説明

電気・電子部品用封止・充填剤および電気・電子部品

【課題】 室温で十分に硬化して、電気・電子部品の信頼性を向上させることができる電気・電子部品用封止・充填剤、および信頼性を有する電気・電子部品を提供する。
【解決手段】 少なくとも二液型のヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなり、室温で全ての成分を混合した直後の粘度を初期粘度としたとき、混合直後から、室温で、初期粘度の2倍の粘度に達するまでの時間が10分以上であり、室温で、初期粘度の5倍の粘度になった時から初期粘度の10倍の粘度に達するまでの時間が10分以内である電気・電子部品用封止・充填剤、および該封止・充填剤を室温で封止・充填してなる電気・電子部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品用封止・充填剤、およびこれを用いてなる電気・電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物により電気・電子部品を封止・充填することは公知である。このような組成物としては、例えば、ビニル基を有する分岐鎖状のオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる組成物(特開昭48−17847号公報参照)、ビニル基を有する分岐鎖状のオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる組成物(特開昭58−7452号公報参照)、ビニル基を有する分岐鎖状のオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端がビニル基で封鎖された直鎖状のオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン、およびヒドロシリル化反応用触媒からなる組成物(特公平3−19269号公報参照)が挙げられる。
【0003】
一般に、これらの組成物を加熱により硬化させるが、近年、電気・電子部品の封止・充填工程においては、地球環境を配慮し、CO排出量の削減を図るため、加熱工程を省略する検討がなされている。
【0004】
しかし、上記の組成物を室温で硬化させようとすると、硬化しなかったり、硬化しても所定の硬さに硬化しなかったり、また、この硬化物により封止・充填された電気・電子部品が信頼性試験等を受けた際に、硬化物の硬さが経時的に変化してしまい、電気・電子部品の信頼性を損なうという問題があった。
【特許文献1】特開昭48−17847号公報
【特許文献2】特開昭58−7452号公報
【特許文献3】特公平3−19269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、室温で十分に硬化して、電気・電子部品の信頼性を向上させることができる電気・電子部品用封止・充填剤を提供することにあり、延いては、信頼性を有する電気・電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気・電子部品用封止・充填剤は、少なくとも二液型のヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなり、室温で全ての成分を混合した直後の粘度を初期粘度としたとき、混合直後から、室温で、初期粘度の2倍の粘度に達するまでの時間が10分以上であり、室温で、初期粘度の5倍の粘度になった時から初期粘度の10倍の粘度に達するまでの時間が10分以内であることを特徴とする。
【0007】
このヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、A液とB液の二液型からなり、
前記A液が、
(a)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐鎖状または直鎖状のオルガノポリシロキサン、および
(b)分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン{本成分の含有量は、本組成物中の(a)成分のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量である。}
を含み、(c)ヒドロシリル化反応用触媒を含まないものであり、
前記B液が、
前記(a)成分、および前記(c)成分(触媒量)を含み、前記(b)成分を含まないものであることが好ましい。
【0008】
また、(a)成分は、少なくとも分子鎖末端にアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであることが好ましく、より具体的には、分子鎖末端のみにアルケニル基を有する分岐鎖状のオルガノポリシロキサンであり、特に、分子鎖末端のみにアルケニル基を有する少なくとも2種の分岐鎖状のオルガノポリシロキサンからなるものであることが好ましい。
【0009】
また、(a)成分が、分子鎖両末端と分子側鎖にアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の電気・電子部品は、上記の電気・電子部品用封止・充填剤を室温で封止・充填してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気・電子部品用封止・充填剤は、室温で十分に硬化して、電気・電子部品の信頼性を向上させることができるという特徴がある。また、本発明の電気・電子部品は、信頼性を有するという特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
はじめに、本発明の電気・電子部品用封止・充填剤を詳細に説明する。
この電気・電子部品用封止・充填剤は、少なくとも二液型のヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなり、室温で全ての成分を混合した直後の粘度を初期粘度としたとき、混合直後から、室温で、初期粘度の2倍の粘度に達するまでの時間が10分以上であり、室温で、初期粘度の5倍の粘度になった時から初期粘度の10倍の粘度に達するまでの時間が10分以内であることを特徴とする。
【0013】
