説明

電気スイッチ

【課題】第1選択接触体および第2選択接触体への切替動作を正確に調整でき、構造が簡単、製造が容易、かつ組立てが容易で、長期間にわたり確実に動作することができる電気スイッチを作ること。
【解決手段】共通接触体4と第1選択接触体5および第2選択接触体6とがハウジング内に設けられている電気スイッチであって、前記共通接触体4に常に接続されている接触器9は基本形状が板ばねであり、突出する2つの接触指部13、14を有する。前記第1選択接触体5および第2選択接触体6には、前記接触指部13、14と協働する接触面5bが設けられており、前記接触器9が変形したときに前記接触指部13、14が前記選択接触体5、6の接触面5bをスライドしながら擦ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通接触体と第1選択接触体および第2選択接触体とがハウジング内に設けられている電気スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングの外からばねの力に抗して動かすことができる可動の接触器は、共通接触体と、第1選択接触体または第2選択接触体のいずれかを電気が伝わるように接続する。この種のスイッチは、例えば、DE 44 20 665 B4により公知となっている。
【0003】
この公知のスイッチでは、第1選択接触体および第2選択接触体の接触面がスイッチのハウジングの壁部に設置されている。接触器は、スライド可能体であり、ハウジングから突出している駆動部材が設けられている。スライド可能体には接触プレートが加えてあり、この接触プレートには突出した接触指部がある。接触器は、その最終位置に、コイルばね形態の圧縮ばねで押し込まれる。コイルばねにより、接触指部と、ハウジングに設置した共通接触体とが電気が伝わるように接続される。コイルばねによりもたらされる第1最終位置では、接触器上にある接触指部が第1選択接触体の接触面に接するように配置される。駆動部材に圧力がかかると、接触器がコイルばねの復元力に抗してその第2最終位置に移動し、接触指部が第2選択接触体の接触面に接するように配置される。
【0004】
この種のスイッチは、小型化および超小型化の分野で実施されており、通常閉じている電気接触部を駆動部材に機械的な作用を及ぼすことで一時的に切り、通常閉じている第2接触部が導通するように接続される、スイッチング・タスクを行っている。
【0005】
この種のスイッチは、自動生産工程における位置検出作業に特に適している。もっとも、典型的な応用領域は、車体や自動車の室内におけるロックシステム、並びに、家庭用機器や他の機械におけるさまざまな位置確認であることもある。
【0006】
DE 44 20 665 B4によって公知のスイッチにおいて、接触器の接触指部が第1接触面に接触ている状態から第2接触面に接触している状態に変わるとすると、スイッチの切替動作に意図的に影響を与えることができる。影響を与える変数は、主に接触指部がスライドする経路、接触面の大きさ、および接触面同士の距離である。これらの変数は、相互に最適化することができる。例えば、両方の切替位置の間を完全に離れた状態に維持すること、すなわち、両方の接触面が接触指部と接触導通する中間の位置を防止することもできる。さらに、この種のスイッチが達成していることは、切替過程が確実に、所望の時点で生じ、これは、外部からの作用が早いか遅いかに拘わらず生じるということである。
【0007】
DE 44 20 665 B4による公知のスイッチでは、電流を導通させる接続部に、固定共通接触体に始まって、コイルばねおよび接触プレートを経て接触指部まで複数の部品が必要であり、さらに、これらの部品を保持したり、位置決めしたりするために接触器に摺動体が必要であるという欠点がある。さらに、接触体の板状体の幅の狭い面は、第1および第2の選択的接触体の接触面が設置されている、ハウジングの平坦な壁部に沿って非常に正確に案内されなければならない。接触器は、つっかえたり、傾いたりしてはならない。このために、確実に長い期間にわたって信頼性をもって機能させるためには、個々の部品を非常に正確に製造し、複雑な組み立てを行う必要がある。
【0008】
