説明

電気調理器

【課題】調理プレートの加熱温度が所定の設定温度付近である場合において、発熱体を通電状態或いは、非通電状態の切り替えが短時間で行うことに伴い発生するノイズを低減し、周辺の電気機器に誤作動が生じる等の悪影響を及ぼすことのない電気調理器の提供を目的とする。
【解決手段】調理プレート10に熱を供給する発熱体20の基部に有する一対の発熱体基部22の間に感熱棒68を配置し、感熱棒68が感熱した温度が所定の設定温度未満のときに発熱体20を通電状態とし、設定温度Taに達したときに非通電状態とする切替えを行う電気調理器1であって、感熱棒68から発熱体20に至るまでの間に、熱容量を増加させる熱容量増加構造Laを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通電により発熱体が発熱した熱を調理プレートに伝達することで、調理プレートに載置した被調理物を加熱調理する例えば、ホットプレートや電気焼肉器などの電気調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した電気調理器としては、例えば、特許文献1に記載の調理器が提案されている。
特許文献1に開示の調理器は、プレートと、プレートの裏面に一体に配置され、プレートに熱を供給する環状の発熱体と、プレート側へ差し込んで発熱体と電気的に接続するプラグイン式サーモスタットを備えた構成である。
ここで、長尺状に形成された発熱体における環状部分を、発熱体環状部に設定するとともに、長さ方向の両端部分を発熱体基部に設定する。
【0003】
前記調理器は、プラグイン式サーモスタットをプレート側の差込口へ差し込んだ状態において、一対の発熱体基部の間に、前記プラグイン式サーモスタットの受熱棒を配置した構成である。
【0004】
特許文献1に開示の調理器は、発熱体から発熱した熱を感熱棒(受熱棒)が感熱し、該感熱棒が感熱した温度が所定の設定温度未満のときに前記発熱体を通電状態(ON)とし、前記設定温度に達したときに非通電状態(OFF)とする切替えを前記プラグイン式サーモスタットにより行うことで、調理プレートを所定温度に保っている。
【0005】
このような電気調理器に備えた温度調節機能に関して、従来から行われている一般的な制御方法について、図10の一部拡大図に示した感熱温度と時間との関係を示すグラフを用いて詳述すると、発熱体から発した熱を感熱棒が受熱し、該感熱した温度が所定温度Taに達すると(a1点)、サーモスタットが発熱体への電流の供給を非通電状態(OFF)とし、発熱体の発熱が停止する。これにより、所定の設定温度を超えて上昇した感熱温度が次第に下降し、所定の設定温度Taに達すると(a2点)、サーモスタットは、発熱体への電流の供給を再開して通電状態(ON)とし、発熱体の発熱が再開される。
【0006】
電気調理器は、サーモスタットにより、感熱温度に基づいてこのような発熱体への通電状態と非通電状態とを切り替える温度調節制御を行うことでプレートの温度を所定の設定温度に保っている。
【0007】
しかし、従来の電気調理器に備えた発熱体は、特許文献1に開示の調理器に備えた発熱体も含めて、例えば、図9に示すように、感熱棒の近傍に配置した発熱部基部にコイル状電熱線からなる発熱部分を備えた構成であるため、このような発熱体が発熱することで、感熱棒は、その熱の影響をダイレクトに受けることになり、発熱部が発熱するに伴って感熱棒の感熱温度が急上昇するなど、発熱体が発熱状態と非発熱状態とに切り替わる熱変動に伴う感熱棒の感熱温度の応答性(感熱特性)が過剰に高くなる。
【0008】
そうすると、図10に示すように、感熱棒の感熱温度が所定の設定温度付近において、感熱棒の感熱温度が所定の設定温度に対して上昇したり下降したりする回数が多くなり、発熱体への通電状態と非通電状態の切り替えを繰り返す周期が短くなる。
【0009】
このように、発熱体への通電状態と非通電状態との切り替えを短時間に繰り返すことに伴いノイズが発生し、電気調理器からノイズが発生すると、例えば、携帯電話の電波が乱れたり、周辺に設置したテレビの画像や音声の乱れが生じるなど、周辺に存在する電気機器に誤作動が生じるなどの悪影響を及ぼすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭59−135031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこでこの発明は、調理プレートの加熱温度が所定の設定温度付近である場合において、発熱体を通電状態、或いは、非通電状態とする切り替えを短時間で行うことに伴い発生するノイズを防ぎ、周辺に存在する電気機器に誤作動が生じる等の悪影響を及ぼすことのない電気調理器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、調理プレートと、該調理プレートを保持する電気調理器本体と、通電によって発熱し、前記調理プレートに熱を供給する発熱体と、前記調理プレート、及び、前記電気調理器本体のうち少なくとも一方側に設けられた差込口へ差込む電気接続用プラグとで構成し、前記発熱体を、前記調理プレートの表面よりも下側に配置した発熱体本体と、前記差込口に配置した一対の発熱体基部とで構成し、前記電気接続用プラグを、前記差込口に差し込んだ状態において、前記一対の発熱体基部の先端と電気的に接続する接続端子と、前記一対の発熱体基部の間に配置される感熱棒と、該感熱棒が感熱した温度が所定の設定温度未満のときに前記発熱体を通電状態とし、前記設定温度に達したときに非通電状態とする切替えを行う温度調節部とで構成した電気調理器であって、前記感熱棒から前記発熱体に至るまでの間に、熱容量を増加させる熱容量増加構造を備えたことを特徴とする。
【0013】
