説明

電池パック

【課題】電池パックが備える電池セルの効率的に冷却する。
【解決手段】電池パックケース1のカバー1bは、吸気口30と排気口31を備える。電池パックケース1内には、それぞれ電池モジュール2が収容された電池収容部7a〜7cとジャンクションボックス収容部8が設けられている。個々の電池収容部7a〜7cの一端に供給流路9a〜9cが設けられ、他端に排気流路10a〜10cが設けられている。カバー1bと電池収容部7a〜7cに収容された電池モジュール2との間にガイド15が設けられている。ガイド15とカバー1bの下面により分配流路43が画定されている。排気口30から分配流路43へ空気が流入する。分配流路43に流入した空気は、電池収容部7a〜7cの供給流路9a〜9cに流入し、電池モジュール2の電池セル25間の隙間11を通って排気流路10a〜10cへ流れ、排気口31から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の電源を含む種々の用途で使用される電池パックは、パックケース内に収容された複数の電池モジュールを備える。個々の電池モジュールは、電気的に接続された複数の電池セルを備える。
【0003】
特許文献1に開示された電池パックは、電池セルに冷却風を供給するための流路に配置された整流板を備える。この整流板は、複数の電池セルが均一に冷却されるように冷却風を案内することを意図している。
【0004】
特許文献2に開示された電池パックの電池モジュールは、パックケース内に傾いた姿勢で配置され、それによって上流側から下流側に順次絞られた冷媒通路がパックケース内に形成されている。この絞られた流路冷媒通路も、複数の電池セルの均一な冷却を意図している。
【0005】
特許文献3に開示された電池パックでは、一群の電池モジュールと他の電池モジュールとの間に、電気接続箱(ジャンクションボックス)が配置されている。特許文献4に開示された電池パックは、平面視で対角位置に配置された冷却導入口と冷却風排気口とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−97830号公報
【特許文献2】特開2007−227030号公報
【特許文献3】特開2009−4323号公報
【特許文献4】特開2009−87758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されているように整流板を配置しても、冷却風の流れの下流側に位置する電池セルに多くの冷却風が供給される傾向を解消できず、複数の電池セルの均一な冷却は困難である。
【0008】
特許文献2に開示されているようにパックケース内に電池モジュールを傾いた姿勢で配置すると、電池パックが大型化する。また、特許文献2に開示の構成では、パックケース内に排気ダクトを配置する必要があり、部品点数の増加とコストアップを招く。
【0009】
特許文献3に開示された電池モジュールと電気接続箱の配置は、電気的接続のための部材の使用量低減による電池パックの小型化及び軽量化を意図しており、電池セルの冷却には関連しない。特許文献4は、冷却風の導入口と排出口の位置以外に、電池セルの冷却について特段の教示を含まない。
【0010】
本発明は、電池パックが備える電池セルの効率的な冷却を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、内部空間に空気を導入する吸気口と、前記内部空間から空気を排出する排気口とを備えるケースと、前記ケースの内部空間に第1の方向に沿って並べられ、それぞれ複数の電池セルが隙間をあけて収容されている複数の電池収容部と、前記電池収容部の前記第1の方向に対して交差する第2の方向の一方の端部に設けられた供給流路と、前記電池収容部の前記第2の方向の他方の端部に設けられ、前記排気口と連通する排出流路と、前記ケースの内面に配置され、前記第1の方向に延びるガイドと、前記ガイドと前記ケースの内面とにより画定され、前記第1の方向に延び、前記吸気口と前記供給流路とに連通する分配流路とを備える、電池パックを提供する。
【0012】
吸気口からケースの内部空間に導入された冷却用の空気は、分配流路を流れ、個々の電池収容部の供給流路に流入する。供給流路に流入した空気は、電池収容部に収容された電池セル間の隙間を通って排出流路に流入し、排気口から排出される。個々の電気収容部には、他の電気収容部で既に電池セル間の隙間を通過後の空気が供給されるのではなく、吸気部から導入された空気が分配流路と供給流路とを通って供給される。かかる空気の流れにより、電池収容部間で電池セルの冷却効率が均一化され、電池パック全体として電池セルの冷却効率が向上する。
【0013】
