説明

電気加熱装置

【課題】製造を容易に、特に、より大きな許容差が認められるように考慮した電気加熱装置を提供する。
【解決手段】発熱要素および放熱要素10の平行な層に対して直角に延在している、格子構造の第1の支柱が、ハウジングに割り当てられ、層に平行に延びている第2の支柱が、加熱ブロックによって画成されている。さらに、発熱要素の、絶縁材料から作製されている配置フレーム28を備えて、それぞれが少なくとも1つのPTC加熱素子のための横並びに配置されている受け部を画成し、PTC加熱素子が導体路34,36の間に配置され、電気が伝わるようにPTC加熱素子がこれらの導体路34,36に接するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱ブロックと格子構造とを備えている電気加熱装置であって、加熱ブロックが、対向するフレーム開口を画成しているハウジング内に保持されており、かつ、放熱要素および発熱要素の平行な層を含んでおり、格子構造が、フレーム開口それぞれを覆っており、かつハウジングを補強している、電気加熱装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の室内において空調を行うための、上記特性の補助ヒーターは、例えば、特許文献1から公知である。加熱ブロックの発熱要素は、通常ではいくつかのPTC加熱素子を備えており、これらのPTC加熱素子は、一平面内に重ねて設けられており、印刷導体(printed conductor)(通常は薄板金属帯によって形成されている)の間に配置されている。これらの印刷導体は、異なる極性の電流を流す。これらの印刷導体にPTC要素を貼り付けることができる。さらに、張力(tension)によって印刷導体とPTC加熱素子とを接触させることも可能である。いずれの場合にも、PTC加熱素子によって生成される熱を取り出すためと、電流を供給するため、印刷導体とPTC加熱素子とが良好に接触しているようにしなければならない。
【0003】
1つ以上の発熱要素を加熱ブロックの一部として設けることができる。発熱要素によって生成される熱は、加熱する媒体(すなわち空気)に放熱要素を通じて放散される。空気は、平坦な加熱ブロックを収容しているハウジングの中を2つのフレーム開口を通じて流れる。フレーム開口は、通常、本質的に平坦なフレーム形状のハウジングの対向面上に互いに平行に存在している。電気加熱装置の最も経済的な製造に関して、放熱要素は、一般的に、蛇行タイプの曲がり薄板片(meander-type bent sheet strip)(波形リブ(corrugated rib)を形成している)から形成されている。これらの波形リブは、片側または両側において放熱要素に接触している。結果として、加熱ブロックは、放熱要素および発熱要素のいくつかの層を備えており、この場合、熱放射に関して、放熱要素と発熱要素とが良好に接触するようにもしなければならない。さらに、この点において、放熱要素を発熱要素に永久的に接合する、もしくは、ハウジングに収容されている少なくとも1つのばね要素による張力下で放熱要素と発熱要素とを接触させる、またはこの両方を行うことができる。
【0004】
放熱要素は、蛇行タイプの薄板金属帯の代わりに、山型部材(ridge)を形成する押出しアルミニウムプロファイルによって形成することもでき、山型部材は、放熱要素および発熱要素を備えている層構造の層に本質的に直角に延びている。この構造の場合、PTC加熱素子のための印刷導体(すなわち、ほぼ平坦な位置決め面)を、この構造の押出しアルミニウムプロファイルの外面によって形成することができる。波形リブ要素または押出しプロファイルのいずれの代替形態においても、PTC加熱素子のための位置決め面は導電性として形成されており、通常は互いに絶縁されて取り付けられている接点に、電気的に接続されている。波形リブ要素の場合、接点は、一般には薄板金属帯の露出端部によって形成されている。
【0005】
平行な放熱要素および発熱要素から成る層状の加熱ブロック(オプションとして、加熱ブロックに平行に延在する1つ以上の追加のばね要素を備えている)は、断面がU形状であるハウジング内に取り付けられていることが好ましい。層構造にばねの圧力がかかる場合、たとえ温度が上昇したときにもばねの力をそのまま維持できるように、フレームの寸法を決定しなければならない。最近では、ひとつには経済的な理由から、絶縁フレームを射出成形部品として製造することに留意されたい。最近では、通常のハウジングは、下側ハウジングと上側ハウジングとから構成されている。この場合、下側ハウジングは、加熱ブロックの個々の要素およびばね要素(必要時)の受け部を形成している。加熱ブロックの個々の要素を、この下側ハウジングに配置する。次いで、上側ハウジングと下側ハウジングとを結合することによって、ハウジング内に加熱ブロックを囲む。これを達成するため、加熱ブロックがフレーム開口の間に囲まれてハウジング内に取り付けられるように、フレーム開口の周囲の縁部によって加熱ブロックを部分的に覆うことができる。次いで、2つのハウジング部分を、例えば掛止(latching)結合を使用してひとつに結合する。
【0006】
このタイプの組立ての場合、加熱ブロックの個々の層をハウジング内の所定の位置に配置しなければならないという問題がある。すべての発熱要素それぞれに接点が割り当てられるわけではないため、組立て時に加熱ブロック内の電気条件も考慮しなければならない。しかしながら、製造コストを最小にするためには、加熱ブロックの複数の異なる層に同じコンポーネントを使用できるように、加熱ブロックの部品をできるだけ標準化された部品として形成することも望まれる。
【0007】
さらには、電気加熱装置の経済的な製造に関連して、ハウジング自体についても、できるだけ単純に製造できるようにすべきである。しかしながら、ハウジングパーツを結合するときに、フレーム内で加熱ブロックにプレストレスがすでにかかっていて、従ってそのプレストレスに逆らって結合を行わなければならない場合、ハウジング内に1つ以上のばね要素を実際に取り付けるうえでの特定の要件に従わなくてはならない。
【0008】
上述した問題に関して、特許文献1には、一般的なタイプの電気加熱装置として、ばね要素を含んでいる加熱ブロックの層を、最初は張力がかからない状態で下側ハウジングに最初に取り付ける電気加熱装置がすでに提案されている。下側ハウジングに結合することのできる上側ハウジングには、傾斜摺動面が形成されており、この摺動面は、加熱ブロックの外側に対応して下側ハウジングから上に突き出しているばね要素の端部の上に延在している。上側ハウジングと下側ハウジングとを結合すると、それに応じてばね要素が加熱ブロックの方向に圧縮され、応力がかかった状態で接触する。
【0009】
従来技術としてのこの提案では、組立て時の単純化が達成されるが、加熱ブロックの要素とばね要素とを下側ハウジングの中の正しい位置に配置することが要求される。さらには、この電気加熱装置において実施されるハウジングは、ハウジングパーツを結合するときに応力をかけるためとばね要素を囲むために必要なさまざまな傾斜面を有する。
