説明

電気化学的プロセスのための電極及びその製造方法

二酸化スズ含有触媒コーティングを有する電気化学的プロセスのための電極を、スズ(IV)ヒドロキシクロリドを含む前駆体溶液から出発して製造する。二酸化スズの堆積のプロセスは、高い収率及び改良された再現性を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
所望により他の成分と混合した酸化スズ、特に二酸化スズに基づく電気触媒コーティングを有する金属電極の使用は、当分野において周知である。特に、貴金属及び/またはこの酸化物及び/または防食を与えることができる金属の酸化物と混合した二酸化スズを含む触媒コーティングを一般に、例えば電気冶金プロセスにおいてまたは水処理(水道水及び排水処理)に関して酸素発生を行うアノードのために用いる。従来技術に一般的な酸素発生電極は、好ましくはチタンまたはチタン合金の弁金属基体から出発して構成され、所望により保護セラミック予備層を備えており、この表面に、防食を与えることができる金属(好ましくはスズまたはタンタル)の少なくとも1つの酸化物及び所望により酸化物形態の少なくとも1つの貴金属(好ましくはイリジウム)を含む触媒コーティングを施用する。以下に開示する本発明は、全てのスズ含有電気触媒コーティング、例えば塩素発生に関するルテニウム含有コーティングの性能及び再現性を改良することに関するが、スズ及び酸化イリジウム混合物を含む酸素発生アノードを得ることに特に適している。
【背景技術】
【0002】
酸化スズ及び貴金属に基づく従来技術のコーティングは、水溶液中の貴金属の等量の前駆体に混合した四価のスズの前駆体(特にSnCl)から出発して製造される。米国特許第3、710、724号は、SnCl及びHIrClの混合物から得た酸素発生のためのアノードコーティング、及びSnCl及びRuOHClの混合物から得た塩素発生のためのアノードコーティングの製造を開示している。こうした混合物は、スズが四価の形態で安定して存在することができる高い還元電位(約0.8V NHE)を特徴とする。広く普及しているにもかかわらず、こうして得られた前駆体溶液は、その産業用途に関して注目すべき問題を提起し、これは、このタイプの電極の使用を制限する程である。製造プロセスの性能及び再現性にマイナスに反映される主要な不便さは、四塩化スズの高い揮発度によって与えられ、電極を製造するために必要な様々な乾燥工程の最中にまたは、一般に様々な熱処理の最中にこの無制御の損失を引き起こす。前駆体の揮発度は特に、化学量論的組成の酸化物コーティングを、従って十分に規定された結晶構造の緻密なセラミック層を得ることを妨げる。形式上同一の手順に従って製造された二酸化スズを含むコーティングを有するアノードの工業的な寿命は、従って互いに2桁さえも異なるとがある。J. Appl. Electrochem. 21 (1991), 136において証明されているように、SnCl前駆体から出発して、通常SnOの堆積の収率は15〜20%を超えない。同じ論文において、アルコールまたは2,4ペンタンジオン(アセチルアセトン)に基づく溶液を利用して、収率を30%まで増大させることができると明記されている;しかしながら、この桁までの改良は、経済的な観点から、特に処分の追加のコストが理由となって、工業プロセスにおけるこのタイプの溶媒の使用を正当化しないことは明らかである。当分野において周知の様々な手段(J. Electrochem. Soc. 14 3(1996), 203)は、霧化された相における溶液の熱分解を提供する技術によって四塩化スズの揮発度の低減を可能にする。従って前駆体溶液のエアロゾルはチタン基体の予熱した表面で400℃で熱分解し;より滑らかで、より緻密で、より接着性の高いコーティングが従って得られるが、また出発化学量論に対応する混合酸化物の組成物を特徴としていない。J. Appl. Electrochem. 21 (1991), 136においては、いかにしてRu:Snモル比1:2のRuOHCl+SnClの施用が不可避的に80%よりも高いコーティング中のRuO含量を生じるかが説明されており、というのは、スズ前駆体の一定の部分が堆積の最中に揮発するからである;いかにしてこれが製造の方法における全く不十分な再現性及び信頼性を必然的に伴うかは当分野における専門家であれば明白である。