電気光学装置、電子機器、電気光学装置用のデータ転送回路および電気光学装置の駆動方法
【課題】電気光学素子の駆動に用いられる回路に伝送される信号の遅延を抑制する。
【解決手段】複数のデータ線駆動回路30a、30b、30cの各々に対応して複数の変換回路50a、50b、50cが基板11上に設けられ、複数の変換回路50の各々は、当該変換回路50に対応するデータ線駆動回路30に対応する画素回路Pの階調を指定する差動形式の画像信号DLをシングルエンド形式の画像信号DSに変換したうえで対応するデータ線駆動回路30に供給する。
【解決手段】複数のデータ線駆動回路30a、30b、30cの各々に対応して複数の変換回路50a、50b、50cが基板11上に設けられ、複数の変換回路50の各々は、当該変換回路50に対応するデータ線駆動回路30に対応する画素回路Pの階調を指定する差動形式の画像信号DLをシングルエンド形式の画像信号DSに変換したうえで対応するデータ線駆動回路30に供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学素子を用いた電気光学装置、電子機器、電気光学装置用のデータ転送回路および電気光学装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列に接続された複数のデータ線駆動回路を液晶などの電気光学素子の駆動に利用する電気光学装置が各種提案されている。例えば、特許文献1の液晶表示装置においては、複数のデータ線駆動回路の各々は直列に接続(カスケード接続)されるとともに、伝送される信号の波形を整形するためのバッファ回路が複数のデータ線駆動回路の各々の間に介在する。制御回路から出力される差動形式の画像データ信号(例えばLVDS信号からなる画像信号)は差動レシーバにてシングルエンド形式の画像信号(例えばCMOS信号からなる画像信号)に変換されたうえで各データ線駆動回路に順次転送される。
【特許文献1】特開2005―284217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1においては、各データ線駆動回路の各々の間にはシングルエンド形式の画像信号を伝送するための伝送線路が設けられるが、これらの伝送線路はガラスなどで形成された基板上に設けられるために抵抗値が高い。このため、複数のデータ線駆動回路の各々の間にバッファ回路を介在させても、各データ線駆動回路に伝送される信号が遅延するという問題があった。
以上の事情に鑑みて、本発明は、電気光学素子の駆動に用いられる回路に伝送される信号の遅延を抑制するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群のデータ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応するデータ線駆動回路へ供給する複数の変換回路と、差動形式の画像信号を複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を具備する。
【0005】
この態様によれば、複数のデータ線駆動回路の各々は、当該データ線駆動回路に対応する変換回路からシングルエンド形式の画像信号の供給を受けるから、各データ線駆動回路の各々の間にシングルエンド形式の画像信号を伝送するための伝送線路を設ける必要は無い。すなわち、複数のデータ線駆動回路が直列に接続される態様に比べて、各データ線駆動回路に伝送される信号が遅延することを抑制できる。
【0006】
本発明に係る電気光学装置の好適な態様として、複数のデータ線群と、複数の電気光学素子と、複数のデータ線駆動回路と、複数の変換回路とは基板上に設けられ、画像信号線は基板上に実装される配線基板に設けられる。この態様によれば、画像信号線はフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit)などに設けられるから、理想的な伝送線路上で高速かつ信頼性の高いデータ伝送が可能である。また、本発明に係る電気光学装置の好適な態様として、複数のデータ線駆動回路の各々は、当該データ線駆動回路に対応する変換回路の出力側にて直列に接続される複数の駆動回路と、複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む。この態様においても、複数のデータ線駆動回路が直列に接続される態様に比べて、各データ線駆動回路に伝送される信号が遅延することを抑制できるという利点がある。
【0007】
また、本発明に係る電気光学装置は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第2の変換回路と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号を第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、第2の基板に設けられるとともに差動信号転送手段から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第2の基板における駆動回路に供給する第3の変換回路と、を具備する。
【0008】
この態様によれば、第1の基板には、画像信号線から供給される差動形式の画像信号を第2の基板へ転送する差動信号転送手段が設けられるから、第1の基板における第2の変換回路および第2の基板における第3の変換回路が画像信号線に対して並列に接続される態様と比べて、第2の基板における第3の変換回路に供給される差動形式の画像信号の波形に鈍りが発生することを抑制できるという利点がある。
【0009】
さらに、本発明に係る電気光学装置は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第4の変換回路と、第1の基板における第4の変換回路の出力側に設けられ、第4の変換回路から供給されるシングルエンド形式の画像信号を第2の基板における駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を具備する。
【0010】
この態様によれば、第4の変換回路から供給されるシングルエンド形式の画像信号を第2の基板における駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段が第1の基板に設けられるから、差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換する変換回路を第2の基板上に設ける必要が無い。従って、構成が簡素化されるという利点がある。
【0011】
また、本発明に係る電気光学装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、電気光学装置を表示装置として利用した機器である。この種の機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成する構成の画像形成装置(印刷装置)においては、像担持体を露光する手段(いわゆる露光ヘッド)として本発明の電気光学装置を採用することもできる。
【0012】
本発明に係る電気光学装置用のデータ転送回路は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群のデータ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応するデータ線駆動回路へ出力する複数の変換回路と、差動形式の画像信号を複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を備える。
【0013】
本発明に係るデータ転送回路の好適な態様として、複数のデータ線群と、複数の電気光学素子と、複数のデータ線駆動回路と、複数の変換回路とは基板上に設けられ、画像信号線は基板上に実装される配線基板に設けられる。また、本発明に係るデータ転送回路の好適な態様として、複数のデータ線駆動回路の各々は、当該データ線駆動回路に対応する変換回路の出力側にて直列に接続される複数の駆動回路と、複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む。
【0014】
本発明に係るデータ転送回路は、データ信号が供給される複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、が設けられる第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第2の変換回路と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号を第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、第2の基板に設けられるとともに差動信号転送手段から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第2の基板における駆動回路に供給する第3の変換回路と、を備える。
【0015】
また、本発明に係るデータ転送回路は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、を各々が含む第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線に接続され、画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第4の変換回路と、第1の基板における第4の変換回路の出力側に設けられ、第4の変換回路から供給されるシングルエンド形式の画像信号を第2の基板における駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を備える。
【0016】