この封止・充填剤は、室温で全ての成分を混合した直後から硬化反応が進行するものの、混合直後から、初期粘度の2倍の粘度に達するまでの時間が10分以上あるので、電気・電子部品の封止・充填工程において、電気・電子部品の狭い隙間や細かい部品を十分に封止・充填することができる。なお、室温とは、通常の温度を意味し、具体的には、10〜40℃の範囲であり、さらには、15〜35℃の範囲であり、好ましくは、20±5℃前後を意味している。この封止・充填剤の25℃における初期粘度の上限は特に限定されないが、好ましくは、15,000mPa・s以下であり、さらに好ましくは、10,000mPa・s以下であり、さらに好ましくは8,000mPa・s以下であり、より好ましくは5,000mPa・s以下であり、特に好ましくは、2,000mPa・s以下であり、一方、下限も特に限定されないが、好ましくは、10mPa・s以上であり、さらに好ましくは、50mPa・s以上であり、より好ましくは、100mPa・s以上であり、特に好ましくは、150mPa・s以上である。
【0014】
また、この封止・充填剤は、室温で、初期粘度の5倍の粘度になった時から初期粘度の10倍の粘度に達するまでの時間が10分以内であるので、硬化反応が急激に進行し、室温において速やかに硬化が完了することを特徴とする。このため、電気・電子部品の封止・充填工程での加熱工程を省略することができ、併せて、電気・電子部品に熱ストレスを与えないので、耐熱性の乏しい半導体素子、コンデンサ、電気抵抗器等の電気素子を実装した電気回路やモジュールを封止・充填することができる。
【0015】
この封止・充填剤を室温で硬化させて得られる硬化物の性状は特に限定されないが、ゲル状、低硬度のゴム状等を呈することが好ましい。特に、JIS K 2220に規定される1/4ちょう度が10〜150であるゲル状の硬化物を形成する封止・充填剤は、電気・電子部品の耐衝撃性や耐ヒートサイクル性を向上させることができる。
【0016】
この封止・充填剤は、少なくとも二液型のヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなり、例えば、二液型、三液型、四液型等が挙げられるが、二液型あるいは三液型であることが好ましく、特に、二液型であることが好ましい。二液型としては、例えば、A液とB液の二液型からなり、
前記A液が、
(a)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐鎖状または直鎖状のオルガノポリシロキサン、および
(b)分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン{本成分の含有量は、本組成物中の(a)成分のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量である。}
を含み、(c)ヒドロシリル化反応用触媒を含まないものであり、
前記B液が、
前記(a)成分、および前記(c)成分(触媒量)を含み、前記(b)成分を含まないものであることが好ましい。
【0017】
(a)成分は、上記封止・充填剤の主剤であり、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐鎖状または直鎖状のオルガノポリシロキサンである。(a)成分の25℃における粘度は特に限定されないが、好ましくは、10〜100,000mPa・sの範囲内である。これは、粘度が上記範囲の下限未満であると、得られる硬化物の物理的特性が低下する傾向があるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる封止・充填剤の取扱作業性が低下する傾向があるからである。
【0018】
分岐鎖状のオルガノポリシロキサンとは、分子構造が分岐鎖状もしくは一部分岐を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンのことであり、具体的には、分子構造中にRSiO3/2単位(Rは一価炭化水素基である。)および/またはSiO4/2単位を有するオルガノポリシロキサンのことである。この分岐鎖状のオルガノポリシロキサンは、単一の重合体であってもよく、また、少なくとも二種の混合物であってもよい。二種の分岐鎖状のオルガノポリシロキサンを用いる場合には、これらの比率は限定されないが、重量比で9:95〜95:5の範囲内であることが好ましく、さらに、10:90〜90:10の範囲内であることが好ましく、特に、20:80〜80:20の範囲内であることが好ましい。
【0019】
この分岐鎖状のオルガノポリシロキサンとしては、R2SiO2/2単位、RSiO3/2単位、およびR3SiO1/2単位からなる重合体が好ましい。これらの単位中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の一価炭化水素基が例示され、極少量の水酸基、さらにはメトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよいが、この重合体中の少なくとも2個のRはアルケニル基であることが必要である。また、これらの単位の比率は限定されないが、この重合体において、R2SiO2/2単位が80.00〜99.65モル%の範囲内の量であり、RSiO3/2単位が0.10〜10.00モル%の範囲内の量であり、および残りのモル%がR3SiO1/2単位であることが好ましい。
【0020】
また、他の分岐鎖状のオルガノポリシロキサンとしては、R2SiO2/2単位、SiO4/2単位、およびR3SiO1/2単位からなる重合体であってもよい。これらの単位中のRとしては、前記ど同様の一価炭化水素基であり、極少量の水酸基、さらにはメトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよいが、この重合体中の少なくとも2個のRはアルケニル基であることが必要である。また、これらの単位の比率は限定されないが、この重合体において、R2SiO2/2単位が80.00〜99.65モル%の範囲内の量であり、SiO4/2単位が0.10〜10.00モル%の範囲内の量であり、および残りのモル%がR3SiO1/2単位であることが好ましい。
【0021】
