電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器
【課題】 ある1個の有機EL素子を駆動するための複数個の容量素子に対する一斉充電、及び、一斉放電を行う時間を確保する。
【解決手段】電気光学装置は、複数の単位回路(P1)と、各単位期間内における駆動期間ごとに一の走査線(3)を順次選択する走査線駆動回路(200)と、駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、データ線(6)に含まれる各配線(6A,6B)のうちのいずれかの配線にデータ電位(VD[1]_A,VD[1]_B,…,VD[n]_B)を出力するデータ線駆動回路(300)と、を備える。前記の複数の単位回路のうち、あるものは配線(6A)に接続され、また、あるものは配線(6B)に接続される。
【解決手段】電気光学装置は、複数の単位回路(P1)と、各単位期間内における駆動期間ごとに一の走査線(3)を順次選択する走査線駆動回路(200)と、駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、データ線(6)に含まれる各配線(6A,6B)のうちのいずれかの配線にデータ電位(VD[1]_A,VD[1]_B,…,VD[n]_B)を出力するデータ線駆動回路(300)と、を備える。前記の複数の単位回路のうち、あるものは配線(6A)に接続され、また、あるものは配線(6B)に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electro luminescent)素子、液晶等を含む電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気光学素子として有機EL素子等を含む電気光学装置が提供されている。この電気光学装置では、有機EL素子等に所定の電流又は電圧を供給するための、さまざまな駆動回路が備えられる。このような駆動回路は、例えば、有機EL素子に加えて、これに並列に接続される容量素子を含むことがある。この場合、有機EL素子の陽極及び容量素子の一方の電極にデータ電位が、有機EL素子の陰極及び容量素子の他方の電極に基準電位が、それぞれ供給されるなどということになる。これによると、容量素子に蓄えられた、前記データ電位に応じた電荷に起因する電流供給が、有機EL素子に対して行われ得ることになるから、当該有機EL素子の安定的な駆動を行うこと等が可能になる。
このような電気光学装置としては、例えば特許文献1に開示されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−122608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような電気光学装置においては、次のような問題がある。すなわち、有機EL素子の発光量(発光輝度の時間積分値)を十分な値とするためには、前記容量素子に蓄える電荷量を大きくする必要があり、したがって、前記容量素子の容量を非常に大きな値とする必要がある。しかし、1個1個の駆動回路の設置のために許される物理的面積には制約があること等の関係から、そのような大容量値の実現には、そもそも困難が伴う。
【0005】
そこで、上記問題を解決するため、本願出願人は、既に特願2008−26580号に係る技術を提案している。そこにおいては、複数の駆動回路(単位回路)の各々に含まれる容量素子を、1個の有機EL素子を駆動するために利用する技術が開示されている。簡単な例でいえば、駆動回路が単純に1列だけ並べられているとして、その数がN個ある(したがって容量素子及び有機EL素子もともにN個ある)とする場合、ある1個の有機EL素子を駆動するにあたっては、第1に、当該有機EL素子に対応するデータ電位に応じた充電を全駆動回路に含まれるN個の容量素子について一斉に行い、第2に、そのN個の容量素子の一斉放電(即ち、電流供給)を当該有機EL素子に向けて行う、などということになる。
これによると、前述のような不具合は殆ど問題でなくなる。
【0006】
とはいえ、このような技術にもなお改善の余地がある。すなわち、前述の例にしたがえば、ある1個の有機EL素子を駆動するために、N個全部の容量素子に対する一斉充電、及び、一斉放電を行うことが必要となるが、その各々を十分に行うための時間が比較的長期にわたるおそれがあることである。これによると、仮に、その一斉充電又は一斉放電が十分になされる時間を確保しようとすれば各有機EL素子の駆動タイミングが間延びしてしまうことになるし、あるいは、一定の書込時間及び発光時間(これらはそれぞれ、前記の充電及び放電に対応する。)を前提とするのであれば十分な充電及び放電が行えない、という問題となって現れることになる。その結果、輝度ムラの発生等が懸念される。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決することの可能な電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、かかる態様の電気光学装置、その駆動方法、あるいは電子機器に関連する課題を解決可能な、電気光学装置、その駆動方法、あるいは電子機器を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る電気光学装置は、上述した課題を解決するため、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、各単位期間内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、を備え、前記複数の単位回路の各々は、前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、容量線に接続された第1電極、及び、前記データ線に含まれる前記各配線のいずれかの配線に接続された第2電極を有する容量素子と、前記第2電極と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで前記第2電極と前記電気光学素子とを導通させるスイッチング素子と、を含み、当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続される。
【0009】
本発明によれば、例えば、以下のような動作が実現可能である。
すなわち、第1に、書込期間において、一の配線に接続された、一の単位回路内の容量素子への充電が行われる。この場合、データ線駆動回路がデータ電位を出力する「いずれかの配線」は、当該一の配線ということになる。第2に、この書込期間の後の駆動期間において、その容量素子の放電が、選択対象となった走査線に対応する単位回路(当該一の単位回路である場合もあり得る。)に含まれる電気光学素子に向けて行われる。
このような動作においては、容量素子への充電及びそこからの放電に関与する単位回路が、前記一の配線に接続された容量素子を含むものに限られる。つまり、本発明においては、「他の配線」に接続された「他の単位回路」の存在が前提されていることから、全単位回路内の容量素子が、そのような充電及び放電に関与するわけではない。
他方、前述の第1及び第2の動作は、他の配線に接続された、他の単位回路内の容量素子に関しても全く同様に行われる(この場合は、一の配線に接続された一の単位回路は、前述したような充電及び放電に関与しない。)。
このように、本発明によれば、充電又は放電の対象となる容量素子の数が、少なくとも容量素子の全数に比べれば少なくなるから、その時間を比較的長期に確保することが可能になる。したがって、本発明によれば、充電時間あるいは放電時間の不足に起因する不都合、例えば輝度ムラの発生等が効果的に抑制される。
【0010】
また、本発明の第2の観点に係る電気光学装置は、上述した課題を解決するため、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、各単位回路内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、前記複数のデータ線に含まれる前記各配線と前記データ線駆動回路との間に配置された複数の第1スイッチング素子と、を備え、前記複数の単位回路の各々は、前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、前記データ線に含まれる一の前記配線と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで当該配線と当該電気光学素子とを導通させる第2スイッチング素子と、を含み、当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続され、前記データ線駆動回路が前記データ線に含まれる一の前記配線に前記データ電位を出力する際に、当該配線に対応する前記第1スイッチング素子は、前記書込期間において導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させることで、当該配線に付随する容量に前記データ電位に応じた電荷を蓄積させ、前記駆動期間において非導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させない。
【0011】
本発明によれば、上述した本発明の第1の観点に係る電気光学装置によって奏された作用効果と同様の作用効果が奏される。
ただし、本発明においては、充電対象となるのは、データ線に含まれる「配線に付随する容量」であり、したがってまた、放電対象となるのも、その「容量」である。なお、この放電は、上述の規定から、駆動期間において配線とデータ線駆動回路とが非導通状態となるとともに、配線と電気光学素子とが導通状態となることによって実現される。
ここで「配線に付随する容量」には、例えば、配線自体に寄生する容量(更に具体的には、配線と電気光学素子を構成する一方の電極との間に寄生する容量等)が含まれる。また、この「配線に付随する容量」には、前述した本発明の第1の観点に係る電気光学装置を構成する「容量素子」も含まれる(したがって、この意味においては、この第2の観点に係る電気光学装置のほうが、第1の観点に係るそれよりも、捕捉範囲は広い、といえる。)。
このように、本発明においては、前記の第1の観点に係る電気光学装置によって奏された作用効果に加えて、前述した「容量素子」の設置が必要不可欠の要素とされていないことから、それを設置する分の低コスト化を達成することができる。また、同じ理由から、単位回路のサイズの縮小化も実現できるので、高精細化もまた可能になる。
【0012】
本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記一の単位回路に係る前記単位期間は、前記他の単位回路に係る前記単位期間の少なくとも一部と重なる、ように構成してもよい。
この態様によれば、一の単位回路及び他の単位回路に係る単位時間が相互に一部重なり合うことから、前述した充電時間あるいは放電時間をより長期に確保することが可能になる。また、このような単位期間の重なり合いは、所定の一定時間内で、全単位回路内の電気光学素子を効率的に駆動することを可能にするということもできる。
なお、本態様において、「単位回路に係る単位期間」とは、その単位回路内の電気光学素子が所定の階調となるべく、前述した書込期間及び駆動期間内に行われるデータ電位出力及び走査線の選択が、当該の単位回路のために実行される場合における、当該の期間を意味する。
【0013】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記データ線駆動回路は、前記各配線のうちのいずれの配線に前記データ電位を供給するかを定める切換部を含む、ように構成してもよい。
この態様によれば、データ線駆動回路が切換部を含むので、データ線に含まれる各配線へのデータ電位の供給等が好適に行われる結果、前述した本発明に係る効果をより実効的に享受可能である。
また、本態様に関し、より具体的には例えば、仮に1個のデータ線が“2本”の配線を含んでいるとするなら、前記一の単位回路についての書込期間中は、そのうちの一方の配線にデータ電位が供給され、他の単位回路についての書込期間中は、他方の配線にデータ電位が供給される、などということになる。この場合特に、後者の、他の単位回路についての書込期間中は、前記一方の配線はいわば開放されているから、当該期間は、当該配線に付随する容量からの電荷放電、即ち前記一の単位回路についての駆動期間にあてることができる。このことは、これら一及び他の単位回路の各々に係る「駆動期間」及び「書込期間」の少なくとも一部を重ね合わせることが可能であることを意味する。
このようにして、本態様によれば、前述した本発明に係る効果がより実効的に奏される。
【0014】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記データ線駆動回路は、前記各配線のうちの前記一の配線のために供給される前記データ電位を生成する第1データ電位生成部と、当該第1データ電位生成部における前記データ電位の生成とは独立に、前記各配線のうちの前記他の配線のために供給される前記データ電位を生成する第2データ電位生成部と、を少なくとも含む、ように構成してもよい。
この態様によれば、データ線駆動回路が、第1及び第2データ電位生成部という2つの区分された独立の構成を含むので、例えば、一の配線を対象とするデータ電位の出力と、他の配線を対象とするデータ電位の出力とを並行して行うことができる。このことは、これら一及び他の単位回路に係る「書込期間」の少なくとも一部を重ね合わせることが可能であることを意味する。
なお、本態様においても、直前の態様において述べたような、一及び他の単位回路の各々に係る「駆動期間」及び「書込期間」の少なくとも一部を重ね合わせることは、同様に実現可能である。
このようにして、本態様によれば、前述した本発明に係る効果がより実効的に奏される。
【0015】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記各単位回路における前記容量素子又は前記配線に付随する容量とは別に、一方の電極が前記配線に接続される補助用の容量素子を更に備える、ように構成してもよい。
この態様によれば、選択された走査線に対応する単位回路における電気光学素子の発光量を十分な値とするために必要な容量に対して、当該単位回路に対応する配線に接続された各容量素子の合計容量、あるいはその配線に付随する容量が少ない場合であっても、補助用の容量素子の容量によって不足分を補うことができる。
ちなみに、このような効果は、本発明一般がそもそも、上述のように全容量素子、あるいは全配線に付随する全容量を用いた充電及び放電を行わず、したがって前述したような不足分が生じ易い状況にあることを考えると、より有意義であるといえる。
【0016】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記データ線の各々は偶数本の配線から構成され、当該偶数本の配線のうちの半数の配線は、前記単位回路の一方の側に配置され、残る半数の配線は、前記単位回路の他方の側に配置される、ように構成してもよい。
この態様によれば、複数の配線を含むデータ線及び単位回路のレイアウトを好適に(より具体的には例えば、バランスよく)行うことができる。
【0017】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記一の単位回路及び前記他の単位回路は、前記データ線の延在方向に沿って隣り合って並ぶ1個の単位回路群を構成し、前記単位回路群は、当該データ線の延在方向に沿って繰り返し配列される、ように構成してもよい。
この態様によれば、例えば、ある1個のデータ線に着目すると、それに沿って、一の単位回路、他の単位回路、一の単位回路、他の単位回路、一の単位回路、…という繰り返し配列が行われることになる。そして、これらのうちの一の単位回路(の全部)は当該データ線に含まれる一の配線に共通接続され、他の単位回路(の全部)は、当該データ線に含まれる他の配線に共通接続される、などということになる。
このように、本態様においては、これら一及び他の単位回路がバランスよく配置されることから、全単位回路のうちのある単位回路を駆動対象とする場合において、当該単位回路に含まれる電気光学素子への電荷供給にムラが生じるといった懸念がない。
【0018】
また、本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述した各種の電気光学装置を備える。
本発明の電子機器は、上述した各種の電気光学装置を備えてなるので、容量素子又は前記配線に付随する容量への充電又はそこからの放電のための時間を比較的長期に確保することが可能となるなどの結果、より高品質な画像を表示すること等が可能である。