EP 1 533 823 A1により、共通接触体を接触器を使って第1または第2接触体に選択的に接続する他のスイッチが公知となっている。このケースでは、接触器が弾性変形可能な板ばねであり、この板ばねは、この板ばねで形成した舌部から長手方向の初期応力をかけられ、そのために湾曲した形状をとるように押しつけられている。板状形状の接触器は、その自由端の幅全体で、選択接触体における対応するように形成された領域の中間の空間に係合する。これらの領域の面は、板形状接触器の面に平行に延びている。接触器と、2つの接触体の一方の間で電気を導通させる接続は、板形状接触器の自由端並びに第1及び第2選択接触体の前述した領域に配置された、さらに別の小さな接触体を用いて行うことができる。板形状接触器の面と、選択接触器の前述した領域の面は、互いに平行に延びている。接触状態は、駆動部材が板形状接触器の反対側の自由端に作用すると変わる。駆動部材には圧縮ばねが作用し、板ばねの切替領域とは反対の端部に張力を加える。板形状の接触器は、この張力により延びた形状になる。駆動部材を押し下げると、板形状の接触器がその内部応力の影響により緩み、湾曲した形状に移行し、このため反対の切替位置へ動き、第2選択接触体に電気が伝わるように接続される。EP 1 533 823 A1のスイッチは、このために「センシティブ・スイッチ」と呼ばれていて、それより前の前述したDE 44 20 665 B4のスイッチとは異なる切替特性を有する。とりわけ、EP 1 533 823 A1のスイッチでは切替機能を正確に調整することが、前述のようにできない。さらに、前述した特殊なスイッチング・ボディは、EP 1 533 823 A1による弾性変形可能な接触器のスイッチ用自由端に配置しなければならず、同様に、それと協働する、第1および第2の選択接触器の両側の面に配置しなければならない。さもなければ、確実に電気的な接触を得ることはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の根本的な目的は、切替処置の間、切替動作を操作の種類によらず正確に調整でき、さらに、両方の選択接触体に接触する中間位置を可能にし、それでいて構造が簡単、製造が容易、かつ、組み立てが容易で、長期間にわたり確実に動作することができる電気スイッチを作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴の全体で達成される。
【0011】
発明に係る電気スイッチでは、弾性変形可能な接触器が板ばねという基本形状で設けられている。この接触器の変形状態は、駆動部材が作用することで変わる。接触器には、接触指部が設けられており、この接触指部は板ばねの面から突出しており、かつ、第1および第2の選択接触体に設けられた接触面をスライド可能に擦る。スライド可能な接触方式のように接触指部が接触面をスライドしながら擦っていくので、接触面は自動的にきれいになる。これは、スイッチを好ましくない環境条件で作動させなければならず、例えば、酸化層、ケイ酸塩層、又は他の好ましくない被覆物が接触面に生じることがある場合に重要である。機能を阻害する異質層は、頻繁に、機械的に除去することができる。スライドする接触部は、接触指部のための共通面や接触面から、異質粒子やプラスチック部品からの摩耗した粒子ですら除去することができる。原理的には、駆動部材のために別個の戻しばねは必要ではない。
【0012】
板ばねという基本形状から形成した弾性変形可能な接触器は、湾曲要素付きの単純な打ち抜き部品として経済的に生産でき、それでいて、可動切替部、電気伝導接触部、および戻しばねの機能を組み合わせた多機能部品である。
【0013】
本発明に係るスイッチの他の実施形態は、請求項1から請求項11に記載されている。
【0014】
請求項2は、主に接触器の機能部分を記載しており、この機能部分には、順に、取り付け領域、中央変形領域、および隣接する補強駆動領域が設けられており、補強駆動領域からは、接触指部が出ている。接触器は段状の形状、U字形状、又は角のある形状を有することがある。段状の形状とは、取り付け領域と駆動領域がZ字形状のように2つの異なる面にあり、取り付け領域と駆動領域の間に配置され、且つ取り付け領域と駆動領域にほぼ垂直に延びている変形領域で互いに接続されている、ということである。U字形状の接触器では、同じように取り付け領域と駆動領域が異なる面にある。しかし、取り付け領域と駆動領域は対向しており、U字形状の足部が変形領域を形成している。角のある形状の場合、角部の頂部領域がU字形状の足部と置き換わっている。請求項2に記載の構造は、多機能部品としての接触器の機能に役立つものである。
【0015】
