説明

電池、組電池及び車両

【課題】端子部材のうち外部配置端子部の外部接続部に大きな外力が掛かったときに、電池の内部と外部との間の電流経路を速やかに遮断できる電池等を提供すること。
【解決手段】電池100は、基部153eと立上部153fと外部接続部153gとを含んでクランク状をなす外部配置端子部153を有する端子部材150,160を備える。この外部配置端子部153には、屈曲して立上部153fと外部接続部153gとの間を結ぶ外側屈曲部153dに、β=Ta/Tbで与えられる切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部153vが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースと、これに収容された電極体と、電池ケースの内部で電極体に接続する一方、電池ケースを貫通して電池ケースの外部に延出する端子部材と、電池ケースと端子部材との間を絶縁する絶縁部材とを備える電池に関する。また、この電池を備える組電池、及び、この組電池を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池ケースと、これに収容された電極体と、電池ケースの内部で電極体に接続する一方、電池ケースを貫通して電池ケースの外部に延出する端子部材(正極端子部材及び負極端子部材)と、電池ケースと端子部材との間を絶縁する絶縁部材とを備える電池が知られている。この端子部材としては、電池ケースの外部に配置される部分(外部配置端子部)をクランク状に形成したものがあり、例えば、金属板材をその厚み方向に屈曲して、クランク状に成形している。
【0003】
例えば特許文献1に、このような端子部材を有する電池が開示されている(特許文献1の請求の範囲、図2〜図5等を参照)。この電池モジュール(電池)は、筺体(電池ケース)に絶縁体(絶縁部材)を介して固定された電極(端子部材)を備え、この電極は、筺体の外部に配置された金属端子(外部配置端子部)を有する。この金属端子は、金属板材をその厚み方向に屈曲してクランク状に成形したものである。即ち、この金属端子は、絶縁体を介して筺体に固定された板状の固定片と、この固定片の端部から屈曲して筺体から離れる方向に延びる板状の接続片と、この接続片の端部から屈曲して固定片と平行に延びる板状の端子片(外部接続部)とでクランク状をなす。
【0004】
更に、この特許文献1には、金属端子(外部配置端子部)のうち、固定片と接続片との間を結ぶ屈曲部、及び、接続片と端子片(外部接続部)との間を結ぶ屈曲部に、金属端子の他の部分よりも厚みや幅を小さくした剛性低下部(つまり、薄肉部)を設けることが記載されている(特許文献1の図12等を参照)。このような剛性低下部(薄肉部)を設けることで、金属端子の端子片(外部接続部)にナットを用いてバスバー(電池外接続端子)を接続(締結)する際に、端子片(外部接続部)に大きな締め付け力が掛かった場合には、この剛性低下部(薄肉部)が変形して外力を吸収する。これにより、金属端子の固定片にまで大きな外力が掛かるのを抑制できる。従って、金属端子の固定片を筺体に固定するためのリベットの変形や、固定片と筺体との間に配置された絶縁体の変形など、金属端子(その固定片)と筺体との固定部分が変形するのを抑制できる(固定部分のシール性が低下するのを防止できる)旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/084883号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電池やこれを用いた組電池を搭載した車両等では、車両等が衝突などで強い衝撃を受けたときに、電池の端子部材のうち外部配置端子部の外部接続部に大きな外力が掛かる場合がある。というのも、外部配置端子部の外部接続部には、例えば、自身の先端に圧着端子等の電池外接続端子を有するケーブル等が接続されている。このため、車両等が強い衝撃を受けると、ケーブル等が強く引っ張られるなどして、外部配置端子部の外部接続部に大きな外力が掛かることがある。そして、このような通常使用を越える大きな外力が掛かったときには、電池の内部と外部との間の電流経路を速やかに遮断できる構成を採用して、電池やこれを搭載する車両等の安全性を十分に高めることが望まれる。
【0007】
しかしながら、例えば特許文献1に記載の電池は、電池自身に電池の内部と外部との間の電流経路を遮断可能な電流遮断機構を有しない。このため、電池やこれを用いた組電池の製造時や使用時に、外部配置端子部(金属端子)の外部接続部(端子片)に大きな外力が掛かっても、前述のように屈曲部(薄肉とされた剛性低下部)が変形するだけであり、電池の内部と外部との間の電流経路を遮断できない。
一方、電池に電流遮断機構を別途設けると、部品点数が多くなるなどしてコスト高を招くと共に、電池やこれを用いた組電池の小型化の点でも不利である。
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電池に複雑な電流遮断機構を別途設けなくても、端子部材のうち外部配置端子部の外部接続部に大きな外力が掛かったときに、電池の内部と外部との間の電流経路を速やかに遮断できる電池を提供することを目的とする。また、この電池を備える組電池、及び、この組電池を搭載する車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、電池ケースと、前記電池ケース内に収容された電極体と、前記電池ケースに固設されてなり、前記電池ケースの内部で前記電極体に接続する一方、前記電池ケースを貫通して前記電池ケースの外部に延出してなる端子部材と、前記電池ケースと前記端子部材との間を絶縁する絶縁部材と、を備え、前記端子部材は、前記電池ケースの外部に配置され、電池外の接続端子である電池外接続端子が接続される外部配置端子部を有し、前記外部配置端子部は、金属板材をその厚み方向に屈曲成形してなり、前記電池ケースに沿って延びる基部と、前記基部の端部から屈曲して立ち上がる立上部と、前記立上部の端部から屈曲して、前記基部と平行に延び、前記電池外接続端子が接続される外部接続部と、を含んでクランク状をなす電池であって、前記外部配置端子部は、屈曲して前記立上部と前記外部接続部との間を結ぶ外側屈曲部に、切り欠き部を有し、前記外側屈曲部に繰り返し荷重を掛ける疲れ試験を行った場合において、前記切り欠き部を有しない形態の前記外側屈曲部の疲れ強さをTaとし、前記切り欠き部を設けた形態の前記外側屈曲部の疲れ強さをTbとしたとき、前記切り欠き部は、β=Ta/Tbで与えられる切り欠き係数βが、β≧1.5を満たす形態とされてなる電池である。
【0010】
前述したように、端子部材のうち外部配置端子部の外部接続部には、電池及びこれを用いた組電池の製造時や使用時に、大きな外力が掛かる場合がある。基部と立上部と外部接続部とを有してクランク状をなす外部配置端子部は、外部接続部に外力が掛かると、外部接続部と立上部との間を結ぶ外側屈曲部に最も応力が集中し易い。従って、この外側屈曲部に、切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部を設けておくことにより、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部に掛かったときに、この切り欠き部を起点にして外側屈曲部を破断させることができる。これにより、電池の内部と外部(外部接続部に接続される電池外接続端子等)との間の導通を速やかに遮断できる。よって、電池やこれを用いた組電池、車両等の安全性を十分に高めることができる。
【0011】
しかも、外部配置端子部の外側屈曲部に切り欠き部を設けるだけよく、複雑な電流遮断機構を別途設けなくても済むので、電池やこれを用いた組電池を安価にすることができると共に、電池や組電池の小型化も容易となる。
また、前述の特許文献1に記載の電池のように、外側屈曲部の全体を薄くして薄肉部とすると、抵抗増加を招くおそれもあるが、この電池では、外側屈曲部に切り欠き部を設けているだけなので、そのような抵抗増加を防止できる。
【0012】
なお、前述の電池において、前記切り欠き部を、切り欠き係数βがβ≦4.0を満たす形態とするのが好ましい。
前述のように、切り欠き係数βをβ≧1.5とすることで、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部に掛かったときに、切り欠き部を起点に外側屈曲部を破断させることができる。但し、切り欠き係数βの値が大き過ぎると、例えば外部配置端子部の外部接続部に電池外接続端子(例えばバスバーやケーブル等の圧着端子)を接続する際など、通常製造時や通常使用時においても、切り欠き部を起点に外側屈曲部が破断するおそれがある。これに対し、切り欠き係数βをβ≦4.0とすることにより、通常製造時や通常使用時において、切り欠き部を起点に外側屈曲部が破断するのを確実に防止できる。