スズ堆積収率を増大させるために、無水有機溶媒中の前駆体の例えばテトラブチルすずまたは(C1630SnO(J. Electrochem. Soc. 143 (1996), 203を参照されたい)並びにソビエト特許SU314344において開示された(C11O)SnClの使用も提案された。後者の文書において、デフレグメーターを用い、水溶液中のn−アミルアルコールの存在下でSnClを沸騰させることによるスズジアミル前駆体(C11O)SnClの製造が説明された。しかしながら、スズ有機塩の使用は幾つかの小さな欠点も提起し、その最も明らかなものは、再度溶媒の使用からなり、これは、無水有機溶媒の場合処理及び処分のコストの点で特に不利である。さらに、スズ有機塩は水分に非常に敏感であり、ほとんどコヒーレントでなく緻密でない酸化物層を容易に生じる。最後に、前記有機前駆体は、熱分解工程の最中に、共存する貴金属酸化物の部分的低減を引き起こすことがあり、化学的安定性及び触媒活性の点でマイナスの結果を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の第一の目的は、従来技術の制限を解決するスズ含有アノードコーティングを提供することにある。
【0004】
本発明のさらなる目的は、従来技術の制限を解決する前駆体から出発するスズ含有アノードコーティングの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様の下で、本発明は、所望により有機置換基を有し所望により非化学量論的なヒドロキシクロリドの溶液から製造され、高密度及び緻密さ及び制御された化学組成を特徴とするスズ、特に二酸化スズを含むアノードコーティングを備えた電極からなる。
【0006】
第2の態様の下で、本発明は、スズ、特に二酸化スズを含む電気触媒コーティングのための革新的前駆体、及びこの製造方法からなる。
【0007】
さらなる態様の下で、本発明は、水溶液中のヒドロキシクロリド第二スズ(四価)から出発して、チタンまたは他の弁金属のマトリックス表面に施用され、熱的に転換される、スズ、特に二酸化スズを含む電気触媒コーティングの製造方法からなる。四価スズヒドロキシクロリドは、陽イオンの分子内錯形成球の様々な組成物と錯形成する。この群の先駆体(progenitor)の構造は、一般式SnO(HO)Cl(nは1〜4の間に含まれる)によって表すことができる。こうした化合物の化学的性質は、HClペプチゼーション化されたβ−スズ酸のものに類似し得る。先駆体であるSnO(HO)Clは、その化学量論的形態で、2に等しいCl:Sn比を特徴とする;しかしながら、この比を変更し、特にこれを減少させて、例えば一般式Sn(OH)2+xCl2−x.nHOに従う塩素欠陥を特徴とする非化学量論的形態のこのタイプの化合物を単離することは可能である。しかしながら、より有利に、塩化物陰イオンを、他の陰イオンまたは基で部分的に置き換えて、一般式SnO(HO)2−xClによって表すことができる2より低いCl:Snを有するヒドロキシクロリドを形成することができる。β−スズ酸の熱分解は、物理的結合によって吸着された水の初期損失(200℃まで)、続いて水素架橋結合化学吸着水の漸進的放出を特徴とする。SnOコーティングは、400℃を超える温度でさえもかなりの程度のヒドロキシル化を維持し、イオン交換特性を有しかつSnOコーティングの多くの電気触媒的特徴の原因である表面−OH基の特定の熱安定性を示す。本願発明者らは、ヒドロキシクロリドから出発した二酸化スズコーティングの製造は、特に高いスズ堆積収率を生じることを見い出した;さらに、ヒドロキシクロリドから得たコーティングの安定性、電気触媒活性及び再現性の特性は、非常に高い。本発明によれば、2より低いCl:Sn比を有し、好ましくは一般式SnO(HO)2−xClのSn(IV)ヒドロキシクロリドを含む溶液から出発した二酸化スズを含む触媒コーティングの製造は、特に有利である。本発明の特定の具体例によれば、1〜1.9の間に含まれるCl:Sn比を有するSn(IV)ヒドロキシクロリドを含む溶液から出発した二酸化スズを含む触媒コーティングの製造は、特に有利である。さらに好適な具体例によれば、一般式SnO(HO)2−xCl[式中、Rはアセテート基(CHCOO−)である。]のヒドロキシクロリドを使用することによって、1〜1.9の間に含まれる前記Cl:Sn比が有利に得られる。好適な具体例によれば、Sn(IV)ヒドロキシクロリドを含む前駆体溶液は、貴金属、好ましくはイリジウムまたはルテニウムの酸化物の前駆体をさらに含む。本発明による前駆体溶液の熱分解は、80%よりも高く、最も好都合な場合約95%の値に達する収率を有する二酸化スズを含むコーティングの形成を生じる。いかなる点でも本発明が任意の特定の理論によって束縛されることを意図するものではないが、以下に報告する考察がその機能をより良好に理解することを助けることができると推測できる。