【特許文献1】欧州特許第1564503号明細書
【特許文献2】欧州特許第1432287号明細書
【発明の開示】
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、より単純に、従ってより低コストで製造することのできる電気加熱装置を提供する。さらに、本発明は、電気加熱装置の発熱要素であって、この電気加熱装置に取り付けるのに適する発熱要素を提供する。本発明の別の独立した態様によると、本発明による電気加熱装置の一部として採用することのできるハウジングであって、本発明による、提案する発熱要素を受け入れるのに特に適するハウジング、を提供する。
【0011】
最初に言及した問題を克服するため、本発明は、請求項1の特徴を備えた電気加熱装置を提案する。この加熱装置は、一般的な電気加熱装置との違いとして、層に対して直角に延在している、格子構造の第1の支柱が、ハウジングに割り当てられており、層に平行に延びている第2の支柱が、加熱ブロックによって画成されている。
【0012】
特許文献2とは異なり、本発明の格子構造は、互いに結合される2つのハウジングパーツのみによって画成されているのではない。ハウジングパーツは、第1の支柱としての、加熱ブロックの層に直角に延びている支柱を含んでいるのみである。第1の支柱に対して直角に延びている格子要素(第2の支柱と称する)は、加熱ブロックによって画成されている。従って、この第2の支柱は、発熱要素のためのある程度のシールドとしての役割を果たし、発熱要素は、一般には、極性の異なる2本の平行な導体路と、導体路の間に横並びに配置されているPTC素子とを備えている。好ましくは、第2の支柱は、フレーム開口の領域内で2本の導体路に外側から重なっており、これにより、空気流にさらされる発熱要素の縦側面において、加熱する空気と一緒にフレーム開口を通じて外から侵入する異物により、対向する導体路の間で短絡が発生することを防止する。
【0013】
本発明の電気加熱装置の第1および第2の支柱のそれぞれは、これらの格子構造がフレーム開口内に格子状に配置されていることによって、ある程度の補強を有利に提供している。しかしながら、補強を目的したとき、互いに直角に交差するように設けられている支柱を互いにしっかりと結合する必要はない。第1および第2の支柱を、ある程度のフォームクロージャ状態とする、もしくは支持する、またはその両方により、格子構造によるある程度の補強が十分に達成される。
【0014】
第2の支柱は加熱ブロックによって画成されており、従って、ハウジング内での第2の支柱の位置は、加熱ブロックの層の取り付け状態によってのみ決まる。従って、例えば、極性の異なる導体路を覆う目的で、発熱要素の領域に第2の支柱を容易に設けることが可能である。上述した従来技術とは異なり、ハウジングの幾何構造を小さな許容差の範囲内で加熱ブロックの層に合わせなければならないという問題がもはや存在せず、本発明における加熱ブロックの層は、場合によっては少なくともある程度の遊びの範囲内で動くことができるように取り付けられている。
【0015】
この点において、本発明の好ましい実施形態においては以下を提案する。すなわち、第1の支柱のそれぞれが、第1の支柱の2つのセクションの間にフォームクロージャ状態に固定されるように、すなわち、第1の支柱がその長手方向に実質的に直角な方向に(すなわち第2の支柱の長手方向に平行に)わずかに動くことができるように、または動くことができないように、従って、各セクションの間にフォームクロージャ状態に保持されるように、第2の支柱を第1の支柱の間の複数のセクションとして設ける。
【0016】
上述したさらなる展開においては、2本の支柱を、これらが実質的に動かない状態に互いに固定する係合結合(engagement connection)が形成されるように、第2の支柱が、第1の支柱のくぼみ(第2の支柱の寸法に適合させてある)に係合することができる。しかしながら、補強に関連して、特に、生じうる製造公差を考慮したとき、第2の支柱を、第1の支柱に対してその長手方向に動くことができるように配置することが有利であることが判明した。すなわち、2本の支柱が互いにわずかに動くことができる状態に取り付けられており、これにより、製造公差と、加熱ブロックの個々の層のある程度の変形とを吸収することができ、例えば、熱膨張、もしくは、外側から加熱ブロックに作用する張力(ハウジング内に取り付けられている1つ以上のばねによって加えられる)に起因する動き、またはその両方を吸収することができる。
【0017】
第2の支柱は、放熱要素または発熱要素の間のシールドコンポーネントとして、またはその一部として形成することができる。第2の支柱が発熱要素の一部によって直接的に画成されている実施形態は、特に信頼性が高い。絶縁材料によって作製されている配置フレームによって第2の支柱を画成することが有利であることが判明しており、この配置フレームは、それぞれが少なくとも1つのPTC加熱素子のための横並びに設けられる受け部、を画成しており、PTC加熱素子が、導体路の間に配置されており、電気が伝わるように導体路に接するように配置されている。この好ましい実施形態によると、支柱は、発熱要素に一体化されている要素として形成されており、従って、支柱の正確な配置を容易に保証することができる。
【0018】
電気導体路の良好なシールドを達成する目的で、2本の支柱の望ましい機械的相互作用および支持を考慮して、本発明のさらなる好ましい展開によると以下を提案する。すなわち、PTC素子の両側に導体路を配置する、すなわち、最初はPTC素子とは別個の要素として導体路を用意し、第2の支柱のセクションを、これらが外側から導体路に重なることによって配置フレームに捕捉されるように、画成する。この好ましい実施形態においては、電気加熱装置の製造時に、一体化された要素として扱って取り付けることのできる、あらかじめ組み立てられるユニットが提供される。
【0019】
従って、組立て後において、ばね装置(ハウジング内に加熱ブロックをばねのテンション下で保持している)によって導体路がPTC加熱素子に接しているならば、導体路を固定することに関連する、支柱およびそのセクションに要求される構造上の必要条件を比較的小さくすることができる。このような手法は、例えば、特許文献1および特許文献2から公知である。
【0020】
材料の慎重な取り扱いを考慮することによって第2の支柱を製造するため、本発明の別の好ましい実施形態によると、第2の支柱のセクションの間の、発熱要素の上側および下側を、導体路によって画成することを提案する。従って、第2の支柱のセクションの間の導体路は露出してシールドされており、従って、ハウジングに取り付けた後にはじめて支柱によって覆われる。さらなる展開では、標準化されたコンポーネント(例:導体路としての薄板金属帯)を比較的多く使用するならば、電気加熱装置を比較的平坦な構造とすることができる。
【0021】
