説明

電極端子付き電池蓋および密閉型電池

【課題】リーク電流が流れることを防止することができる電極端子付き電池蓋を提供する。
【解決手段】本発明の電極端子付き電池蓋は、蓋部材を加工することにより設けられた有底筒状の突起を有し、かつ、外面と内面とを有する蓋部材と、蓋部材の内面側に配置された電極接続端子と、蓋部材の外面側に配置され、かつ、電極接続端子と電気的に接続した外部接続端子と、蓋部材の内面と電極接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する内部絶縁部材と、蓋部材の外面と外部接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する外部絶縁部材とを備え、有底筒状の突起は、筒状部を有し、有底筒状の突起は、突起の外側において内部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において外部絶縁部材の凸部と咬合し、または、突起の外側において外部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において内部絶縁部材の凸部と咬合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極端子付き電池蓋および密閉型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
容量が5Ahを超えるような大型電池において、電池ケースの蓋に設けられた開口を貫通する配線を介して電極シート(正極シートまたは負極シートをいう)と外部接続端子とを電気的に接続し、放電や充電を行う電池が知られている(例えば、特許文献1)。
このような構造の電池で用いられる電池ケースの蓋は、通常金属製の蓋が用いられている。このため、電極シートと外部接続端子とを結ぶ配線および外部接続端子と、電池ケースの蓋との間に絶縁部材を設け、リーク電流が流れることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−283335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電極シートと外部接続端子とを結ぶ配線および外部接続端子と、電池ケースの蓋との間に設けた絶縁部材は、外部接続端子に外部配線を接続するために外部接続端子に強くトルクを加えた場合や、電池に振動や衝撃が加えられた場合に、設置した所定の場所から動いてしまいリーク電流が流れる原因となることがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、リーク電流が流れることを防止することができる電極端子付き電池蓋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、セパレータを介して配置された正極シートおよび負極シートと、電解液とを収容する電池ケースを密閉するための電極端子付き電池蓋であって、蓋部材の一部を加工することにより設けられた有底筒状の突起を少なくとも1つ有し、かつ、外面と内面とを有する蓋部材と、前記蓋部材の内面側に配置されかつ前記正極シートまたは前記負極シートに接続するための接続部を有する電極接続端子と、前記蓋部材の外面側に配置され、かつ、前記電極接続端子と電気的に接続した外部接続端子と、前記蓋部材の内面と前記電極接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する内部絶縁部材と、前記蓋部材の外面と前記外部接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する外部絶縁部材とを備え、前記有底筒状の突起は、開口部と底部と筒状部とを有し、前記有底筒状の突起は、突起の外側において前記内部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において前記外部絶縁部材の凸部と咬合し、または、突起の外側において前記外部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において前記内部絶縁部材の凸部と咬合することを特徴とする電極端子付き電池蓋を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、蓋部材の内面と電極接続端子との間に配置された内部絶縁部材を備えるため、蓋部材の内面と電極接続端子とを電気的に絶縁することができる。また、蓋部材の外面と外部接続端子との間に配置された外部絶縁部材を備えるため、蓋部材の外面と外部接続端子とを電気的に絶縁することができる。このため、蓋部材と、電極接続端子および外部接続端子との間にリーク電流が流れることを防止することができる。
本発明によれば、内部絶縁部材の凹部または凸部は、蓋部材の有底筒状の突起と咬合するため、内部絶縁部材と蓋部材とを所定の位置で組み合わせることができ、この所定の位置から動くことを防止することができる。また、外部絶縁部材の凹部または凸部は、蓋部材の有底筒状の突起と咬合する。このため、外部絶縁部材と蓋部材とを所定の位置で組み合わせることができ、この所定の位置から動くことを防止することができる。これらのことにより、内部絶縁部材または外部絶縁部材が所定の位置から動くことにより生じるリーク電流を防止することができる。また、蓋部材へのリチウム金属の析出を防止することができる。さらに、電極端子付き電池蓋の製造時において、内部絶縁部材および外部絶縁部材を容易に位置決めすることができ、製造コストを低減することができる。
また、有底筒状の突起は、金属板をプレス加工することにより作製可能であり、1つの有底筒状の突起が外部絶縁部材と内部絶縁部材の両方と咬合することができるため、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋の概略上面図である。
【図2】図1の点線A−Aにおける電極端子付き電池蓋の概略断面図である。
【図3】図1の点線B−Bにおける電極端子付き電池蓋の概略断面図である。
【図4】(a)は本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋に含まれる蓋部材の概略平面図であり、(b)は(a)の点線D−Dにおける蓋部材の概略断面図であり、(c)は(a)の一点鎖線E−Eにおける蓋部材の概略断面図である。
【図5】図4の一点鎖線で囲んだ範囲Pの拡大図である。