【0013】
更に、上記の電池であって、前記外側屈曲部は、1/4円筒状をなし、前記外側屈曲部の外周面の半径をRdとし、前記金属板材の板厚をtとしたとき、Rd≦5tとなる形態に屈曲されてなる電池とすると良い。
【0014】
外側屈曲部の外周面の半径RdをRd≦5tと小さくすることにより、外部配置端子部の外部接続部に外力が掛かったときに、この外側屈曲部により大きな応力が集中する。従って、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部に掛かったときに、切り欠き部を起点にした外側屈曲部の破断を、より確実に生じさせることができる。
【0015】
また、他の態様は、複数の個別電池を直列に接続してなる組電池であって、複数の前記個別電池は、前記組電池の総正極端子をなす端子部材を有する最正極側電池、及び、前記組電池の総負極端子をなす端子部材を有する最負極側電池を含み、前記最正極側電池及び前記最負極側電池の少なくともいずれかは、上記のいずれかに記載の電池であり、かつ、前記切り欠き部を有する前記端子部材が、前記総正極端子または前記総負極端子をなす組電池である。
【0016】
複数の個別電池を直列に接続した組電池では、組電池の総正極端子をなす、最正極側電池の端子部材(正極端子部材)、及び、組電池の総負極端子をなす、最負極側電池の端子部材(負極端子部材)に、大きな外力が掛かる場合がある。というのも、総正極端子や総負極端子をなす端子部材には、組電池と外部と接続するためのケーブル等が接続されるため、バスバー等で接続される他の端子部材に比して、大きな外力が掛かる場合がある。従って、総正極端子や総負極端子をなす端子部材の外側屈曲部に、切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部を設けておくことにより、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が、これらの端子部材の外部接続部に掛かったときに、切り欠き部を起点にして外側屈曲部を破断させることができる。これにより、組電池と外部との間の導通を速やかに遮断できる。よって、組電池やこれを搭載した車両等の安全性を十分に高めることができる。
【0017】
しかも、外側屈曲部に切り欠き部を設けるだけよく、複雑な電流遮断機構を別途設けなくても済むので、組電池を安価にすることができると共に、組電池の小型化も容易となる。また、外側屈曲部に切り欠き部を設けているだけなので、前述のように外側屈曲部における抵抗増加を防止できる。
なお、上記の組電池において、前記切り欠き部を、切り欠き係数βがβ≦4.0を満たす形態とするのが好ましい。これにより、前述のように、通常製造時や通常使用時において、切り欠き部を起点に外側屈曲部が破断するのを確実に防止できる。
【0018】
また、他の態様は、複数の個別電池を直列に接続してなる組電池であって、複数の前記個別電池は、前記組電池の総正極端子をなす端子部材を有する最正極側電池を含み、前記最正極側電池は、上記のいずれかに記載の電池であり、かつ、前記切り欠き部を有する前記端子部材が、前記総正極端子をなす組電池である。
【0019】
複数の個別電池を直列に接続した組電池では、前述のように、組電池の総正極端子(最正極側電池の端子部材)及び総負極端子(最負極側電池の端子部材)に、大きな外力が掛かる場合がある。一方、組電池を車両等に搭載する場合には、一般に総負極端子を車体等に接地するので、総正極端子(最正極側電池の端子部材)を破断させることで、組電池と外部との間の導通をより安全に遮断できる。
【0020】
これに対し、この組電池では、総正極端子をなす端子部材の外側屈曲部に切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部を設けているので、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が、この端子部材の外部接続部に掛かったときに、この切り欠き部を起点にして外側屈曲部を破断させることができる。これにより、組電池と外部との間の導通をより安全に遮断できる。よって、組電池やこれを搭載した車両等の安全性を特に高めることができる。
【0021】
しかも、外側屈曲部に切り欠き部を設けるだけよく、複雑な電流遮断機構を別途設けなくても済むので、組電池を安価にすることができると共に、組電池の小型化も容易となる。また、外側屈曲部に切り欠き部を設けているだけなので、前述のように外側屈曲部における抵抗増加を防止できる。
なお、上記の組電池において、前記切り欠き部を、切り欠き係数βがβ≦4.0を満たす形態とするのが好ましい。これにより、前述のように、通常製造時や通常使用時において、切り欠き部を起点に外側屈曲部が破断するのを確実に防止できる。
【0022】
また、他の態様は、上記のいずれかに記載の組電池を搭載し、前記組電池に蓄えた電気エネルギを動力源の全部または一部に使用する車両である。
【0023】
前述のように、組電池は、総正極端子や総負極端子をなす端子部材のうち外部配置端子部の外部接続部に大きな外力が掛かったときに、外側屈曲部を破断させて、組電池と外部との間の導通を速やかに遮断できる。従って、これを搭載した車両も、安全性が良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に係るリチウムイオン二次電池を示す縦断面図である。
【図2】実施形態1に係り、電極体を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係り、正極板及び負極板をセパレータを介して互いに重ねた状態を示す部分平面図である。
【図4】実施形態1に係り、ケース蓋部材、正極端子部材及び負極端子部材等を示す分解斜視図である。
【図5】実施形態1に係り、外部配置端子部材を示す斜視図である。
【図6】実施形態1に係り、外部配置端子部材を示す側面図である。
【図7】実施形態2に係り、外部配置端子部材を示す斜視図である。
【図8】実施形態3に係り、ケース蓋部材、正極端子部材及び負極端子部材等を示す分解斜視図である。
【図9】実施形態3に係り、外部配置端子部の要部を示す斜視図である。
【図10】実施形態4に係る組電池を示す説明図である
【図11】実施形態5に係るハイブリッド自動車を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態1に係るリチウムイオン二次電池(電池)100(以下、単に電池100とも言う)を示す。また、図2及び図3に、この電池100を構成する捲回型の電極体120及びこれを展開した状態を示す。また、図4に、端子部材(正極端子部材150及び負極端子部材160)等の詳細を示し、図5及び図6に、端子部材150,160の外部配置端子部材153を示す。なお、図1,図4〜図6における上方を電池100の上側、下方を電池100の下側として説明する。
【0026】
この電池100は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両や、ハンマードリル等の電池使用機器に搭載される角型電池である。この電池100は、角型の電池ケース110、この電池ケース110内に収容された捲回型の電極体120、電池ケース110に支持された端子部材(正極端子部材150及び負極端子部材160)、電池ケース110と端子部材150,160との間を絶縁する絶縁部材170,170等から構成されている(図1参照)。また、電池ケース110内には、非水系の電解液117が保持されている。
【0027】
このうち電池ケース110は、金属(具体的にはアルミニウム)により形成されている。この電池ケース110は、上側のみが開口した箱状のケース本体部材111と、このケース本体部材111の開口111hを閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材113とから構成されている。このうちケース蓋部材113には、電池ケース110の内圧が所定圧力に達した際に破断する安全弁113jが設けられている(図1及び図4参照)。また、このケース蓋部材113には、注液孔113eが設けられ、封止部材114で気密に封止されている。また、ケース蓋部材113のうち、その長手方向(図4中、左右方向)の両端近傍の所定位置には、このケース蓋部材113を貫通する端子挿通孔113h,113hがそれぞれ形成されている。一方の端子挿通孔113h(図4中、左側)には、後述する正極端子部材150が挿通され、他方の端子挿通孔113h(図4中、右側)には、後述する負極端子部材160が挿通されている。
