説明

電気化学デバイス用の包装材および電気化学デバイス

【課題】本発明は、電池等の電気化学デバイスの包装材であって、高温または低温等の過酷な条件下でも使用可能な包装材、およびそれを使用した電気化学デバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体を用いて、積層体の周囲において、前記熱圧着性ポリイミド層が融着されることで密閉包装構造が形成されるようにして、包装材33の内部に電気化学デバイス要素31を密閉収納して電気化学デバイスを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池等の電気化学デバイスの包装材および簡単な構成で耐久性、耐熱性に優れた電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポータブル電子機器の電源として、種々の一次電池および二次電池が提案されているが、その中でも、エネルギー密度及び出力密度の点で、リチウムイオン二次電池が多用されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池のような非水電解質二次電池は、金属缶やラミネートフィルムにより外装されている。金属缶は強度の点で優れているが、容器外壁が固いために形状の自由度が小さく、電池を使用するハード側の形状および寸法が電池の形状により決定されてしまう。また、金属缶は、重量の点で不利である。これに対して、ラミネートフィルムは金属缶に比べて軽量であり、価格の点で有利である。ラミネートフィルムを使用する電池は、従来より数多くの提案がある(例えば、特許文献1〜3)。
【0004】
例えば特許文献1に、アルミラミネートフィルムで外装した電池が記載されている。図17に示すように、この電池1は、正極と負極とをセパレーターを介して積層し巻回して扁平型に形成し、電解液を加えた電池要素を、アルミラミネートフィルムで外装し、電池要素の周囲を封止して作製されたものである。正極及び負極と接続された正極リード電極2a及び負極リード電極2bは、例えば電池1の一辺から電池外部に引き出されている。通常、電池素子周囲の一辺を残して封止して袋を形成した後、封止していない開口から電池要素を入れ、最後に正極リード電極2a及び負極リード電極2bの導出辺を封止することにより、電池を得ることができる。
【0005】
使用されるアルミラミネートフィルムは、一般に外側から、外装層/接着層/アルミ箔(金属層)/接着層/ヒートシール層の構造を有している。ここで、アルミ箔は、外装材の強度向上の他、水分、酸素、光の進入を防ぎ、電池内容物を守る役割を担っている。外装層は、外観の美しさや強靱さ、耐熱性、柔軟性などから、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド及びポリエステル、具体的には、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が用いられる。
【0006】
内層のヒートシール層は、電池要素を封入するために熱融着性を有しており、ポリエチレン(PE)、無延伸ポリエチレン(CPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の比較的融点の低い樹脂が使用されている。
【0007】
接着層は、使用されないこともあるが、金属との接着性のよい酸変性ポリオレフィン、アイオノマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンアクリル酸コポリマー等が使用される。接着層は、一般にヒートシール層よりさらに低い融点を有しており、これら自身がヒートシール層として使用されることもある。
【0008】
また、内層のヒートシール層は電解液と接触するため、長期間にわたり電解液および電解質が加水分解して発生する酸に対する耐久性が必要である。ヒートシール層が劣化すると、電解質液がアルミ箔を侵し、さらに外部からの水分の透過が進み、電解液の劣化が急速に進行することになるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−262803号公報
【特許文献2】特開2001−30407号公報
【特許文献3】特開2001−52748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、非水電解質二次電池は、さらにさまざまな分野において利用が進み、また、従来使用が考えられなかった過酷な条件下での利用も検討され始めている。
【0011】
しかし、現在まで提案されているラミネートフィルム外装では、耐久性および耐熱性の点で限界があり、リチウムイオン二次電池等の二次電池の用途を充分に拡大することができない問題がある。さらには、フィルム自体が可燃性であるために安全性の点でも問題がある。
【0012】
即ち、本発明は、電池等の電気化学デバイスの包装材であって、高温または低温等の過酷な条件下でも使用可能な包装材、およびそれを使用した電気化学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の事項に関する。
【0014】
1. 電気化学デバイス用の包装材であって、
金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体を用いて形成され、
前記積層体の周囲において、前記熱圧着性ポリイミド層が熱圧着されることで密閉包装構造が形成されていることを特徴とする包装材。
【0015】
2. 前記包装材は、前記熱圧着性ポリイミド層が内側になるように前記積層体が重ね合わされ、前記積層体の周囲において前記熱圧着性ポリイミド層が熱圧着されて密閉構造が形成されていることを特徴とする上記1記載の包装材。
【0016】
3. 前記密閉構造が、密閉袋構造または密閉トレー構造であることを特徴とする上記2記載の包装材。
【0017】
4. 前記熱圧着性ポリイミド層は、150〜400℃の範囲で熱圧着可能な材料で形成されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の包装材。
【0018】
5. 前記熱圧着性ポリイミド層は、熱圧着性ポリイミドと耐熱性ポリイミドの多層構造を有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の包装材。
【0019】
6. 前記耐熱性ポリイミドが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとを含む組み合わせから得られるポリイミドであることを特徴とする上記5記載の包装材。
【0020】
7. 上記1〜6のいずれかに記載の包装材と、
前記包装材の内部に密封されて収納された電気化学デバイス要素と
を有する電気化学デバイス。
【0021】
8. リチウムイオン二次電池である上記7記載の電気化学デバイス。
【0022】
9. 電気化学デバイス要素、および前記電気化学デバイス要素を封入している包装材を備える電気化学デバイスの製造方法であって、
