説明

電気化学処理セル

本発明の実施形態は、電気化学めっきセル100を提供する。該めっきセルは、陽極液コンパートメント及び陰極液コンパートメントを有する流体ボウル101、102と、該陽極液コンパートメントと該陰極液コンパートメントとの間に配置されたイオン膜112と、該陽極液コンパートメント内に配置された陽極とを含み、該イオン膜は、ポリテトラフルオロエチレンをベースとするアイオノマーを備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般に、隔離された陰極液領域及び陽極液領域を有し、該隔離された領域がイオン膜によって互いに離されているめっきセルに関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]サブクォータ・ミクロンサイズの形状構成のメタライゼーションは、集積回路製造プロセスの現在及び将来の世代のための基礎的な技術である。より具体的には、ULSI型デバイス、すなわち、100万個以上の論理ゲートを有する集積回路を有するデバイス等のデバイスにおいて、これらのデバイスの中心に存在する多層配線は、一般に、高アスペクト比、すなわち、およそ4:1以上を充填することによって形成され、銅またはアルミニウム等の導電材料を有する配線形状構成である。従来、化学気相成長(CVD)及び物理気相成長(PVD)等の堆積技術が、これらの配線形状構成を充填するのに用いられてきている。しかし、該配線のサイズが縮小し、かつアスペクト比が増加する場合、従来のメタライゼーション技術によるボイドフリーの配線形状構成フィルは、ますます難しくなる。そのため、めっき技術、すなわち、電気化学めっき(electrochemical plating;ECP)や無電解めっきは、集積回路製造プロセスにおいて、サブクォータ・ミクロンサイズの高アスペクト比配線形状構成のボイドフリー充填のためのプロセスとして期待され始めた。
【0003】
[0003]ECPプロセスにおいて、例えば、基板(または、該基板の上に堆積した層)の表面に形成されたサブクォータ・ミクロンサイズの高アスペクト比形状構成は、銅等の導電材料で有効に充填することができる。ECPめっきプロセスは、一般に、2段階のプロセスであり、まず、シード層が、基板の表面形状構成を覆って形成され、その後、該基板の表面形状構成が電解液にさらされると共に、該シード層と、該電解液中に配置された銅陽極との間に、電気的バイアスが印加される。該電解液は、一般に、該基板の表面にめっきされるイオンを含んでいるため、電気的バイアスの印加は、これらのイオンを該電解液の外へ追い出して、該バイアスが印加されているシード層上へめっきする。
【0004】
[0004]従来の化学めっきセルは、一般に、めっき溶液が入ったオーバーフロー堰式のプレータを利用し、該めっき溶液も、本願明細書において、一般に、陰極液と呼ぶ。上記基板は、メッキ中に、該堰の上部に配置され、電気めっきバイアスが、該基板と、該めっき溶液の下方部に配置された陽極との間に印加される。このバイアスは、該めっき溶液中の金属イオンを還元させ、該還元は、該イオンを該基板上にめっきする。しかし、従来のめっきセルに関連する1つの難題は、該めっき溶液が、該めっきプロセスを制御するように構成された添加物を含有しており、また、これらの添加物は、めっきプロセス中に、該陽極と反応することが分かっているということである。この該陽極との反応は、該添加物を分解させ、この分解は、一般に、該添加物を効果のないものにする。更に、該添加物が分解して、もはやプロセス制御を容易にすることができない場合、該添加物は、該めっき溶液中で本質的に汚染物質となる。
【0005】
[0005]また、他の従来のめっきセルは、めっき溶液または陰極液から(本願明細書で論じる)陽極液を隔離するように作用する多孔質膜をめっきセルに使用していた。この構成の目的は、該めっき溶液中の添加物が、該陽極に接触すること、および消耗または劣化を防ぐことである。従来の該多孔質膜の適用は、ほとんどの活性種の化学輸送を制限すると共に、陰イオン活性種及び陽イオン活性種のマイグレーション、すなわち電流の通過を可能にする微孔性化学輸送バリアを含む。従来の膜の例には、多孔質ガラス、多孔質セラミック、シリカエーロゲル、有機エーロゲル、多孔質高分子材料、およびフィルタ膜を含む。特定の膜は、カーボンフィルタ層、Kynar層、またはポリプロピレン膜を含む。しかし、堰式のめっきセルと同様に、多孔質膜を使用して陰極液と陽極液とを隔離する従来のセルもまた、該膜を介して該添加物を漏出させることが知られており、この漏出は、該添加物を再び該陽極に接触させて消耗させる。また、従来の膜は、陰極液中のめっき金属イオンの濃度を保つことに対して難題を呈する。より具体的には、従来の膜は、一般に、めっき溶液からのいくつかの異なる種類のイオンが該膜を通過することを可能にし、従って、これらのイオンは、他のイオンと競って該膜を通過しなければならないので、めっき金属イオン輸送が妨げられる。従って、陰極液と陽極液とを隔離しようとする従来のめっきセルは、一般に、めっき溶液添加物が陽極に到達するのを防ぐ際、効果のないものであり、また更に、該膜は、該膜の孔で目詰まりすることの結果として、一定の金属イオン輸送速度に対して抵抗するため、めっき金属イオンの拡散という難題を生ずる。
【0006】
[0006]そのため、陽極における添加物の分解を最小化すると共に、適切な金属イオン透過性を可能にするように構成されためっきセルが必要である。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明の実施形態は、電気化学めっきセルを提供する。該めっきセルは、陽極液コンパートメント及び陰極液コンパートメントを有する流体ボウルと、該陽極液コンパートメントと該陰極液コンパートメントとの間に配置されたイオン膜と、該陽極液コンパートメント内に配置された陽極とを含み、該イオン膜は、ポリテトラフルオロエチレンをベースとするアイオノマーを備える。
【0008】