請求項2による実施形態は、取り付け領域、変形領域、および駆動領域の延長部分が、接触器の長手方向の異なる部分に配置できるという利点をさらに伴う。このようなスイッチ構造では、駆動部材の動きと、接触指部の切替軌道との間で異なる変換比を選択、設定することができる。このことは、切替動作に他のバリエーションのオプションがあることを意味する。逆に、前述したDE 44 20 665 B4のスイッチでは、駆動部材と接触器が、変えることができない共通のまっすぐな動きをするように、接触プレートに連結されている。駆動部材と接触指部の動きは、このために、1対1の比に固定して設定されている。
【0016】
大部分に仕事に関しては、接触器の内部応力、すなわち初期応力が求められている好ましい切替位置への戻りを行うのに十分である。もっとも、必要であれば、請求項3に従って、補強用圧縮ばねを加えることもできる。
【0017】
請求項4は、駆動領域の補強に対するオプションを提供するものであり、一方、請求項5の対象は、接触指部を駆動領域に対して配置するのに特に有益なオプションである。
【0018】
請求項6および7は、接触器および選択接触体を特に段形状を有する接触器で使用する場合に有益であるそれらの実施形態を含んでいる。
【0019】
請求項8および9は、U字形状の接触器の実施形態に基づいた有益な構造のオプションを提供するものである。
【0020】
請求項10および11の対象は、角のある形状の接触器の構造に基づいた実施形態の変形である。
【0021】
請求項2から請求項11までの接触器の具体的な構成では、普通、駆動部材に軸回転運動が生じる。これは、板ばねの変形領域が比較的正確に局部に限定されているからである。
【0022】
さらに、全ての実施形態において、接触器から湾曲してでいている接触指部が、その幅広の面を2つの選択接触体の接触面に接触させながら動くことを強調しなければならない。スライドする接触部として作用する接触指部の端部を、接触面が狭い従来の方法で角度を付けたもの又は湾曲したものとして実現したとしても、その幅が広い面は、選択接触体の接触面の上を動く。この点が、DE 44 20 665 B4による従来技術との明確な違いであり、確実な切替動作、並びに、スイッチの自動清掃を支援する。同様に、従来技術と異なり、請求項に記載したように接触指部を対に配置すると、その重複性によりスイッチの信頼性が実質的に強化される。
【0023】
以下、図面に示した典型的な実施形態を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1から図4は、本発明による電気スイッチの第1実施形態を示している。スイッチはハウジングを有し、このハウジングはベース1を備えている。ベース1は、カバー3を固定するための固定用突起部2を有している。ベース1の絶縁材には3つの接触体が設置されている。具体的には、共通接触体4と、第1選択接触体5と、第2選択接触体6とがある。接触体4、5および6は、平坦な板状の形状をしており、異なる輪郭を有している(図3および図4参照)。
【0025】
コネクター接触部4aが共通接触体4の底部にあり、同様に、コネクター接触部5aが第1選択接触体5の底部にあり、また、コネクター接触部6aが第2選択接触体6の底部にある。このスイッチの役割は、コネクター接触部4aの切替位置しだいで、コネクター接触部5aまたはコネクター接触部6aのどちらかに電気が伝わる(導電する)ように接続することである。
【0026】
上記のために、電気伝導性があり、弾性変形可能な材料から作られた接触器が利用される。この接触器の基本的な形状は、多少Z形状に曲げた板ばねの形状である(図2参照)。接触器9をベース1に固定するために台座7がベース1に形成されていて、共通接触体4がその台座7に通されている。台座7の上面には、接触器9の平坦取り付け領域9aのための平坦配置面が形成されている。共通接触体4の最上部は、広がった形状の部材8となっている。部材8は、台座7の平坦配置面から突出していて、接触器9の平坦取り付け領域9aにある固定用開口部10を貫通している。このようにして接触器9は台座7にしっかりと取り付けられ、また同時に、電気が伝わるように共通接触体4のコネクター接触部4aに接続されている。
【0027】
