電気コネクタ
【課題】安定した端子の接触が得られ低背化に好適な電気コネクタを提供することを課題とする。
【解決手段】金属板を成形して作られた複数の端子11,21が該端子の板面同士で対面するように板厚方向に配列してハウジング12,22に植設され、ハウジングに形成された嵌合面で互に嵌合される一対の電気コネクタにおいて、両コネクタの端子11,21は嵌合面23Aに対して直角な方向に延び、該端子は上記嵌合面23Aの側に位置する一端部で嵌合方向に平行な板面に接触部14,25が形成され、少なくとも一方のコネクタの端子11が上記一端部で上記板厚方向に弾性撓みが可能な弾性部を有して該弾性部に上記接触部14が設けられている。
【解決手段】金属板を成形して作られた複数の端子11,21が該端子の板面同士で対面するように板厚方向に配列してハウジング12,22に植設され、ハウジングに形成された嵌合面で互に嵌合される一対の電気コネクタにおいて、両コネクタの端子11,21は嵌合面23Aに対して直角な方向に延び、該端子は上記嵌合面23Aの側に位置する一端部で嵌合方向に平行な板面に接触部14,25が形成され、少なくとも一方のコネクタの端子11が上記一端部で上記板厚方向に弾性撓みが可能な弾性部を有して該弾性部に上記接触部14が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互に嵌合される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
金属板の平坦な板面を維持して作られた複数の端子を板厚方向に配列してハウジングに植設した電気コネクタは、例えば、特許文献1にて知られている。
【0003】
この特許文献1では、互に嵌合される一対のコネクタは共に、上述の平坦な端子を有している。かかる端子は、配列方向での外形寸法が板厚寸法で薄型となるので高密度で多数設けられている。
【0004】
両コネクタの端子は、平坦面をなしながらその面内でS字状部分を有し、コネクタ嵌合時に、このS字状部分の自由端側の端面、すなわち、板厚幅の面で当接する。上記S字状部分はその形状の故に上記平坦面内で弾性を有し、この当接は弾圧接触となる。この弾圧接触により端子に作用する弾圧力は、端子を保持して端子配列方向に長く延びるハウジング側壁に対し、直角に作用する。この側壁は、上記S字状部分で形成される二つの弯曲部の一方が嵌着される部分をなしていて、あまり厚くは形成されていない。
【0005】
特許文献1では、両コネクタの端子は、二列配列され互に対向して位置づけられている。したがって、二列の端子は対称に弾圧力を発生し、ハウジングの両側壁に対し、互の側壁を離間させる方向に上記弾圧力が作用する。
【特許文献1】特開2004−241253
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコネクタにあっては、端子は金属板の平坦面がそのまま維持されるようにしてS字状に作られて、このS字状部分の端面同士で弾圧接触することに起因して、いくつかの点で不具合が生ずる。
【0007】
先ず、端子は配列方向での寸法が板厚であるので薄いとはいっても、きわめて多数の端子が配列されるのでハウジングの側壁が同方向で長くなるのに加え、この側壁が比較的薄いこと、端子の数が多いので全端子から側壁へ作用する力は合力として大きくなること、等によって、上記側壁は外方に向って撓む傾向が強くなる。撓み量は配列方向中央位置で最も大きくなる。したがって、端子は配列方向での位置によって、相手端子との接圧が変ってくることにもなる。このように、側壁における強度上の問題、端子により接圧に差が出るという問題をもたらす。
【0008】
次に、端子は相手端子と端子の板厚範囲で接触しているので、端子の配列方向、すなわち板厚方向での端子の位置に、製作時あるいは嵌合時のズレがあると、相手端子との接触範囲が激減する。これは、電気抵抗が増大し、信号が劣化するので好ましくない。このズレは、使用時におけるコジリ挿入によっても生ずる。さらに、上記ズレが極端に大きいと、相手端子を介して隣接端子と短絡してしまう可能性さえある。
【0009】
さらには、端子はS字状部分で十分な弾性を確保するために、コネクタ嵌合方向で大きくなり、同方向でのコネクタの大型化につながる。この種のコネクタは、回路基板上に配されて、回路基板同士を接続する場合に用いられることが多いので、同方向では小型化、いわゆる低背化が求められており、これに十分に応えることができない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、ハウジングの側壁に大きな荷重をかけず、安定した接触が得られ、コネクタの低背化にも好適な端子をもつ電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電気コネクタは、金属板を成形して作られた複数の端子が該端子の板面同士で対面するように板厚方向に配列してハウジングに植設され、ハウジングに形成された嵌合面で互に嵌合される。雌端子構造コネクタと雄端子構造コネクタとで一対の電気コネクタを形成する。
【0012】
かかる一対の電気コネクタにおいて、本発明では、両コネクタの端子は嵌合面に対して直角な方向に延び、該端子は上記嵌合面の側に位置する一端部で嵌合方向に平行な板面に接触部が形成され、少なくとも一方のコネクタの端子が上記一端部で上記板厚方向に弾性撓みが可能な弾性部を有して該弾性部に上記接触部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
このような構成の本発明により一対のコネクタは、互に嵌合されると、両コネクタの端子が該端子の板面に平行な方向でその幅方向(嵌合方向)に近接して互に板面同士で接面する。その際、少なくとも一方のコネクタの端子は板厚方向に弾圧を有しており、両コネクタの端子の接触部は板面で板厚方向に弾圧接触するようになる。したがって、コネクタ嵌合方向で、接触部同士が互に正規位置から多少ズレていても、接触部の板面面積が大きいので、接触面積が十分確保され何ら影響はない。
【0014】
かかる本発明のコネクタは、端子配列方向では、端子の板厚が小さいことに起因して、コネクタ寸法が小さく、嵌合方向では端子幅はあまり大きくする必要がないことから、この方向でもコネクタ寸法は小さく収まる。多数の端子に作用する弾圧接触力の合力は、端子配列方向に向いて、比較的短いハウジング端壁に作用するので、該端壁に変形は殆んど、生じない。したがって端子配列方向に長い側壁には何ら端子からの力が作用しないので、側壁を撓ませることはない。かくして、多数の端子同士間での接圧のバラツキは生じない。