金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体を用意する工程と、
電気化学デバイス要素を内部に収納するように、前記積層体の前記熱圧着性ポリイミド層を外周部で融着して密閉包装構造を形成することで、前記包装材を形成する工程と
を有することを特徴とする電気化学デバイスの製造方法。
【0023】
10. 前記包装材は、前記熱圧着性ポリイミド層が内側になるように前記積層体が重ね合わされ、前記積層体の周囲において前記熱圧着性ポリイミド層が熱圧着されて密閉包装構造が形成されることを特徴とする上記9記載の電気化学デバイスの製造方法。
【0024】
11. 前記密閉包装構造が、密閉袋構造または密閉トレー構造となるように、前記包装材を形成することを特徴とする上記10記載の電気化学デバイスの製造方法。
【0025】
12. 前記熱圧着性ポリイミド層を、150〜400℃の範囲で加熱加圧して熱圧着することを特徴とする上記9〜11のいずれかに記載の電気化学デバイスの製造方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高温または低温等の過酷な条件下でも使用可能な電池等の電気化学デバイスの包装材を提供することができる。特に、金属層より内層部分をオールポリイミドで形成することで、耐熱性および耐久性に極めて優れる電気化学デバイスの包装材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】包装材を構成する積層体の構造の1例を説明するための図である。
【図2】包装材を構成する積層体の構造の1例を説明するための図である。
【図3】包装材を構成する積層体の構造の1例を説明するための図である。
【図4】積層体から包装材を形成する方法の1例の工程を説明するための図である。
【図5】積層体から包装材を形成する方法の1例の工程を説明するための図である。
【図6】積層体から包装材を形成する方法の1例の工程を説明するための図である。
【図7】積層体から包装材を形成する方法の1例の工程および包装材(袋形)の例を説明するための図である。
【図8】包装材の1例を説明するための図である。
【図9】包装材の1例を説明するための図である。
【図10】包装材の1例を説明するための図である。
【図11】トレー形構造の包装材の1例を説明するための図である。
【図12】トレー形構造の包装材を形成する方法の1例の工程を説明するための図である。
【図13】トレー形構造の包装材を形成する方法の1例の工程および包装材(トレー形)を説明するための図である。
【図14】包装材の1例を説明するための図である。
【図15】包装材の1例を説明するための図である。
【図16】マルチトレー形の包装材の1例およびその製造方法を説明するための図である。
【図17】従来の電池構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<<包装材を構成する積層体の構造>>
本発明の包装材は、図1に示すように少なくとも金属層11と熱圧着性ポリイミド層12とを備える積層体10から形成されている。
【0029】
金属層11の材料は、特に限定はなく、アルミニウム、ステンレス、Niメッキ等を施した鉄等が挙げられる。好ましくはアルミニウムである。金属層は、蒸着等で形成することもできるが、通常、金属箔を用いる。金属層の厚さは、特に制限はないが、例えば1〜1000μm、好ましくは8〜100μm、より好ましくは20〜100μmである。形状保持性を目的とするときは、厚めの方が好ましく、例えば200〜500μmである。
【0030】
熱圧着性ポリイミド層12は、層12全体はポリイミドで形成され、少なくとも包装材の内面となる面15が、熱圧着性を有している。従って、層12全体が熱圧着性ポリイミドの単層で形成されていてもよいし、熱圧着性ポリイミドと耐熱性ポリイミド(即ち、圧着温度で軟化しないポリイミド)の2層以上積層構造となっていてもよい。図2は、熱圧着性ポリイミド層12が、3層構造となっている例であり、熱圧着性ポリイミド12aが耐熱性ポリイミド12bの両側に形成された構造である。層12が多層で構成される場合、各層の境界は明確になっていても、組成が混じり合う傾斜層となっていてもどちらでもよい。
【0031】
熱圧着性ポリイミド層12の厚さは、特に限定はされないが、例えば、5〜100μm、好ましくは12.5〜50μmである。
【0032】
また、図3に示すように、金属層11の外側に外装層13を有していてもよい。外装層としては、背景技術で説明したナイロン等の公知の材料を使用することができるが、ポリイミド層としてもよい。例えば、熱圧着性ポリイミド層12と同じ材料で外装層13を形成してもよい。例えば、外装層を多層のポリイミドで形成する場合、図2の層12のように熱圧着性ポリイミド/耐熱性ポリイミド/熱圧着性ポリイミドの3層構造としてもよいし、金属層側から、熱圧着性ポリイミド/耐熱性ポリイミドの2層構造とすることもできる。
【0033】
包装材に難燃性を求める場合は、熱圧着性ポリイミド層12および/または外装層13の材料としてもポリイミド、さらに難燃性に優れるポリイミドを使用することが好ましい。また、後述するように、ナイロン等の従来の外装層材料は、内層(熱圧着性ポリイミド層)同士を接合するときにかける熱により溶融する問題もある。
【0034】
<<積層体の製造方法>>
次に、本発明の包装材に使用される積層体の製造方法を説明する。
【0035】
最初に熱圧着性ポリイミド層12が、図2のように熱圧着性ポリイミド/耐熱性ポリイミド/熱圧着性ポリイミドの3層構造で、かつ金属層の両面に積層された例の製造方法を説明する。尚、多層構造の中において、熱圧着性ポリイミドにより構成される層に言及する場合、熱圧着性ポリイミド(a層)と表記し、全体の熱圧着性ポリイミド層12と区別する。また、多層構造中において、耐熱性ポリイミドにより構成される層を耐熱性ポリイミド(b層)と表記する。
【0036】
耐熱性ポリイミド(b層)の耐熱性ポリイミドとしては、下記の特徴を少なくとも1つ有するもの、下記の特徴を少なくとも2つ有するもの[ 1)と2)、1)と3)、2)と3)の組合せ]、特に下記の特徴を全て有するものを用いることができる。
1)単独のポリイミドフィルムとして、ガラス転移温度が300℃以上、好ましくはガラス転移温度が330℃以上、さらに好ましくは確認不可能であるもの。
2)単独のポリイミドフィルムとして、線膨張係数(50〜200℃)(MD)が、耐熱性樹脂基板に積層する金属箔の熱膨張係数に近いこと。
3)単独のポリイミドフィルムとして、引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm以上、好ましくは500kg/mm以上、さらに700kg/mm以上であるもの。
【0037】
耐熱性ポリイミドとしては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としてp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0038】
