説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】 電気光学パネルと発音体とをコンパクトに搭載することのできる電気光学装置の構造を提供する。また、搭載する電子機器の筐体に対して発音体の音響設計を不要とすることのできる電気光学装置を提供する。
【解決手段】 本発明の電気光学装置100は、電気光学パネル111と、電気光学パネル111の背面に配置され、電気光学パネルとの間に発音用気室120Sを構成する発音枠122と、発音用気室120Sの内部において発音枠122に直接固定された発音用振動体121と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気光学装置及び電子機器に係り、特に、携帯型電子機器に搭載する場合に好適な発音機能を備えた電気光学装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気光学装置は表示体として各種電子機器に搭載されているが、多くの場合、スピーカなどの発音体とともに電子機器の内部に搭載されている。従来の電子機器では、通常、電気光学装置(例えば液晶表示装置)が筐体の内部において発音体とは離反した状態で収容されている。例えば、携帯電話のような携帯型電子機器であっても、筐体の内部に配置された基板に対して電気光学装置と発音体とが別々に実装されていたり(例えば、以下の特許文献1参照)、或いは、筐体の内側の別の部位に直接電気光学装置と発音体とが固定されていたり(例えば、以下の特許文献2参照)していた。
【0003】
また、上記の電気機器に搭載される発音体としては、小型化及び薄型化を図るために、振動板と圧電体とを積層してなる圧電振動体をケースに固定してなる圧電発音体が用いられている(例えば、以下の特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−168963号公報
【特許文献2】特開2002−77346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、携帯型電子機器の小型化と表示体の大画面化が進んでいるため、上記従来のような構造では、表示部と発音部とを重ねて配置すると筐体の厚肉化が避けられず、逆に筐体の厚肉化を避けようとすると表示部と発音部とが重ならないように配置する必要があるので、機器の大型化が避けられないという問題点がある。
【0005】
また、発音体を電子機器の内部に設置する場合、筐体毎に発音体の周りの音響設計を行う必要があるため、筐体デザインの追及に制約が課せられ、また、筐体の小型化や薄型化を充分に図ることができないという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、電気光学パネルと発音体とをコンパクトに搭載することのできる電気光学装置の構造を提供することにある。また、搭載する電子機器の筐体に対して発音体の音響設計を不要とすることのできる電気光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は、電気光学パネルと、前記電気光学パネルの背面に配置され、前記電気光学パネルとの間に発音用気室を構成する発音枠と、前記発音用気室の内部において前記発音枠に直接固定された発音用振動体と、を具備することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、電気光学パネルの背面に配置された発音枠が発音用気室を構成し、この発音用気室の内部に発音用振動体が収容されていることにより、全体をコンパクトに構成することができる。また、発音用振動体が直接発音枠に固定されていることにより、発音振動体の音響設計は保持体の内部において行うことができ、必要に応じて発音枠の構造と電気光学パネルの構造との関係を考慮すればよいので、搭載される電子機器などの筐体のデザインや内部構成による音響的な影響を低減できることから、搭載機器の設計をより自由に行うことができるようになる。さらに、従来の発音体は発音用振動体をケースに収容した構造であったため、上記のように小型化及び薄型化された圧電発音体においても、或る程度の容積を有するものとなり、近年の携帯型電子機器の小型化の妨げとなっているが、本発明では発音用振動体を直接保持体に取付固定しているため、発音部がコンパクトに構成されるため、電気光学装置を更に小型化及び薄型化できる。また、部品点数が削減されることにより製造コストを削減できるという利点もある。
【0009】
本発明において、前記発音用振動体が前記発音枠に固定されることにより前記発音用気室が前記発音用振動体の前後に区分されることが好ましい。これにより、発音用振動体の振動に基づいて発音用気室内において発音用振動体の前後に発生する音波間の干渉を防止することができるので、効率的に音を発生させることが可能になる。
【0010】