【0015】
本発明において、一対のコネクタは、接触部がハウジングの嵌合面から突出する雄端子構造コネクタと接触部が嵌合面より没入して形成された受凹部内に位置している雌端子構造コネクタから成り、両コネクタの嵌合時に、上記受凹部に雄端子構造コネクタの端子の接触部が進入可能とするように形成することができる。上記受凹部では、上記雄端子構造コネクタの端子の接触部が収まる。その際、設計によって、該雄端子構造コネクタの端子の接触部の板面が撓みを伴わずに上記受凹部の内壁面に接触して支持されるようにしてもよいし、又、相手たる雌端子構造コネクタとの間の弾圧を受け多少撓んだときに、規定量以上撓まないように、その時点で上記受凹部の内壁面に接触して支持されるようにしてもよい。あるいは撓んだ状態でも、上記内壁面との間に隙間を残していてもよい。いずれにせよ、両コネクタの端子の接触部同士の接触による撓みは、上記受凹部の空間内で行われる。したがって、撓みが大きくとも、接触部が撓むことにより、隣接端子に接触してしまうことはない。
【0016】
本発明において、雌端子構造コネクタの端子が弾性部を有し、該弾性部は受凹部の内壁面と間隔をもって位置する端子の自由端で接触部として形成されているようにすることができる。こうすることにより雌端子構造コネクタの端子はその接触部たる弾性部が上記受凹部内で撓み、雄端子構造コネクタの端子はその接触部が受凹部の内壁面で板厚方向の位置が規制がなされる。
【0017】
又、雄端子構造コネクタの端子が接触部たる一端部で弾性部をなしているようにすることもできる。
【0018】
本発明において、雄端子構造コネクタは、回路基板の対応孔部内に配置されたときに、該回路基板の回路面に接続される接続部が端子の他端部に設けられ、該接続部が上記孔部から延出して上記回路面に係止するように形成されているようにすることができる。こうすることにより、コネクタはほぼ全体が回路基板の孔部内に収まり、上記端子の接続部のみが回路基板の回路面上に出ることとなり、電子機器の低背化に大いに貢献する。この場合、上記雄端子構造コネクタの接続部は、雌端子構造コネクタの受入側に位置する回路基板の回路面に係止するようにできる。
【0019】
本発明において、雄端子構造コネクタと雌端子構造コネクタの少なくとも一方は、互の受入側とは反対側で接続部がハウジング底面から露呈しているようにすることができる。こうすることにより、コネクタは、回路基板や平型ケーブルの回路面上に載置されて接続部が該回路面と半田等により接続されるようになる。
【0020】
本発明において、雄端子構造コネクタは、雌端子構造コネクタの受入側とは反対側で、シールド板により覆われているようにすることができる。こうすることにより、雄端子構造コネクタは回路基板の対応孔部内に収められたとき、そのシールド効果を得られる。雌端子構造コネクタが雄端子構造コネクタ内に収められる場合には、上記シールド板が雌端子コネクタの領域をも覆うので、両コネクタに対して上記シールド効果を得る。シールド板はその一部が回路基板の面で支持されるようにすることができる。又、必要に応じ、シールド板が回路基板の厚み範囲に収まるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上説明したように、金属板で作られた端子をハウジングの嵌合面に対して直角方向に延びるように設け、コネクタ嵌合時に、端子同士をその板面で形成される接触部を板厚方向に接触させるようにしたので、端子の配列方向に長く延びるハウジング側壁には、コネクタの嵌合時に、端子から何ら力が加わらず、側壁の変形やそれに伴う端子での接圧のバラツキもなくなり、又、接触部は板面で形成されて比較的大きい面積をもつために、端子の位置ズレが多少あっても、十分な接触面積を確保でき、信号は安定して伝達され、又、端子は嵌合方向での寸法が小さくてすむためにコネクタの同方向における低背化にも貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る一対の電気コネクタの平面図であり、図1(A)は雌端子構造コネクタ10を、そして図1(B)は雄端子構造コネクタ20の外形をそれぞれ示している。
【0024】
図1(A)にて、雌端子構造コネクタ10は、金属板を加工して作られた板状の端子11がその板厚方向、すなわち板面に直角方向に多数、ハウジング12に配列植設されている。雄端子構造コネクタ20は、上記雌端子構造コネクタ10を受入れるために、図1(B)に見られるように、ハウジング22に窓状に貫通せる収容孔23が形成され、板状の端子21がその板厚方向、すなわち板面に直角方向に多数、上記ハウジング22の一方の側壁22Aに配列植設されている。上記収容孔23の内壁面は、上記雌端子構造コネクタ10との嵌合面23Aをなし、上記雌端子構造コネクタ10の嵌合に適合した形状・大きさになっている。該雄端子構造コネクタ20は、端子配列方向両端でハウジング22外方に延出する取付金具24が設けられていて、回路基板(図示せず)への取付けに供するようになっている。
【0025】
雌端子構造コネクタ10は、端子の面と平行な面での断面を示す図2(A)に見られるように、紙面に平行で平坦な板面をもつ端子11がハウジング12に植設されている。図2(A)においては、端子11は紙面に直角方向に定間隔で配列されている。端子11は、フレキシブル基板P1あるいは回路基板の回路部との半田接続のための接続部13、相手方たる雄端子構造コネクタ20の端子21との接触のための接触部14、接続部13と接触部14とを連結している連結部15、そしてハウジング12で固定されるための固定部16を有している。
【0026】
図2(A)において、端子11の接続部13と連結部15はそれらの上端縁がハウジング12から上方に若干突出してフレキシブル基板P1に接触する位置にある。上記連結部15はその左端側、すなわち上記接触部14に近い部分で、図3(A)に見られるように、左端に向うほど相手方たる雄端子構造コネクタ20の対応端子21に近づく方向に僅かに傾斜して成形されている。端子11はこの傾斜を必須としておらず、傾斜せずに平坦なままでもよい。左端では、図2(A)に見られるように接触部14が下方に延びて設けられ、該接触部14の下端側には、上記対応端子21に近づくように板厚方向に山状に突出する接触突部14Aが形成されている(図5を参照)。接続部13は、図2(A)にて右方に延びハウジング12外に位置している。固定部16は、連結部15と接続部13の境界域から下方に延び、その側端縁には固定用の爪状の突起16Aが設けられている。