【0008】
本発明の前駆体の熱分解プロセスは、先駆体SnO(HO)Clのために簡単のために言及する以下のスキームに従う脱水、加水分解及び不均化反応を含んでよい:
1)SnO(HO)Cl→SnO+2HCl+(n−1)H
2a)2SnO(HO)Cl→SnO+SnCl+nH
2b)SnCl+2HO→SnO+4HCl
反応2aにおいて形成された四塩化スズは、反応2bに従って酸化物に転換することができる前に、上記に述べたものに基づいて、部分的に揮発する傾向がある。SnO(HO)Cl前駆体は従って、2つの二者択一の拮抗する機構に従って分解することができる:こうしたもののうち、前者(反応1)は、高度に揮発性の種であるSnClを含まず、それによって従来技術の前駆体よりも高い任意の速度でのスズ堆積収率を確実にする。特により低い塩素含量を有する先駆体であるSnO(HO)Clとは異なるヒドロキシクロリドを選択することによって、四塩化スズ形成はより阻害され、さらに高い堆積収率を生じよう。本発明の好適な具体例によれば、選択されたヒドロキシクロリドは、式SnO(HO)Ac2−xCl[式中、Acは、酢酸基(CHCOO−)を示し、xは、理論的に0〜2、好ましくは1〜1.9の間に含まれる。]によって表されるスズ(IV)ヒドロキアセトシクロリド(HAC)である。スズ(IV)ヒドロキアセトシクロリドの存在は現在まで文献において開示されていないし、単独でまたは貴金属前駆体の例えばルテニウムまたは塩化イリジウムの存在下での水性相中でのその可能な安定性について何ら示されなかった。本願発明者らは、このような特性を検証するその合成のための簡易で有効な経路を見い出した。四酢酸スズ(四価)が水溶液中に存在できないことは当分野において周知なので、アセテートイオンを含むSn(IV)溶液の存在だけで、それ自体が驚くべきことである。恐らく、本発明の場合には、溶液のアセテートイオンは、Sn(IV)錯体の分子内配位球である。こうした溶液の製造方法及び電極の製造のためのこの利用は以下の実施例において説明されており、この目的は純粋に例示であり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0009】
実施例1
1リットルのヒドロキシクロリド第二スズSnO(HO)Cl水溶液の製造のために、372.3gのSnCl.2HOを500mlの水中に溶解させた。170mlの30%過酸化水素を溶液に徐々に加え、熱放出の停止を検出し、飽和塩化銀参照電極(SSCE)を基準にして0.5〜0.6Vの間に含まれる電位に達するまで、サーモスタット付き浴を用いて温度を制御した。混合物の体積を次に水を用いて1リットルにした。安定で無色のヒドロキシクロリド第二スズ溶液が次に得られ、1.65MのSn(IV)及び密度1.31g/lだった。予想通り、Cl:Sn比は正確に2であることが元素分析によって検証された。この溶液の熱分解によって得られるSnOの収率は、るつぼ中、温度110℃で、秤量した量の蒸発、それに続いて乾燥して恒量にすることによって決定した。得られたキセロゲルを、2時間オーブン中で450℃まで徐々に加熱し、恒量に達するまでこの温度で維持した。残留分は、スズ石の形態のSnOからなり、熱分解収率は76%に等しかった。
【0010】
このように製造されたヒドロキシクロリド第二スズ溶液は、イリジウムまたは塩化ルテニウム溶液と完全に混和性となる。この方法を用いて得られた酸化物コーティングの均一性を、様々な熱処理の最中に顕微鏡観察によって検証した。
【0011】
実施例2
実施例1の1リットルのヒドロキシクロリド第二スズ溶液を、約50gの金属スズ粉末を加えることによって修正して、Cl:Sn比を変更した。金属は撹拌中に溶解し始め、数時間後に、その曇った外観によって認識できる水酸化物の形成が観察された。溶液を次に傾瀉し、酸化還元電位0.5〜0.6VSSCEに達し、濁りが消失するまで、30%過酸化水素を加えた。溶液を次に水を用いて体積を変更し、Sn(IV)の濃度1.65M及び密度1.31g/mlを得た。従って、式Sn(OH)2.15Cl1.85.nHOのヒドロキシクロリドが得られ、実施例1のゾル−ゲル法に従って収率81.5%でSnOのフィルムを提供した。
