説明

電池モジュール及び電池システム

【課題】簡易な構成により、電池の効率的な運用を可能とした電池モジュール及び電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の電池モジュール2及び電池システム1は、第1の拘束板10Aと、電池6と、変形部16を備えた第2の拘束板と、前記第1の拘束板10Aと前記第2の拘束板10Bとで挟みこんで前記電池6を拘束した状態で、前記第1の拘束板10Aと前記第2の拘束板10Bとを前記変形部を介して固定する固定部材11とを有し、前記電池6の内部の圧力が所定値となった場合に前記変形部が変形することで、前記拘束した状態を維持したまま、前記圧力を緩和することを特徴の一つとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュール及び電池システム、特に効率的な電池の運用を可能とした電池モジュール及び電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池には、放電のみ行う一次電池や充放電が可能な二次電池が存在する。これらは電極板、すなわち正極板および負極板がセパレータを介して積層された積層電極体を電池容器に密閉した構成であり、一般的に電池システムにおけるモータ等の電力負荷を駆動する電力の供給のために使用される。
しかしながら、これら電池においては、劣化したり、又は、充放電を繰り返したりすると、電池容器の内部にガスが発生し、電池容器が変形することが知られている。電池容器に当該変形が生じると、電池容器内に収納した積層電極体を構成する正極板と負極板の間の間隔が大きくなり、結果として電池性能が低下する場合がある。
そこで、電池を加圧板で挟みこんで、当該変形を防止する電池モジュール(特許文献1及至特許文献3参照)が開発されている。
一方、特許文献1及至3に記載の電池モジュールのように、電池を加圧板で挟みこんで固定すると、電池容器の変形は防止できるものの、電池容器の内部の圧力(以下、内圧という)が上昇し易くなる。そこで、電池容器の破裂を防止して電池モジュールの安全を確保するため、例えば特許文献1のように電池容器の破裂を防止するために設定された圧力の値(以下、予防値という)で破裂する安全弁を配置し、または、電池容器の内圧が予防値になった際には電池モジュールの出力を停止するなど適切に制御する構成が採用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−339932号公報
【特許文献2】特開2008−235149号公報
【特許文献3】特開2010−40345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かように、電池容器の内圧が予防値となった場合に破裂して内圧を緩和する安全弁を配置した場合や、電池容器の内圧が予防値となった際に電池モジュールの出力を停止することとした場合、内圧がひとたび予防値となると電池モジュールの電池がもはや使用できなくなる。言い換えれば、電池モジュールの安全性を確保するため、内圧が予防値となった場合には電池モジュールの使用を止める必要がある。
しかしながら、2つの加圧板で挟みこんだ電池の内圧が初めて予防値となった場合には、この状態では電池容器自体に破裂の恐れがあるものの、積層電極体等についてはまだしばらく使用可能な状態であることが判明した。
そこで、本発明は、簡易な構成により、電池の効率的な運用を可能とした電池モジュール及び電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の電池モジュールは、第1の拘束板と、電池と、変形部を備えた第2の拘束板と、前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とで挟みこんで前記電池を拘束した状態で、前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とを前記変形部を介して固定する固定部材とを有し、前記電池の内部の圧力が所定値となった場合に前記変形部が変形することで、前記拘束した状態を維持したまま、前記圧力を緩和することを特徴とする。
【0006】