次に、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群のデータ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、を具備する電気光学装置の駆動方法であって、差動形式の画像信号を複数のデータ線駆動回路の各々に伝送するとともに、当該データ線駆動回路に対応する差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで当該データ線駆動回路へ供給する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<A:第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。この電気光学装置10は、画像を表示するための手段として各種の電子機器に採用される装置であり、複数の画素回路Pが面状に配列された画素アレイ部100と、各画素回路Pを駆動する走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30a、30b、30cと、制御回路40とを有する。本実施形態においては、図1に示すように、画素アレイ部100と走査線駆動回路20とデータ線駆動回路30a、30b、30cとはガラスで形成される基板11上に配置される。走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30a、30b、30cは基板11上に形成される複数の薄膜トランジスタで構成される(いわゆるシステム・オン・グラス(SOG)方式)。
【0018】
図1に示すように、画素アレイ部100には、X方向に延在するm本の走査線102と、X方向に直交するY方向に延在する3n本のデータ線104とが設けられる(mおよびnは自然数)。各画素回路Pは、走査線102とデータ線104との交差に対応する位置に配置される。従って、これらの画素回路Pは縦m行×横3n列のマトリクス状に配列する。各画素回路Pは、間隔をあけて対向する画素電極および対向電極と両者間の液晶とで構成される液晶素子を含む。
【0019】
走査線駆動回路20は、m本の走査線102の各々を順次選択(複数の画素回路Pを行単位で選択)する回路である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態においては、3n本のデータ線104は、n本のデータ線104を各々が含む3つのデータ線群U1、U2、U3に区分される。データ線群U1は、左から数えて1、2、・・・、n番目のデータ線104から構成される。データ線群U2は、左から数えてn+1、n+2、・・・、2n番目のデータ線104から構成される。データ線群U3は、左から数えて2n+1、2n+2、・・・、3n番目のデータ線104から構成される。本実施形態においては、データ線群U1〜U3の各々に対応してデータ線駆動回路30a、30b、30cが設けられる。データ線駆動回路30aはデータ線群U1に対応し、データ線駆動回路30bはデータ線群U2に対応し、データ線駆動回路30cは、データ線群U3に対応するという具合である。
【0021】
データ線駆動回路30a、30b、30cは、当該データ線駆動回路30に対応するデータ線群Uの各データ線104にデータ信号dを供給する。例えばデータ線駆動回路30aは、データ線群U1における各データ線104にデータ信号dを供給する。図1に示すように、第j列目(1≦j≦3n)のデータ線104に供給されるデータ信号dをdjと表記する。第j列目のデータ線104に供給されるデータ信号djは、走査線駆動回路20が選択した走査線102に対応する1行分の3n個の画素回路Pのうち当該データ線104に接続された画素回路Pの階調に応じて電圧値が指定された信号である。
【0022】
図1に示すように、基板11上には、データ線駆動回路30a、30b、30cの各々に対応する変換回路50a、50b、50cが配置される。変換回路50aはデータ線駆動回路30aに対応し、変換回路50bはデータ線駆動回路30bに対応し、変換回路50cはデータ線駆動回路30cに対応するという具合である。
【0023】
制御回路40は、画像信号DLおよび制御信号CLを出力する。画像信号Dは、各画素回路Pの階調を時分割で指定する信号である。制御信号Cは、各データ線駆動回路30の動作を制御する信号である(例えばスタートパルス信号やクロック信号など)。本実施形態においては、制御回路40が出力する画像信号DLおよび制御信号CLは差動形式の信号である(例えばLVDS(Low Voltage Differential Signal)信号)。差動形式の信号とは、2つの信号の電位差で信号レベルが決定される信号である。
【0024】
制御回路40が出力する差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは、差動信号伝送線路60を介して変換回路50a、50b、50cに供給される。差動信号伝送線路60は、基板11に実装されるフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit、以下「FPC」という)70に設けられる。図1に示すように、変換回路50a、50b、50cは、FPC70上の差動信号伝送線路60に対して並列に接続される。
【0025】
変換回路50a、50b、50cは、差動信号伝送線路60から供給される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLをシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換したうえで対応するデータ線駆動回路30へ供給する。シングルエンド形式の信号とは、基準電位(例えば接地電位0V)に対する信号の電圧レベルで信号のハイレベルおよびローレベルが決まる信号(例えばCMOS信号)である。
【0026】
図2は、データ線駆動回路30aの詳細な構成を示すブロック図である。データ線駆動回路30a、30b、30cは同一の構成であるから、ここでは、データ線駆動回路30aを例にして説明する。図2に示すように、データ線駆動回路30aは、n個の出力回路P(P1、P2、・・・、Pn)と、取込指示回路31とを有する。n個の出力回路Pは、データバス32に共通に接続される。データバス32には、変換回路50aからシングルエンド形式の画像信号DSが供給される。左から数えてi番目(1≦i≦n)の出力回路Piの出力側には左から数えてi列目のデータ線104が接続される。
【0027】
取込指示回路31には、変換回路50aからシングルエンド形式の制御信号CSが供給される。取込指示回路31は、制御信号CSに応じて取込指示信号S(S1〜Sn)を各出力回路Pに供給する。各出力回路Pは、当該出力回路Pに対応する取込指示信号Sが取込指示回路31から供給されると、画像信号DSをデータバス32から取り込む。そして、各出力回路Pは、取り込んだデジタルデータの画像信号DSに応じたアナログのデータ信号d(例えば電圧)を生成して対応するデータ線104に供給する。各出力回路Pで生成されたデータ信号dは、選択された走査線102とデータ線駆動回路30aに対応する各データ線104との交差に対応して配置された画素回路Pに供給され、各画素回路Pに含まれる液晶素子は当該画素回路Pに供給されるデータ信号dに応じた輝度で発光する。
【0028】
なお、各データ線駆動回路30の取込指示回路31が当該データ線駆動回路30におけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sを供給する期間は重複しない。例えば、初段のデータ線駆動回路30aの取込指示回路31がデータ線駆動回路30aにおけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sを供給している期間は、2段目以降のデータ線駆動回路30の取込指示回路31は当該データ線駆動回路30におけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sの供給を行わない。そして、初段のデータ線駆動回路30aのn個の出力回路Pが対応する画像信号Dの取り込みを完了すると、次段のデータ線駆動回路30bの取込指示回路31がデータ線駆動回路30bにおけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sの供給を開始するという具合である。
【0029】
図3は、ひとつの変換回路50の出力側に複数のデータ線駆動回路30が直列に接続されるとともに、複数のデータ線駆動回路30の各々の間にバッファ回路80が介在する態様(以下「対比例」という)を示すブロック図である。対比例においては、制御回路40から供給される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50にてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されたうえで初段のデータ線駆動回路30aに供給され、初段のデータ線駆動回路30aから2段目以降のデータ線駆動回路30に順次転送されていく。対比例においては、画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を各データ線駆動回路30の各々の間に設ける必要があるが、これらの伝送線路はガラスで形成された基板11上に設けられるために抵抗値が高い。このため、複数のデータ線駆動回路30の各々の間にバッファ回路80を介在させても、各データ線駆動回路30に伝送される信号が遅延するという問題が発生する。
【0030】
これに対して、本実施形態においては、図1に示すように、複数のデータ線駆動回路30a、30b、30cの各々に対応して複数の変換回路50a、50b、50cが設けられ、複数の変換回路50の各々は、当該変換回路50に対応するデータ線駆動回路30に対応する画素回路Pの階調を指定する差動形式の画像信号DLをシングルエンド形式の画像信号DSに変換したうえで対応するデータ線駆動回路30に供給する。本実施形態においては、複数のデータ線駆動回路30の各々は、当該データ線駆動回路30に対応する変換回路50から画像信号DSおよび制御信号CSの供給を受けるから、対比例とは異なり、画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を複数のデータ線駆動回路30の各々の間に設ける必要がない。これにより、各データ線駆動回路30に供給される画像信号DSおよび制御信号CSが遅延することを対比例に比べて抑制できるという利点がある。また、本実施形態において、差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLが供給される差動信号伝送線路60は、基板11に実装されるFPC70上に設けられるから、理想的な伝送線路上で高速かつ信頼性の高いデータ伝送が可能である。
【0031】
