説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】電気光学装置に衝撃が加わった場合でも、割れにつながるような大きな応力が電気光学装置の内部に発生しなようにする。
【解決手段】電気光学物質を有し端部に端子21を備える基板11と、電気光学物質を挟んで基板11の反対側に設けられた最外表面を成す偏光板17と、端子21に接続される配線基板5とを有する電気光学装置である。基板11の端子21を備えている表面から配線基板5の外表面までの高さは、基板11の端子21を備えている表面から偏光板17の外表面までの高さとほぼ同じである。液晶パネル2Aは偏光板17において保護カバー4によって受けられており、保護カバー4は基板11の端部側18を覆う領域まで延在して、FPC基板5の端部を受けている。基板11は保護カバー4によって受けられているので、衝撃があっても撓まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、有機EL装置等といった電気光学装置、及び携帯電話機等といった電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機等といった電子機器に液晶表示装置等といった電気光学装置が広く用いられている。例えば、電子機器の画像表示部として電気光学装置が用いられている。電気光学装置としての液晶表示装置においては、電気光学物質としての液晶が互いに対向した一対の基板によって挟持される。また、電気光学装置としての有機EL装置においては、基板上に電気光学物質としての有機ELが設けられ、その有機ELの上に保護部材等が設けられる。
【0003】
電気光学物質を支持する基板は、例えばガラスによって形成されている。この基板は、電気光学装置や電子機器を落下したときに衝撃を受け、破損することがある。この破損は、液晶表示装置等において互いに対向している2つの基板の境界部分や、有機EL等において基板と保護部材との境界部分に発生することが多い。これは、それらの境界部分に応力集中が生じることが原因であると思われる。
【0004】
例えば、図7(a)に示す液晶表示装置101を考える。この液晶表示装置101は、面積の大きい下ガラス基板102と、面積の小さい上ガラス基板103と、上ガラス基板103の外側表面に貼着された上偏光板104と、下ガラス基板102の外側表面に貼着された下偏光板107とを有する。下ガラス基板102の平面視で上ガラス基板103の外側へ張出した部分の平面部分には駆動用IC105が実装され、その張出した部分の辺端部分にはFPC(Flexible Printed Circuit:可撓性プリント回路)基板106が接続されている。
【0005】
この液晶表示装置101は鎖線X0で示す部分、すなわち上偏光板104の表面において、液晶表示装置101の構成要素である枠状の受け部材によって受けられたり、液晶表示装置101を使用する電子機器の構成要素である受け部材によって受けられたりする。鎖線X0で示す面をこれ以降、受け面と呼ぶことがある。従来、この受け面X0とFPC基板106の表面との間には0.2〜0.3mm程度の間隔が形成されていた。この液晶表示装置101が落下等して、その上偏光板104側の面が床等といった障害物に衝突すると、図7(b)に示すように、下基板102の張出し部に曲げ荷重Fが加わり、下基板102と上基板103との境界部分Aに引張り応力σが発生する。
【0006】
この引張り応力σをシミュレーションソフトを用いてシミュレーション解析すると、図8に示すような解析結果が得られた。すなわち、下基板102と上基板103との境界部分Aにおける幅方向の中央部分B(高密度の斜線で示す部分)に、特に応力が集中することが分かった。このため、下基板102の張出し部に曲げ荷重Fが加わると、境界部分Aから破損が発生し易かった。
【0007】
従来、上記のような基板の破損を防止するために、互いに対向する一対の基板の境界部分にエポキシ樹脂を塗布することにより、該境界部分を補強した構成を有する電気光学装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電気光学装置では、割れが発生し易いエッジ部分に樹脂を塗布することにより、応力に対する強度を高めることが企図されている。
【0008】
【特許文献1】特開2006−227417号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された従来の電気光学装置においては、割れが発生し易い部分に樹脂を塗布することにより、該部分に発生する応力に対する強度を高めるように構成されているが、当該電気光学装置を落下させたときの割れの発生を防止することに関して、必ずしも十分な効果が得られていなかった。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みて成されたものであって、電気光学装置に衝撃が加わった場合でも、割れにつながるような大きな応力が電気光学装置の内部に発生しなようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電気光学装置は、電気光学物質を有し端部に端子を備える基板と、前記電気光学物質を挟んで前記基板の反対側に設けられた最外表面を成す部材と、前記端子に接続される配線基板とを有し、前記基板の前記端子を備えている表面から前記配線基板の外表面までの高さは前記基板の前記端子を備えている表面から前記部材の外表面までの高さとほぼ同じであることを特徴とする。
【0012】
上記構成において、「電気光学物質」は、電気的入力の変化に応じて光学的状態が変化する物質であり、例えば液晶表示装置で用いる液晶や、有機ELディスプレイで用いる有機EL等である。「最外表面を成す部材」は、液晶パネル、ELパネル等といった電気光学パネルの最も外側に設けられた部材のことであり、例えば(1)液晶表示装置で用いる偏光板、(2)有機ELディスプレイにおいて有機EL層を保護する保護部材、(3)種々の表示装置で用いられる見栄え改善シート(例えば反射防止シート、視野角調整シート)、(4)ガラス基板そのもの等である。「配線基板」の構成は特定のものに限定されないが、例えばFPC(Flexible Printed Circuit:可撓性プリント回路)基板とすることができる。
【0013】
本発明に係る電気光学装置によれば、前記基板の前記端子を備えている表面から前記配線基板の外表面までの高さを、前記基板の前記端子を備えている表面から前記最外表面を成す部材の外表面までの高さとほぼ同じに設定したので、最外表面を成す部材を何等かの受け部材によって受けたとき、その受け部材は同時に配線基板の表面をも受けることになる。従来であれば、基板の端部側は受け部材によって受けられていなかったので、落下等により衝撃を受けるとその基板の端部側が撓み、基板と最外表面を成す部材との境界部に応力が発生し、その境界部から破損や割れが発生するおそれがあった。これに対し、本発明に係る電気光学装置においては、基板の端部側がFPC基板を介して何等かの受け部材によって受けられるので、衝撃時に基板の端部側が撓むことが無くなり、従って基板と最外表面を成す部材との境界部に応力が発生することが無くなり、それ故、基板の破損、割れ等を効果的に防止できる。こうして、極めて耐衝撃性に優れた電気光学装置を得ることができる。