本発明の独立した態様によると、本発明は、上述したタイプの電気加熱装置の放熱要素であって、絶縁材料から作製されている配置フレームを備えており、配置フレームが、それぞれがPTC素子のための横並びに配置されている受け部、を画成しており、PTC素子が導体路の間に配置されており、導体路には、電気が伝わるようにPTC加熱素子が接するように配置されている、放熱要素、を提供する。本発明では、特許文献1から公知であるこの発熱要素をさらに発展させて、配置フレームが、導体路を囲んで限定している保持突起を備えており、保持突起が、外側から導体路に重なっており導体路に接している。従って、この保持ウェブは、ゆるく取り付けられている導体路(薄板金属帯の形で具体化されていることが好ましい)を、配置フレームに固定する。これにより、あらかじめ組み立てられるユニットが作製され、ユニットの部品は互いに捕捉される状態に(in a captive manner)結合されている。従って、この発熱要素は、取扱いが容易であり、ハウジング内に容易に挿入することができる。さらに、保持ウェブが導体路に接するように配置されており、従って、放熱要素の要素が密集して互いに結合されている。さらに、PTC加熱素子は、導体路の内側に接するように配置することによって受け部の中に固定されており、従って、例えば、いくつかのPTC加熱要素を受け部の中に所定の位置に配置して固定することができる。
【0022】
本発明の発熱要素のさらなる好ましい展開は、請求項9〜13に定義されている。
【0023】
本発明は、さらに、加熱装置のハウジングであって、本発明による発熱要素をその中に取り付けて、本発明による電気加熱装置を作製することのできる、ハウジング、を提供する。このハウジングは、フレーム開口内に何本かの支柱が配置されており、支柱が、放熱要素および発熱要素の層に対して単に直角に延びていることを特徴とする。ハウジングを組み立てる前の、支柱のこの特殊な特徴は、加熱ブロックの要素(加熱ブロックの層の前端部に設けることができる)に対する収容開口の構造的な設計と、加熱ブロックの電気導体路(通常では前面において加熱ブロックから出る)のためのスロットまたはその他の貫通穴(ハウジングの支柱に整列した状態でハウジング内に通じている)の設計とを比較した結果である。
【0024】
本発明によるハウジングのさらなる好ましい展開は、請求項15に定義されている。
【0025】
本発明のさらなる詳細および利点については、実施形態の以下の説明の中で図面を参照しながら記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、下側ハウジング4と上側ハウジング6とから構成されているハウジング2を備えた電気加熱装置の実施形態の斜視図を示している。ハウジングパーツ4,6の両方が一体に結合されて確実に固定されており、加熱ブロック8を収容している。加熱ブロック8は、互いに平行に層状に配置されているいくつかの発熱要素10および放熱要素12から構成されている。放熱要素12は、蛇行タイプの屈曲薄板金属片から波形リブ要素(corrugated rib element)として形成されている。
【0027】
5枚の接触突起片14(横方向に並んで配置されている)は、ハウジング2の側面から突き出している。これらの接触突起片は、カットされているスロット15においてハウジング2を貫いている。カットされているスロット15は、それぞれが1枚の接触突起片を収容しており、主として下側ハウジング4に形成されているが、一部分は上側ハウジング6の側面に形成されている。
【0028】
ハウジング2は、対向配置されている2つのフレーム開口を有し、図1には、上側ハウジング6に形成されているフレーム開口16のみが見えている。下側ハウジング4に形成されているフレーム開口は、図4に参照数字18として示してある。フレーム開口16,18のそれぞれには、何本かの支柱20が配置されている。これらの支柱20は、加熱ブロック8の層に直角に延びており、下側ハウジング4および上側ハウジング6における対向配置されている縦桁を互いに結合している。
【0029】
図2は、加熱ブロック8の詳細と、特に下側ハウジング4における収容とを示しており、上側ハウジングを取り外した状態で下側ハウジング4を平面図として示している。放熱要素12は、下側ハウジング4の側端部それぞれにおいて一部のみを示してある。従って、図2における図解は、下側ハウジング4に形成されているフレーム開口18を上から見ている。
【0030】
図から理解できるように、図示した実施形態は、4つの発熱要素10を備えており、発熱要素10のそれぞれは、側面において絶縁されており、下側ハウジング4の中で層構造(加熱ブロック8)の層を横切る方向にある程度動く状態で収容されている。下側ハウジング4は、そのための取付け要素受け部22(受け部24の方に開いている)を備えている。この受け部24は、本質的には下側ハウジング4に形成されており、加熱ブロック8を収容している。図示した実施形態においては、下側ハウジング4の側面のそれぞれに、2種類の取付け要素受け部22a,22bが設けられている(図3も参照)。取付け要素受け部22の幾何形状に対応して、発熱要素10は、その側端部に取付け要素26a,26bを備えており、取付け要素26a,26bのそれぞれは、取付け要素受け部22aまたは22bのうち正しく対応する受け部にのみ収まる。この場合、取付け要素受け部22と、対応して設けられている取付け要素26との間の遊びは、発熱要素10がハウジング2内で加熱ブロック8の層の長手方向を横切る方向にゼロコンマ数ミリメートルだけ動くことができる程度である。外側の取付け要素26aは、ハンマーヘッド状に形成されており、適切に形成されている取付け要素受け部22aと係合する。この取付け要素受け部22aは、中央に設けられている第2の取付け要素受け部22bよりも、発熱要素10の長手方向に実質的に短い。これら縦長の取付け要素受け部22bに割り当てられている取付け要素26bは棒状であり、ハンマーヘッド形状の取付け要素26aよりも幅が狭い。この特殊な設計によって、中央の発熱要素10は、加熱ブロックの発熱要素10に対する外側の位置には収まらない。同じように、外側の発熱要素を中央の加熱ブロックに配置する(すなわちハウジング2に挿入する)ことはできない。
【0031】
発熱要素10は、任意のランダムな場所においてハウジング2に挿入できないが、放熱波形リブ要素12はそれぞれ同じものとして作製されており、最初に、蛇行タイプの屈曲薄板金属片の縦長材として作製した後、その長い材料から所定の長さに切断する。個々の放熱要素12のそれぞれは、加熱ブロック8内の放熱要素のための任意の位置に挿入することができる。
【0032】