【0027】
上記雌端子構造コネクタ10のハウジング12は、図2(A)において、連結部15と接続部13を上方から嵌入させる収容溝17が上方に向けて開口して形成され、該収容溝17に連通して固定部16が圧入される固定溝18が下方に貫通して形成されている。該ハウジング12は、端子11の接触部14に対しては、該接触部14の板厚方向で該接触部14に対して空隙をもった受凹部19を形成している(図3参照)。この受凹部19は、雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部の進入を許容すると共に、連結部15の左端部における傾斜部分に対しても形成される空隙に連通していて、上記雄端子構造コネクタ20の端子21が進入してその接触部との接触の際に、この傾斜部分から接触部14に至る範囲における板厚方向での撓み変形を許容している。
【0028】
このように構成される雌端子構造コネクタ10は、本実施形態では、フレキシブル基板P1に取り付けられ対応回路部に上記接続部13が半田接続されている。
【0029】
上記雌端子構造コネクタ10と嵌合する雄端子構造コネクタ20は、雌端子構造コネクタ10と同様に金属板を加工して作られた板状の端子21がその板厚方向、すなわち板面に直角方向に多数、ハウジング22に植設されている。該端子21は、図1そして図2(A)に見られるように、雌端子構造コネクタ10のための嵌合面23Aを有する収容孔23を形成するハウジングの周壁のうちの一つの側壁22Aに植設されている。
【0030】
端子21は、図2(A)のごとく、紙面に平行で平坦な板面を有しており、回路基板P2の孔部P2−Aに雄端子構造コネクタ20が収められたときに、該孔部P2−A外にあって回路基板P2の対応回路面上に位置する接続部24、上記雌端子構造コネクタ10の端子11の接触部14と接触する接触部25、該接触部25と上記接続部24とを連結する連結部26、そしてハウジング22で固定されるための固定部27を有している。
【0031】
上記連結部26は、図2(A)に見られるように、横方向で固定部27に対応する位置で上端縁に段部26Aを有し、該段部26Aより、左方が接続部24の上端縁と同じレベルにあり、上記段部26より右方が上記回路基板P2の上面と同じレベルとなるように没しており、ここに、上記雌端子構造コネクタ10が接続されているフレキシブルP1の端縁が収まるようになっている。
【0032】
図2(A)に見られるように、上記接触部25は、下方に脚状に延び、その上端縁がテーパ縁25Aとして形成され、上記雌端子構造コネクタ10の端子11の接触部14との係合に好都合となっている。この接触部25には該接触部14と、所定嵌合位置で、係止するための係止突部25Bが設けられている(図5参照)。又、固定部27は、図2(A)のごとく、上記接触部25と並行して下方に脚状に延び、その側縁に固定用の爪状の突起27Aが形成されている。上記接触部25と固定部27はいずれも、回路基板P2の厚み範囲内に収まる延出長となっている。
【0033】
上記雄端子構造コネクタ20のハウジング22は、図2(A)において、連結部26と接続部24の一部とを上方から嵌入させる収容溝28が上方に向けて開口して形成され、該収容溝28に連通して上記端子21の固定部27が圧入される固定溝29が下方に貫通して形成されている。該ハウジング22は、端子21の接触部25に対しては、該接触部25の板厚方向で該接触部25に対して空隙をもつ凹部30が収容孔23に向け開口して形成されている(図3(B)をも参照)。したがって、上記接触部25はその板厚方向に弾性をもち、上記凹部30内の範囲で弾性撓み変形可能である。該凹部30の図2(A)における横方向での深さは、上記接触部25の右部が該凹部30から突出する程度となっている。
【0034】
このように構成される雄端子構造コネクタ20は、本実施形態では、回路基板P2の孔部P2A内に収められる。この孔部P2A内に収められた雄端子構造コネクタ20は、その端子21の接続部24のみが、回路基板の厚み方向で、回路基板P2の孔部P2A外にあってその下縁が回路基板P2の対応回路部上に載っている。この接続部24は対応回路部と半田接続される。
【0035】
このような雌端子構造コネクタ10と雄端子構造コネクタ20は、次の要領で接続される。
【0036】
(1)図2(A)に見られるように、フレキシブル基板P1に取付け接続されている雌端子構造コネクタ10を、回路基板P2の孔部P2Aに収められ該回路基板P2に接続されている雄端子構造コネクタ20の上方位置にもたらす。上記雌端子構造コネクタ10そして雄端子構造コネクタ20は、フレキシブル基板P1そして回路基板P2を省略して上方から見ると、図3(A)そして(B)にそれぞれ示される状態にある。
【0037】
(2)しかる後、図2(B)のごとく、雌端子構造コネクタ10を降下して雄端子構造コネクタ20の収容孔23に収める。雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部25をなす先端側は、上記収容孔23の嵌合面23Aよりも突出しており(図3(B)参照)、該接触部25は、図5(A)〜(D)に見られるように、雌端子構造コネクタ10の受凹部19内へ進入する。その際、雄端子構造コネクタ20の接触部25は、雌端子構造コネクタ10の接触部14の接触突部14A側に位置する受凹部19の一方の内壁面に接面して案内されつつあるいは接近して、上記内壁面と上記接触突部14Aとの間に進入し、該接触突部14Aにて該接触部14を押圧して弾性撓みを該接触部14の板厚方向に生じさせ両接触部25と14の間に接触圧をもたらす(図4、図5参照)。
【0038】
(3)雌端子構造コネクタ10と雄端子構造コネクタ20とが所定深さまで嵌合すると、図5(D)に見られるように、上記雌端子構造コネクタ10の端子11の接触突部14Aが雄端子構造コネクタ20の端子21の係止突部25Bに係止し、互のコネクタの所定嵌合位置までの嵌合を確認するクリック感をもたらすと共に、互の抜けが防止される。かくして、両コネクタ10,20の端子11,21は互の接触部14,25にて、端子の板厚方向で接触圧を有するようになる。その際、雄端子構造コネクタ20の接触部25は雌端子構造コネクタの受凹部19の一方の内壁面で支持されもしくは該内壁面に至近し、弾性撓み変形した雌端子構造コネクタ10の接触部14は上記受凹部19の他方の内壁面に至近しあるいは支持される(図4参照)。