【0014】
なお、上記の受け部材は、電気光学装置の構成要素の1つであることもあるし、その電気光学装置を用いて構成した電子機器の構成要素の1つであることもある。また、受け部材が電気光学パネルの保護部材、保護カバー等として機能することもある。
【0015】
本発明に係る電気光学装置において、前記最外表面を成す部材は、前記基板に対向した他の基板又は光学部材とすることができる。最外表面を成す部材が前記基板に対向した他の基板になる場合とは、電気光学装置が一対の基板を有した構成の電気光学装置であって、少なくとも一方の基板の外側表面には何等の光学部材も設けられない場合である。また、光学部材とは、基板に積層又は基板に代えて用いられる光学部材であり、例えば保護膜や見栄え改善シート(例えば反射防止シート、視野角調整シート)等である。
【0016】
本発明に係る電気光学装置においては、前記基板の端部側に電子部品(例えばICチップ)を設けることができる。この場合、電子部品の前記基板の表面からの高さは、前記配線基板の前記基板の表面からの高さよりも低いか、又は同じであることが望ましい。
【0017】
本発明に係る電気光学装置は、前記配線基板の外表面と前記最外表面を成す部材の外表面の少なくともどちらか一方に接触している保護部材を有することが望ましい。この保護部材は液晶パネル、有機ELパネル等といったパネルを衝撃から保護すると共に、配線基板が接続されているパネルの端部側の撓み又は曲がりを防止する。
【0018】
次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の電気光学装置を有することを特徴とする。このような電子機器としては、携帯電話機、携帯情報端末等がある。この電子機器で用いる電気光学装置によれば、上記の通りに、前記基板の前記端子を備えている表面から前記配線基板の外表面までの高さを、前記基板の前記端子を備えている表面から前記最外表面を成す部材の外表面までの高さとほぼ同じに設定したので、最外表面を成す部材を何等かの受け部材によって受けたとき、その受け部材は同時に配線基板の表面をも受けることになり、衝撃時に基板の端部側が撓むことをその受け部材によって防止でき、それ故、基板の破損、割れ等を効果的に防止できる。このため、この電気光学装置を用いた電子機器においても、電気光学装置内の基板の割れ等を防止でき、電子機器の耐衝撃性を向上できる。
【0019】
次に本発明を別の観点から見れば、本発明に係る第2の電気光学装置は、基板と、該基板上に設けられた電気光学物質層と、該電気光学物質層を挟んで前記基板の反対側に設けられた最外表面を成す部材とを有し、前記基板は平面視で前記最外表面を成す部材の外側へ延在した端部側を有し、該端部側の辺端部には配線基板が接続されており、該配線基板の前記基板の表面からの高さは前記最外表面を成す部材の前記基板の表面からの高さと同じであることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る電気光学装置によれば、配線基板の前記基板の表面からの高さを最外表面を成す部材の前記基板の表面からの高さと同じに設定したので、最外表面を成す部材を何等かの受け部材によって受けたとき、その受け部材は同時に配線基板の表面をも受けることになる。従来であれば、基板の端部側は受け部材によって受けられていなかったので、落下等により衝撃を受けるとその基板の端部側が撓み、基板と最外表面を成す部材との境界部に応力が発生し、その境界部から破損や割れが発生するおそれがあった。これに対し、本発明に係る電気光学装置においては、基板の端部側がFPC基板を介して何等かの受け部材によって受けられるので、衝撃時にその端部側が撓むことが無くなり、従って基板と最外表面を成す部材との境界部に応力が発生することが無くなり、それ故、基板の破損、割れ等を効果的に防止できる。こうして、極めて耐衝撃性に優れた電気光学装置を得ることができる。
【0021】
なお、上記の受け部材は、電気光学装置の構成要素の1つであることもあるし、その電気光学装置を用いて構成した電子機器の構成要素の1つであることもある。また、受け部材が電気光学パネルの保護部材、保護カバー等として機能することもある。
【0022】
本発明に係る電気光学装置において、前記最外表面を成す部材は受け部材によって受けられており、該受け部材は前記配線基板の前記基板への接続部まで延在していることが望ましい。これにより、電子機器とは無関係に電気光学装置だけにおいて、基板、電気光学物質層、及び最外表面を成す部材を有した電気光学パネルを基板の端部側を含めて受け部材によって正確に受けることができる。
【0023】
本発明に係る電気光学装置は、前記基板と協働して前記電気光学物質層を挟持した第2基板と、該第2基板上に設けられた光学部材とを有することができる。この場合、前記最外表面を成す部材は前記光学部材ということになる。また、この光学部材は偏光板とすることができる。偏光板は、特定の偏光を通過させることができ、その他の偏光を吸収して通過を許容しない光学要素である。電気光学パネルが液晶パネルである場合にこの偏光板が使用される。光学部材は、偏光板と見栄え改善膜の積層構造によって形成することもでき、この場合には、前記最外表面を成す部材は見栄え改善膜ということになる。見栄え改善膜は、例えば、反射防止シート、視野角調整シート等である。
【0024】
第2基板及び光学部材を用いた本発明に係る電気光学装置において、その第2基板及び前記光学部材のそれぞれの厚さは前記基板の厚さよりも薄いことが望ましい。この構成によれば、配線基板の基板への接続部分の厚さも対応して薄くすることができる。ガラスによって形成された基板を薄くする方法としては、例えば、液晶パネルの形成後に研磨等によって基板を薄くする方法がある。また、可能であれば、薄い基板材料を用いて液晶パネルを作成しても良い。
【0025】
次に、本発明に係る電気光学装置は、前記基板と協働して前記電気光学物質層を挟持した第2基板を有することができる。そして、その第2基板の電気光学物質層側の表面上に偏光板を設けることができる。この場合、第2基板の外側の表面には偏光板を設ける必要が無くなる。そして、第2基板の外側表面に偏光板以外の光学部材を設けないのであれば、前記最外表面を成す部材は前記第2基板ということになる。この態様の電気光学装置において、前記第2基板の厚さは前記基板の厚さよりも薄いことが望ましい。こうすれば、FPC基板の厚さを第2基板の厚さと同様に薄くすることができる。
【0026】
次に、本発明に係る電気光学装置において、前記電気光学物質層は有機EL層であり、該有機EL層を覆うように前記基板上に保護膜を設けることができる。この場合には、前記最外表面を成す部材は前記保護膜ということになる。また、有機ELを用いた電気光学装置においては、前記保護膜に代えて、前記有機EL層の上に見栄え改善膜を設けることができる。そしてこの場合には、前記最外表面を成す部材は前記見栄え改善膜ということになる。見栄え改善膜としては、光反射防止シート、視野角調整シート等が考えられる。