【0028】
次に、電極体120について説明する。この電極体120は、絶縁フィルムを上側のみが開口した袋状に形成した絶縁フィルム包囲体115内に収容され、横倒しにした状態で電池ケース110内に収容されている(図1参照)。この電極体120は、帯状の正極板121と帯状の負極板131とを、帯状のセパレータ141を介して互いに重ねて(図3参照)、軸線AX周りに捲回し、扁平状に圧縮したものである(図2参照)。
【0029】
正極板121は、芯材として、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔122を有する。この正極集電箔122の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上には、それぞれ正極活物質層123,123が長手方向(図3中、左右方向)に帯状に設けられている。これらの正極活物質層123,123は、正極活物質、導電剤及び結着剤から形成されている。
【0030】
正極板121のうち、自身の厚み方向に正極集電箔122及び正極活物質層123,123が存在する帯状の部位が、正極部121wである。この正極部121wは、電極体120を構成した状態において、その全域がセパレータ141を介して負極板131の後述する負極部131wと対向している(図3参照)。また、正極板121に正極部121wを設けたことに伴い、正極集電箔122のうち、幅方向の片方の端部(図3中、上方)は、長手方向に帯状に延び、自身の厚み方向に正極活物質層123が存在しない正極集電部121mとなっている。この正極集電部121mの幅方向の一部は、セパレータ141から軸線AX方向の一方側SAに渦巻き状をなして突出しており、後述する正極端子部材150と接続している(図1,図2参照)。
【0031】
また、負極板131は、芯材として、帯状の銅箔からなる負極集電箔132を有する。この負極集電箔132の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上には、それぞれ負極活物質層133,133が長手方向(図3中、左右方向)に帯状に設けられている。これらの負極活物質層133,133は、負極活物質、結着剤及び増粘剤から形成されている。
【0032】
負極板131のうち、自身の厚み方向に負極集電箔132及び負極活物質層133,133が存在する帯状の部位が、負極部131wである。この負極部131wは、電極体120を構成した状態において、その全域がセパレータ141と対向している。また、負極板131に負極部131wを設けたことに伴い、負極集電箔132のうち、幅方向の片方の端部(図3中、下方)は、長手方向に帯状に延び、自身の厚み方向に負極活物質層133が存在しない負極集電部131mとなっている。この負極集電部131mの幅方向の一部は、セパレータ141から軸線AX方向の他方側SBに渦巻き状をなして突出しており、後述する負極端子部材160と接続している(図1,図2参照)。
【0033】
また、セパレータ141は、樹脂、具体的にはポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)からなる多孔質膜であり、帯状をなす。
【0034】
次に、端子部材(正極端子部材150及び負極端子部材160)について説明する(図1,図4〜図6を参照)。正極端子部材150と負極端子部材160は、基本的に同様な構成であるので、これらを構成する各部材には、正極端子部材150と負極端子部材160とで同一の符号を付して説明する。正極端子部材150は、前述のように電池ケース110内において電極体120の正極集電部121mに接続する一方、電池ケース110(ケース蓋部材113)を貫通して(端子挿通孔113hを通じて)、電池ケース110の外部(ケース蓋部材113上)に延出している。また、負極端子部材160は、前述のように電池ケース110内において電極体120の負極集電部131mに接続する一方、電池ケース110(ケース蓋部材113)を貫通して(端子挿通孔113hを通じて)、電池ケース110の外部(ケース蓋部材113上)に延出している。
【0035】
これらの端子部材150,160は、いずれも金属により形成された3種類の部材(要素接続部材151、外部配置端子部材153及び締結部材155)から構成されている。なお、正極端子部材150は、電極体120の正極集電箔122(アルミニウム箔)との溶接を考慮して、アルミニウムにより形成されており、負極端子部材160は、電極体120の負極集電箔132(銅箔)との溶接を考慮して、銅により形成されている。
このうち要素接続部材151は、電池ケース110の内部から端子挿通孔113hを通じてケース蓋部材113上に延出している。また、外部配置端子部材153は、この要素接続部材151に接続した状態で、ケース蓋部材113上に配置されている。また、締結部材155は、この外部配置端子部材153(その外部接続部153g)に接続可能(当接可能)に、ケース蓋部材113上に配置されている。
【0036】
要素接続部材151は、要素接続本体部151eと挿通部151fと加締部151gとからなる。このうち要素接続本体部151eは、金属板材を屈曲成形した所定形状を有し、電池ケース110の内部に配置されて、電極体120(その正極集電部121mまたは負極集電部131m)に接続(溶接)されている。
挿通部151fは、円柱状をなし、要素接続本体部151eと加締部151gとの間に位置して、これらに連なっている。この挿通部151fは、ケース蓋部材113の端子挿通孔113h及び後述する外部配置端子部材153の基部153eの固定孔153ehに挿通されている。
加締部151gは、加締められ拡径されて傘状をなし、後述する外部配置端子部材153の基部153eにその上側から接続している。なお、図4中、左側に示す要素接続部材151では、加締部151gを形成する前の状態を記載してある。
【0037】
また、外部配置端子部材(外部配置端子部)153は、厚みt(本実施形態1では1.5mm)の金属板材をその厚み方向に屈曲成形したものであり、基部153eと立上部153fと外部接続部153gとを含んでクランク状(Z字状)をなす。このうち基部153eは、矩形板状をなし、ケース蓋部材113に沿って延び、後述する絶縁部材170(その外部絶縁部材171)を介してケース蓋部材113に固定されている。この基部153eには、自身を貫通する固定孔153ehが設けられ、前述のように要素接続部材151の挿通部151fが挿通されるている。また、この基部153eには、前述のように要素接続部材151の加締部151gが接続(溶接)されている。
【0038】
立上部153fは、矩形板状をなし、基部153eの端部153ekから屈曲して立ち上がり、ケース蓋部材113から離れる方向に延びている。
外部接続部153gは、板状をなし、立上部153fの端部153fkから屈曲して、基部153eと平行に延びている。この外部接続部153gには、自身を貫通するネジ挿通孔153ghが設けられている。この外部接続部153gには、電池外の接続端子である電池外接続端子が接続される。電池外接続端子としては、後述するように、ケーブル620,630の先端に取り付けた圧着端子621,631やバスバー610など挙げられる(図10参照)。
【0039】
また、屈曲して基部153eと立上部153fとの間を結ぶ内側屈曲部153cは、1/4円筒状をなす。この内側屈曲部153cの外周面153cn(図5及び図6中、下側に位置する面)の半径Rcは、3.0mmである。
また、屈曲して立上部153fと外部接続部153gとの間を結ぶ外側屈曲部153dも、同様に1/4円筒状をなす。この外側屈曲部153dの外周面153dn(図5及び図6中、上側に位置する面)の半径Rdは、3.0mmである。前述のように金属板材の厚みtは1.5mmであるので、この外側屈曲部153dは、Rd≦5tとなる形態に屈曲されている。
【0040】
次に、この外部配置端子部材153に設けられた切り欠き部153vについて説明する。この切り欠き部153vは、外側屈曲部153dの外周面153dnに設けられている。具体的には、この切り欠き部153vは、V字溝であり、外側屈曲部153dの中央(立上部153fと外部接続部153gとの間の中央)に、幅方向HCの全体にわたって(幅方向HCの一端から他端まで)形成されている。この切り欠き部153vは、深さが0.1mmであり、開口幅が0.2mmである。