【0039】
(4)このように、雌端子構造コネクタ10と雄端子構造コネクタ20は、それらの端子11と端子21が接触圧をもって接続されるが、その際、雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部25は該雄端子構造コネクタ20の凹部30内で、該凹部30の内壁面と空隙をもっていて、弾性撓みが可能となっているので、端子にフローティング効果(追従変形)をもたらすようにすることもできる。図6(A)は、図3(A),(B)に対応する両コネクタ10,20を、位置関係を明らかにするために、便宜上一つの図にまとめたものである。図6(A)において、雌端子構造コネクタ10のハウジングに形成された受凹部19の内壁面に対し、雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部25が、同図のごとくδ1だけ干渉する位置にまでズレているときでも、雌端子構造コネクタ10の上記受凹部19の嵌合側たる下面に上記δ1よりも大きい値のδ2の幅でテーパ部19Aが設けられていると、上記雄端子構造コネクタ20の接触部25は上記雌端子構造コネクタ10のテーパ部19Aに導かれて上記受凹部19へ進入して、雌端子構造コネクタ10の端子11の接触部14と接触するようになる(図6(B)参照)。このように、上記雄端子構造コネクタ20の接触部25が弾性撓み可能とすることにより、上記δ2の範囲内でのフローティング効果を得る。
【0040】
本発明は、図1ないし図6に図示の実施形態に限定されず、種々変更が可能である。例えば、雄端子構造コネクタは回路基板の孔部に収められる形式でなくとも、回路基板上に配置され接続される形式も可能である。図7において、雄端子構造コネクタ20の端子21は、固定部27の下端縁が回路基板P2の面に接面する程度まで延びていて、該下端縁が接続部27Aを形成している。したがって、図7の形態では、図2のように接続部がコネクタのハウジングから突出することはない。上記接続部27Aは、回路基板P2の対応回路部と半田接続される。
【0041】
次に、図8の形態においては、雄端子構造コネクタ20はシールド板31を有している。図8において、該シールド板31は断面がU字状をなし雄端子構造コネクタ20を下方から覆っている。該シールド板31の内面には絶縁層31Aが形成されていて、端子21とシールド板31との短絡を防止している。該シールド板31は、ハウジング22に取り付けられるようになっており、あるいは、さらに紙面に対して直角方向側壁の上縁から延出するフランジ部(図示せず)が回路基板の孔部上縁に係止するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態の一対の電気コネクタの全体を示す平面図で、(A)は雌端子構造コネクタ、(B)は雄端子構造コネクタを示す。
【図2】図1のコネクタの端子の板面に平行な面での断面図で、(A)は互のコネクタの嵌合前、(B)は嵌合後をそれぞれ示す。
【図3】図1のコネクタの互の要部を示す平面図で、(A)は雌端子構造コネクタ、(B)は雄端子構造コネクタを示す。
【図4】図1のコネクタの互の要部をコネクタ嵌合後の状態で示す平面図である。
【図5】図1のコネクタの端子の接触部周辺を、端子板面に対し直角かつコネクタ嵌合方向で示す断面図であり、(A)は嵌合前、(B)は嵌合開始時、(C)は嵌合途中、(D)は嵌合完了時を示す。
【図6】図1の両コネクタの互いの要部についての位置関係を示す平面図で、(A)コネクタの嵌合前、(B)は嵌合後を示す。
【図7】本発明の他の実施形態を示し、一対のコネクタの嵌合前の断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示す嵌合後の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 (雌端子構造)コネクタ 23 受凹部
11 端子 23A 嵌合面
12 ハウジング 24 接続部
14 接触部 25 接触部
20 (雄端子構造)コネクタ 27A 接続部
21 端子 31 シールド板
22 ハウジング P2A 孔部
【技術分野】
【0001】
本発明は、互に嵌合される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
金属板の平坦な板面を維持して作られた複数の端子を板厚方向に配列してハウジングに植設した電気コネクタは、例えば、特許文献1にて知られている。
【0003】
この特許文献1では、互に嵌合される一対のコネクタは共に、上述の平坦な端子を有している。かかる端子は、配列方向での外形寸法が板厚寸法で薄型となるので高密度で多数設けられている。
【0004】
両コネクタの端子は、平坦面をなしながらその面内でS字状部分を有し、コネクタ嵌合時に、このS字状部分の自由端側の端面、すなわち、板厚幅の面で当接する。上記S字状部分はその形状の故に上記平坦面内で弾性を有し、この当接は弾圧接触となる。この弾圧接触により端子に作用する弾圧力は、端子を保持して端子配列方向に長く延びるハウジング側壁に対し、直角に作用する。この側壁は、上記S字状部分で形成される二つの弯曲部の一方が嵌着される部分をなしていて、あまり厚くは形成されていない。
【0005】
特許文献1では、両コネクタの端子は、二列配列され互に対向して位置づけられている。したがって、二列の端子は対称に弾圧力を発生し、ハウジングの両側壁に対し、互の側壁を離間させる方向に上記弾圧力が作用する。
【特許文献1】特開2004−241253
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のコネクタにあっては、端子は金属板の平坦面がそのまま維持されるようにしてS字状に作られて、このS字状部分の端面同士で弾圧接触することに起因して、いくつかの点で不具合が生ずる。
【0007】
先ず、端子は配列方向での寸法が板厚であるので薄いとはいっても、きわめて多数の端子が配列されるのでハウジングの側壁が同方向で長くなるのに加え、この側壁が比較的薄いこと、端子の数が多いので全端子から側壁へ作用する力は合力として大きくなること、等によって、上記側壁は外方に向って撓む傾向が強くなる。撓み量は配列方向中央位置で最も大きくなる。したがって、端子は配列方向での位置によって、相手端子との接圧が変ってくることにもなる。このように、側壁における強度上の問題、端子により接圧に差が出るという問題をもたらす。