【0019】
一方、本発明の第1の観点に係る電気光学装置の駆動方法は、上記課題を解決するため、データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続された容量素子と、当該容量素子の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に接続された前記容量素子に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、前記一の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に接続された前記容量素子に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、前記他の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、を含む。
【0020】
本発明によれば、その第1及び第2工程において、容量素子への充電及びそこからの放電に関与する当該の容量素子が、「一の配線」に接続されたものに限られる。つまり、本発明においては、「他の配線」に接続された容量素子の存在が前提されていることから、全容量素子が、そのような充電及び放電に関与するわけではない。「他の配線」に関連する第3及び第4工程に関しても同様である。
このように、本発明によれば、充電又は放電の対象となる容量素子の数が、少なくとも容量素子の全数に比べれば少なくなるから、その時間を比較的長期に確保することが可能になる。したがって、本発明によれば、充電時間あるいは放電時間の不足に起因する不都合、例えば輝度ムラの発生等が効果的に抑制される。
また、このことからも明らかなように、本発明によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を好適に駆動することが可能である。
なお、本発明において、「一の配線に接続された容量素子」という場合における容量素子は複数あってよい。「他の配線に接続された容量素子」という場合における容量素子についても同様である。
【0021】
また、本発明の第2の観点に係る電気光学装置の駆動方法は、上述した課題を解決するため、データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続され当該配線に付随する容量の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に付随する容量に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、前記一の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該一の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に付随する容量に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、前記他の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該他の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、を含む。
【0022】
本発明によれば、上述した本発明の第1の観点に係る電気光学装置の駆動方法によって奏された作用効果と同様の作用効果が奏される。なお、本発明にいう「配線に付随する容量」の意義については、上述したところと同じである。
【0023】
本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置の駆動方法では、前記第1工程は、前記第3及び第4工程の少なくとも1つの工程と並行して行われ、又は、前記第3工程は、前記第1及び第2工程の少なくとも1つの工程と並行して行われる、ように構成してもよい。
この態様によれば、例えば、第1工程と第4工程との実施が一部重なり合うことから、前述した充電時間あるいは放電時間をより長期に確保することが可能になる。また、このような重なり合いは、所定の一定時間内で、全単位回路内の電気光学素子を効率的に駆動することを可能にするということもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置を示すブロック図である。
【図2】図1の電気光学装置を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図3】図1及び図2の電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図3に従って動作する電気光学装置における容量素子(C1)の充電及び放電を視覚的に表現する説明図(その1)である。
【図5】図3に従って動作する電気光学装置における容量素子(C1)の充電及び放電を視覚的に表現する説明図(その2)である。
【図6】第1実施形態に係る電気光学装置の構成に対する比較例の構成を示す図である。
【図7】図6の比較例の構成の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図9】図8の電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】図8の電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートであって、図9とは異なるものである。
【図11】本発明の第2実施形態の変形例に係る電気光学装置を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図12】本発明の第1及び第2実施形態に係る電気光学装置の変形例(補助用の容量素子の付加)を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図13】本発明の第1及び第2実施形態に係る電気光学装置の変形例(容量素子の不存在)を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図14】本発明の第1及び第2実施形態に係る電気光学装置の変形例(配線数の増大)を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図15】本発明に係る電気光学装置を適用した電子機器を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る電気光学装置を適用した他の電子機器を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る電気光学装置を適用したさらに他の電子機器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
以下では、本発明に係る第1の実施の形態について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、ここに言及した図1及び図2に加え、以下で参照する各図面においては、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に異ならせてある場合がある。
【0026】
図1において、電気光学装置10は、画像を表示するための手段として各種の電子機器に採用される装置であり、複数の単位回路P1が面状に配列された画素アレイ部100、走査線駆動回路200及びデータ線駆動回路300を有する。なお、図1においては、走査線駆動回路200とデータ線駆動回路300とが別個の回路として図示されているが、これらの回路の一部又は全部が単一の回路とされた構成も採用される。
【0027】
図1に示すように、画素アレイ部100には、X方向に延在するm本の走査線3と、X方向に直交するY方向に延在するn本のデータ線6とが設けられる(m及びnは自然数)。各単位回路P1は、走査線3とデータ線6との交差に対応する位置に配置される。したがって、これらの単位回路P1は縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。
以上の構成のうち、n本のデータ線6はそれぞれ、図1に示すように、一組2本の配線6_A及び6_Bを含む。つまり、データ線6がn本あれば、配線6_A及び6_Bの全数は2n本である。また、これら配線6_A及び6_Bのうち、配線6_Aは、奇数行に位置する単位回路P1に接続される一方、配線6_Bは、偶数行に位置する単位回路P1に接続される。
【0028】
図1に示す走査線駆動回路200は、複数の単位回路P1を行単位で選択するための回路である。走査線駆動回路200は順次アクティブとなる走査信号G[1]乃至G[m]を生成してm本の走査線3の各々に出力する。第i行(iは1≦i≦mを満たす整数)の走査線3に供給される走査信号G[i]のアクティブ状態への遷移は、第i行に属するn個の単位回路P1の選択を意味する。
【0029】
図1に示すデータ線駆動回路300は、走査線駆動回路200によって選択される走査線3に対応する1行分のn個の単位回路P1の各々の階調データに応じたデータ電位VD[1]乃至VD[n]を生成して各データ線6に出力する。なお、以下では、第j列目(jは1≦j≦nを満たす整数)のデータ線6に出力されるデータ電位VDをVD[j]と表記することがある。
この場合、各データ線6が前述のように2本の配線6_A及び6_Bを含むことから、データ電位VD[1]乃至VD[n]の各々も、これら2本の配線6_A及び6_Bに応じる。すなわち、例えば、第1列目のデータ線6に含まれる配線6_A及び6_Bにはデータ電位VD[1]_A及びVD[1]_Bが対応して出力され、第3列目のデータ線6に含まれる配線6_A及び6_Bには、データ電位VD[3]_A及びVD[3]_Bが対応して出力される、などというようである(図1参照)。
【0030】
データ線駆動回路300は、これを実現するため、図2に示すように、各列に位置する単位回路P1に対応するデータ電位生成部301、第1及び第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_B、並びに、これら各々のゲートに制御信号を供給するスイッチング・トランジスター制御用配線(以下、「SW用配線」と略す。)303_A及び303_Bを含む。
このうちデータ電位生成部301は、1本のデータ線6ごとに、あるいは、一組の配線6_A及び6_Bごとに、1個ずつ対応するように設けられる。これらデータ電位生成部301の各々は、それに対応する配線6_A及び6_Bが、何列目のデータ線6に対応するものであるかに応じたデータ電位を生成する。例えば、1列目のデータ線6に対応する配線6_A及び6_B用のデータ電位生成部301は、データ電位VD[1](即ち、VD[1]_A及びVD[1]_B)を生成する。
また、SW用配線303_A及び303_Bにはそれぞれ、制御信号SEL_A及びSEL_Bが出力される。この制御信号SEL_A及びSEL_Bは、走査信号G[1]乃至G[m]それぞれのアクティブ状態及び非アクティブ状態間の遷移と適当に同期しながら、同様に、アクティブ状態及び非アクティブ状態間を遷移する。
第1及び第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_Bのそれぞれは、Nチャネル型であり、前記制御信号SEL_A及びSEL_Bがアクティブ状態となるとき導通状態となる。そして、これらの各トランジスター(302_A,302_B)の導通・非導通状態間の遷移に応じて、配線6_Aにはデータ電位VD[j]_Aが出力され、配線6_Bにはデータ電位VD[j]_Bが出力される。
【0031】
以上のことと、前述した単位回路P1と配線6_A及び6_Bとの接続関係とから、奇数行に位置する単位回路P1には、添え字Aによって表現されるデータ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aが供給されることになる。同様に、偶数行に位置する単位回路P1には、添え字Bによって表現されるデータ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bが供給されることになる。
なお、本発明にいう「切換部」は、上記のうち第1及び第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_B、並びに、SW用配線303_A及び303_Bを少なくとも含む。
【0032】
図2は、各単位回路P1についての詳細な電気的構成を示す回路図である。
各単位回路P1は、図2に示すように、電気光学素子8、容量素子C1、及びトランジスターTrを有する。
電気光学素子8は、陽極と陰極との間に有機EL材料の発光層を介在させたOLED(Organic Light Emitting Diode)素子であり、図2に示すように、トランジスターTrと定電位が供給される定電位線(接地線)との間に配置される。ここで、陽極は単位回路P1毎に設けられ、単位回路P1毎に制御される個別電極であり、陰極は単位回路P1に共通に設けられた共通電極となっている。そして、陰極は定電位が供給される定電位線に接続されている。なお、陽極が共通電極であり、陰極が個別電極であってもよい。
【0033】
容量素子C1は、データ線6から供給されるデータ電位VD[j]を保持する手段である。図2に示すように、容量素子C1は、容量線30に接続された第1電極E1と、データ線6に接続された第2電極E2と、を有する。ここで第2電極E2がデータ線6に接続されるという場合、第1実施形態では以下のような特徴がある。すなわち、図2に示すように、奇数行に位置する単位回路P1に含まれる容量素子C1の第2電極E2は、データ線6を構成する配線6_Aに接続される。他方、偶数行に位置する単位回路P1に含まれる容量素子C1の第2電極E2は、データ線6を構成する配線6_Bに接続される。
なお、固定電位が供給される容量線30は各単位回路P1に共通に接続される。また、定電位線に接地電位が供給されているが、例えば、定電位線には負電位が供給されており、データ電位VD[j]のうち最高輝度を示すデータ電位VD[n]が正電位であり、データ電位VD[j]のうち最低輝度を示すデータ電位VD[1]が負電位であってもよい。即ち、データ電位VD[n]とデータ電位VD[1]との間に接地電位があってもよい。このようにすれば、接地電位に対するデータ電位VD[j]の振幅を低減でき、低消費電力化を図ることができる。
【0034】
トランジスターTrは、Nチャネル型であり、走査線3の選択時に導通することで容量素子C1の第2電極E2と電気光学素子8とを導通させるスイッチング素子である。図2に示すように、トランジスターTrのソースは電気光学素子8の陽極に接続されるとともに、そのドレインは容量素子C1の第2電極E2に接続される。したがって、このトランジスターTrのドレインもまた、前記第2電極E2に関する接続態様と同様、奇数行に位置する単位回路P1に関しては、図中左方に示される配線6_Aに接続され、偶数号に位置する単位回路P1に関しては、図中右方に示される配線6_Bに接続される。
そして、トランジスターTrのゲートは走査線3に接続される。これにより、走査信号G[i]がアクティブ状態に遷移するとトランジスターTrがオン状態となって、第2電極E2と電気光学素子8とが導通する。一方、走査信号G[i]が非アクティブ状態に遷移するとトランジスターTrはオフ状態となって、第2電極E2と電気光学素子8とは非導通状態となる。
【0035】
次に、第1実施形態に係る電気光学装置10の動作ないし作用について、既に参照した図1及び図2に加えて、図3乃至図5の各図面を参照しながら説明する。なお、図3中に示される期間1Hは、一行分の単位回路P1を駆動するのに割り当てられる時間、すなわち、一水平走査期間を意味する。
電気光学装置10は、以下の〔i〕〔ii〕の動作を基本とする。
〔i〕書込動作;
この書込動作は、ある行に位置する各単位回路P1に含まれる電気光学素子8の発光階調に対応するデータ電位VD[j]を、当該電気光学素子8を含む列に属する単位回路P1内の容量素子C1に保持させる動作である。例えば、第2行・第3列に位置する電気光学装置8についてのデータ電位VD[3]_B(図1参照)は、その第3列目に位置する各単位回路P1内の複数の容量素子C1によって保持されることになる。この場合、データ電位VD[3]_Bの保持に利用される容量素子C1は、偶数行に位置する各単位回路P1内に含まれるものだけであることに注意されたい。
〔ii〕発光動作(電気光学素子の駆動);
この発光動作は、〔i〕において容量素子C1に保持されたデータ電位VD[j]に基づいて、当該の電気光学素子8を発光させる動作である。この動作は、当該電気光学素子8を含む単位回路P1が対応する走査線3にアクティブである走査信号G[i]を供給すること、及び、それによってその単位回路P1内のトランジスターTrが導通状態となることを含む。これにより、電気光学素子8は、容量素子C1に蓄積された電荷に応じた電流の供給を受けることになり、発光する。