また、直鎖状のオルガノポリシロキサンとは、分子構造が直鎖状のオルガノポリシロキサンのことである。このオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の一価炭化水素基が例示され、少なくとも2個のアルケニル基を有することが必要である。このような直鎖状のオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、これらの重合体のメチル基の一部がエチル基、プロピル基等のメチル基以外のアルキル基や3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換された重合体、これらの重合体のビニル基がアリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のビニル基以外のアルケニル基で置換された重合体、およびこれらの重合体の2種以上の混合物が例示され、特に、分子鎖両末端および分子鎖側鎖にアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0022】
(b)成分は、上記封止・充填剤の架橋剤であり、分子鎖末端にケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンである。(b)成分の25℃における粘度は特に限定されないが、好ましくは、1〜10,000mPa・sの範囲内である。これは、粘度が上記範囲の下限未満であると、得られる硬化物の物理的特性が低下する傾向があり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる封止・充填剤の取扱作業性が低下する傾向があるからである。この(b)成分中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等のアルケニル基を除く一価炭化水素基が例示される。
【0023】
この(b)成分としては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、これらの重合体のメチル基の一部をエチル基、プロピル基等のメチル基以外のアルキル基や3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換した重合体、およびこれらの重合体の2種以上の混合物が例示され、特に、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0024】
上記組成物において、(b)成分の含有量は、(a)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルの範囲内となる量であり、好ましくは、0.5〜5モルの範囲内となる量であり、特に好ましくは、0.5〜2モルの範囲内となる量である。これは、(b)成分の含有量が、上記範囲の下限未満となる量であると、得られる封止・充填剤が十分に硬化しなくなる傾向があり、一方、上記の範囲の上限を超える量であると、得られる硬化物の物理的特性が低下する傾向があるからである。
【0025】
(c)成分は、上記封止・充填剤の硬化を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒である。このような(c)成分としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンの錯体、白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体、白金を担持した粉体等の白金系触媒;テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、パラジウム黒、トリフェニルフォスフィンとの混合物等のパラジウム系触媒;さらに、ロジウム系触媒が挙げられ、特に、白金系触媒であることが好ましい。
【0026】
上記封止・充填剤において、(c)成分の含有量は触媒量であり、具体的には、(c)成分として白金系触媒を用いた場合には、上記組成物中に、この触媒の白金金属が重量単位で0.01〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に、0.1〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0027】
また、上記封止・充填剤には、その他任意成分として、例えば、アセチレン化合物、有機リン化合物、ビニル基含有シロキサン化合物等のヒドロシリル化反応調節剤;ヒュームドシリカ、湿式シリカ、粉砕石英、酸化チタン、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、ケイ藻土、カーボンブラック等の無機充填剤、これらの無機質充填剤の表面を有機ケイ素化合物により疎水処理してなる無機充填剤;その他、難燃性添加剤、耐熱性添加剤、顔料、染料を含有してもよい。
【0028】
次に、本発明の電気・電子部品を詳細に説明する。
本発明の電気・電子部品は、上記の封止・充填剤により室温で封止・充填されてなることを特徴とする。この電気・電子部品として、具体的には、IC、ハイブリッドIC、LSI等の半導体素子、コンデンサ、電気抵抗器等の電気素子を実装した電気回路やモジュールをシリコーンゲルにより封止もしくは充填している、OA、情報、自動車、家電、FA等の分野で使用される各種モータ制御用パワーIC、電源分野で200VラインオペレートパワーIC、自動車分野でのランプ/ソレノイドドライブ用ハイサイドスイッチ等のパワーIC、複数個のパワー半導体素子を1つのパッケージに組み込んで、電流容量を大きくしたパワーモジュール、自動車用のイグナイターやレギュレータが挙げられ、特に好ましくは、パワーモジュールである。
【実施例】
【0029】
本発明の電気・電子部品用封止・充填剤および電気・電子部品を実施例・比較例により詳細に説明する。なお、実施例中の特性は25℃において測定した値である。また、電気・電子部品用封止・充填剤、および硬化物の特性を次のようにして測定した。
【0030】
[粘度]
二液型のヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物として、表1に記載した組成となるA液とB液を調製した。このA液とB液を混合した直後の粘度を回転粘度計(TOKIMEC社製DIGITAL VISCOMETER DVH−B−4II)により測定した。この粘度を初期粘度とした。次いで、25℃で定期的に粘度を測定し、混合直後から、初期粘度の2倍の粘度(2倍粘度)に達するまでの時間、25℃で、初期粘度の5倍の粘度(5倍粘度)になった時から初期粘度の10倍の粘度(10倍粘度)に達するまでの時間を求めた。これらの結果を表1に示した。