【0012】
実施例3
Sn(IV)HAC(ヒドロキアセトシクロリド第二スズ、Sn(OH)Ac2−xCl)の溶液を、195g/lに相当するスズの濃度1.65Mで製造した。このために、200gのSnCl.2HOを500mlの水中に溶解させ、それに続いて200mlの酢酸及び100gの金属スズ粉末を加えた。熱放出の停止を検出し、電位0.6VSSCEに達するまで、サーモスタット付き条件下で30%過酸化水素を混合物に徐々に加えた。混合物を3日間室温で維持し、再度金属スズで飽和し、次に電位0.6VSSCEになるまで過酸化水素を新たに加えた。淡黄色で乳光の外観の得られた溶液を傾瀉し、水を用いて密度1.28g/ml(195g/lに等しいスズの濃度1.65Mに相当する)にし、それに続く元素分析は、1.20に等しいCl:Sn比を証明した。熱分解後のSnOの収率は、先の実施例におけるように測定して、96%となった。この値は、1年を超えて貯蔵した同じ溶液の試料に関する第2の試験において再現性があり、従ってその非常な安定性が証明された。
【0013】
実施例4
実施例3の溶液を、IrO.2SnOの組成の混合酸化物コーティングの堆積のために使用した。10mmX20mmサイズの2mm厚さのチタンプレートを、平均粗さRaが約40μmに達するまでサンドブラスティングし、密度1.30g/mlのカセイソーダの沸騰する水溶液中で15分間酸洗いした。
【0014】
得られた表面に、10ml/mの2MのTiClヒドロアルコール溶液(水中の20体積%のエタノール)を施用した。コーティング済み表面を15分間120℃で乾燥し、次にさらに15分間120℃で加熱した。このように得られたTiO予備層表面に、同一の体積のHIrCl(0.8M)及びSn(IV)HAC(1.65M)を混合することによって製造した10ml/mの前駆体溶液を施用し、後者は先の実施例の溶液に相当する。チタンプレートを次に120℃で乾燥し、500℃で15分間加熱した。蛍光X線によって検出されたIr含量は0.80g/mに等しかった。第2のコーティングを次に同様に施用し、Ir含量を1.6g/mに増大させた。コーティングは、黒色で、滑らかで、光って見え、高い密着性及び硬さを示した。コーティング割れの現象は、機械的変形(曲げ試験)のそれに続く試験において観察されなかった。加速持続試験を次に一般的な慣行に従って達成し、50g/lのNaSO溶液中、温度25℃及び電流密度5000A/mで実行した。試験の最中に、アノードを、さらした溶液から定期的に除去し、濯ぎ及び乾燥の後、基体へのコーティングの密着性を検査した。このような検査は、当分野において周知のように、感圧性接着テープの条片を施用し、次に急激に除去して、可能な脱離現象を証明することによって実行する。こうした定期的な検査の結果は、毎回陰性だった。従来不活性化点を記録する電位増大1Vを観察する前に、アノードを2250時間作動させた。測定した特定の持続指標は従って7.10Ah/m/グラムの貴金属(Ir)だった。この値は、J. Appl. Electrochem. 26 (1996) 999に報告するように、IrO+Taに基づく従来技術の最も典型的なアノードのものよりも高い。1NのHSO中、25℃で、上記に開示したアノードに関する酸素発生過電圧は、電流密度10000A/mで0.43Vとなり、ターフェル勾配0.060V/ディケードだった。
【0015】
当分野における専門家には明白なように、本発明は、引用された実施例の条件に対する修正を変形して実施してよい。例示のために、本願発明者らが500℃で実行した熱分解処理を、他に、有効な産業用途及び特定の選択された前駆体に依存して、350〜800℃の間に含まれる温度で達成してよい。同様に、電極の低温乾燥の工程は明らかに、好ましくは80〜200℃の間に含まれる様々な温度で実行できる。
【0016】
従って、上記の説明は本発明を限定することを希望するものではなく、本発明はその範囲から逸脱することなく様々な具体例に従って用いてよく、その範囲は添付の請求の範囲によってのみ定義されることは理解されるはずである。
【0017】
本出願の説明及び請求の範囲において、“含む(comprise)”という語は、他の要素または追加の成分の存在を除外するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシクロリド第二スズを含むスズ含有コーティングの熱分解形成のための前駆体の溶液。