【0036】
第1実施形態の電気光学装置10は、基本的に、上述の〔i〕〔ii〕の適当な組み合わせに基づいて動作するが、この点について、より詳細にみると以下のようである。
まず、図3の最左方に示す書込期間Pwにおいて、データ線駆動回路300内のSW用配線303_Aにはアクティブ状態の制御信号SEL_Aが供給され、SW用配線303_Bには非アクティブ状態の制御信号SEL_Bが供給されることで、第1スイッチング・トランジスター302_Aはオン状態となり、第2スイッチング・トランジスター302_Bはオフ状態となる。そして、データ電位生成部301は、添え字Aによって表現されるデータ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aを生成し、これを各データ線6に含まれる配線6_Aに供給する。このデータ電位VD[j]_Aは、第1行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8に対応する(図3中、「G[1]対応」という文言参照)。
以上によって、第1行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8についての、前記〔i〕書込動作が完了する。この場合、前述した配線6_A及び6_Bと単位回路P1との接続態様から、例えば、第1行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Aは、その第1列目に含まれ、かつ、奇数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持されることになる。
【0037】
続いて、前記書込期間Pwに隣接する駆動期間Pdにおいて、走査線駆動回路200が第1行目の走査線3にアクティブ状態の走査信号G[1]を供給する。これにより、その第1行目に属する電気光学素子8は一斉に発光する(前記の〔ii〕発光動作)。この際、当該の電気光学素子8に流れる電流は、前述した奇数行に属する容量素子C1に蓄積された電荷量に応じる。以上によって、1個の単位期間1Tが終了する(図3上方参照)。
また、第1実施形態ではこれと並行して、第2行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8についての〔i〕書込動作が行われる。この場合の動作の本質は前述の第1行目に関する書込動作の場合と異ならないが、ここでは、その場合とは逆に、制御信号SEL_Aが非アクティブ、制御信号SEL_Bがアクティブとなって、第1スイッチング・トランジスター302_Aはオフ状態となり、第2スイッチング・トランジスター302_Bはオン状態となる。また、データ電位生成部301は、添え字Bによって表現されるデータ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bを生成し、これを配線6_Bに供給する(図3中、「G[2]対応」という文言参照)。以上により、例えば、第2行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Bは、その第1列目に含まれ、かつ、偶数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持されることになる。
【0038】
図4及び図5は、以上の動作を視覚的に表現する。すなわち、図4においては、制御信号SEL_Aがアクティブ、第1スイッチング・トランジスター302_Aが導通状態となって、第(2k−1)行目(kは適当な整数)、即ち奇数行目に属する容量素子C1が、データ電位VD[j]_Aに応じた電荷を蓄積する場合が描かれている(図4中、太線かつ実線の矢印、及び、それに関連するハッチング部分等参照)。
【0039】
図5においては、その第(2k−1)行目に対応する走査線3にアクティブ状態の走査信号G[2k−1]が供給されることで、この行に属するトランジスターTrがオン状態となり、それに対応する電気光学素子8の各々が発光する場合が描かれている。また、この際、当該の電気光学素子8には、前述した奇数行目に属する容量素子C1の電荷に応じて電流供給がなされる場合も描かれている(図5中、太線かつ実線の矢印、及び、それに関連するハッチング部分等参照)。
一方、この図5においては、これと並行して、図示される第2行目を含む偶数行目に位置する単位回路P1内の電気光学素子8についての書込動作が行われる場合も描かれている(図5中、太線かつ破線の矢印、及び、それに関連するハッチング部分等参照)。図5の場合では第(2k−1)行目の電気光学素子8が駆動対象となっているから、この図5の後においては、第2k(=(2k−1)+1)行目の電気光学素子8が駆動対象となって発光することになる(この点は不図示)。
【0040】
以後は、上述した動作が繰り返し行われる。すなわち、ある時点においては、奇数行目に属する容量素子C1についての書込動作と偶数行目に属する電気光学素子8の発光動作とが行われ、他の時点においては、その逆の動作が行われながら、発光対象となる電気光学素子8が、順次、図4・図5中(あるいは図1・図2中)下方にずれていく。
なお、図3中示される期間1Vは、走査線3の全部の選択が一巡するまでの期間である一垂直走査期間を意味する。
【0041】
このような構成及び動作を行う、第1実施形態の電気光学装置10によれば、次のような効果が奏される。
すなわち、第1実施形態の電気光学装置10によれば、各データ線6が2本の配線6_A及び6_Bを含み、かつ、これら配線6_A及び6_Bのそれぞれが奇数行及び偶数行に位置する単位回路P1に接続されるようになっていることから、1個の電気光学素子8を駆動するために容量素子C1の一斉充電又は一斉放電のための時間を比較的長く確保することができる。
【0042】
このことは、第1実施形態と図6及び図7との対比においてより明瞭に把握される。ここに図6は、第1実施形態に係る構成に対する比較例(図2と対比参照)、図7は、図6の比較例に係る構成の動作に関するタイミングチャートである(図3と対比参照)。
この図6においては、図1あるいは図2等とは異なって、データ線6Convは単位回路P1の各列に対応して1本ずつ設けられている。つまり、第1実施形態では、各列対応のデータ線6がそれぞれ2本の配線6_A及び6_Bを含むのに対して、比較例においては、1本の配線しか存在しない。したがって、図6では、これに応じて、ある列に属する各容量素子C1の接続先は、ある1本のデータ線6Convに集中することになる(図6参照)。
図6では、このような構成であることに応じて、図7に示すように、書込期間Pw及び発光期間Pdがいわば正確に交互に現れることになる。すなわち、第1に、第1行目に属する電気光学素子8のための書込動作が行われた後、第2に、その電気光学素子8に関する発光動作が行われ、その後第3に、第2行目に属する電気光学素子8のための書込動作が行われる、というようである。これは、比較例においては、書込動作及び発光動作の並行処理(図5又は図3参照)が実施できないことによっている。
以上によると、仮に、図7及び図3に示す一垂直走査期間1Vの長さが等しいとするならば、図7の場合において確保可能な書込期間Pwの1個1個の長さは、図3の場合におけるそれよりも短くなる。駆動期間Pdについても同様である。
【0043】
以上の対比から明らかなように、第1実施形態によれば、書込期間Pw及び駆動期間Pdともに、比較例に対して、より長期の時間を確保することが可能となる。したがって、第1実施形態においては、容量素子C1への一斉充電は十分に行われ、また、当該容量素子C1からの一斉放電も十分に行われることになるので、表示画像に輝度ムラ等を発生させるおそれは極めて低減される。
【0044】
<第2実施形態>
以下では、本発明に係る第2実施形態について図8及び図9を参照しながら説明する。なお、この第2実施形態は、各データ線6に含まれる配線6_A及び6_Bのそれぞれのためのデータ電位生成部が存在する点について特徴があり、それ以外の点については、上記第1実施形態の構成及び動作ないし作用等と同様である。したがって、以下では、前記相違点について主に説明を行うこととし、それ以外の点についての説明は適宜簡略化し、あるいは省略する。
【0045】
第2実施形態では、図8に示すように、データ線駆動回路300が、図中上下に分離した2つの部分を含むようになっている。すなわち、データ線駆動回路300は、図8中下方において配線6_Aのそれぞれに接続される複数のデータ電位生成部304_Aを含み、図8中上方において配線6_Bのそれぞれに接続される複数のデータ電位生成部304_Bを含む。配線6_Aは、第1実施形態と同様、奇数行目に位置する単位回路P1に接続されているので、データ電位生成部304_Aは、当該の単位回路P1のためのデータ電位VD[j]_Aを当該配線6_Aに供給する。同様に、配線6_Bは偶数行目に位置する単位回路P1に接続されているので、データ電位生成部304_Bは、当該の単位回路P1のためのデータ電位VD[j]_Bを当該配線6_Bに供給する。
これらデータ電位生成部304_A及び304_Bは、各々独立にデータ電位VD[j]_A及びVD[j]_Bを生成し、また、それを配線6_A又は6_Bに供給可能である。
なお、これら複数のデータ電位生成部304_A及び複数のデータ電位生成部304_Bはそれぞれ、本発明にいう「第1データ電位生成部」及び「第2データ電位生成部」(又はその逆)の一具体例に該当する。
【0046】
このような構成を備える第2実施形態に係る電気光学装置は、以下のように動作ないし作用する。すなわち、まず、図9の最左方に示す書込期間Pwにおいて、データ線駆動回路300内のデータ電位生成部304_Aは、データ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aを生成し、これを配線6_Aに供給する(前記の〔i〕書込動作)。このデータ電位VD[j]_Aは、第1行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8に対応する(図9中、「G[1]対応」という文言参照)。
続いて、第2実施形態では、この書込期間Pw内において、第2行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8についての書込動作も並行して行われる。すなわち、図9に示すように、第1行目に係る書込期間Pwが概ね半分終了した時点において、第2行目に係る書込動作は開始する(図9中、「G[2]対応」という文言参照)。この場合の動作の本質は前述の第1行目に関する書込動作の場合と異ならない。ただ、この場合は、データ線駆動回路300内のデータ電位生成部304_Bが、データ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bを生成し、これを配線6_Bに供給する。
このような動作が可能であるのは、データ電位生成部304_A及び304_Bが、配線6_A及び6_Bの別に応じて個別的に備えられているからである。
【0047】
以上により、例えば、第1行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Aは、その第1列目に含まれ、かつ、奇数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持される一方、第2行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Bは、その第1列目に含まれ、かつ、偶数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持されることになる。
【0048】
続いて、前述の第1行目に係る書込期間Pwに隣接する駆動期間Pdにおいて、走査線駆動回路200は第1行目の走査線3にアクティブ状態の走査信号G[1]を供給する。これにより、その第1行目に属する電気光学素子8は一斉に発光する(前記の〔ii〕発光動作)。この際、当該の電気光学素子8に流れる電流は、前述した奇数行に属する容量素子C1に蓄積された電荷量に応じる。以上によって、1個の単位期間1Tが終了する(図9上方参照)。
なお、この場合において、前述の第2行目に係る書込期間Pwはなお継続している。つまり、1行目に係る発光動作と、2行目に係る書込動作は並行して行われる。
【0049】
以上によると結局、ある時点においては、奇数行目に属する容量素子C1についての書込動作と、偶数行目に属する容量素子C1についての書込動作とが並行して行われ、また、ある時点においては、奇数行目に属する電気光学素子8の発光動作と偶数行目に属する容量素子C1についての書込動作とが並行して行われ、その他の時点においては、偶数行目に属する電気光学素子8の発光動作と奇数行目に属する容量素子C1についての書込動作とが並行して行われる、という3種の態様が存在することになる。そして、第2実施形態では、これら3種の態様が繰り返し適宜の順番で現れながら、発光対象となる電気光学素子8が、順次、図8中下方にずれていく。
【0050】
以上述べたような第2実施形態によっても、上記第1実施形態によって奏された作用効果と本質的に異ならない作用効果が奏されることは明白である。
しかも、この第2実施形態によれば、配線6_A及び6_Bの別に応じたデータ電位生成部304_A及び304_Bが備えられているので、上述のように、奇数行目及び偶数行目に属する容量素子C1についての書込動作が並行して行われ得るようになっている。すなわち、第1実施形態において並行して行い得るのは、奇数行目に係る書込動作と偶数行目に係る発光動作(又はその逆)であったことと対比すると、第2実施形態では、更なる時間利用の効率化が図られている。そして、このことは、1個の電気光学素子8を駆動するための容量素子C1の一斉充電又は一斉放電のための時間を、上記第1実施形態に比べても更に長く確保することができることを意味する。
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態によって奏された作用効果を超えた作用効果が奏される可能性がある。
【0051】
また、第2実施形態においては、図8と図2とを対比するとわかるように、第1実施形態において設置されていた第1・第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_B、並びに、SW用配線303_A及び303_Bが必要でない。したがって、第2実施形態によれば、それを設置する分の低コスト化が見込まれ、また、SW用配線303_A及び303_Bを通じた第1・第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_Bの制御等も必要でなくなるから、動作シーケンスの簡易化等も実現可能となる。
【0052】
なお、上述においては、図8に示す構成を、図9に示すタイミングチャートに従って動作させる態様について説明しているが、当該構成は、それ以外の方法によって動作させることも可能である。
例えば、図8に示す構成は、図10に示すタイミングチャートに従って動作させることが可能である。この図10においては、まず、同図の最左方に示す書込期間Pwにおいて、データ線駆動回路300内のデータ電位生成部304_A及び304_Bが同時に動作する。すなわち、データ電位生成部304_Aは、データ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aを配線6_Aに供給する一方、データ電位生成部304_Bは、データ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bを配線6_Bに供給する。これにより、第1及び第2行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8のための〔i〕書込動作は一斉に行われることになる(図10中、「G[1]対応」及び「G[2]対応」という文言参照)。そして、図10においては、この書込期間Pwの後、この第1及び第2行目に係る電気光学素子8についての〔ii〕発光動作が一斉に行われる。後は、以上の繰り返しである(図10参照)。
【0053】
このような動作態様は、一見すると、上記第1実施形態の比較例として参照した図7の場合と異ならないように見えるが、図10の場合では、2行分の書込動作及び発光動作が並行して行われ得るようになっているので、やはり、容量素子C1の一斉充電及び一斉放電のための時間の長期化を図ることができる。実際、図10及び図7に示す一垂直走査期間1Vの長さが等しいとするならば、図10の場合において確保可能な書込期間Pwの1個1個の長さは、図7の場合におけるそれの2倍となっている。駆動期間Pdについても同様である。