耐熱性ポリイミドを構成する酸成分とジアミン成分との組み合わせの例として、次のものが挙げられる。
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PPD)と、必要により4,4−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)を含む組み合わせ。この場合、PPD/DADE(モル比)は100/0〜85/15であることが好ましい。
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物(PMDA)と、p−フェニレンジアミンと必要により4,4−ジアミノジフェニルエーテルを含む組み合わせ。この場合、BPDA/PMDAは0/100〜90/10であることが好ましい。PPDとDADEを併用する場合、PPD/(DADEは、例えば90/10〜10/90が好ましい。
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせ。この場合、DADE/PPDは90/10〜10/90であることが好ましい。
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものを挙げることができる。
【0039】
上記1)の組み合わせは、特に耐熱性に優れるために好ましい。
【0040】
上記1)〜4)において、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)の一部又は全部を、目的に応じて3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、又は下記に示す他のジアミンに置き換えても良い。
【0041】
これらのものは、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられ、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さい、難燃性に優れるために好ましい。
【0042】
耐熱性ポリイミドを得ることができる酸成分として、上記に示す酸成分の他に目的の特性を損なわない範囲で、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、などの酸二無水物成分を用いることができる。
【0043】
耐熱性ポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に目的の特性を損なわない範囲で、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどのビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどのジアミン成分を用いることができる。
【0044】
一方、熱圧着性ポリイミドや熱圧着性ポリイミド(a層)は、銅箔、アルミ箔等の金属箔に、加圧下熱圧着できる性質を有する公知のポリイミドを用いることができる。
【0045】
熱圧着性ポリイミドは、好ましくは熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度以上、好ましくはガラス転移温度より20℃高い温度、さらに好ましくはガラス転移温度より30℃高い温度、特に好ましくはガラス転移温度より50℃高い温度から400℃以下の温度で金属箔とはり合せることができる熱圧着性を有するポリイミドである。
【0046】
熱圧着性ポリイミドは、さらに、以下の特徴を少なくとも1つ有するもの、下記の特徴を少なくとも2つ有するもの[ 1)と2)、1)と3)、2)と3)の組合せ]、下記の特徴を少なくとも3つ有するもの[ 1)と2)と3)、1)と3)と4)、2)と3)と4)、1)と2)と4)などの組合せ]、特に下記の特徴を全て有するものを用いることができる。
1)熱圧着性ポリイミド(a層)は、金属箔とのピール強度が0.7N/mm以上で、150℃で168時間加熱処理後でもピール強度の保持率が90%以上、さらに95%以上、特に100%以上であるポリイミドであること。
2)ガラス転移温度が130〜330℃であること、または熱圧着ポリイミド同士或いは熱圧着ポリイミドと金属とが150〜400℃、好ましくは250〜370℃で熱圧着が可能な物。
3)引張弾性率が100〜700Kg/mmであること。
4)線膨張係数(50〜200℃)(MD)が13〜30×10−6cm/cm/℃であること。
【0047】
熱圧着性ポリイミド(a層)は、好ましくは、熱圧着性ポリイミド(a層)同士の熱圧着、および熱圧着性ポリイミド(a層)と電気化学デバイスのリード電極との密着が、250℃以上から400℃以下、好ましくは270〜370℃の範囲で可能なものを選択することにより、高温下でも使用可能な優れた耐熱性を有する包装材として使用することが出来る。
【0048】
熱圧着性ポリイミドは、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物などの酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0049】
熱圧着性ポリイミドを得ることができる酸成分とジアミン成分との組合せの一例としては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0050】
熱圧着性ポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に本発明の特性を損なわない範囲で、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、などのジアミン成分を用いることができる。
【0051】
ポリイミド前駆体の合成は、公知の方法で行うことができ、例えば、有機溶媒中で、略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物などの酸成分とジアミン成分とをランダム重合またはブロック重合することによって達成される。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリイミド前駆体を合成しておき、各ポリイミド前駆体溶液を一緒にした後反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリイミド前駆体溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去または加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
【0052】
また溶解性に優れるポリイミドでは、ポリイミド前駆体溶液を150〜250℃に加熱するか、またはイミド化剤を添加して150℃以下、特に15〜50℃の温度で反応させて、イミド環化した後溶媒を蒸発させる、もしくは貧溶媒中に析出させて粉末とする。その後、該粉末を有機溶液に溶解してポリイミドの有機溶媒溶液を得ることができる。