【0008】
次に、端子は相手端子と端子の板厚範囲で接触しているので、端子の配列方向、すなわち板厚方向での端子の位置に、製作時あるいは嵌合時のズレがあると、相手端子との接触範囲が激減する。これは、電気抵抗が増大し、信号が劣化するので好ましくない。このズレは、使用時におけるコジリ挿入によっても生ずる。さらに、上記ズレが極端に大きいと、相手端子を介して隣接端子と短絡してしまう可能性さえある。
【0009】
さらには、端子はS字状部分で十分な弾性を確保するために、コネクタ嵌合方向で大きくなり、同方向でのコネクタの大型化につながる。この種のコネクタは、回路基板上に配されて、回路基板同士を接続する場合に用いられることが多いので、同方向では小型化、いわゆる低背化が求められており、これに十分に応えることができない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、ハウジングの側壁に大きな荷重をかけず、安定した接触が得られ、コネクタの低背化にも好適な端子をもつ電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電気コネクタは、金属板を成形して作られた複数の端子が該端子の板面同士で対面するように板厚方向に配列してハウジングに植設され、ハウジングに形成された嵌合面で互に嵌合される。雌端子構造コネクタと雄端子構造コネクタとで一対の電気コネクタを形成する。
【0012】
かかる一対の電気コネクタにおいて、本発明では、両コネクタの端子は嵌合面に対して直角な方向に延び、該端子は上記嵌合面の側に位置する一端部で嵌合方向に平行な板面に接触部が形成され、少なくとも一方のコネクタの端子が上記一端部で上記板厚方向に弾性撓みが可能な弾性部を有して該弾性部に上記接触部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
このような構成の本発明により一対のコネクタは、互に嵌合されると、両コネクタの端子が該端子の板面に平行な方向でその幅方向(嵌合方向)に近接して互に板面同士で接面する。その際、少なくとも一方のコネクタの端子は板厚方向に弾圧を有しており、両コネクタの端子の接触部は板面で板厚方向に弾圧接触するようになる。したがって、コネクタ嵌合方向で、接触部同士が互に正規位置から多少ズレていても、接触部の板面面積が大きいので、接触面積が十分確保され何ら影響はない。
【0014】
かかる本発明のコネクタは、端子配列方向では、端子の板厚が小さいことに起因して、コネクタ寸法が小さく、嵌合方向では端子幅はあまり大きくする必要がないことから、この方向でもコネクタ寸法は小さく収まる。多数の端子に作用する弾圧接触力の合力は、端子配列方向に向いて、比較的短いハウジング端壁に作用するので、該端壁に変形は殆んど、生じない。したがって端子配列方向に長い側壁には何ら端子からの力が作用しないので、側壁を撓ませることはない。かくして、多数の端子同士間での接圧のバラツキは生じない。
【0015】
本発明において、一対のコネクタは、接触部がハウジングの嵌合面から突出する雄端子構造コネクタと接触部が嵌合面より没入して形成された受凹部内に位置している雌端子構造コネクタから成り、両コネクタの嵌合時に、上記受凹部に雄端子構造コネクタの端子の接触部が進入可能とするように形成することができる。上記受凹部では、上記雄端子構造コネクタの端子の接触部が収まる。その際、設計によって、該雄端子構造コネクタの端子の接触部の板面が撓みを伴わずに上記受凹部の内壁面に接触して支持されるようにしてもよいし、又、相手たる雌端子構造コネクタとの間の弾圧を受け多少撓んだときに、規定量以上撓まないように、その時点で上記受凹部の内壁面に接触して支持されるようにしてもよい。あるいは撓んだ状態でも、上記内壁面との間に隙間を残していてもよい。いずれにせよ、両コネクタの端子の接触部同士の接触による撓みは、上記受凹部の空間内で行われる。したがって、撓みが大きくとも、接触部が撓むことにより、隣接端子に接触してしまうことはない。
【0016】
本発明において、雌端子構造コネクタの端子が弾性部を有し、該弾性部は受凹部の内壁面と間隔をもって位置する端子の自由端で接触部として形成されているようにすることができる。こうすることにより雌端子構造コネクタの端子はその接触部たる弾性部が上記受凹部内で撓み、雄端子構造コネクタの端子はその接触部が受凹部の内壁面で板厚方向の位置が規制がなされる。
【0017】
又、雄端子構造コネクタの端子が接触部たる一端部で弾性部をなしているようにすることもできる。
【0018】
本発明において、雄端子構造コネクタは、回路基板の対応孔部内に配置されたときに、該回路基板の回路面に接続される接続部が端子の他端部に設けられ、該接続部が上記孔部から延出して上記回路面に係止するように形成されているようにすることができる。こうすることにより、コネクタはほぼ全体が回路基板の孔部内に収まり、上記端子の接続部のみが回路基板の回路面上に出ることとなり、電子機器の低背化に大いに貢献する。この場合、上記雄端子構造コネクタの接続部は、雌端子構造コネクタの受入側に位置する回路基板の回路面に係止するようにできる。
【0019】
本発明において、雄端子構造コネクタと雌端子構造コネクタの少なくとも一方は、互の受入側とは反対側で接続部がハウジング底面から露呈しているようにすることができる。こうすることにより、コネクタは、回路基板や平型ケーブルの回路面上に載置されて接続部が該回路面と半田等により接続されるようになる。
【0020】
本発明において、雄端子構造コネクタは、雌端子構造コネクタの受入側とは反対側で、シールド板により覆われているようにすることができる。こうすることにより、雄端子構造コネクタは回路基板の対応孔部内に収められたとき、そのシールド効果を得られる。雌端子構造コネクタが雄端子構造コネクタ内に収められる場合には、上記シールド板が雌端子コネクタの領域をも覆うので、両コネクタに対して上記シールド効果を得る。シールド板はその一部が回路基板の面で支持されるようにすることができる。又、必要に応じ、シールド板が回路基板の厚み範囲に収まるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上説明したように、金属板で作られた端子をハウジングの嵌合面に対して直角方向に延びるように設け、コネクタ嵌合時に、端子同士をその板面で形成される接触部を板厚方向に接触させるようにしたので、端子の配列方向に長く延びるハウジング側壁には、コネクタの嵌合時に、端子から何ら力が加わらず、側壁の変形やそれに伴う端子での接圧のバラツキもなくなり、又、接触部は板面で形成されて比較的大きい面積をもつために、端子の位置ズレが多少あっても、十分な接触面積を確保でき、信号は安定して伝達され、又、端子は嵌合方向での寸法が小さくてすむためにコネクタの同方向における低背化にも貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る一対の電気コネクタの平面図であり、図1(A)は雌端子構造コネクタ10を、そして図1(B)は雄端子構造コネクタ20の外形をそれぞれ示している。