【0054】
なお、図10のような駆動方法を採用する場合においては、列方向に沿って隣り合う2つの単位回路P1の別に応じて、走査線3を設ける必要がない。すなわち、これらの単位回路P1に関しては、共通の走査線3が1本あればよい。図11においては、そのような場合における構成例を示しておいた。この図において、図中上方の走査線3は、1行目及び2行目に位置する単位回路P1に共通である(当該走査線3に関して記号“G[1,2]”が付されているのは、この走査線3に、これらの単位回路P1に共通の走査信号G[1,2]が供給されることを意味している。)。同様にして、その直下の走査線3は、3行目及び4行目に位置する単位回路P1に共通である(記号“G[3,4]”参照)。
【0055】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明に係る電気光学装置は、上述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
(1) 上記第1及び第2実施形態においては、前述の〔i〕書込動作において充電対象となるのは、単位回路P1内に含まれる容量素子C1となっているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、図12に示すように、各配線6_A及び6_Bには補助用の容量素子Csが接続されてもよい。この容量素子Csは、その一方の電極E3が配線6_A又は6_Bに接続されるとともに、他方の電極E4は固定電位が供給される電位線へ接続される。なお、図12は、第1実施形態を前提として、図2の構成に容量素子Csが付加される形態を図示しているが、第2実施形態に係る図8を前提として、容量素子Csが付加される形態であってよいことは言うまでもない。
このような形態においては、図3、図9又は図10に示した各単位期間1T内の書込期間Pwにおいて、所定の容量素子C1に加えて、補助用の容量素子Csも充電される。また、これら各図に示した各単位期間1T内の駆動期間Pdにおいては、補助用の容量素子Csからの電荷が、当該補助用の容量素子Csに対応する単位回路P1へ供給される。
【0056】
このような形態によれば、一の電気光学素子8に対応する配線6_A又は6_Bに接続された容量素子C1の容量の合計値が、当該電気光学素子8の発光量を十分な値とするのに不十分である場合であっても、前記補助用の容量素子Csの容量を利用することでその不足分を補うことができる。
このような効果は、上記第1及び第2実施形態において特に有意義である。というのも、第1及び第2実施形態において、前記〔i〕書込動作及び〔ii〕発光動作は、全単位回路P1内の容量素子C1が利用されて行われるのではなく、その半数の容量素子C1だけが利用されて行われるようになっていることから、前述したような不足分が生じる可能性が大きいからである。
【0057】
(2) 上記第1及び第2実施形態においては、単位回路P1内に容量素子C1が含まれる形態について説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、図13に示すように、単位回路P11は、上記各実施形態における容量素子C1を含まなくともよい。この場合には、データ電位VD[j]に応じた電荷は、各配線6_A又は6_Aに付随する容量、即ち例えば、当該配線6_A又は6_Bと電気光学素子8の陽極との間に寄生する寄生容量等に蓄えられることになる。
このような形態によれば、前述した容量素子C1を設置する分の低コスト化を達成することができる。また、同じ理由から、単位回路P11のサイズの縮小化も実現できるので、高精細化もまた可能になる。
なお、このような図13に示す形態に、図12を参照して説明した補助用の容量素子Csが付加される形態も、当然、本発明の範囲内にある。
【0058】
(3) 上記第1及び第2実施形態においては、データ線6が、2本の配線6_A及び6_Bを含むものとなっているが、本発明は、1本のデータ線6に含まれる配線の数について特に限定しない。すなわち、各データ線6は、3本以上の配線を含んでよい。
例えば、図14に示すように、1本のデータ線6は4本の配線6_A,6_B,6_C及び6_Dを含んでよい。この図において、配線6_A及び6_Bと、これらにデータ電位VD[j]を供給するためのデータ電位生成部301及び第1・第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_Bとは、上記第1実施形態と何ら変わりない。
図14では、これに加えて、配線6_Cが図中上から3番目の単位回路P1に含まれる容量素子C1の一方の電極に接続され、配線6_Dが図中上から4番目の単位回路P1に含まれる容量素子C1の一方の電極に接続されている。また、配線6_C及び6_Dには、それぞれ第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_Dが接続されている。これら第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_Dは、そのゲートに接続されたSW用配線303_C及び303_Dに供給される制御信号SEL_C及びSEL_Dによって、そのオン状態・オフ状態間の遷移が制御される。そして、これら第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_Dには、データ電位生成部306が接続される。
【0059】
これらデータ電位生成部306、第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_D、SW用配線303_C及び303_D、並びに、配線6_C及び6_Dは、その構成が前記データ電位生成部301等の構成とパラレルであることから明らかなように、その動作ないし機能は、データ電位生成部301等を含む構成における動作ないし機能と本質的に変わらない。すなわち、ある時点においては、第3スイッチング・トランジスター302_Cを介して配線6_Cにデータ電位VD[j]_Cが供給され、他の時点においては、第4スイッチング・トランジスター302_Dを介して配線6_Dにデータ電位VD[j]_Dが供給される。この場合、第1から第4の各スイッチング・トランジスター(302_Aから302_D)の各々が、どのようなタイミングでオン状態となり、あるいはオフ状態となるかについては、様々なバリエーションが考えられ得る(図3、図9又は図10参照)。
【0060】
このような形態によれば、1回の充電又は放電に関与する容量素子C1の数は、上記第1又は第2実施形態に比べても減少することになるから、その充電時間又は放電時間をより長期化することが可能である。
【0061】
なお、図14からもわかるように、単位回路P1の周囲にバランスよく配線を設置していくためには、配線の数は偶数であることが好ましい(もっとも、これは、その偶数本の配線のうちの半数を単位回路P1の左に、他の半数を右に配置する場合を前提とする。全配線を単位回路P1の片方の側に集中して配置する場合は、配線の数が偶数であるか奇数であるかは、バランスのよいレイアウトを考える上では、大きな影響を及ぼさない。)。また、配線の数の上限について、本発明は特に限定しないが、開口率等の関係から、最大でも10本程度に抑制するのが好適である。
【0062】
<応用>
次に、上記実施形態に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。
図15は、上記実施形態に係る電気光学装置10を画像表示装置に利用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての電気光学装置10と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。
図16に、上記実施形態に係る電気光学装置10を適用した携帯電話機を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
図17に、上記実施形態に係る電気光学装置10を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置10に表示される。
【0063】
本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図15から図17に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0064】
10……電気光学装置、100……画素アレイ部、200……走査線駆動回路、300……データ線駆動回路、301,304_A,304_B,306……データ電位生成部、302_A,302_B,302_C,302_D……第1,第2,第3,第4スイッチング・トランジスター、303_A,303_B,303_C,303_D……スイッチング・トランジスター制御用配線、P1……画素回路、8……電気光学素子、3……走査線、30……容量線、6……データ線、6_A,6_B,6_C,6D……配線、C1……容量素子、E1……第1電極、E2……第2電極、Tr……トランジスター、Cs……補助用の容量素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electro luminescent)素子、液晶等を含む電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気光学素子として有機EL素子等を含む電気光学装置が提供されている。この電気光学装置では、有機EL素子等に所定の電流又は電圧を供給するための、さまざまな駆動回路が備えられる。このような駆動回路は、例えば、有機EL素子に加えて、これに並列に接続される容量素子を含むことがある。この場合、有機EL素子の陽極及び容量素子の一方の電極にデータ電位が、有機EL素子の陰極及び容量素子の他方の電極に基準電位が、それぞれ供給されるなどということになる。これによると、容量素子に蓄えられた、前記データ電位に応じた電荷に起因する電流供給が、有機EL素子に対して行われ得ることになるから、当該有機EL素子の安定的な駆動を行うこと等が可能になる。
このような電気光学装置としては、例えば特許文献1に開示されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−122608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような電気光学装置においては、次のような問題がある。すなわち、有機EL素子の発光量(発光輝度の時間積分値)を十分な値とするためには、前記容量素子に蓄える電荷量を大きくする必要があり、したがって、前記容量素子の容量を非常に大きな値とする必要がある。しかし、1個1個の駆動回路の設置のために許される物理的面積には制約があること等の関係から、そのような大容量値の実現には、そもそも困難が伴う。
【0005】
そこで、上記問題を解決するため、本願出願人は、既に特願2008−26580号に係る技術を提案している。そこにおいては、複数の駆動回路(単位回路)の各々に含まれる容量素子を、1個の有機EL素子を駆動するために利用する技術が開示されている。簡単な例でいえば、駆動回路が単純に1列だけ並べられているとして、その数がN個ある(したがって容量素子及び有機EL素子もともにN個ある)とする場合、ある1個の有機EL素子を駆動するにあたっては、第1に、当該有機EL素子に対応するデータ電位に応じた充電を全駆動回路に含まれるN個の容量素子について一斉に行い、第2に、そのN個の容量素子の一斉放電(即ち、電流供給)を当該有機EL素子に向けて行う、などということになる。
これによると、前述のような不具合は殆ど問題でなくなる。
【0006】
とはいえ、このような技術にもなお改善の余地がある。すなわち、前述の例にしたがえば、ある1個の有機EL素子を駆動するために、N個全部の容量素子に対する一斉充電、及び、一斉放電を行うことが必要となるが、その各々を十分に行うための時間が比較的長期にわたるおそれがあることである。これによると、仮に、その一斉充電又は一斉放電が十分になされる時間を確保しようとすれば各有機EL素子の駆動タイミングが間延びしてしまうことになるし、あるいは、一定の書込時間及び発光時間(これらはそれぞれ、前記の充電及び放電に対応する。)を前提とするのであれば十分な充電及び放電が行えない、という問題となって現れることになる。その結果、輝度ムラの発生等が懸念される。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決することの可能な電気光学装置及びその駆動方法並びに電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、かかる態様の電気光学装置、その駆動方法、あるいは電子機器に関連する課題を解決可能な、電気光学装置、その駆動方法、あるいは電子機器を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る電気光学装置は、上述した課題を解決するため、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、各単位期間内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、を備え、前記複数の単位回路の各々は、前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、容量線に接続された第1電極、及び、前記データ線に含まれる前記各配線のいずれかの配線に接続された第2電極を有する容量素子と、前記第2電極と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで前記第2電極と前記電気光学素子とを導通させるスイッチング素子と、を含み、当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続される。
【0009】
本発明によれば、例えば、以下のような動作が実現可能である。
すなわち、第1に、書込期間において、一の配線に接続された、一の単位回路内の容量素子への充電が行われる。この場合、データ線駆動回路がデータ電位を出力する「いずれかの配線」は、当該一の配線ということになる。第2に、この書込期間の後の駆動期間において、その容量素子の放電が、選択対象となった走査線に対応する単位回路(当該一の単位回路である場合もあり得る。)に含まれる電気光学素子に向けて行われる。
このような動作においては、容量素子への充電及びそこからの放電に関与する単位回路が、前記一の配線に接続された容量素子を含むものに限られる。つまり、本発明においては、「他の配線」に接続された「他の単位回路」の存在が前提されていることから、全単位回路内の容量素子が、そのような充電及び放電に関与するわけではない。
他方、前述の第1及び第2の動作は、他の配線に接続された、他の単位回路内の容量素子に関しても全く同様に行われる(この場合は、一の配線に接続された一の単位回路は、前述したような充電及び放電に関与しない。)。
このように、本発明によれば、充電又は放電の対象となる容量素子の数が、少なくとも容量素子の全数に比べれば少なくなるから、その時間を比較的長期に確保することが可能になる。したがって、本発明によれば、充電時間あるいは放電時間の不足に起因する不都合、例えば輝度ムラの発生等が効果的に抑制される。
【0010】
また、本発明の第2の観点に係る電気光学装置は、上述した課題を解決するため、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、各単位回路内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、前記複数のデータ線に含まれる前記各配線と前記データ線駆動回路との間に配置された複数の第1スイッチング素子と、を備え、前記複数の単位回路の各々は、前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、前記データ線に含まれる一の前記配線と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで当該配線と当該電気光学素子とを導通させる第2スイッチング素子と、を含み、当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続され、前記データ線駆動回路が前記データ線に含まれる一の前記配線に前記データ電位を出力する際に、当該配線に対応する前記第1スイッチング素子は、前記書込期間において導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させることで、当該配線に付随する容量に前記データ電位に応じた電荷を蓄積させ、前記駆動期間において非導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させない。