本発明において、前記発音用振動体は、前記電気光学パネルと平面的に重なるように配置されていることが好ましい。これによれば、発音用振動体が電気光学パネルと平面的に重なるように配置されていることで、電気光学装置の平面寸法の低減を図ることができる。
【0011】
本発明において、前記発音用振動体は、振動板と圧電体とが積層された圧電振動体であることが好ましい。圧電振動体を用いることで、さらなる小型化及び薄型化を図ることができる。この場合、振動板の外縁部を直接保持体の内面に固定することによって、圧電振動体と保持体とにより圧電発音体を構成することができる。
【0012】
本発明において、前記電気光学パネルを保持するパネル保持枠を有し、前記発音枠は、前記パネル保持枠に対して取付固定されることが好ましい。これによれば、電気光学パネルを保持するパネル保持枠と、パネル保持枠に対して取付固定され、発音用気室を構成する発音枠とを取付固定することにより、電気光学装置の組立作業やメンテナンスを容易に行うことが可能になる。ここで、発音枠はパネル保持枠に対して着脱可能に固定されていることが好ましい。着脱可能な固定構造としては、フック係合、圧入固定、ネジ固定などが挙げられる。
【0013】
本発明において、前記パネル保持枠と前記発音枠との間に介挿された、前記発音用気室を画成するための支持部材を有することが好ましい。これによれば、支持部材を介してパネル保持枠と発音枠との間に発音用気室を構成することができるので、支持部材によって気室の構造及び気密性を確保することができることから、パネル保持枠や発音枠の構造に制約を受けることなく発音用気室の設計ができるなど、音響設計が容易になるとともに、パネル保持枠と発音枠の構造寸法や相互の取付固定構造の自由度を確保できる。
【0014】
本発明において、前記発音枠には、前記発音用振動体の外縁部を固定する固定内面部と、前記発音用振動体の振動面に対向する対向内面部とが設けられ、該対向内面部が前記発音用振動体の前記振動面から離間していることが好ましい。これによれば、発音用振動体の外縁部を固定内面部に固定し、発音用振動体の振動面に対向内面部が離反した状態で対向するように構成することで、発音用振動体の振動を妨げることなく、発音用振動体を確実に取付固定することが可能になる。
【0015】
本発明において、前記固定内面部と前記対向内面部との間に、前記対向内面部を前記固定内面部よりも前記発音用振動体の振動面から離間させるための段差が設けられていることが好ましい。これによれば、固定内面部と対向内面部との間に段差を設けることで、発音用振動体の外縁部を固定内面部に取付固定しつつ、発音用振動体の振動面を対向内面部に対して確実に離間した状態にすることができる。
【0016】
本発明において、前記対向内面部の周囲に突起が形成され、前記固定内面部は前記突起の上部に構成されていることが好ましい。これによれば、発音枠の内面に突起を設け、この突起に発音用振動体を固定することにより、
【0017】
なお、本発明の前記保持体においては、対向内面部を発音用振動体の振動面から離反させるための構造として、前記対向内面部が設けられている領域の壁部分が前記固定内面部が設けられている領域の壁部分よりも外側に突出している場合があり、また、上記両壁部分の外面が平坦に構成されている場合もある。また、固定内面部が周囲よりも内側に突出することにより、上記段差を構成する場合もある。
【0018】
本発明において、前記対向内面部に通気口が設けられていることが好ましい。これによれば、発音用振動体の振動により発音用気室に音波が発生する際に、通気口を設けることで発音用振動体の振動が抑制されないように構成できる。
【0019】
また、本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の電気光学装置と、該電気光学装置を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。これにより、発音機能を備えた電気光学装置をコンパクトに収容できるので、電子機器の小型化・薄型化を図ることができる。ここで、本発明を適用するこのような電子機器としては、小型化が要求される携帯型電子機器であることが特に効果的である。携帯型電子機器としては、携帯電話、携帯型情報端末、電子時計などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。ここで、以下に説明する各実施形態は本発明の一例に過ぎず、その記述内容は本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る電気光学装置100の一方向(短辺方向)に沿った断面を示す断面図(a)、他方向(長辺方向)に沿った断面を示す断面図(b)、平面図(c)及び底面図(d)である。この電気光学装置100は、電気光学パネル111を備えた表示部110と、発音振動体121を備えた発音部120とを備えている。
【0022】