<B:第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態においては、4n本のデータ線104が2n本のデータ線104を1単位とするデータ線群U1、U2に区分されるとともに、データ線群U1、U2の各々に対応してデータ線駆動回路30a、30bが設けられる。データ線駆動回路30aはデータ線群U1に対応し、データ線駆動回路30bはデータ線群U2に対応する。また、図4に示すように、変換回路50aがデータ線駆動回路30aに対応して設けられ、変換回路50bがデータ線駆動回路30bに対応して設けられる。制御回路40が出力する差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは、差動信号伝送線路60を介して変換回路50a、50bに供給される。差動信号伝送線路60は、基板11に実装されるFPC70に設けられる。図4に示すように、変換回路50aおよび50bは、FPC70上の差動信号伝送線路60に対して並列に接続される。
【0032】
図4に示すように、データ線駆動回路30aは、変換回路50aの出力側に直列に接続される駆動回路32aおよび駆動回路32bと、駆動回路32aと駆動回路32bとの間に介在するバッファ回路34aとを含む。駆動回路32aは、1列目のデータ線104からn列目のデータ線104に対応し、駆動回路32bは、n+1列目のデータ線104から2n列目のデータ線104に対応する。制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50aにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路32aに供給され、初段の駆動回路32aからバッファ回路34aを介して次段の駆動回路32bへ転送される。バッファ回路34aは、画像信号DSおよび制御信号CSの波形を整形する手段である。なお、駆動回路32aの構成は、図2に示すデータ線駆動回路30aの構成と同様である。
【0033】
同様に、データ線駆動回路30bは、変換回路50bの出力側に直列に接続される駆動回路32cおよび駆動回路32dと、駆動回路32cと駆動回路32dとの間に介在するバッファ回路34bとを含む。駆動回路32cは、2n+1列目のデータ線104から3n列目のデータ線104に対応し、駆動回路32dは、3n+1列目のデータ線104から4n列目のデータ線104に対応する。制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50bにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路32cに供給され、初段の駆動回路32cからバッファ回路34bを介して次段の駆動回路32dへ転送される。
【0034】
本実施形態においても、第1実施形態と同様、複数のデータ線駆動回路30同士が直列に接続されないから、画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を複数のデータ線駆動回路30の各々の間に設ける必要がない。これにより、各データ線駆動回路30に供給される画像信号DSおよび制御信号CSが遅延することを対比例に比べて抑制できるという利点がある。
【0035】
<C:第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態に係る電気光学装置10は、第1の表示体13と第2の表示体15とを含む。第1の表示体13は、画素アレイ部100aと、走査線駆動回路20aと、データ線駆動回路30aと、変換回路50aと、差動信号転送回路90とが第1の基板11a上に設けられる構成である。画素アレイ部100aに配置された2n本のデータ線104はn本のデータ線104を1単位とするデータ線群U1、U2に区分される。
【0036】
データ線駆動回路30aは、変換回路50aの出力側に直列に接続される駆動回路36aおよび駆動回路36bと、駆動回路36aと駆動回路36bとの間に介在するバッファ回路38aとを含む。駆動回路36aは、データ線群U1の各データ線104にデータ信号dを供給し、駆動回路36bは、データ線群U2の各データ線104にデータ信号dを供給する。制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50aにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路36aに供給され、初段の駆動回路36aからバッファ回路38aを介して次段の駆動回路32bへ転送される。なお、駆動回路36の構成は、図2に示すデータ線駆動回路30の構成と同様である。
【0037】
図5に示すように、第2の表示体15は、画素アレイ部100bと、走査線駆動回路20bと、データ線駆動回路30bと、変換回路50bとが第2の基板11b上に設けられる構成である。画素アレイ部100bに配置された2n本のデータ線104はn本のデータ線104を1単位とするデータ線群U3、U4に区分される。データ線駆動回路30bは、変換回路50bの出力側に直列に接続される駆動回路36cおよび駆動回路36dと、駆動回路36cと駆動回路36dとの間に介在するバッファ回路38bとを含む。駆動回路36cは、データ線群U3の各データ線104にデータ信号dを供給し、駆動回路36dは、データ線群U4の各データ線104にデータ信号dを供給する。
【0038】
第1の基板11a上に設けられた差動信号転送回路90は、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLを第2の表示体15へ転送する手段である。図5に示すように、制御回路40から出力される画像信号DLおよび制御信号CLは、差動信号伝送線路60を介して差動信号転送回路90に供給され、差動信号転送回路90から第2の差動信号伝送線路61を介して第2の基板11b上の変換回路50bに供給される。第2の差動信号伝送線路61は、第1の基板11aおよび第2の基板11bに実装される第2のFPC71に設けられる。
【0039】
第2の差動信号伝送線路61を介して第2の基板11bへ供給される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは、第2の基板11b上の変換回路50bにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路36cに供給され、初段の駆動回路36cからバッファ回路38bを介して次段の駆動回路36dへ転送される。
【0040】
図6は、第1の基板11上に差動信号転送回路90を設けずに、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLが差動信号伝送線路60を介して第2の基板11b上の変換回路50bに供給される態様(以下「対比例2」という)を示すブロック図である。図6に示すように、対比例2においては、差動信号伝送線路60が設けられるFPC70が第1の基板11aおよび第2の基板11bに実装される。
【0041】
図6に示す対比例2の構成では、制御回路40から第2の基板11b上の変換回路50bに至る差動信号伝送線路60の線路長は、制御回路40から第1の基板11a上の変換回路50aに至る差動信号伝送線路60の線路長よりも大きいから、線路抵抗も大きい。従って、制御回路40から第2の基板11b上の変換回路50bに至る差動信号伝送線路60に付随する抵抗や容量に起因して、第2の基板11上の変換回路50bに供給される画像信号DLおよび制御信号CLの波形に鈍りが発生するという問題が起こる。また、画像信号DLおよび制御信号CLの波形の鈍りを解消するためには、制御回路40の出力値を増大させる必要があるため、制御回路40の負荷が増大してしまうという問題もある。
【0042】
これに対して、本実施形態においては、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLを第2の表示体15へ転送する差動信号転送回路90が第1の基板11a上に設けられることにより、制御回路40の出力値を増大させることなく、第2の基板11b上の変換回路50bへ供給される画像信号DLおよび制御信号CLの波形が鈍ることを抑制できる。従って、本実施形態によれば、制御回路40から第2の基板11上の変換回路50bへ供給される画像信号DLおよび制御信号CLの波形の鈍りを対比例2に比べて抑制できるとともに、制御回路40の負荷を対比例2に比べて軽減できるという利点がある。
【0043】
<D:第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、変換回路50aから供給されるシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSを第2の基板11bのデータ線駆動回路30bへ転送するシングルエンド信号転送回路92が第1の基板11aに設けられ、第2の基板11bには変換回路50が設けられない点で上述の第3実施形態と異なる。その他の構成は第3実施形態の構成と同じであるから、重複する部分については説明を省略する。
【0044】
図7に示すように、シングルエンド信号転送回路92は、変換回路50aの出力側に設けられる。シングルエンド信号転送回路92は、変換回路50aから供給されるシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSをシングルエンド信号伝送線路62に供給する。シングルエンド信号転送回路92からシングルエンド信号伝送線路62に供給された画像信号DSおよび制御信号CSは、第2の基板11b上の初段の駆動回路36cに供給され、初段の駆動回路36cからバッファ回路38bを介して次段の駆動回路36dへ転送される。図7に示すように、シングルエンド信号伝送線路62は、第1の基板11aおよび第2の基板11bに実装される第3のFPC72上に設けられる。
【0045】
本実施形態においては、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは第1の基板11a上の変換回路50aにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換され、変換後の画像信号DSおよび制御信号CSがシングルエンド信号転送回路92を介して第2の基板11bにおける駆動回路36に供給されるから、第3実施形態と異なり、第2の基板11b上に変換回路50を設ける必要が無い。従って、本実施形態によれば、第3実施形態に比べて構成が簡素化されるという利点がある。
【0046】
<E:変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0047】
(1)変形例1