【0011】
本発明によれば、上述した本発明の第1の観点に係る電気光学装置によって奏された作用効果と同様の作用効果が奏される。
ただし、本発明においては、充電対象となるのは、データ線に含まれる「配線に付随する容量」であり、したがってまた、放電対象となるのも、その「容量」である。なお、この放電は、上述の規定から、駆動期間において配線とデータ線駆動回路とが非導通状態となるとともに、配線と電気光学素子とが導通状態となることによって実現される。
ここで「配線に付随する容量」には、例えば、配線自体に寄生する容量(更に具体的には、配線と電気光学素子を構成する一方の電極との間に寄生する容量等)が含まれる。また、この「配線に付随する容量」には、前述した本発明の第1の観点に係る電気光学装置を構成する「容量素子」も含まれる(したがって、この意味においては、この第2の観点に係る電気光学装置のほうが、第1の観点に係るそれよりも、捕捉範囲は広い、といえる。)。
このように、本発明においては、前記の第1の観点に係る電気光学装置によって奏された作用効果に加えて、前述した「容量素子」の設置が必要不可欠の要素とされていないことから、それを設置する分の低コスト化を達成することができる。また、同じ理由から、単位回路のサイズの縮小化も実現できるので、高精細化もまた可能になる。
【0012】
本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記一の単位回路に係る前記単位期間は、前記他の単位回路に係る前記単位期間の少なくとも一部と重なる、ように構成してもよい。
この態様によれば、一の単位回路及び他の単位回路に係る単位時間が相互に一部重なり合うことから、前述した充電時間あるいは放電時間をより長期に確保することが可能になる。また、このような単位期間の重なり合いは、所定の一定時間内で、全単位回路内の電気光学素子を効率的に駆動することを可能にするということもできる。
なお、本態様において、「単位回路に係る単位期間」とは、その単位回路内の電気光学素子が所定の階調となるべく、前述した書込期間及び駆動期間内に行われるデータ電位出力及び走査線の選択が、当該の単位回路のために実行される場合における、当該の期間を意味する。
【0013】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記データ線駆動回路は、前記各配線のうちのいずれの配線に前記データ電位を供給するかを定める切換部を含む、ように構成してもよい。
この態様によれば、データ線駆動回路が切換部を含むので、データ線に含まれる各配線へのデータ電位の供給等が好適に行われる結果、前述した本発明に係る効果をより実効的に享受可能である。
また、本態様に関し、より具体的には例えば、仮に1個のデータ線が“2本”の配線を含んでいるとするなら、前記一の単位回路についての書込期間中は、そのうちの一方の配線にデータ電位が供給され、他の単位回路についての書込期間中は、他方の配線にデータ電位が供給される、などということになる。この場合特に、後者の、他の単位回路についての書込期間中は、前記一方の配線はいわば開放されているから、当該期間は、当該配線に付随する容量からの電荷放電、即ち前記一の単位回路についての駆動期間にあてることができる。このことは、これら一及び他の単位回路の各々に係る「駆動期間」及び「書込期間」の少なくとも一部を重ね合わせることが可能であることを意味する。
このようにして、本態様によれば、前述した本発明に係る効果がより実効的に奏される。
【0014】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記データ線駆動回路は、前記各配線のうちの前記一の配線のために供給される前記データ電位を生成する第1データ電位生成部と、当該第1データ電位生成部における前記データ電位の生成とは独立に、前記各配線のうちの前記他の配線のために供給される前記データ電位を生成する第2データ電位生成部と、を少なくとも含む、ように構成してもよい。
この態様によれば、データ線駆動回路が、第1及び第2データ電位生成部という2つの区分された独立の構成を含むので、例えば、一の配線を対象とするデータ電位の出力と、他の配線を対象とするデータ電位の出力とを並行して行うことができる。このことは、これら一及び他の単位回路に係る「書込期間」の少なくとも一部を重ね合わせることが可能であることを意味する。
なお、本態様においても、直前の態様において述べたような、一及び他の単位回路の各々に係る「駆動期間」及び「書込期間」の少なくとも一部を重ね合わせることは、同様に実現可能である。
このようにして、本態様によれば、前述した本発明に係る効果がより実効的に奏される。
【0015】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記各単位回路における前記容量素子又は前記配線に付随する容量とは別に、一方の電極が前記配線に接続される補助用の容量素子を更に備える、ように構成してもよい。
この態様によれば、選択された走査線に対応する単位回路における電気光学素子の発光量を十分な値とするために必要な容量に対して、当該単位回路に対応する配線に接続された各容量素子の合計容量、あるいはその配線に付随する容量が少ない場合であっても、補助用の容量素子の容量によって不足分を補うことができる。
ちなみに、このような効果は、本発明一般がそもそも、上述のように全容量素子、あるいは全配線に付随する全容量を用いた充電及び放電を行わず、したがって前述したような不足分が生じ易い状況にあることを考えると、より有意義であるといえる。
【0016】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記データ線の各々は偶数本の配線から構成され、当該偶数本の配線のうちの半数の配線は、前記単位回路の一方の側に配置され、残る半数の配線は、前記単位回路の他方の側に配置される、ように構成してもよい。
この態様によれば、複数の配線を含むデータ線及び単位回路のレイアウトを好適に(より具体的には例えば、バランスよく)行うことができる。
【0017】
また、本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置では、前記一の単位回路及び前記他の単位回路は、前記データ線の延在方向に沿って隣り合って並ぶ1個の単位回路群を構成し、前記単位回路群は、当該データ線の延在方向に沿って繰り返し配列される、ように構成してもよい。
この態様によれば、例えば、ある1個のデータ線に着目すると、それに沿って、一の単位回路、他の単位回路、一の単位回路、他の単位回路、一の単位回路、…という繰り返し配列が行われることになる。そして、これらのうちの一の単位回路(の全部)は当該データ線に含まれる一の配線に共通接続され、他の単位回路(の全部)は、当該データ線に含まれる他の配線に共通接続される、などということになる。
このように、本態様においては、これら一及び他の単位回路がバランスよく配置されることから、全単位回路のうちのある単位回路を駆動対象とする場合において、当該単位回路に含まれる電気光学素子への電荷供給にムラが生じるといった懸念がない。
【0018】
また、本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述した各種の電気光学装置を備える。
本発明の電子機器は、上述した各種の電気光学装置を備えてなるので、容量素子又は前記配線に付随する容量への充電又はそこからの放電のための時間を比較的長期に確保することが可能となるなどの結果、より高品質な画像を表示すること等が可能である。
【0019】
一方、本発明の第1の観点に係る電気光学装置の駆動方法は、上記課題を解決するため、データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続された容量素子と、当該容量素子の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に接続された前記容量素子に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、前記一の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に接続された前記容量素子に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、前記他の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、を含む。
【0020】
本発明によれば、その第1及び第2工程において、容量素子への充電及びそこからの放電に関与する当該の容量素子が、「一の配線」に接続されたものに限られる。つまり、本発明においては、「他の配線」に接続された容量素子の存在が前提されていることから、全容量素子が、そのような充電及び放電に関与するわけではない。「他の配線」に関連する第3及び第4工程に関しても同様である。
このように、本発明によれば、充電又は放電の対象となる容量素子の数が、少なくとも容量素子の全数に比べれば少なくなるから、その時間を比較的長期に確保することが可能になる。したがって、本発明によれば、充電時間あるいは放電時間の不足に起因する不都合、例えば輝度ムラの発生等が効果的に抑制される。
また、このことからも明らかなように、本発明によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を好適に駆動することが可能である。
なお、本発明において、「一の配線に接続された容量素子」という場合における容量素子は複数あってよい。「他の配線に接続された容量素子」という場合における容量素子についても同様である。
【0021】
また、本発明の第2の観点に係る電気光学装置の駆動方法は、上述した課題を解決するため、データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続され当該配線に付随する容量の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に付随する容量に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、前記一の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該一の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に付随する容量に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、前記他の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該他の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、を含む。
【0022】
本発明によれば、上述した本発明の第1の観点に係る電気光学装置の駆動方法によって奏された作用効果と同様の作用効果が奏される。なお、本発明にいう「配線に付随する容量」の意義については、上述したところと同じである。
【0023】
本発明の第1又は第2の観点に係る電気光学装置の駆動方法では、前記第1工程は、前記第3及び第4工程の少なくとも1つの工程と並行して行われ、又は、前記第3工程は、前記第1及び第2工程の少なくとも1つの工程と並行して行われる、ように構成してもよい。
この態様によれば、例えば、第1工程と第4工程との実施が一部重なり合うことから、前述した充電時間あるいは放電時間をより長期に確保することが可能になる。また、このような重なり合いは、所定の一定時間内で、全単位回路内の電気光学素子を効率的に駆動することを可能にするということもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置を示すブロック図である。
【図2】図1の電気光学装置を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図3】図1及び図2の電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図3に従って動作する電気光学装置における容量素子(C1)の充電及び放電を視覚的に表現する説明図(その1)である。
【図5】図3に従って動作する電気光学装置における容量素子(C1)の充電及び放電を視覚的に表現する説明図(その2)である。
【図6】第1実施形態に係る電気光学装置の構成に対する比較例の構成を示す図である。
【図7】図6の比較例の構成の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図9】図8の電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】図8の電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートであって、図9とは異なるものである。
【図11】本発明の第2実施形態の変形例に係る電気光学装置を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図12】本発明の第1及び第2実施形態に係る電気光学装置の変形例(補助用の容量素子の付加)を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図13】本発明の第1及び第2実施形態に係る電気光学装置の変形例(容量素子の不存在)を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図14】本発明の第1及び第2実施形態に係る電気光学装置の変形例(配線数の増大)を構成する単位回路及びデータ電位生成部周囲の詳細を示す回路図である。
【図15】本発明に係る電気光学装置を適用した電子機器を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る電気光学装置を適用した他の電子機器を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る電気光学装置を適用したさらに他の電子機器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
以下では、本発明に係る第1の実施の形態について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、ここに言及した図1及び図2に加え、以下で参照する各図面においては、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に異ならせてある場合がある。
【0026】
図1において、電気光学装置10は、画像を表示するための手段として各種の電子機器に採用される装置であり、複数の単位回路P1が面状に配列された画素アレイ部100、走査線駆動回路200及びデータ線駆動回路300を有する。なお、図1においては、走査線駆動回路200とデータ線駆動回路300とが別個の回路として図示されているが、これらの回路の一部又は全部が単一の回路とされた構成も採用される。
【0027】
図1に示すように、画素アレイ部100には、X方向に延在するm本の走査線3と、X方向に直交するY方向に延在するn本のデータ線6とが設けられる(m及びnは自然数)。各単位回路P1は、走査線3とデータ線6との交差に対応する位置に配置される。したがって、これらの単位回路P1は縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。
以上の構成のうち、n本のデータ線6はそれぞれ、図1に示すように、一組2本の配線6_A及び6_Bを含む。つまり、データ線6がn本あれば、配線6_A及び6_Bの全数は2n本である。また、これら配線6_A及び6_Bのうち、配線6_Aは、奇数行に位置する単位回路P1に接続される一方、配線6_Bは、偶数行に位置する単位回路P1に接続される。
【0028】
図1に示す走査線駆動回路200は、複数の単位回路P1を行単位で選択するための回路である。走査線駆動回路200は順次アクティブとなる走査信号G[1]乃至G[m]を生成してm本の走査線3の各々に出力する。第i行(iは1≦i≦mを満たす整数)の走査線3に供給される走査信号G[i]のアクティブ状態への遷移は、第i行に属するn個の単位回路P1の選択を意味する。
【0029】
図1に示すデータ線駆動回路300は、走査線駆動回路200によって選択される走査線3に対応する1行分のn個の単位回路P1の各々の階調データに応じたデータ電位VD[1]乃至VD[n]を生成して各データ線6に出力する。なお、以下では、第j列目(jは1≦j≦nを満たす整数)のデータ線6に出力されるデータ電位VDをVD[j]と表記することがある。