【0041】
ここで、この外部配置端子部材153を試験片として用意し、外側屈曲部153dに繰り返し荷重を掛ける疲れ試験を行って、外側屈曲部153dの疲れ強さTbを求めた。具体的には、外部配置端子部材153を電気油圧式試験機にセットし、外部配置端子部材153の基部153eと外部接続部153gとをそれぞれ電気油圧式試験機の所定位置に固定する。基部153eを固定し、外部接続部153gを引っ張り、片振りの試験とした。制御は、荷重制御にて行い、外部配置端子部材153(外側屈曲部153d)に繰り返し荷重を掛ける。この疲れ試験を複数の試験片について行って、S−N曲線(S−N線図)を求め、外側屈曲部153dの疲れ強さTbを得た。
【0042】
また、切り欠き部153vを設けないで、それ以外はこの外部配置端子部材153と同様とした試験片を用意し、上記の疲れ試験を同様に行って、外側屈曲部の疲れ強さTa求めた。そして、β=Ta/Tbで与えられる切り欠き係数βを求めた。なお、疲れ強さTa,Tb及び切り欠き係数βは、「JISG0202 鉄鋼用語(試験)」に準拠している。
本実施形態1に係る切り欠き部153vは、切り欠き係数βが1.5≦β≦4.0を満たしている。具体的には、切り欠き係数β=1.9である。
【0043】
次に、締結部材155について説明する(図1及び図4参照)。この締結部材155は、自身の外周に雄ネジが形成された雄ネジ部155eと、これよりも径大で概略六角形状をなす径大部155fとからなる。このうち雄ネジ部155eは、外部配置端子部材153の外部接続部153gのネジ挿通孔153ghに挿通され、ケース蓋部材113に直交する方向(上下方向)に延びている。
径大部155fは、外部配置端子部材153の外部接続部153gよりもケース蓋部材113側(下側)に配置されると共に、後述する絶縁部材170(その外部絶縁部材171の径大部用凹部171fn)に嵌合している。これにより、締結部材155がその軸線周りに回転不能な状態となっている。
【0044】
次に、絶縁部材170,170について説明する(図1及び図4参照)。この絶縁部材170は、いずれも樹脂により形成された3種類の部材(外部絶縁部材171、シールゴム173及び内部絶縁部材175)から構成されている。
このうち外部絶縁部材171は、電池ケース110の外部(ケース蓋部材113上)において、外部配置端子部材153及び締結部材155とケース蓋部材113との間に配置されて、これらの間を絶縁している。この外部絶縁部材171には、平面視矩形状の基部用凹部171fmと、平面視六角形状の径大部用凹部171fnとが設けられており、基部用凹部171fmには、外部配置端子部材153の基部153eが嵌合しており、径大部用凹部171fnには、前述のように締結部材155の径大部155fが嵌合している。また、この外部絶縁部材171は、要素接続部材151の挿通部151fとケース蓋部材113の端子挿通孔113hとの間にも介在し、これらの間を絶縁している。
【0045】
シールゴム173は、円環板状をなし、電池ケース110の内部において、ケース蓋部材113と要素接続部材151の要素接続本体部151eとの間に、厚み方向に圧縮された状態で狭持されている。また、このシールゴム173の内側には、要素接続部材151の挿通部151fが挿通されている。これにより、ケース蓋部材113と要素接続部材151の要素接続本体部151eとの間の絶縁及びシールが行われている。
【0046】
内部絶縁部材175は、電池ケース110の内部において、シールゴム173の径方向外側に配置されると共に、ケース蓋部材113と要素接続部材151の要素接続本体部151eとの間に配置されている。これにより、シールゴム173の厚みを所定の厚みに規制すると共に、ケース蓋部材113と要素接続部材151の要素接続本体部151eとの間を絶縁している。また、この内部絶縁部材175は、ケース蓋部材113と電極体120との間に配置され、ケース蓋部材113と電極体120とが接触するのを確実に防止している。
【0047】
以上で説明したように、本実施形態1に係る電池100は、電池ケース110と、電池ケース110内に収容された電極体120と、電池ケース110に固設されてなり、電池ケース110の内部で電極体120に接続する一方、電池ケース110を貫通して電池ケース110の外部に延出してなる端子部材150,160と、電池ケース110と端子部材150,160との間を絶縁する絶縁部材170とを備える。
【0048】
このうち端子部材150,160は、電池ケース110の外部に配置され、電池外の接続端子である電池外接続端子が接続される外部配置端子部(外部配置端子部材)153を有する。この外部配置端子部153は、金属板材をその厚み方向に屈曲成形してなり、電池ケース110に沿って延びる板状の基部153eと、基部153eの端部153ekから屈曲して立ち上がる立上部153fと、立上部153fの端部153fkから屈曲して、基部153eと平行に延び、電池外接続端子が接続される外部接続部153gとを含んでクランク状をなす。
【0049】
そして、外部配置端子部153は、屈曲して立上部153fと外部接続部153gとの間を結ぶ外側屈曲部153dに、切り欠き部153vを有する。外側屈曲部に繰り返し荷重を掛ける疲れ試験を行った場合において、切り欠き部153vを有しない形態の外側屈曲部の疲れ強さをTaとし、切り欠き部153vを設けた形態の外側屈曲部153dの疲れ強さをTbとしたとき、切り欠き部153vは、β=Ta/Tbで与えられる切り欠き係数βが、β≧1.5を満たす形態とされてなる。
【0050】
端子部材150,160のうち外部配置端子部材153の外部接続部153gには、電池100及びこれを用いた組電池の製造時や使用時に、大きな外力が掛かる場合がある。基部153eと立上部153fと外部接続部153gと有してクランク状をなす外部配置端子部材153は、外部接続部153gに外力が掛かると、外部接続部153gと立上部153fとの間を結ぶ外側屈曲部153dに最も応力が集中し易い。従って、この外側屈曲部153dに、切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部153vを設けておくことにより、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部153gに掛かったときに、切り欠き部153vを起点として外側屈曲部153dを破断させることができる。これにより、電池100の内部と外部(外部接続部153gに接続される電池外接続端子等)との間の導通を速やかに遮断できる。よって、電池100やこれを用いた組電池、車両等の安全性を十分に高めることができる。
【0051】
しかも、外部配置端子部材153の外側屈曲部153dに切り欠き部153vを設けるだけよく、複雑な電流遮断機構を別途設けなくても済むので、電池100及びこれを用いた組電池を安価にすることができると共に、電池100や組電池の小型化も容易となる。
また、前述の特許文献1に記載の電池のように、外側屈曲部153dの全体を薄くして薄肉部とすると、抵抗増加を招くおそれもあるが、この電池100では、外側屈曲部153dに切り欠き部153vを設けているだけなので、そのような抵抗増加は生じない。
【0052】
一方で、切り欠き部153vは、切り欠き係数βがβ≦4.0を満たす形態とされている。切り欠き係数βの値が大き過ぎると、例えば外部配置端子部153の外部接続部153gに電池外接続端子を接続する際など、通常製造時や通常使用時においても、切り欠き部153vを起点に外側屈曲部153dが破断するおそれがある。これに対し、切り欠き係数βをβ≦4.0とすることにより、通常製造時や通常使用時において、切り欠き部153vを起点に外側屈曲部153dが破断するのを確実に防止できる。
【0053】
更に、本実施形態1では、外側屈曲部153dは、1/4円筒状をなし、外側屈曲部153dの外周面153dnの半径をRdとし、金属板材の板厚をtとしたとき、Rd≦5tとなる形態に屈曲されてなる。
このように外側屈曲部153dの半径Rdを小さくすることにより、外部配置端子部材153の外部接続部153gに外力が掛かったときに、この外側屈曲部153dにより大きな応力が集中する。従って、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部153gに掛かったときに、切り欠き部153vを起点にした外側屈曲部153dの破断を、より確実に生じさせることができる。
【0054】