電気光学パネル111は、液晶表示パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネルなどの各種の電気光学装置で構成される。ただし、本明細書では、基本的に液晶表示パネルであることを前提として以下説明する。表示部110には、電気光学パネル111を背後から照明するバックライト112が配置されている。なお、電気光学パネル111として液晶表示パネル以外の自己発光型パネルを用いる場合にはバックライトは用いなくても良い。
【0023】
表示部110にはパネル保持枠113が設けられ、上記の電気光学パネル111及びバックライト112はパネル保持枠113によって保持固定されている。表示部110にはフレキシブル配線基板などで構成される配線部材110Pが接続され、パネル保持枠113の外部に導出されている。配線部材110Pは、上記電気光学パネル111やバックライト112に電力や制御信号を供給するものである。このパネル保持枠113には、後述する発音用気室120Sに連通する導音路113bが構成され、この導音路113bは、電気光学パネル111の表示面が露出している上面に開口している。
【0024】
発音部120には、発音用振動体121と、この発音用振動体121が収容される発音用気室120Sを構成する発音枠122とが設けられている。発音用振動体121は音波を発生させるための振動体そのものであり、従来のスピーカのように振動体を固定又は収容するケースや支持体は備えていない。発音枠122は、発音用振動体121を収容するとともに、表示部110のパネル保持枠113に着脱可能に固定されている。より具体的には、パネル保持枠113の外側面には係合突起113aが設けられ、発音枠122の側壁部には係合開口122aが設けられ、この係合開口122aに係合突起113aが係合(嵌合)することによって、発音枠122がパネル保持枠113に取付固定される。また、発音部120には配線部材120Pが接続され、発音枠122及び収容枠131の外部に導出されている。この配線部材120Pは、発音用振動体121に駆動信号を供給するものである。
【0025】
パネル保持枠113と発音枠122との間には支持部材123が介在し、発音用気室120Sを画成している。この支持部材123はパネル保持枠113と発音枠122との間に閉曲線状(図示リング状)に配置され、その内側が発音用気室120Sとなっている。この支持部材123は、パネル保持枠113と発音枠122との間にガタが生じないように、合成ゴムや軟質合成樹脂(例えば、発泡ポリウレタン)などの弾性素材若しくは緩衝素材で構成されることが好ましい。なお、本実施形態に限らず、本発明において、パネル保持枠113と発音枠122とで構成される保持体のガタは、ガタつきにより不要なノイズを発生させるとともに、発音用振動体(圧電振動体121)の振動エネルギーを無駄に消失させるので、極力低減させることが望ましい。
【0026】
発音用振動体121は、例えば、圧電スピーカの本体を構成する圧電振動体で構成される。圧電振動体は、図7に示すように、ステンレス鋼などで構成される振動板121S(シム板)と、圧電体121A,121Bとが積層されたものである。図示例では、振動板121Sの表裏両面に圧電体121A,121Bが積層されたバイモルフ型の圧電振動体が構成されている。もちろん、ユニモルフ型の圧電振動体であっても構わない。圧電体121A,121Bの表面にはAuその他の金属薄膜などで電極121Ax,121Bxが形成されている。これらの電極121Ax,121Bxにはアルミニウムなどで構成される導電片121Ay,121Byが導電接続され、これらの導電片121Ay,121Byはフレキシブル基板などの配線材121Cに接続されている。また、振動板121Sにも導電片121Syが導電接続され、上記と同様に配線材121Cに接続されている。この配線材121Cは上記配線部材120Pに接続されている。なお、配線材121Cと配線部材120Pを一体の配線部材で構成しても構わない。
【0027】
本実施形態において、発音用振動体121は発音枠122の底部内面上に直接固定されている。具体的には、発音用振動体121の振動板121Sの外縁部が発音枠122の内面上に固着されている。振動板121Sの外周部と発音枠122の内面とは直接に接着剤などによって固定されている。発音枠122の内面には、発音用振動体121が固定される固定内面部122xと、この固定内面部122xの内側に設けられ、発音用振動体121の振動面(表面)に対向する対向内面部122yとが設けられ、この対向内面部122yは発音用振動体121の振動面から離反するように、すなわち、発音用振動体121の表面と対向内面部122yとの間に空隙が存在するように、構成されている。図示例の場合、固定内面部122xと対向内面部122yとの間に段差122zが設けられ、この段差122zによって固定内面部122xよりも対向内面部122yが低くなるように構成されている。
【0028】
なお、図示例では、上記固定内面部122xが設けられた壁面部分の外面に対して、上記対向内面部122yが設けられた壁面部分の外面が下方に突出した構造となっている。ただし、これらの外面は平坦に構成されていても構わない。
【0029】