【0031】
[硬化物の1/4ちょう度]
50mlのガラスビーカーに電気・電子部品用封止・充填剤を静かに注いだ後、25℃で2倍粘度に達した時から30分後の硬化物の1/4ちょう度をJIS K 2220に規定の方法により測定した。また、2倍粘度に達してから120分後の硬化物の1/4ちょう度を同様にして測定した。この1/4ちょう度の変化から、硬化物が十分に硬化したかどうかを判断した。これらの結果を表1に示した。
【0032】
[実施例1〜6]
下記の成分を表1に示した組成で混合して、A液、B液を調製した。次いで、このA液とB液を25℃で混合して電気・電子部品用封止・充填剤を調製した。なお、表1中のSiH/SiCH=CH2は、この封止・充填剤中の成分a−1〜a−4中のアルケニル基の合計1モルに対する成分b中のケイ素原子結合水素原子のモル比を示している。
【0033】
成分a−1:
粘度が530mPa・sであり、(CH3)2SiO2/2単位94.8モル%、CH3SiO3/2単位2.6モル%、(CH3)3SiO1/2単位2.0モル%、および(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位0.6モル%からなる分岐鎖状のオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.22重量%)
成分a−2:
粘度が370mPa・sであり、(CH3)2SiO2/2単位94.5モル%、CH3SiO3/2単位2.7モル%、(CH3)3SiO1/2単位2.3モル%、および(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位0.5モル%からなる分岐鎖状のオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.18重量%)
成分a−3:
粘度が350mPa・sであり、(CH3)2SiO2/2単位97.6モル%、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位1.9モル%、およびSiO4/2単位0.5モル%からなる分岐鎖状のオルガノポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.69重量%)
成分a−4:
粘度が620mPa・sであり、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=1.21重量%)
成分b:
粘度が15mPa・sである分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.13重量%)
成分c:
白金濃度が0.5重量%である白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの錯体(ビニル基の含有量=2.48重量%)
成分d−1:
2−フェニル−3−ブチン−2−オール
成分d−2:
1−エチニル−1−シクロヘキサノール
【0034】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の電気・電子部品用封止・充填剤は、室温で十分に硬化し、電気・電子部品の信頼性を向上させることができるので、自動車用のパワーモジュールやコントロールユニット等の封止・充填剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二液型のヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなり、室温で全ての成分を混合した直後の粘度を初期粘度としたとき、混合直後から、室温で、初期粘度の2倍の粘度に達するまでの時間が10分以上であり、室温で、初期粘度の5倍の粘度になった時から初期粘度の10倍の粘度に達するまでの時間が10分以内である電気・電子部品用封止・充填剤。
【請求項2】
ヒドロシリル化反応硬化性オルガノポリシロキサン組成物が、A液とB液の二液型からなり、
前記A液が、
(a)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐鎖状または直鎖状のオルガノポリシロキサン、および
(b)分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン{本成分の含有量は、本組成物中の(a)成分のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量である。}
を含み、(c)ヒドロシリル化反応用触媒を含まないものであり、
前記B液が、
前記(a)成分、および前記(c)成分(触媒量)を含み、前記(b)成分を含まないものである、請求項1記載の電気・電子部品用封止・充填剤。
【請求項3】
(a)成分が、少なくとも分子鎖末端にアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである、請求項2記載の電気・電子部品用封止・充填剤。
【請求項4】
(a)成分が、分子鎖末端のみにアルケニル基を有する分岐鎖状のオルガノポリシロキサンである、請求項2記載の電気・電子部品用封止・充填剤。
【請求項5】
(a)成分が、分子鎖末端のみにアルケニル基を有する少なくとも2種の分岐鎖状のオルガノポリシロキサンからなる、請求項2記載の電気・電子部品用封止・充填剤。
【請求項6】
(a)成分が、分子鎖両末端と分子側鎖にアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンである、請求項2記載の電気・電子部品用封止・充填剤。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気・電子部品用封止・充填剤を室温で封止・充填してなる電気・電子部品。

【公開番号】特開2010−106223(P2010−106223A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282604(P2008−282604)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】