次いで、上記電池100の製造方法について説明する。まず、別途形成した帯状の正極板121及び負極板131を、帯状のセパレータ141を介して互いに重ね(図3参照)、巻き芯を用いて軸線AX周りに捲回する。その後、これを扁平状に圧縮して電極体120を形成する(図2参照)。
【0055】
また、要素接続部材151、外部配置端子部材153及び締結部材155と、ケース蓋部材113と、外部絶縁部材171、シールゴム173及び内部絶縁部材175とをそれぞれ用意する。外部配置端子部材153の切り欠き部153vは、金属板材をクランク状に屈曲する際に、プレス加工により形成する。
そして、ケース蓋部材113に、絶縁部材170(外部絶縁部材171、シールゴム173及び内部絶縁部材175)を介して、端子部材150,160(要素接続部材151、外部配置端子部材153及び締結部材155)を固定する(図4参照)。
【0056】
次に、正極端子部材150の要素接続部材151を電極体120の正極集電部121mに溶接すると共に、負極端子部材160の要素接続部材151を電極体120の負極集電部131mに溶接する。
その後、ケース本体部材111及び絶縁フィルム包囲体115を用意し、ケース本体部材111内に絶縁フィルム包囲体115を介して電極体120を収容すると共に、ケース本体部材111の開口111hをケース蓋部材113で塞ぐ。そして、レーザ溶接により、ケース本体部材111とケース蓋部材113とを溶接して、電池ケース110を形成する。
次に、注液孔113eから電池ケース110内に電解液117を注液し、その後、封止部材114で注液孔113eを気密に封止する。かくして、電池100が完成する。
【0057】
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態について説明する。本実施形態2に係るリチウムイオン二次電池(電池)200では、外部配置端子部材253に設けた切り欠き部253vの形態(図7参照)が、上記実施形態1に係る切り欠き部153vの形態と異なる。それ以外は、上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
【0058】
本実施形態2に係る端子部材(正極端子部材250及び負極端子部材260)は、図5及び図6に示した外部配置端子部材153の代わりに、図7に示す外部配置端子部材(外部配置端子部)253を有する。
この外部配置端子部材253は、上記実施形態1に係る外部配置端子部材153と同様に、厚みt(=1.5mm)の金属板材をその厚み方向に屈曲成形したものであり、基部253eと立上部253fと外部接続部253gとを含んでクランク状(Z字状)をなす。
また、この外部配置端子部材253は、外周面253cnの半径Rc(=3.0mm)が上記実施形態1と同様な1/4円筒状の内側屈曲部253cを有すると共に、外周面253dnの半径Rd(=3.0mm)が上記実施形態1と同様な1/4円筒状の外側屈曲部253dを有する。従って、本実施形態2でも、外側屈曲部253dは、Rd≦5tとなる形態に屈曲されている。
【0059】
この外側屈曲部253dには、2つの切り欠き部253v,253vが設けられている。これらの切り欠き部253v,253vは、それぞれV字溝であり、外側屈曲部253dの中央(立上部253fと外部接続部253gとの間の中央)に設けられると共に、互いに間隔をあけて幅方向HCの一端と他端にそれぞれ設けられている。
この外部配置端子部材253を試験片として用意し、上記実施形態1と同様に前述の疲れ試験を行って、その外側屈曲部253dの疲れ強さTbを求めた。また、切り欠き部253vを設けないで、それ以外はこの外部配置端子部材253と同様とした試験片を用意し、疲れ試験を同様に行って、その外側屈曲部の疲れ強さTa求めた。そして、β=Ta/Tbで与えられる切り欠き係数βを求めた。
本実施形態2に係る切り欠き部253vは、切り欠き係数βが1.5≦β≦4.0を満たしている。具体的には、切り欠き係数β=1.7である。
【0060】
このように、本実施形態2でも、外部配置端子部材253の外側屈曲部253dに、切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部253v,253vを設けているので、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部253gに掛かったときに、これらの切り欠き部253v,253vをそれぞれ起点にして外側屈曲部253dを破断させることができる。これにより、電池200の内部と外部(外部接続部253gに接続される電池外接続端子等)との間の導通を速やかに遮断できる。よって、電池200やこれを用いた組電池、車両等の安全性を十分に高めることができる。
【0061】
しかも、外側屈曲部253dに切り欠き部253v,253vを設けるだけよく、複雑な電流遮断機構を別途設けなくても済むので、電池200やこれを用いた組電池を安価にすることができると共に、電池200や組電池の小型化も容易となる。また、外側屈曲部253dに切り欠き部253v,253vを設けているだけなので、外側屈曲部253dにおける抵抗増加を防止できる。その他、上記実施形態1と同様な部分は、上記実施形態1と同様な作用効果を奏する。
【0062】
(実施形態3)
次いで、第3の実施の形態について説明する。本実施形態3に係るリチウムイオン二次電池(電池)300では、端子部材350,360及び絶縁部材370の形態(図8及び図9参照)が、上記実施形態1,2に係る電池100,200の端子部材150,160,250,260及び絶縁部材170の形態と異なる。それ以外は、上記実施形態1と同様であるので、上記実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
【0063】
上記実施形態1,2に係る端子部材150,160,250,260は、3種類の金属部材(要素接続部材151、外部配置端子部材153,253及び締結部材155)から構成されていたのに対し、本実施形態3に係る端子部材(正極端子部材350及び負極端子部材360)は、2種類の金属部材(延出部材352及び締結部材355)から構成されている。即ち、本実施形態3では、上記実施形態1,2に係る要素接続部材151と外部配置端子部材153,253とが一体化されて、1つの部材(延出部材352)となっている。
【0064】
この延出部材352は、電池ケース310の内部から端子挿通孔313hを通じてケース蓋部材313上に延出している。この延出部材252は、厚みt(本実施形態3では1.5mm)の金属板材をその厚み方向に屈曲成形したものであり、要素接続部351と外部配置端子部353とからなる。
このうち要素接続部351は、要素接続本体部351eと挿通部351fとからなる。要素接続本体部351eは、金属板材を屈曲加工した所定形状を有し、電池ケース310の内部に配置されて、電極体120(その正極集電部121mまたは負極集電部131m)に接続(溶接)されている。また、挿通部351fは、金属板材を屈曲加工した所定形状を有し、ケース蓋部材313の端子挿通孔313hに挿通されて、電池ケース310の内部から外部に延出し、後述する外部配置端子部353の基部353eに連なっている。
【0065】
また、外部配置端子部353は、基部353eと立上部353fと外部接続部353gとを含んでクランク状(Z字状)をなし、電池ケース310の外部(ケース蓋部材313上)に配置されている。
基部353eは、板状をなし、ケース蓋部材313に沿って延び、後述する絶縁部材370を介してケース蓋部材313に固定されている。この基部353eは、前述のように、要素接続部351の挿通部351fと連なっている。
立上部353fは、矩形板状をなし、基部353eの端部353ekから屈曲して立ち上がり、ケース蓋部材313から離れる方向に延びている。
外部接続部353gは、板状をなし、立上部353fの端部353fkから屈曲して、基部353eと平行に延びている。この外部接続部353gには、自身を貫通するネジ挿通孔353ghが設けられている。
【0066】
また、屈曲して基部353eと立上部353fとの間を結ぶ内側屈曲部353cは、1/4円筒状をなし、その外周面353cnの半径Rcは、3.0mmである。
また、屈曲して立上部353fと外部接続部353gとの間を結ぶ外側屈曲部353dも、同様に1/4円筒状をなし、その外周面353dnの半径Rdは、3.0mmである。前述のように金属板材の厚みtは1.5mmであるので、この外側屈曲部353dは、Rd≦5tとなる形態に屈曲されている。
【0067】