【0027】
本発明に係る電気光学装置においては、前記基板の端部側に電子部品、例えばICチップを設けることができる。この電子部品内に電気光学パネルを駆動するための回路を設けることができる。この電子部品の前記基板の表面からの高さは、前記配線基板の前記基板の表面からの高さよりも低いか、又は同じであることが望ましい。こうすれば、最外表面を成す部材から配線基板にわたって何等かの受け部材を設ける際、その受け部材にとって電子部品が邪魔になることがなくなる。
【0028】
次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の電気光学装置を有することを特徴とする。このような電子機器としては、携帯電話機、携帯情報端末等がある。この電子機器で用いる電気光学装置によれば、上記の通りに、配線基板の前記基板の表面からの高さを、最外表面を成す部材の前記基板の表面からの高さと同じに設定したので、最外表面を成す部材を何等かの受け部材(例えば、保護カバー)によって受けたとき、その受け部材は同時に配線基板の表面をも受けることになり、衝撃時にその端部側が撓むことを防止でき、それ故、基板の破損、割れ等を効果的に防止できる。このため、この電気光学装置を用いた電子機器においても、電気光学装置内の基板の割れ等を防止でき、電子機器の耐衝撃性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(電気光学装置の第1実施形態)
以下、本発明に係る電気光学装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0030】
図1は、本発明に係る電気光学装置の一例である液晶表示装置の一実施形態を示している。この液晶表示装置1は、電気光学パネルとしての液晶パネル2Aと、液晶パネル2Aに接続された配線基板としてのFPC(Flexible Printed Circuit)基板5と、下枠3と、保護部材又は受け部材としての保護カバー4とを有している。液晶パネル2Aが透過型液晶パネルである場合には、下枠3と液晶パネル2Aとの間に照明装置としてのバックライトが設けられるが、図1ではその図示を省略している。下枠3と保護カバー4は液晶パネル2Aを覆って支持するフレームとして機能する。
【0031】
下枠3は、例えば金属製又はプラスチック製で4辺に側壁部を備えた箱型の枠部材である。FPC基板5に対応する辺には切欠きを設けておいても良い。保護カバー4は、例えば、矩形状の開口6を備えたプラスチック製の平板枠7の表面全体に透明プラスチックシート8を貼り付けて、開口6をその透明プラスチックシート8で覆うことによって構成されている。平板枠7は硬質のプラスチックによって形成されており、可撓性を有しているが平板形状を維持できる程度の強い弾性を有している。
【0032】
液晶パネル2Aを下枠3の中に収納し、液晶パネル2Aの上から保護カバー4を下枠3へ組付けることにより、1つのモジュールとしての液晶表示装置1が完成する。このとき、保護カバー4が液晶パネル2Aの表面に接触して当該液晶パネル2Aを受ける。下枠3の形状は、本液晶表示装置1が組付けられる電子機器(例えば、携帯電話機)の形状及び機能に応じて種々に決められる。また、保護カバー4の形状もそれに応じて適宜に決められる。また、下枠3は電子機器の構成要素であることもあり、その場合には保護カバー4も電子機器の構成要素の1つとなる。
【0033】
液晶パネル2Aは、図1の下側に在る素子基板11と、その素子基板11に対向して上側に設けられたカラーフィルタ基板12とを、それらの周囲で枠状のシール材(図1には図示せず)によって貼り合わせて形成されている。素子基板11とカラーフィルタ基板12との間であってシール材で囲まれた領域内には、例えば電気光学物質としてのTN(Twisted Nematic:ツイステッド・ネマチック)モードの液晶が封入されて電気光学物質層としての液晶層が形成されている。本実施形態では、観察側(図1の上方側)にカラーフィルタ基板12が配置され、観察側から見て背面側(図1の下方側)に素子基板11が配置されている。
【0034】
素子基板11は、例えばガラス、プラスチック等から成り、観察側から平面的に見て矩形状(長方形又は正方形)である素材としての基板(以下素材基板という)を有する。この素材基板が素子基板11の全体的な形状を規定している。この素材基板の外側(図1の下側)の表面には偏光板13が設けられ、さらに必要に応じて他の光学部材が設けられる。また、この素材基板の内側(液晶層側)面には、複数のソース線14及び複数のゲート線16が設けられている。ソース線14とゲート線16とは平面視で互いに直交しており、それらソース線14とゲート線16とで囲まれる矩形状の平面領域内にスイッチング素子又はアクティブ素子としてのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子、画素電極等(いずれも図示せず)が形成されている。TFT素子はアモルファスシリコン半導体を用いて形成されている。
【0035】
各ソース線14は列方向Yに延びている。各ゲート線16は行方向Xに延びている。TFT素子はソース線14とゲート線16とに接続して形成されている。ソース線14、ゲート線16及び画素電極は、それぞれ、TFT素子のソース、ゲート、及びドレインに接続されている。ソース線14はTFT素子にデータ信号を伝送するデータ線として機能する。ゲート線16はTFT素子に走査信号を伝送する走査線として機能する。
【0036】
次に、素子基板11に対向するカラーフィルタ基板12は、例えばガラス、プラスチック等から成り、観察側から平面的に見て矩形状(長方形又は正方形)の素材基板を有する。この素材基板がカラーフィルタ基板12の全体的な形状を規定している。この素材基板の外側(図1の上方側)の表面には、偏光板17が設けられている。また、必要に応じて他の光学部材を設けることもできる。この素材基板の内側(液晶層側)面には、例えば、平面視で格子状の遮光膜(図示せず)と、素子基板11上の画素電極に対向する着色膜(図示せず)と、共通電極(図示せず)が設けられている。共通電極は、素子基板11上で行方向X及び列方向Yに並べられた複数の画素電極に対向する面状電極である。
【0037】
着色膜の個々は、R(赤)、G(緑)、B(青)の1つを透過させる光学要素であり、それらR,G,Bの着色膜が平面的に見て所定の配列、例えばストライプ配列で並べられている。遮光膜は、異なる色の着色膜を重ねたり、あるいは、Cr(クロム)等といった所定の材料によって形成されている。
【0038】
素子基板11上の複数の画素電極と、カラーフィルタ基板12上の共通電極とは平面的に見て複数のドット状(すなわち島状)の領域で重なっている。このように重なり合った領域が表示のための単位領域であるサブ画素を形成し、R,G,Bに対応する3つのサブ画素によって画素が形成され、そして複数の画素が行方向X及び列方向Yにマトリクス状に並ぶことにより矩形状の有効表示領域Vが形成される。この有効表示領域V内に文字、数字、図形等といった画像が表示される。