取付け要素26は、配置フレーム28に一体に形成されており、図6および図7に示してあり、以下ではこれらの図を参照しながらさらに詳しく説明する。配置フレーム28は、絶縁材料から構成されており、PTC加熱素子30を配置するために使用される。この場合、配置フレーム28には、個々のPTC加熱素子30のそれぞれに対する受け部32がカットされており、受け部32は、PTC加熱素子の周囲を保持する。一平面上に互いに隣接して配置されているPTC加熱素子30それぞれの両側には、薄板金属帯34,36が接触している。薄板金属帯34,36は、PTC加熱素子30に電力供給するための印刷導電体を形成しており、PTC加熱素子によって生成される熱は、この薄板金属帯34,36を介して熱伝導によって放熱要素12に伝わる。これらの放熱要素12は、薄板金属帯34,36の上に直接配置されている。
【0033】
配置フレーム28の側端部には、取付け要素の突起38が、薄板金属帯34,36の位置を超えて延在している。取付け要素の突起38の外側端部には、配置フレーム28の各取付け要素26が存在している。図6に示した線VII−VIIに沿った断面図(図7参照)に図解したように、各薄板金属帯34,36は、配置フレーム28の幅方向のほとんどを占めている。この断面図において、配置フレームは、薄板金属帯34,36の隣に保持突起40を有し、この保持突起40は、薄板金属帯34,36の側縁部に隣接して設けられており、上側においては対応する薄板金属帯34,36より突き出しており、外側においては薄板金属帯34,36と重なっており、好ましくは印刷導体34,36に接触している。図示した実施形態においては、保持突起40は、射出成形の過程において、最初、配置フレーム28の主方向に直角に延びている突出部として、単一部品として形成する。両側の突出部の間隔は、薄板金属帯34または36がこれら突出部の間にちょうど収まるように選択する。
【0034】
次いで、このように射出成形によって作製した一体型コンポーネントに、発熱要素10の主コンポーネントを取り付け、すなわち、PTC加熱素子30を対応する受け部32に挿入し、両面を薄板金属帯34,36によって囲む。その後、塑性変形により内側方向にくぼみを形成し、印刷導体34,36を完全に形成する。この場合、通常では加熱成形を用いて、保持突起40を形成している材料のうち薄板金属帯34,36の領域を局所的に加熱し、これにより柔らかくする。使用する加熱手段としては、例えば、配置フレーム28を熱風または熱伝導によって局所的に加熱することができる。熱伝導を使用して加熱する場合、加熱手段は、加熱と同時に保持突起40を形成する金型に設けられていることが好ましい。
【0035】
保持突起40は、発熱要素10の長手方向に連続的に形成するのではなく、セクション40.1〜40.5として設ける。これらのセクション40.1〜40.5の間には通路41が残されており、この通路41は、支柱22がセクション40.1、40.2、40.3、40.4、または40.5の間に幅方向にぴったり収まるように形成されている。通路41によって形成されるセクションは、支柱22の厚さの少なくとも1/2が保持突起40の間に収まって収容される程度だけ、保持突起40の外面よりも内側にくぼんでいる。
【0036】
しかしながら、支柱22と配置フレーム28との間の確実な固定係合は、加熱ブロック8の層を横切る方向には存在せず、従って、ハウジングパーツ4,6の支柱22(第1の支柱とも称する)と保持突起40(第2の支柱43とも称する)との間に、加熱ブロック8の層を横切る方向の動きが提供される。
【0037】
発熱要素10は、あらかじめ組み立てられるコンポーネントとして形成されており、従って、組立て時、配置フレーム28に挿入されている印刷導体34,36、さらにはPTC加熱素子30が失われる危険性なしに取り扱うことができる。しかしながら、指摘しておくべき点として、保持突起は、通常では、配置フレーム内に薄板金属帯34,36を固定するのみであり、動作時にPTC加熱素子30に高い信頼性で電力供給するのに十分な接触圧力がかかるように、薄板金属帯34,36とPTC加熱素子30とを接触させるようには機能しない。本発明の範囲の中で説明した実施形態においては、この接触はばね要素によって行われ、この点については図8〜図10を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0038】
しかしながら、最初に、加熱ブロック8の要素をハウジング2の中の任意のランダムな場所には取り付けることができないようにするいくつかの特徴について説明する。
【0039】
特に図3および図6から理解できるように、薄板金属帯(すなわち図6に示した薄板金属帯34)は、発熱要素10の平面の外側に曲げられている。結果として、薄板金属帯34とPTC加熱素子30とが接触している平面と、自由端部44(薄板金属帯34の主セクションの反対方向にもう一度曲げられているため、このセクションに平行に延びている)との間にオフセット42が形成されている。図3に示したように、この自由端部44は、割り当てられている接触突起片14に圧着要素46によって機械的かつ電気的に結合されている。
【0040】
図3に参照数字10.3および10.4によって表してある上側の放熱要素は、上側薄板金属帯34から上方に突き出しているオフセット42.3および42.4を有する。下側の発熱要素10.1は、下方に突き出しているオフセット42.1を有する。参照数字10.2によって表してある発熱要素10の薄板金属帯34,36は、両側に曲がっておりオフセット42.20,42.21を形成しており、それぞれに接触突起片14が設けられている。これらの違いにより、ハウジング2の中で発熱要素10.3および10.2の位置が入れ替わることを防止することができる。この場合、この実施形態では、接触突起片受け部48の設計のおかげで、中央の2つの発熱要素10.2および10.3を入れ替えて取り付けることができる。外側の発熱要素10.1および10.4の両方についても、入れ替えて取り付けることができる。
【0041】
図1を参照しながら前述したスロット15は、ハウジング2の外側から延びており、幅を広げながら突起片受け部48に達している。この接触突起片受け部48の後ろにはくびれスロット(constricted slot)50が形成されており、このスロット50は、接触突起片14をポンチングおよび成形することによって形成されている薄板金属片と、割り当てられている薄板金属帯34の自由端部44とを収容することができる。
【0042】
下側ハウジング4は、経済的に製造される射出成形金型において形成することができ、なぜなら、ハウジング4の重要な面のすべてが、下側ハウジング4のフレーム開口18に平行または直角に延在しているためである。
【0043】