【0024】
図1(A)にて、雌端子構造コネクタ10は、金属板を加工して作られた板状の端子11がその板厚方向、すなわち板面に直角方向に多数、ハウジング12に配列植設されている。雄端子構造コネクタ20は、上記雌端子構造コネクタ10を受入れるために、図1(B)に見られるように、ハウジング22に窓状に貫通せる収容孔23が形成され、板状の端子21がその板厚方向、すなわち板面に直角方向に多数、上記ハウジング22の一方の側壁22Aに配列植設されている。上記収容孔23の内壁面は、上記雌端子構造コネクタ10との嵌合面23Aをなし、上記雌端子構造コネクタ10の嵌合に適合した形状・大きさになっている。該雄端子構造コネクタ20は、端子配列方向両端でハウジング22外方に延出する取付金具24が設けられていて、回路基板(図示せず)への取付けに供するようになっている。
【0025】
雌端子構造コネクタ10は、端子の面と平行な面での断面を示す図2(A)に見られるように、紙面に平行で平坦な板面をもつ端子11がハウジング12に植設されている。図2(A)においては、端子11は紙面に直角方向に定間隔で配列されている。端子11は、フレキシブル基板P1あるいは回路基板の回路部との半田接続のための接続部13、相手方たる雄端子構造コネクタ20の端子21との接触のための接触部14、接続部13と接触部14とを連結している連結部15、そしてハウジング12で固定されるための固定部16を有している。
【0026】
図2(A)において、端子11の接続部13と連結部15はそれらの上端縁がハウジング12から上方に若干突出してフレキシブル基板P1に接触する位置にある。上記連結部15はその左端側、すなわち上記接触部14に近い部分で、図3(A)に見られるように、左端に向うほど相手方たる雄端子構造コネクタ20の対応端子21に近づく方向に僅かに傾斜して成形されている。端子11はこの傾斜を必須としておらず、傾斜せずに平坦なままでもよい。左端では、図2(A)に見られるように接触部14が下方に延びて設けられ、該接触部14の下端側には、上記対応端子21に近づくように板厚方向に山状に突出する接触突部14Aが形成されている(図5を参照)。接続部13は、図2(A)にて右方に延びハウジング12外に位置している。固定部16は、連結部15と接続部13の境界域から下方に延び、その側端縁には固定用の爪状の突起16Aが設けられている。
【0027】
上記雌端子構造コネクタ10のハウジング12は、図2(A)において、連結部15と接続部13を上方から嵌入させる収容溝17が上方に向けて開口して形成され、該収容溝17に連通して固定部16が圧入される固定溝18が下方に貫通して形成されている。該ハウジング12は、端子11の接触部14に対しては、該接触部14の板厚方向で該接触部14に対して空隙をもった受凹部19を形成している(図3参照)。この受凹部19は、雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部の進入を許容すると共に、連結部15の左端部における傾斜部分に対しても形成される空隙に連通していて、上記雄端子構造コネクタ20の端子21が進入してその接触部との接触の際に、この傾斜部分から接触部14に至る範囲における板厚方向での撓み変形を許容している。
【0028】
このように構成される雌端子構造コネクタ10は、本実施形態では、フレキシブル基板P1に取り付けられ対応回路部に上記接続部13が半田接続されている。
【0029】
上記雌端子構造コネクタ10と嵌合する雄端子構造コネクタ20は、雌端子構造コネクタ10と同様に金属板を加工して作られた板状の端子21がその板厚方向、すなわち板面に直角方向に多数、ハウジング22に植設されている。該端子21は、図1そして図2(A)に見られるように、雌端子構造コネクタ10のための嵌合面23Aを有する収容孔23を形成するハウジングの周壁のうちの一つの側壁22Aに植設されている。
【0030】
端子21は、図2(A)のごとく、紙面に平行で平坦な板面を有しており、回路基板P2の孔部P2−Aに雄端子構造コネクタ20が収められたときに、該孔部P2−A外にあって回路基板P2の対応回路面上に位置する接続部24、上記雌端子構造コネクタ10の端子11の接触部14と接触する接触部25、該接触部25と上記接続部24とを連結する連結部26、そしてハウジング22で固定されるための固定部27を有している。
【0031】
上記連結部26は、図2(A)に見られるように、横方向で固定部27に対応する位置で上端縁に段部26Aを有し、該段部26Aより、左方が接続部24の上端縁と同じレベルにあり、上記段部26より右方が上記回路基板P2の上面と同じレベルとなるように没しており、ここに、上記雌端子構造コネクタ10が接続されているフレキシブルP1の端縁が収まるようになっている。
【0032】
図2(A)に見られるように、上記接触部25は、下方に脚状に延び、その上端縁がテーパ縁25Aとして形成され、上記雌端子構造コネクタ10の端子11の接触部14との係合に好都合となっている。この接触部25には該接触部14と、所定嵌合位置で、係止するための係止突部25Bが設けられている(図5参照)。又、固定部27は、図2(A)のごとく、上記接触部25と並行して下方に脚状に延び、その側縁に固定用の爪状の突起27Aが形成されている。上記接触部25と固定部27はいずれも、回路基板P2の厚み範囲内に収まる延出長となっている。
【0033】
上記雄端子構造コネクタ20のハウジング22は、図2(A)において、連結部26と接続部24の一部とを上方から嵌入させる収容溝28が上方に向けて開口して形成され、該収容溝28に連通して上記端子21の固定部27が圧入される固定溝29が下方に貫通して形成されている。該ハウジング22は、端子21の接触部25に対しては、該接触部25の板厚方向で該接触部25に対して空隙をもつ凹部30が収容孔23に向け開口して形成されている(図3(B)をも参照)。したがって、上記接触部25はその板厚方向に弾性をもち、上記凹部30内の範囲で弾性撓み変形可能である。該凹部30の図2(A)における横方向での深さは、上記接触部25の右部が該凹部30から突出する程度となっている。