上述した構成により、前記発熱体が発熱状態(ON)から非発熱状態(OFF)となる、或いは、非発熱状態(OFF)から発熱状態(ON)になることによる発熱体の熱変動の影響が前記感熱棒へ伝達するまでの時間を遅延させることができるため、発熱体の通電状態の切り替え時間が短くならず、切り替えを短周期で繰り返すことによるノイズの発生を防止することができる。
【0014】
従って、電気調理器を、周辺に存在する電気機器に誤作動が生じる等の悪影響を及ぼすことがなく用いることができる。
【0015】
例えば、電気調理器からノイズが発生することで、携帯電話の音声が乱れることや、周辺に設置しているテレビの画像や音声が乱れることがなく、また、電気調理器は、家庭用として用いるに限らず、飲食店で鍋料理や焼肉として用いる場合においても、電気調理器からノイズが発生することにより、顧客からの注文を受け付ける際に用いるメモリー機能や計算機能などを備えた携帯情報端末(ハンディターミナル)や、店員が他の店員との間で情報のやりとりを行うために用いる音声マイク、ヘッドホンに誤作動を及ぼすことを回避することができる。
【0016】
また、発熱体がONとOFFに切り替わる間隔を長くして、該切り替わりの回数を低減させることで温度調節部の接点の寿命を長期化させることができる。その他にも、発熱体が短周期でONとOFFを繰り返すことにより、発熱体に負荷が加わることを防ぐことができるため、発熱体の寿命を長期化させることができるとともに、発熱体の消費電力を低減することができる。
【0017】
前記熱容量増加構造とは、前記感熱棒から前記発熱体に至るまでの間に存在する、例えば、空気や調理プレートの素材よりも熱容量が大きい物質を介在させた構成を挙げることができる。
【0018】
さらには、前記熱容量増加構造は、熱の伝達する経路を長くするために、前記感熱棒から前記発熱体に至るまでの間に、例えば、耐熱性の樹脂など熱伝導性の低い物質を介在させた構成であってもよく、前記感熱棒から前記発熱体に至るまでの間の熱容量を増加させることにより、前記発熱体が発熱した熱が前記感熱棒へ伝わるまでの時間を遅延させることができる構成であれば特に限定しない。
【0019】
この発明の態様として、前記発熱体を、発熱部分と非発熱部分とで構成し、
前記発熱部分を、前記発熱体のうち、前記発熱体本体の少なくとも一部分に構成するとともに、前記非発熱部分を、前記発熱体のうち、前記一対の発熱体基部の少なくとも一部分に構成し、前記熱容量増加構造を、前記発熱部分を前記感熱棒から少なくとも所定距離だけ離間した位置に配置する構造とすることができる。
【0020】
このように、前記熱容量増加構造を、前記発熱部分を前記感熱棒から少なくとも所定距離だけ離間した位置に配置する構造とすることで、シンプル且つ容易な構造で、熱容量を増加させることができ、ノイズの発生を防ぐことができる。
【0021】
ここで前記非発明部は、少しでも発熱するものは含まないとの趣旨ではなく、発熱量がゼロである場合に限らず、影響を与えない範囲で僅かにでも発熱するものを含む。
【0022】
またこの発明の態様として、前記発熱体を長尺状に形成し、前記発熱体の長さ方向の両端部分を前記一対の発熱体基部で構成するとともに、前記発熱体の長さ方向において前記一対の発熱体基部の間部分を前記発熱体本体で構成し、前記発熱体に、該発熱体の長さ方向に沿って電熱線を備え、前記発熱部分を、前記電熱線のうちコイル状部分である電熱線コイル部分で形成し、前記非発熱部分を、前記電熱線のうち前記発熱体の長さ方向に沿う線状部分である電熱線非コイル部分で形成することができる。
【0023】
このように、前記発熱部分を前記電熱線コイル部分で形成するとともに、前記非発熱部分を電熱線非コイル部分で形成することで、発熱部分と非発熱部分とを容易に構成することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記発熱体本体を環状に形成し、前記一対の発熱体基部、及び、前記感熱棒を互いに平行に前記差込口への差込方向に沿って配置し、前記発熱体本体に、前記一対の発熱体基部間の間隔よりも広い間隔を隔てた各側に、前記発熱体基部と平行に互いに対向するよう配置した一対の幅広辺部と、前記発熱体基部と前記幅広辺部との間を連結する連結辺部とを備え、前記発熱体の長さ方向において前記非発熱部分と前記発熱部分との境界部を、前記連結辺部に配置することができる。
【0025】
このように、前記境界部を前記連結辺部に配置することにより、例えば、前記幅広辺部において境界部の配置位置を変更させる場合と比較して前記連結辺部におけるいずれの位置に境界部を配置するかに応じて、感熱棒が電熱線コイル部分から受ける熱変動の影響を、効果的に変更できる。
【0026】
よって、発熱体がプレートを加熱する上でのプレートの優れた加熱性能を得ることができ、且つ、発熱体のON、OFFの切り替えに伴うノイズ発生を防ぐという両者の観点から発熱部分と非発熱部分との境界部を、適切、且つ、容易に設定することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記調理プレートを、食材加熱領域と、該食材加熱領域よりも加熱温度が低い食材保温領域とに区分けして形成し、前記食材加熱領域を、前記発熱部分を配置した部分を含む領域に設定し、前記食材保温領域を、前記非発熱部分を配置した部分を含む領域に設定することができる。
【0028】
上記構成によれば、発熱体がONとOFFとの短時間での切り替えを繰り返すことにより発生するノイズのため、前記感熱棒と発熱部分との間を少なくとも前記所定距離だけ離間するよう発熱体の長さ方向に沿って、発熱部分と非発熱部分とで形成したことにより、前記調理プレートにおいて、該調理プレートへ熱を供給しない非発熱部分を含む領域を前記食材保温領域として有効に用いることができる。
【0029】