すなわち、この構成により、電池の内圧が初めて所定値となった場合に、変形部が変形することで、上記加圧板に相当する2つの拘束板で電池を拘束したまま、当該内圧が緩和される。従って、当該内圧が予防値に達する時間をしばらく引き延ばすことができるので、当該電池を効率的に運用することが可能となる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明の電池システムは、第1の拘束板と、電池と、変形部が形成された第2の拘束板と、前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とで挟みこんで前記電池を拘束した状態で、前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とを前記変形部を介して固定する固定部材とを備えた電池モジュールと、前記電池からの電力供給により駆動する電力負荷と、前記電力供給を遮断するスイッチと、前記スイッチの前記遮断を制御する制御装置とを有し、前記電池モジュールにおいて、前記電池の内部の圧力が所定値となった場合に前記変形部が変形することで、前記拘束した状態を維持したまま前記圧力を緩和した後、前記電池の内部の圧力が再び高まって予防値近傍に達した場合に、前記制御装置は前記遮断を行うことを特徴とする。
【0008】
すなわち、この構成により、電池の内圧が初めて所定値となった場合に、変形部が変形することで、2つの拘束板で電池を拘束したまま、当該内圧が緩和される。従って、当該内圧が予防値に達する時間をしばらく引き延ばすことができるので、当該電池を効率的に運用することが可能となる。
さらに、その後、再び電池の内圧が高まって予防値近傍に達した場合に、制御装置が当該電池からの電流供給を遮断するので、例えば安全弁が破裂する直前に当該内圧の上昇を停止することが可能となり、結果として、電池システムの安全性をより向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成により、電池の効率的な運用を可能とした電池モジュール及び電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の電池モジュール及び電池システムの概要図である。
【図2】図1で示した電池モジュールに使用される拘束板10Aの概要図である。図2(a)は拘束板のXZ平面上の概要図である。図2(b)は変形前の変形部16のA−A´線におけるXY断面の概要図である。図2(c)は変形後の変形部16のA−A´線におけるXY断面の概要図である。
【図3】図1で示した電池モジュールに使用される拘束板10Bの概要図である。図3(a)は拘束板のXZ平面上の概要図である。図3(b)は変形部16のB−B´線におけるXY断面の概要図である。図3(c)は変形部16のC−C´線におけるXY断面の概要図である。
【図4】図1に示した電池モジュールの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の電池モジュール及び電池システムは、電池の電池容器を2つの拘束板で挟んで拘束した状態を維持しつつ、電池の内圧が上昇して所定値に達した場合に、拘束板に形成した変形部が変形することで、当該内圧を緩和することを特徴の1つとしている。以下、図面を参照しながら、実施形態の電池モジュール及び電池システムにつき詳述する。
なお、電池としては、一次電池または二次電池等のいずれの電池でも用いることが可能であるが、ここでは電池の一例として、充放電可能な電池、例えば蓄電池であるリチウムイオン二次電池を用いて説明する。
【0012】
本実施形態の電池システム1及び電池モジュール2につき、図1及至図3を参照して説明する。図1は、電池モジュール2を含む電池システム1の概要図である。また、図2及び図3は、図1の電池モジュール2で用いる拘束板10の概要図である。なお、以下で使用する図は、いずれも同一の直交座標系を用いている。
【0013】
まず、電池6は、XY平面上に略矩形の形状の底面をもち且つ当該略矩形の全ての辺からZ軸方向へ伸びる壁面をもつ角型の導電性(例えば、アルミニウム等の金属製)の容器本体と、容器本体に収納され且つ正極板と負極板とがセパレータを介して積層された積層電極体と、積層電極体を容器本体に収納後に容器本体を密閉する蓋とを備えている。
ここで、容器本体と蓋とがレーザ溶接等で密閉されて「電池容器」となる。なお、電池容器には電解液又は電解質が蓄えられる。
蓋は容器本体と同一の導電性の材質である。そして、蓋には、蓋を貫通して配置される例えば円柱状の一対の電極端子7(すなわち、正極端子と負極端子)と、電極端子を蓋に固定し且つ電極端子と蓋との間を電気的に絶縁する絶縁性樹脂8(例えば、プラスチック樹脂等の絶縁体)が形成されている。
そして、正極板が正極端子に、また、負極板が負極端子に電気的に接続されている。
また、電池6には、電池6の内圧が予防値になった際に破裂して電池容器の内外を貫通させる安全弁9が配置されている。
【0014】
電池モジュール2は、一対の拘束板10で、Y方向から電池容器を挟みこみ、且つ、電池容器の2つのXZ面に接しつつ当該XZ面を実質的に覆い、さらに、一対の拘束板10を固定部材11で互いにしっかりと固定することで形成される。一対の拘束板10(すなわち、10A及び10B)は、いずれも同じ形状及びサイズであり、いずれも同じ材料(例えば、絶縁性樹脂)で形成されている。