従って、下側ハウジング4は、本質的に互いに直角に延在しているフレーム面52a〜52dを有し、これらのフレーム面52a〜52dは、加熱ブロック8の周囲を囲み、フレーム開口18が含まれている平面に直角に延在している。接触突起片14が下側ハウジング4から外に突き出している側面には、対応するフレーム面52bが4つの取付け要素受け部54よりも外側に開いており、取付け要素受け部54の主壁も、フレーム開口18が含まれている平面に直角に延在している。下側ハウジング4の機能表面のうち、本質的には、接触突起片受け部48と、この受け部48に達しているスロット15または50と、取付け要素受け部22を画成している壁とを形成している機能表面は(図3に示してある)、適切なサイズを有する。上述した受け部15,22,50,54は、下側ハウジング4の側面付近において、底部(下側ハウジング4のフレーム開口18が含まれている平面に平行に延在している)によって画成されている。この受け部底部は、図4には参照数字56によって表してある。この底部56は、支柱22の内面も形成しているのみならず、両側に位置する外側放熱要素12およびばね要素(後から説明する)のための、縁部における停止面58,60も形成している。これらの停止面58または60は、フレーム開口18が含まれている平面に平行である。
【0044】
下側ハウジング4の内面(取付け要素受け部22または接触突起片受け部48を形成している壁の端部の側面に形成されている)、フレーム開口18が含まれている平面に平行に延在している。長手側については、この上側縁部はスペーサ62によって形成されており、このスペーサ62は、フレーム面52cを超えて受け部24まで突き出しており、その機能については、後からばね要素の説明の中で扱う。下側ハウジング4の内面であるこの上側平面より下には、下側ハウジング4の2つの縦桁64,66の内面63が存在しているが、これらの内面63は、下側ハウジング4内に加熱ブロック8の周囲がほぼ完全に(すなわち高さの70%以上が)保持される深さまで、縁部における停止面58,60より下まで延在している。縦桁64,66には、フレーム開口18が含まれている平面に直角に延びているいくつかのピンガイド68,70,72が存在している。これらピンガイド68,70,72は、縦桁44,66の本質的に長手方向全体にわたって各セクションに存在している。
【0045】
縦桁64,66それぞれの中央にはピンガイド70が存在しており、このピンガイド70は、比較的短い長さとして形成されており、下側ハウジング4の外側に位置している窓74に通じている。この中央のピンガイド70の隣には、縦桁64,66の長さの約1/3にわたり延びているピンガイド68が設けられている。これらのピンガイド68の外側端部には、上述した窓74が割り当てられているピンガイド70が存在している。縦桁64,66の側面端部にも、比較的小さいピンガイド72が形成されており、このピンガイド72は、縦桁64,66の内面から、フレーム開口18が含まれている下側ハウジングの外面まで延びている。
【0046】
ピンガイド68,70,72を形成または画成している機能表面は、いずれも、フレーム開口18が含まれている平面に直角に延在している。これらの開口68〜72の側面縁部のみは、上側ハウジング6の対応するガイドピン76〜80を容易に挿入できるように、わずかに傾斜している、または丸められている。さらに、下側ハウジング4と上側ハウジング6を容易に結合できるように、スペーサ62を画成している壁の自由端部(スペーサ62の上端部を形成している)と、端部における受け部22b,15,50,48を画成している壁の自由端部は、傾斜している、または丸められている。
【0047】
図5に斜視図として示した上側ハウジング6も、対応するハウジング開口16に必ず直角または平行に配置されている機能表面または画成表面を備えている。機能表面としては、特に、前述したガイドピン76,78,80のガイド領域が設けられており、これらは対応するピンガイド68,70,72に挿入することができる。ガイドピン78は、切り欠きピンとして射出成形されており、掛止突起82を形成している。掛止突起82の上側に、切り欠きピン78の厚い頭部が突き出しており、この頭部には、フレーム開口16が含まれている平面に平行な掛止面86が形成されている。掛止突起82は、カバー88の上面から延びている。このカバー88は、本質的に平坦なコンポーネントとして形成されており、フレーム開口16を形成しており、さらに支柱22の外面を含んでいる。カバー88は、下側ハウジング4のカバーとしてフレーム形状に形成されている。従って、ガイドピン76〜80は、カバー88の内面から直角に延びている。さらに、掛止突起82のくぼみ90が設けられている。くぼみ90の領域では、カバー88の端面が内側に引っ込んでおり、従って、掛止突起82の平たく均一な側面は、ガイドピン76あるいは80のガイド面に平行に延在しているが、これらのガイドピン76,80の外側ガイド面それぞれよりも内側に位置している。しかしながら、対応するガイドピン78〜80の、加熱ブロック8側の内面は、一平面内に存在している。
【0048】
上側ハウジング6の一方の側面、カバー88の内壁には、5つの接触突起片受け部48に対応する5つのくぼみが形成されており、このくぼみは、スロット15の一部を形成しており、閉じたハウジングとして加熱ブロックを組み立てた後の、接触突起片14の上側余裕領域も含んでいる。反対側の側面には、さらなるガイドピン92が設けられており、このガイドピン92は、下側ハウジング4にカットされている対応するさらなるガイド受け部と相互作用するが、取付け要素受け部22あるいは接触突起片受け部48には収まらず、従って、上側ハウジング6は、必ず所定の一義的な向きで下側ハウジング4の上に配置されて結合される。この場合も、さらなるピンガイド94を囲んでいる壁と、ガイドピン92を形成している壁は、フレーム開口16または18が含まれている平面に直角に延在している。
【0049】
図8は、ばね要素96の斜視図であり、ばね要素96は、加熱ブロック8の縁部に接触し、取付け位置において加熱ブロック8の高さに位置する。図8におけるばね要素96の前側は、平坦な位置決め面98を形成しており、隣接する(図3では一番上の)放熱要素がそのベーン(vane)によってこの位置決め面に接触している。より正確に記述すると、波形リブ帯12の、蛇行ベーンの側面の曲がり端部(face side bent ends of more meandering vanes)が、この位置決め面98に接触している。位置決め面98は、最初に平坦な薄板金属帯によって形成し、この薄板金属帯に、両側におけるパンチングによって、側方に突き出しているばね脚部100を形成する。これらのばね脚部100は、最初は位置決め面98の平面上にあるが、パンチングの後、曲げることによって、図8、図10、図11、図12に示した形状になる。2枚のばね脚部100o,100uは、幅方向に(すなわち、平坦な位置決め面98の長手方向を横切る方向に、従って組立て時のばね要素96の挿入方向に)位置決め面98と重なっている。個々のばね脚部100o,100uのそれぞれは、傾斜摺動面102a,102b,102cを形成しており、これらの摺動面は、平坦な位置決め面との間に角度35〜55度、好ましくは約45度をなしている。ばね要素96の長手方向に並んで設けられているばね脚部100の対の間には、平坦部分104が存在しており、この部分においては、ばね要素96は長方形の平坦な薄板金属帯として形成されている。
【0050】