本明細書において、上記発音用気室120Sとは、上記発音用振動体121が収容され、その振動によって直接に音波が発生する空間を言う。図示例の場合、発音用振動体121(振動板121S)の外周部は全周に亘って固定内面部122xに対して気密に固定されているので、発音用気室120Sは、発音用振動体121とパネル保持枠113の底面との間に存在する上部空間と、発音用振動体121と対向内面部122yとの間に存在する下部空間とに分断されている。
【0030】
発音用気室120Sの上部空間は、パネル保持枠113に設けられた導音路113bを通して上方の放音孔113cにつながっている。発音用振動体121の振動によって発生した音は放音孔113cから表示部110の上方へ放出されこの音を利用する。
【0031】
また、対向内面部122yには通気口122bが形成されている。通気口122bは図示のように対向内面部122yの中央部に形成されていることが好ましい。また、通気口122bは図示のように一つだけ形成されていてもよく、或いはまた、複数の小孔によって構成されていてもよい。ここで、通気口122bが設けられていない場合は、発音用気室120Sの下部空間が閉じられた空間となるので、その空間の容積が十分大きくない場合、振動板の振幅を大きくしたときに振動により下部空間の空気の圧力が高くなる。するとその圧力のため振動板の振幅が押えられてしまい音が大きくならないという現象が生じる。通気孔122bを下部空間に形成すると、振動板の振幅を大きくしても通気孔122bを通して空気が移動するために振動板の振幅が押えられることは無い。このとき通気孔122bからも音が放出されるがここからの音は利用しない。
【0032】
なお、下部空間に十分な容積があれば通気孔122bが無くても良い。また、通気孔122bからの音を利用するために、導音路113bと上方の放音孔113cを設けない構造にしても上部空間に十分な容積があれば構わない。
【0033】
発音部120の音響効果は、放音孔、導音路、発音用気室120Sの形状や容積、上部空間、或いは下部空間の形状や容積を調整することによって適宜に設計される。
【0034】
また、本実施形態では、発音用振動体121は電気光学パネル111に対して平面的に重なるように配置されている。より具体的には、発音用振動体121の全てが電気光学パネル111と平面的に重なるように構成されている。これによって電気光学装置100の平面寸法を小さくすることができる。ただし、本発明においては、電気光学パネル111と発音用振動体121とが平面的に重なっていなくても構わない。
【0035】
本実施形態では、電気光学パネル111を備えた表示部110と発音部120とが一体的に構成されているので、電気光学装置100をコンパクトに構成することができるとともに、従来のように電子機器の内部に電気光学パネルと発音体とを別々に搭載する必要がなくなるので、電気光学装置100を搭載した各種電子機器の小型化や薄型化を図ることが可能になる。また、発音部120の音響効果は、電気光学装置100の構造によって決定されるので、従来のように電子機器内における発音体の配置によって音響効果が変化するといったことを防止できることから、音響設計が容易になるとともに、どのような電子機器に搭載されても安定した発音特性を発揮することが可能になる。
【0036】
また、発音部120では、パネル保持枠113と発音枠122とで構成される保持体に発音用振動体121が直接に固定されているので、従来のように、発音用振動体を収容するケースを含む発音体を個別に設置する必要がなくなるため、発音部120をさらにコンパクトに構成することが可能になるとともに、部品点数の低減を図ることができる。
【0037】
特に、発音用振動体の振動面と対向内面部122yとの間に空隙が設けられていることで、発音用振動体の振動に支障を生ずることがなくなるとともに、この空隙において音波を発生させることができる。この場合、固定内面部122xと対向内面部122yとの間に上記段差122zを設けることは、空隙を振動面全体にわたって確保することができる点で好ましい。また、放音口122bから放射される充分な音量を確保するには上記空隙を調整する必要があるが、空隙の最適化を行うためにも上記段差122zは好都合である。
【0038】
[第2実施形態]
次に、図2を参照して、本発明に係る第2実施形態について説明する。図2は、第2実施形態の電気光学装置200の一方向(短辺方向)に沿った断面を示す断面図である。本実施形態において、図示しない他の部分は上記第1実施形態と同様に構成することが可能であるので、それらの説明は省略する。
【0039】
この実施形態の電気光学装置200は、電気光学パネル211を備えた表示部210と、発音用振動体221を備えた発音部220とを有する。ここで、電気光学パネル211、バックライト212、パネル保持枠213、発音用振動体221、及び、支持部材223は、それぞれ上記第1実施形態と同様であるので、これらの説明は省略する。
【0040】