図2は、極めて明確に接触器9の詳細を示している。接触器9の基本的な形状を構成している板ばねは、取り付け領域9aの反対側に補強領域を有する。この補強領域は、大きな中央開口部11と、上向きに曲げられた2つの端部帯状部12とから作られている。端部帯状部12は、長手方向に中央開口部11を囲んでいる。図2の接触器9において前方の幅が狭い側にあるのは、スライド・アンド・グラブ式ラッチ(slide−and−grap latch)15である。ラッチ15の重要性については後述する。示されているように、端部帯状部12は、スライド・アンド・グラブ式ラッチ15とともに硬いフレームを形成し、このフレームは、本質的に弾性変形せず、接触器の駆動領域9cとして作用する。これに対して、Z形状の中央部分は、取り付け領域9aを駆動領域9cに接続しており、接触器9の変形領域9bとして作用する。元の位置からずらそうとする力がスライド・アンド・グラブ式ラッチ15に、板ばねの面に垂直に作用すると、変形領域9bが変形し、駆動領域9cが車輪のスポークに似た旋回運動で動く。
【0028】
接触指部の第1の対13と接触指部の第2の対14とが接触器9の端部帯状部12に形成されている。第1の対の接触指部13は、互いに対向しており、第2の対の接触指部14も同様である。接触指部13および14は、端部帯状部12の平面から内側に曲げられていて、外側に向かって弾性的に曲げることができるように、ある角度を成す(オフセットの)形状を有している。
【0029】
対にして配置した接触指部13および14の間の距離は、それらが平坦な板状の第1および第2選択接触体5および6を把持し、両側から締め付けることができる大きさにしてある。接触指部13および14は、それらの角度を成す部分(オフセット部)の頂部領域において、選択接触体5および6の接触面5bおよび6bに弾性的に押しつけられるように配置されている。
【0030】
このスイッチの構造により、接触指部13および14が接触面5bおよび6bに正確にはどのように配置されるかは、図3および図4で分かる。図3では、接触器9がその第1切替位置にある。第1切替位置は、接触器9の変形領域9bの内部応力、すなわち、初期応力によってもたらされる。第1の対の接触指部13は、第1選択接触体5の接触面5bに押しつけられるように配置されており、そのオフセット部で、弾性的でしなやかなスライドする接触部を形成している。接触指部13は、駆動領域9cの旋回運動によって接触面に接触するように動くときにも、接触面5bと電気が伝わるように接触し続ける。第2の対の接触指部14は、接触器9の第1切替位置では、有効に作用しない。
【0031】
図4の描写では、接触器9が第2切替位置にある。接触器9の駆動領域9cは、ここでは一番下でほぼ水平に、ベース1の近傍にあり、ここでは、接触指部の第1の対13が有効に作用していない。今度は、第2の対の接触指部14が平坦で板状の第2選択接触体6を把持し、接触面6bにスライドする接触部として配置されている。
【0032】
このように、第1切替位置(図3)では、共通接触体4のコネクター接触部4aが、電気が伝わるように、第1選択接触体5のコネクター接触部5aに接続される。一方、第2切替位置(図4)では、共通接触体4のコネクター接触部4aと、第2選択接触体6のコネクター接触部6aとの間が電気が伝わるように接続される。
【0033】
駆動部材18は、接触器9を第1切替位置から第2切替位置へ移すのに用いる。駆動部材18のコントロールヘッド18aは、スイッチのカバー3を貫通して外に飛び出しており、カバー3にある貫通孔が密閉用カラー19によって密閉されている。駆動部材18の端部は、フォーク状の2つの腕部18bになっており、これらの腕部18bは圧力面18cを形成している。また、これらの腕部18bは、接触器9のスライド・アンド・グラブ式ラッチ15の回りを把持している(図1と、図9の右上にある保持部材18の同じ実施形態を参照のこと)。
【0034】
駆動部材18は、押し下げると、接触器9の内部応力又は初期応力に打ち勝って下がる。接触器9は弾性変形し、接触器9の駆動領域9cは、図4のように第2切替位置へと下に移動する。多くの場合、接触器9の弾性的な復元力が、スイッチとして明確に動作させるのに足りる。もっとも、必要であれば、切替・復元力は、さらに別の圧縮ばね17を配置することにより、大きくすることもできる。図示した典型的な実施形態では、これはコイルばねとして形成されており、ベース1の底部にある配置凹部16に設置されている。このばねの反対側では、スライド・アンド・グラブ式ラッチ15が圧縮ばね17の中に係合している。同時に、圧縮コイル17は、外側から駆動部材18の腕部18bによって保持されてもいる。接触指部の2つの対13、14が第1および第2の選択接触体5、6の接触面5b、6bをより簡単に包むことができるように、この2つの選択接触体5、6には、誘導斜面5c、6cが設けられている。この誘導斜面5c、6cは、接触指部13、14の通り道に配置されている選択接触体5、6の幅の狭い側面にある。