分配流路はケースの内面に配置されたガイドとケースの内面とにより画定されているので、電池パックを大型化することなく所望の空気の流れを得ることができる。また、ケースの内面を利用して分配流路を画定しているので、部品点数の増加とそれに伴うコストアップを抑制できる。
【0014】
前記ガイドは、前記吸気口から離れる程、前記分配流路の流路断面積が小さくなるように形成されている。
【0015】
圧力差の点では、分配流路には吸気口から離れる程空気が流れ易い傾向がある。吸気口から離れる程流路断面積を小さくすることで、分配流路に吸気口から離れる程空気が流れにくくなる傾向が生じる。圧力差による空気の流れ易さの傾向が、流路断面積の変化による空気の流れ易さの傾向で相殺され、分配流路から個々の電池収容部の供給流路に流入する空気の量が均一される。その結果、電池収容部間での電池セルの冷却効率がさらに均一化され、電池パック全体として電池セルの冷却効率がさらに向上する。
【0016】
前記ガイドは、前記ケースの内面に対して間隔を隔てて位置し、前記第1の方向に延びる主ガイド部と、前記主ガイド部の一方の側部側から前記ケースの前記内面に向けて延びる第1の副ガイド部とを備え、前記主ガイド部の他方の側部側と上記ケースの内面との間に、前記第1の方向の延び、かつ前記分配流路と前記供給流路とを連通させる空気分配口が画定されている。
【0017】
前記ガイドは、前記吸気部から導入された空気を特定の前記電池収容部の前記供給流路へ案内する第2の副ガイド部をさらに備える。
【0018】
前記ケースは、上部が開口したケース本体と、前記開口を閉鎖するように前記ケース本体に取り付けられるカバーとを備え、前記主ガイド部は、前記カバーの内面に対して間隔を隔てて位置し、前記カバーの内面と共に前記電池セルの上方に位置する前記分配流路を画定し、前記第1及び第2の副ガイド部は前記主ガイド部から前記カバーの内面に向けて延びていてもよい。
【0019】
この構成により、分配流路を形成するためのガイドが電池モジュールとカバーとの間に配置されるので、ケース内における電池モジュール等のレイアウトの影響を承けずに、所望の空気の流れを得ることができる。
【0020】
前記第1及び第2のガイド部は弾性材料からなり、前記ケースに取り付けられた前記カバーの内面に圧接される。
【0021】
この構成により、第1及び第2のガイド部の加工精度をそれ程高めることなく、所望の分配流路を形成でき、コストをさらに低減できる。
【0022】
前記主ガイド部は、少なくとも前記吸気部に対向する部分がガス非透過性材料で構成されている。
【0023】
この構成により、ケース内に収容された電池セルから万一ガスが発生しても、主ガイド部を透過して吸気部からケースの外部へ発生したガスが漏出しない。
【発明の効果】
【0024】
ケースの内面に配置されたガイドとケースの内面とにより画定された分配流路を介し、吸気口から個々の電池収容部の供給流路に空気が供給される。そのため、電池パックを大型化することなく、電池収容部間で電池セルの冷却効率を均一化し、電池パック全体として電池セルの冷却効率が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る電池パックの斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る電池パックの斜視図(カバーを取り外した状態)。
【図3】本発明の実施形態に係る電池パックの斜視図(カバー、電池モジュール、及びジャンクションボックスを取り外した状態)。
【図4】図3の平面図(さらにガイドを取り外し状態)。
【図5】本発明の実施形態に係る電池パックの模式的な平面図(カバーを取り外した状態)。
【図6A】図5のA−A線での断面図。
【図6B】図5のB−B線での断面図。
【図6C】図5のC−C線での断面図。
【図7】電池モジュールの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を必要に応じて用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
図1から図4は、本実施形態に係る車載用の電池パック4を示す。この電池パック4は、上部が開口した概ね箱状のケース本体1aと、開口を閉鎖するようにケース本体1aに取り付けられる概ね板状のカバー1bとを有する電池パックケース1を備える。
【0028】
カバー1には、電池パックケース1の内部空間に冷却のための空気を導入する吸気口30と、電池パックケース1の内部空間から空気を排出する排気口31とが設けられている。吸気口30は、例えば電気自動車の車内空調システムである冷却空気源に接続されている。排気口30は電池パックケース1の長手方向ないしY方向(第1の方向)の一端側の隅部付近に設けられ、排出口31は電池パックケース1の長手方向の他端側の隅部付近に設けられている。