この実施形態の発音枠222には、発音用振動体221を固定する固定内面部222xと、発音用振動体221の振動面に対向する対向内面部222yとが設けられ、両者間に段差222zが存在している点では上記第1実施形態と同様であるが、上記固定内面部222xの周囲に段差222wが形成され、固定内面部222xが周囲の内底面よりも一段下がった位置に設けられている点で第1実施形態とは異なる。このように固定内面部222xを一段下げて構成することにより、発音部220の発音用振動体221が収容されている部分以外の厚さを低減することができ、発音部220の容積を低減することができる。また、本実施形態では第1実施形態と同様に支持部材223をパネル保持枠213と発音枠222との間に介在させているが、本実施形態のように固定内面部222xを周囲の内面部分より下げて構成した場合には、支持部材223を介在させずにパネル保持枠213及び発音枠222のみで発音用気室220Sを構成することも可能になる。
【0041】
[第3実施形態]
次に、図3を参照して、本発明に係る第3実施形態について説明する。図3は、第3実施形態の電気光学装置300の一方向(短辺方向)に沿った断面を示す断面図である。本実施形態において、図示しない他の部分は上記第1実施形態と同様に構成することが可能であるので、それらの説明は省略する。
【0042】
この実施形態の電気光学装置300は、電気光学パネル311を備えた表示部310と、発音用振動体321を備えた発音部320とを有する。ここで、電気光学パネル311、バックライト312、発音用振動体321、及び、支持部材323は、それぞれ上記第2実施形態と同様であるので、これらの説明は省略する。
【0043】
この実施形態では、パネル保持枠313及び発音枠322が基本的には第2実施形態とほぼ同様に構成されているが、パネル保持枠313と発音枠322との取付固定構造が上記実施形態とは異なる。本実施形態において、パネル保持枠313の外側面には係合凹部313aが形成され、発音枠322の側壁部には内側に突出する係合突起322aが設けられている。そして、パネル保持枠313に対して発音枠322を背後から嵌合させると、係合突起322aが係合凹部313aに弾性的に係合(嵌合)するようになっている。
【0044】
上記各実施形態や本実施形態のように、パネル保持枠と発音枠の取付固定構造を相互に弾性的に係合(嵌合)する構造とすることで、組立作業をきわめて容易に行うことが可能になる。また、何らかの問題があった場合には、製造途中においてパネル保持枠から発音枠を取り外すことも可能になる。
【0045】
[第4実施形態]
次に、図4を参照して、本発明に係る第4実施形態について説明する。図4は、第4実施形態の電気光学装置400の一方向(短辺方向)に沿った断面を示す断面図である。本実施形態において、図示しない他の部分は上記第1実施形態と同様に構成することが可能であるので、それらの説明は省略する。
【0046】
この実施形態の電気光学装置400は、電気光学パネル411を備えた表示部410と、発音用振動体421を備えた発音部420とを有する。ここで、電気光学パネル411、バックライト412、パネル保持枠413、発音用振動体421、及び、支持部材423は、それぞれ上記第1実施形態と同様であるので、これらの説明は省略する。
【0047】
この実施形態では、発音枠422の外底面が平坦に構成されている。また、発音枠422の内底面もまたほぼ平坦に構成されているが、その一部に内側に突出した環状の突起部(リブ)422pが設けられ、この突起部422pの上面が固定内面部422xとなっている。そして、この固定内面部422xの内周側にある内面部分が対向内面部422yとなっている。
【0048】
この実施形態では、発音枠422の外底面が平坦に構成されているので、製造過程における取扱が容易になるとともに、この電気光学装置400を電子機器の内部に設置した場合において、発音枠422とその下方に配置される他部材(基板など)との間隔を確保しやすくなるため、放音口422bから放出される音波を外部へ伝え易くすることが可能になる。
【0049】
[第5実施形態]
次に、図5を参照して、本発明に係る第5実施形態について説明する。図5は、第5実施形態の電気光学装置500の一方向(短辺方向)に沿った断面を示す断面図である。本実施形態において、図示しない他の部分は上記第1実施形態と同様に構成することが可能であるので、それらの説明は省略する。
【0050】
この実施形態の電気光学装置500は、電気光学パネル511を備えた表示部510と、発音用振動体521を備えた発音部520とを有する。ここで、電気光学パネル511、及び、バックライト512は、それぞれ上記第1実施形態と同様であるので、これらの説明は省略する。
【0051】
この実施形態では、パネル保持枠513と発音枠522とがネジ構造によって螺合している。このネジ構造は、パネル保持枠513に設けられた環状ネジ溝513aと、発音枠522に設けられた環状ネジ枠522aとを有する。そして、パネル保持枠513に対して発音枠522を回転させることで、環状ネジ溝513aと環状ネジ枠522aを螺合させて取付固定したり、ネジを緩めて取り外したりすることが簡単にできるようになっている。