[0008]本発明の実施形態は、更に、区画化された電気化学めっきセルを提供する。該めっきセルは、陽極液が入るように構成された陽極液コンパートメントと、陰極液が入るように構成された陰極液コンパートメントと、該陽極液コンパートメントと該陰極液コンパートメントとを隔離するために配置された陽イオン膜と、該陽極液コンパートメント内に配置された陽極と、該陽イオン膜と基板めっき位置との間の該陰極液チャンバ内に配置された拡散部材とを含み、該陽イオン膜は、フッ化物ポリマーマトリクスを含む。
【0009】
[0009]本発明の実施形態は、更に、電気化学めっきセルを提供する。該めっきセルは、流体ボウルの下方部に配置された陽極液コンパートメントと、該流体ボウルの上方部に配置された陰極液コンパートメントと、該陽極液コンパートメントと該陰極液コンパートメントとを隔離するために配置された、フッ化物ポリマーマトリクスを有するポリテトラフルオロエチレンをベースとするアイオノマー陽イオン膜とを含む。
【0010】
[0010]本発明の上述した特徴を詳細に理解することができるように、上記を簡単に要約した、本発明のより具体的な説明は、実施形態を参照してなされ、該実施形態のうちのいくつかは、添付図面に示されている。しかし、該添付図面は、この発明の典型的な実施形態のみを示しているため、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、本発明は、他の等しく有効な実施形態を認めてもよいことに注意すべきである。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0011】
[0016]本発明は、一般に、小容量セル、すなわち、約4リットル未満の電解液を該セル自体に収容する、好ましくは、約1〜3リットル、および場合によっては、約2〜約8リットルの電解液溶液を、隣接する流体的に接続された供給タンクに収容するセル堰空間を用いて、金属を半導体基板上にめっきするように構成された電気化学めっきセルを提供する。本発明の該セルを作動させるのに要するこれらの小容量の流体は、該電気めっきセルが、所定範囲の、すなわち、100〜200枚の基板に使用されることを可能にし、その後、該溶液は廃棄して、新たな溶液と交換することができる。該電気化学めっきセルは、一般に、めっきされる該基板と、該めっきセルとの間に配置された陽イオン膜を介して、該めっきセルの陽極と、該めっきセルの陰極またはめっき電極とを流体的に隔離するように構成されている。また、本発明の該めっきセルは、一般に、第1の流体溶液を、陽極コンパートメント、すなわち、該陽極の上面と該膜の下面との間の空間に供給し、かつ第2の流体溶液(めっき溶液)を、陰極コンパートメント、すなわち、上方の膜面の上に配置された流体の空間に供給するように構成されている。該めっきセルの該陽極は、一般に、その中に形成された複数のスロットを含み、該複数のスロットは、互いに平行に配置されており、かつ、めっきプロセス中に、陽極チャンバ面から、凝集した流体力学的ニュートン流体層を除去するように構成されている。膜支持体の第2の側面に形成された複数の穴と共に、該アセンブリの第1の側面に形成された複数のスロットまたは溝を有する膜支持体であって、該複数の穴が、該膜支持体の反対側の該スロットと流体的に連通している膜支持体。
【0012】
[0017]図1は、本発明の例示的な電気化学めっきセル100の部分斜視断面図を示す。めっきセル100は、一般に、外側ボウル101と、外側ボウル101の内側に配置された内側ボウル102とを含む。内側ボウル102は、一般に、電気化学めっきプロセス中に、金属、例えば、銅を基板上にめっきするのに用いられるめっき溶液を入れるように構成されている。該めっきプロセス中に、該めっき溶液は、一般に、(例えば、10リットルのめっきセルに対して、毎分約1ガロンで)内側ボウル102に連続的に供給され、そのため、該めっき溶液は、内側ボウル102の最上レベルから継続的にオーバーフローして外側ボウル101内に流れる。そして、該オーバーフローめっき溶液は、外側ボウル101によって集められて、そこから、内側ボウル102内への再循環のために排出される。図1に示すように、めっきセル100は、一般に、傾斜して配置されており、すなわち、めっきセル100のフレーム部103は、一般に、めっきセル100の構成要素が、約3°〜約30°傾斜するように、一方側が高くなっている。そのため、めっき工程中に、内側ボウル102内に、適切な深さのめっき溶液を入れるために、内側ボウル102の最上部は、内側ボウル102の最上レベルが、略水平で、かつ内側ボウル102の周囲において、該ボウルに供給されるめっき溶液の連続的なオーバーフローを可能にするように、めっきセル100の一方側が上方へ伸びていてもよい。
【0013】
[0018]めっきセル100のフレーム部材103は、一般に、フレーム部材103に固着された環状ベース部材104を含む。フレーム部材103は、一方側が高くなっているので、ベース部材104の上面は、水平から、フレーム部材103の水平位置に対する角度に相当する角度で、略傾斜している。ベース部材104は、該ベース部材内に形成された環状またはディスク状の凹部を含み、該環状凹部は、ディスク状の陽極部材105を収容するように構成されている。ベース部材104は、更に、その下面に配置された複数の流体インレット/ドレイン109を含む。流体インレット/ドレイン109の各々は、一般に、めっきセル100の上記陽極コンパートメントまたは上記陰極コンパートメントのいずれかへ流体を個々に供給するように、または、該コンパートメントのいずれかから、流体を個々に排出するように、構成されている。陽極部材105は、一般に、該陽極部材を貫通して形成された複数のスロット107を含み、スロット107は、一般に、陽極105の表面にわたって、互いに平行方向に配置されている。この平行方向は、該陽極表面で生成された高濃度流体を、該陽極表面にわたって下方へ、かつスロット107の1つに流すことを可能にする。めっきセル100は、更に、膜112を支持するように構成された膜支持アセンブリ106を含む。膜支持アセンブリ106は、一般に、その外周部がベース部材104に固着されており、また、一連の、対向して配置されたスロット及び穴を介して、流体がそこを通過できるように構成された内部領域108を含む。該膜支持アセンブリは、該膜の周囲近傍に配置されたoリングタイプのシールを含んでもよく、該シールは、流体が、該膜支持体106上に固着された該膜の一方の面から、該膜の他方の面へ移動することを防ぐように構成されている。