図8に示したばね要素96は、縦桁64における個々のスペーサ62(図4を参照)の間に存在する空間の数に対応する、ばね脚部の対100o,100uを備えている。ばね脚部の各対100o,100uは、ばね要素96の取付け位置において、これらのスペーサ62の間に存在している。平坦部分104は、スペーサ62の幅だけ延在しており、隣接するばね脚部の対100o,100uを連結している。従って、対応して製造されるばねは、ハウジング2、具体的には下側ハウジング4の中に単一コンポーネントとして挿入することができ、これにより、電気加熱装置の製造が単純化される。相応して、隣接するスペーサ62の間に設けられているフレーム面42cの壁セクションは、ばね脚部100の各対に対応する支持面106を形成している。ばね要素100の形状、特に、位置決め面と重なっているばね脚部100の対の間の平坦部分104の形状によって、ばね要素96を正しくない向きで下側ハウジング4に挿入することは不可能である。ばね要素96は、その取付け位置にのみ押し込むことができ、その場合、平坦な位置決め面98が加熱ブロックに対して正しい位置にあるとき、ばね要素はハウジング2の中で加熱ブロック8の高さに収容されている。さらには、加熱ブロックは、スペーサ62によって支持面106から特定の距離に保持されており、従って、ばね要素96を下側ハウジング4に挿入するときに、加熱ブロック8によって妨げられることなく支持面106に接触させることができる。
【0051】
加熱ブロック8の方向へのばね要素96の連続的な挿入動作によって、すなわち、加熱ブロックに連続的に挿入することによって、ばね要素96が、下側ばね脚部100uからのばね力によって加熱ブロック8の方向に押し付けられ、従って、加熱ブロックの層10,12が押し付けられる。さらに挿入すると、放熱要素12が隣接している平坦な位置決め面98は、ばね要素96が加熱ブロック8と下側ハウジング4との間で挿入方向に十分にガイドされる深さまで、すでに押し込まれている。最終的に、さらなる挿入によって、下側ばね脚部100uが弾性圧縮される。この場合、ハウジング側における、これに対抗する力は、上側縁部108(支持面106と縦桁64の内面との間に、これら2つの面の交差部分によって形成される)によって形成される。この縁部108は、最初、ばね要素96の挿入時に下側ばね脚部100uを内側に押す。さらなる挿入動作により、最終的には、対応するばね脚部100oの自由端部(内側に傾斜して曲がっている)との相互作用によって、上側ばね脚部100oが内側に押される。
【0052】
図10、図11、図12から理解できるように、ハウジング2は、ばね要素96と相互作用するさらなるハウジング要素を備えている。このさらなるハウジング要素は、上側ハウジング6の縁部110によって形成されている。この縁部110は、カバー88の内面と上側ハウジング6の底部112との間に形成されており、すなわち、上側ハウジングの底部112を画成している外縁部113とカバー88の内面とが交差する縁部によって形成されている。この底部112とカバー88の内面との間の高さのオフセットは、縦桁64,66によって形成されている面63よりも加熱ブロック8が突き出す(実際には、スペーサ62が縦桁64,66の内面63よりも突き出す長さとほぼ同じだけ突き出す)ことを考慮したものである。縁部110は、上側ばね脚部100oによって形成されている、ばね要素96の傾斜摺動面102aと接触する。図10および図12aから明らかであるように、ばね要素96の上端部は、上側ハウジング6の底部112との間隔があるため、本質的に接触圧力がかかっていない状態にある。
【0053】
以下では、組立てについて図12a〜図12eを参照しながら説明する。最初に、個々の層10,12を下側ハウジング4に挿入する。次いで、ばね要素96を下側ハウジングの中に途中まで、すなわち、加熱ブロック8の層が互いに密着し、かつ、ばね要素96が加熱ブロック6とフレーム面52cとの間に十分な深さに達するまで、手操作で挿入する。
【0054】
この最初の挿入動作(この動作ではばね要素96によるばね圧力が加熱ブロック8に本質的にかからない)では、加熱ブロック8に面している、スペーサ62の側面(ばね要素96の平坦部分104と相互作用する)上を、ばね要素96がガイドされる。ばね要素96とスペーサ62との接触によって、ばね要素96は、その平坦な位置決め面98と加熱ブロックの層4,6とが平行である状態に配置される。この最初の組立てステップの終了時点で、ばね要素96は、加熱ブロック8が存在している平面より、縦セクション(図12aにはLとして表してある)だけ上に突き出している。次いで、上側ハウジング6を下側ハウジング4の上に配置する。この場合、ガイドピン76,78,80,92が、対応するピンガイド68,70,72,94の中で係合する。このステップにおいて、ばね要素96は、最初は本質的に応力がかからないままである。この状態において、ガイドピンは対応するピンガイドの中に十分な深さまで達しており、従って、ハウジングパーツ4,6の両方を互いに対して直線方向にのみ動かすことができる。次いで、ハウジングパーツ4,6を結合し、このとき、ばねの力が印加される。
【0055】
最初に、上側ハウジング6の底部112がばね要素96の上端部に当たるまでは、ばね脚部100o,100uがわずかに圧縮される(図12bを参照)。このとき、2つの縁部108,100は、傾斜摺動面102aおよび102bに沿ってすでに少しだけすべっている。これにより、上側ばね脚部100oがすでに内側に弾性的に曲がっており、従って、ばね要素96の中央において内側に曲がっている脚部100oの自由端部(さらなる傾斜摺動面102cを形成している)が、さらなる挿入動作によって高い信頼性で縁部108を通過することができる。その後、2つのハウジングパーツ4,6の結合動作を続ける結果として、さらに、ばね要素96が押し込まれる。この場合、最初、縁部108によって、下側ばね脚部100uにさらに弾性応力がかかる。この下側ばね脚部100uは、最終的には支持面106と加熱ブロック8との間に完全に収容される(図12c)。ばね要素96を下側ハウジング4の中にさらに挿入すると、上側ばね脚部100oも、最終的には、自身と縁部108との相互作用によって加熱ブロック8の方向に弾性的に変形し、従って、ばね力が発生する。この弾性ばね力は、主として、さらなる傾斜摺動面102cが縁部108によって下方にすべり、上側ばね脚部100oを加熱ブロック8の方向に押し付けられるときに発生する(図12cと図12dとの間の中間ステップ)。2つのハウジングパーツ4,6が密着してそれぞれの表面が互いに正しく配置された時点で、ばね要素96はその最終的な位置に達している。ばね要素96は、この取付け位置においては、加熱ブロック8とフレーム面52cとの間のばね力に起因して、応力がかかった状態に保持されている。意図しない力によってばね要素96が外側から押された場合、停止面58または上側ハウジング6の底部112によって、ばね要素96がハウジング2から押し出されることが防止される。