【0035】
弾性があり、電気伝導性材料からなる接触器9は多機能部品であり、接触指部13、14で接触することと、駆動部材18を第1切替位置に戻すことの両方ができる。実際には、このスイッチは、超小型化の分野で使われる。接触器9の駆動部材18におけるコントロールヘッド18aは、例えば、機械的制御装置または油圧制御装置で動いているカムによって駆動される。
【0036】
図5から図8の対象は、発明に係るスイッチの第2実施形態である。これらの図では、第1の典型的な実施形態と同じ部品が同じ参照番号を有している。主な変更点は、接触器25の形状であり、これに伴い、接触体の形状も変更されている。接触器25の第2実施形態では、板ばねの最終形状がU字形状に曲げられており、このために、取り付け領域25aと平坦駆動領域25cが互いに上下に配置されている。取り付け領域25aと平坦駆動領域25cはまた互いに変形領域25bで接続されている。取り付け領域25aから直線的に延びているのは、2つの接触指部26であり、これらの接触指部26は、板ばねの面から曲げられていて、板ばねから突出している。よって、接触器25は、接触指部26を一対だけ有している。この構造により、構造体の長さが短くなっている。
【0037】
この他には、第1実施形態の構造がほとんどの部分でそのままになっている。第1選択接触体22や第2選択接触体23のように、共通接触体21は、平坦な板状形状をコネクター接触部21a、22aおよび23aとともに有している。接触指部26の接触領域26aは、2つの選択接触体22、23の幅まで内側に角度をつけるように引っ込めてあり、また、断面がV字形状となるように曲げられており、これにより、V字形状の内側の頂部のライン26bを形成している。この頂部のライン26bは、第1および第2の選択接触体22、23の接触面22b、23bの上を弾性的に擦る(図8)、スライド可能な接触部を形成する。この場合も、誘導斜面22c、23cにより、接触指部26で選択接触体22、23を把持することが容易になる。
【0038】
駆動部材18と協働させるために、接触器26は、接触指部26と反対の端部に、スライド用湾曲部27を有する。湾曲部27は、駆動領域25cの端部を形成している。共通接触体21の最上部は、リベット状の固定用頭部24になっており、この固定用頭部24は、接触器25の取り付け領域25aにある開口部を貫通していて、これにより、接触器25を機械的に、かつ、電気が伝わるように留めている。
【0039】
図9から図11は、本発明に係る電気スイッチの第3実施形態を示している。第3実施形態の基本的な部品は、図1から図4を使って既に説明してあり、同じ参照番号が付してある。この実施形態でも、コネクター接触部31aを有する共通接触体31があり、また、コネクター接触部32a、33aを備えた第1および第2接触体32、33がある。固定用開口部には、31b、33cが付されており、これらは、共通接触体31と第2接触体33をベース1の絶縁材に留めるのに用いられる。既に説明した例示的な実施形態とは異なり、第1の接触体32および第2の接触体33は、もはや連続した、平坦で板状の形状となっていない。それどころか、2つの選択接触体32、33の接触面32bおよび33bを形成する領域は、選択接触体の基本の平坦な形状から外に向けて約90°曲げられている。したがって、接触面32b、33bは、接触器35の長手方向に対して横向きに延びている。
【0040】
接触器は、ここでも平坦な板ばねという基本の形状、すなわち、最初の形状をしていて、長手方向に、接触体31、32および33の3つ全てを横切るように延びている。接触器35の取り付け領域35aは、最初の平面から下方へ戻るように、接触器35の他の部分に対して鋭角となるまで、曲げられている(図1)。固定用スロット36により、共通接触体31にある固定用突起34に配置することが可能となっている。湾曲部にある湾曲領域は、変形領域35bとなり、この機能部は、この領域の中央凹部37によって特に支持されている。
【0041】
接触器35を形成している板ばねの他の領域は、2つの長手方向凹部39によって分割されている。この2つの凹部39は、長手方向に延びており、固定領域35aとは反対側にある、接触器35の自由端から接触器35の中央領域内まで入り込んでいる。長手方向凹部39は、センターバーを2つの接触指部40から切り離している。2つの接触指部40は、固定領域35aと同じように、板ばねの面から所定角度曲げられていて、その弾性のある端部でスライド可能な接触部を形成する。逆に、センターバーは、補強用ビード38で硬化させてあり、ほとんど、板ばねの元の面に残っている。このようにして、センターバーは接触器の駆動領域35cを形成している。前述したさらに別の圧縮ばね17を使用する場合は、駆動領域35cの自由端に係合端部41を設け、この係合端部41を圧縮ばね17と係合させる(図9)。圧縮ばねは、下側の端部において取り付け台42に配置する。