データ線群Uの数、データ線駆動回路30の数および変換回路50の数は任意である。また、ひとつのデータ線群Uに含まれるデータ線104の本数も任意である。要するに、本発明の具体的な形態においては、複数のデータ線104を各々が含む複数のデータ線群Uの各々に対応して複数のデータ線駆動回路30が設けられるとともに、複数のデータ線駆動回路30の各々に対応する複数の変換回路50が設けられる態様であればよい。
【0048】
(2)変形例2
第2実施形態においては、データ線駆動回路30a、30bの各々は、2つの駆動回路32と、2つの駆動回路32の間に介在するひとつのバッファ回路34とを備える態様が例示されているが、データ線駆動回路30に含まれる駆動回路32およびバッファ回路34の数は任意である。また、第2実施形態においては、駆動回路32の間にバッファ回路34が介在する態様が例示されているが、複数の駆動回路32の各々の間に設けられてシングルエンド形式の信号を各駆動回路32に伝送する信号中継手段の態様は任意である。
【0049】
(3)変形例3
第3実施形態および第4実施形態では、ひとつの変換回路50について、複数の駆動回路36が設けられる態様が例示されているが、例えば第1実施形態の構成と同様に、複数の駆動回路36ごとに変換回路50を配置した態様とすることもできる。この態様によれば、ひとつの基板11上に配置された複数の駆動回路36の各々の間に画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を設ける必要がないから、各駆動回路36に供給される画像信号DSおよび制御信号CSが遅延することを第3実施形態および第4実施形態に比べて抑制できるという利点がある。
【0050】
(4)変形例4
上述の各実施形態においては、各画素回路Pが液晶素子を含む態様が例示されているが、これに限らず、各画素回路Pに含まれる電気光学素子は任意に変更が可能である。例えば、各画素回路Pが有機発光ダイオード素子を含む態様とすることもできるし、無機発光ダイオードやLED(Light Emitting Diode)を含む態様とすることもできる。
【0051】
<F:応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置10を利用した電子機器について説明する。図8は、以上に説明した何れかの形態に係る電気光学装置10を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての電気光学装置10と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この電気光学装置10は電気光学素子11にOLED素子を使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0052】
図9に、実施形態に係る電気光学装置10を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0053】
図10に、実施形態に係る電気光学装置10を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置10に表示される。
【0054】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図8から図10に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の電気光学装置は利用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るデータ線駆動回路の詳細な構成を示す図である。
【図3】対比例に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図6】対比例2に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第4実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10……電気光学装置、11……基板、20……走査線駆動回路、30……データ線駆動回路、32……駆動回路、34……バッファ回路、36……駆動回路、38……バッファ回路、40……制御回路、50……変換回路、60……差動信号伝送線路、70……FPC、80……バッファ回路、104……データ線、C……制御信号、D……画像信号、d……データ信号、P……画素回路、U……データ線群。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学素子を用いた電気光学装置、電子機器、電気光学装置用のデータ転送回路および電気光学装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列に接続された複数のデータ線駆動回路を液晶などの電気光学素子の駆動に利用する電気光学装置が各種提案されている。例えば、特許文献1の液晶表示装置においては、複数のデータ線駆動回路の各々は直列に接続(カスケード接続)されるとともに、伝送される信号の波形を整形するためのバッファ回路が複数のデータ線駆動回路の各々の間に介在する。制御回路から出力される差動形式の画像データ信号(例えばLVDS信号からなる画像信号)は差動レシーバにてシングルエンド形式の画像信号(例えばCMOS信号からなる画像信号)に変換されたうえで各データ線駆動回路に順次転送される。
【特許文献1】特開2005―284217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1においては、各データ線駆動回路の各々の間にはシングルエンド形式の画像信号を伝送するための伝送線路が設けられるが、これらの伝送線路はガラスなどで形成された基板上に設けられるために抵抗値が高い。このため、複数のデータ線駆動回路の各々の間にバッファ回路を介在させても、各データ線駆動回路に伝送される信号が遅延するという問題があった。
以上の事情に鑑みて、本発明は、電気光学素子の駆動に用いられる回路に伝送される信号の遅延を抑制するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群のデータ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応するデータ線駆動回路へ供給する複数の変換回路と、差動形式の画像信号を複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を具備する。
【0005】
この態様によれば、複数のデータ線駆動回路の各々は、当該データ線駆動回路に対応する変換回路からシングルエンド形式の画像信号の供給を受けるから、各データ線駆動回路の各々の間にシングルエンド形式の画像信号を伝送するための伝送線路を設ける必要は無い。すなわち、複数のデータ線駆動回路が直列に接続される態様に比べて、各データ線駆動回路に伝送される信号が遅延することを抑制できる。
【0006】
本発明に係る電気光学装置の好適な態様として、複数のデータ線群と、複数の電気光学素子と、複数のデータ線駆動回路と、複数の変換回路とは基板上に設けられ、画像信号線は基板上に実装される配線基板に設けられる。この態様によれば、画像信号線はフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit)などに設けられるから、理想的な伝送線路上で高速かつ信頼性の高いデータ伝送が可能である。また、本発明に係る電気光学装置の好適な態様として、複数のデータ線駆動回路の各々は、当該データ線駆動回路に対応する変換回路の出力側にて直列に接続される複数の駆動回路と、複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む。この態様においても、複数のデータ線駆動回路が直列に接続される態様に比べて、各データ線駆動回路に伝送される信号が遅延することを抑制できるという利点がある。
【0007】
また、本発明に係る電気光学装置は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第2の変換回路と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号を第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、第2の基板に設けられるとともに差動信号転送手段から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第2の基板における駆動回路に供給する第3の変換回路と、を具備する。
【0008】
この態様によれば、第1の基板には、画像信号線から供給される差動形式の画像信号を第2の基板へ転送する差動信号転送手段が設けられるから、第1の基板における第2の変換回路および第2の基板における第3の変換回路が画像信号線に対して並列に接続される態様と比べて、第2の基板における第3の変換回路に供給される差動形式の画像信号の波形に鈍りが発生することを抑制できるという利点がある。
【0009】
さらに、本発明に係る電気光学装置は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第4の変換回路と、第1の基板における第4の変換回路の出力側に設けられ、第4の変換回路から供給されるシングルエンド形式の画像信号を第2の基板における駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を具備する。
【0010】
この態様によれば、第4の変換回路から供給されるシングルエンド形式の画像信号を第2の基板における駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段が第1の基板に設けられるから、差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換する変換回路を第2の基板上に設ける必要が無い。従って、構成が簡素化されるという利点がある。
【0011】
また、本発明に係る電気光学装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、電気光学装置を表示装置として利用した機器である。この種の機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成する構成の画像形成装置(印刷装置)においては、像担持体を露光する手段(いわゆる露光ヘッド)として本発明の電気光学装置を採用することもできる。
【0012】