食材保温領域に、食材加熱領域で加熱済みの食材を食するまでの間、載置しておくことにより、食材加熱領域から食材保温領域へ伝達する熱によって食材を適度な温度に保温しておくことができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記発熱体を前記調理プレートと接触状態で一体に構成することができる。
【0031】
上述した構成によれば、前記発熱体を前記調理プレートと接触状態で一体に構成しているため、前記発熱体と前記調理プレートとの間に例えば、空気層が介在することなく、前記発熱体から前記調理プレートへ熱をダイレクトに供給することで、優れた加熱性能を得ることができる。
よって、特に加熱性能が要求される例えば、電気焼肉器などの電気調理器に好適である。
【0032】
ところが、このように、前記発熱体から前記調理プレートへの熱伝達特性が向上した場合、感熱棒は、発熱体のON、OFFに伴う感熱温度の変動を受け易くなるため、ノイズが特に発生し易くなるが、本発明の構成によれば、上述したように、前記感熱棒から前記発熱体に至るまでの間に、熱容量を増加させる熱容量増加構造を備えているため、このような加熱性能に優れた構成であってもノイズの発生を確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0033】
この発明によれば、調理プレートの加熱温度が所定の設定温度付近である場合において、発熱体を通電状態、或いは、非通電状態とする切り替えを短時間で行うことに伴い発生するノイズを防ぎ、周辺に存在する電気機器に誤作動が生じる等の悪影響を及ぼすことのない電気調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態の電気焼肉器の外観図。
【図2】本実施形態の電気焼肉器の構成説明図。
【図3】本実施形態の電気焼肉器の構成説明図。
【図4】調理プレートと発熱体との配置関係を説明する説明図。
【図5】本実施形態の電気焼肉器の一部を断面で示した構成説明図。
【図6】本実施形態の電気焼肉器の作用説明図。
【図7】本実施形態の電気焼肉器の感熱棒の感熱温度の経時変化を示すグラフ。
【図8】他の実施形態の電気焼肉器の感熱棒の感熱温度の経時変化を示すグラフ。
【図9】従来の電気焼肉器の作用説明図。
【図10】従来の電気焼肉器の感熱棒の感熱温度の経時変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0035】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態における電気焼肉器1は、図1及至図5に示すように、調理プレート10と、該調理プレート10を保持する電気焼肉器本体50と、通電によって発熱し、前記調理プレート10に熱を供給する発熱体20と、前記調理プレート10に設けられたソケット40へ差込む電気接続用プラグ60とで構成している。
【0036】
なお、図1は、本実施形態の電気焼肉器1の外観図を示し、図2は、調理プレート10と電気焼肉器本体50とを分離した状態の電気焼肉器1の外観図を示し、図3(a)は、電気接続用プラグ60をソケット40に差し込んだときの、発熱体20と後述する感熱棒68との配置関係を示す構成説明図を示し、図3(b)は、図3(a)中のX部、Y部、Z部の拡大図を示す。図4は、調理プレート10と発熱体20との配置関係を示す平面図であり、調理プレート10を仮想線で示すとともに、発熱体20の一部を破断して示し、一部を拡大して示している。図5は、電気焼肉器1のソケット40の周辺部分の縦断面図であり、発熱体20の一部を破断して示すとともに、電気焼肉器1の内部を、電気焼肉器本体50の内部構造を省略して示している。
【0037】
前記発熱体20は、図3、及び、図5に示すように、前記調理プレート10の下側に配置した発熱体本体21と、ソケット40に配置した一対の発熱体基部22とで構成している。前記電気接続用プラグ60は、ソケット40に差し込んだ状態において、前記一対の発熱体基部22の先端側の雄型端子36と電気的に接続する雌型端子67と、前記一対の発熱体基部22の間に配置される感熱棒68と、該感熱棒68が感熱した温度が所定の設定温度Ta未満のときに前記発熱体20と通電状態とし、前記設定温度Taに達したときに非通電状態とする切替えを行う回転式温度調節レバー65、温度調節回路部66とで構成している。
また、電気焼肉器1は、発熱体20の発熱部分を、感熱棒68から少なくとも所定距離Laよりも長い距離Lだけ離間した位置に配置する構造としている。
【0038】
以下、前記電気焼肉器1の構成について詳述する。電気焼肉器1は、調理プレート10と、該調理プレート10を上方で保持する電気焼肉器本体50と、電気接続用プラグ60と、受け皿70とで構成している。
なお、電気焼肉器1は、平面視略長方形状で形成し、短手方向をX方向に設定するとともに、長手方向をY方向に設定する。また、Y方向において電気焼肉器本体50のソケット40を有する側をY1方向に設定し、ソケット40を有する側と反対側をY2方向に設定する。
【0039】
調理プレート10は、プレート本体11と発熱体20とソケット40とで構成している。
ソケット40は、耐熱性の樹脂材料により、電気接続用プラグ60の差し込みを許容する差込口として筒状に形成し、調理プレート10のY1方向の端部に取り付けている。
【0040】
プレート本体11は、平面視略長方形状をした板状の食材載置面11aと、該食材載置面11aの外周縁部から上方に突出した周壁部11bとで形成し、発熱体本体21は、食材載置面11aの内部に鋳込まれた状態でプレート本体11と一体に構成している。
【0041】
詳しくは、プレート本体11の下部内部には、発熱体本体21が埋設された状態で配置されている。これにより、プレート本体11の表面に対して発熱体本体21の外周面が接触した状態としている。