【0052】
本実施形態の場合、パネル保持枠513と発音枠522とをネジ構造によって着脱可能に構成しているので、上記実施形態と同様に組立作業を容易に行うことができるとともに、パネル保持枠513と発音枠522とを取付固定したときに両者を気密に固定することができるので、上記各実施形態のような支持部材を用いる必要がなくなり、部品点数を削減することができ、組立作業をさらに容易に行うことが可能になるという利点がある。
【0053】
[第6実施形態]
次に、図6を参照して、本発明に係る第6実施形態について説明する。図6は、第6実施形態の電気光学装置600の一方向(短辺方向)に沿った断面を示す断面図である。本実施形態において、図示しない他の部分は上記第1実施形態と同様に構成することが可能であるので、それらの説明は省略する。
【0054】
この実施形態の電気光学装置600は、電気光学パネル611を備えた表示部610と、発音用振動体621を備えた発音部620とを有する。ここで、電気光学パネル611、バックライト612、及び、発音用振動体621は、それぞれ上記第1実施形態と同様であるので、これらの説明は省略する。
【0055】
この実施形態では、パネル保持枠613と発音枠622とが接着剤623によって接着固定されている。この接着剤623は、一般的なアクリル系接着剤やエポキシ系接着剤などを用いることができる。ここで、上記各実施形態の支持部材を介してパネル保持枠613と発音枠622とを間接的に接着してもよい。さらには、パネル保持枠613と発音枠622とを直接溶着、溶接などによって固着させても構わない。
【0056】
本実施形態では、パネル保持枠613と発音枠622とを一旦固定してしまうと、これらを分解することはできなくなるが、両者を確実に取付固定することができ、パネル保持枠613と発音枠622により構成される保持体の剛性を高めることができ、ガタ付きなどが発生しないなどの利点を有する。
【0057】
[第7実施形態]
最後に、図8及び図9を参照して本発明に係る第7実施形態として上記の電気光学装置を搭載した電子機器について説明する。この実施形態では、上記電気光学装置100を表示手段として備えた電子機器について説明する。ただし、他の実施形態の電気光学装置も電気光学装置100と同様に本実施形態に適用することができる。
【0058】
図8は、本実施形態の電子機器における電気光学装置100に対する制御系(表示制御系)の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器は、表示情報出力源291と、表示情報処理回路292と、電源回路293と、タイミングジェネレータ294と、光源制御回路295とを含む表示制御回路290を有する。
【0059】
また、上記と同様の電気光学装置100には、上述の構成を有する電気光学パネル111を駆動する駆動回路111Dが設けられている。この駆動回路111Dは、電気光学パネル111に直接実装されている電子部品(半導体ICなど)で構成される。ただし、駆動回路111Dは、上記のような態様の他に、パネル表面上に形成された回路パターン、或いは、液晶パネルに導電接続された回路基板に実装された半導体ICチップ若しくは回路パターンなどによっても構成することができる。
【0060】
表示情報出力源291は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ294によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路292に供給するように構成されている。
【0061】
表示情報処理回路292は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路111Dへ供給する。駆動回路111Dは、走査線駆動回路、信号線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路293は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0062】
光源制御回路295は、外部から導入される制御信号に基づいて、電源回路293から供給される電力をバックライト112の光源部112aに供給する。光源部112aから放出された光は導光板112bに入射して導光板112bから電気光学パネル111に照射される。この光源制御回路295は、上記制御信号に応じて光源部112aの各光源の点灯/非点灯を制御する。また、各光源の輝度を制御することも可能である。
【0063】
また、本実施形態の電子機器には音声信号出力回路296が設けられている。この音声信号出力回路296は、図示しない制御回路から送られる制御信号に基づいて、音声信号を発音用振動体121に送出する。発音用振動体121では、供給された音声信号に基づいて振動が発生し、この振動に基づいて音声が出力される。
【0064】