本発明に係る電気光学装置用のデータ転送回路は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群のデータ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応するデータ線駆動回路へ出力する複数の変換回路と、差動形式の画像信号を複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を備える。
【0013】
本発明に係るデータ転送回路の好適な態様として、複数のデータ線群と、複数の電気光学素子と、複数のデータ線駆動回路と、複数の変換回路とは基板上に設けられ、画像信号線は基板上に実装される配線基板に設けられる。また、本発明に係るデータ転送回路の好適な態様として、複数のデータ線駆動回路の各々は、当該データ線駆動回路に対応する変換回路の出力側にて直列に接続される複数の駆動回路と、複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む。
【0014】
本発明に係るデータ転送回路は、データ信号が供給される複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、が設けられる第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第2の変換回路と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線から供給される差動形式の画像信号を第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、第2の基板に設けられるとともに差動信号転送手段から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第2の基板における駆動回路に供給する第3の変換回路と、を備える。
【0015】
また、本発明に係るデータ転送回路は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群におけるデータ線に供給する複数の駆動回路と、を各々が含む第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、第1の基板に設けられるとともに画像信号線に接続され、画像信号線から供給される差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで第1の基板における駆動回路に供給する第4の変換回路と、第1の基板における第4の変換回路の出力側に設けられ、第4の変換回路から供給されるシングルエンド形式の画像信号を第2の基板における駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を備える。
【0016】
次に、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群のデータ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、を具備する電気光学装置の駆動方法であって、差動形式の画像信号を複数のデータ線駆動回路の各々に伝送するとともに、当該データ線駆動回路に対応する差動形式の画像信号をシングルエンド形式の画像信号に変換したうえで当該データ線駆動回路へ供給する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<A:第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。この電気光学装置10は、画像を表示するための手段として各種の電子機器に採用される装置であり、複数の画素回路Pが面状に配列された画素アレイ部100と、各画素回路Pを駆動する走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30a、30b、30cと、制御回路40とを有する。本実施形態においては、図1に示すように、画素アレイ部100と走査線駆動回路20とデータ線駆動回路30a、30b、30cとはガラスで形成される基板11上に配置される。走査線駆動回路20およびデータ線駆動回路30a、30b、30cは基板11上に形成される複数の薄膜トランジスタで構成される(いわゆるシステム・オン・グラス(SOG)方式)。
【0018】
図1に示すように、画素アレイ部100には、X方向に延在するm本の走査線102と、X方向に直交するY方向に延在する3n本のデータ線104とが設けられる(mおよびnは自然数)。各画素回路Pは、走査線102とデータ線104との交差に対応する位置に配置される。従って、これらの画素回路Pは縦m行×横3n列のマトリクス状に配列する。各画素回路Pは、間隔をあけて対向する画素電極および対向電極と両者間の液晶とで構成される液晶素子を含む。
【0019】
走査線駆動回路20は、m本の走査線102の各々を順次選択(複数の画素回路Pを行単位で選択)する回路である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態においては、3n本のデータ線104は、n本のデータ線104を各々が含む3つのデータ線群U1、U2、U3に区分される。データ線群U1は、左から数えて1、2、・・・、n番目のデータ線104から構成される。データ線群U2は、左から数えてn+1、n+2、・・・、2n番目のデータ線104から構成される。データ線群U3は、左から数えて2n+1、2n+2、・・・、3n番目のデータ線104から構成される。本実施形態においては、データ線群U1〜U3の各々に対応してデータ線駆動回路30a、30b、30cが設けられる。データ線駆動回路30aはデータ線群U1に対応し、データ線駆動回路30bはデータ線群U2に対応し、データ線駆動回路30cは、データ線群U3に対応するという具合である。
【0021】
データ線駆動回路30a、30b、30cは、当該データ線駆動回路30に対応するデータ線群Uの各データ線104にデータ信号dを供給する。例えばデータ線駆動回路30aは、データ線群U1における各データ線104にデータ信号dを供給する。図1に示すように、第j列目(1≦j≦3n)のデータ線104に供給されるデータ信号dをdjと表記する。第j列目のデータ線104に供給されるデータ信号djは、走査線駆動回路20が選択した走査線102に対応する1行分の3n個の画素回路Pのうち当該データ線104に接続された画素回路Pの階調に応じて電圧値が指定された信号である。
【0022】
図1に示すように、基板11上には、データ線駆動回路30a、30b、30cの各々に対応する変換回路50a、50b、50cが配置される。変換回路50aはデータ線駆動回路30aに対応し、変換回路50bはデータ線駆動回路30bに対応し、変換回路50cはデータ線駆動回路30cに対応するという具合である。
【0023】
制御回路40は、画像信号DLおよび制御信号CLを出力する。画像信号Dは、各画素回路Pの階調を時分割で指定する信号である。制御信号Cは、各データ線駆動回路30の動作を制御する信号である(例えばスタートパルス信号やクロック信号など)。本実施形態においては、制御回路40が出力する画像信号DLおよび制御信号CLは差動形式の信号である(例えばLVDS(Low Voltage Differential Signal)信号)。差動形式の信号とは、2つの信号の電位差で信号レベルが決定される信号である。
【0024】
制御回路40が出力する差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは、差動信号伝送線路60を介して変換回路50a、50b、50cに供給される。差動信号伝送線路60は、基板11に実装されるフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit、以下「FPC」という)70に設けられる。図1に示すように、変換回路50a、50b、50cは、FPC70上の差動信号伝送線路60に対して並列に接続される。
【0025】
変換回路50a、50b、50cは、差動信号伝送線路60から供給される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLをシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換したうえで対応するデータ線駆動回路30へ供給する。シングルエンド形式の信号とは、基準電位(例えば接地電位0V)に対する信号の電圧レベルで信号のハイレベルおよびローレベルが決まる信号(例えばCMOS信号)である。
【0026】
図2は、データ線駆動回路30aの詳細な構成を示すブロック図である。データ線駆動回路30a、30b、30cは同一の構成であるから、ここでは、データ線駆動回路30aを例にして説明する。図2に示すように、データ線駆動回路30aは、n個の出力回路P(P1、P2、・・・、Pn)と、取込指示回路31とを有する。n個の出力回路Pは、データバス32に共通に接続される。データバス32には、変換回路50aからシングルエンド形式の画像信号DSが供給される。左から数えてi番目(1≦i≦n)の出力回路Piの出力側には左から数えてi列目のデータ線104が接続される。
【0027】
取込指示回路31には、変換回路50aからシングルエンド形式の制御信号CSが供給される。取込指示回路31は、制御信号CSに応じて取込指示信号S(S1〜Sn)を各出力回路Pに供給する。各出力回路Pは、当該出力回路Pに対応する取込指示信号Sが取込指示回路31から供給されると、画像信号DSをデータバス32から取り込む。そして、各出力回路Pは、取り込んだデジタルデータの画像信号DSに応じたアナログのデータ信号d(例えば電圧)を生成して対応するデータ線104に供給する。各出力回路Pで生成されたデータ信号dは、選択された走査線102とデータ線駆動回路30aに対応する各データ線104との交差に対応して配置された画素回路Pに供給され、各画素回路Pに含まれる液晶素子は当該画素回路Pに供給されるデータ信号dに応じた輝度で発光する。
【0028】