【図6】(a)は本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋に含まれる電極接続端子の外部接続端子との接合前における概略上面図であり、(b)は電極接続端子の概略側面図であり、(c)は(a)の一点鎖線D−Dにおける電極接続端子の概略断面図である。
【図7】(a)は本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋に含まれる内部絶縁部材の概略平面図であり、(b)は内部絶縁部材の概略裏面図であり、(c)は(a)の点線E−Eにおける内部絶縁部材の概略断面図であり、(d)は(a)の一点鎖線F−Fにおける内部絶縁部材の概略断面図であり、(e)は(b)の点線G−Gにおける内部絶縁部材の概略断面図である。
【図8】(a)は本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋に含まれる外部接続端子の電極接続端子との接合前における概略平面図であり、(b)は(a)の点線H−Hのおける外部接続端子の概略断面図である。
【図9】(a)は本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋に含まれる外部絶縁部材の概略平面図であり、(b)は外部絶縁部材の概略裏面図であり、(c)は(a)の点線I−Iにおける外部絶縁部材の概略断面図であり、(d)は(a)の一点鎖線J−Jにおける外部絶縁部材の概略断面図である。
【図10】図2の点線で囲んだ範囲Cの拡大図である。
【図11】本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋に含まれる電極接続端子と内部絶縁部材の概略断面図である。
【図12】(a)は本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋の部品であるパッキンの概略上面図であり、(b)は、(a)の点線K−Kの概略断面図である。
【図13】本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋に含まれる外部接続端子に接続するための外部配線の概略平面図である。
【図14】本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋の一部の概略断面図である。
【図15】本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋の製造方法を説明する説明図である。
【図16】本発明の一実施形態の密閉型電池の概略上面図である。
【図17】本発明の一実施形態の密閉型電池の概略側面図である。
【図18】図16の点線L−Lにおける密閉型電池の概略断面図である。
【図19】図17の点線M−Mにおける密閉型電池の概略断面図である。
【図20】(a)は本発明の一実施形態の密閉型電池に含まれる正極シートの概略平面図であり、(b)は(a)の点線N−Nの概略断面図である。
【図21】(a)は本発明の一実施形態の密閉型電池に含まれる負極シートの概略平面図であり、(b)は(a)の点線O−Oの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の電極端子付き電池蓋は、セパレータを介して配置された正極シートおよび負極シートと、電解液とを収容する電池ケースを密閉するための電極端子付き電池蓋であって、蓋部材の一部を加工することにより設けられた有底筒状の突起を少なくとも1つ有し、かつ、外面と内面とを有する蓋部材と、前記蓋部材の内面側に配置されかつ前記正極シートまたは前記負極シートに接続するための接続部を有する電極接続端子と、前記蓋部材の外面側に配置され、かつ、前記電極接続端子と電気的に接続した外部接続端子と、前記蓋部材の内面と前記電極接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する内部絶縁部材と、前記蓋部材の外面と前記外部接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する外部絶縁部材とを備え、前記有底筒状の突起は、開口部と底部と筒状部とを有し、前記有底筒状の突起は、突起の外側において前記内部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において前記外部絶縁部材の凸部と咬合し、または、突起の外側において前記外部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において前記内部絶縁部材の凸部と咬合することを特徴とする。
【0009】
電極端子付き電池蓋とは、電池反応を行う電極シートおよび電解質を収容する容器の蓋であり、電極シートと接続するための電極接続端子と、電池が放電または充電するために外部配線と接続するための外部接続端子とを備えた電池蓋である。
密閉型電池とは、密閉された構造を有する電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素二次電池、ニッケル・カドミウム二次電池等である。
【0010】
本発明の電極端子付き電池蓋において、前記蓋部材、前記内部絶縁部材および前記外部絶縁部材は、それぞれ開口を有し、前記電極接続端子の一部が、前記蓋部材の開口、前記内部絶縁部材の開口および前記外部絶縁部材の開口を貫通し、前記外部接続端子と接合することが好ましい。
このような構成によれば、電極接続端子と外部接続端子とを電気的に接続することができる。また、電極シートと外部接続端子とを電気的に接続する配線の内部抵抗をより小さくすることができる。また、電極接続端子と外部接続端子との間に内部絶縁部材、蓋部材および外部絶縁部材を挟持することができ、蓋部材、電極接続端子、内部絶縁部材、外部絶縁部材および外部接続端子を一体化することができる。さらに、蓋部材、内部絶縁部材および外部絶縁部材をこれらの開口と、蓋部材の有底筒状の突起の内側および外側との両方で所定の位置から動くことを防止することができる。