なお、発熱体20における後述する発熱体基部22は、食材載置面11aの内部に鋳込まれずに露出した状態で配置されている。
【0042】
前記調理プレート10は、食材加熱領域12Hと、該食材加熱領域12Hよりも加熱温度が低い食材保温領域12Kとに区分けして形成している。食材加熱領域12Hは、食材載置面11aを平面視したとき、Y方向の中央部分に備え、食材保温領域12Kは、食材載置面11aのY方向において食材加熱領域12Hに対して各側に備えている。食材加熱領域12Hと食材保温領域12Kとの境界部分には、食材載置面11aに対して凸状の凸状仕切り部15をX方向に沿って形成している。
【0043】
食材載置面11aの食材加熱領域12Hには、凸部16をY方向に沿って所定間隔ごとに複数配設している。凸部16は、凸状仕切り部15よりも低い高さでX方向に沿って突状に形成している。
【0044】
複数の凸部16を所定間隔ごとに配設することにより、食材を、複数の凸部16を跨ぐようにして食材載置面11aに載置することができ、これにより、食材から出た余分な肉汁、脂、水分などを、食材載置面11aにおける凸部16間の溝に流して食材をべたつかずに焼くことができる。
【0045】
また、食材加熱領域12Hの長方形状をした4隅のうち1つの隅部には、水注入用の注水用開口部13を形成している。これにより、調理プレート10の下側に配置した受け皿70に水を補充する際に、調理プレート10を持ち上げて行わずとも、注水用開口部13を通じて食材載置面11aの上方から調理プレート10に対して受け皿70へ水を注ぐことができる。また、注水用開口部13を通じて受け皿70の下側の空間を視認することにより、受け皿70に貯溜した水の量を、一目で確認することができる。
【0046】
食材載置面11aの食材加熱領域12Hには、X方向の両側部分、及び、中間部分にY方向に沿って複数配設した連通孔14によって連通孔列14Lを構成している。連通孔列14Lは、X方向の両側部分に有する両側連通孔列14LaとX方向の中間部分に有する中間連通孔列14Lbとで構成している。連通孔14は、食材載置面11aの複数の凸部16間においてプレート本体11の厚み方向に連通し、X方向に長い長孔状に形成している。
【0047】
発熱体20は、図3、及び、図4に示すように、長尺状に形成し、その長さ方向の両端部に有する一対の発熱体基部22と、該一対の発熱体基部22の間部分に有する発熱体本体21とで構成している。
【0048】
詳しくは、一対の発熱体基部22は、ソケット40への差込み方向Y2に沿って互いに平行に配置されるよう前記発熱体本体21からY1方向へ突出した形態で形成している。
【0049】
前記発熱体本体21は、X方向の長さに対してY方向の長さが長く、4隅部分をR形状とした平面視略長方形状に形成し、幅広辺部25と連結辺部23とで一体に構成している。
【0050】
幅広辺部25は、前記一対の発熱体基部22同士の間隔よりも広い間隔を隔てたX方向の各側に、Y方向に沿って配置した前記発熱体基部22と平行に互いに対向するよう一対配置している。
【0051】
連結辺部23は、Y方向におけるY2方向側、詳しくは、前記発熱体基部22の側と反対側に有する先端側連結辺部23Tと、Y方向におけるY1方向側、すなわち、前記発熱体基部22の側に有する基部側連結辺部23Rとで構成している。先端側連結辺部23Tは、幅広辺部25同士を連結する連結部分であり、基部側連結辺部23Rは、図3(a)に示すように、前記発熱体基部22と前記幅広辺部25とを連結する連結部分である。基部側連結辺部23Rは、幅広辺部25の側へ連なるR形状部分27aと発熱体基部22の側へ連なるR形状部分27bとを変曲点によって連結した形状であり、当該R形状部分を含む部分である。ここで前記変曲点を中間変曲点24と設定する。
【0052】
図4に示すように、上述した発熱体本体21は、長さ方向の全長に亘って、食材載置面11aを構成する面方向、すなわち、X方向、及び、Y方向において連通孔14とオーバーラップしない位置に対して配置している。これにより、連通孔14を通じて滴下した肉汁などが発熱体本体21に落下して煙が発生したり、発熱体本体21が損傷することを回避している。
【0053】
詳しくは、一対の幅広辺部25は、食材加熱領域12Hにおける上述した中央側連通孔列14Lbと両側連通孔列14Laとの間に配置し、先端側連結辺部23T、及び、基部側連結辺部23Rは、食材加熱領域12Hにおける中央側連通孔列14Lbに対してY方向の各側に配置している。
【0054】
また、発熱体20は、金属管31の内部に電熱線32を挿通した状態で配置するともに、マグネシアなどの絶縁粉末を充填した構造であり、さらに、電熱線32の両端に、棒状のターミナル33の基部と接続し、該ターミナル33の先端部が金属管31の外部に突出した態様で、封印材34によって金属管31の両端に有する開口部(図示省略)を封印するとともに、ターミナル33を金属管31の内側と外側とに対して連通状態で保持する構造である。また、ターミナル33先端部には、電気接続部36を構成している。
【0055】
電熱線32は、図3(b)のX部拡大図に示すように、発熱部分としてコイル状部分である電熱線コイル部分32aと、図3(b)のY部拡大図に示すように、非発熱部分として発熱体20の長さ方向に沿う線状部分である電熱線非コイル部分32bとで形成し、図3(b)のZ部拡大図に示すように、発熱体20の長さ方向において電熱線コイル部分32aと電熱線非コイル部分32bとの境界部35を、前記基部側連結辺部23Rに配置している。
【0056】
これにより、感熱棒68と発熱体20とは、これらの間の距離が所定距離Laと同等、或いは、所定距離Laよりも長い距離Lを確保した相対位置関係に配置している。
【0057】
すなわち、感熱棒68と発熱体20との最短距離Lは、図3(a)に示すように、感熱棒68の先端部と、発熱体20と非発熱体20との境界部35との間の直線距離Lとなるが、この直線距離Lが、前記所定距離Laと同等以上の距離を確保している。