なお、各データ線駆動回路30の取込指示回路31が当該データ線駆動回路30におけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sを供給する期間は重複しない。例えば、初段のデータ線駆動回路30aの取込指示回路31がデータ線駆動回路30aにおけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sを供給している期間は、2段目以降のデータ線駆動回路30の取込指示回路31は当該データ線駆動回路30におけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sの供給を行わない。そして、初段のデータ線駆動回路30aのn個の出力回路Pが対応する画像信号Dの取り込みを完了すると、次段のデータ線駆動回路30bの取込指示回路31がデータ線駆動回路30bにおけるn個の出力回路Pに対して取込指示信号Sの供給を開始するという具合である。
【0029】
図3は、ひとつの変換回路50の出力側に複数のデータ線駆動回路30が直列に接続されるとともに、複数のデータ線駆動回路30の各々の間にバッファ回路80が介在する態様(以下「対比例」という)を示すブロック図である。対比例においては、制御回路40から供給される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50にてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されたうえで初段のデータ線駆動回路30aに供給され、初段のデータ線駆動回路30aから2段目以降のデータ線駆動回路30に順次転送されていく。対比例においては、画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を各データ線駆動回路30の各々の間に設ける必要があるが、これらの伝送線路はガラスで形成された基板11上に設けられるために抵抗値が高い。このため、複数のデータ線駆動回路30の各々の間にバッファ回路80を介在させても、各データ線駆動回路30に伝送される信号が遅延するという問題が発生する。
【0030】
これに対して、本実施形態においては、図1に示すように、複数のデータ線駆動回路30a、30b、30cの各々に対応して複数の変換回路50a、50b、50cが設けられ、複数の変換回路50の各々は、当該変換回路50に対応するデータ線駆動回路30に対応する画素回路Pの階調を指定する差動形式の画像信号DLをシングルエンド形式の画像信号DSに変換したうえで対応するデータ線駆動回路30に供給する。本実施形態においては、複数のデータ線駆動回路30の各々は、当該データ線駆動回路30に対応する変換回路50から画像信号DSおよび制御信号CSの供給を受けるから、対比例とは異なり、画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を複数のデータ線駆動回路30の各々の間に設ける必要がない。これにより、各データ線駆動回路30に供給される画像信号DSおよび制御信号CSが遅延することを対比例に比べて抑制できるという利点がある。また、本実施形態において、差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLが供給される差動信号伝送線路60は、基板11に実装されるFPC70上に設けられるから、理想的な伝送線路上で高速かつ信頼性の高いデータ伝送が可能である。
【0031】
<B:第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態においては、4n本のデータ線104が2n本のデータ線104を1単位とするデータ線群U1、U2に区分されるとともに、データ線群U1、U2の各々に対応してデータ線駆動回路30a、30bが設けられる。データ線駆動回路30aはデータ線群U1に対応し、データ線駆動回路30bはデータ線群U2に対応する。また、図4に示すように、変換回路50aがデータ線駆動回路30aに対応して設けられ、変換回路50bがデータ線駆動回路30bに対応して設けられる。制御回路40が出力する差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは、差動信号伝送線路60を介して変換回路50a、50bに供給される。差動信号伝送線路60は、基板11に実装されるFPC70に設けられる。図4に示すように、変換回路50aおよび50bは、FPC70上の差動信号伝送線路60に対して並列に接続される。
【0032】
図4に示すように、データ線駆動回路30aは、変換回路50aの出力側に直列に接続される駆動回路32aおよび駆動回路32bと、駆動回路32aと駆動回路32bとの間に介在するバッファ回路34aとを含む。駆動回路32aは、1列目のデータ線104からn列目のデータ線104に対応し、駆動回路32bは、n+1列目のデータ線104から2n列目のデータ線104に対応する。制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50aにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路32aに供給され、初段の駆動回路32aからバッファ回路34aを介して次段の駆動回路32bへ転送される。バッファ回路34aは、画像信号DSおよび制御信号CSの波形を整形する手段である。なお、駆動回路32aの構成は、図2に示すデータ線駆動回路30aの構成と同様である。
【0033】
同様に、データ線駆動回路30bは、変換回路50bの出力側に直列に接続される駆動回路32cおよび駆動回路32dと、駆動回路32cと駆動回路32dとの間に介在するバッファ回路34bとを含む。駆動回路32cは、2n+1列目のデータ線104から3n列目のデータ線104に対応し、駆動回路32dは、3n+1列目のデータ線104から4n列目のデータ線104に対応する。制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50bにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路32cに供給され、初段の駆動回路32cからバッファ回路34bを介して次段の駆動回路32dへ転送される。
【0034】
本実施形態においても、第1実施形態と同様、複数のデータ線駆動回路30同士が直列に接続されないから、画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を複数のデータ線駆動回路30の各々の間に設ける必要がない。これにより、各データ線駆動回路30に供給される画像信号DSおよび制御信号CSが遅延することを対比例に比べて抑制できるという利点がある。
【0035】
<C:第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態に係る電気光学装置10は、第1の表示体13と第2の表示体15とを含む。第1の表示体13は、画素アレイ部100aと、走査線駆動回路20aと、データ線駆動回路30aと、変換回路50aと、差動信号転送回路90とが第1の基板11a上に設けられる構成である。画素アレイ部100aに配置された2n本のデータ線104はn本のデータ線104を1単位とするデータ線群U1、U2に区分される。
【0036】
データ線駆動回路30aは、変換回路50aの出力側に直列に接続される駆動回路36aおよび駆動回路36bと、駆動回路36aと駆動回路36bとの間に介在するバッファ回路38aとを含む。駆動回路36aは、データ線群U1の各データ線104にデータ信号dを供給し、駆動回路36bは、データ線群U2の各データ線104にデータ信号dを供給する。制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは変換回路50aにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路36aに供給され、初段の駆動回路36aからバッファ回路38aを介して次段の駆動回路32bへ転送される。なお、駆動回路36の構成は、図2に示すデータ線駆動回路30の構成と同様である。
【0037】
図5に示すように、第2の表示体15は、画素アレイ部100bと、走査線駆動回路20bと、データ線駆動回路30bと、変換回路50bとが第2の基板11b上に設けられる構成である。画素アレイ部100bに配置された2n本のデータ線104はn本のデータ線104を1単位とするデータ線群U3、U4に区分される。データ線駆動回路30bは、変換回路50bの出力側に直列に接続される駆動回路36cおよび駆動回路36dと、駆動回路36cと駆動回路36dとの間に介在するバッファ回路38bとを含む。駆動回路36cは、データ線群U3の各データ線104にデータ信号dを供給し、駆動回路36dは、データ線群U4の各データ線104にデータ信号dを供給する。
【0038】
第1の基板11a上に設けられた差動信号転送回路90は、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLを第2の表示体15へ転送する手段である。図5に示すように、制御回路40から出力される画像信号DLおよび制御信号CLは、差動信号伝送線路60を介して差動信号転送回路90に供給され、差動信号転送回路90から第2の差動信号伝送線路61を介して第2の基板11b上の変換回路50bに供給される。第2の差動信号伝送線路61は、第1の基板11aおよび第2の基板11bに実装される第2のFPC71に設けられる。
【0039】
第2の差動信号伝送線路61を介して第2の基板11bへ供給される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは、第2の基板11b上の変換回路50bにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換されて初段の駆動回路36cに供給され、初段の駆動回路36cからバッファ回路38bを介して次段の駆動回路36dへ転送される。
【0040】
図6は、第1の基板11上に差動信号転送回路90を設けずに、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLが差動信号伝送線路60を介して第2の基板11b上の変換回路50bに供給される態様(以下「対比例2」という)を示すブロック図である。図6に示すように、対比例2においては、差動信号伝送線路60が設けられるFPC70が第1の基板11aおよび第2の基板11bに実装される。
【0041】
図6に示す対比例2の構成では、制御回路40から第2の基板11b上の変換回路50bに至る差動信号伝送線路60の線路長は、制御回路40から第1の基板11a上の変換回路50aに至る差動信号伝送線路60の線路長よりも大きいから、線路抵抗も大きい。従って、制御回路40から第2の基板11b上の変換回路50bに至る差動信号伝送線路60に付随する抵抗や容量に起因して、第2の基板11上の変換回路50bに供給される画像信号DLおよび制御信号CLの波形に鈍りが発生するという問題が起こる。また、画像信号DLおよび制御信号CLの波形の鈍りを解消するためには、制御回路40の出力値を増大させる必要があるため、制御回路40の負荷が増大してしまうという問題もある。