本発明の電極端子付き電池蓋において、前記電極接続端子と前記蓋部材の開口の側壁、前記電極接続端子と前記内部絶縁部材の開口の側壁、および前記電極接続端子と前記外部絶縁部材の開口の側壁にそれぞれ挟持されたパッキンをさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、電極接続端子と蓋部材の開口の側壁とを電気的に絶縁することができ、リーク電流が流れることを防止することができる。また、蓋部材の開口とこの開口を貫通する電極接続端子との間にパッキンを配置することができ、この蓋部材の開口に電解液などの液体が流通することを防止することができ、電池の密封性を高めることができる。さらに、パッキンにより、蓋部材に電極接続端子、内部絶縁部材および外部絶縁部材を固定することができる。
【0011】
本発明の電極端子付き電池蓋において、前記電極接続端子は、前記内部絶縁部材と咬合し、前記外部接続端子は、前記外部絶縁部材と咬合することが好ましい。
電極接続端子と内部絶縁部材とが咬合することにより、電極接続端子と内部絶縁部材とを所定の位置で組み合わせることができ、この所定の位置から動くことを防止することができる。また、外部接続端子と外部絶縁部材とが咬合することにより、外部接続端子と外部絶縁部材とを所定の位置で組み合わせることができ、この所定の位置から動くことを防止することができる。
さらに、電極接続端子、内部絶縁部材、蓋部材、外部絶縁部材および外部接続端子を所定の位置で組み合わせることができるため、この所定の位置から動くことを防止することができ、外部接続端子に外部配線を接続するために外部接続端子に強いトルクが加わった場合などにおいても電極接続端子および外部接続端子が所定の位置から動くことを防止することができる。このため、電極接続端子または外部接続端子が所定の位置から動くことにより生じるリーク電流が発生することを防止することができ、また、電極接続端子と電極シートとの間で接触不良が生じることを防止することができる。さらに、蓋部材の開口内の電極接続端子やパッキンが回転することなどを防止することができるため、この蓋部材の開口に電解液などの液体が流通することを防止することができ、電池の密封性の低下を防止することができる。
【0012】
本発明の電極端子付き電池蓋において、前記外部接続端子と接合したねじ部材をさらに備えることが好ましい。
このような構成によれば、外部接続端子と外部配線とをねじ部材により電気的に接続することができる。
また、本発明は、本発明の電極端子付き電池蓋と接合した電池ケースの内部にセパレータを介して配置された正極シートおよび負極シートと、電解液とを備え、前記電極接続端子、前記外部接続端子、前記内部絶縁部材および前記外部絶縁部材は、それぞれ複数であり、前記正極シートは、複数の前記電極接続端子のうち少なくとも1つの前記電極接続端子に接続し、前記負極シートは、複数の前記電極接続端子のうち他の前記電極接続端子に接続した密閉型電池も提供する。
本発明の密閉型電池によれば、内部絶縁部材と外部絶縁部材とが所定の位置から動くことを防止することができる密閉型電池を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0013】
電極端子付き電池蓋
図1は、本発明の一実施形態の電極端子付き電池蓋の概略上面図であり、図2は、図1の点線A−Aにおける電極端子付き電池蓋の概略断面図であり、図3は、図1の一点鎖線B−Bにおける電極端子付き電池蓋の概略断面図である。また、図4、図6、図7、図8、図9はそれぞれ蓋部材、電極接続端子、内部絶縁部材、外部接続端子、外部絶縁部材の平面図などである。また、図5は、図4の一点鎖線で囲んだ範囲Pの拡大図であり、図10は、図2の点線で囲んだ範囲Cの拡大図である。
【0014】
本実施形態の電極端子付き電池蓋17は、セパレータ24を介して配置された正極シート21および負極シート22と、電解液とを収容する電池ケース1を密閉するための電極端子付き電池蓋17であって、蓋部材2の一部を加工することにより設けられた有底筒状の突起9を少なくとも1つ有し、かつ、外面と内面とを有する蓋部材2と、蓋部材2の内面側に配置されかつ正極シート21または負極シート22に接続するための接続部16を有する電極接続端子5と、蓋部材2の外面側に配置され、かつ、電極接続端子5と電気的に接続した外部接続端子8と、蓋部材2の内面と電極接続端子5との間に配置され、かつ、凸部52または凹部を有する内部絶縁部材11と、蓋部材2の外面と外部接続端子8との間に配置され、かつ、凸部または凹部62を有する外部絶縁部材10とを備え、有底筒状の突起9は、開口部7aと筒状部7cと底部7cとを有し、有底筒状の突起9は、突起9の外側において外部絶縁部材10の凹部62と咬合し、かつ、突起9の筒状部7bの内側において内部絶縁部材11の凸部52と咬合することを特徴とする。
図中において、内部絶縁部材11には凸部52のみ描かれているが該凸部は凹部でもよく、外部絶縁部材10には凹部62のみ描かれている該凹部は凸部でもよい。内部絶縁部材の凸部または凹部、及び、外部絶縁部材の凹部または凸部が有底筒状の突起9に咬合するように設けられていれば良い。
本実施形態の電極端子付き電池蓋は、パッキン13、ねじ部材6をさらに有してもよい。
【0015】
本実施形態の電極端子付き電池蓋17は、電極接続端子5、外部接続端子8、内部絶縁部材11、外部絶縁部材10、パッキン13およびねじ部材6をそれぞれ複数備えてもよく、複数の電極接続端子5には、正極接続端子3および負極接続端子4が含まれ、複数の外部接続端子8には、正極用外部接続端子8aおよび負極用外部接続端子8bが含まれ、複数の内部絶縁部材11には、正極用内部絶縁部材11aおよび負極用内部絶縁部材11bが含まれ、複数の外部絶縁部材10には、正極用外部絶縁部材10aおよび負極用外部絶縁部材10bが含まれ、複数のパッキン13には、正極用パッキン13aおよび負極用パッキン13bが含まれ、複数のねじ部材6には、正極用ねじ部材6aおよび負極用ねじ部材6bが含まれる。
また、本実施形態の電極端子付き電池蓋17に含まれる蓋部材2は複数の開口34を備えてもよく、複数の開口34のうち1つの開口34に、正極接続端子3、正極用内部絶縁部材11a、正極用パッキン13a、正極用絶縁部材10a、正極用外部絶縁部材10aおよび正極用ねじ部材6aが一組となり接合し一体化されてもよく、複数の開口34のうち他の開口34に、負極接続端子3、負極用内部絶縁部材11b、負極用パッキン13b、負極用絶縁部材10b、負極用外部絶縁部材10bおよび負極用ねじ部材6bが一組となり接合し一体化されてもよい。
以下に本実施形態の電極端子付き電池蓋17の各構成要素について説明する。
【0016】
1.蓋部材
蓋部材2は、外面と内面とを有し、かつ、有底筒状の突起9を有する。また、蓋部材2は、電池ケース1と接合することにより電池ケース1を密閉することができる。また、蓋部材2は複数の有底筒状の突起9を有することができる。