【0015】
では、拘束板10の形状につき詳述する。一対の拘束板10Aと10Bは、上述のように同一形状であるので、代表して拘束板10Aにつき説明する。
拘束板10Aは、図2(a)に示すように、XZ平面から見て略矩形の形状である。そして、-X方向に存在し且つZ方向に延びる端面(すなわち、XY平面)のY方向(すなわち、拘束板10の厚み方向)の中央付近を+X側へ所定距離だけ凹ませ、また、+X方向に存在し且つZ方向に延びる端面(すなわち、XY平面)のY方向(すなわち、拘束板10の厚み方向)の中央付近を-X側へ所定距離だけ凹ませた形状としている。さらに、当該凹みによりXY平面から見てコの字状となった部位(以下、「コの字状部位」という)には+Y側のXZ平面と-Y側のXZ平面の2つの平面が存在するが、+Y側の平面から、当該凹ませた形状のうちその両端と中央部分を残して、その平面の一部を取り除いたような形状としている。
なお、この両端部分と中央部分のコの字状部位が、変形部16となる。すなわち、図2(a)に示すように、XZ平面から見て、Z方向に延びる2辺のうち、-X方向側の辺に沿って3つの変形部16が形成され、また、+X方向側の辺に沿って3つの変形部16が形成される。-X方向側の辺に沿って形成される3つの変形部16はZ方向に等間隔で形成されており、また、+X方向側の辺に沿って形成される3つの変形部16はZ方向に等間隔で形成されている。
【0016】
そして、これら変形部16には、上記コの字状の形状の2つの平面をY方向へ貫通する貫通孔15が形成される。貫通孔15の直径は、後述の固定部材11としてのボルトの軸の直径と実質的に同じまたはやや大きい寸法であり、且つ、当該ボルトの頭部の直径より小さい寸法である。
さらに、コの字状部位のコの字に含まれる2つの角のうち+Y方向側に存在する角には、拘束板10Aの表面から-Y方向に凹んだ楔状の形状をし、且つ、当該楔状の形状をZ方向に線状に連続してひいた形状の切り込み12が形成されている。
【0017】
そして、電池モジュール2は、一対の拘束板10Aと拘束板10Bがそれぞれの切り込み12を互いに外側に向けて電池6の電池容器を挟みこんだ後、それぞれ対応する貫通孔15に固定部材であるボルトを拘束板10Aから拘束板10Bへ通し、拘束板10Bの貫通孔15から突出したボルトの軸に固定部材であるナットをねじ込んで、電池6に一対の拘束板10を固定することで形成される。一対の拘束板10で電池6が自由に移動できない状態に拘束されるように、当該ねじ込みが行われる。なお、図1では、6箇所で固定部材による当該固定がなされている。
【0018】
では、ここで、変形部16の変形動作につき、詳述する。拘束板10Aの6つの変形部16はいずれも同様の変形動作をするので、拘束板10Aの角に存在する変形部16Aaではなく、中央部に存在する変形部16Abの変形動作を代表的に説明する。
図2(b)は、図2(a)のA−A´線での変形部16AaのXY断面図である。理解容易のため、固定部材11であるボルトの軸部の一部と頭部が二点鎖線で示されている。
【0019】
図2(b)に示すように、変形部16は、上述したコの字状の形状となっている。ここでは、拘束板10Aの厚みを寸法「3×L」(例えば、寸法L=5mm)とすると、コの字状部位を形成する上記2つの平面の厚みはそれぞれ寸法Lと設計している。従って、当該2つの平面の間に存在する空間の間隔は寸法Lである。当該空間には、そのY方向の厚みが寸法Lより小さい寸法S(例えば、寸法S=2mm)の圧力センサ17(例えば、圧電素子)が上記ボルトの軸部を貫通させて配置されている。なお、圧力センサ17には、図1に示した圧力センサ用の2本の配線14(すなわち、圧力センサ用配線14aと14b)が接続されている。
【0020】
そして、電池容器の内部にガスが発生し、電池容器の内圧が、予防値と実質的に同一且つやや小さい値である所定値になると、固定部材であるボルトの頭部とナットの間隔は一定であるので、変形部16の一部が切り込み12からY方向に割れることになる。すなわち、変形部16のコの字状部位の2つの平面のうち、切り込み12が形成されている一方の平面が拘束板10Aから分離することになる。このため、図2(c)に示すように、拘束板10A自体が、固定部材であるボルトの頭部に向かって(すなわち、+Y方向に)、寸法「L-S」だけ移動することができる。このとき、当該頭部は、変形部16のコの字状部位の2つの平面のうち、他方の平面(すなわち、分離した平面とは異なる平面)で少なくとも止まる構成であるため、一対の拘束板10による電池6の拘束は、依然として保たれる。
【0021】