【0039】
素子基板11は平面視で偏光板17の外側へ延在する基板の端部側としての延在部18を有している。図2(a)は、その延在部18の近傍の断面構造を示している。図2(a)では、図1の場合に対して素子基板11とカラーフィルタ基板12とを上下反転させて表示している。図2(a)において、偏光板17は液晶パネル2Aで最も外側の表面部分に位置している。本明細書ではこのように液晶パネル2A等といった電気光学パネルの最も外側に位置する部材を液晶パネル(又は電気光学パネル)の最外表面を成す部材と言うことにする。本実施形態では偏光板17が最も外側にあるので偏光板17が最外表面を成す部材であるが、偏光板17のさらに外側に他の光学部材が存在する場合には、その光学部材が最外表面を成す部材となる。このような光学部材としては、例えば位相差膜、見栄え改善膜(例えば、反射防止シート、視野角調整シート)等が考えられる。
【0040】
素子基板11の延在部18のうちカラーフィルタ基板12の外側へ張り出した部分の表面に電子部品としての駆動用IC19が導電接着要素、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)によって実装されている。この技術は、通常、COG(Chip On Glass:チップ・オン・グラス)と呼ばれている。また、延在部18の辺端部分に複数の配線端子21が形成されている。駆動用IC19の実装面に設けられている複数の入力バンプは素子基板11の延在部18の辺端部に形成された配線端子21に導通する。一方、駆動用IC19の実装面に設けられている複数の出力バンプは、素子基板11側のソース線14及びゲート線16、並びにカラーフィルタ基板12側の共通電極に導通する。
【0041】
図1において、FPC基板5は素子基板11の延在部18の辺端部に導電接着要素、例えばACFによって接着されている。FPC基板5は、素子基板11に接着される側の辺端部に複数の出力端子22を有し、複数の電子部品(図示せず)によって形成された回路を有し、さらに素子基板11に接着される側でない辺端部に複数の入力端子23を有している。入力端子23、電子部品、及び出力端子22の間は図示しない配線パターンによって電気的に接続されている。
【0042】
FPC基板5は、例えば公知の構成のように、ポリイミド製のベースフィルム上にフォトエッチング処理によって銅の配線パターンを形成し、その上にポリイミド製のカバーレイ又はレジストを設け、さらに必要個所に回路部品を実装することによって形成されている。回路部品としては、コンデンサ、コイル、抵抗、バリスタ等が用いられる。回路部品及び配線パターンはFPC基板5の片面に設けられる場合もあるし、両面に設けられる場合もある。また、FPC基板5の適所には当該FPC基板5の表裏両面を電気的に導通っせるためのコンタクトホールが設けられることがある。なお、FPC基板5は、必要に応じてその他の積層構造を採用できる。
【0043】
以上の構成により、FPC基板5の入力端子23から所定の駆動信号を入力すれば、駆動用IC19によって液晶駆動用の走査信号及びデータ信号が生成され、それらが各画素を構成するサブ画素へ伝送され、必要なTFT素子がON/OFF動作する。そして、このTFT素子のスイッチング動作に従って、有効表示領域V内に所望の画像が表示される。
【0044】
本実施形態において、素子基板11及びカラーフィルタ基板12の厚さはそれぞれ0.3mm程度である。ここでいう基板の厚さとは、基本的には、ガラスやプラスチックによって形成された素材としての基板上に電極、半導体構造、各種の樹脂膜等といった部材要素を公知の成膜技術等によって形成する前の、素材基板の厚さである。しかしながら、上記の部材要素の厚さは素材基板の厚さに比べて十分に小さい値であるので、基板の厚さと言った場合には、素材基板の厚さ及び素材基板の上に部材要素を形成した後の基板の厚さの両方を含むものである。なお、素子基板11及びカラーフィルタ基板12の厚さは、今後はさらに薄くなること、例えば0.1mm程度になることが考えられる。
【0045】
図2(a)において素子基板11とカラーフィルタ基板12との間に間隔が描かれている。この間隔はパネル内部のスペーサやパネル周囲のシール材等によって維持された、いわゆるセルギャップであるが、このセルギャップは実際には5μm程度の間隔であり、基板12、偏光板17、FPC基板5等の厚さを考える際には、無視して差し支えない程度の厚さである。偏光板17の厚さは、例えば0.12〜0.15mm程度である。駆動用IC19の厚さは、例えば0.3mm程度である。この厚さは、今後は0.1mm程度に薄くなることが考えられる。
【0046】
FPC基板5の素子基板11に接続された部分の厚さは、カラーフィルタ基板12の厚さと偏光板17の厚さを足した合計の厚さとほぼ同じに設定されている。既述の通り、FPC基板5は、ベースフィルム上に配線パターン、カバーレイ、レジスト、回路部品等を重ねて形成されているが、FPC基板5の素子基板11に接続された部分の厚さは、基本的には、回路部品を除いた部分の厚さである。上記のように、FPC基板5の厚さをカラーフィルタ基板12と偏光板17との厚さの合計と同じに設定すれば、FPC基板5の素子基板11の表面からの高さは、偏光板17の素子基板11の表面からの高さと同じになる。
【0047】
なお、偏光板17の上に他の光学部材が設けられる場合、すなわち他の光学部材が最外表面を成す部材になる場合には、FPC基板5の高さは当該他の光学部材の高さと同じに設定される。また、高さが同じというのは、完全に同じ場合はもとより、部品誤差や組立誤差や設計上の公差によって違いが生じる場合も含むものである。具体的には、±0.05mm程度の範囲内で違いがある場合も高さが同じことに含まれる。
【0048】
また、FPC基板5の厚さは全体にわたって均一の場合もあるし、不均一の場合もある。上記のように、FPC基板5の素子基板11に接続された部分の厚さは、カラーフィルタ基板12の厚さと偏光板17の厚さを足した合計の厚さとほぼ同じに設定されるが、それ以外の部分のFPC基板5の厚さは、当該接続部分と同じ厚さであっても良いし、異なる厚さであっても良い。但し、FPC基板5は構造上、必要に応じて折り曲げられることがあるので、その折り曲げ性を確保する意味から、FPC基板5の素子基板11への接続部分以外の部分の厚さは、当該接続部の厚さよりも薄くしておいた方が望ましい場合がある。
【0049】
図2(b)は図2(a)の矢印B方向から保護カバー4を平面的に見た状態を示している。図2(b)においては、保護カバー4に関して図1の透明プラスチックシート8の図示を省略し、平板枠7だけを図示している。保護カバー4は、開口6の周縁部分において偏光板17の周縁部分に接触して当該偏光板17従って液晶パネル2Aを受けている。図では保護カバー4が偏光板17に直接に接触しているが、場合によっては、保護カバー4と偏光板17との間に接着剤、衝撃吸収材等といった付加要素が介在することがある。
【0050】