【0058】
換言すると、上述した感熱棒68と発熱体20との相対的な配置関係において、境界部35は、感熱棒68とY方向において少なくともオーバーラップしない位置、すなわち、感熱棒68の先端よりも少なくともY2方向側に位置するように配置している。
【0059】
ここで、前記所定距離Laとは、発熱体20から感熱棒68に至るまでの距離であって、発熱体20の発熱状態がONとOFFとの間で切り替わることによってノイズが発生しない切り替え時間を確保するために、発熱体20から発熱した熱が前記感熱棒68に伝達するまでの熱伝達時間を、遅延させることができる最小限の距離である。
【0060】
換言すると、前記所定距離Laとは、発熱体20の電熱線コイル部分32aから発熱した熱を感熱棒68が感熱し、これに伴って、所定の設定温度Ta付近において温度調節回路部66による発熱体20への通電状態と非通電状態との切り替えに伴う感熱温度の温度変動がノイズ周波数に相当する周波数以上となる熱変動の影響を感熱棒68が受けることのない最小限の距離である。
【0061】
また、前記電気接続用プラグ60は、図1、及び、図3に示すように、プラグ本体部61と、ソケット40へ差し込むプラグ先端部62と、プラグ先端部62と反対側に有する電源コード接続部63とで構成している。
【0062】
電源コード接続部63には、電源コード64が導出され、該電源コード64の長さ方向の他端側には図示しない電源プラグを備えている。
【0063】
プラグ本体部61は、電源のON、OFFの切り替えを行うとともに、電源がONの場合に温度設定を行う回転式温度調節レバー65と、回転式温度調節レバー65で調節した設定温度Taに調理プレート10の加熱温度を調節する温度調節回路部66とを備えている。
【0064】
プラグ先端部62は、ソケット40に差し込んだ状態において、一対の発熱体基部22の先端に備えた雄型端子36と電気的に接続する雌型端子67と、一対の発熱体基部22の間に配置される感熱棒68とを構成している。感熱棒68は、プラグ先端部62において一対の雌型端子67のX方向の間の中間部から突状に構成している。
【0065】
温度調節回路部66は、該感熱棒68が感熱した温度が所定の設定温度Ta未満のときに前記発熱体20と通電状態とし、前記設定温度Taに達したときに非通電状態とする切替えを行う。
【0066】
最後に電気焼肉器本体50について説明する。電気焼肉器本体50は、図2、及び、図5に示すように、耐熱性の樹脂により、平面視矩形状の底面部51と外周から立ち上がる周壁部52とで上面が開口した底浅の箱型に形成し、底面部51の中央部には、受け皿70を載置した状態でセットする凹状の受け皿載置部53を備えている。
【0067】
受け皿載置部53の外周側の4隅部分には、調理プレート10を支持可能に上方へ突出した支持台54を立脚している。また、電気焼肉器本体50のY1方向側の周壁部11bには、ソケット40を挿通可能に開口したソケット挿通口55を形成している。
【0068】
調理プレート10は、電気焼肉器本体50の上面に調理プレート10を配置した状態でソケット挿通口55にソケット40を挿通し、電気焼肉器本体50の外側へ突出した状態で電気焼肉器本体50に取り外し可能に装着することができる。
【0069】
受け皿70は、金属製であり、平面視矩形状の底面部71と外周から立ち上がる周壁部72とで上面が開口した底浅のトレイ型容器であり、電気焼肉器本体50に収容した状態で受け皿載置部53に載置することができる。電気焼肉器本体50の底面は、発熱体20からの放射熱(輻射熱)を受けるため、電気焼肉器本体50の底面と発熱体20との間に受け皿70を介在させることで、電気焼肉器本体50の底面を発熱体20からの放射熱から保護している。
【0070】
上述した構成の電気焼肉器1は、以下のようにして、温度調節レバー65で調節した所定の設定温度Taに保つように温度調節を行い、所望の焼き加減で食材の加熱調理を行うことができる。
【0071】
詳しくは、まず、電源プラグ(図示省略)を電源コンセントに差し込んだ状態で、回転式温度調節レバー65を回転しながら電源をOFFからONにし、所定温度Taに調節する。電気接続用プラグ60に備えた通電用の接点が閉じることで、通電状態(ON)となり、発熱体20へ電流が供給される。これにより、発熱体20が発熱し、発熱した熱が調理プレート10に供給されるとともに、感熱棒68に伝達する。
【0072】
感熱棒68が所定温度Taに達したことを検知すると、温度調節回路部66は、電気接続用プラグ60に備えた通電用の接点を開けることで、非通電状態(OFF)とし、発熱体20の発熱を停止する。
【0073】
これにより、感熱棒68の感熱温度が、所定温度Taを超えた状態から温度が下降し、所定温度Taに達すると、温度調節回路部66は、再度、接点が閉じることで通電状態(ON)とし、発熱体20の発熱を再開する。
【0074】
電気焼肉器1は、このような発熱体20への通電状態のON、OFFの切り替えにより、所定温度Taの下で食材の加熱調理を行うことができる。
【0075】
本実施形態の電気焼肉器1は、調理プレート10の加熱温度が所定の設定温度Taに達した場合において、発熱体20を通電状態(ON)、或いは、非通電状態(OFF)とする切り替えを短時間で行うことに伴い発生するノイズを防ぐことができるため、周辺に存在する電気機器に誤作動が生じる等の悪影響を及ぼすことのない電気焼肉器1を提供することができる。
【0076】
この点に関して図6、図7、図9、及び、図10を用いてさらに詳述する。
なお、図6は、本実施形態の電気焼肉器1の発熱体20と感熱棒68との配置関係を示すとともに、電熱線コイル部分32aが発熱した熱が感熱棒68に伝達する様子を示す本実施形態の電気焼肉器1の作用説明図である。