【0053】
ポリイミド前駆体溶液の有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
ポリイミド前駆体溶液には、必要に応じてイミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子や有機微粒子などの微粒子などを加えてもよい。
【0055】
イミド化触媒としては、置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのベンズイミダゾール、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジンなどの置換ピリジンなどを好適に使用することができる。イミド化触媒の使用量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01〜2倍当量、特に0.02〜1倍当量程度であることが好ましい。イミド化触媒を使用することによって、得られるポリイミドフィルムの物性、特に伸びや端裂抵抗が向上することがある。
【0056】
また、化学イミド化を意図する場合には、通常、脱水閉環剤と有機アミンを組み合わせた化学イミド化剤をポリイミド前駆体溶液中に含有させる。脱水閉環剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、および無水酢酸、無水プロピオン酸、無水吉草酸、無水安息香酸、トリフルオロ酢酸二無水物等の酸無水物が挙げられ、有機アミンとしては、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
ポリイミド前駆体溶液としては、支持体上にキャストすることができ、自己支持性フィルムを支持体より剥離でき、その後第二工程で少なくとも一方向に延伸できる自己支持性フィルムが形成できるものであれば、ポリマーの種類、重合度、濃度など、溶液に必要に応じて配合する各種の添加剤の種類、濃度など、ポリイミド前駆体溶液の粘度などは適宜設定することができる。
【0058】
ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、さらに好ましくは15〜20質量%である。ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は、100〜10000ポイズ、好ましくは400〜5000ポイズ、さらに好ましくは1000〜3000ポイズが好ましい。
【0059】
熱圧着性ポリイミド層12を形成するための熱圧着性フィルムは、好適には(i)共押出し−流延製膜法(単に、多層押出法ともいう。)によって、耐熱性ポリイミド層(b層)のドープ液と熱圧着性ポリイミド層(a層)のドープ液とを積層、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法、(ii)或いは耐熱性ポリイミド層(b層)のドープ液を支持体上に流延塗布し、乾燥した自己支持性フィルム(ゲルフィルム)の片面或いは両面に熱圧着性ポリイミド層(a層)のドープ液を塗布し、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法によって得ることができる。
【0060】
共押出法は、公知の方法で行なうことが出来、例えば特開平3−180343号公報(特公平7−102661号公報)に記載されている方法などを用いることができる。
【0061】
両面に熱圧着性を有する3層の熱圧着性ポリイミドフィルムの製造の一例を示す。
【0062】
耐熱性ポリイミド(b層)用のポリアミック酸溶液と熱圧着性ポリイミド(a層)用のポリアミック酸溶液とを三層共押出法によって、耐熱性ポリイミド(b層)の厚みが4〜45μmで両側の熱圧着性ポリイミド(a層)の厚みの合計が3〜10μmとなるように三層押出し成形用ダイスに供給し、支持体上にキャストしてこれをステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、100〜200℃で半硬化状態またはそれ以前の乾燥状態とする自己支持性フィルムを得ることができる。
【0063】
自己支持性フィルムは、200℃を越えた高い温度で流延フィルムを処理すると、熱圧着性を有するポリイミドフィルムの製造において、接着性の低下などの欠陥を来す傾向にある。この半硬化状態またはそれ以前の状態とは、加熱および/または化学イミド化によって自己支持性の状態にあることを意味する。
【0064】
得られた自己支持性フィルムは、熱圧着性ポリイミド(a層)のガラス転移温度(Tg)以上で劣化が生じる温度以下の温度、好適には250〜420℃の温度(表面温度計で測定した表面温度)まで加熱して(好適にはこの温度で0.1〜60分間加熱して)、乾燥及びイミド化して、耐熱性ポリイミド(b層)の両面に熱圧着性ポリイミド(a層)を有するポリイミドフィルムを製造することができる。
【0065】
得られた自己支持性フィルムは、溶媒及び生成水分が好ましくは約20〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%残存しており(加熱減量が好ましくは約20〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%)、この自己支持性フィルムを乾燥温度に昇温する際には、比較的短時間内に昇温することが好ましく、例えば、10℃/分以上の昇温速度であることが好適である。乾燥する際に自己支持性フィルムに対して加えられる張力を増大することによって、最終的に得られるポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができる。
【0066】
そして、前述の乾燥工程に続いて、連続的または断続的に前記自己支持性フィルムの少なくとも一対の両端縁を連続的または断続的に前記自己支持性フィルムと共に移動可能な固定装置などで固定した状態で、前記の乾燥温度より高く、しかも好ましくは200〜550℃の範囲内、特に好ましくは300〜500℃の範囲内の高温度で、好ましくは1〜100分間、特に1〜10分間、前記自己支持性フィルムを乾燥および熱処理して、好ましくは最終的に得られるポリイミドフィルム中の有機溶媒および生成水等からなる揮発物の含有量が1重量%以下になるように、自己支持性フィルムから溶媒などを充分に除去するとともに前記フィルムを構成しているポリマーのイミド化を充分に行って、両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを形成することができる。
【0067】
前記の自己支持性フィルムの固定装置としては、例えば、多数のピンまたは把持具などを等間隔で備えたベルト状またはチェーン状のものを、連続的または断続的に供給される前記固化フィルムの長手方向の両側縁に沿って一対設置し、そのフィルムの移動と共に連続的または断続的に移動させながら前記フィルムを固定できる装置が好適である。また、前記の固化フィルムの固定装置は、熱処理中のフィルムを幅方向または長手方向に適当な伸び率または収縮率(特に好ましくは0.5〜5%程度の伸縮倍率)で伸縮することができる装置であってもよい。