【0034】
このように構成される雄端子構造コネクタ20は、本実施形態では、回路基板P2の孔部P2A内に収められる。この孔部P2A内に収められた雄端子構造コネクタ20は、その端子21の接続部24のみが、回路基板の厚み方向で、回路基板P2の孔部P2A外にあってその下縁が回路基板P2の対応回路部上に載っている。この接続部24は対応回路部と半田接続される。
【0035】
このような雌端子構造コネクタ10と雄端子構造コネクタ20は、次の要領で接続される。
【0036】
(1)図2(A)に見られるように、フレキシブル基板P1に取付け接続されている雌端子構造コネクタ10を、回路基板P2の孔部P2Aに収められ該回路基板P2に接続されている雄端子構造コネクタ20の上方位置にもたらす。上記雌端子構造コネクタ10そして雄端子構造コネクタ20は、フレキシブル基板P1そして回路基板P2を省略して上方から見ると、図3(A)そして(B)にそれぞれ示される状態にある。
【0037】
(2)しかる後、図2(B)のごとく、雌端子構造コネクタ10を降下して雄端子構造コネクタ20の収容孔23に収める。雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部25をなす先端側は、上記収容孔23の嵌合面23Aよりも突出しており(図3(B)参照)、該接触部25は、図5(A)〜(D)に見られるように、雌端子構造コネクタ10の受凹部19内へ進入する。その際、雄端子構造コネクタ20の接触部25は、雌端子構造コネクタ10の接触部14の接触突部14A側に位置する受凹部19の一方の内壁面に接面して案内されつつあるいは接近して、上記内壁面と上記接触突部14Aとの間に進入し、該接触突部14Aにて該接触部14を押圧して弾性撓みを該接触部14の板厚方向に生じさせ両接触部25と14の間に接触圧をもたらす(図4、図5参照)。
【0038】
(3)雌端子構造コネクタ10と雄端子構造コネクタ20とが所定深さまで嵌合すると、図5(D)に見られるように、上記雌端子構造コネクタ10の端子11の接触突部14Aが雄端子構造コネクタ20の端子21の係止突部25Bに係止し、互のコネクタの所定嵌合位置までの嵌合を確認するクリック感をもたらすと共に、互の抜けが防止される。かくして、両コネクタ10,20の端子11,21は互の接触部14,25にて、端子の板厚方向で接触圧を有するようになる。その際、雄端子構造コネクタ20の接触部25は雌端子構造コネクタの受凹部19の一方の内壁面で支持されもしくは該内壁面に至近し、弾性撓み変形した雌端子構造コネクタ10の接触部14は上記受凹部19の他方の内壁面に至近しあるいは支持される(図4参照)。
【0039】
(4)このように、雌端子構造コネクタ10と雄端子構造コネクタ20は、それらの端子11と端子21が接触圧をもって接続されるが、その際、雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部25は該雄端子構造コネクタ20の凹部30内で、該凹部30の内壁面と空隙をもっていて、弾性撓みが可能となっているので、端子にフローティング効果(追従変形)をもたらすようにすることもできる。図6(A)は、図3(A),(B)に対応する両コネクタ10,20を、位置関係を明らかにするために、便宜上一つの図にまとめたものである。図6(A)において、雌端子構造コネクタ10のハウジングに形成された受凹部19の内壁面に対し、雄端子構造コネクタ20の端子21の接触部25が、同図のごとくδ1だけ干渉する位置にまでズレているときでも、雌端子構造コネクタ10の上記受凹部19の嵌合側たる下面に上記δ1よりも大きい値のδ2の幅でテーパ部19Aが設けられていると、上記雄端子構造コネクタ20の接触部25は上記雌端子構造コネクタ10のテーパ部19Aに導かれて上記受凹部19へ進入して、雌端子構造コネクタ10の端子11の接触部14と接触するようになる(図6(B)参照)。このように、上記雄端子構造コネクタ20の接触部25が弾性撓み可能とすることにより、上記δ2の範囲内でのフローティング効果を得る。
【0040】
本発明は、図1ないし図6に図示の実施形態に限定されず、種々変更が可能である。例えば、雄端子構造コネクタは回路基板の孔部に収められる形式でなくとも、回路基板上に配置され接続される形式も可能である。図7において、雄端子構造コネクタ20の端子21は、固定部27の下端縁が回路基板P2の面に接面する程度まで延びていて、該下端縁が接続部27Aを形成している。したがって、図7の形態では、図2のように接続部がコネクタのハウジングから突出することはない。上記接続部27Aは、回路基板P2の対応回路部と半田接続される。
【0041】
次に、図8の形態においては、雄端子構造コネクタ20はシールド板31を有している。図8において、該シールド板31は断面がU字状をなし雄端子構造コネクタ20を下方から覆っている。該シールド板31の内面には絶縁層31Aが形成されていて、端子21とシールド板31との短絡を防止している。該シールド板31は、ハウジング22に取り付けられるようになっており、あるいは、さらに紙面に対して直角方向側壁の上縁から延出するフランジ部(図示せず)が回路基板の孔部上縁に係止するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態の一対の電気コネクタの全体を示す平面図で、(A)は雌端子構造コネクタ、(B)は雄端子構造コネクタを示す。
【図2】図1のコネクタの端子の板面に平行な面での断面図で、(A)は互のコネクタの嵌合前、(B)は嵌合後をそれぞれ示す。
【図3】図1のコネクタの互の要部を示す平面図で、(A)は雌端子構造コネクタ、(B)は雄端子構造コネクタを示す。
【図4】図1のコネクタの互の要部をコネクタ嵌合後の状態で示す平面図である。
【図5】図1のコネクタの端子の接触部周辺を、端子板面に対し直角かつコネクタ嵌合方向で示す断面図であり、(A)は嵌合前、(B)は嵌合開始時、(C)は嵌合途中、(D)は嵌合完了時を示す。
【図6】図1の両コネクタの互いの要部についての位置関係を示す平面図で、(A)コネクタの嵌合前、(B)は嵌合後を示す。