この場合、各データ線6が前述のように2本の配線6_A及び6_Bを含むことから、データ電位VD[1]乃至VD[n]の各々も、これら2本の配線6_A及び6_Bに応じる。すなわち、例えば、第1列目のデータ線6に含まれる配線6_A及び6_Bにはデータ電位VD[1]_A及びVD[1]_Bが対応して出力され、第3列目のデータ線6に含まれる配線6_A及び6_Bには、データ電位VD[3]_A及びVD[3]_Bが対応して出力される、などというようである(図1参照)。
【0030】
データ線駆動回路300は、これを実現するため、図2に示すように、各列に位置する単位回路P1に対応するデータ電位生成部301、第1及び第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_B、並びに、これら各々のゲートに制御信号を供給するスイッチング・トランジスター制御用配線(以下、「SW用配線」と略す。)303_A及び303_Bを含む。
このうちデータ電位生成部301は、1本のデータ線6ごとに、あるいは、一組の配線6_A及び6_Bごとに、1個ずつ対応するように設けられる。これらデータ電位生成部301の各々は、それに対応する配線6_A及び6_Bが、何列目のデータ線6に対応するものであるかに応じたデータ電位を生成する。例えば、1列目のデータ線6に対応する配線6_A及び6_B用のデータ電位生成部301は、データ電位VD[1](即ち、VD[1]_A及びVD[1]_B)を生成する。
また、SW用配線303_A及び303_Bにはそれぞれ、制御信号SEL_A及びSEL_Bが出力される。この制御信号SEL_A及びSEL_Bは、走査信号G[1]乃至G[m]それぞれのアクティブ状態及び非アクティブ状態間の遷移と適当に同期しながら、同様に、アクティブ状態及び非アクティブ状態間を遷移する。
第1及び第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_Bのそれぞれは、Nチャネル型であり、前記制御信号SEL_A及びSEL_Bがアクティブ状態となるとき導通状態となる。そして、これらの各トランジスター(302_A,302_B)の導通・非導通状態間の遷移に応じて、配線6_Aにはデータ電位VD[j]_Aが出力され、配線6_Bにはデータ電位VD[j]_Bが出力される。
【0031】
以上のことと、前述した単位回路P1と配線6_A及び6_Bとの接続関係とから、奇数行に位置する単位回路P1には、添え字Aによって表現されるデータ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aが供給されることになる。同様に、偶数行に位置する単位回路P1には、添え字Bによって表現されるデータ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bが供給されることになる。
なお、本発明にいう「切換部」は、上記のうち第1及び第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_B、並びに、SW用配線303_A及び303_Bを少なくとも含む。
【0032】
図2は、各単位回路P1についての詳細な電気的構成を示す回路図である。
各単位回路P1は、図2に示すように、電気光学素子8、容量素子C1、及びトランジスターTrを有する。
電気光学素子8は、陽極と陰極との間に有機EL材料の発光層を介在させたOLED(Organic Light Emitting Diode)素子であり、図2に示すように、トランジスターTrと定電位が供給される定電位線(接地線)との間に配置される。ここで、陽極は単位回路P1毎に設けられ、単位回路P1毎に制御される個別電極であり、陰極は単位回路P1に共通に設けられた共通電極となっている。そして、陰極は定電位が供給される定電位線に接続されている。なお、陽極が共通電極であり、陰極が個別電極であってもよい。
【0033】
容量素子C1は、データ線6から供給されるデータ電位VD[j]を保持する手段である。図2に示すように、容量素子C1は、容量線30に接続された第1電極E1と、データ線6に接続された第2電極E2と、を有する。ここで第2電極E2がデータ線6に接続されるという場合、第1実施形態では以下のような特徴がある。すなわち、図2に示すように、奇数行に位置する単位回路P1に含まれる容量素子C1の第2電極E2は、データ線6を構成する配線6_Aに接続される。他方、偶数行に位置する単位回路P1に含まれる容量素子C1の第2電極E2は、データ線6を構成する配線6_Bに接続される。
なお、固定電位が供給される容量線30は各単位回路P1に共通に接続される。また、定電位線に接地電位が供給されているが、例えば、定電位線には負電位が供給されており、データ電位VD[j]のうち最高輝度を示すデータ電位VD[n]が正電位であり、データ電位VD[j]のうち最低輝度を示すデータ電位VD[1]が負電位であってもよい。即ち、データ電位VD[n]とデータ電位VD[1]との間に接地電位があってもよい。このようにすれば、接地電位に対するデータ電位VD[j]の振幅を低減でき、低消費電力化を図ることができる。
【0034】
トランジスターTrは、Nチャネル型であり、走査線3の選択時に導通することで容量素子C1の第2電極E2と電気光学素子8とを導通させるスイッチング素子である。図2に示すように、トランジスターTrのソースは電気光学素子8の陽極に接続されるとともに、そのドレインは容量素子C1の第2電極E2に接続される。したがって、このトランジスターTrのドレインもまた、前記第2電極E2に関する接続態様と同様、奇数行に位置する単位回路P1に関しては、図中左方に示される配線6_Aに接続され、偶数号に位置する単位回路P1に関しては、図中右方に示される配線6_Bに接続される。
そして、トランジスターTrのゲートは走査線3に接続される。これにより、走査信号G[i]がアクティブ状態に遷移するとトランジスターTrがオン状態となって、第2電極E2と電気光学素子8とが導通する。一方、走査信号G[i]が非アクティブ状態に遷移するとトランジスターTrはオフ状態となって、第2電極E2と電気光学素子8とは非導通状態となる。
【0035】
次に、第1実施形態に係る電気光学装置10の動作ないし作用について、既に参照した図1及び図2に加えて、図3乃至図5の各図面を参照しながら説明する。なお、図3中に示される期間1Hは、一行分の単位回路P1を駆動するのに割り当てられる時間、すなわち、一水平走査期間を意味する。
電気光学装置10は、以下の〔i〕〔ii〕の動作を基本とする。
〔i〕書込動作;
この書込動作は、ある行に位置する各単位回路P1に含まれる電気光学素子8の発光階調に対応するデータ電位VD[j]を、当該電気光学素子8を含む列に属する単位回路P1内の容量素子C1に保持させる動作である。例えば、第2行・第3列に位置する電気光学装置8についてのデータ電位VD[3]_B(図1参照)は、その第3列目に位置する各単位回路P1内の複数の容量素子C1によって保持されることになる。この場合、データ電位VD[3]_Bの保持に利用される容量素子C1は、偶数行に位置する各単位回路P1内に含まれるものだけであることに注意されたい。
〔ii〕発光動作(電気光学素子の駆動);
この発光動作は、〔i〕において容量素子C1に保持されたデータ電位VD[j]に基づいて、当該の電気光学素子8を発光させる動作である。この動作は、当該電気光学素子8を含む単位回路P1が対応する走査線3にアクティブである走査信号G[i]を供給すること、及び、それによってその単位回路P1内のトランジスターTrが導通状態となることを含む。これにより、電気光学素子8は、容量素子C1に蓄積された電荷に応じた電流の供給を受けることになり、発光する。
【0036】
第1実施形態の電気光学装置10は、基本的に、上述の〔i〕〔ii〕の適当な組み合わせに基づいて動作するが、この点について、より詳細にみると以下のようである。
まず、図3の最左方に示す書込期間Pwにおいて、データ線駆動回路300内のSW用配線303_Aにはアクティブ状態の制御信号SEL_Aが供給され、SW用配線303_Bには非アクティブ状態の制御信号SEL_Bが供給されることで、第1スイッチング・トランジスター302_Aはオン状態となり、第2スイッチング・トランジスター302_Bはオフ状態となる。そして、データ電位生成部301は、添え字Aによって表現されるデータ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aを生成し、これを各データ線6に含まれる配線6_Aに供給する。このデータ電位VD[j]_Aは、第1行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8に対応する(図3中、「G[1]対応」という文言参照)。
以上によって、第1行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8についての、前記〔i〕書込動作が完了する。この場合、前述した配線6_A及び6_Bと単位回路P1との接続態様から、例えば、第1行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Aは、その第1列目に含まれ、かつ、奇数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持されることになる。
【0037】
続いて、前記書込期間Pwに隣接する駆動期間Pdにおいて、走査線駆動回路200が第1行目の走査線3にアクティブ状態の走査信号G[1]を供給する。これにより、その第1行目に属する電気光学素子8は一斉に発光する(前記の〔ii〕発光動作)。この際、当該の電気光学素子8に流れる電流は、前述した奇数行に属する容量素子C1に蓄積された電荷量に応じる。以上によって、1個の単位期間1Tが終了する(図3上方参照)。
また、第1実施形態ではこれと並行して、第2行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8についての〔i〕書込動作が行われる。この場合の動作の本質は前述の第1行目に関する書込動作の場合と異ならないが、ここでは、その場合とは逆に、制御信号SEL_Aが非アクティブ、制御信号SEL_Bがアクティブとなって、第1スイッチング・トランジスター302_Aはオフ状態となり、第2スイッチング・トランジスター302_Bはオン状態となる。また、データ電位生成部301は、添え字Bによって表現されるデータ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bを生成し、これを配線6_Bに供給する(図3中、「G[2]対応」という文言参照)。以上により、例えば、第2行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Bは、その第1列目に含まれ、かつ、偶数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持されることになる。
【0038】
図4及び図5は、以上の動作を視覚的に表現する。すなわち、図4においては、制御信号SEL_Aがアクティブ、第1スイッチング・トランジスター302_Aが導通状態となって、第(2k−1)行目(kは適当な整数)、即ち奇数行目に属する容量素子C1が、データ電位VD[j]_Aに応じた電荷を蓄積する場合が描かれている(図4中、太線かつ実線の矢印、及び、それに関連するハッチング部分等参照)。
【0039】
図5においては、その第(2k−1)行目に対応する走査線3にアクティブ状態の走査信号G[2k−1]が供給されることで、この行に属するトランジスターTrがオン状態となり、それに対応する電気光学素子8の各々が発光する場合が描かれている。また、この際、当該の電気光学素子8には、前述した奇数行目に属する容量素子C1の電荷に応じて電流供給がなされる場合も描かれている(図5中、太線かつ実線の矢印、及び、それに関連するハッチング部分等参照)。
一方、この図5においては、これと並行して、図示される第2行目を含む偶数行目に位置する単位回路P1内の電気光学素子8についての書込動作が行われる場合も描かれている(図5中、太線かつ破線の矢印、及び、それに関連するハッチング部分等参照)。図5の場合では第(2k−1)行目の電気光学素子8が駆動対象となっているから、この図5の後においては、第2k(=(2k−1)+1)行目の電気光学素子8が駆動対象となって発光することになる(この点は不図示)。
【0040】
以後は、上述した動作が繰り返し行われる。すなわち、ある時点においては、奇数行目に属する容量素子C1についての書込動作と偶数行目に属する電気光学素子8の発光動作とが行われ、他の時点においては、その逆の動作が行われながら、発光対象となる電気光学素子8が、順次、図4・図5中(あるいは図1・図2中)下方にずれていく。
なお、図3中示される期間1Vは、走査線3の全部の選択が一巡するまでの期間である一垂直走査期間を意味する。
【0041】
このような構成及び動作を行う、第1実施形態の電気光学装置10によれば、次のような効果が奏される。
すなわち、第1実施形態の電気光学装置10によれば、各データ線6が2本の配線6_A及び6_Bを含み、かつ、これら配線6_A及び6_Bのそれぞれが奇数行及び偶数行に位置する単位回路P1に接続されるようになっていることから、1個の電気光学素子8を駆動するために容量素子C1の一斉充電又は一斉放電のための時間を比較的長く確保することができる。
【0042】
このことは、第1実施形態と図6及び図7との対比においてより明瞭に把握される。ここに図6は、第1実施形態に係る構成に対する比較例(図2と対比参照)、図7は、図6の比較例に係る構成の動作に関するタイミングチャートである(図3と対比参照)。
この図6においては、図1あるいは図2等とは異なって、データ線6Convは単位回路P1の各列に対応して1本ずつ設けられている。つまり、第1実施形態では、各列対応のデータ線6がそれぞれ2本の配線6_A及び6_Bを含むのに対して、比較例においては、1本の配線しか存在しない。したがって、図6では、これに応じて、ある列に属する各容量素子C1の接続先は、ある1本のデータ線6Convに集中することになる(図6参照)。
図6では、このような構成であることに応じて、図7に示すように、書込期間Pw及び発光期間Pdがいわば正確に交互に現れることになる。すなわち、第1に、第1行目に属する電気光学素子8のための書込動作が行われた後、第2に、その電気光学素子8に関する発光動作が行われ、その後第3に、第2行目に属する電気光学素子8のための書込動作が行われる、というようである。これは、比較例においては、書込動作及び発光動作の並行処理(図5又は図3参照)が実施できないことによっている。
以上によると、仮に、図7及び図3に示す一垂直走査期間1Vの長さが等しいとするならば、図7の場合において確保可能な書込期間Pwの1個1個の長さは、図3の場合におけるそれよりも短くなる。駆動期間Pdについても同様である。
【0043】
以上の対比から明らかなように、第1実施形態によれば、書込期間Pw及び駆動期間Pdともに、比較例に対して、より長期の時間を確保することが可能となる。したがって、第1実施形態においては、容量素子C1への一斉充電は十分に行われ、また、当該容量素子C1からの一斉放電も十分に行われることになるので、表示画像に輝度ムラ等を発生させるおそれは極めて低減される。
【0044】
<第2実施形態>
以下では、本発明に係る第2実施形態について図8及び図9を参照しながら説明する。なお、この第2実施形態は、各データ線6に含まれる配線6_A及び6_Bのそれぞれのためのデータ電位生成部が存在する点について特徴があり、それ以外の点については、上記第1実施形態の構成及び動作ないし作用等と同様である。したがって、以下では、前記相違点について主に説明を行うこととし、それ以外の点についての説明は適宜簡略化し、あるいは省略する。
【0045】
第2実施形態では、図8に示すように、データ線駆動回路300が、図中上下に分離した2つの部分を含むようになっている。すなわち、データ線駆動回路300は、図8中下方において配線6_Aのそれぞれに接続される複数のデータ電位生成部304_Aを含み、図8中上方において配線6_Bのそれぞれに接続される複数のデータ電位生成部304_Bを含む。配線6_Aは、第1実施形態と同様、奇数行目に位置する単位回路P1に接続されているので、データ電位生成部304_Aは、当該の単位回路P1のためのデータ電位VD[j]_Aを当該配線6_Aに供給する。同様に、配線6_Bは偶数行目に位置する単位回路P1に接続されているので、データ電位生成部304_Bは、当該の単位回路P1のためのデータ電位VD[j]_Bを当該配線6_Bに供給する。