【0014】
[0019]膜112は、一般に、上記めっきセルの上記陽極チャンバを上記陰極チャンバから流体的に隔離するように作用する。膜112は、一般に、イオン膜である。イオン交換膜は、一般に、SO、COO、HPO、SeO、PO2−等の一定の負に帯電した基、または、めっきプロセスに従う他の負に帯電した基を含む。膜112は、特定の種類のイオンが、該膜を通って移動することを可能にすると共に、他の種類のイオンが、該膜を通って移動したり通過することを防ぐ。より具体的には、膜112は、正に帯電した銅イオン(Cu2+)が該膜を通過することを可能にするように、すなわち、銅イオンが、該陽極液中の該陽極から膜112を通って、該陰極液中に移動することを可能にするように構成されている陽イオン膜とすることができ、この場合、該銅イオンは、上記基板にめっきすることができる。更に、該陽イオン膜は、負に帯電したイオン、および、めっき溶液や陰極液添加物を組成するイオン等の、該溶液中の電気的に中性の活性種の通過を防ぐように構成することができる。該添加物は、該陽極に接触すると分解することが分かっているので、これらの陰極液添加物が、膜112を通って移動して該陽極に接触することを防ぐことが好ましい。より具体的には、SO等の負に帯電したイオン基を有する膜は、Cuイオンを該陰極液から該陰極液へ輸送することを容易にするだけではなく、促進物質の陽極への浸透も防ぐ。該促進物質は、一般に負に帯電した有機イオン、すなわち、SO−C−S−S−CSOであるため、該促進物質は、該陽イオン膜に浸透することまたは該陽イオン膜を通ることができない。このことは、イオン膜がない従来のめっき装置の銅陽極上での促進物質の消費が非常に激しいので、重要である。
【0015】
[0020]膜112は、Dupont社により製造されているNafion(登録商標)タイプの膜とすることができる。Nafion(登録商標)は、ポリテトラフルオロエチレンをベースとするアイオノマーの一例である。Nafion(登録商標)は、その耐熱性及び耐薬品性、イオン交換性、選択性、機械的強度、及び水に対する不溶性等、電気化学めっきの適用でのいくつかの好ましい特性を有する。また、Nafion(登録商標)は、フッ化物ポリマーマトリクスに基づく陽イオン膜である。フッ化物マトリクスのため、Nafion(登録商標)は、高濃度の基液中でも、すばらしい化学的安定性を呈する。より具体的には、Nafion(登録商標)は、少量のスルホン基またはカルボキシル基のイオン官能基を含有するペルフルオロポリマーであり、また、低めっき電流密度であっても、金属イオン(本実施形態における銅イオン)を透過させる際に有効であることが分かっている。具体的には、Nafion(登録商標)膜は、約94%〜約98%の銅イオンを、約5mA/cm〜約20mA/cmのめっき電流密度で透過させるときに有効であることが分かっている。また、約20mA/cm〜約60mA/cmの電流密度において、Nafion(登録商標)は、約97%〜約93%の銅イオンを透過させる。上述した透過割合は、約3.4のpHを有する硫酸銅液を用いて観察された。Nafion(登録商標)の一般的な化学構造を下に示し、ただし、Xは、スルホン基またはカルボキシル基の官能基であり、Mは、中和型の金属陽イオンまたは酸性型のHである。静電相互作用の結果として、Nafion(登録商標)を構成するイオン基は、凝集して、クラスタと呼ばれる硬く固まった領域を形成する傾向がある。該イオンと該イオン対との間のこれらの静電相互作用の存在は、分子間力を高め、それにより、親のポリマーの特性に対して著しい影響を及ぼし、このことは、Nafion(登録商標)、あるいは、同様の物理的および/または作用特性を有する他の膜を、隔離された陽極液チャンバ及び陰極液チャンバを有する電気化学めっきセルにおける使用に対して好ましいイオン膜にする。
【0016】
【化1】

【0017】
[0021]静電相互作用の結果として、Nafion(登録商標)を構成するイオン基は、凝集して、クラスタと呼ばれる硬く固まった領域を形成する傾向がある。該イオンと該イオン対との間のこれらの静電相互作用の存在は、分子間力を高め、それにより、親のポリマーの特性に対して著しい影響を及ぼし、このことは、Nafion(登録商標)、あるいは、同様の物理的および/または作用特性を有する他の膜を、隔離された陽極液チャンバ及び陰極液チャンバを有する電気化学めっきセルにおける使用に対して好ましいイオン膜にする。
【0018】
[0022]本発明の実施形態に用いることができるその他の膜は、様々な陽イオン及び陰イオン膜を含む。例えば、日本のトクヤマ社によって製造されているイオン膜、すなわち、ポリジビニルベンゾールマトリクスに基づいているCMX−SBイオン膜は、電気化学めっきセル内において、陰極液と陽極液とを隔離するのに用いることができる。CMX−SB膜は、銅イオンを透過させる場合に有効であると共に、有機めっき添加物が該膜を透過するのを防ぐことが分かっている。また、CMX−SB膜は、正の水素イオンの透過に対して良好な抵抗性を示している。より具体的には、CMX膜は、約92%以上の銅イオンを約10mA/cmの電流密度で、および約98%以上の銅イオンを約60mA/cmの電流密度で透過させることが分かっている。また、Ionics社のIonics CRタイプの膜も、約92%以上の銅イオンを約10mA/cmの電流密度で、および約88%以上の銅イオンを約60mA/cmの電流密度で透過させることができることが分かっている。
【0019】