図2(a)において、保護カバー4は、液晶パネル2Aの最外表面を成す部材である偏光板17の表面に直接に接触している。場合によっては、接着剤、衝撃吸収材等といった付加要素を介して保護カバー4が偏光板17に接触することもある。こうして、液晶パネル2Aの全体は保護カバー4によって受けられている。さらに、保護カバー4は、素子基板11の延在部18に対向する領域へ直線状に延在し、そのFPC基板5側の辺端部分がFPC基板5の素子基板11への接続部分に対向する領域まで延びている。FPC基板5の厚さは、カラーフィルタ基板12及び偏光板17を足し合わせた厚さと略同じ厚さになっており、そのため、FPC基板5まで延在した保護カバー4はそのFPC基板5の表面に接触している。この場合、保護カバー4はFPC基板5に直接に接触しても良いし、接着剤を介して接触しても良い。また、FPC基板5と保護カバー4との間にわずかな隙間があっても良い。こうして、素子基板11の延在部18は、FPC基板5の素子基板11への接続端部を介して保護カバー4によって受けられている。つまり、保護カバー4は液晶パネル2Aの本体部分だけでなく液晶パネル2Aの素子基板11の延在部18も受けている。
【0051】
なお、保護カバー4が偏光板17及びFPC基板5のそれぞれの表面に接触しているというのは、部品誤差、組立誤差、設計上の公差等を含んだ上での意味であり、それらの誤差の範囲内で微小な間隙がある場合も含むものである。具体的には、保護カバー4と偏光板17との間、及び保護カバー4とFPC基板5との間に±0.1mm程度の間隙がある場合も含まれるものである。
【0052】
保護カバー4に関する以上の受け構造により、仮に図7(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合、図2(a)の液晶パネル2Aの全体は保護カバー4によって受けられているので、その液晶パネル2Aは大きな衝撃を受けることなく破損や割れから保護される。また、液晶パネル2Aの素子基板11の延在部18は、FPC基板5を介して保護カバー4の辺端部分によって受けられているので、素子基板11は曲がる又は撓むことが無く、そのため、素子基板11とカラーフィルタ基板12との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板11に破損や割れが生じることが無くなる。
【0053】
以上のようにして、極めて耐衝撃性に優れた液晶表示装置が構成されている。もちろん、保護カバー4の平板枠7(図1参照)は、素子基板11の延在部18、特にカラーフィルタ基板12の外側へ張出した部分に衝撃荷重が作用した場合に、その延在部18が撓む又は曲がることを阻止できるに足る、十分な剛性すなわち機械的強度を持っている。
【0054】
(電気光学装置の第2実施形態)
図3は本発明に係る電気光学装置の他の実施形態である液晶表示装置の主要部の断面構造を示している。図示の液晶パネル2Aの構成要素それ自体は、図2(a)に同じ符号で示した液晶パネル2Aの場合と同じである。本実施形態が図2(a)の液晶表示装置と異なる点は、液晶パネル2Aを構成するカラーフィルタ基板12及び最外表面を成す部材としての偏光板17の厚さを薄くしたことである。そして、これに関連して、FPC基板5及び駆動用IC19の厚さにも改変を加えたことである。
【0055】
具体的には、図2(a)に示した実施形態では、素子基板11及びカラーフィルタ基板12の厚さをそれぞれ0.3mm程度に規定し、偏光板17の厚さを0.12〜0.15mm程度に規定した。これに対し、本実施形態では、図3において、カラーフィルタ基板12の厚さを0.1mmとし、偏光板17の厚さを0.1mmに設定している。そして、これに対応させて、FPC基板5の素子基板11への接続部分の厚さをカラーフィルタ基板12の厚さと偏光板17の厚さを足し合わせた厚さに設定している。また、電子部品としての駆動用IC19の厚さをその厚さと同じか、あるいはそれよりも薄い厚さに設定している。このため、保護カバー4は、最外表面を成す部材としての偏光板17の表面とFPC基板5の表面の両方に接触して、それらを受けている。そして、駆動用IC19の表面は保護カバー4に接触するか、あるいは駆動用IC19と保護カバー4との間にわずかの間隙が設けられている。
【0056】
保護カバー4に関する以上の受け構造により、仮に図7(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合、図3の液晶パネル2Aの全体は保護カバー4によって受けられているので、その液晶パネル2Aは大きな衝撃を受けることなく破損や割れから保護される。また、液晶パネル2Aの素子基板11の端部側である延在部18は、FPC基板5を介して保護カバー4の辺端部分によって受けられているので、素子基板11は曲がる又は撓むことが無く、そのため、素子基板11とカラーフィルタ基板12との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板11に破損や割れが生じることが無くなる。以上のようにして、極めて耐衝撃性に優れた液晶表示装置が構成されている。
【0057】
(電気光学装置の第3実施形態)
図4(a)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態である液晶表示装置の主要部の断面構造を示している。この液晶パネル2Bは、図1において液晶パネル2Aに代えて下枠3に収納され、さらに保護カバー4によって保護される。液晶パネル2Bは、素子基板31と、その外側表面に貼着された偏光板33と、カラーフィルタ基板32と、その外側表面に貼着された最外表面を成す部材としての偏光板37とを有している。
【0058】
素子基板31には、図1に示した素子基板11と同様に、複数のソース線14が列方向Yに延びるように形成され、さらに複数のゲート線16がそれと直交する行方向Xに延びるように形成されている。そして、それらソース線14とゲート線16とで囲まれる矩形状の平面領域内にスイッチング素子又はアクティブ素子としてのTFT素子、画素電極等(いずれも図示せず)が形成されている。本実施形態では、TFT素子は低温ポリシリコン半導体を用いて形成されている。
【0059】
本実施形態では、低温ポリシリコン半導体を用いてTFT素子を形成する際に、有効表示領域Vよりも外側の素子基板31の周辺領域内に、図1の駆動用IC19内に形成されていた電子回路と同等の回路が作り込まれている。このように液晶パネルを構成する基板上に電子回路を組み込む技術は、SOG(System On Glass:システム・オン・グラス)と呼ばれている。このSOG技術を採用した本実施形態においては、図4(a)において素子基板31の端部側である延在部18の表面に駆動用ICが実装されていない。
【0060】