【0042】
接触器35の保持・復元力が切替機能を適切に行うのに十分である場合、駆動領域35cの自由端を若干湾曲するように設計することが望ましい。
【0043】
組み立てたとき、接触器35には、長手方向の張力がかかる。これは、接触器35が接触器の一方の側の取り付け端35aと、他方の側の弾性接触指部40とでベース1の中央領域を把持するからである。このため、スライド可能な接触部として作用する接触指部40の弾性端部が十分な押圧力を得る。図9から図11の実施形態では、接触面32bおよび33bは、第1の選択接触体32および第2の選択接触体33の一方の側にのみ存在する。選択接触体32および33における接触面32bおよび33bが配置されている領域は、その背面において、ベース1内でしっかりと支持されている。変形領域35bを使って接触器35に加えた初期応力により、スイッチが第1切替位置になる。この第1切替位置では、2つの接触指部40が、接触器35の長手方向に対して横方向に延びている第1選択接触体32bの接触面32bでスイッチが入るように接触する。駆動部材18を押し込むと、接触器35の初期応力に打ち勝ち、第2切替位置になる。第2切替位置では、接触指部40が第2選択接触体33の接触面33bに接するように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、発明に係る電気スイッチの第1実施形態の一部切断斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した実施形態の接触器の斜視図である。
【図3】図3は、第1切替位置にある図1のスイッチの縦断面図である。
【図4】図4は、第2切替位置にある図1のスイッチの図3に対応する縦断面図である。
【図5】図5は、発明に係るスイッチの第2実施形態の一部切断斜視図である。
【図6】図6は、図5に対応する同じスイッチを示しているが、個々の部品が省略されており、スイッチの状態が図5に対して変えられている。
【図7】図7は、図5および図6のスイッチにおける機能部品の協働を説明するための斜視図である。
【図7A】図7Aは、図5および図6のスイッチにおける機能部品の協働を説明するための斜視図である。
【図8】図8は、図7の詳細を拡大して向きを変えて示す斜視図である。
【図9】図9は、発明に係る電気スイッチの第3実施形態の斜視図であり、ハウジングのカバーが省略されている。
【図10】図10は、図9のスイッチにおける接触器の若干改良した実施形態を示している。
【図11】図11は、第3実施形態のスイッチにおける接触体の空間配置を示す原理図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ベース
2 固定用突出部
3 カバー
4 共通接触体
4a コネクター接触部
5 第1選択接触体
5a コネクター接触部
5b 接触面
5c 誘導斜面
6 第2選択接触体
6a コネクター接触部
6b 接触面
6c 誘導斜面
7 台座
8 広がった形状の部材
9 接触器(板ばね)
9a 固定領域
9b 変形領域
9c 駆動領域
10 固定用開口部
11 中央凹部
12 端部帯状部
13 接触指部の第1の対
14 接触指部の第2の対
15 スライド・アンド・グラブ式ラッチ
16 位置決め凹部
17 圧縮ばね
18 駆動部材
18a コントロールヘッド
18b 腕部
18c 押圧面
19 シーリング・カラー
21 共通接触体
21a コネクター接触部
22 第1選択接触体
22a コネクター接触部
22b 接触面
22c 誘導斜面
23 第2選択接触体
23a コネクター接触部
23b 接触面
23c 誘導斜面
24 固定用頭部
25 接触器(板ばね)
25a 固定領域
25b 変形領域
25c 平坦駆動領域
25d 移動領域
26 接触指部
26a 接触領域
26b 内側頂部ライン
27 スライド可能湾曲部
31 共通接触体
31a コネクター接触部
31b 固定用開口部
32 第1選択接触体
32a コネクター接触部
32b 接触面
33 第2選択接触体
33a コネクター接触部