【0068】
なお、前記の工程において製造された両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを、再び好ましくは4N以下、特に好ましくは3N以下の低張力下あるいは無張力下に、100〜400℃の温度で、好ましくは0.1〜30分間熱処理すると、特に寸法安定性が優れた両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムとすることができる。また、製造された長尺の両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムは、適当な公知の方法でロール状に巻き取ることができる。
【0069】
なお、上記の自己支持性フィルムの加熱減量とは、測定対象のフィルムを420℃で20分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
【0070】
加熱減量(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
また、上記の自己支持性フィルムのイミド化率は、特開平9−316199記載のカールフィッシャー水分計を用いる手法で求めることができる。
【0071】
自己支持性フィルムには、必要であれば、内部または表面層に微細な無機あるいは有機の添加剤を配合することができる。無機の添加剤としては,粒子状あるいは偏平状の無機フィラーを挙げることができる。有機の添加剤としてはポリイミド粒子、熱硬化性樹脂の粒子などを挙げる事ができる。使用量および形状(大きさ,アスペクト比)については、使用目的に応じて選択することが好ましい。
【0072】
加熱処理は、熱風炉、赤外線加熱炉などの公知の種々の装置を使用して行うことができる。
【0073】
以上のようにして、熱圧着性ポリイミド(a層)/耐熱性ポリイミド(b層)/熱圧着性ポリイミド(a層)の構造を有する両面熱圧着性のポリイミドフィルムが得られる。次に、この両面熱圧着性のポリイミドフィルム(以下、単に両面熱圧着性フィルム)を、アルミ箔等の金属箔の両面に貼り合わせて積層する。
【0074】
金属箔と、熱圧着性のポリイミドフィルムとを積層する場合、加熱装置、加圧装置又は加熱加圧装置を用いることができ、加熱条件、加圧条件は用いる材料により適宜選択して行うことが好ましく、連続又はバッチでラミネートできれば特に限定されないが、ロールラミネートまたはダブルベルトプレス等を用いて連続して行うことが好ましい。
【0075】
積層体の製造方法の一例として、次の方法を挙げることができる。即ち、長尺状の両面熱圧着性フィルムと、長尺状(長さ200〜2000m)の金属箔と、長尺状の両面熱圧着性フィルムとを、この順に3枚重ねて、好ましくは導入する直前のインラインで150〜250℃程度、特に150℃より高く250℃以下の温度で2〜120秒間程度予熱できるように熱風供給装置や赤外線加熱機などの予熱器を用いて予熱する。一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスを用いて、一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスの加熱圧着ゾーンの温度が熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より20℃以上高い温度、さらに熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より30℃以上高い温度、さらにから400℃の温度範囲で、特にガラス転移温度より50℃以上高い温度から400℃の温度範囲で、加圧下に熱圧着する。特にダブルベルトプレスの場合には引き続いて冷却ゾーンで加圧下に冷却する。好適にはポリイミドのガラス転移温度より20℃以上低い温度、さらに30℃以上低い温度から110℃、好ましくは115℃、さらに好ましくは120℃まで冷却して、積層させ、ロール状に巻き取る。金属箔の両面に両面熱圧着性フィルムが積層され、その結果、金属層の両面に熱圧着性ポリイミド層を有する積層体が得られる。
【0076】
熱圧着前にポリイミドフィルムを予熱することにより、ポリイミドに含有されている水分等による、熱圧着後の積層体の発泡による外観不良の発生を防止することができる。
【0077】
ダブルベルトプレスは、加圧下に高温加熱−冷却を行なうことができるものであって、熱媒を用いた液圧式のものが好ましい。
【0078】
積層体は、ダブルベルトプレスを用いて加圧下に熱圧着−冷却して積層することによって、好適には引き取り速度1m/分以上とすることができ、積層体は、長尺で幅が約400mm以上、特に約500mm以上の幅広の、接着強度が大きく(金属箔とポリイミドフィルムとのピール強度が0.7N/mm以上で、150℃で168時間加熱処理後でもピール強度の保持率が90%以上である)、金属表面に皺が実質的に認められないほど外観が良好な積層体を得ることができる。
【0079】
積層体の製造にあたり、最外層の両側とベルトとの間に保護材(つまり保護材2枚)を介在させ、加圧下に熱圧着−冷却して張り合わせて積層してもよい。
【0080】
保護材としては、積層体の製造時に、熱圧着性ポリイミド層12や金属層11に対して非熱圧着性で表面平滑性が良いものであれば、特に材質を問わず使用でき、例えば金属箔、特に銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔や、高耐熱性ポリイミドフィルム(例えば、宇部興産社製、ユーピレックスS、東レ・デュポン社製のカプトンH)などの厚み5〜125μm程度のものが好適に挙げられ、特に宇部興産社製、ユーピレックスSが好ましい。
【0081】
以上の説明では、{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}の両面熱圧着性ポリイミドフィルムを形成し、{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}/金属層/{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}の構成を有する積層体の製造を説明した。同様にして、{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)}の2層構造フィルム(片面熱圧着性ポリイミドフィルム)、{熱圧着性PI(a層)単層}構造フィルムも形成することができるので、これらを組み合わせることで、次の構造の積層体も製造することができる。尚、これらは例示であって、これに限定されるものではない。
−{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}/金属層/{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)}、
−{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}/金属層、