【0042】
これに対して、本実施形態においては、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLを第2の表示体15へ転送する差動信号転送回路90が第1の基板11a上に設けられることにより、制御回路40の出力値を増大させることなく、第2の基板11b上の変換回路50bへ供給される画像信号DLおよび制御信号CLの波形が鈍ることを抑制できる。従って、本実施形態によれば、制御回路40から第2の基板11上の変換回路50bへ供給される画像信号DLおよび制御信号CLの波形の鈍りを対比例2に比べて抑制できるとともに、制御回路40の負荷を対比例2に比べて軽減できるという利点がある。
【0043】
<D:第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、変換回路50aから供給されるシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSを第2の基板11bのデータ線駆動回路30bへ転送するシングルエンド信号転送回路92が第1の基板11aに設けられ、第2の基板11bには変換回路50が設けられない点で上述の第3実施形態と異なる。その他の構成は第3実施形態の構成と同じであるから、重複する部分については説明を省略する。
【0044】
図7に示すように、シングルエンド信号転送回路92は、変換回路50aの出力側に設けられる。シングルエンド信号転送回路92は、変換回路50aから供給されるシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSをシングルエンド信号伝送線路62に供給する。シングルエンド信号転送回路92からシングルエンド信号伝送線路62に供給された画像信号DSおよび制御信号CSは、第2の基板11b上の初段の駆動回路36cに供給され、初段の駆動回路36cからバッファ回路38bを介して次段の駆動回路36dへ転送される。図7に示すように、シングルエンド信号伝送線路62は、第1の基板11aおよび第2の基板11bに実装される第3のFPC72上に設けられる。
【0045】
本実施形態においては、制御回路40から出力される差動形式の画像信号DLおよび制御信号CLは第1の基板11a上の変換回路50aにてシングルエンド形式の画像信号DSおよび制御信号CSに変換され、変換後の画像信号DSおよび制御信号CSがシングルエンド信号転送回路92を介して第2の基板11bにおける駆動回路36に供給されるから、第3実施形態と異なり、第2の基板11b上に変換回路50を設ける必要が無い。従って、本実施形態によれば、第3実施形態に比べて構成が簡素化されるという利点がある。
【0046】
<E:変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0047】
(1)変形例1
データ線群Uの数、データ線駆動回路30の数および変換回路50の数は任意である。また、ひとつのデータ線群Uに含まれるデータ線104の本数も任意である。要するに、本発明の具体的な形態においては、複数のデータ線104を各々が含む複数のデータ線群Uの各々に対応して複数のデータ線駆動回路30が設けられるとともに、複数のデータ線駆動回路30の各々に対応する複数の変換回路50が設けられる態様であればよい。
【0048】
(2)変形例2
第2実施形態においては、データ線駆動回路30a、30bの各々は、2つの駆動回路32と、2つの駆動回路32の間に介在するひとつのバッファ回路34とを備える態様が例示されているが、データ線駆動回路30に含まれる駆動回路32およびバッファ回路34の数は任意である。また、第2実施形態においては、駆動回路32の間にバッファ回路34が介在する態様が例示されているが、複数の駆動回路32の各々の間に設けられてシングルエンド形式の信号を各駆動回路32に伝送する信号中継手段の態様は任意である。
【0049】
(3)変形例3
第3実施形態および第4実施形態では、ひとつの変換回路50について、複数の駆動回路36が設けられる態様が例示されているが、例えば第1実施形態の構成と同様に、複数の駆動回路36ごとに変換回路50を配置した態様とすることもできる。この態様によれば、ひとつの基板11上に配置された複数の駆動回路36の各々の間に画像信号DSおよび制御信号CSを伝送するための伝送線路を設ける必要がないから、各駆動回路36に供給される画像信号DSおよび制御信号CSが遅延することを第3実施形態および第4実施形態に比べて抑制できるという利点がある。
【0050】
(4)変形例4
上述の各実施形態においては、各画素回路Pが液晶素子を含む態様が例示されているが、これに限らず、各画素回路Pに含まれる電気光学素子は任意に変更が可能である。例えば、各画素回路Pが有機発光ダイオード素子を含む態様とすることもできるし、無機発光ダイオードやLED(Light Emitting Diode)を含む態様とすることもできる。
【0051】
<F:応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置10を利用した電子機器について説明する。図8は、以上に説明した何れかの形態に係る電気光学装置10を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての電気光学装置10と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この電気光学装置10は電気光学素子11にOLED素子を使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0052】
図9に、実施形態に係る電気光学装置10を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0053】
図10に、実施形態に係る電気光学装置10を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置10に表示される。
【0054】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図8から図10に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の電気光学装置は利用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るデータ線駆動回路の詳細な構成を示す図である。
【図3】対比例に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図6】対比例2に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第4実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10……電気光学装置、11……基板、20……走査線駆動回路、30……データ線駆動回路、32……駆動回路、34……バッファ回路、36……駆動回路、38……バッファ回路、40……制御回路、50……変換回路、60……差動信号伝送線路、70……FPC、80……バッファ回路、104……データ線、C……制御信号、D……画像信号、d……データ信号、P……画素回路、U……データ線群。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、
前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、
前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群の前記データ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応する前記データ線駆動回路へ供給する複数の変換回路と、
前記差動形式の画像信号を前記複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を具備する
電気光学装置。
【請求項2】
前記複数のデータ線群と、前記複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線駆動回路と、前記複数の変換回路とは基板上に設けられ、
前記画像信号線は前記基板上に実装される配線基板に設けられる
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数のデータ線駆動回路の各々は、
当該データ線駆動回路に対応する前記変換回路の出力側に直列に接続される複数の駆動回路と、
前記複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む
請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記駆動回路に供給する第2の変換回路と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、
前記第2の基板に設けられるとともに前記差動信号転送手段から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第2の基板における前記データ線駆動回路に供給する第3の変換回路と、を具備する
電気光学装置。
【請求項5】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記データ線駆動回路に供給する第4の変換回路と、
前記第1の基板における前記第4の変換回路の出力側に設けられ、前記第4の変換回路から供給される前記シングルエンド形式の画像信号を前記第2の基板における前記データ線駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を具備する
電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の電気光学装置を具備した電子機器。
【請求項7】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、