【図7】本発明の他の実施形態を示し、一対のコネクタの嵌合前の断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示す嵌合後の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 (雌端子構造)コネクタ 23 受凹部
11 端子 23A 嵌合面
12 ハウジング 24 接続部
14 接触部 25 接触部
20 (雄端子構造)コネクタ 27A 接続部
21 端子 31 シールド板
22 ハウジング P2A 孔部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を成形して作られた複数の端子が該端子の板面同士で対面するように板厚方向に配列してハウジングに植設され、ハウジングに形成された嵌合面で互に嵌合される雌端子構造コネクタと雄端子構造コネクタの一対の電気コネクタにおいて、両コネクタの端子は嵌合面に対して直角な方向に延び、該端子は上記嵌合面の側に位置する一端部で嵌合方向に平行な板面に接触部が形成され、少なくとも一方のコネクタの端子が上記一端部で上記板厚方向に弾性撓みが可能な弾性部を有して該弾性部に上記接触部が設けられていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
一対のコネクタは、接触部がハウジングの嵌合面から突出する雄端子構造コネクタと接触部が嵌合面より没入して形成された受凹部内に位置している雌端子構造コネクタから成り、両コネクタの嵌合時に、上記受凹部に雄端子構造コネクタの端子の接触部が進入可能となっていることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
雌端子構造コネクタの端子が弾性部を有し、該弾性部は受凹部の内壁面と間隔をもって位置する端子の自由端で接触部として形成されていることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
雄端子構造コネクタの端子が接触部たる一端部で弾性部をなしていることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
雄端子構造コネクタは、回路基板の対応孔部内に配置されたときに、該回路基板の回路面に接続される接続部が端子の他端部に設けられ、該接続部が上記孔部から延出して上記回路面に係止するように形成されていることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の電気コネクタ。
【請求項6】
雄端子構造コネクタの接続部は、雌端子構造コネクタの受入側に位置する回路基板の回路面に係止するようになっていることとする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
雄端子構造コネクタと雌端子構造コネクタの少なくとも一方は、互の受入側とは反対側で接続部がハウジング底面から露呈していることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の電気コネクタ。
【請求項8】
雄端子構造コネクタは、雌端子構造コネクタの受入側とは反対側で、シールド板により覆われていることとする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項1】
金属板を成形して作られた複数の端子が該端子の板面同士で対面するように板厚方向に配列してハウジングに植設され、ハウジングに形成された嵌合面で互に嵌合される雌端子構造コネクタと雄端子構造コネクタの一対の電気コネクタにおいて、両コネクタの端子は嵌合面に対して直角な方向に延び、該端子は上記嵌合面の側に位置する一端部で嵌合方向に平行な板面に接触部が形成され、少なくとも一方のコネクタの端子が上記一端部で上記板厚方向に弾性撓みが可能な弾性部を有して該弾性部に上記接触部が設けられていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
一対のコネクタは、接触部がハウジングの嵌合面から突出する雄端子構造コネクタと接触部が嵌合面より没入して形成された受凹部内に位置している雌端子構造コネクタから成り、両コネクタの嵌合時に、上記受凹部に雄端子構造コネクタの端子の接触部が進入可能となっていることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
雌端子構造コネクタの端子が弾性部を有し、該弾性部は受凹部の内壁面と間隔をもって位置する端子の自由端で接触部として形成されていることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
雄端子構造コネクタの端子が接触部たる一端部で弾性部をなしていることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
雄端子構造コネクタは、回路基板の対応孔部内に配置されたときに、該回路基板の回路面に接続される接続部が端子の他端部に設けられ、該接続部が上記孔部から延出して上記回路面に係止するように形成されていることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の電気コネクタ。
【請求項6】
雄端子構造コネクタの接続部は、雌端子構造コネクタの受入側に位置する回路基板の回路面に係止するようになっていることとする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
雄端子構造コネクタと雌端子構造コネクタの少なくとも一方は、互の受入側とは反対側で接続部がハウジング底面から露呈していることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の電気コネクタ。
【請求項8】
雄端子構造コネクタは、雌端子構造コネクタの受入側とは反対側で、シールド板により覆われていることとする請求項5に記載の電気コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−146888(P2008−146888A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330059(P2006−330059)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】
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