【0056】
2つのハウジングパーツ4,6が互いに接触する直前、掛止突起82がわずかに弾性的に屈曲した状態でピンガイド70の中のガイド溝の中をガイドされた後、頭部84が外側に押され、従って、頭部の掛止面86が掛止対抗面114に接触する、または掛止面86が掛止対抗面114よりも(わずかな遊びの分だけ)突き出し、従って、ハウジングパーツ4,6の両方が、しっかりとひとつに固定される。
【0057】
上述したように、説明した実施形態による電気加熱装置の製造時、下側ハウジングと上側ハウジングとを結合することによってハウジングを閉じると、ばね要素がその取付け位置となる。この位置においては、ばね要素は加熱ブロックの高さに位置しており、すなわち、加熱ブロックが存在している平面内に配置されている。さらに、ばね要素にばね圧力が発生するのは、導入時と、その後、ガイドピン76〜80と対応するピンガイド68,70,72との確実な固定係合によって2つのハウジングパーツ4,6を互いにガイドするときのみである。従って、この構造上の特徴によると、加熱ブロックのコンポーネントを、ハウジング2に形成されている受け部24に、張力がかかることなく挿入することが可能である。ばねの応力がかかるのはその後であり、実際には、応力は、互いに限られた位置にあるハウジングパーツ4,6において接触時に発生する。その後、ハウジングパーツ4,6の結合時、発生するばねの圧力に起因して、加熱ブロック8の要素がずれる、あるいは加熱ブロック8の要素が受け部24から押し出される力がかかっても、これらの要素は、ハウジング2の中の加熱ブロックを囲んでいる、ハウジングパーツ4,6の部分によって保持されており、ハウジングパーツ4,6の結合時には所望の位置に戻される。
【0058】
この構造上の特徴に関して、本発明は、説明した実施形態に制限されない。従って、例えば、ばね脚部を備えているばね要素として、取付け位置において最初に本質的には応力が生じないばね要素を設けることができる。このばね要素は、加熱ブロックに応力がかかることなく受け部24に挿入される。このばね要素はばね脚部を備えており、このばね脚部は、停止面58への方向、外側斜め下方に傾いている摺動面を形成している。実際には、ばね要素と相互作用するピンを使用し、このピンは、上側ハウジングと下側ハウジングとをばねの圧力下で結合するとき、ばね要素全体がばねの圧力下で加熱ブロック8に接触するように、対応するばね脚部に作用する。この実施形態においては、ばね要素は、最初、下側ハウジングの中に加熱ブロックと一緒に応力なしの状態で収容されているが、ばねの圧力の発生時、結合方向には静止したままである。ばね要素は、加熱ブロックの平面内でわずかに押されて加熱ブロックに接触する。さらに、1つ以上のばね脚部が旋回して弾性応力が発生する。発熱要素10のこの特殊な特徴によると、さらに単純な組立てが促進され、なぜなら、第1および第2の支柱20,43によって形成されている格子構造が、ハウジングパーツのみによって形成されているのではなく、第2の支柱が配置フレーム28によって形成されており、従って、PTC加熱素子30が、加熱ブロック8の中で収まるべき場所に高い信頼性で位置するためである。従って、この技術分野の従来の方式(格子構造がハウジングパーツのみによって形成されている)と比較すると、比較的単純に形成されるハウジングパーツを製造することができる。さらには、より大きな許容差が容認され、なぜなら、ハウジングに結合される単体支柱として、加熱ブロック8の層に平行に延びており、かつ発熱要素10の位置に正確に設けなければならない支柱が存在しないためである。支柱20および通路41の寸法と、特に、保持突起40の2つのセクションの間に支柱20が挿入されることにより、第1および第2の支柱20,43を互いに確実に固定して支持することができ、従って、ハウジング全体の剛性を高めることができる。
【0059】
放熱要素12は、あらかじめ組み立てられるユニットとして作製されており、さらに、取付け要素26および関連付けられる受け部22によって、発熱要素12をハウジング2の中の特定の場所にのみ取り付けることができるようにされているため、本電気加熱装置の製造、特に個々の部品の組立てを、経験の浅い作業者によっても行うことができる。
【0060】
本実施形態の配置構造では、電気加熱装置の複数の異なるコンポーネントの配置が一義的である。この一義的な配置が維持されない場合、電気加熱装置のコンポーネントを組み立てることができない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】電気加熱装置の実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示した実施形態における、加熱ブロックが取り付けられた状態の下側ハウジングの側面図である。
【図3】図2による図解を拡大した詳細である。
【図4】図1〜図3に示した実施形態の斜視図である。
【図5】図1による電気加熱装置の上側ハウジングの斜視図である。
【図6】図1による電気加熱装置の発熱要素の分解斜視図である。
【図7】組み立てた発熱要素の、図6の図解における線VII−VIIに沿っての断面図である。
【図8】図1〜図7に示した実施形態の加熱ブロックをプレストレスするためのばね要素の斜視図である。
【図9】ハウジングパーツを結合する前の、図1による例の端部の側面図である。
【図10】図9の図解における線X−Xに沿っての断面図である。
【図11】図10における細部Aの拡大詳細図である。
【図12】図12a〜図12eは、ハウジングパーツを結合するときのさまざまな状態における、図11に類似する拡大詳細図である。
【符号の説明】
【0062】
2 ハウジング
4 下側ハウジング
6 上側ハウジング
8 加熱ブロック
10 発熱要素
12 放熱要素
14 接触突起片
15 スロット
16 フレーム開口(上側ハウジング)
18 フレーム開口(下側ハウジング)
20 支柱/第1の支柱
22 取付け要素受け部
24 加熱ブロックのための受け部
26 取付け要素
28 配置フレーム
30 PTC加熱素子
32 PTC加熱素子のための受け部
34 薄板金属帯
36 薄板金属帯
38 取付け要素の突起
40 保持突起
40.1〜40.5 保持突起の各セクション
41 通路
42 オフセット
43 第2の支柱
44 薄板金属帯34の自由端部
46 圧着要素
48 接触突起片受け部
50 スロット
52 フレーム面
54 取付け要素(突起)受け部
56 底部
58 ばね要素の縁部停止面
60 放熱要素の縁部停止面
62 スペーサ
63 縦桁の内面
64 縦桁
66 縦桁
68 ピンガイド
70 ピンガイド
72 ピンガイド
74 窓
76 ガイドピン
78 ガイドピン
80 ガイドピン
82 掛止突起
84 頭部
86 掛止面
88 カバー
90 くぼみ
92 さらなるガイドピン
94 さらなるピンガイド
96 ばね要素
98 平坦な位置決め面
100 ばね脚部
102 摺動面
104 平坦部分