前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群の前記データ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応する前記データ線駆動回路へ出力する複数の変換回路と、
前記差動形式の画像信号を前記複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を備える
データ転送回路。
【請求項8】
前記複数のデータ線群と、前記複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線駆動回路と、前記複数の変換回路とは基板上に設けられ、
前記画像信号線は前記基板上に実装される配線基板に設けられる
請求項7に記載のデータ転送回路。
【請求項9】
前記複数のデータ線駆動回路の各々は、
当該データ線駆動回路に対応する前記変換回路の出力側に直列に接続される複数の駆動回路と、
前記複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む
請求項7または請求項8に記載のデータ転送回路。
【請求項10】
データ信号が供給される複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、が設けられる第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記データ線駆動回路に供給する第2の変換回路と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、
前記第2の基板に設けられるとともに前記差動信号転送手段から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第2の基板における前記データ線駆動回路に供給する第3の変換回路と、を備えるデータ転送回路。
【請求項11】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、を各々が含む第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線に接続され、前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記データ線駆動回路に供給する第4の変換回路と、
前記第1の基板における前記第4の変換回路の出力側に設けられ、前記第4の変換回路から供給される前記シングルエンド形式の画像信号を前記第2の基板における前記データ線駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を備えるデータ転送回路。
【請求項12】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群の前記データ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、を具備する電気光学装置の駆動方法であって、
差動形式の画像信号を前記複数のデータ線駆動回路の各々に伝送するとともに、当該データ線駆動回路に対応する前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで当該データ線駆動回路へ供給する
電気光学装置の駆動方法。
【請求項1】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、
前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、
前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群の前記データ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応する前記データ線駆動回路へ供給する複数の変換回路と、
前記差動形式の画像信号を前記複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を具備する
電気光学装置。
【請求項2】
前記複数のデータ線群と、前記複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線駆動回路と、前記複数の変換回路とは基板上に設けられ、
前記画像信号線は前記基板上に実装される配線基板に設けられる
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数のデータ線駆動回路の各々は、
当該データ線駆動回路に対応する前記変換回路の出力側に直列に接続される複数の駆動回路と、
前記複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む
請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記駆動回路に供給する第2の変換回路と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、
前記第2の基板に設けられるとともに前記差動信号転送手段から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第2の基板における前記データ線駆動回路に供給する第3の変換回路と、を具備する
電気光学装置。
【請求項5】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、が設けられた第1の基板および第2の基板と、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記データ線駆動回路に供給する第4の変換回路と、
前記第1の基板における前記第4の変換回路の出力側に設けられ、前記第4の変換回路から供給される前記シングルエンド形式の画像信号を前記第2の基板における前記データ線駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を具備する
電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の電気光学装置を具備した電子機器。
【請求項7】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、
前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群の前記データ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線駆動回路の各々に対応して設けられるとともに、入力される差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで対応する前記データ線駆動回路へ出力する複数の変換回路と、
前記差動形式の画像信号を前記複数の変換回路の各々に伝送する画像信号線と、を備える
データ転送回路。
【請求項8】
前記複数のデータ線群と、前記複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線駆動回路と、前記複数の変換回路とは基板上に設けられ、
前記画像信号線は前記基板上に実装される配線基板に設けられる
請求項7に記載のデータ転送回路。
【請求項9】
前記複数のデータ線駆動回路の各々は、
当該データ線駆動回路に対応する前記変換回路の出力側に直列に接続される複数の駆動回路と、
前記複数の駆動回路の各々の間に介在する信号中継手段と、を含む
請求項7または請求項8に記載のデータ転送回路。
【請求項10】
データ信号が供給される複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、が設けられる第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記データ線駆動回路に供給する第2の変換回路と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記第2の基板へ転送する差動信号転送手段と、
前記第2の基板に設けられるとともに前記差動信号転送手段から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第2の基板における前記データ線駆動回路に供給する第3の変換回路と、を備えるデータ転送回路。
【請求項11】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群における前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、を各々が含む第1の基板および第2の基板を具備する電気光学装置用のデータ転送回路であって、
差動形式の画像信号が供給される画像信号線と、
前記第1の基板に設けられるとともに前記画像信号線に接続され、前記画像信号線から供給される前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで前記第1の基板における前記データ線駆動回路に供給する第4の変換回路と、
前記第1の基板における前記第4の変換回路の出力側に設けられ、前記第4の変換回路から供給される前記シングルエンド形式の画像信号を前記第2の基板における前記データ線駆動回路へ転送するシングルエンド信号転送手段と、を備えるデータ転送回路。
【請求項12】
複数のデータ線を各々が含む複数のデータ線群と、前記各データ線に対応して配置される複数の電気光学素子と、前記複数のデータ線群の各々に対応して設けられるとともにシングルエンド形式の画像信号に応じたデータ信号を当該データ線群の前記データ線に供給する複数のデータ線駆動回路と、を具備する電気光学装置の駆動方法であって、
差動形式の画像信号を前記複数のデータ線駆動回路の各々に伝送するとともに、当該データ線駆動回路に対応する前記差動形式の画像信号を前記シングルエンド形式の画像信号に変換したうえで当該データ線駆動回路へ供給する
電気光学装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−251038(P2009−251038A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95312(P2008−95312)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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