本実施形態において、素子基板31及びカラーフィルタ基板32の厚さ互いに同じであり、例えば0.3mm程度である。偏光板17の厚さは、例えば0.12〜0.15mm程度である。FPC基板5の素子基板31への接続部分の厚さは、カラーフィルタ基板32の厚さと偏光板37の厚さを足した合計の厚さとほぼ同じに設定されている。従って、FPC基板5の素子基板31の表面からの高さは、偏光板37の素子基板31の表面からの高さと同じに設定されている。なお、偏光板37の上に他の光学部材が設けられる場合、すなわち他の光学部材が最外表面を成す部材になる場合には、FPC基板5の高さは当該他の光学部材の高さと同じに設定される。また、高さが同じというのは、完全に同じ場合はもとより、部品誤差や組立誤差や設計上の公差によって違いが生じる場合も含むものである。具体的には、±0.05mm程度の範囲内で違いがある場合も高さが同じことに含まれる。
【0061】
保護カバー4は、液晶パネル2Bの最外表面を成す部材である偏光板17の表面に直接に接触している。場合によっては、接着剤、衝撃吸収材等といった付加要素を介して保護カバー4が偏光板17に接触することもある。こうして、液晶パネル2Bの全体は保護カバー4によって受けられている。さらに、保護カバー4は、素子基板3の延在部18に対向する領域へ直線状に延在し、そのFPC基板5側の辺端部分がFPC基板5の素子基板31への接続部分に対向する領域まで延びている。FPC基板5の厚さは、カラーフィルタ基板32及び偏光板37を足し合わせた厚さと略同じ厚さになっており、そのため、FPC基板5まで延在した保護カバー4はそのFPC基板5の表面に接触している。この場合、保護カバー4はFPC基板5に直接に接触しても良いし、接着剤を介して接触しても良い。こうして、素子基板31の延在部18は、FPC基板5の素子基板31への接続端部を介して保護カバー4によって受けられている。つまり、保護カバー4は液晶パネル2Bの本体部分だけでなく液晶パネル2Bの素子基板31の延在部18も受けている。
【0062】
なお、保護カバー4が偏光板37及びFPC基板5のそれぞれの表面に接触しているというのは、部品誤差、組立誤差、設計上の公差等を含んだ上での意味であり、それらの誤差の範囲内で微小な間隙がある場合も含むものである。具体的には、保護カバー4と偏光板37との間、及び保護カバー4とFPC基板5との間に±0.1mm程度の間隙がある場合も含まれるものである。
【0063】
保護カバー4に関する以上の受け構造により、仮に図7(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合、図4(a)の液晶パネル2Bの全体は保護カバー4によって受けられているので、その液晶パネル2Bは大きな衝撃を受けることなく破損や割れから保護される。また、液晶パネル2Bの素子基板31の延在部18は、FPC基板5を介して保護カバー4の辺端部分によって受けられているので、素子基板31は曲がる又は撓むことが無く、そのため、素子基板31とカラーフィルタ基板32との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板31に破損や割れが生じることが無くなる。以上のようにして、極めて耐衝撃性に優れた液晶表示装置が構成されている。
【0064】
(電気光学装置の第4実施形態)
図4(b)は本発明に係る電気光学装置の他の実施形態である液晶表示装置の主要部の断面構造を示している。図示の液晶パネル2Bの構成要素それ自体は、図4(a)に同じ符号で示したSOG方式の液晶パネル2Bの場合と同じである。本実施形態が図4(a)の液晶表示装置と異なる点は、液晶パネル2Bを構成するカラーフィルタ基板32及び最外表面を成す部材としての偏光板37の厚さを薄くしたことである。そして、これに関連して、FPC基板5の厚さにも改変を加えたことである。
【0065】
具体的には、図4(a)に示した実施形態では、素子基板31及びカラーフィルタ基板32の厚さを0.3mm程度に規定し、偏光板37の厚さを0.12〜0.15mm程度に規定した。これに対し、本実施形態では、図4(b)において、カラーフィルタ基板32の素子基板31への接続部分の厚さを0.1mmとし、偏光板37の厚さを0.1mmに設定している。そして、これに対応させて、FPC基板5の厚さをカラーフィルタ基板32の厚さと偏光板37の厚さを足し合わせた厚さに設定している。なお、本実施形態では駆動用ICチップは実装されないので、駆動用ICチップの高さを考慮に入れる必要はない。保護カバー4は、最外表面を成す部材としての偏光板37の表面とFPC基板5の表面の両方に接触して、それらを受けている。カラーフィルタ基板32の素材基板がガラス製の場合には、例えば液晶パネルの完成後に研磨によってその基板の厚さを薄くすることができる。
【0066】
保護カバー4に関する以上の受け構造により、仮に図7(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合、図4(b)の液晶パネル2Bの全体は保護カバー4によって受けられているので、その液晶パネル2Bは大きな衝撃を受けることなく破損や割れから保護される。また、液晶パネル2Bの素子基板31の端部側である延在部18は、FPC基板5を介して保護カバー4の辺端部分によって受けられているので、素子基板31は曲がる又は撓むことが無く、そのため、素子基板31とカラーフィルタ基板32との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板31に破損や割れが生じることが無くなる。以上のようにして、極めて耐衝撃性に優れた液晶表示装置が構成されている。
【0067】
(電気光学装置の第5実施形態)
図5(a)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態である液晶表示装置の主要部の断面構造を示している。この液晶表示装置において、液晶パネル2Cは、図1において液晶パネル2Aに代えて下枠3に収納され、さらに保護カバー4によって保護される。液晶パネル2Cは、素子基板41と、その外側表面に貼着された偏光板43と、カラーフィルタ基板42とを有している。カラーフィルタ基板42の外側表面に偏光板は設けられていない。すなわち、カラーフィルタ基板42のそれ自体が液晶パネル2Cの最も外側に位置する部材である最外表面を成す部材を構成している。
【0068】
図2(a)の偏光板17と同じ偏光機能を奏する偏光要素は、素子基板41とカラーフィルタ基板42との間であってカラーフィルタ基板42の表面上に周知の膜形成処理によって形成されている。すなわち、カラーフィルタ基板42側の偏光板はパネル内部に形成されている。素子基板41のうち最外表面を成す部材であるカラーフィルタ基板42よりも平面視で外側に延在する部分が素子基板41の端部側である延在部18である。
【0069】
保護カバー4は、液晶パネル2Cの最外表面を成す部材であるカラーフィルタ基板42の表面に直接に接触している。場合によっては、接着剤、衝撃吸収材等といった付加要素を介して保護カバー4がカラーフィルタ基板42に接触することもある。こうして、液晶パネル2Cの全体は保護カバー4によって受けられている。さらに、保護カバー4は、素子基板41の延在部18に対向する領域へ直線状に延在し、そのFPC基板5側の辺端部分がFPC基板5の素子基板41への接続部分に対向する領域まで延びている。FPC基板5の素子基板41への接続部分の厚さは、カラーフィルタ基板42の厚さと略同じ厚さになっており、そのため、FPC基板5まで延在した保護カバー4はそのFPC基板5の表面に接触している。この場合、保護カバー4はFPC基板5に直接に接触しても良いし、接着剤を介して接触しても良い。こうして、素子基板41の延在部18は、FPC基板5の素子基板41への接続端部を介して保護カバー4によって受けられている。つまり、保護カバー4は液晶パネル2Cの本体部分だけでなく液晶パネル2Cの素子基板41の延在部18も受けている。