【0029】
図2及び図4に示すように、電池パックケース1の内部空間には、複数個(本実施形態では9個)の電池モジュール2と、ジャンクションボックス(Junction Box)3とが収容されている。(図2及び図4では、一部の電池モジュール2を図示していない。)。
【0030】
図3に最も明瞭に表れているように、電池パックケース1の内部空間は、電池パックケース1の長手方向ないしY方向(第1の方向)に間隔を隔てて配置された3枚の仕切壁5a,5b,5cにより、長手方向に配置された並べられた4つの空間に区画されている。具体的には、吸気口30(図1参照)側から電池パックケース1の長手方向に、第1の電池収容部7a、ジャンクションボックス収容部(JB収容部)8、第2の電池収容部7b、及び第3の電池収容部7cが順に配置されている。第1から第3の電池収容部7a〜7cには、それぞれ複数個(本実施形態では3個)の電池モジュール2が収容されている。JB収容部8にはジャンクションボックス3が収容されている。
【0031】
図7を併せて参照すると、電池モジュール2は複数個の(本実施形態では9個)の電池セル25が一列に並んだ状態で収容された電池モジュールケース24と、電池モジュールケース24の上部を覆う電池モジュールカバー26を備える。隣接する電池セル25は平面視での長辺が隙間11をあけて対向している。電池モジュールケース24の平面視で長辺を構成する両側壁には、隙間11と連通する開口24aが設けられている。
【0032】
本実施形態における電池セル25は、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池であり、概ね扁平な直方体状の電池容器25aを備える。電池容器25a内には発電要素(図示せず)が収容され、電解液が密封されている。電池容器25aの上側両側部には発電容器と電気的に接続された正負の電極(図示せず)が設けられている。これらの電極をバスバー(図示せず)で連結することで、電気セル25間の電気的接続が確立されている。
【0033】
個々の電池モジュール2は、側縁の両端部に正負の電極を備える(図7ではこれらの電極は保護カバー41,42で覆われている)。これらの電極をバスバー(図示せず)で連結することで、電池モジュール2間の電気的接続が確立されている。
【0034】
以下、冷却用の空気を吸気口30から排気口31に導くための構造を、図5から図6Cを主として参照して説明する。
【0035】
個々の電池収容部7a〜7cには、3個の電池モジュール2が電池パックケース1の幅方向ないしX方向(第2の方向)に一列に並んで配置されている。個々の電池モジュール2の平面視での姿勢は、電池モジュール2が電池パックケース1の長手方向(Y方向)に並ぶように設定されている。従って、個々の電池モジュール2の互いに隣接する2個の電池セル25間の隙間11は、電池パックケース1の幅方向(X方向)に延びている。
【0036】
個々の電池収容部7a〜7cの図5〜図6Cにおいて最も右側に位置している電池モジュール2は、電池パックケース1のケース本体1aの一方の側壁1cに対して間隔をあけて対向している。この間隔により、個々の電池収容部7a〜7cの電池パックケース1の幅方向(X方向)の一方の端部(図5〜図6Cにおいて右側端部)に、電池パックケース1の長手方向(Y方向)に延びる供給流路9a,9b,9cが設けられている。これらの供給流路9a〜9cには後述する分配流路43を介して吸気口30からの空気が流入する。
【0037】
個々の電池収容部7a〜7cの図5〜図6Cにおいて最も左側に位置している電池モジュール2は、電池パックケース1のケース本体1aの他方の側壁1dに対して間隔をあけて対向している。この間隔により、個々の電池収容部7a〜7cの電池パックケース1の幅方向(X方向)の他方の端部(図5〜図6Cにおいて左側端部)に、電池パックケース1の長手方向(Y方向)に延びる排気流路10a,10b,10cが設けられている。排気流路10aは排気口31に直接的に連通している。また、仕切壁5a〜5cとジャンクションボックス3の下部に、空気を通過させるための切欠部17a,17b,17c,17dを設けている。これらの切欠部17a〜17dにより、排気通路10b,10cも排気通路10cを介して排気口31に連通している。
【0038】
電池パックケース1の内部空間には、ケース本体1aの長手方向(Y方向)に対向する一対の端部壁1e,1f間にわたって延在するように、全体として電池パックケース1の長手方向(Y方向)に延びる細長い形状を有するガイド15が配置されている。ガイド15は、電池収容部7a〜7cに収容された電池モジュール2のうち電池パックケース1の幅方向(X方向)で図5及び図6A〜図6Cにおいて最も右側に位置する電池モジュール2とカバー1bとの間に位置している。また、ガイド15は供給流路9a〜9cに対して電池パックケース1の幅方向(X方向)に隣接して位置している。