次に、この外部配置端子部353に設けられた切り欠き部353vについて説明する。この切り欠き部353vは、外側屈曲部353dに設けられている。具体的には、この切り欠き部353vは、上記実施形態1と同様な大きさのV字溝であり、外側屈曲部353dの中央(立上部353fと外部接続部353gとの間の中央)に、幅方向HCの全体にわたって(幅方向HCの一端から他端まで)形成されている。この切り欠き部353vの切り欠き係数βは、上記実施形態1と同様にβ=1.9であり、1.5≦β≦4.0を満たしている。
【0068】
次に、締結部材355について説明する。この締結部材355は、外部配置端子部材353の外部接続部353gに接続可能(当接可能)に、ケース蓋部材313上に配置されている。この締結部材355は、自身の外周に雄ネジが形成された雄ネジ部355eと、これよりも径大な径大部355fとからなる。このうち雄ネジ部355eは、外部接続部353gのネジ挿通孔353ghに挿通されている。
【0069】
一方、径大部355fは、外部接続部353gよりもケース蓋部材313側に配置されている。また、この径大部355fには、ケース蓋部材313側とは逆側(上側)に凹み、ケース蓋部材313側(下側)に開口する、平面視六角形状の凹部355fcが形成されている。そして、この凹部355fc内には、後述する絶縁部材370の一部が充填形成されている。これにより、締結部材355がその軸線周りに回転不能な状態となっている。
【0070】
次に、絶縁部材370,370について説明する(図8参照)。上記実施形態1,2に係る絶縁部材370は、3種類の部材(外部絶縁部材171、シールゴム173及び内部絶縁部材175)から構成されていたのに対し、本実施形態3に係る絶縁部材370は、1つの絶縁部材のみからなる。
この絶縁部材370は、主として電池ケース310の外部(ケース蓋部材313上)に配置されると共に、一部がケース蓋部材313の端子挿通孔313h内、及び、電池ケース310のに内部にも配置されている。この絶縁部材370は、端子部材350,360(延出部材352及び締結部材355)並びにケース蓋部材313を用いた樹脂インサート成形により、一体的に形成されている。これにより、端子部材350,360(延出部材352及び締結部材355)とケース蓋部材313との間が絶縁されている。
【0071】
以上で説明したように、本実施形態3でも、外部配置端子部353の外側屈曲部353dに、切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部353vを設けているので、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部353gに掛かったときに、切り欠き部353vを起点にして外側屈曲部353dを破断させることができる。これにより、電池300の内部と外部(外部接続部353gに接続される電池外接続端子等)との間の導通を速やかに遮断できる。よって、電池300やこれを用いた組電池、車両等の安全性を十分に高めることができる。
【0072】
しかも、外側屈曲部353dに切り欠き部353vを設けるだけよく、複雑な電流遮断機構を別途設けなくても済むので、電池300及びこれを用いた組電池を安価にすることができると共に、電池300や組電池の小型化も容易となる。また、外側屈曲部353dに切り欠き部353vを設けているだけなので、外側屈曲部353dにおける抵抗増加を防止できる。その他、上記実施形態1または2と同様な部分は、上記実施形態1または2と同様な作用効果を奏する。
【0073】
(実施形態4)
次いで、第4の実施の形態について説明する。本実施形態4に係る組電池600は、互いに直列に接続された上記実施形態1に係るリチウムイオン二次電池(個別電池)100を複数(本実施形態4では28個)備える(図10参照)。
これらの個別電池(電池)100,100,…は、電池100の厚み方向(図10中、左右方向)に並べられた状態で、互いに直列に接続されている。具体的には、隣り合う電池100,100同士の正極端子部材150と負極端子部材160とが、略矩形板状のバスバー(電池外接続端子)610を介して接続されている。
【0074】
即ち、隣り合う一方の電池100の正極端子部材150のうち、外部配置端子部材153の外部接続部153gに、バスバー610を当接させて、締結部材155の雄ネジ部155eにナット611を締結している。また隣り合う他方の電池100の負極端子部材160のうち、外部配置端子部材153の外部接続部153gに、このバスバー610を当接させて、締結部材155の雄ネジ部155eにナット611を締結している。これにより、隣り合う電池100,100同士の正極端子部材150と負極端子部材160とがバスバー610により接続されている。
【0075】
組電池600を構成する複数の電池100,100,…のうち、図10中、右端に位置する電池100は、組電池600の総正極端子650をなす正極端子部材(端子部材)150xを有する最正極側電池100xである。一方、組電池600を構成する複数の電池100,100,…のうち、図10中、左端に位置する電池100は、組電池600の総負極端子660をなす負極端子部材(端子部材)160yを有する最負極側電池100yである。
【0076】
上記実施形態1で説明したように、各電池100,100,…は、端子部材150,160(その外部配置端子部153の外側屈曲部153d)に、それぞれ、切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部153vが設けられている。従って、最正極側電池100xの正極端子部材150xにも、最負極側電池100yの負極端子部材160yにも、この切り欠き部153vが設けられている。
【0077】
組電池600の総正極端子650(最正極側電池100xの正極端子部材150x)には、自身の先端に圧着端子(電池外接続端子)621が取り付けられた正極用ケーブル620が接続されている。具体的には、正極端子部材150xのうち、外部配置端子部材153の外部接続部153gに、正極用ケーブル620の圧着端子621を当接させて、締結部材155の雄ネジ部155eにナット611を締結することにより、正極端子部材150xに正極用ケーブル620が接続されている。
【0078】
また、組電池600の総負極端子660(最負極側電池100yの負極端子部材160y)には、自身の先端に圧着端子(電池外接続端子)631が取り付けられた負極用ケーブル630が接続されている。具体的には、負極端子部材160xのうち、外部配置端子部材153の外部接続部153gに、負極用ケーブル630の圧着端子631を当接させて、締結部材155の雄ネジ部155eにナット611を締結することにより、負極端子部材160xに負極用ケーブル630が接続されている。
【0079】
なお、本実施形態4では、上記実施形態1に係る電池100を用いて組電池600を構成しているが、この電池100に代わりに、上記実施形態2または3に係る電池200,300を用いて、組電池600を構成してもよい。
【0080】
以上で説明したように、本実施形態4に係る組電池600は、複数の個別電池100,200,300を直列に接続してなる。これら複数の個別電池100,200,300は、組電池600の総正極端子650をなす端子部材150x,250x,350xを有する最正極側電池100x,200x,300x、及び、組電池600の総負極端子660をなす端子部材160y,260y,360yを有する最負極側電池100y,200y,300yを含む。そして、最正極側電池100x,200x,300x及び最負極側電池100y,200y,300yは、上記実施形態1〜3のいずれかに記載の電池100,200,300であり、かつ、切り欠き部153v,253v,353vを有する端子部材150x,250x,350x,160y,260y,360yが、総正極端子650または総負極端子660をなす。
【0081】
複数の個別電池100等を直列に接続した組電池600では、組電池600の総正極端子650をなす、最正極側電池100x等の端子部材(正極端子部材)150x等、及び、組電池600の総負極端子660をなす、最負極側電池100y等の端子部材(負極端子部材)260y等に、大きな外力が掛かる場合がある。というのも、総正極端子650や総負極端子660をなす端子部材150x,160y等には、組電池600と外部と接続するための正極用ケーブル620及び負極用ケーブル630が接続されるため、バスバー610で接続される他の端子部材150,160等に比して、大きな外力が掛かる場合がある。
【0082】