【0070】
なお、保護カバー4がカラーフィルタ基板42及びFPC基板5のそれぞれの表面に接触しているというのは、部品誤差、組立誤差、設計上の公差等を含んだ上での意味であり、それらの誤差の範囲内で微小な間隙がある場合も含むものである。具体的には、保護カバー4とカラーフィルタ基板42との間、及び保護カバー4とFPC基板5との間に±0.1mm程度の間隙がある場合も含まれるものである。
【0071】
保護カバー4に関する以上の受け構造により、仮に図7(b)のように落下により液晶パネルに衝撃が加わった場合、図5(a)の液晶パネル2Cの全体は保護カバー4によって受けられているので、その液晶パネル2Cは大きな衝撃を受けることなく破損や割れから保護される。また、液晶パネル2Cの素子基板41の延在部18は、FPC基板5を介して保護カバー4の辺端部分によって受けられているので、素子基板41は曲がる又は撓むことが無く、そのため、素子基板41とカラーフィルタ基板42との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板41に破損や割れが生じることが無くなる。以上のようにして、極めて耐衝撃性に優れた液晶表示装置が構成されている。
【0072】
(電気光学装置の第6実施形態)
図5(b)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態である有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)の主要部の断面構造を示している。このディスプレイにおいて、電気光学パネルとしてのELパネル2Dは、図1において液晶パネル2Aに代えて下枠3に収納され、さらに保護カバー4によって保護される。ELパネル2Dは、素子基板51と、対向部材52とを有している。
【0073】
素子基板51上には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色で発光する有機ELによって個々のサブ画素が形成され、R,G,Bのサブ画素の集まりによって画素が形成され、複数の画素の集まりによって有効表示領域V(図1参照)が形成されている。対向部材52は、素子基板51上に形成された有機ELやその他の要素を保護するための保護部材としての機能を持っている。また、対向部材52は、表示の見栄えを改善するための見栄え改善シート、例えば反射防止シート、視野角調整シートの機能を持つこともできる。本実施形態では、対向部材52がELパネル2Dの最も外側に位置する部材である最外表面を成す部材を構成している。素子基板51のうち平面視で対向部材52よりも外側に延在している端部側である延在部18の辺端部にFPC基板5が接続されている。
【0074】
保護カバー4は、ELパネル2Dの最外表面を成す部材である対向部材52の表面に直接に接触している。場合によっては、接着剤、衝撃吸収材等といった付加要素を介して保護カバー4が対向部材52に接触することもある。こうして、ELパネル2Dの全体は保護カバー4によって受けられている。さらに、保護カバー4は、素子基板51の延在部18に対向する領域へ直線状に延在し、そのFPC基板5側の辺端部分がFPC基板5の素子基板51への接続部分に対向する領域まで延びている。FPC基板5の素子基板51への接続部分の厚さは、対向部材52の厚さと略同じ厚さになっており、そのため、FPC基板5まで延在した保護カバー4はそのFPC基板5の表面に接触している。この場合、保護カバー4はFPC基板5に直接に接触しても良いし、接着剤を介して接触しても良い。こうして、素子基板51の延在部18は、FPC基板5の素子基板51への接続端部を介して保護カバー4によって受けられている。つまり、保護カバー4はELパネル2Dの本体部分だけでなくELパネル2Dの素子基板51の延在部18も受けている。
【0075】
なお、保護カバー4が対向部材52及びFPC基板5のそれぞれの表面に接触しているというのは、部品誤差、組立誤差、設計上の公差等を含んだ上での意味であり、それらの誤差の範囲内で微小な間隙がある場合も含むものである。具体的には、保護カバー4と対向部材52との間、及び保護カバー4とFPC基板5との間に±0.1mm程度の間隙がある場合も含まれるものである。
【0076】
保護カバー4に関する以上の受け構造により、仮に図7(b)のように落下によりELパネルに衝撃が加わった場合、図5(b)のELパネル2Dの全体は保護カバー4によって受けられているので、そのELパネル2Dは大きな衝撃を受けることなく破損や割れから保護される。また、ELパネル2Dの素子基板51の延在部18は、FPC基板5を介して保護カバー4の辺端部分によって受けられているので、素子基板51は曲がる又は撓むことが無く、そのため、素子基板51と対向部材52との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、素子基板51に破損や割れが生じることが無くなる。以上のようにして、極めて耐衝撃性に優れた液晶表示装置が構成されている。
【0077】
(電気光学装置の変形例)
以上の実施形態では、液晶表示装置及び有機ELディスプレイに本発明を適用したが、本発明はその他の電気光学装置、例えば無機EL装置、プラズマディスプレイ装置(PDP:Plasma Display)、電気泳動表示装置(EPD:Electrophoretic Display)、フィールドエミッションディスプレイ装置(FED:Field Emission Display:電界放出表示装置)にも適用できる。
【0078】
(電子機器の実施形態)
次に、本発明に係る電子機器を実施形態に基づいて説明する。図6は電子機器の一例でる携帯電話機であって本発明の実施形態に係る携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機61は、本体部62と、本体部62に対して開閉可能に設けられた表示体部63とを有する。表示体部63には電気光学パネル64及び受話部66が設けられている。電話通信に関する各種表示は、電気光学パネル64の有効表示領域Vに表示される。電気光学パネル64の動作を制御するための制御部は、携帯電話機の全体の制御を司る制御部の一部として、又はその制御部とは別に、本体部62又は表示体部63の内部に格納されている。本体部62には操作ボタン68及び送話部69が設けられている。
【0079】