33b 接触面
33c 固定用開口部
34 固定用突出部
35 接触器
35a 固定領域
35b 変形領域
35c 駆動領域
36 固定用スロット
37 中央凹部
38 補強用ビード
39 長手方向凹部
40 接触指部
41 係合端部
42 取り付け用ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)共通接触体(4,21,31)と、
b)基本形状が板ばねであり、前記共通接触体(4,21,31)に電気が伝わる用に常に接続されている弾性変形可能な接触器(9,25,35)と、
c)前記接触器(9,25,35)の変形状態を変えるのに使用することができる駆動部材(18)と、
d)前記接触器(9,25,35)と協働する接触面(5b,6b;22b,23b;32b,33b)が配置されている第1選択接触体および第2選択接触体(5,6;22,23;32,33)と、
を備えており、
e)前記接触器(9,25,35)が、前記接触器に初期応力が係っているときは、前記第1選択接触体(5,55,32)とスイッチが入るように接触しているが、前記駆動部材(18)を動かした場合には、前記第2選択接触体(6,23,33)とスイッチが入るように接触し、
f)前記選択接触体(5,6;22,23;32,33)に配置した前記接触面(5b,6b;22b,23b;32b,33b)をスイッチが入るように接触させるために、前記接触器(9,25,35)に接触指部(13,14;26;40)が設けられており、前記接触指部が、前記接触器(9,25,35)の基本形状を形成する前記板ばねの面から突出しており、
g)前記接触指部(13,14;26;40)が、前記2つの選択接触体(5,6;22,23;32,33)の前記接触面(5b,6b;22b,23b;32b,33b)とともに共通接触面を幾何学的に形成し、前記接触指部(13,14;26;40)が前記共通接触面において、前記接触器(9,25,35)が変形したときに前記選択接触体(5,6;22,23;32,33)の接触面(5b,6b;22b,23b;32b,33b)をスライドしながら擦る、
ことを特徴とする電気スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチであって、
a)前記接触器(9,25,35)が、縦長い平坦な板ばねという基本形状から始まって、段付き形状部、U字形状部、または角付き形状部を有しており、
b)前記接触器(9,25,35)が、長手方向に延びて、前記長手方向に順に配列されている前記共通接触体(4,21,31)および前記2つの選択接触体(5,6;22,23;32,33)を横切っており、
c)前記接触器が取り付け領域(9a,25a,35a)と中央にある変形領域(9b,25b,35b)とを有し、前記変形領域が前記固定領域に隣接しているとともに補強された駆動領域(9c,25c,35c)に隣接しており、前記変形領域(9b,25b,35b)が、前記段付き形状部の中央領域、前記U字形状部の棒材部、前記角付き形状部の頂部領域で形成されており、
d)前記接触器(9,25,35)が、前記取り付け領域(9a,25a,35a)によって前記共通接触体(4,21,31)およびスイッチハウジングのベース(1)に留められており、かつ、前記接触器にかかっている初期応力により、前記補強駆動領域(9c,25c,35c)で前記駆動部材(18)に接触しており、
e)前記接触指部(13,14;26;40)が前記接触器(9,25,35)の前記駆動領域(9c,25c,35c)から出ている、
ことを特徴とする、スイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチであって、
さらに圧縮ばね(17)を有し、前記圧縮ばねが、前記駆動部材(18)および前記接触器(9,25,35)の前記駆動領域(9c,25c,35c)にかかる、前記接触器(9,25,35)の初期応力を補強するように作用する、スイッチ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のスイッチであって、
前記駆動領域(9c,25c,35c)が前記接触器(9,25,35)から横に曲げられた端部帯状部(12)によって、および/または、前記駆動領域(9c,25c,35c)にある少なくとも1つの補強用ビード(38)によって補強されており、前記端部帯状部と前記補強用ビードが共に前記接触器9,25,35)の長手方向に延びている、スイッチ。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチであって、