【請求項2】
前記ヒドロキシクロリド第二スズは、式Sn(OH)2+xCl2−x.nHO[式中、Cl:Snモル比は1〜1.9の間に含まれる。]によって表される非化学量論的化合物である、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
前記ヒドロキシクロリド第二スズは、式SnO(HO)2−xClによって表される化合物であり、Rは好ましくは有機置換基である、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
Cl:Snモル比は1〜1.9の間に含まれる、請求項3に記載の溶液。
【請求項5】
Rは酢酸基(CHCOO−)である、請求項3または4に記載の溶液。
【請求項6】
少なくとも1つの貴金属の前駆体をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶液。
【請求項7】
前記少なくとも1つの貴金属の前駆体は、イリジウムまたはルテニウムの塩素化前駆体である、請求項6に記載の溶液。
【請求項8】
イリジウムの前記塩素化前駆体は、HIrClである、請求項7に記載の溶液。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶液の熱分解によって製造され、好ましくは四価でありかつ混合酸化物の形態のスズを含む電気触媒コーティングを備えたアノード。
【請求項10】
前記電気触媒コーティングは、弁金属、好ましくはチタンまたはチタン合金の基体表面に堆積される、請求項9に記載のアノード。
【請求項11】
セラミック予備層は、前記コーティングと前記基体との間に挿入される、請求項10に記載のアノード。
【請求項12】
前記セラミック予備層は二酸化チタンを含む、請求項11に記載のアノード。
【請求項13】
前記コーティングは、塩素発生反応に対する電気触媒特性を有し、前記少なくとも1つの貴金属はルテニウムである、請求項9〜12のいずれか1項に記載のアノード。
【請求項14】
前記コーティングは、酸素発生反応に対する電気触媒特性を有し、前記少なくとも1つの貴金属はイリジウムである、請求項9〜12のいずれか1項に記載のアノード。
【請求項15】
スズ含有コーティングの熱分解形成のための前駆体溶液の製造方法であって、所望により温度及び酸化還元電位の制御下で過酸化水素を塩化第一スズ溶液に加えることを含む方法。
【請求項16】
前記溶液中のCl:Sn比は、金属スズのそれに続く低減及び所望により温度及び酸化還元電位制の御下で過酸化水素をさらに加えることによって減少される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記塩化第一スズ溶液は有機置換基の前駆体をさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
有機置換基の前記前駆体は酢酸である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶液を、所望によりセラミック予備層を備えた弁金属、好ましくはチタンまたはチタン合金の基体に施用し、続いて熱処理を実行することを含む、電極の製造方法。
【請求項20】
前記溶液の前記施用は、多数のコーティングと各々続いて熱処理で達成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記熱処理は、所望により80〜200℃の間に含まれる温度での乾燥が先行する、350〜800℃の間に含まれる温度での熱分解である、請求項19または20に記載の方法。

【公表番号】特表2007−500287(P2007−500287A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521506(P2006−521506)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008397
【国際公開番号】WO2005/014885
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500480609)デ・ノラ・エレートローディ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (8)
【Fターム(参考)】