有底筒状の突起9は、蓋部材2の一部を加工することにより設けられ、開口部7a、筒状部7bおよび底部7cを有する。
有底筒状の突起9は、図4(c)のように蓋部材2の外面から突出していてもよく、蓋部材2の内面から突出していてもよい。有底筒状の突起9が蓋部材2の外面から突出している場合、有底筒状の突起9は、外面側において凸部となり、内面側において凹部となる。この場合、図3のように有底筒状の突起9は外側(凸部)において外部絶縁部材10の凹部62と咬合し、有底筒状の突起9の内側(凹部)において内部絶縁部材11の凸部52と咬合する。
有底筒状の突起9が蓋部材2の内面から突出している場合、有底筒状の突起9は、外面側において凹部となり、内面側において凸部となる。この場合、有底筒状の突起9は、外側(凸部)において内部絶縁部材11の凹部と咬合し、有底筒状の突起9の内側(凹部)において外部絶縁部材10の凸部と咬合する。
【0017】
このことにより、蓋部材2は、内部絶縁部材11と外部絶縁部材10の両方と、所定の位置で組み合うことができ、内部絶縁部材11および外部絶縁部材10が所定の位置から動くことを防止することができる。
また、蓋部材2および内部絶縁部材11と、蓋部材2および外部絶縁部材10とがそれぞれ2箇所以上で組み合わせることができるように、蓋部材2に2つ以上の有底筒状の突起9を設けてもよい。このことにより、内部絶縁部材11および外部絶縁部材10が所定の位置から動くことを確実に防止することができる。
【0018】
なお、本発明において「咬合する」とは、互いに咬み合った状態で組み合った状態をいい、嵌合した状態でもよく、それぞれ形の異なる部分が咬み合った状態でもよい。また、咬合した2つの部分の間には所定の隙間(遊び)が設けられていてもよい。
有底筒状の突起9の形状は筒状であり、底を有すれば特に限定されないが、例えば、円筒状であってもよい。
また、図5に示した有底筒状の突起9の筒状部7bの内側の面と蓋部材2の内面または外面とのなす角度Xは、75°〜90°が好ましい。角度Xが75°より小さい場合、12Nmのトルクでナット47を締めた場合に、外部絶縁部材10が乗り上げて回転してしまうことが観察されたため、75°以上で有ることが好ましい。そして、角度Xが90°を超えると成形時に金型が抜けにくくなる等成形性が悪くなるため、90°以下とすることが好ましい。
【0019】
蓋部材2は図4のように開口34を有してもよく、図10のように開口34にパッキン13の円筒部30が貫通し、円筒部30の内側の開口に電極接続端子5のリベット部14が貫通していてもよい。また、パッキン14は、開口34の側壁およびリベット部14に密着してもよい。このことにより、開口34に電解液などの液体が流通することを防止することができ、電池の密封性を向上させることができる。
【0020】
蓋部材2の材料は、蓋部材2と電池ケース1とを接合しても大きく変形しない材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス等の金属材料、該金属材料にニッケル、スズ、クロム、亜鉛等をメッキしたものなどの材料が挙げられる。
有底筒状の突起9を形成する方法は特に限定されないが、例えば、金属板をプレス押し出しすることにより形成することができる。
【0021】
2.内部絶縁部材
内部絶縁部材11は、蓋部材2の内面と電極接続端子5との間に配置される。内部絶縁部材11を設けることにより、電極接続端子5と蓋部材2の内面とを電気的に絶縁することができる。
内部絶縁部材11は、凸部52または凹部を有する。この凸部52または凹部は、蓋部材2の有底筒状の突起9と咬合する。このことにより、内部絶縁部材11を所定の位置から動くことを防止することができる。また、内部絶縁部材11は、複数の凸部52または複数の凹部を有してもよく、複数の凸部52または複数の凹部でそれぞれ蓋部材2の有底筒状の突起9と咬合することができる。例えば、図7(a)(d)に示すように内部絶縁部材11が2つの凸部52を有する場合、図3のように凸部52は、蓋部材2の有底筒状の突起9の内側の開口に挿入することができ、内部絶縁部材11と電極接続端子5と咬合することができる。
【0022】
内部絶縁部材11は、図7(a)に示すように開口33を有してもよく、図10のように開口33を電極接続端子5のリベット部14が貫通してもよく、また、リベット部14と開口33との間にパッキン13の内部フランジ部31が挟持されてもよい。このことにより、内部絶縁部材11を固定することができる。
【0023】
内部絶縁部材11は、電極接続端子5と咬合してもよい。内部絶縁部材11と電極接続端子5とが咬合する方法は、特に限定されないが、例えば、図7(b)のように内部絶縁部材11に突縁部55を設け、対向する突縁部55の間の距離cと電極接続端子5の基部15の幅aとを実質的に同じにし、図3のように、電極接続端子5と内部絶縁部材11とを組み合わせ、電極接続端子5の基部15の対向する側面と内部絶縁部材11の対向する突縁部55とを咬合させることができる。
【0024】
また、内部絶縁部材11に図7(b)(c)のように凸部53を設け、電極接続端子5に凸部53が挿入することができる開口45を設け、内部絶縁部材11の突縁部55と凸部53との距離dと電極接続端子5の基部51の一方の側面と開口45との距離bを実質的に同じにすることができる。このことにより、内部絶縁部材11と電極接続端子5を図2のように組み合わせることができ、電極接続端子5と内部絶縁部材11とを咬合させることができる。
また、内部絶縁部材11に設ける突縁部55は、内部絶縁部材11に設けた凸部であっても同様に咬合させることができる。
【0025】
さらに、内部絶縁部材11に図7(b)、(c)、(e)のように、凹部61を設け、電極接続端子5に図6のように凹部61と咬合することができる凸部51を設けることができる。図11は、内部絶縁部材11と電極接続端子5とを組み合わせた状態の概略断面図であり、図7(e)および図6(c)に対応する。図11のように凸部51が凹部61に入り込むように内部絶縁部材11と電極接続端子5とを組み合わせることにより、内部絶縁部材11と電極接続端子5とを咬合させることができる。また、内部絶縁部材11に凸部を設け、電極接続端子5に凹部を設けて、同様に咬合させることもできる。
これらの内部絶縁部材11と電極接続端子5とを咬合させる方法は、外部絶縁部材10と外部接続端子8とを咬合させる場合にも適用することができる。
【0026】