【0039】
ガイド15は、カバー1bの下面1gに対して間隔を隔てて位置し、電池パックケース1の長手方向(Y方向)に延びる細長い板状の主ガイド部16を備える。主ガイド部16の上面はカバー1bの下面1gに対して平行であり、主ガイド部16の上面とカバー1bの間の距離は一定である。主ガイド部16の一端はカバー1bに設けられた吸気口30と対向している(図5及び図6A参照)。
【0040】
本実施形態では、主ガイド部16は図5及び図6A〜図6Cにおいて最も右側に位置する3個の電池モジュール2に固定されており、これらの電池モジュール2の上面と主ガイド部16との間に隙間は設けられていない。
【0041】
主ガイド部16は電池パックケース1の幅方向(X方向)に対向する一対の側縁16a,16bを備える。側壁1cに近接している側縁16aは平面視で電池パックケース1の側壁1cと平行な延びる直線状であるが、側壁1cから離れている側縁16bは平面視で吸気口30から離れるほど側縁1aへ接近する傾きを有する。つまり、主ガイド部16の幅(X方向の寸法)は吸気口30から離れるほど狭まっている。
【0042】
ガイド15は、主ガイド部16の上面に側縁16bに沿って設けられた、細長いリブ状の第1の副ガイド部21を備える。第1の副ガイド部21は下端が主ガイド部16の上面に接続され、上端がカバー1bの下面1gに密接している。主ガイド部16の側縁16a側には部材は設けられていない。
【0043】
図6A〜図6Cに最も明瞭に示すように、一端で吸気部30に連通し、電池パックケース1の長手方向(Y方向)に延びる細長い分配流路43が、ガイド15とカバー1bの下面1gとにより画定されている。具体的には、主ガイド部16が分配流路43の底壁を構成し、第1の副ガイド部21が分配流路43の側壁を構成し、さらにカバー1bが分配流路43の頂壁を構成している。前述のように主ガイド部16の側縁16aa側には部材は設けられていないので、主ガイド部16の側縁16a側の上面とカバー1bの下面1gとの間には電池パックケース1の長手方向(Y方向)に延びる細長いスリット状の隙間が形成されている。この隙間が分配流路43と個々の電池収容部7a〜7cの供給流路9a〜9cを連通させる空気分配口43aを構成している。分配流路43の流路断面積は吸気口30から離れるに従って徐々に小さくなっている。
【0044】
ガイド15は第2の副ガイド部22を備える。平面視では、副ガイド部22は、一端が吸気口30付近に位置し、主ガイド部16の側縁16bまで直線状に斜めに延びている。平面視での副ガイド部22の他端は、最も吸気口30に近い位置の電池収容部7aの供給流路9aの仕切壁5a側の端部に位置している。
【0045】
第1の副ガイド部21は、吸気部30から分配流路43に供給された空気が、図5から図6Aにおいて左側に流れ、個々の電池収容部7a〜7cの電池モジュール2の上部を経て排気流路10a〜10cに達するのを防止する機能がある。言い換えれば、第1の副ガイド部21は、吸気部30から分配流路43に供給された空気が空気分配口43aから流出するのを保証する機能がある。一方、第2ガイド部22は、吸気部30から分配流路43に供給された空気の一部を強制的に電池収容部7aの供給流路9aに導く機能がある。
【0046】
ガイド部材15の少なくとも一部、すなわち、少なくとも吸気部30の開口に対向する部分はガス非透過性材料(例えば、鉄等の金属材料)からなる非透過部23で構成されている。これにより、万一、電池セル25からガス(高温及び/又は高圧の可能性がある)が発生したとしても、このガスが吸気部30から流出するのを確実に防止できる。
【0047】
一方、第1及び第2の副ガイド部21,22は、弾性材料(例えば、スポンジ、発砲シール材等)で構成されている。そのため、電池パックケース1に電池パックカバー4を装着した際、ガイド部21、22の上端部がカバー1bの下面1gに対して圧接状態となり分配流路43を電池パック1内の他の領域に対して仕切る。ガイド部21、22は弾性変形するので、部品精度がそれ程要求されず、カバー1bの装着後は圧接力により取付状態も安定している。つまり、第1及び第2の副ガイド部21,22を弾性材料で構成することで、これらの副ガイド部21,22の加工精度をそれ程高めることなく、所望の分配流路43を形成でき、コストを低減できる。
【0048】