これらデータ電位生成部304_A及び304_Bは、各々独立にデータ電位VD[j]_A及びVD[j]_Bを生成し、また、それを配線6_A又は6_Bに供給可能である。
なお、これら複数のデータ電位生成部304_A及び複数のデータ電位生成部304_Bはそれぞれ、本発明にいう「第1データ電位生成部」及び「第2データ電位生成部」(又はその逆)の一具体例に該当する。
【0046】
このような構成を備える第2実施形態に係る電気光学装置は、以下のように動作ないし作用する。すなわち、まず、図9の最左方に示す書込期間Pwにおいて、データ線駆動回路300内のデータ電位生成部304_Aは、データ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aを生成し、これを配線6_Aに供給する(前記の〔i〕書込動作)。このデータ電位VD[j]_Aは、第1行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8に対応する(図9中、「G[1]対応」という文言参照)。
続いて、第2実施形態では、この書込期間Pw内において、第2行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8についての書込動作も並行して行われる。すなわち、図9に示すように、第1行目に係る書込期間Pwが概ね半分終了した時点において、第2行目に係る書込動作は開始する(図9中、「G[2]対応」という文言参照)。この場合の動作の本質は前述の第1行目に関する書込動作の場合と異ならない。ただ、この場合は、データ線駆動回路300内のデータ電位生成部304_Bが、データ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bを生成し、これを配線6_Bに供給する。
このような動作が可能であるのは、データ電位生成部304_A及び304_Bが、配線6_A及び6_Bの別に応じて個別的に備えられているからである。
【0047】
以上により、例えば、第1行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Aは、その第1列目に含まれ、かつ、奇数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持される一方、第2行目・第1列目の電気光学素子8に対応するデータ電位VD[1]_Bは、その第1列目に含まれ、かつ、偶数行に位置する各単位回路P1内の容量素子C1に保持されることになる。
【0048】
続いて、前述の第1行目に係る書込期間Pwに隣接する駆動期間Pdにおいて、走査線駆動回路200は第1行目の走査線3にアクティブ状態の走査信号G[1]を供給する。これにより、その第1行目に属する電気光学素子8は一斉に発光する(前記の〔ii〕発光動作)。この際、当該の電気光学素子8に流れる電流は、前述した奇数行に属する容量素子C1に蓄積された電荷量に応じる。以上によって、1個の単位期間1Tが終了する(図9上方参照)。
なお、この場合において、前述の第2行目に係る書込期間Pwはなお継続している。つまり、1行目に係る発光動作と、2行目に係る書込動作は並行して行われる。
【0049】
以上によると結局、ある時点においては、奇数行目に属する容量素子C1についての書込動作と、偶数行目に属する容量素子C1についての書込動作とが並行して行われ、また、ある時点においては、奇数行目に属する電気光学素子8の発光動作と偶数行目に属する容量素子C1についての書込動作とが並行して行われ、その他の時点においては、偶数行目に属する電気光学素子8の発光動作と奇数行目に属する容量素子C1についての書込動作とが並行して行われる、という3種の態様が存在することになる。そして、第2実施形態では、これら3種の態様が繰り返し適宜の順番で現れながら、発光対象となる電気光学素子8が、順次、図8中下方にずれていく。
【0050】
以上述べたような第2実施形態によっても、上記第1実施形態によって奏された作用効果と本質的に異ならない作用効果が奏されることは明白である。
しかも、この第2実施形態によれば、配線6_A及び6_Bの別に応じたデータ電位生成部304_A及び304_Bが備えられているので、上述のように、奇数行目及び偶数行目に属する容量素子C1についての書込動作が並行して行われ得るようになっている。すなわち、第1実施形態において並行して行い得るのは、奇数行目に係る書込動作と偶数行目に係る発光動作(又はその逆)であったことと対比すると、第2実施形態では、更なる時間利用の効率化が図られている。そして、このことは、1個の電気光学素子8を駆動するための容量素子C1の一斉充電又は一斉放電のための時間を、上記第1実施形態に比べても更に長く確保することができることを意味する。
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態によって奏された作用効果を超えた作用効果が奏される可能性がある。
【0051】
また、第2実施形態においては、図8と図2とを対比するとわかるように、第1実施形態において設置されていた第1・第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_B、並びに、SW用配線303_A及び303_Bが必要でない。したがって、第2実施形態によれば、それを設置する分の低コスト化が見込まれ、また、SW用配線303_A及び303_Bを通じた第1・第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_Bの制御等も必要でなくなるから、動作シーケンスの簡易化等も実現可能となる。
【0052】
なお、上述においては、図8に示す構成を、図9に示すタイミングチャートに従って動作させる態様について説明しているが、当該構成は、それ以外の方法によって動作させることも可能である。
例えば、図8に示す構成は、図10に示すタイミングチャートに従って動作させることが可能である。この図10においては、まず、同図の最左方に示す書込期間Pwにおいて、データ線駆動回路300内のデータ電位生成部304_A及び304_Bが同時に動作する。すなわち、データ電位生成部304_Aは、データ電位VD[1]_A,VD[2]_A,…,VD[n]_Aを配線6_Aに供給する一方、データ電位生成部304_Bは、データ電位VD[1]_B,VD[2]_B,…,VD[n]_Bを配線6_Bに供給する。これにより、第1及び第2行目に位置する各単位回路P1内の電気光学素子8のための〔i〕書込動作は一斉に行われることになる(図10中、「G[1]対応」及び「G[2]対応」という文言参照)。そして、図10においては、この書込期間Pwの後、この第1及び第2行目に係る電気光学素子8についての〔ii〕発光動作が一斉に行われる。後は、以上の繰り返しである(図10参照)。
【0053】
このような動作態様は、一見すると、上記第1実施形態の比較例として参照した図7の場合と異ならないように見えるが、図10の場合では、2行分の書込動作及び発光動作が並行して行われ得るようになっているので、やはり、容量素子C1の一斉充電及び一斉放電のための時間の長期化を図ることができる。実際、図10及び図7に示す一垂直走査期間1Vの長さが等しいとするならば、図10の場合において確保可能な書込期間Pwの1個1個の長さは、図7の場合におけるそれの2倍となっている。駆動期間Pdについても同様である。
【0054】
なお、図10のような駆動方法を採用する場合においては、列方向に沿って隣り合う2つの単位回路P1の別に応じて、走査線3を設ける必要がない。すなわち、これらの単位回路P1に関しては、共通の走査線3が1本あればよい。図11においては、そのような場合における構成例を示しておいた。この図において、図中上方の走査線3は、1行目及び2行目に位置する単位回路P1に共通である(当該走査線3に関して記号“G[1,2]”が付されているのは、この走査線3に、これらの単位回路P1に共通の走査信号G[1,2]が供給されることを意味している。)。同様にして、その直下の走査線3は、3行目及び4行目に位置する単位回路P1に共通である(記号“G[3,4]”参照)。
【0055】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明に係る電気光学装置は、上述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
(1) 上記第1及び第2実施形態においては、前述の〔i〕書込動作において充電対象となるのは、単位回路P1内に含まれる容量素子C1となっているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、図12に示すように、各配線6_A及び6_Bには補助用の容量素子Csが接続されてもよい。この容量素子Csは、その一方の電極E3が配線6_A又は6_Bに接続されるとともに、他方の電極E4は固定電位が供給される電位線へ接続される。なお、図12は、第1実施形態を前提として、図2の構成に容量素子Csが付加される形態を図示しているが、第2実施形態に係る図8を前提として、容量素子Csが付加される形態であってよいことは言うまでもない。
このような形態においては、図3、図9又は図10に示した各単位期間1T内の書込期間Pwにおいて、所定の容量素子C1に加えて、補助用の容量素子Csも充電される。また、これら各図に示した各単位期間1T内の駆動期間Pdにおいては、補助用の容量素子Csからの電荷が、当該補助用の容量素子Csに対応する単位回路P1へ供給される。
【0056】
このような形態によれば、一の電気光学素子8に対応する配線6_A又は6_Bに接続された容量素子C1の容量の合計値が、当該電気光学素子8の発光量を十分な値とするのに不十分である場合であっても、前記補助用の容量素子Csの容量を利用することでその不足分を補うことができる。
このような効果は、上記第1及び第2実施形態において特に有意義である。というのも、第1及び第2実施形態において、前記〔i〕書込動作及び〔ii〕発光動作は、全単位回路P1内の容量素子C1が利用されて行われるのではなく、その半数の容量素子C1だけが利用されて行われるようになっていることから、前述したような不足分が生じる可能性が大きいからである。
【0057】
(2) 上記第1及び第2実施形態においては、単位回路P1内に容量素子C1が含まれる形態について説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、図13に示すように、単位回路P11は、上記各実施形態における容量素子C1を含まなくともよい。この場合には、データ電位VD[j]に応じた電荷は、各配線6_A又は6_Aに付随する容量、即ち例えば、当該配線6_A又は6_Bと電気光学素子8の陽極との間に寄生する寄生容量等に蓄えられることになる。
このような形態によれば、前述した容量素子C1を設置する分の低コスト化を達成することができる。また、同じ理由から、単位回路P11のサイズの縮小化も実現できるので、高精細化もまた可能になる。
なお、このような図13に示す形態に、図12を参照して説明した補助用の容量素子Csが付加される形態も、当然、本発明の範囲内にある。
【0058】
(3) 上記第1及び第2実施形態においては、データ線6が、2本の配線6_A及び6_Bを含むものとなっているが、本発明は、1本のデータ線6に含まれる配線の数について特に限定しない。すなわち、各データ線6は、3本以上の配線を含んでよい。
例えば、図14に示すように、1本のデータ線6は4本の配線6_A,6_B,6_C及び6_Dを含んでよい。この図において、配線6_A及び6_Bと、これらにデータ電位VD[j]を供給するためのデータ電位生成部301及び第1・第2スイッチング・トランジスター302_A及び302_Bとは、上記第1実施形態と何ら変わりない。
図14では、これに加えて、配線6_Cが図中上から3番目の単位回路P1に含まれる容量素子C1の一方の電極に接続され、配線6_Dが図中上から4番目の単位回路P1に含まれる容量素子C1の一方の電極に接続されている。また、配線6_C及び6_Dには、それぞれ第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_Dが接続されている。これら第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_Dは、そのゲートに接続されたSW用配線303_C及び303_Dに供給される制御信号SEL_C及びSEL_Dによって、そのオン状態・オフ状態間の遷移が制御される。そして、これら第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_Dには、データ電位生成部306が接続される。
【0059】
これらデータ電位生成部306、第3及び第4スイッチング・トランジスター302_C及び302_D、SW用配線303_C及び303_D、並びに、配線6_C及び6_Dは、その構成が前記データ電位生成部301等の構成とパラレルであることから明らかなように、その動作ないし機能は、データ電位生成部301等を含む構成における動作ないし機能と本質的に変わらない。すなわち、ある時点においては、第3スイッチング・トランジスター302_Cを介して配線6_Cにデータ電位VD[j]_Cが供給され、他の時点においては、第4スイッチング・トランジスター302_Dを介して配線6_Dにデータ電位VD[j]_Dが供給される。この場合、第1から第4の各スイッチング・トランジスター(302_Aから302_D)の各々が、どのようなタイミングでオン状態となり、あるいはオフ状態となるかについては、様々なバリエーションが考えられ得る(図3、図9又は図10参照)。
【0060】
このような形態によれば、1回の充電又は放電に関与する容量素子C1の数は、上記第1又は第2実施形態に比べても減少することになるから、その充電時間又は放電時間をより長期化することが可能である。
【0061】
なお、図14からもわかるように、単位回路P1の周囲にバランスよく配線を設置していくためには、配線の数は偶数であることが好ましい(もっとも、これは、その偶数本の配線のうちの半数を単位回路P1の左に、他の半数を右に配置する場合を前提とする。全配線を単位回路P1の片方の側に集中して配置する場合は、配線の数が偶数であるか奇数であるかは、バランスのよいレイアウトを考える上では、大きな影響を及ぼさない。)。また、配線の数の上限について、本発明は特に限定しないが、開口率等の関係から、最大でも10本程度に抑制するのが好適である。
【0062】
<応用>
次に、上記実施形態に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。
図15は、上記実施形態に係る電気光学装置10を画像表示装置に利用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての電気光学装置10と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。
図16に、上記実施形態に係る電気光学装置10を適用した携帯電話機を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
図17に、上記実施形態に係る電気光学装置10を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての電気光学装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置10に表示される。
【0063】
本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図15から図17に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0064】
10……電気光学装置、100……画素アレイ部、200……走査線駆動回路、300……データ線駆動回路、301,304_A,304_B,306……データ電位生成部、302_A,302_B,302_C,302_D……第1,第2,第3,第4スイッチング・トランジスター、303_A,303_B,303_C,303_D……スイッチング・トランジスター制御用配線、P1……画素回路、8……電気光学素子、3……走査線、30……容量線、6……データ線、6_A,6_B,6_C,6D……配線、C1……容量素子、E1……第1電極、E2……第2電極、Tr……トランジスター、Cs……補助用の容量素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、
前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、