内部絶縁部材11の材料は、電極接続端子5と蓋部材2とを電気的に絶縁することができれば特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンサルフィド樹脂(PPS)または硬質ポリプロピレン(硬質PP)である。
【0027】
3.外部絶縁部材
外部絶縁部材10は、蓋部材2の外面と外部接続端子8との間に配置される。外部絶縁部材10を設けることにより、外部接続端子8と蓋部材2の外面とを電気的に絶縁することができる。
また、外部絶縁部材10は、凸部または凹部62を有する。この凸部または凹部62は、蓋部材2の有底筒状の突起9と咬合する。このことにより、外部絶縁部材10を所定の位置から動くことを防止することができる。また、外部絶縁部材10は、複数の凸部または複数の凹部62を有してもよく、複数の凸部または複数の凹部62でそれぞれ蓋部材2の有底筒状の突起9と咬合することができる。例えば、図9(b)(d)に示すように外部絶縁部材10が2つの凹部62を有する場合、図3のように蓋部材2の有底筒状の突起9は凹部62に挿入することができ、外部絶縁部材10と蓋部材2は咬合することができる。
【0028】
外部絶縁部材10は、図9(a)に示すように開口35を有してもよく、図10のように開口35を電極接続端子5のリベット部14が貫通してもよく、また、リベット部14と開口35との間にパッキン13の外部フランジ部43が挟持されてもよい。このことにより、外部絶縁部材10を固定することができる。
【0029】
外部絶縁部材10は、外部接続端子8と咬合してもよい。外部絶縁部材10と外部接続端子8とが咬合する方法は、特に限定されないが、例えば、図9(a)(c)のように外部絶縁部材10に突縁部56を設け、対向する突縁部56の間の距離gと外部接続端子8の幅eとを実質的に同じにし、または、突縁部56間の距離hと外部接続端子8の長さfとを実質的に同じにし、外部接続端子8と外部絶縁部材10とを組み合わせ、咬合させることができる。また、図8、図9のように外部絶縁部材10の突縁部56の一部の内側の形状と、外部接続端子8の一部の形状のとを実質的に同じにすることにより、咬合させることもできる。また、外部絶縁部材10と外部接続端子8のうちどちらか一方に凸部を設け、他方に凹部を設け、この凸部と凹部とを咬合させてもよい。
【0030】
外部絶縁部材10の材料は、外部接続端子8と蓋部材2とを電気的に絶縁することができれば特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンサルフィド樹脂(PPS)または硬質ポリプロピレン(硬質PP)である。
【0031】
4.電極接続端子
電極接続端子5は、蓋部材2の内面側に配置され、かつ、正極シート21または負極シート22に接続するための接続部16を有する。また、電極接続端子5は、蓋部材2の内面側に配置される基部15および基部15から突出し、外部接続端子8と接合するリベット部14を有することができる。また、基部15は、内部絶縁部材11と咬合することができる形状を有することができ、内部絶縁部材11と咬合するための開口45、凸部51、凹部を有することができる。
【0032】
また、電極接続端子5は、複数であってもよく、複数の電極接続端子5には、正極接続端子3と負極接続端子4とが含まれる。正極接続端子3は、接続部16において正極シート21と接続可能であり、リベット部14が正極用外部接続端子8aと接合する。負極接続端子4は、接続部16において負極シート22と接続可能であり、リベット部14が負極用外部接続端子8bと接合することができる。
正極接続端子3、負極接続端子4の材料は特に限定されないが、例えば、正極接続端子3は、例えばアルミニウムとすることができ、負極接続端子4は、例えば銅とすることができる。
電極接続端子5の製造方法は、特に限定されないが、例えば、金属板をプレス加工することにより製造することができる。
【0033】
電極接続端子5は、例えば、図2、図10のような構造を有しており、平板状の基部15の一方の面が内部絶縁部材11およびパッキン13の内部フランジ部31と面接触しており、基部15から突出したリベット部14が、パッキン13の開口29、内部絶縁部材11の開口33、蓋部材2の開口34、外部絶縁部材10の開口35および外部接続端子8の開口36を貫通し、外部接続端子8と接合する。
電極接続端子5は、外部接続端子8と接合する前において、図6(a)〜(c)のような構造を有することができる。また、電極接続端子5の接続部16は、図6のようにコの字型の構造を有することができ、対向する金属板の外側の2つの面にそれぞれ電極シート18を接合することができる。
【0034】
5.外部接続端子
外部接続端子8は、蓋部材2の外面側に配置され、かつ、電極接続端子5と電気的に接続する。外部接続端子8は、外部配線と接続することができ、外部接続端子8は、電池が放電または充電ができるように設けられる。
また、外部接続端子8は、電極接続端子5のリベット部14が貫通した開口36を有してもよく、リベット部14の端をかしめることによりリベット部14と接合してもよい。また、外部接続端子8は、ねじ部材6が貫通する開口37を有してもよく、ねじ部材6と接合することができる。さらに外部接続端子8は、開口37の周りに外部接続部38を有してもよい。外部接続部38を有することにより、外部接続端子8と外部配線を接続することができる。
また、外部接続端子8は、ねじ部材6と接合することができる。
外部接続端子8の材料は、外部配線と接続する端子となる金属板であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム板である。
【0035】
図8(a)は、電極接続端子5のリベット部14およびねじ部材6が接合する前の外部接続端子8の概略平面図であり、図8(b)は図8(a)の点線H−Hにおける外部接続端子8の概略断面図である。外部接続端子8は、図8のように、電極接続端子5のリベット部14が貫通する開口36の周りの平板部と、外部接続部38でありねじ部材6が貫通する開口37の周りの平板部とを高さが異なるように有してもよい。このとき、開口36の周りの平板部と蓋部材2の外面との間に外部フランジ部43を直接挟持することができる。
【0036】
6.パッキン