[0023]上述した膜(Ionics、CMX及びNafion(登録商標))のその他の特性に関しては、各々は、比較的高い導電率を呈し、すなわち、Ionics、Neosepta及びNafion(登録商標)の場合、それぞれ、10mA/cmにおいて、約41.2、35.3及び24.2オームcmである。また、水は、上記陽極液から該膜を通って上記陽極液コンパートメントへ動く。このことは、該陰極液を本質的に希釈し、また、好ましくないことである。例えば、約0.5〜約3リットルの水が、該膜のタイプ及び電解液の状態により、24時間当たり(または、200枚のウェーハ当たり)該陰極液中に浸透する。例えば、CMXは、約1.5ml/ウォーターで最小の水輸送を示し、Ionics膜は、約5ml/ウォーターを示し、Nafion(登録商標)は、約6.5ml/ウォーターを示す。該CMX及びNafion(登録商標)膜の輸送特性は、約200枚の基板がめっきされた後でも相対的に一定のままであるCuSO/HSOの濃度比をもたらす。このことは、浸透した水が、例えば、強制的な蒸発により除去された場合、銅酸の濃度変化が2%未満であることを示している。従って、CMXまたはNafion(登録商標)の使用は、水の蒸発を4〜6リットル/日まで速める小さなデバイスのみを必要とする。しかし、Ionics膜は、上記陽極からくる余分なHSOを抽出する追加的なデバイスを必要とする。表1は、上述した膜の各特性を示す。
表1
[0024]Vicorの膜も、本発明のめっきセルに役立たせるのに用いることができる。本発明のめっきセルに用いることができる他の膜は、トクヤマ社によって製造されているNeosepta(登録商標)膜(イオン性または非イオン性)、旭化成社のAciplex(登録商標)膜、Selemlon(登録商標)膜及びFlemion膜(これらの全ては、イオン性または非イオン性として使用できる)、Pall Gellman Science社のRaipare(商標)、およびSolvay社のC−class膜を含む。
【0020】
【表1】

【0021】
[0025]上記陽極と、めっきされる上記基板との間での上記膜の使用は、この出願の背景で論じた膜を有しない、および膜を有する、従来のめっきセルと比較して、該めっきセルにおいて、かなり異なる作用を生ずる。具体的には、無酸性のCuSO溶液中の銅陽極の作用は、従来の陽極の作用とは異なる。第一に、沈殿物形成率は、特に、約0.5M未満の濃度においては、約60mA/cmまでの電流密度では、CuSOdHSO電解液の沈殿物形成率よりも低い。それ以上の濃度のCuSO4溶液では、沈殿物の量及び陽極の不動態化の可能性は、特に、上記陽極コンパートメントを通る低流量において、増加する。更に、Cu+は、一般に、従来のツール及び本発明のツールの両方において、該陽極上に生ずるが、本発明の構成において、該銅イオンは、主に、約30mA/cmより大きい電流密度で、電解液中に溶解した酸素が再び、Cu+をCu2+に変換する時間がない場合、該陽極液中にのみたまる。更に、タンクが小容量であるため、陽極液及び陰極液の組成物の安定性は、劇的に低下する。
【0022】
[0026]図2は、ベース部材104の斜視図を示す。ベース部材104の上面は、一般に、ディスク状の陽極105を凹部201内に収容するように構成された環状凹部201を含む。更に、環状凹部201の表面は、一般に、そこに形成された複数の溝202を含む。溝202の各々は、一般に、互いに平行方向に配置されており、凹部領域201の周縁部で終わっている。また、凹部領域201の周縁部も、凹部領域201の周縁部周りに及ぶ環状ドレイン溝203を含む。複数の平行に配置された溝202の各々は、反対側の端部で終わって環状ドレイン溝203内に入っている。そのため、溝202は、陽極溝302からの高濃度流体を収容し、該高濃度流体をベース溝202を介してドレイン溝203へ送る。凹部領域201を画成する垂直壁は、一般に、該壁に形成された複数のスロット204を含む。スロット204は、一般に、互いに平行方向に配置されており、また更に、一般に、凹部領域201の下方面内に形成された複数の溝202と平行方向に配置されている。また、ベース部材104は、一定量のめっき溶液をめっきセル100の上記陰極コンパートメントに供給するように構成されている少なくとも1つのめっき溶液供給コンジット206と共に、一定量の流体をめっきセル100の上記陽極領域へ供給するように構成された少なくとも1つの流体供給コンジット205を含む。各供給コンジット205及び206は、一般に、図1に示すように、ベース部材104の下方面上に配置された少なくとも1つの流体供給ライン109と流体的に連通している。ベース部材104は、一般に、該ベース部材を貫通して形成された複数のコンジット(図示せず)を含み、該コンジットは、個々の流体供給ライン109により収容された流体を、めっきセル100の各陰極及び陽極チャンバへ注ぐように構成されている。
【0023】
[0027]図3は、上記ベース部材内に配置されたディスク状の陽極105を有するベース部材104の斜視図を示す。一般に、ディスク状の銅部材である、すなわち、一般に、銅電気化学めっき工程をサポートするのに用いられる溶解性の銅陽極である陽極105は、一般に、該陽極に形成された複数のスロット302を含む。スロット302は、一般に、陽極302の内部を通って伸びており、陽極105の上面及び下面の両方と流体的に連通している。従って、スロット302は、流体が、該上面から陽極105の内部を通って、該下面へ移動することを可能にする。スロット302は、互いに平行方向に配置されている。しかし、陽極105が、ベース部材104の環状凹部201内に配置されている場合、陽極105の平行なスロット302は、一般に、図2及び図3により共同で示すように、ベース部材104のスロット204及び溝202の両方に対して直交して配置されている。また、スロット302は、一般に、陽極105の上面にわたって連続的に伸びていない。そうではなく、スロット302は、2つのセグメント間にスペース305を伴って、長いセグメント303と、短いセグメント304とに分かれており、該スペースは、陽極105を介して一方の面から他方の面への長い電流経路を生ずるように作用する。更に、隣接して配置されているスロット302は、該陽極の上面の反対側に配置されたスペース305を有する。陽極の下面から陽極の上面への電流経路は、一般に、スペース305を通る各溝302の間に、前後タイプの経路を含む。更に、スペース305及び溝302の位置決めは、溝302の位置決めが、溝302内に収容される高濃度流体のための移動の最短の可能な距離を実現できるので、陽極105の表面からの凝集したニュートン流体の改良された除去を実現できる。この特徴は、高濃度流体は一般に、ゆっくり移動するため、重要であり、そのため好ましいことである。