−{熱圧着性PI(a層)単層}/金属層/{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)}、
−{熱圧着性PI(a層)単層}/金属層
−{熱圧着性PI(a層)単層}/金属層/{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}。
【0082】
また、熱圧着ポリイミド層を、積層体の中で金属層となる金属箔上に直接形成することもできる。即ち、金属箔上に、前述のようにして調製したポリイミド前駆体溶液を流延または塗布し、熱処理することでイミド化することができる。イミド化のための熱処理条件としては、前述のフィルムを作成する時の条件と同様の熱処理条件を採用してもよい。
【0083】
熱圧着ポリイミド層を金属箔上に直接形成する場合においても、熱圧着ポリイミド層を、熱圧着ポリイミドの単層で構成することもできるし、多層で構成することもできる。多層で構成する場合の製造方法も、熱圧着ポリイミド層をフィルムで形成する場合と同様に、ポリイミド前駆体溶液を支持体上に流延塗布する代わりに、ポリイミド前駆体溶液を金属箔上に例えば多層押出法により流延塗布し、同等の処理をすることで、例えば{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}/金属層の構成を有する積層体を製造することができる。また、金属箔の両面にポリイミド前駆体溶液を流延塗布することもできる。これらを組み合わせることで、上に例示したフィルム貼り合わせによって得られる積層体と同じ構造を有する積層体を製造することができる。
【0084】
<<積層体による電気化学デバイスの封入および包装材形態>>
本発明の包装材の形態(電気化学デバイス要素を封入した状態の形状)は、外周部で熱圧着性ポリイミド層が融着されて密閉包装構造が形成されていれば、特に限定はなく、種々の形状が可能である。
【0085】
まず、最初に包装材が袋形状となっている例を図面を参照して説明する。また、電気化学デバイスとして、リチウムイオン二次電池を例にとって説明する。
【0086】
図4(a)に示すように、最初に積層体10を用意し、(b)に示すように、熱圧着性ポリイミド層12が内側にくるようにして折り返す。折り返した様子を(b−1)平面図、(b−2)断面図に示す。
【0087】
次に、図5に示すように、折り返した積層体10の周囲3辺を熱圧着して、3辺に熱圧着部21を形成し、積層体から袋形状を形成する。熱圧着は、接合箇所を、熱圧着性ポリイミド層の表面が軟化して熱圧着可能な温度に加熱しながら加圧すればよく、例えば、適した形状を有する加熱圧着治具を用いてプレスすることで実施できる。あるいは、図6(a)に示すように、保護材などの熱圧着性ポリイミド層12に対して非熱圧着性を有するスペーサー22を利用し、周辺3辺では積層体同士が重なり合うようにし、残りの1辺(図中左側)を含む中央部にスペーサー22を挟みながら、全体を加圧・加熱することで、積層体が重なりあっている周囲3辺を熱融着する。その後、スペーサー22を抜き取ることで、(b)に示すような3辺がシールされた袋が形成される。
【0088】
図7(a)に示すように、1辺が開口した袋状に形成された積層体に、開口部34から、図7(b)に示すように、電池要素31を、リード電極32aおよび32bを袋の外側に引き出した状態で入れ、図7(c)に示すように開口部34を熱圧着すると、熱圧着性ポリイミド層が熱圧着して接合し、電池要素31を内包した状態にて封口される。このようにして、電池要素31と包装材33を備えるリチウムイオン二次電池35が完成する。
【0089】
包装材は、積層体の周囲において熱圧着性ポリイミド層が熱圧着されて密閉袋構造が形成されている。熱圧着部とリード電極が交差する部分では、熱圧着性ポリイミド層はリード電極と密着しており、その他の熱圧着部においては、熱圧着性ポリイミド層同士が接合(密着)している。
【0090】
尚、電池要素には、正極、負極、電解液または固体電解質、セパレータ等の公知の電池構成要素が含まれる。
【0091】
電池要素を内包する密閉袋構造は、種々の構造が可能である。まず、上記の例では、折り返した辺も熱圧着させたが、図8に示すように折り返した辺37は、熱圧着させなくてもよい。また図4のように1枚の積層体を折り返すのではなく、2枚の積層体を用意して、熱圧着性ポリイミド層同士が互いに向きあうように重ね合わせてから周囲を熱圧着して接合してもよい。
【0092】
また、例えば図9(a)に示すようなピロー形でもよい。ピロー形は、図9(b)に示すように、1枚の四角形の積層体10の一対の対辺を合わせて熱圧着部23を形成して筒形状とした後、図面で上下の開口部34a、34bを順次熱圧着して、熱圧着部24,25をそれぞれ形成することで、密閉袋構造を作製することができる。
【0093】
さらに、リード電極の取り出しも任意に定めることが可能であり、例えば図10に示すように、リード電極32aと、リード電極32bを異なる辺から取り出すこともできる。
【0094】
また、本発明の包装材は、トレー形構造でもよい。例えば、図11(a)に示すように、積層体10をプレス等により成形した下側トレー41と、上側トレー42(この例では成形加工していない積層体)を用意する。下側トレー41の周囲には、熱圧着しやすいように、フランジ部分43を設け、上側トレーおよび下側トレーの重ね合う側には、熱圧着性ポリイミド層が設けられている。下側トレー41に電池要素31を入れた後、上側トレーを重ねて、周囲を熱圧着することで、図11(b)に示すような周囲が熱圧着部21で密閉されたリチウムイオン二次電池35が完成する。尚、上側トレーにも、下側トレー41のようなトレー状の成形体を使用してもよい。
【0095】
本発明において、トレー構造の包装材は、プレス成形法によらなくても形成することができる。まず、図12(a)に示すように、熱圧着性ポリイミドフィルム51を用意する。このポリイミドフィルムは、熱圧着性ポリイミドの単層で形成されていてもよいが、好ましくは、前述の{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}の構造を有するフィルムである。フィルムをカットして、図12(b)に示すような枠状シート52を多数枚作成する。
【0096】
次に、金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体から、枠状シート52の外形とほぼ同じか、またはそれより大きめのシート53を作製する。そして、図13(a)に示すように、シート53の熱圧着性ポリイミド層面の上に、複数枚の枠状シート52を積み重ねて熱圧着すると、図13(b)に示すトレー54を製造することができる。そして、前述のトレーを使用した場合と同様にして、電池要素をトレーの中に収納し、金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体から作製されたシート53bを、熱圧着性ポリイミド層が下になるようにして、重ね合わせて熱圧着することで、端部が熱圧着性ポリイミドの熱圧着部で密閉された包装材に収納されたリチウムイオン二次電池が完成する。