従って、総正極端子650や総負極端子660をなす端子部材150x,160y等の外側屈曲部153d等に、切り欠き係数βがβ≧1.5を満たす形態の切り欠き部153v等を設けておくことにより、通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が、これらの端子部材150x,160y等の外部接続部153g等に掛かったときに、この切り欠き部153v等を起点にして外側屈曲部153d等を破断させることができる。これにより、組電池600と外部との間の導通を速やかに遮断できる。よって、組電池600やこれを搭載した車両等の安全性を十分に高めることができる。
【0083】
また、この組電池600を車両等に搭載する場合には、一般に総負極端子660を車体等に接地する。従って、総正極端子650をなす端子部材150x等に切り欠き部153v等を設けておくことにより、この端子部材150x等に大きな外力が掛かったときに、その外側屈曲部153d等を破断させることができる。これにより、組電池600と外部との間の導通をより安全に遮断できる。よって、組電池600やこれを搭載した車両等の安全性を特に高めることができる。
【0084】
また、外側屈曲部153d等に切り欠き部153v等を設けるだけよく、複雑な電流遮断機構を別途設けなくても済むので、組電池600を安価にすることができると共に、組電池600の小型化も容易となる。また、外側屈曲部153d等に切り欠き部153v等を設けているだけなので、外側屈曲部153d等における抵抗増加を防止できる。
また一方で、切り欠き部153v等を、切り欠き係数βがβ≦4.0を満たす形態としているので、前述のように、通常製造時や通常使用時において、切り欠き部153v等を起点に外側屈曲部153d等が破断するのを確実に防止できる。
【0085】
(試験結果)
ここで、本発明の効果を確認するために行った試験結果について説明する。
実施例1として、切り欠き部153vの切り欠き係数βがβ=1.9である上記実施形態1の電池100からなる上記実施形態4に係る組電池600を用意した。
また、実施例2〜4として、切り欠き係数がβ=2.5、3.5または2.0となるように、切り欠き部153vの大きさ(溝の幅及び深さ)をそれぞれ調整し、それ以外は上記実施形態1と同様にした3種類の電池をそれぞれ用意した。そして、これらの電池を用いて上記実施形態4と同様な組電池をそれぞれ製造した。
【0086】
また、比較例1として、切り欠き部153vを設けずに、それ以外は上記実施形態1と同様にした電池を用意し、この電池を用いて上記実施形態4と同様な組電池を製造した。
また、比較例2として、切り欠き部153vを設ける代わりに、外側屈曲部153dの全体を薄くし(全体を厚み0.05mmの薄肉部とし)、それ以外は上記実施形態1と同様にした電池を用意し、この電池を用いて上記実施形態4と同様な組電池を製造した。
なお、次述する振動試験を行うにあたり、各組電池について、負極用ケーブル630を外し、正極用ケーブル620のみが接続された状態とした。
【0087】
【表1】

【0088】
次に、これら実施例1〜4,比較例1,2の各組電池について、「リチウム電池及びリチウムイオン電池の輸送に関する手引き書 試験3 振動」に準じた振動試験を行った。
具体的には、各々の組電池を振動台の上に載せて、対数掃引方法により、15分間で振動数を7Hz→200Hz→7Hzと変化させる掃引を行う。具体的には、7〜18Hzまでは、加速度を1Gに維持する。その後、振幅を0.8mmに保ち、ピーク加速度が後述する所定加速度となるまで、振動数を増加させる(約50Hzまで)。その後、振動数が200Hzとなるまで、この所定加速度を維持する。その後は、振動数を7Hz→200Hzにしたのと全く逆の操作を行って(同じプロファイルを折り返して)、振動数を200Hz→7Hzに変化させる。
【0089】
この15分間の掃引を、組電池(電池)の互いに垂直な3方向(図10中、左右方向、上下方向及び紙面に直交する方向)について、それぞれ12回ずつ繰り返す(各方向3時間ずつ、合計9時間)。また、この振動試験は、組電池の最大ピーク加速度(上述の所定加速度)を変えて2通り行った。
振動試験(1):振動台の最大ピーク加速度を10Gに設定する。この場合、振動時の組電池の最大ピーク加速度(上述の所定加速度)は、共振により約50Gとなる。
振動試験(2):振動台の最大ピーク加速度を20Gに設定する。この場合、振動時の組電池の最大ピーク加速度(上述の所定加速度)は、共振により約100Gとなる。
【0090】
振動試験(1)または(2)を行った後、各組電池について、正極用ケーブル620が接続された総正極端子650(正極端子部材150x等)に破断が生じたか否かを調べた。また、電解液117の漏液(正極端子部材150x等が挿通されたケース蓋部材113の端子挿通孔113hを通じた漏液)が生じたか否かを調べた。その結果を表1に示す。
【0091】
実施例2,3に係る組電池では、振動試験(1)及び(2)のいずれでも、総正極端子(正極端子部材)に破断が生じた。また、実施例1,4に係る組電池では、振動試験(1)では総正極端子(正極端子部材)に破断が生じなかったものの、振動試験(2)で総正極端子(正極端子部材)に破断が生じた。これら実施例1〜4に係る組電池で生じた破断は、いずれも外側屈曲部の切り欠き部で生じた。
【0092】
一方、比較例1,2に係る組電池では、振動試験(1)及び(2)のいずれでも、総正極端子(正極端子部材)に破断が生じなかった。なお、比較例2に係る組電池では、外側屈曲部(薄肉部)に変形が見られた。
なお、実施例1〜4及び比較例1,2に係るいずれの組電池においても、総正極端子をなす正極端子部材以外の端子部材については、破断や変形が生じなかった。
【0093】
実施例1〜4の結果と比較例1,2の結果との比較から、端子部材の外側屈曲部に切り欠き部を設けておくことで、外部接続部に大きな外力が掛かったときに、この切り欠き部を起点に外側屈曲部を破断させることができ、組電池と外部との間の導通を遮断できることが判る。また、実施例1,4の結果と実施例2,3の結果との比較から、切り欠き係数βの値を大きくするほど、外部接続部に掛かる外力が小さくても、外側屈曲部を破断させることができることが判る。
なお、組電池の通常製造時や通常使用時に掛かる外力を越える大きな外力が外部接続部に掛かったときに、外側屈曲部を破断させるには、切り欠き係数βをβ≧1.5とするのが好ましく、一方で、通常製造時や通常使用時に外側屈曲部が破断するのを確実に防止するには、切り欠き係数βをβ≦4.0とするのが好ましいと考えられる。
【0094】
また、総正極端子をなす正極端子部材にのみ破断や変形が生じ、それ以外の端子部材については、破断や変形が生じなかったことから、正極用ケーブルが接続された総正極端子(正極端子部材)は、バスバーが接続された他の端子部材に比して、大きな外力が掛かることが判る。従って、この総正極端子(正極端子部材)に切り欠き部を設けるのが最も好ましいことが判る。
【0095】
また、実施例1〜4及び比較例2に係る組電池では、振動試験(1)及び(2)のいずれでも、電解液の漏液が生じなかったのに対し、比較例1に係る組電池では、振動試験(2)を行った場合に、電解液の漏液が生じた。
なお、実施例1〜4及び比較例1,2に係るいずれの組電池においても、総正極端子をなす正極端子部材以外の端子部材については、電解液の漏液が生じなかった。
【0096】
実施例1〜4に係る組電池では、総正極端子(正極端子部材)の外側屈曲部を破断させることで、外部配置端子部材の基部と要素接続部材の加締部との接合部分が変形するのを抑制できたために、端子挿通孔を通じた電解液の漏液を防止できたと考えられる。
また、比較例2に係る組電池では、総正極端子(正極端子部材)の外側屈曲部(薄肉部)を変形させることで、外部配置端子部材の基部と要素接続部材の加締部との接合部分に掛かる外力を抑制できたために、端子挿通孔を通じた電解液の漏液を防止できたと考えられる。
【0097】
一方、比較例1に係る組電池では、外部配置端子部材の基部と要素接続部材の加締部との接合部分に繰り返し大きな外力が掛かったために、この接合部分が破壊されて、端子挿通孔を通じた電解液の漏液が生じたと考えられる。
この結果から、端子部材の外側屈曲部に切り欠き部を設けておくことで、大きな外力が外部接続部に掛かったときに、外側屈曲部を破断させることができ、これにより端子挿通孔を通じた電解液の漏液を防止できることが判る。
また、比較例1の組電池において、総正極端子をなす正極端子部材にのみ電解液の漏液が生じ、それ以外の端子部材については、電解液の漏液が生じなかったことから、総正極端子(正極端子部材)に切り欠き部を設けるのが最も好ましいことが判る。