【0024】
[0028]図4は、本発明の例示的な膜支持アセンブリ106の分解斜視図を示す。膜支持アセンブリ106は、一般に、上方リング状支持部材401と、中間膜支持部材400と、下方支持部材402とを含む。上方及び下方支持部材401及び402は、一般に、中間膜支持部材400に対する構造的支持を実現できるように構成されており、すなわち、上方支持部材401は、中間膜支持部材400を下方支持部材402に固着するように作用し、一方、下方支持部材402は、中間膜支持部材400を収容する。中間膜支持部材400は、一般に、該部材を貫通して部分的に形成された複数の穴を有する実質的に平坦な上面を含む。中間膜支持部材400の下面は、一般に、先細の外側部403と、実質的に平坦な内側膜係合面404とを含む。下方支持部材402の上面は、その上に中間膜支持部材400の先細の部分403を収容するように構成された対応する先細の部分を含んでもよい。膜係合面404は、一般に、複数の平行に配置された/方向付けられた溝(図示せず)を含む。中間膜支持部材400の下面に形成された該溝の各々は、上記平坦な上面を貫通して部分的に形成された上記複数の穴のうちの少なくとも1つと流体的に連通している。該溝は、上記膜支持アセンブリ内に配置された膜が、該溝の領域において、わずかに上方へ変形することを可能にするように作用し、これにより、気泡および陰極チャンバの低密度の流体が、該膜の周縁部へ移動した後、該陽極チャンバから出る流路が実現できる。
【0025】
[0029]動作時において、本発明のめっきセル100は、例えば、銅電気化学めっきプロセスに用いることができる小容量(電解液容量)の処理セルを提供する。めっきセル100は、水平に配置することができ、あるいは、傾斜して配置してもよく、すなわち、この場合、図1に示すように、該セルの一方側は、該セルの反対側よりも垂直方向に高くなっている。めっきセル100が傾斜配置で実施された場合、傾斜したヘッドアセンブリ及び基板支持部材は、該基板を一定の浸漬角度で浸漬する、すなわち、該基板と、該電解液の上面との間の角度が、該浸漬プロセス中に変わらないように、該基板を浸漬するのに用いることができる。更に、該浸漬プロセスは、変化する浸漬速度、すなわち、該基板が該電解液に浸漬されるにつれて増加する速度を含んでもよい。該一定の浸漬角度と該変化する浸漬速度の組合せは、該基板表面の気泡をなくすように作用する。
【0026】
[0030]傾斜した実施を用いると仮定した場合、基板は、まず、内側ボウル102内に入っているめっき溶液に浸漬される。一般に、硫酸銅、塩素、およびめっきパラメータを制御するように構成された複数の有機めっき添加物(レベラー、サプレッサ、促進剤等)のうちの1つ以上を含有する上記めっき溶液中に、該基板が、一旦、浸漬されると、電気的めっきバイアスが、該基板上のシード層と、めっきセル100の下方部に配置された陽極105との間に印加される。該電気的めっきバイアスは、一般に、該めっき溶液中の金属イオンを陰極の基板表面に堆積させるように作用する。内側ボウル102に供給された該めっき溶液は、流体インレット/アウトレット109を介して内側ボウル102を通して連続的に循環される。より具体的には、該めっき溶液は、流体インレット109を介してめっきセル100に導入することができる。該溶液は、ベース部材104の下面をわたって移動して、流体開口部206の1つを通って上方へ移動してもよい。そして、該めっき溶液は、膜支持体106より上のレベルで上記陰極チャンバと連通する、めっきセル100に形成された溝を介して、該陰極チャンバ内に導入することができる。同様に、該めっき溶液は、膜支持体106の上に配置された流体ドレインを介して、該陰極チャンバから除去することができ、この場合、該流体ドレインは、ベース部材104の該下面に配置された流体ドレイン109のうちの1つと流体的に連通している。例えば、ベース部材104は、ベース部材404の対向部に配置された第1及び第2の流体開口部206を含んでもよい。該対向して配置された流体開口部206は、該めっき溶液を、所定方向に、個々に導入し、かつ該陰極チャンバから該めっき溶液を排出するように作用してもよく、このことも、フロー方向制御を可能にする。該フロー制御方向は、下方の膜面での軽い流体の除去に対する制御、該陽極チャンバからの気泡の除去を実現でき、また、高濃度または重い流体の、ベース104に形成された溝202を介した該陽極面からの除去を補助する。
【0027】
[0031]一旦、上記めっき溶液が上記陰極チャンバ内に導入されると、該めっき溶液は、拡散プレート110を通って上方へ移動する。一般に、セラミック、または、他の多孔質ディスク状部材である拡散プレート110は、一般に、上記基板の表面全面でのフローパターンを一様にする流体フローリストリクタとして作用する。更に、拡散プレート110は、めっきの均一性を低下させることが分かっている、該陽極または陽極膜面の電気化学的活性領域における電気的変動を抵抗して抑えるように作用する。また、本発明の実施形態は、セラミック拡散プレート110を、親水性プラスチック部材、すなわち、処理したPE部材、PVDF部材、PP部材、または、多孔質であって、セラミックによりもたらされる電気的抵抗減衰特性を与えることが分かっている他の材料と、置き換えることができることが意図されている。しかし、一般に、めっき陰極液、すなわち、添加物を有するめっき溶液である、上記陰極チャンバに導入された上記めっき溶液は、上記陽極チャンバが、膜によって該陰極チャンバと流体的に隔離されている場合、膜支持アセンブリ106の下面404に配置された該膜(図示せず)を通って下方の該陽極チャンバへ移動することができない。該陽極チャンバは、陽極液を該陽極チャンバへ供給するように構成された、別々の個別の流体供給源及び排出源を含む。一般に、銅電気化学めっきシステムにおける硫酸銅であってもよい該陽極チャンバに供給された該溶液は、該陽極チャンバを独占的に循環し、また、膜支持アセンブリ106に配置された該膜は、どちらの方向にも流体的に透過性でないので、拡散したり、該陰極チャンバへ移動したりすることはない。