各単位期間内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、
前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、
を備え、
前記複数の単位回路の各々は、
前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、
容量線に接続された第1電極、及び、前記データ線に含まれる前記各配線のいずれかの配線に接続された第2電極を有する容量素子と、
前記第2電極と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで前記第2電極と前記電気光学素子とを導通させるスイッチング素子と、
を含み、
当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、
前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、
当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、
当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続される、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、
前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、
各単位回路内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、
前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線に含まれる前記各配線と前記データ線駆動回路との間に配置された複数の第1スイッチング素子と、
を備え、
前記複数の単位回路の各々は、
前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、
前記データ線に含まれる一の前記配線と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで当該配線と当該電気光学素子とを導通させる第2スイッチング素子と、
を含み、
当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、
前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、
当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、
当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続され、
前記データ線駆動回路が前記データ線に含まれる一の前記配線に前記データ電位を出力する際に、
当該配線に対応する前記第1スイッチング素子は、
前記書込期間において導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させることで、当該配線に付随する容量に前記データ電位に応じた電荷を蓄積させ、
前記駆動期間において非導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させない、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
前記一の単位回路に係る前記単位期間は、
前記他の単位回路に係る前記単位期間の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記データ線駆動回路は、
前記各配線のうちのいずれの配線に前記データ電位を供給するかを定める切換部を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記データ線駆動回路は、
前記各配線のうちの前記一の配線のために供給される前記データ電位を生成する第1データ電位生成部と、
当該第1データ電位生成部における前記データ電位の生成とは独立に、前記各配線のうちの前記他の配線のために供給される前記データ電位を生成する第2データ電位生成部と、
を少なくとも含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記各単位回路における前記容量素子又は前記配線に付随する容量とは別に、一方の電極が前記配線に接続される補助用の容量素子を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記データ線の各々は偶数本の配線から構成され、
当該偶数本の配線のうちの半数の配線は、前記単位回路の一方の側に配置され、
残る半数の配線は、前記単位回路の他方の側に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記一の単位回路及び前記他の単位回路は、前記データ線の延在方向に沿って隣り合って並ぶ1個の単位回路群を構成し、
前記単位回路群は、当該データ線の延在方向に沿って繰り返し配列される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続された容量素子と、当該容量素子の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、
前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に接続された前記容量素子に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、
前記一の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、
前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に接続された前記容量素子に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、
前記他の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、
を含む、
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項11】
データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続され当該配線に付随する容量の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、
前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に付随する容量に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、
前記一の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該一の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、
前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に付随する容量に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、
前記他の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該他の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、
を含む、
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項12】
前記第1工程は、前記第3及び第4工程の少なくとも1つの工程と並行して行われ、又は、
前記第3工程は、前記第1及び第2工程の少なくとも1つの工程と並行して行われる、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項1】
複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、
前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、
各単位期間内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、
前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、
を備え、
前記複数の単位回路の各々は、
前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、
容量線に接続された第1電極、及び、前記データ線に含まれる前記各配線のいずれかの配線に接続された第2電極を有する容量素子と、
前記第2電極と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで前記第2電極と前記電気光学素子とを導通させるスイッチング素子と、
を含み、
当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、
前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、
当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記容量素子の前記第2電極は、
当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続される、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、
前記複数のデータ線の各々を構成する複数の配線と、
各単位回路内における駆動期間ごとに、一の前記走査線を順次選択する走査線駆動回路と、
前記各単位期間内における期間であって前記駆動期間が開始される前の書込期間ごとに、当該単位期間内の前記駆動期間で選択される前記走査線に対応する前記単位回路の階調データに応じたデータ電位を、前記各データ線に含まれる前記各配線のうちのいずれかの配線に出力するデータ線駆動回路と、
前記複数のデータ線に含まれる前記各配線と前記データ線駆動回路との間に配置された複数の第1スイッチング素子と、
を備え、
前記複数の単位回路の各々は、
前記データ電位に応じた階調となる電気光学素子と、
前記データ線に含まれる一の前記配線と前記電気光学素子との間に配置されて前記走査線駆動回路による前記走査線の選択時に導通することで当該配線と当該電気光学素子とを導通させる第2スイッチング素子と、
を含み、
当該複数の単位回路のうちの一の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、
前記データ線に含まれる前記各配線のうちの一の配線に接続され、
当該一の単位回路に、当該データ線の延在方向に沿って並ぶ他の単位回路に含まれる前記第2スイッチング素子は、
当該データ線に含まれる前記各配線のうちの他の配線に接続され、
前記データ線駆動回路が前記データ線に含まれる一の前記配線に前記データ電位を出力する際に、
当該配線に対応する前記第1スイッチング素子は、
前記書込期間において導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させることで、当該配線に付随する容量に前記データ電位に応じた電荷を蓄積させ、
前記駆動期間において非導通状態となり、当該配線と前記データ線駆動回路とを導通させない、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
前記一の単位回路に係る前記単位期間は、
前記他の単位回路に係る前記単位期間の少なくとも一部と重なる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記データ線駆動回路は、
前記各配線のうちのいずれの配線に前記データ電位を供給するかを定める切換部を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記データ線駆動回路は、
前記各配線のうちの前記一の配線のために供給される前記データ電位を生成する第1データ電位生成部と、
当該第1データ電位生成部における前記データ電位の生成とは独立に、前記各配線のうちの前記他の配線のために供給される前記データ電位を生成する第2データ電位生成部と、
を少なくとも含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記各単位回路における前記容量素子又は前記配線に付随する容量とは別に、一方の電極が前記配線に接続される補助用の容量素子を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記データ線の各々は偶数本の配線から構成され、
当該偶数本の配線のうちの半数の配線は、前記単位回路の一方の側に配置され、
残る半数の配線は、前記単位回路の他方の側に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記一の単位回路及び前記他の単位回路は、前記データ線の延在方向に沿って隣り合って並ぶ1個の単位回路群を構成し、
前記単位回路群は、当該データ線の延在方向に沿って繰り返し配列される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続された容量素子と、当該容量素子の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、
前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に接続された前記容量素子に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、
前記一の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、
前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に接続された前記容量素子に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、
前記他の配線に接続された前記容量素子に蓄積された電荷を放電させることによって当該容量素子に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、
を含む、
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項11】
データ線を構成する複数の配線と、これら各配線のいずれかの配線に接続され当該配線に付随する容量の電荷放電によって所定の階調となる電気光学素子と、を含む電気光学装置の駆動方法であって、
前記データ線に含まれる一の配線に第1データ電位を供給して、当該一の配線に付随する容量に当該第1データ電位に応じた電荷を蓄積する第1工程と、
前記一の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該一の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第2工程と、
前記データ線に含まれる他の配線に第2データ電位を供給して、当該他の配線に付随する容量に当該第2データ電位に応じた電荷を蓄積する第3工程と、
前記他の配線に付随する容量に蓄積された電荷を放電させることによって当該他の配線に対応する前記電気光学素子に当該電荷に応じた電圧又は電流を供給する第4工程と、
を含む、
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項12】
前記第1工程は、前記第3及び第4工程の少なくとも1つの工程と並行して行われ、又は、
前記第3工程は、前記第1及び第2工程の少なくとも1つの工程と並行して行われる、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電気光学装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−243610(P2010−243610A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89617(P2009−89617)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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