次に、冷却用の空気の流れの経路を説明する。吸気部30から分配流路43に空気が流入する。空気流路43に流入した空気は、ガイド15の第2の副ガイド部23により分流される。分流された空気の一部は空気分配口43aの吸気部30側の領域から電池収容部7aの供給流路9aへ流入する。供給流路9aに流入した空気は、仕切壁5aの存在により、下流側に隣接する電池収容部7bの供給流路9bへ流動することなく、電池収容部7aに収容された電池モジュール2の電池セル25間の隙間11を排気流路10aに向かって流れる。これにより、電池収容部7aに配置された3個の電池モジュール2が備える電池セル25が冷却される。排気流路10aに流入した空気は、排気流路10b,10cを経て排気口31から電池パックケース1の外部へ排出される。
【0049】
また、第2ガイド部22によって分流された空気の残りは、第1の副ガイド部21で案内された分配流路43を吸気口30から離れる方向に流れ、空気分配口43aから電気収容部7b,7cの供給流路9b,9cへ流入する。供給流路9bに流入した空気は、仕切壁5bの存在により、下流側に隣接する電池収容部7cの供給流路9cへ流動することなく、電池収容部7bに収容された電池モジュール2の電池セル25間の隙間11を排気流路10bに向かって流れる。排気流路10bに流入した空気は、排気流路10cを経て排気口31から電池パックケース1の外部へ排出される。供給流路9cに流入した空気も、電池収容部7cに収容された電池モジュール2の電池セル25間の隙間11を通って排気流路10cに流入し、排気口31から排出される。供給流路9b,9cから、電池収容部7b,7cに収容された電気モジュール2の電池25間の隙間11を通って排出流路10b,10cに空気が流れることで、電池25が冷却される。
【0050】
個々の電気収容部7a〜7bには、他の電気収容部7a〜7bで既に電池セル25間の隙間11を通過後の空気が供給されるのではなく、吸気部30から導入された空気が分配流路43と供給流路9a〜9cとを通って供給される。かかる空気の流れにより、電池収容部7a〜7b間で電池セル25の冷却効率が均一化され、電池パック4全体として電池セル25の冷却効率が向上する。
【0051】
分配流路43の流路断面積は吸気口30から離れるに従って徐々に小さくなっている。圧力差の点では、分配流路43には吸気口30から離れて排気口31に近付く程(下流側に向かう程)、空気が流れ易い傾向がある。吸気口から離れる排気口31に近付く程(下流側に向かう程)、流路断面積を小さくすることで、分配流路43に下流側に向かう程空気が流れにくくなる傾向が生じる。圧力差による空気の流れ易さの傾向が、流路断面積の変化による空気の流れ易さの傾向で相殺され、分配流路43から個々の電池収容部7a〜7cの供給流路9a〜9cに流入する空気の量が均一される。その結果、電池収容部7a〜7c間での電池セル25の冷却効率がさらに均一化され、電池パック4全体として電池セル25の冷却効率がさらに向上する。
【0052】
また、前述のように分配流路43の流路断面積を下流側に向かうほど小さくしていることに加え、第2の副ガイド部22を設けて吸気口30の直後で流入した空気を分流し、最も排気口30に近接して位置している電池収容部7aの供給流路9a(圧力差の点では3個の供給流路9bのうち最も空気が流れ込みにくい)に送っている。これにより、分配流路43から3個の供給流路9a〜9cに供給される空気の量がさらに均一化される。その結果、電池収容部7a〜7c間での電池セル25の冷却効率がさらに均一化され、電池パック4全体として電池セル25の冷却効率がさらに向上する。
【0053】
分配流路43は、電池パックケース1のカバー1bと電池モジュール2の間に配置されたガイド15と、カバー1bの下面1gとにより画定されているので、電池パック4を大型化することなく所望の空気の流れを得ることができる。また、分配流路43を画定するのにカバー1bの下面1gを利用しているので、部品点数の増加とそれに伴うコストアップを抑制できる。また、分配流路43は電池モジュール2とカバー1bとの間に配置されているので、電池パックケース1内での電池モジュール2及びジャンクションボックス3のレイアウトの影響を受けずに、所望の空気の流れを得ることができる。
【0054】
本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0055】
電池パックケース1のケース本体1aの側壁1cの内面に実施形態のものと同様のガイドを配置し、このガイドと側壁1cの内面とにより分配経路を構成してもよい。この場合、吸気口30はケース本体1aの側壁1cに設けられる。
【0056】
電池パックケース1内に設ける電池収容部は2個でもよく、4個以上でもよい。
【0057】
ガイド15は特定の電池収容部の供給流路に案内するための第2の副ガイド部を2個以上備えていてもよい。
【0058】
実施形態のような仕切壁5a〜5cではなく、ケース1の側壁1c,1dの内面に設けた膨出部により、電池パックケース1内を電池収容部とJB収容部に分割してもよい。また、実施形態のような仕切壁5a〜5cを設ける必要は必ずしもない。仕切壁を設けない場合、電池パックケース内の個々の電池モジュールが配置された領域が本発明における電池収容部として機能する。