【0028】
[0032]また、流体溶液(陽極液、すなわち、バージン溶液と呼ぶことができる、添加物がないめっき溶液)の上記陽極チャンバ内への流れは、めっきパラメータを最大化するために、方向的に制御される。例えば、陽極液は、個別の流体インレット109を介して該陽極チャンバへ流すことができる。流体インレット109は、ベース部材104の下方部に形成された流体溝と連通しており、該流体溝は、該陽極液を、開口部205のうちの1つへ流す。開口部205の径方向外側に配置されたシールは、周りの構造体と共に、開口部205から流出する該陽極液を上方及びスロット204内へ向ける。その後、該陽極液は、一般に、陽極105の上面全面に広がり、傾斜した形態であり、一般に、めっきセル100の高い方のサイドである、ベース部材104の反対側へ移動する。該陽極液は、真上に配置された上記膜の下の、該陽極の表面全面に移動する。該陽極液が、一旦、陽極105の反対側に達すると、該陽極液は、対応する流体溝に収容された後、再循環のために、めっきセル100から排出される。
【0029】
[0033]めっき工程中、上記陽極と上記陰極との間への電気的めっきバイアスの印加は、一般に、該陽極チャンバ内に入っている該陽極液の分解を引き起こす。より具体的には、該めっきバイアスの印加は、該陽極チャンバ内の硫酸銅溶液からなる多数の流体力学的層またはニュートン層を生成するように作用する。該流体力学的層は、一般に、該陽極近傍に配置された凝集した硫酸銅からなる層と、通常の硫酸銅からなる中間層と、上記膜の近傍の軽くかつ消耗した硫酸銅からなる上層とを含む。該消耗した層は、一般に、上記陽極コンパートメントに最初に供給された硫酸銅よりも濃度が小さくかつ軽い、硫酸銅からなる層であり、一方、該凝集した層は、一般に、非常に粘りけのある濃度を有する重くかつ高濃度の、硫酸銅からなる層である。該陽極近傍の該凝集した層の高濃度は、スロット302なしで形成された陽極に、(陽極の不動態化として知られている)導電率の問題を引き起こす。しかし、スロット302は、めっきセル100の傾斜した方向付けと共に、硫酸銅からなる凝集した粘りけのある層を収容して、該陽極の表面から該層を除去するように作用し、このことは、導電率の変動をなくす。更に、めっきセル100は、一般に、他方の側の上に配置された、上方または垂直方向に傾斜している一方の側を含み、そのため、陽極105の表面は、一般に、傾斜している平面である。該傾斜は、該陽極の表面に生成された凝集した硫酸銅からなる層を、一般に、該平面に作用する引力の結果として、下の方へ流す。該凝集した硫酸銅の層は下の方へ流れるので、該層は、溝302の1つに収容されて、該陽極の表面から除去される。上述したように、溝302は、一般に、互いに平行になっており、かつ溝204に対して直交している。そのため、溝302も溝202に対して直交しており、かつベース部材104の下面に形成されている。従って、スロット302の各々は、または、最終的に、溝202のうちのいくつかと交差する。この構成は、スロット302に収容された凝集した硫酸銅が、溝202のうちの1つ以上に流れることを可能にする。その後、該凝集した硫酸銅は、溝202を介して、凹部領域201内に配置された環状ドレイン溝203へ流すことができる。ドレイン203は、溝202と共に、一般に、ベース部材104を介して、中央の陽極液タンクへ戻るように連通させることができ、この場合、該陽極面から除去された凝集した硫酸銅は、該陽極液に用いられる蓄積された硫酸銅の容量と再結合することができる。
【0030】
[0034]同様に、陽極チャンバの上方部は、上記膜の近傍に、硫酸銅からなる希釈層を生成する。該硫酸銅からなる希釈層は、図5に示すように、空気抜き501を介して、該陽極チャンバから除去することができる。多数のポートを含んでもよい空気抜き501は、一般に、電気化学めっきセル100の上側に配置されており、そのため、陽極チャンバ内に捕らえられた気泡及び該膜の表面で生成された希釈硫酸銅の両方を収容するために配置されている。空気抜き501は、一般に、上述した陽極液タンクと流体的に連通しており、そのため、該空気抜き内に収容された該希釈硫酸銅を、該陽極液タンクへ流し戻し、この場合、該希釈硫酸銅は、スロット302を介して除去された凝集した硫酸銅と結合して、該陽極液タンク内に、所望の濃度の硫酸銅を形成する。空気抜き501により捕らえられた気泡も、上記陰極チャンバから除去して、大気中へ排気し、または、単純に、該陽極液タンク内に保持して、該陰極チャンバへ再循環させないことができる。
【0031】
[0035]上記陽極液(金属/銅を上記基板に接触させてめっきするのに用いられる溶液)は、一般に、いくつかの成分を含む。該成分は、一般に、バージン構成めっき溶液(マサチューセッツ州、マルボロのShipley Ronal社、またはロンドンのCookson Electronics、PWB Materials&Chemistry部門のEnthone社によって提供されているような、レベラー、サプレッサ、または促進剤等のめっき添加物を含有しないめっき溶液)、(一般に、VMSの一部として含まれているが、添加されていなくてもよい)水、及び上記めっきプロセスの様々なパラメータに関して制御を実現できるように構成された複数のめっき溶液添加物を含む。上記陰極液は、一般に、低酸性タイプのめっき溶液であり、すなわち、該陰極液は、一般に、約5g/l〜約50g/lの酸、またはより具体的には、約5g/l〜約10g/lの酸を有する。該酸は、硫酸、(スルホン酸アルカンを含む)スルホン酸、ピロリン酸、クエン酸、および電気化学めっきプロセスをサポートすることが分かっている他の酸とすることができる。上記陰極液の所望の銅濃度は、一般に、約25g/l〜約70g/l、好ましくは、約30g/l〜約50g/lの銅である。銅は、一般に、硫酸銅を介して、および/または銅イオンが、該陰極液中に配置された溶解性銅陽極から該陽極液を介して該溶液に供給されるめっきプロセスの電解反応を介して、該溶液に供給される。より具体的には、硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)は、例えば、約40g/lの銅濃度を得るために、希釈することができる。一般的な酸と銅ソースの組合せは、例えば、硫酸及び硫酸銅である。また、該陰極液は、例えば、塩酸または塩化銅により供給することができる塩素イオンを有し、該塩素の濃度は、約30ppm〜約60ppmとすることができる。