なお、この際、図3(b)、(c)に示すように、他方の拘束板10Bの変形部16には、コの字状部位の空間にY方向の厚みが寸法Lの変形防止材18(例えば、強化プラスチック)が上記ボルトの軸部を貫通させて配置されている。従って、電池容器の内部の圧力が上記所定値になった場合においても、変形部16の切り込み12が形成されている部分が切り込み12からY方向に割れることはない。
設計によっては、拘束板10Bの代わりに、拘束板10Bに変形部16の形成されていない単なる板状の拘束板を用いてもよい。
【0022】
従って、一旦、電池容器の内部の圧力が所定値になった直後、拘束板10Aと拘束板10Bの間隔が、拘束板10Aの変形部16の変形により寸法「L-S」だけ広がるので、その分だけ電池容器の変形を許容することができる。その結果として、電池容器の内部の圧力を当該所定値から下げ、緩和させることができる。言い換えれば、本構成の電池モジュール2では、一対の拘束板10による電池6の拘束を完全には解かず且つ維持したまま、電池容器の内部の圧力が上記所定値になった後に当該圧力を緩和させることができるため、電池容器内部の正極板と負極板との間隔をさほど広げることなく、当該電池を使用し続けることができる。よって、電池モジュール2によれば、電池性能を悪化させることなく、より長い期間、当該電池を使用することが可能となる。すなわち、効率的な電池6の運用が可能となる。
なお、電池モジュール2では変形部16の一部が分離したが、実際には分離せずとも実質的には分離したと同様の構成であればよいので、変形部の一部が曲がるなどする構成としてもよい。
また、拘束板10に形成される変形部16は、電池6に拘束板10から加えられる圧力を均等とするために、図2または図3に示すように拘束板10の中心線に対して対象に複数配置されるのが望ましい。しっかりと上記拘束を行うために、少なくとも拘束板10の4つの角付近に変形部16Aaまたは16Baを形成するのが望ましい。
さらに、変形部16は拘束板10の一部として説明したが、上述したと同様の変形動作が可能であれば、変形部16を拘束板10と別体として準備した後、拘束板10に変形部16を一体に接続してもよい。
【0023】
次に、電池モジュール2を用いた電池システム1につき、図1を用いて説明する。電池モジュール2に配置された電池6の2つの電極端子7(すなわち、正極端子と負極端子)は、直列接続されたスイッチ3と電力負荷4(例えば、電気モータ)の両端にそれぞれ電力線13を介して接続されている。すなわち、スイッチ3が導通状態(すなわち、ONの状態)である場合に、電池6から電力負荷4へ電力を供給することができる。
制御装置5は、電力負荷4の負荷量を制御するとともに、スイッチ3を上記導通状態(すなわち、ONの状態)または非導通状態(すなわち、OFFの状態)に択一的に制御する。電池システム1が、例えば工場等の私有地を走る電気自動車である場合であって、且つ、電力負荷が電気自動車の車輪を駆動するための電気モータである場合、ユーザーによる始動操作(すなわち、イグニッションONの操作)によって、制御装置5がスイッチ3を非導通状態から導通状態にし、さらに、ユーザーのアクセルの踏み込み量に応じて制御装置5が電力負荷4への電力供給量を制御する。そして、ユーザーによる終了操作(すなわち、イグニッションOFFの操作)によって、制御装置5がスイッチ3を導通状態から非導通状態にする。
【0024】
さらに、制御装置5には、圧力センサ用配線14が接続されている。すなわち、当該配線を介して、制御装置5は、圧力センサ17が検知した圧力に関する信号を受信している。そして、圧力センサからの当該信号が、上記予防値に相当するものである場合、制御装置5は、スイッチ3を導通状態から非導通状態にして、電力負荷4への電力供給を強制的に遮断する。
これにより、電池モジュール2の変形部16が変形することで一旦高まった電池容器内部の圧力が上記所定値から緩和された後、再び当該圧力が上昇を始め、当該圧力が上記予防値となったことが圧力センサ17で検知された場合に、電池システム1を強制的に停止することができる。
従って、安全弁9が配置されている電池が電池システムに用いられる場合、安全弁9が破裂する前に、該当する電池6を安全に交換することができる。従って、電池システム1の他の構成部品を電池6の内部で発生するガスによって汚染・腐食等させることはないので、交換・修理費用の観点で、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0025】
図4に、電池モジュール2の変形例2´を示す。変形例2´では、電池6の冷却をするためのヒートシンク19を介して電池6が2つ配置されている点のみ、電池モジュール2と異なり、他の構成は電池モジュール2と同一である。従って、同一部材については電池モジュール2と同一番号を付して、説明を省略する。
2つの電池5は組電池を構成するものであり、図示しない配線にて、変形例2´の内部で直列または並列に接続されている。