106 支持面
108 縁部
110 縁部
112 上側ハウジングの底部
113 底部112の外縁部
114 掛止対抗面
L 縦セクション


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な加熱ブロック(8)であり、対向するフレーム開口(16,18)を画成しているハウジング(2)内に保持されており、放熱要素および発熱要素(10,12)の平行な層を含んでいる、前記加熱ブロック(8)と、
前記フレーム開口(16,18)それぞれを覆っており、かつ前記ハウジング(2)を補強している格子構造(20,43)と、
を備えている、電気加熱装置において、
前記層に対して直角に延在している、前記格子構造の第1の支柱(20)が、前記ハウジング(2)に割り当てられており、前記層に平行に延びている第2の支柱(43)が、前記加熱ブロック(8)によって画成されている、
ことを特徴とする、電気加熱装置。
【請求項2】
前記第1の支柱(20)のそれぞれが、前記第1の支柱(20)の2つのセクション(40.1〜40.5)の間にフォームクロージャ状態に固定されるように、前記第2の支柱(43)が、前記第1の支柱(20)の間の複数のセクションとして延びている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気加熱装置。
【請求項3】
前記第2の支柱(43)が、前記第1の支柱(20)に対して前記第1の支柱(20)の長手方向に動くことができるように配置されている、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電気加熱装置。
【請求項4】
前記第2の支柱(43)が、絶縁材料によって作製されている配置フレーム(28)によって画成されており、前記配置フレーム(28)が、それぞれが少なくとも1つのPTC加熱素子(30)のための横並びに設けられる受け部(32)、を画成しており、前記PTC加熱素子(30)が、(34,36)の間に配置されており、電気が伝わるように前記導体路(34,36)に接するように配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気加熱装置。
【請求項5】
前記導体路(34,36)が前記PTC加熱素子(30)の両側に載っており、前記第2の支柱(43)の前記セクション(40.1〜40.5)が前記導体路(34,36)に外側から重なっている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電気加熱装置。
【請求項6】
前記加熱ブロック(8)を前記ハウジング内にばねのテンション下で保持しているばね装置(96)によって、前記導体路(34,36)が前記PTC加熱素子(30)に接している、
ことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の電気加熱装置。
【請求項7】
前記第2の支柱(43)の前記セクション(40.1〜40.5)の間の、前記発熱要素(30)の上側および下側が、前記導体路(34,36)によって画成されている、
ことを特徴とする、請求項4から請求項6のいずれかに記載の電気加熱装置。
【請求項8】
電気加熱装置の発熱要素(10)であって、
前記発熱要素(10)と少なくとも1つの放熱要素(12)とを含んでいる加熱ブロック(8)、を備えており、
前記加熱ブロック(8)が、対向するハウジング開口(16,18)を有するハウジング(2)内に保持されており、絶縁材料から作製されている配置フレーム(28)を備えており、前記配置フレーム(28)が、それぞれが少なくとも1つのPTC加熱素子(30)のための横並びに配置されている受け部(32)、を画成しており、前記PTC加熱素子(30)が薄板金属帯(34,36)の間に配置されており、電気が伝わるように前記薄板金属帯(34,36)に前記PTC加熱素子(30)が接するように配置されている、
発熱要素、において、
前記配置フレーム(28)が、前記導体路(34,36)を囲んで限定している保持突起(40)を備えており、前記保持突起(40)が、外側から前記導体路(34,36)に重なって接している、
ことを特徴とする、発熱要素。
【請求項9】
前記保持突起(40)が、前記導体路(34,36)にその側縁部においてのみ接している、
ことを特徴とする、請求項8に記載の発熱要素。
【請求項10】
前記保持突起(40)が複数のセクションとして形成されており、それぞれが間に通路(41)を画成している、
ことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の発熱要素。
【請求項11】
前記通路(41)が、前記配置フレーム(28)の上に配置されている連続的な薄板金属帯(34,36)によって形成されている前記導体路に達している、
ことを特徴とする、請求項10に記載の発熱要素。
【請求項12】
前記保持突起(40)が射出成形によって前記配置フレーム(28)と一体に形成されており、前記導体路(34,36)を前記配置フレーム(28)の上に配置した後、前記保持突起(40)が成形によって塑性変形して前記導体路(34,36)に重なる、
ことを特徴とする、請求項8から請求項11のいずれかに記載の発熱要素。
【請求項13】
前記保持突起(40)が、熱成形によって前記導体路(34,36)の上に曲げられている、
ことを特徴とする、請求項12に記載の発熱要素。
【請求項14】
加熱装置のハウジングであって、
放熱要素および発熱要素(10,12)の平行な層を有する平坦な加熱ブロック(8)をフレームに似た方式で囲んでいる受け部(24)と、前記受け部(24)の中の前記加熱ブロックを囲んでいるフレーム開口(16,18)と、
を画成している、ハウジング、において、
前記フレーム開口(16,18)内に、放熱要素および発熱要素(10,12)の前記平行な層に対して単に直角に延びている何本かの支柱(20)、が配置されている、
ことを特徴とする、ハウジング。
【請求項15】
前記ハウジングが受け部(22)を画成しており、前記受け部(22)の中に、前記放熱要素(10,12)が、放熱要素および発熱要素(10,12)の前記層を横切る方向に、ある範囲内で動くことができる状態に受け入れられている、
ことを特徴とする、請求項14に記載のハウジング。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−43716(P2009−43716A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−181638(P2008−181638)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(501324823)カテム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディットゲゼルシャフト (23)
【Fターム(参考)】