【0032】
[0036]上述したように、上記めっき溶液(陰極液)は、一般に、上記めっきプロセスに関して制御のレベルを実現できるように構成された1つ以上のめっき添加物を含有する。該添加物は、約1.5ml/l〜約4ml/l、好ましくは、約2ml/l〜約3.0ml/lの濃度でサプレッサを含んでもよい。例示的なサプレッサは、エチレンオキシド及び酸化プロピレンコポリマーを含む。また、添加物は、約3ml/l〜約10ml/l、好ましくは、約4.5ml/l〜約8.5ml/lの範囲内の濃度で促進物質を含んでもよい。例示的な促進物質は、二硫化スルホプロピルまたはメルカプトプロパンスルホン酸及びこれらの誘導体に基づいている。
【0033】
[0037]また、必要に応じて、上記陰極液に添加してもよい他の添加物は、約1ml/l〜約12ml/l、より具体的には、約1.5ml/l〜約4ml/lの範囲の濃度のレベラーである。
【0034】
[0038]上記陽極液は、上述したように、一般に、上記膜の下であって上記陽極の上の空間に入っている。該陽極液は、単純に、上記めっき添加物、すなわち、レベラー、サプレッサ、および/または促進物質がない陰極液とすることができる。しかし、発明者等は、除去したばかりの陰極液以外の特定の陽極液が、めっきパラメータの大幅な改良をもたらすことを発見した。具体的には、上記膜を介した銅の移送、および硫酸銅及び水酸化物の沈殿の防止が、すなわち、Cuイオンが膜を介して輸送された場合、硫酸銅は、上記陽極液中に蓄積し、誘発的な該陽極上に沈殿し始め、その不動態化を引き起こすこと、が改善される。該陽極液のpHを、約4.5〜約4.8に維持した場合、水酸化銅は、Cu塩溶液から堆積し始め、すなわち、Cu++2HO=Cu(OH)(堆積)+2H+。より具体的には、本発明者等は、約90%〜約100%の銅を該陰極液に供給するように該陽極液を構成することができる場合には、上記膜は、本質的に、クリーンな銅陽極として作用する、すなわち、該膜が、該陽極の表面で起こる電気化学的反応(沈殿物形成、添加物消費、侵食による平面性の変化等)に関連する不都合を伴うことなく、銅を該陰極液に供給することを発見した。本発明の陽極液は、一般に、溶解性の第二銅塩を含み、Cuは、この配位子と共に、上記膜を通って輸送され、同様に、Cu(NH)4 2+は、硫酸銅、スルホン酸銅、塩化銅、臭化銅、硝酸銅、または、約0.1M〜約2.5M、より具体的には、約0.25〜約2Mの陰極液中の銅イオンの濃度を実現するのに十分な量のこれらの塩のいずれかの組合せの混合物等のNHと共に、輸送されるので、銅イオンは、NH、または、EDTAまたはフィロフォスフォリック酸陰イオン等の配位子と合成されない。
【0035】
[0039]また、上記陽極液のpHは、一般に、例えば、約1.5〜約6、より具体的には、約2〜約4.8である。該pHは、従来のめっき形態において、この範囲以上に該pHを増加させることは、水酸化銅を沈殿させることが分かっているため、この範囲内に維持される。また、該pHが2以下の場合、および特に、該pHが1.5以下の場合、上記溶液は、上記陽極液から上記陰極液への該膜を介した水素イオン(H)輸送の大幅な増加をサポートする。この場合、めっき電流の大部分はHによって運ばれ、銅イオン輸送は減少する。従って、該陰極液中の銅イオンの濃度は、めっきをサポートしない臨界レベルまで低下する可能性があり、同時に、該陰極液中の硫酸銅の濃度は増加する。該陽極液は、一般に、CuSO(溶解度300g/L)、CuBr(溶解度2kg/L以上)、CuCl(溶解度700g/L)、CuF(47g/L)、Cu(NO(1300g/L)等の溶解性Cu2+塩のいずれかを用いることができる。陰イオンの選択は、上記膜を介した浸透に関するCu(I)形成及び陽極の不動態化を防ぐまたは最小化するこれらの影響力による。例えば、該陽極液は、陽極表面を活性化し、かつCu(I)形成を最小化するCu(NO)からなる少量の添加物を有するCuSO(0.5M)とすることができる。Cu(I)形成を最小化するために、少量のCu(ClO(溶解度2kg/L)またはCu(IO−溶解度1g/Lの添加物を用いることができる。該陰極液に対するのと同様に、(該陽極を除いた)該陽極液中の銅のソースは、約51g/L〜70g/L、または、約0.75M〜約0.95Mで、硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)とすることができる。別法として、好ましい実施形態においては、該銅のソースは、約51g/L〜約60g/L、 好ましくは、約54g/L、及び約0.8M〜約0.9M、好ましくは、約0.85Mのモル濃度とすることができる。
【0036】
[0040]上述したことは、本発明の実施形態に注目しているが、本発明の他の及び更なる実施形態を、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく、考案することができ、また、本発明の範囲は、クレームによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の例示的な電気化学めっきスリムセルの部分断面斜視図を示している。
【図2】本発明の陽極ベースプレートの斜視図を示している。
【図3】その中に陽極が配置された、本発明の例示的な陽極ベースプレートの斜視図を示している。