【0077】
図7は、本実施形態の電気焼肉器1の場合において、感熱棒68における感熱温度と時間との関係を示すグラフであり、温度調節により感熱温度が所定の設定温度Ta付近に保たれた様子を示すグラフである。なお、図7中の実線で示した波形G1が本実施形態の電気焼肉器1の温度調節の様子を示し、図7中の破線で示した波形G100が従来の電気焼肉器100の温度調節の様子を示す。
【0078】
図9は、従来の電気焼肉器100の発熱体200と感熱棒68との配置関係を示すとともに、感熱棒68の近傍に備えた電熱線コイル部分320aが発熱した熱が感熱棒68に伝達する様子を示す従来の電気焼肉器100の作用説明図である。
【0079】
図10は、従来の電気焼肉器100の場合において、感熱棒68における感熱温度と時間との関係を示すグラフであり、温度調節により感熱温度が所定の設定温度Ta付近に保たれた様子を示すグラフである。
【0080】
また、図6、及び、図9中において符号hで示す矢印は、電熱線コイル部分32aから感熱棒68へ熱が伝わる様子を模式的に示したものである。
【0081】
まず、従来の電気焼肉器100の場合、図9に示すように、感熱棒68の近傍に発熱体200の発熱部分である電熱線コイル部分320aを配置した構成である。すなわち、感熱棒68と電熱線コイル部分320aは、互いに前記所定間隔Laよりも短い間隔Lcとなる相対位置関係で配置している。
【0082】
このような構成によれば、電熱線コイル部分320aが発熱することによる熱hは、感熱棒68にダイレクトに伝達するため、図10中のグラフに示した波形G100のように、感熱棒68の感熱温度が急激に上昇する。
その一方で、感熱棒68の感熱温度が所定温度Taに達すると(a1点)、これを温度調節回路部66が検知し、発熱体20への通電をOFFに切り換え、発熱体20の発熱は停止する。そして所定温度Taを超えた感熱温度が再度、所定温度Taに達するまで低下すると(a2点)、これを温度調節回路部66が検知し、発熱体20への通電をONに切り換え、発熱体20は発熱する。そうすると、発熱体20が発熱した熱を感熱棒68はダイレクトに受けるため、感熱温度が急激に上昇し、再度、所定温度Taまで上昇する(a3点)。
【0083】
このような温度調節を繰り返すことにより、所定温度Ta付近において、感熱棒68は、発熱体20から発熱する熱変動の影響をダイレクトに受けることになり、これに伴って、発熱体20のONとOFFとの切り替えが短時間で行われることになるため、ノイズが発生し、周辺の電気機器へ悪影響を及ぼす要因となっていた。
【0084】
これに対して、本実施形態の電気焼肉器1は、図6に示すように、電熱線コイル部分32aを感熱棒68から少なくとも所定距離Laよりも長い距離Lだけ離間した位置に配置する構造としたため、発熱体20の発熱状態がONからOFFとなる、或いは、OFFからONになることによる発熱体20の熱変動の影響が感熱棒68へ伝達するまでの時間を遅延させることができる。
【0085】
そして、感熱棒68の感熱温度が所定の設定温度Ta付近の温度である場合において、感熱温度が上昇する際に所定温度Taに達したことを温度調節回路部66で検知することで、発熱体20の発熱状態をOFFとしてから感熱温度が下降する際に所定温度Taに達したことを温度調節回路部66で検知することで、ONとする切り替えを行う。
【0086】
このとき、発熱体20の発熱状態の変化に伴う熱変動が感熱棒68に伝わるまでの時間を遅延させることができるため、図7中のグラフの波形G1に示すように、発熱体20への通電状態をONからOFF、或いは、OFFからONとなる相互間の切り替え時間が波形G100のように短くならず、切り替えを短周期で繰り返すことによるノイズの発生を防止することができる。
【0087】
従って、電気焼肉器1を、周辺に存在する電気機器に誤作動が生じる等の悪影響を及ぼすことがなく用いることができる。
【0088】
例えば、電気焼肉器1からノイズが発生することで、携帯電話の音声が乱れることや、周辺に設置しているテレビの画像や音声が乱れることがなく、また、電気焼肉器1は家庭用として用いるに限らず、飲食店で鍋料理や焼肉として用いる場合においても、電気焼肉器1からノイズが発生することにより、顧客からの注文を受け付ける際に用いるメモリー機能や計算機能などを備えた携帯情報端末(ハンディターミナル)や、店員が他の店員との間で情報のやりとりを行うために用いる音声マイク、ヘッドホンに誤作動を及ぼすことを回避することができる。
【0089】
また、発熱体20が短周期でONとOFFを繰り返すことにより、ONとOFFとの間で切り替わる回数が減るので温度調節回路部66の接点の寿命を長期化させることができる。
【0090】
その他にも、発熱体20の電熱線32に負荷が加わることを防ぐことができるため、電熱線32の寿命を長期化させることができるとともに、発熱体20が短周期でONとOFFを繰り返すことを防ぐことで、発熱体20の消費電力を低減することができる。
【0091】
また、本実施形態の電気焼肉器1は、電熱線コイル部分32aを感熱棒68から少なくとも所定距離Laよりも長い離間Lだけ離間した位置に配置するというシンプル、且つ、容易な構造で、発熱体20と感熱棒68との間の熱容量を増加させることができ、ノイズの発生を防ぐことができる。
【0092】
詳しくは、発熱体20の一部を感熱棒68から少なくとも所定距離La以上離間することで、所定距離Laより短い距離Lcとなる位置に配置した場合と比較して発熱体20が発熱した熱が感熱棒68に達するまでの時間を遅延させることができる。
【0093】
これにより、発熱体20がONからOFFとなる、或いは、OFFからONとなることによる発熱体20の熱変動の影響が感熱棒68へ伝達するまでの時間を遅延させることができる。
【0094】
