
【化12】

【0071】
式(12)で表される構造を有する単独重合体(I)(数平均分子量:130万(ポリスチレン換算),分散度(重量平均分子量/数平均分子量):6.6)300mg、炭素粉末(導電付与剤)600mg、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)100mgを測り採り、混合した。ここへN−メチルピロリドン(NMP)4mLを加え、スラルー状となるまで撹拌した。得られたスラリー状液体をアルミ箔状に薄く塗布後、80℃で3分間乾燥した。これを、直径12mmの円形に打ち抜き、コイン電池用電極に成型した。なお、この電極の質量は8.5mgだった。
【0072】
次に、得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1.0mol/LのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合体積比3:7)を用いた。電解液を含浸させた電極は、正極集電体上に置き、その上に同じく電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに負極となるリチウム張り合わせ銅箔を積層し、絶縁パッキンで周囲を被覆された負極集電体を重ね合わせた。これを、かしめ機によって圧力を加え、正極活物質として重合体(I)、負極活物質として金属リチウムを用いた密閉型のコイン型電池とした。
【0073】
以上のように作製したコイン電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.2Vまで放電を行った。その結果、正極活物質あたりの放電容量密度は103mAh/gだった。同様に、4.0〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は86.0%だった。
【0074】
(実施例2)
【0075】
【化13】

【0076】
式(20)で表される構造を有する単独重合体(II)(数平均分子量:800(ポリスチレン換算),分散度(重量平均分子量/数平均分子量):1.1)を用い、実施例1と同様な方法で電極を作製した。電極の重量は、8.0mgだった。
【0077】
以上のように作製したコイン電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.2Vまで放電を行った。その結果、正極活物質あたりの放電容量密度は98mAh/gだった。同様に、4.0〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は80%だった。
【0078】
(比較例1)
実施例1と同様な方法で、ただし、重合体(I)を用いず、代わりに炭素粉末を900mgに増やして、コイン電池を作製した。作製した電池に対して、実施例1と同様にして充放電を行った。その結果、放電時に電圧平坦部はみられず電圧は急速に低下し、電池として十分に動作しなかった。
【0079】
(比較例2)
【0080】
【化14】

【0081】
式(21)で表される構造を有する単独重合体(III)(数平均分子量:38000(ポリスチレン換算),分散度(重量平均分子量/数平均分子量):2.4)を用い、実施例1と同様な方法で電極を作製した。電極の重量は、8.2mgだった。
【0082】
以上のように作製したコイン電池を、0.1mAの定電流で電圧が4.0Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で2.2Vまで放電を行った。その結果、正極活物質あたりの放電容量密度は73mAh/gだった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の電池の構成の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0084】
1 負極集電体
2 絶縁パッキン
3 負極
4 セパレータ
5 正極
6 正極集電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構造を分子中に有する重合体を含有する電極活物質。
【化1】

(式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子またはメチル基、を表す。)
【請求項2】
式(2)で表される構造を分子中に有する重合体を含有する電極活物質。
【化2】

(式(2)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R3〜R5はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、を表す。)
【請求項3】
正極および負極の少なくとも一方の活物質として、請求項1に記載の電極活物質を用いることを特徴とする電池。
【請求項4】
正極および負極の少なくとも一方の活物質として、請求項2に記載の電極活物質を用いることを特徴とする電池。
【請求項5】
正極の活物質として前記電極活物質を用いる請求項3または4に記載の電池。
【請求項6】
リチウム電池である請求項3〜5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
活物質の電極反応を利用する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の電極反応が、請求項1に記載の電極活物質が含有する前記重合体を反応物もしくは生成物とする電極反応であることを特徴とする二次電池。
【請求項8】
活物質の電極反応を利用する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の電極反応が、請求項2に記載の電極活物質が含有する前記重合体を反応物もしくは生成物とする電極反応であることを特徴とする二次電池。
【請求項9】
正極の電極反応が、前記重合体を反応物もしくは生成物とする電極反応である請求項7または8に記載の二次電池。
【請求項10】
リチウム二次電池である請求項7〜9のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項11】
式(3)で表される構造を分子中に有する重合体。
【化3】

【請求項12】
式(4)で表される構造を分子中に有する重合体。
【化4】


【図1】
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【公開番号】特開2007−35375(P2007−35375A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214817(P2005−214817)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】