パッキン13は、電極接続端子5と蓋部材2の開口の側壁、電極接続端子5と内部絶縁部材11の開口の側壁、および電極接続端子5と外部絶縁部材10の開口の側壁にそれぞれ挟持される。例えば、図10のように、パッキン13は、蓋部材2の開口34を貫通し、かつ、蓋部材2の開口34の側壁に密着した円筒部30と、電極接続端子5の基部15と蓋部材2の内面とに直接挟持された内部フランジ部31と、外部接続端子8と蓋部材2の外面とに直接挟持された外部フランジ部43とを有する。このことにより、電極接続端子5と蓋部材2との間にパッキンを挟むことができ、電極接続端子5と蓋部材2との間の隙間に電解液などの液体が流通することを防止することができる。
また、パッキン13の内側の開口29には、電極接続端子5のリベット部14が貫通し、リベット部14と開口29の側壁とは密着することができる。
【0037】
内部フランジ部31は、内部絶縁部材11の開口33中に設けることができ、外部フランジ部43は、外部絶縁部材10の開口35中に設けることができる。また、内部フランジ部31は、内部絶縁部材11の開口33の側壁と密着するように設けることができ、外部フランジ部43は、外部絶縁部材10の開口35の側壁と密着するように設けることができる。このことにより、内部絶縁部材11および外部絶縁部材10を固定することができる。また内部絶縁部材11および外部絶縁部材10が所定の位置から動くことを防止することができる。
【0038】
パッキン13の材料は、電極接続端子5と蓋部材2との間に配置することができ、電解液などの液体の流通を防止することができるものであって、リベット部14の端をかしめた際に変形することができる程度に軟らかい材質であれば特に限定されない。好ましくは、耐有機溶剤性を有している方がよい。例として挙げるならば、フッ素樹脂であり、好ましくは、PFAまたはFEPである。また、パッキン13は電気的絶縁性を有することが好ましい。
【0039】
図12(a)は、電極接続端子5のリベット部14が外部接続端子8に接合する前の段階で、パッキン13が変形する前のパッキン13の概略上面図であり、図12(b)は、図12(a)の点線K−Kにおけるパッキン13の概略断面図である。この変形前のパッキン13は、開口29の周りに円筒部30および内部フランジ部31を有する。
【0040】
7.ねじ部材
ねじ部材6は、外部接続端子8の開口37を貫通し、外部接続端子8と接合することができる。ねじ部材6は雄ねじ構造を有してもよい。
図13は、外部接続端子8と接続する外部配線45となる金属板の概略平面図である。また、図14は、外部接続端子8に外部配線45となる金属板を接続したときの電極端子付き電池蓋17の概略断面図である。図14は、図2に対応する。図14のようにねじ部材6が雄ねじ構造を有する場合、ねじ部材6の雄ねじ構造に外部配線45となる金属板の開口46を貫通させ、雄ねじをナット47などと締め合わせることにより、外部接続端子8と外部配線45とを接続することができる。
また、ねじ部材6は、雌ねじ構造を有してもよい。この場合、この雌ねじ構造にボルトなどで締め合わせることにより、外部接続端子8と外部配線45を接続することができる。
【0041】
ねじ部材6により外部接続端子8と外部配線45を接続させることにより、外部接続端子8と外部配線45とを密着させることができる。ねじ部材6とナット47またはボルトを締め合わせる場合、ナット47またはボルトに締め付ける力(トルク)をかける必要がある。このトルクにより、外部接続端子8または電極接続端子5の位置が動いた場合、リーク電流が流れる原因となる場合がある。また、このトルクにより、電極接続端子5のリベット部14がパッキン13に対して回転したり、パッキン13が蓋部材2の開口34の側面に対して回転してしまうと、開口34とパッキン13の間またはパッキン13とリベット部14との間に電解液などの液体が流通し、電池の密封性が低下する場合がある。
【0042】
しかし、外部接続端子8が外部絶縁部材10に咬合し、外部絶縁部材10が蓋部材2に咬合し、内部絶縁部材11に咬合し、電極接続端子5が内部絶縁部材11に咬合している場合、外部接続端子8と外部配線45を密着させるために、ねじ部材6に締め合わせるナット47またはボルトにトルクをかけたとしても、外部接続端子8または電極接続端子5が動いたり、電極接続端子5のリベット部14がパッキン13に対して回転したり、パッキン13が蓋部材2の開口34の側面に対して回転してしまうことを防止することができる。このことにより、リーク電流の発生や電池の密封性の低下を防止することができる。
【0043】
ねじ部材6を外部接続端子8に接合させる方法は特に限定されないが、例えば、ねじ部材6を外部接続端子8の開口37を貫通させ、ねじ部材の端をかしめることにより、接合することができる。
【0044】
8.電極端子付き電池蓋の製造方法
本実施形態の電極端子付き電池蓋17は、内部フランジ部31と円筒部30を有するパッキン13の円筒部30の内側の開口29と、内部絶縁部材11の開口33と、蓋部材2の開口34と、外部絶縁部材10の開口35と、外部接続端子8の開口36とを、基部15および基部15から突出したリベット部14を有する電極接続端子5のリベット部14が貫通した状態でリベット部14の端をかしめる工程を備え、リベット部14の端をかしめる工程において、リベット部14は外部接続端子8と接合し、かつ、外部接続端子8が円筒部30の端に圧接することにより円筒部30の端部が変形し外部フランジ部43が形成される電極端子付き電池蓋17の製造方法により製造することができる。
【0045】
図15は、本実施形態の電極端子付き電池蓋17の製造方法を説明するための説明図である。また、図15は、電極接続端子5のリベット部14が外部接続端子8と接合する前の段階であって、リベット部14が、パッキン13の開口29、内部絶縁部材5の開口33、蓋部材2の開口34、外部絶縁部材10の開口35および外部接続端子8の開口36を貫通した状態の概略断面図であり、図10に対応する。また、図15には、リベット部14の端をかしめるために用いる金型40と押圧用部材41も図示している。図15のような状態で、金型40と押圧用部材41を用いて電極接続端子5のリベット部14の端をかしめる工程を行うことにより、リベット部14が変形し、リベット部14と外部接続端子8とを接合することができる。また、リベット部14の端をかしめることにより、電極接続端子5と外部接続端子8とで、パッキン13、内部絶縁部材11、蓋部材2および外部絶縁部材10を挟持することができ、固定することができる。
【0046】