このため、仮に、発熱体20の熱変動が短い周期で変動した場合であっても、その短い周期の変動に連動して感熱棒68が感熱する感熱温度が短い周期で変動することを防ぐことができる。
【0095】
これにより、感熱温度に基づいて発熱体20のONとOFFとの切り替えを行うが、その際に、感熱温度が短周期で変動することを防ぐことで、発熱体20が短周期でONとOFFとの切り替えが行われることを防ぐことができ、結果的に電気焼肉器1からノイズが発生することを防ぐことができる。
【0096】
また、上述したように、発熱体20の発熱部分を電熱線コイル部分32aで形成するとともに、非発熱部分を電熱線非コイル部分32bで形成することで、発熱体20を発熱部分と非発熱部分とで容易に構成することができる。
【0097】
さらに、非発熱部分を電熱線非コイル部分32bで形成することで、該電熱線非コイル部分32bは、電気接続用プラグ60の電気接続部36と電熱線コイル部分32aとの間を通電するリード線として機能するため、別途、発熱部分に電流を供給するための部材を備える必要がなく、全体として簡素な構成で構成することができる。
【0098】
また、上述したように、発熱体20の長さ方向において電熱線コイル部分32aと電熱線非コイル部分32bとの境界部35を、連結辺部23に配置する構成とすることにより、発熱体20の発熱による調理プレート10の優れた加熱性能を得ることができ、且つ、発熱体20のON、OFFの切り替えに伴うノイズ発生を防ぐという両者を満たすように、電熱線コイル部分32aと電熱線非コイル部分32bとの境界部35を、適切、且つ、容易に設定することができる。
【0099】
詳しくは、発熱体20の長さ方向において、電熱線コイル部分32aが長い場合、該電熱線コイル部分32aが発熱することにより、発熱体20から調理プレート10への熱供給量が増えるため、調理プレート10を加熱する加熱性能を向上させることができる。
【0100】
しかしその一方で、電熱線コイル部分32aが長くなると、感熱棒68と電熱線コイル部分32aとの間の距離が所定距離Laより短くなりがちであるため、感熱棒68は、電熱線コイル部分32aから発した熱の熱変動による影響を受け易くなるという問題が生じる。
【0101】
これに対して、電熱線コイル部分32aの長さが短い場合、感熱棒68と発熱部分との間の距離を所定距離La以上の距離だけ離間し易くなる。しかしその一方で、電熱線コイル部分32aの長さが短くなれば、調理プレート10を加熱する加熱性能が低下するという問題が生じる。
【0102】
このような電熱線コイル部分32aと電熱線非コイル部分32bとの長さのバランスの問題を考慮して、発熱体20の長さ方向において電熱線コイル部分32aと電熱線非コイル部分32bとの境界部35を適切に配置することが重要となる。
【0103】
ここで、上述した構成の発熱体20は、一対の発熱体基部22、及び、一対の幅広辺部25は、Y方向に沿って感熱棒68と平行に配置しているのに対して、連結辺部23は、感熱棒68に対して直交方向(X方向)成分を含む方向に沿って配置した構成となる。
【0104】
このため、境界部35を、連結辺部23において、いずれの位置に配置するかによって、感熱棒68と発熱体20との間の距離を効果的に変更することができるため、境界部35を、連結辺部23において、いずれの配置位置に配置するかに応じて、感熱棒68と発熱体20との間の距離Lが少なくとも所定距離Laだけ離間した位置に容易に、且つ、適切に設定することができる。
【0105】
しかも、発熱体本体21は、その長さ方向の全体に亘って電熱線コイル部分32aで形成することができるため、調理プレート10の十分な加熱性能を確保することができる。
【0106】
よって、電熱線コイル部分32aと電熱線非コイル部分32bとの境界部35を、連結辺部23に配置することで、発熱体20が調理プレート10を加熱する上での調理プレート10の優れた加熱性能を得ることができ、発熱体20のON、OFFの切り替えに伴うノイズ発生を防ぐことができる。
【0107】
また、電気焼肉器1は、上述したように、調理プレート10を、食材加熱領域12Hと、該食材加熱領域12Hよりも加熱温度が低い食材保温領域12Kとに区分けして形成し、食材加熱領域12Hを、電熱線コイル部分32aを配置した部分を含む領域に設定し、食材保温領域12Kを、電熱線非コイル部分32bを配置した部分を含む領域に設定することができる。
【0108】
上記構成によれば、発熱体20のONとOFFとの短時間での切り替わりを繰り返すことによるノイズ発生のため、感熱棒68と電熱線コイル部分32aとの間を少なくとも所定距離Laだけ離間するよう発熱体20の長さ方向に沿って、電熱線コイル部分32aと電熱線非コイル部分32bとで形成したことにより、調理プレート10において、該調理プレート10へ熱を供給しない電熱線非コイル部分32bを含む領域を、食材保温領域12Kとして有効に用いることができる。
【0109】
食材保温領域12Kに、食材加熱領域12Hで加熱済みの食材を食するまでの間、載置しておくことにより、食材加熱領域12Hから食材保温領域12Kへ伝達する熱によって食材を適度な温度に保温しておくことができる。
【0110】
また、電気焼肉器1は、上述したように、発熱体20を調理プレート10と接触状態で一体に構成しているため、発熱体20から調理プレート10へスムーズに熱供給することができ、優れた加熱性能を得ることができる。
【0111】
一般に電気焼肉器1は、加熱性能を要するため、発熱体20の電気容量など発熱性能が高いもので構成している場合が多い。このため、感熱棒68は、特に、発熱体20のON、OFFに伴う感熱温度の変動が受け易くなり、ノイズが特に発生し易くなるが、本実施形態の電気焼肉器1によれば、上述したように、発熱体20から感熱棒68に伝わる熱変動の影響を遅延させることができるため、加熱性能が高く熱変動の影響を受け易い電気焼肉器のような構成であってもノイズの発生を確実に防ぐことができる。