【0059】
平面視で電池パックケース1の幅方向(X方向)の中央に配置したガイド15により分配流路43を設けてもよい。
【0060】
吸気部30から分配流路に常温の外気を取り入れてもよい。
【0061】
電池パックレース1内に収容される個々の電池モジュール及び個々の電池モジュールの電池セルは、同一構造である必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る電池パックには、リチウムイオン電池のほか、鉛蓄電池等、種々の電池を採用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 電池パックケース
1a ケース本体
1b カバー
1c,1d 側壁
1e,1f 端部壁
1g 下面
2 電池モジュール
3 ジャンクションボックス
4 電池パック
5a,5b,5c 仕切壁
7a,7b,7c 電池収容部
8 JB収容部
9a,9b,9c 供給流路
10a,10b,10c 排気流路
11 隙間
15 ガイド
16 主ガイド部
16a,16b 側縁
17a,17b,17c,17d 切欠部
21,22 副ガイド部
23 非透過部
24 電池モジュールケース
24a 開口
25 電池セル
25a 電池容器
26 電池モジュールカバー
30 吸気口
31 排気口
41,42 保護カバー
43 分配流路
43a 空気分配口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に空気を導入する吸気口と、前記内部空間から空気を排出する排気口とを備えるケースと、
前記ケースの内部空間に第1の方向に沿って並べられ、それぞれ複数の電池セルが隙間をあけて収容されている複数の電池収容部と、
前記電池収容部の前記第1の方向に対して交差する第2の方向の一方の端部に設けられた供給流路と、
前記電池収容部の前記第2の方向の他方の端部に設けられ、前記排気口と連通する排出流路と、
前記ケースの内面に配置され、前記第1の方向に延びるガイドと、
前記ガイドと前記ケースの内面とにより画定され、前記第1の方向に延び、前記吸気口と前記供給流路とに連通する分配流路と
を備える、電池パック。
【請求項2】
前記ガイドは、前記吸気口から離れる程、前記分配流路の流路断面積が小さくなるように形成されている、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記ガイドは、
前記ケースの内面に対して間隔を隔てて位置し、前記第1の方向に延びる主ガイド部と、
前記主ガイド部の一方の側部側から前記ケースの前記内面に向けて延びる第1の副ガイド部と
を備え、
前記主ガイド部の他方の側部側と上記ケースの内面との間に、前記第1の方向の延び、かつ前記分配流路と前記供給流路とを連通させる空気分配口が画定されている、請求項1又は請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記ガイドは、前記吸気部から導入された空気を特定の前記電池収容部の前記供給流路へ案内する第2の副ガイド部をさらに備える、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記ケースは、
上部が開口したケース本体と、前記開口を閉鎖するように前記ケース本体に取り付けられるカバーとを備え、
前記主ガイド部は、前記カバーの内面に対して間隔を隔てて位置し、前記カバーの内面と共に前記電池セルの上方に位置する前記分配流路を画定し、
前記第1及び第2の副ガイド部は前記主ガイド部から前記カバーの内面に向けて延びている、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1及び第2のガイド部は弾性材料からなり、前記ケースに取り付けられた前記カバーの内面に圧接される、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記主ガイド部は、少なくとも前記吸気部に対向する部分がガス非透過性材料で構成されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電池パック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−16467(P2013−16467A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121604(P2012−121604)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】