また、リベット部14の外径(図15に示した距離i)、パッキン13の開口29の直径(図15に示した距離i)および外部接続端子8の開口36の直径(図15に示した距離i)は、実質的に同じであってもよい。この場合、リベット部14の端をかしめる工程を行うことにより、リベット部14の外周とパッキン13の内側の開口29の側壁とを密着させることができる。また、電極接続端子5と外部接続端子8との接合面積を広くすることができる。また、リベット部14の端をかしめる際、外部接続端子8をパッキン13の円筒部30の端に圧接させることができ、円筒部30を変形させることができ、外部フランジ部43を形成することができる。
【0047】
円筒部30の外径(図15に示した距離j)は、蓋部材2の開口34の直径(図15に示した距離j)と実質的に同じであってもよい。この場合、リベット部14の端をかしめる工程を行うことによりパッキン13の外周面と蓋部材2の開口34の側面とを密着させることができる。
【0048】
パッキン13の内部フランジ部31の厚さ(図15に示した距離q)は、内部絶縁部材11の厚さ(図15に示した距離s)よりも厚く、パッキン13の内部フランジ部31の外径(図15に示した距離m)は、内部絶縁部材11の開口33の直径(図15に示した距離n)より小さくてもよい。この場合、リベット部14の端をかしめる工程を行うことにより、電極接続端子5の基部15と蓋部材2の裏面とで内部フランジ部31を圧縮変形させることができ、内部フランジ部31を電極接続端子5および蓋部材2の裏面に密着させることができる。また、内部フランジ部31は、側壁が内部絶縁部材11の開口33の側壁に密着するように圧縮変形することができ、内部絶縁部材11を固定することができる。
【0049】
パッキン13の円筒部30の長さ(図15に示した距離p)は、蓋部材2の厚さと外部絶縁部材10の厚さとの和(図15に示した距離r)よりも長く、パッキン13の円筒部30の外径(図15に示した距離j)は、外部絶縁部材10の開口35の直径(図15に示した距離k)よりも小さくてもよい。この場合、リベット部14の端をかしめる工程を行うことにより、外部接続端子8がパッキン13の円筒部30の端に圧接し、円筒部30の端部を圧縮変形させ、外部フランジ部43を形成することができる。また、外部フランジ部43を蓋部材2の外面および外部接続端子8に密着させることができる。外部フランジ部43は、側壁が外部絶縁部材10の開口35の側壁に密着するように形成することができ、外部絶縁部材10を固定することができる。
【0050】
上記したような電極端子付き電池蓋17の製造方法を採用することにより、円筒部30と内部フランジ部31と外部フランジ部43とを有する形状のパッキン13を蓋部材2に取り付ける際に、射出成型などにより予め蓋部材にパッキンを形成しておく必要がなく、端子と蓋部材2を一体化すると同時に蓋部材2にパッキン13を装着することができ、製造工程における組み立て性の向上を図ることが可能となる。
【0051】
密閉型電池
図16は、本発明の一実施形態の密閉型電池の概略上面図であり、図17は、本発明の一実施形態の密閉型電池の概略側面図である。また、図18は図16の点線L−Lにおける密閉型電池の概略断面図であり、図19は図17の点線M−Mにおける密閉型電池の概略断面図である。
本実施形態の密閉型電池20は、電極端子付き電池蓋17と接合した電池ケース1の内部に、セパレータ24と、セパレータ24を介して配置された正極シート21および負極シート22と、電解液とを備え、電極接続端子5、パッキン13、内部絶縁部材11、外部絶縁部材10および外接続端子8は、それぞれ複数であり、正極シート21は、複数の電極接続端子5のうち少なくとも1つの電極接続端子5に接続し、負極シート22は、複数の電極接続端子5のうち他の電極接続端子5に接続する。
【0052】
本実施形態の密閉型電池20は、電極端子付き電池蓋17に含まれる電極接続端子5に発電要素12を接合し、この発電要素12を電池ケース1の内部に収容すると共に電池ケース1の開口に蓋部材2を嵌合させ、電池ケース1と蓋部材2とを接合し、電池ケース1の内部に電解液を注入することにより製造することができる。
以下、本実施形態の密閉型電池の電極端子付き電池蓋17以外の構成要素について説明する。
【0053】
1.発電要素
発電要素12は、電池ケース1内部に充填された電解液と共に電池反応をする。この電池反応により密閉型電池20は、放電、充電をすることができる。発電要素12は、セパレータ24と、セパレータ24を介して配置された正極シート21および負極シート22を備える。発電要素12は、例えば、図19のように、蛇腹折りされたセパレータ24と、セパレータ24の各谷溝に配置され、かつ、セパレータ24を介して交互に配置された正極シート21および負極シート22とを備える。
【0054】
セパレータ24は、シート状であり、正極シート21と負極シート22との間に配置される。セパレータ24は、正極シート21と負極シート22との間に短絡電流が流れることを防止することができ、電解質が透過可能なものであれば特に限定されないが、例えばポリオレフィンの微多孔性フィルムとすることができる。
【0055】
正極シート21は、正極集電体27と正極集電体27の両面上にそれぞれ設けられた正極活物質層25と備える。正極シート21は、例えば、図20(a)(b)のように形成することができ、方形の正極集電体27の両面に正極活物質層25を形成することにより形成することができる。そして、正極シート21は、正極接続端子3の接続部16に接続するための接続部23を有することができ、図20(a)の接続部23は、正極シート21の端部の正極集電体27の両面上に正極活物質層25を形成しないことで設けることができる。また、正極集電体27の1つの端部に耳部を形成し、該耳部に正極活物質層25を形成しないことで接続部を設けることもできる。
【0056】
正極集電体27は、電気伝導性を有し、表面上に正極活物質層25を備えることができれば、特に限定されないが、例えば、金属箔である。好ましくはアルミニウム箔である。
正極活物質層25は、正極活物質に導電剤、結着剤などを添加し、塗布法などにより正極集電体27の上に形成することができる。正極活物質は、例えば、リチウム二次電池の場合、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24またはLiFePO4である。
【0057】