【0097】
尚、上の例では、シート53bを上側のフタとして使用したが、上側フタとして、トレー54と同等のトレーを使用して、電池要素を収納することもできる。
【0098】
また、枠状シート52同士の間に、金属枠を挟んでトレー54を形成してもよい。金属枠55の幅は、図14に示すように、枠状シート52と同一か、小さいこと(内側の開口が大きいこと)が好ましい。
【0099】
さらに、図15に示す3辺のみを有する枠状シート56の複数枚と、2枚のシート53を使用して、予め1つの側面が開放された箱状容器を形成し、電池要素を収納してから開放面を熱圧着して封端することもできる。
【0100】
さらに、図16にマルチトレー形の包装材の例を示す。図12〜図15の例においては、1つのトレーを形成したが、この例では、図16(a)に示すように1つのトレーに対応する開口59を複数個有するマルチ枠シート58を、前述のシングルトレーの例と同様に、例えば{熱圧着性PI(a層)/耐熱性PI(b層)/熱圧着性PI(a層)}の構造を有するフィルムをカットして形成する。複数枚のマルチ枠シート58を、シート53(前述と同じ)上に重ね合わせて熱圧着することで、図16(b)に示すマルチトレー60を製造することができる。このマルチトレー60の各電池収納部61にそれぞれ電池要素をいれて、上側フタとして、もう一枚のシート53を熱圧着することで、複数の電池が収納されたリチウムイオン二次電池が完成する。
【0101】
尚、この図では2×5個の配列であるので、リード電極を手前側の列のトレーに収納された電池では手前側に引き出し、奥側の列のトレーに収納された電池では奥側に引き出すことができる。また、上側フタとなるシートの形状を変更することで、リード電極をどのような方向にも引き出すことができる。例えば、図16(c)および(d)に示すシート62およびシート63では、奥側の列のトレーに収納された電池でも、手前側にリード電極を引き出すことができる。
【0102】
さらには、マルチトレーに収納された電池を直列および/または並列に接続してから上側フタとなるシートを熱圧着してもよい。
【0103】
熱圧着性ポリイミドと熱圧着性ポリイミドとの熱圧着可能な温度としては、加圧下で密着性に優れる温度で行えば良く、例えば熱圧着性ポリイミドと金属箔とをはりあわせる温度範囲、好ましくはガラス転移温度より20℃高い温度、さらに好ましくはガラス転移温度より30℃高い温度、特に好ましくはガラス転移温度より50℃高い温度から400℃以下の温度である。
【0104】
熱圧着性ポリイミドとリード電極(例えばリード電極32aおよび/またはリード電極32b)とを密着させる場合には、熱圧着性ポリイミドとリード電極の間に、密着性を向上させる目的で、他の熱融着性樹脂、熱圧着性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いても良い。
【0105】
以上のように、本発明の包装材は、リチウムイオン二次電池(リチウムポリマーイオン二次電池も含む)に限らず、種々の電気化学デバイスに適用することができる。本発明が適用される電気化学デバイスとしては、リチウムイオン二次電池に加えて、マンガン乾電池、アルカリマンガン乾電池、ニッケル系一次電池、オキシライド乾電池、酸化銀電池、水銀電池、空気亜鉛電池、リチウム電池、もしくは海水電池などの一次電池、鉛蓄電池、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、もしくはナトリウム−硫黄電池などの二次電池、電気二重層キャパシタや色素増感型太陽電池等が挙げられる。
【0106】
中でも、特に水分の混入が問題になる非水系の電解液を使用する電気化学デバイスに適用することが好ましく、代表的には、リチウムイオン二次電池(リチウムポリマーイオン二次電池も含む)および電気二重層キャパシタが好ましい。
【0107】
また、電気化学デバイス要素とは、電気化学デバイスから包装材および引き出し電極を除いた部分を意味する。電池またはキャパシタの場合、放電および/または蓄電等の電気化学反応に関与する発電要素または蓄電要素を意味し、電池の場合は、少なくとも正極、負極、電解液または固体電解質、セパレータ等の公知の電池構成要素等が含まれる。
【0108】
本発明の包装材構造は、電気化学デバイスばかりではなく、その他の電子電気部品に適用することもできる。
【0109】
<積層体の代表的性質>
最後に、積層体の代表的製造例とその特性を示す。
【0110】
(参考例1)熱圧着性多層ポリイミドフィルムの製造例
【0111】
(耐熱性ポリイミド用ドープの製造)
N,N−ジメチルアセトアミド中でパラフェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加え、50℃で3時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液の25℃における溶液粘度は、約1680ポイズであった。
【0112】
(熱圧着性ポリイミド用ドープの製造)
N,N−ジメチルアセトアミド中で1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:200:800のモル比で加え、モノマー濃度が18%になるように、またトリフェニルホスフェートをモノマー重量に対して0.5重量%加え、40℃で3時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液の25℃における溶液粘度は、約1680ポイズであった。
【0113】
(熱圧着性多層ポリイミドフィルムの製造)
三層押出し成形用ダイス(マルチマニホールド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、上記で製造した耐熱性ポリイミド用ポリアミック酸溶液および熱圧着性ポリイミド用ポリアミック酸溶液を三層押出ダイスから金属製支持体上に流延し、140℃の熱風で連続的に乾燥した後、剥離して自己支持性フィルムを形成した。この自己支持性フィルムを支持体から剥離した後加熱炉で150℃から450℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行って、長尺状の三層ポリイミドフィルムをロールに巻き取った。得られた三層ポリイミドフィルム(層構成:熱圧着性ポリイミド(a層)/耐熱性ポリイミド(b層)/熱圧着性ポリイミド(a層))の特性を評価した。
【0114】
(熱圧着性多層ポリイミドフィルムの特性)
・厚み構成:4μm/17μm/4μm(合計25μm)
・熱圧着性ポリイミド(a層)のガラス転移温度:240℃
・耐熱性ポリイミド(b層)のガラス転移温度:300℃以上で明確な温度は確認できなかった。
・線膨張係数(50〜200℃):MD19ppm/℃,TD17ppm/℃
・機械的特性(試験方法:ASTM・D882)
1)引張強度:MD,TD 520MPa
2)伸び率:MD,TD 100%
3)引張弾性率:MD,TD 7100MPa