【図4】本発明の例示的な膜支持部材の分解斜視図を示している。
【図5】本発明のめっきセルの縁部の部分断面図を示している。
【符号の説明】
【0038】
100…めっきセル、101…外側ボウル、102…内側ボウル、104…環状ベース部材、105…陽極部材、107…スロット、112…膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極液コンパートメントと陰極液コンパートメントとを有する流体ボウルと、
前記陽極液コンパートメントと前記陰極液コンパートメントとの間に配置されたイオン膜と、
前記陽極液コンパートメント内に配置された陽極と、
を備え、
前記イオン膜が、ポリテトラフルオロエチレンをベースとするアイオノマーを備える、電気化学めっきセル。
【請求項2】
前記イオン膜が、更に、フッ化物ポリマーマトリクスに基づく陽イオン膜を備える、請求項1に記載の電気化学めっきセル。
【請求項3】
前記イオン膜が、酸性溶液中及び高濃度の基液中の両方で化学的に安定になるように構成されたフッ化物マトリクスを含む、請求項1に記載の電気化学めっきセル。
【請求項4】
前記イオン膜が、スルホン基及びカルボキシル基のイオン官能基のうちの少なくとも一方を含有するペルフルオロポリマーを備える、請求項1に記載の電気化学めっきセル。
【請求項5】
前記イオン膜が、約5mA/cm〜約20mA/cmのめっき電流密度で、約94%〜約98%の金属イオンを該膜を通して移動させるように構成されている、請求項4に記載の電気化学めっきセル。
【請求項6】
前記イオン膜が、約20mA/cm〜約60mA/cmのめっき電流密度で、約93%〜約97%の金属イオンを該膜を通して移動させるように構成されている、請求項4に記載の電気化学めっきセル。
【請求項7】
前記イオン膜が、約10mA/cmのめっき電流密度で、約20オームcm〜約45オームcmの導電率を備える、請求項2に記載の電気化学めっきセル。
【請求項8】
前記イオン膜が、約3ml/Amphr〜約7.5ml/Amphrの水移送度を備える、請求項2に記載の電気化学めっきセル。
【請求項9】
前記イオン膜が、ポリジビニルベンゾールマトリクスを備える、請求項1に記載の電気化学めっきセル。
【請求項10】
流体ボウルの下方部に配置された陽極液コンパートメントと、
前記流体ボウルの上方部に配置された陰極液コンパートメントと、
前記陽極液コンパートメントを前記陰極液コンパートメントから隔離するように配置されたフッ化物ポリマーマトリクスを有するポリテトラフルオロエチレンをベースとするアイオノマー陽イオン膜と、
を備える、電気化学めっきセル。
【請求項11】
前記陰極液コンパートメント内の前記陽イオン膜の上に配置された拡散部材を更に備える、請求項10に記載の電気化学めっきセル。
【請求項12】
前記拡散膜が、均一な厚さを有する多孔質セラミックディスクである、請求項11に記載の電気化学めっきセル。
【請求項13】
前記陽イオン膜が、約5mA/cm〜約20mA/cmのめっき電流密度で、約94%〜約98%の金属イオンを該膜を通して移動させるように構成されており、また、約20mA/cm〜約60mA/cmのめっき電流密度で、約93%〜約97%の金属イオンを、該膜を通して移動させるように構成されている、請求項10に記載の電気化学めっきセル。
【請求項14】
前記陽イオン膜が、約10mA/cmのめっき電流密度で、約20オームcm〜約45オームcmの導電率を有し、また、約10mA/cmのめっき電流密度で、約20オームcm〜約30オームcmの導電率を有する、請求項10に記載の電気化学めっきセル。
【請求項15】
前記陽イオン膜が、約3ml/Amphr〜約7.5ml/Amphrの水移送度を有する、請求項10に記載の電気化学めっきセル。
【請求項16】
金属を基板上にめっきする方法であって、
前記基板を、めっきセルの陰極液チャンバに入っている陰極液中に配置するステップであって、前記陰極液が、
約5g/L〜約15g/Lの濃度の酸ソースと、
約0.8M〜約0.9Mの濃度の銅ソースと、
約25ppm〜約75ppmの濃度の塩素イオンと、
を備える、ステップと、
前記基板と、前記めっきセルの陽極液チャンバ内に配置された陽極との間に、めっきバイアスを印加するステップであって、前記陽極液チャンバが、イオン膜によって前記陰極液チャンバから隔離されており、かつ約51g/Lより大きい濃度を有する銅ソースを備える陽極液が供給されるステップと、
を備える方法。
【請求項17】
前記陰極液が更に、
約2mL/L〜約3mL/Lの濃度のレベラーと、
約2mL/L〜約3mL/Lの濃度のサプレッサと、
約5.5mL/L〜約8mL/Lの濃度の促進物質と、
を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記陽極液が、約2〜約4.8のpHを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記陽極液が、約0.1M〜約2Mの銅イオン濃度を有する銅II塩を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記銅II塩が、硫酸銅、スルホン酸銅、塩化銅、硝酸銅、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記陽極液が、前記イオン膜を介して、約90%〜約100%の銅イオンの銅輸送を実現できる、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−523996(P2007−523996A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518950(P2006−518950)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/022183
【国際公開番号】WO2005/007933
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】