図9は、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話の外観を示す。この電子機器2000は、操作部2001と、表示部2002とを有し、表示部2002の筐体内部に回路基板2100が配置されている。回路基板2100上には上記の電気光学装置100が実装されている。そして、表示部2002の表面において上記液晶パネル111を視認できるように構成されている。また、表示部2002には音声出力口2003が設けられ、この音声出力口2003は、上記発音体121から出力され上記の放音口から放射された音声や導音路を通して導かれた音声が表示部2002の筐体内部を経て聴取可能となるように構成されている。
【0065】
尚、本発明の発音体付電気光学装置及び電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態では、いずれも発音用振動体として圧電振動体を用いているが、本発明は圧電振動体に限らず、音波を発生することのできるものでさえあれば、電磁型スピーカの振動板など、適宜の振動体を用いることができる。また、上記実施形態では、発音枠に発音用振動体を固定しているが、パネル保持枠(例えば底面)に発音用振動体を固定しても構わない。この場合、上記固定内面部及び対向内面部がパネル保持枠に形成されることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の断面図(a)及び(b)、平面図(c)並びに底面図(d)。
【図2】第2実施形態の断面図。
【図3】第3実施形態の断面図。
【図4】第4実施形態の断面図。
【図5】第5実施形態の断面図。
【図6】第6実施形態の側面図。
【図7】圧電振動体の縦断面図(a)及び平面図(b)。
【図8】第7実施形態の概略構成図。
【図9】第7実施形態の概略斜視図。
【符号の説明】
【0067】
100…電気光学装置、110…表示部、111…電気光学パネル、112…バックライト、113…パネル保持枠、113a…係合突起、導音路…113b、120…発音部、121…発音振動体、122…発音枠、122a…係合開口、放音口…113c、通気口…122b、123…支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの背面に配置され、前記電気光学パネルとの間に発音用気室を構成する発音枠と、
前記発音用気室の内部において前記発音枠に直接固定された発音用振動体と、
を具備することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記発音用振動体が前記発音枠に固定されることにより前記発音用気室が前記発音用振動体の前後に区分されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記発音用振動体は、前記電気光学パネルと平面的に重なるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記発音用振動体は、振動板と圧電体とが積層された圧電振動体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記電気光学パネルを保持するパネル保持枠を有し、
前記発音枠は、前記パネル保持枠に対して取付固定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記パネル保持枠と前記発音枠との間に介挿された、前記発音用気室を画成するための支持部材を有することを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記発音枠には、前記発音用振動体の外縁部を固定する固定内面部と、前記発音用振動体の振動面に対向する対向内面部とが設けられ、該対向内面部が前記発音用振動体の前記振動面から離間していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記固定内面部と前記対向内面部との間に、前記対向内面部を前記固定内面部よりも前記発音用振動体の振動面から離間させるための段差が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記対向内面部の周囲に突起が形成され、前記固定内面部は前記突起の上部に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記対向内面部に通気口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気光学装置と、該電気光学装置を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−60646(P2006−60646A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241929(P2004−241929)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】