・電気的特性(試験方法:ASTM・D149)
1)絶縁破壊電圧:7.2kV
【0115】
(熱圧着性多層ポリイミドフィルム/金属(アルミ箔)/熱圧着性多層ポリイミドフィルムからなる積層体の製造)
上記熱圧着性多層ポリイミドフィルム、アルミ箔、上記熱圧着性多層ポリイミドフィルムの順に3枚重ね合わせて熱プレス直前に230℃ 30秒間圧力をかけない状態で予熱し、その後熱プレス(加熱温度:330℃、圧力:2.3MPa、圧着時間5分)を行い、冷却して取り出して、積層体を製造した。
【0116】
以上のように、金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体は、高温および低温においても機械的強度にすぐれ、さらに良く知られているように耐熱性、難燃性、耐久性にも優れているため、過酷な条件で使用される電池等の電気化学デバイスの包装材として好適である。
【0117】
(袋体の製造)
図4〜図6に示す説明と同様にして、上記積層体を用いて積層体を折り曲げて、非接合部分にスペーサとして商品名ユーピレックスS(宇部興産社製、厚み25μm)を用いて、熱プレス(加熱温度:330℃、圧力:2.3MPa、圧着時間5分)を行った。熱プレス後は、スペーサーを取り出し、1片が開口し、3片が熱圧着により接合した袋体を製造した。袋体は耐熱性と、難燃性に優れている。
【0118】
物性評価は以下の方法に従って行った。
1)ポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg):動的粘弾性法により、tanδのピーク値から求めた(引張り法、周波数6.28rad/秒、昇温速度10℃/分)。
2)ポリイミドフィルムの線膨張係数(50〜200℃):TMA法により、20〜200℃平均線膨張係数を測定した(引張り法、昇温速度5℃/分)。
3)ポリイミドフィルムの機械的特性
・引張強度:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・伸び率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・引張弾性率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度5mm/分)。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の包装材は、電池等の電気化学デバイス用として有用である。
【符号の説明】
【0120】
10 積層体
11 金属層
12 熱圧着性ポリイミド層
12a 熱圧着性ポリイミド
12b 耐熱性ポリイミド
13 外装層
15 包装材の内面となる面
21 熱融着部
22 スペーサー
23、24,25 熱融着部
31 電池要素
リード電極32aおよび32b
33 包装材
34、34a、34b 開口部
35 リチウムイオン二次電池
41 下側トレー
42 上側トレー
43 フランジ部分
51 熱圧着性ポリイミドフィルム
52 枠状シート
53、53b シート
54 トレー
55 金属枠
56 枠状シート
58 マルチ枠シート
59 開口
60 マルチトレー
61 電池収納部
62 シート(上側フタ)
63 シート(上側フタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイス用の包装材であって、
金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体を用いて形成され、
前記積層体の周囲において、前記熱圧着性ポリイミド層が熱圧着されることで密閉包装構造が形成されていることを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記包装材は、前記熱圧着性ポリイミド層が内側になるように前記積層体が重ね合わされ、前記積層体の周囲において前記熱圧着性ポリイミド層が熱圧着されて密閉構造が形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装材。
【請求項3】
前記密閉構造が、密閉袋構造または密閉トレー構造であることを特徴とする請求項2記載の包装材。
【請求項4】
前記熱圧着性ポリイミド層は、150〜400℃の範囲で熱圧着可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装材。
【請求項5】
前記熱圧着性ポリイミド層は、熱圧着性ポリイミドと耐熱性ポリイミドの多層構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装材。
【請求項6】
前記耐熱性ポリイミドが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとを含む組み合わせから得られるポリイミドであることを特徴とする請求項5記載の包装材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の包装材と、
前記包装材の内部に密封されて収納された電気化学デバイス要素と
を有する電気化学デバイス。
【請求項8】
リチウムイオン二次電池である請求項7記載の電気化学デバイス。
【請求項9】
電気化学デバイス要素、および前記電気化学デバイス要素を封入している包装材を備える電気化学デバイスの製造方法であって、
金属層と熱圧着性ポリイミド層を有する積層体を用意する工程と、
電気化学デバイス要素を内部に収納するように、前記積層体の前記熱圧着性ポリイミド層を外周部で融着して密閉包装構造を形成することで、前記包装材を形成する工程と
を有することを特徴とする電気化学デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記包装材は、前記熱圧着性ポリイミド層が内側になるように前記積層体が重ね合わされ、前記積層体の周囲において前記熱圧着性ポリイミド層が熱圧着されて密閉包装構造が形成されることを特徴とする請求項9記載の電気化学デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記密閉包装構造が、密閉袋構造または密閉トレー構造となるように、前記包装材を形成することを特徴とする請求項10記載の電気化学デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記熱圧着性ポリイミド層を、150〜400℃の範囲で加熱加圧して熱圧着することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の電気化学デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−138636(P2011−138636A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296253(P2009−296253)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】