電気光学パネル64は、例えば図2(a)に示す液晶パネル2A、図3に示す液晶パネル2A、図4(a)に示す液晶パネル2B、図4(b)に示す液晶パネル2B、図5(a)に示す液晶パネル2C、又は図5(b)に示すELパネル2Dを用いて構成される。図6では、代表して、図2(a)の液晶パネル2Aが用いられた場合を図示している。電気光学パネル64は表示体部63に設けた容器部分に収納されており、さらにその気光学パネル64を覆うようにして保護カバー70が表示体部63に接着等により装着されている。保護カバー70の裏面が電気光学パネル64の最も外側に位置する部材である最外表面を成す部材(図2(a)の液晶パネル2Aであれば偏光板17)を受けている。
【0080】
保護カバー70は、例えば、矩形状の開口71を備えたプラスチック製の平板枠72の表面全体に透明プラスチックシート73を貼り付けて、開口71をその透明プラスチックシート73で覆うことによって構成されている。電気光学パネル64の有効表示領域Vに表示される画像は開口71を通して視認される。平板枠72は、電気光学パネル64の基板の端部側である延在部18が衝撃を受けたときに表示体部63の外部方向へ撓む又は曲がることを阻止できるのに十分な機械的強度、剛性、又は弾性強度を持っている。
【0081】
本実施形態で用いている電気光学パネル64は、保護カバー70によって電気光学パネル64を受けたとき、例えば図2(a)に示す液晶パネル2Aに関して説明したように、電気光学パネル64(図2(a)の液晶パネル2A)の本体部分が保護カバー70(同図の保護カバー4)によって受けられ、さらに、電気光学パネル64の基板(同図の素子基板11)の端部側である延在部18もFPC基板5を介して保護カバー70によって受けられる。FPC基板5は、図2(a)に示すように直線的に延びる状態ではなく、図2(a)における上方(すなわち素子基板11側の偏光板13へ向かう方向)へ折り曲げられている。
【0082】
以上のため、携帯電話機61の落下により、図7(b)に示すように電気光学パネルに衝撃が加わった場合でも、図2(a)の電気光学パネル(液晶パネル2A)の基板(素子基板11)が曲がることが無くなり、そのため、基板(素子基板11)と対向基板(カラーフィルタ基板12)との境界部分に曲げ応力が発生することが無くなり、その結果、基板に破損や割れが生じることが無くなる。このため、携帯電話機61の耐落下特性を向上できる。
【0083】
(電子機器の変形例)
上記実施形態では携帯電話機に本発明を適用したが、本発明はその他任意の電子機器にも適用可能である。例えば、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話装置、POS端末、デジタルスチルカメラ、電子ブック等に本発明を適用することができる。
【0084】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、以上の説明では、電気光学パネルとしてアクティブマトリクス方式の液晶パネルを例示したが、液晶パネルは任意の構造とすることができる。例えば、単純マトリクス方式の液晶パネルを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る電気光学装置の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1の電気光学装置の主要部を示す図であり、(a)は側面断面図、(b)はその平面図である。
【図3】本発明に係る電気光学装置の他の実施形態の主要部の側面断面図である。
【図4】(a)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態の主要部の側面断面図であり、(b)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態の主要部の側面断面図である。
【図5】(a)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態の主要部の側面断面図であり、(b)は本発明に係る電気光学装置のさらに他の実施形態の主要部の側面断面図である。
【図6】本発明に係る電子機器の一実施形態を一部分解して示す斜視図である。
【図7】従来の電気光学装置の主要部を示す側面断面図である。
【図8】従来の電気光学装置に対する衝撃付加時の応力解析シミュレーションを示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1.液晶表示装置(電気光学装置)、 2A,2B,2C.液晶パネル(電気光学パネル)、 2D.ELパネル(電気光学パネル)、 3.下枠、 4.保護カバー(保護部材、受け部材)、 5.FPC基板(配線基板)、 6.開口、 7.平板枠、 8.透明プラスチックシート、 11.素子基板、 12.カラーフィルタ基板、 13.偏光板、 14.ソース線、 16.ゲート線、 17.偏光板(最外表面を成す部材)、 18.延在部(基板の端部側)、 19.駆動用IC(電子部品)、 21.配線端子、 22.出力端子、 23.入力端子、 31.素子基板、 32.カラーフィルタ基板、 33.偏光板、 37.偏光板(最外表面を成す部材)、 41.素子基板、 42.カラーフィルタ基板、 43.偏光板、 51.素子基板、 52.対向部材(最外表面を成す部材)、 61.携帯電話機、 62.本体部、 63.表示体部、 64.電気光学パネル、 66.受話部、 68.操作ボタン、 69.送話部、 70.保護カバー(保護部材、受け部材)、 71.開口、 72.平板枠、
73.透明プラスチックシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学物質を有し、端部に端子を備える基板と、
前記電気光学物質を挟んで前記基板の反対側に設けられた最外表面を成す部材と、
前記端子に接続される配線基板と、を有し、
前記基板の前記端子を備えている表面から前記配線基板の外表面までの高さは、前記基板の前記端子を備えている表面から前記部材の外表面までの高さとほぼ同じである
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1記載の電気光学装置において、
前記最外表面を成す部材は、前記基板に対向した他の基板又は光学部材である
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電気光学装置において、
前記基板の端部側に電子部品が設けられており、
該電子部品の前記基板の表面からの高さは、前記配線基板の前記基板の表面からの高さよりも低いか、又は同じであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の電気光学装置において、
前記配線基板の外表面と前記最外表面を成す部材の外表面の少なくともどちらか一方に接触している保護部材を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−198852(P2009−198852A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41045(P2008−41045)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】