負極シート22は、負極集電体28と負極集電体28の両面上にそれぞれ設けられた負極活物質層26と備える。負極シート22は、例えば、図21(a)(b)のように形成することができ、方形の負極集電体28の両面に負極活物質層26を形成することにより形成することができる。そして、負極シート22は、負極接続端子4に接続するための接続部23を有することができ、図21(a)の接続部23は、負極シート22の端部の負極集電体27の両面上に負極活物質層26を形成しないことで設けることができる。また、負極集電体の1つの端部に耳部を形成し、該耳部に負極活物質層26を形成しないことで接続部を設けることもできる。
【0058】
負極集電体28は、電気伝導性を有し、表面上に負極活物質層26を備えることができれば、特に限定されないが、例えば、金属箔である。好ましくは銅箔である。
負極活物質層26は、負極活物質に導電剤、結着剤などを添加し、塗布法などにより負極集電体28の上に形成することができる。負極活物質は、例えば、リチウム二次電池の場合、グラファイト、部分黒鉛化した炭素、LiTiO4、Sn合金等である。
【0059】
2.電池ケース
電池ケース1は、内部に発電要素12、正極接続端子3、負極接続端子4および電解液を収容する電池ケースであり、蓋部材2と接合すれば特に限定されない。
電池ケース1の材料は、内部に発電要素12、正極接続端子3、負極接続端子4および電解液を収容しても大きく変形しない材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス等の金属材料、該金属材料にニッケル、スズ、クロム、亜鉛等をメッキしたものや、硬質プラスチックなどである。
蓋部材2と電池ケース1とを接合する方法は、特に限定されないが、例えばレーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接、接着剤などによる接合である。
【0060】
3.電解液
電解液は、発電要素12を浸漬させ、電解質が溶媒に溶解したものであれば特に限定されないが、例えば、有機電解液であり、電解質としてのLiCF3SO3、LiAsF6、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiBOB等のリチウム塩溶質を有機溶媒に溶解した溶液である。また、必要に応じてVC(ビニレンカーボネート)等の添加剤を配合してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1:電池ケース 2:蓋部材 3:正極接続端子 4:負極接続端子 5:電極接続端子 6、6a、6b:ねじ部材 7a:開口部 7b:筒状部 7c:底部 8、8a、8b:外部接続端子 9:有底筒状の突起 10、10a、10b:外部絶縁部材 11、11a、11b:内部絶縁部材 12:発電要素 13、13a、13b:パッキン 14:リベット部 15:基部 16:接続部 17:電極端子付き電池蓋 18:電極シート 20:密閉型電池 21:正極シート 22:負極シート 23:接続部 24:セパレータ 25:正極活物質層 26:負極活物質層 27:正極集電体 28:負極集電体 29、33、34、35、36、37、45、46:開口 30:円筒部 31:内部フランジ部 38:外部接続部 40:金型 41:押圧用部材 43:外部フランジ部 45:外部配線 47:ナット 51、52:凸部 55、56:突縁部 61、62:凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介して配置された正極シートおよび負極シートと、電解液とを収容する電池ケースを密閉するための電極端子付き電池蓋であって、
蓋部材の一部を加工することにより設けられた有底筒状の突起を少なくとも1つ有し、かつ、外面と内面とを有する蓋部材と、前記蓋部材の内面側に配置されかつ前記正極シートまたは前記負極シートに接続するための接続部を有する電極接続端子と、前記蓋部材の外面側に配置され、かつ、前記電極接続端子と電気的に接続した外部接続端子と、前記蓋部材の内面と前記電極接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する内部絶縁部材と、前記蓋部材の外面と前記外部接続端子との間に配置され、かつ、凸部または凹部を有する外部絶縁部材とを備え、
前記有底筒状の突起は、開口部と底部と筒状部とを有し、
前記有底筒状の突起は、突起の外側において前記内部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において前記外部絶縁部材の凸部と咬合し、または、突起の外側において前記外部絶縁部材の凹部と咬合し、かつ、突起の筒状部の内側において前記内部絶縁部材の凸部と咬合することを特徴とする電極端子付き電池蓋。
【請求項2】
前記蓋部材、前記内部絶縁部材および前記外部絶縁部材は、それぞれ開口を有し、
前記電極接続端子の一部が、前記蓋部材の開口、前記内部絶縁部材の開口および前記外部絶縁部材の開口を貫通し、前記外部接続端子と接合する請求項1に記載の電池蓋。
【請求項3】
前記電極接続端子と前記蓋部材の開口の側壁、前記電極接続端子と前記内部絶縁部材の開口の側壁、および前記電極接続端子と前記外部絶縁部材の開口の側壁にそれぞれ挟持されたパッキンをさらに備える請求項2に記載の電池蓋。
【請求項4】
前記電極接続端子は、前記内部絶縁部材と咬合し、
前記外部接続端子は、前記外部絶縁部材と咬合した請求項1〜3のいずれか1つに記載の電池蓋。
【請求項5】
前記外部接続端子と接合したねじ部材をさらに備える請求項1〜4のいずれか1つに記載の電池蓋。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の電池蓋と接合した電池ケースの内部にセパレータを介して配置された正極シートおよび負極シートと、電解液とを備え、
前記電極接続端子、前記外部接続端子、前記内部絶縁部材および前記外部絶縁部材は、それぞれ複数であり、
前記正極シートは、複数の前記電極接続端子のうち少なくとも1つの前記電極接続端子に接続し、前記負極シートは、複数の前記電極接続端子のうち他の前記電極接続端子に接続した密閉型電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−49077(P2012−49077A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192292(P2010−192292)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(507317502)エリーパワー株式会社 (34)
【出願人】(593160459)株式会社岩崎精機 (6)
【Fターム(参考)】