【0098】
(実施形態5)
次いで、第5の実施の形態について説明する。本実施形態5に係るハイブリッド自動車(車両)700(以下、単に自動車700とも言う)は、上記実施形態4に係る組電池600を搭載し、この組電池600(電池100等)に蓄えた電気エネルギを、駆動源の駆動エネルギの全部または一部として使用するものである(図11参照)。
【0099】
この自動車700は、組電池600を搭載し、エンジン740、フロントモータ720及びリアモータ730を併用して駆動するハイブリッド自動車である。具体的には、この自動車700は、その車体790に、エンジン740と、フロントモータ720及びリアモータ730と、組電池600と、ケーブル750と、インバータ760とを搭載する。そして、この自動車700は、組電池600(電池100等)に蓄えられた電気エネルギを用いて、フロントモータ720及びリアモータ730を駆動できるように構成されている。
【0100】
前述のように、組電池600は、総正極端子650(正極端子部材150x等)や総負極端子(負極端子部材160x等)の外部接続部153g等に大きな外力が掛かったときに、外側屈曲部153d等を破断させて、組電池600と外部との間の導通を速やかに遮断できる。従って、これを搭載した自動車700自身も、安全性が良好なものとなる。
【0101】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態1〜5に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態1〜3では、「切り欠き部」として、V字溝をなす切り欠き部153v,253v,353vを例示したが、切り欠き部の形状はこれに限られない。例えば、切り欠き部をU字溝等とすることもできる。
また、上記実施形態1〜3では、切り欠き部153v,253v,353vを外側屈曲部153d,253d,353dの外周面153dn,253dn,353dnに形成したものと例示したが、これに限られない。切り欠き部を外側屈曲部153d等の内周面に形成したり、或いは内周面と外周面153dn等の両方に形成してもよい。
【0102】
また、上記実施形態1〜3では、正極端子部材150,250,360及び負極端子部材160,260,360のいずれにも、切り欠き部153v,253v,353vを設ける場合を例示したが、これに限られない。正極端子部材150等及び負極端子部材160等のうち、いずれか一方にのみ、切り欠き部153v,253v,353vを設けてもよい。
【0103】
また、上記実施形態4では、個別電池100,200,300の全ての端子部材150,250,350,160,260,360に切り欠き部153v,253v,353vを設けた組電池600を例示したが、これに限られない。切り欠き部153v等は、組電池600の総正極端子650をなす端子部材150x,250x,350x及び総負極端子660をなす端子部材160y,260y,360yの少なくともいずれかにのみ、設けることとしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態1〜3では、「電極体」として、各々帯状をなす正極板121及び負極板131をセパレータ141を介して重ねて捲回してなる捲回型の電極体120を例示したが、これに限られない。例えば、電極体を、各々所定形状(例えば矩形状など)をなす正極板及び負極板をセパレータを介して複数積層してなる積層型としてもよい。
【0105】
また、上記実施形態5では、本発明に係る「車両」として、ハイブリッド自動車700を例示したが、これに限られない。車両としては、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0106】
100,200,300 リチウムイオン二次電池(電池,個別電池)
100x,200x,300x 最正極側電池
100y,200y,300y 最負極側電池
110,310 電池ケース
111 ケース本体部材
113,313 ケース蓋部材
113h,313h 端子挿通孔
120 電極体
150,250,350 正極端子部材(端子部材)
150x,250x,350x (最正極側電池の)正極端子部材(端子部材)
160,260,360 負極端子部材(端子部材)
160y,260y,360y (最負極側電池の)負極端子部材(端子部材)
151 要素接続部材
351 要素接続部
153,253 外部配置端子部材(外部配置端子部)
353 外部配置端子部
153c,253c,353c 内側屈曲部
153d,253d,353d 外側屈曲部
153dn,253dn,353dn (外側屈曲部の)外周面
153e,253e,353e 基部
153ek,353ek (基部の)端部
153f,253f,353f 立上部
153fk,353fk (立上部の)端部
153g,253g,353g 外部接続部
153v,253v,353v 切り欠き部
352 延出部材
155,355 締結部材
170,370 絶縁部材
600 組電池
610 バスバー(電池外接続端子)
620 正極用ケーブル
621 (正極用ケーブルの)圧着端子(電池外接続端子)
630 負極用ケーブル
631 (負極用ケーブルの)圧着端子(電池外接続端子)
700 ハイブリッド自動車(車両)
HC (外部配置端子部の)幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケースと、
前記電池ケース内に収容された電極体と、
前記電池ケースに固設されてなり、前記電池ケースの内部で前記電極体に接続する一方、前記電池ケースを貫通して前記電池ケースの外部に延出してなる端子部材と、
前記電池ケースと前記端子部材との間を絶縁する絶縁部材と、を備え、
前記端子部材は、
前記電池ケースの外部に配置され、電池外の接続端子である電池外接続端子が接続される外部配置端子部を有し、
前記外部配置端子部は、
金属板材をその厚み方向に屈曲成形してなり、
前記電池ケースに沿って延びる基部と、
前記基部の端部から屈曲して立ち上がる立上部と、
前記立上部の端部から屈曲して、前記基部と平行に延び、前記電池外接続端子が接続される外部接続部と、を含んでクランク状をなす
電池であって、
前記外部配置端子部は、
屈曲して前記立上部と前記外部接続部との間を結ぶ外側屈曲部に、切り欠き部を有し、
前記外側屈曲部に繰り返し荷重を掛ける疲れ試験を行った場合において、
前記切り欠き部を有しない形態の前記外側屈曲部の疲れ強さをTaとし、
前記切り欠き部を設けた形態の前記外側屈曲部の疲れ強さをTbとしたとき、
前記切り欠き部は、
β=Ta/Tbで与えられる切り欠き係数βが、β≧1.5を満たす形態とされてなる
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記外側屈曲部は、
1/4円筒状をなし、
前記外側屈曲部の外周面の半径をRdとし、前記金属板材の板厚をtとしたとき、
Rd≦5tとなる形態に屈曲されてなる
電池。
【請求項3】
複数の個別電池を直列に接続してなる組電池であって、
複数の前記個別電池は、
前記組電池の総正極端子をなす端子部材を有する最正極側電池、及び、前記組電池の総負極端子をなす端子部材を有する最負極側電池を含み、
前記最正極側電池及び前記最負極側電池の少なくともいずれかは、
請求項1または請求項2に記載の電池であり、かつ、前記切り欠き部を有する前記端子部材が、前記総正極端子または前記総負極端子をなす
組電池。
【請求項4】
複数の個別電池を直列に接続してなる組電池であって、
複数の前記個別電池は、
前記組電池の総正極端子をなす端子部材を有する最正極側電池を含み、
前記最正極側電池は、
請求項1または請求項2に記載の電池であり、かつ、前記切り欠き部を有する前記端子部材が、前記総正極端子をなす
組電池。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の組電池を搭載し、前記組電池に蓄えた電気エネルギを動力源の全部または一部に使用する車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−221757(P2012−221757A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86645(P2011−86645)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】