【0112】
この発明の構成と、上述した実施形態との対応において、
電気調理器本体は、電気焼肉器本体50に対応し、
電気調理器は、電気焼肉器1に対応し、
差込口は、ソケット40に対応し、
接続端子は、雌型端子67に対応し、
温度調節部は、回転式温度調節レバー65、及び、温度調節回路部66に対応するもこの発明は、上述した実施形態に限らず、その他にも様々な実施形態で形成することができる。
例えば、本発明の電気調理器は、上述した電気焼肉器1のように、所定温度Taに達したときに発熱体20の発熱状態をON、又は、OFFとするよう切り替えて温度調節するに限らず、図8に示すように、所定温度Taを、感熱温度が上昇する際に超えた場合に発熱状態をOFFとする所定の上限温度Tauと、感熱温度が下降した際に超えた場合に発熱状態をONとする所定の下限温度Tadとの2段階に設定して温度調節を行う方法を適用してもよい。
なお、図8は、所定温度Taを上限温度Tauと下限温度Tadの2段階設けた場合の感熱温度と時間の関係を示すグラフであり、図8中の破線で示した波形G100が従来の電気焼肉器100の温度調節の様子を示し、図8中の実線で示した波形G1Aが本実施形態の電気焼肉器の温度調節の様子を示す。
【0113】
図8から明らかなように、所定温度Taを上限温度Tauと下限温度Tadの2段階で温度調節を行う場合であっても、図8で説明したような本実施形態の電気焼肉器は、従来の電気焼肉器100の感熱温度と比較して、発熱体20のONとOFFとの切り替えを遅延させることができ、ノイズが発生することなく、温度調節を行うことができる。
【符号の説明】
【0114】
1…電気焼肉器
10…調理プレート
12H…食材加熱領域
12K…食材保温領域
20…発熱体
21…発熱体本体
22…一対の発熱体基部
23…連結辺部
25…一対の幅広辺部
32…電熱線
32a…電熱線コイル部分
32b…電熱線非コイル部分
35…境界部
40…ソケッ
50…電気焼肉器本体
60…電気接続用プラグ
65…回転式温度調節レバー
66…温度調節回路部
67…接続端子
68…感熱棒
La…所定距離
Ta,Tau,Tad…所定の設定温度
Y1…差込方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理プレートと、該調理プレートを保持する電気調理器本体と、
通電によって発熱し、前記調理プレートに熱を供給する発熱体と、
前記調理プレート、及び、前記電気調理器本体のうち少なくとも一方側に設けられた差込口へ差込む電気接続用プラグとで構成し、
前記発熱体を、
前記調理プレートの表面よりも下側に配置した発熱体本体と、
前記差込口に配置した一対の発熱体基部とで構成し、
前記電気接続用プラグを、
前記差込口に差し込んだ状態において、前記一対の発熱体基部の先端と電気的に接続する接続端子と、
前記一対の発熱体基部の間に配置される感熱棒と、
該感熱棒が感熱した温度が所定の設定温度未満のときに前記発熱体を通電状態とし、前記設定温度に達したときに非通電状態とする切替えを行う温度調節部とで構成した電気調理器であって、
前記感熱棒から前記発熱体に至るまでの間に、熱容量を増加させる熱容量増加構造を備えた
電気調理器。
【請求項2】
前記発熱体を、発熱部分と非発熱部分とで構成し、
前記発熱部分を、前記発熱体のうち、前記発熱体本体の少なくとも一部分に構成するとともに、前記非発熱部分を、前記発熱体のうち、前記一対の発熱体基部の少なくとも一部分に構成し、
前記熱容量増加構造を、前記発熱部分を前記感熱棒から少なくとも所定距離だけ離間した位置に配置する構造とした
請求項1に記載の電気調理器。
【請求項3】
前記発熱体を長尺状に形成し、
前記発熱体の長さ方向の両端部分を前記一対の発熱体基部で構成するとともに、前記発熱体の長さ方向において前記一対の発熱体基部の間部分を前記発熱体本体で構成し、
前記発熱体に、該発熱体の長さ方向に沿って電熱線を備え、
前記発熱部分を、前記電熱線のうちコイル状部分である電熱線コイル部分で形成し、
前記非発熱部分を、前記電熱線のうち前記発熱体の長さ方向に沿う線状部分である電熱線非コイル部分で形成した
請求項2に記載の電気調理器。
【請求項4】
前記発熱体本体を環状に形成し、
前記一対の発熱体基部、及び、前記感熱棒を互いに平行に前記差込口への差込方向に沿って配置し、
前記発熱体本体に、前記一対の発熱体基部間の間隔よりも広い間隔を隔てた各側に、前記発熱体基部と平行に互いに対向するよう配置した一対の幅広辺部と、
前記発熱体基部と前記幅広辺部との間を連結する連結辺部とを備え、
前記発熱体の長さ方向において前記非発熱部分と前記発熱部分との境界部を、前記連結辺部に配置した
請求項3に記載の電気調理器。
【請求項5】
前記調理プレートを、
食材加熱領域と、該食材加熱領域よりも加熱温度が低い食材保温領域とに区分けして形成し、
前記食材加熱領域を、前記発熱部分を配置した部分を含む領域に設定し、
前記食材保温領域を、前記非発熱部分を配置した部分を含む領域に設定した
請求項4に記載の電気調理器。
【請求項6】
前記発熱体を前記調理プレートと接触状態で一体に構成した
請求項1から5のいずれかに記載の電気調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−42977(P2013−42977A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183305(P2011−183305)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000112233)ピーコック魔法瓶工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】