前記接触指部(13,14;26)が前記端部帯状部(12)から出て突出部を形成している、スイッチ。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチであって、
前記駆動領域(9c,25c,35c)が、前記接触器(9)の長手方向に延びている中央開口部(11)を有し、前記中央開口部の中に前記第1(5)および第2(6)の選択接触体が入っており、前記中央開口部(11)の長手方向側面に2対の接触指部(13,14)が設けられており、前記2対の接触指部の各々が、前記選択接触体(5,6)のうちの1つを両側からスイッチを入れるように挟むように設けられており、前記接触器(9)の変形状態と、前記変形状態によって決まる前記駆動領域(9c)の位置しだいで、前記第1選択接触体(5)および/または前記第2選択接触体(6)が電気が伝わるように前記接触器(9)に接続される、スイッチ。
【請求項7】
請求項6に記載のスイッチであって、
前記第1選択接触体(5)および前記第2選択接触体(6)が、平坦で板状の形状を有し、前記接触面(5b,6b)が、前記接触指部(13,14)が接触する前記第1および第2選択接触体の幅が広い側面に設けられており、前記接触器(9)および前記中央開口部(11)の長手方向に並べられている、スイッチ。
【請求項8】
請求項5に記載のスイッチであって、
a)前記接触器(25)の前記駆動領域(25c)が、前記中央変形領域(25b)の上にU字形状となるように、前記取り付け領域(25a)の方向へ曲げ戻されており、
b)前記取り付け領域(25)に配置された前記2つの端部帯状部(12)が、前記駆動領域(25c)の長手方向に前記駆動領域を越えて延びて、2つの接触指部(26)を形成しており、
c)前記2つの接触指部(26)が、前記2つの接触指部の間に配置された前記選択接触体(22,23)をフォーク状に挟み、
d)平坦かつ板状に形成された前記選択接触体(22,23)が、幅が広い方の側面に前記接触面(22b、23b)を前記接触指部(26)と協働させるために有している、
ことを特徴とするスイッチ。
【請求項9】
請求項8に記載のスイッチであって、
フォーク状に設けた前記2つの接触指部(26)が、前記駆動領域(25c)と前記固定領域(25a)の間の移行領域(25d)において、前記端部帯状部(12)から出て、前記駆動領域(25c)の自由端と反対方向に延びている、スイッチ。
【請求項10】
請求項4に記載のスイッチであって、
a)前記接触器(35)が縦長い形状を有し、前記接触器の取り付け領域(35a)が、前記変形領域(35b)を横切るように、前記駆動領域(35a)の方向へ曲げ戻されて、前記駆動領域に対して鋭角に延びており、
b)前記駆動領域(35a)から、前記駆動領域の自由端から出ている2つの長手方向凹部(39)により2つの接触指部(40)が端部側に分割されており、前記2つの接触指部(40)が前記駆動領域(35a)の他の部分の方向へ曲げ戻されており、
c)前記駆動領域(35a)の残りの部分は、補強用ビード(38)により補強されており、
d)前記第1選択接触体(32)および前記第2選択接触体(33)は接触面(32b,33b)を有し、前記接触面は、前記接触指部(40)と協働するように、前記接触器(35)の長手方向に対して横向きに延びており、
e)前記2つの接触指部(40)は、互いに間隔をおいて配置されており、常に、前記第1選択接触体(32)の接触面(32b)、または、前記第2選択接触体(33)の接触面(33b)と接続されるように配置されている、
ことを特徴とするスイッチ。
【請求項11】
請求項10に記載のスイッチであって、
平坦で板状の基本形状を有する選択接触体(32,33)を有し、前記接触面(32b,33b)が形成されている領域が、前記基礎形状から90°曲げられている、スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−95676(P2007−95676A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−250454(P2006−250454)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(506313763)チェリー ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】