かような構成の電池モジュール2´自体の効果、さらには図1の電池システムに電池モジュール2´を適用した場合の効果は、図1の電池モジュール2及び電池システム1で述べた効果と同様である。
かように、電池モジュールに内蔵される電池6の数は、1つまたは2以上の複数でもよく、設計仕様に応じて適宜変更可能である。
【0026】
本発明は上述した実施形態やその変形例、またはこれらの組み合わせに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りで種々の変形が可能である。例えば、電池容器の形状は角型として説明したが、円筒型であってもよい。同様に、積層電極体は、複数の正極板と複数の負極板とがそれぞれセパレータを介して順次積層された積層電極体(積層型積層電極体)でもよいし、1つの正極板と1つの負極板とが1つのセパレータを介して積層され且つ巻かれた状態の積層電極体(捲回型積層電極体)でもよい。
また、電池システム1は、例えば、電力負荷4である電気モータに車輪を接続したフォークリフトなどの産業車両、電車、または電気自動車などの移動体、並びに電力負荷4である電気モータにプロペラまたはスクリューを接続した飛行機または船などの移動体であってもよい。さらに、電池システム1は、例えば家庭用の電力貯蔵システムや、風車や太陽光のような自然エネルギー発電と組み合わせた系統連系円滑化蓄電システムなどの定置用のシステムであってもよい。すなわち、電池システム1は、電池モジュール2の電池6による電力の少なくとも放電を利用するシステムであり、また、充放電を利用するシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1…電池システム、2(2´)…電池モジュール、3…スイッチ、4…電力負荷、
5…制御装置、6…電池、7…電極端子(正極端子、負極端子)、8…絶縁性樹脂、
9…安全弁、10(10A、10B)…拘束板、11…固定部材(ボルト、ナット)、
12…切り込み、13…電力線、14(14a、14b)…圧力センサ用配線、
15…貫通孔、16…変形部、17…圧力センサ、18…変形防止材、
19…ヒートシンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の拘束板と、
電池と、
変形部を備えた第2の拘束板と、
前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とで挟みこんで前記電池を拘束した状態で、前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とを前記変形部を介して固定する固定部材と
を有し、
前記電池の内部の圧力が所定値となった場合に前記変形部が変形することで、前記拘束した状態を維持したまま、前記圧力を緩和することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記変形の際、前記第2の拘束板から前記変形部の一部が分離することを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記変形部は、前記第2の拘束板の中心線に対して線対称に複数形成されており、前記変形部の数と同数の前記固定部材がそれぞれ対応する前記変形部へ配置されて前記固定がなされることを特徴とする請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池は角型の電池であり、
前記第2の拘束板は略矩形の形状であり、少なくとも前記略矩形の4つの角部にそれぞれ前記変形部が形成されることを特徴とする請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記変形部は、前記第2の拘束板と一体となったコの字状部位であり、前記コの字状部位には切り込みが形成されており、前記変形の際、前記変形部の一部が前記切り込みによって分離することを特徴とする請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記固定部材は、ボルトと、前記ボルトにネジ止めされるナットとからなることを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
第1の拘束板と、電池と、変形部が形成された第2の拘束板と、前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とで挟みこんで前記電池を拘束した状態で、前記第1の拘束板と前記第2の拘束板とを前記変形部を介して固定する固定部材とを備えた電池モジュールと、
前記電池からの電力供給により駆動する電力負荷と、
前記電力供給を遮断するスイッチと、
前記スイッチの前記遮断を制御する制御装置と
を有し、
前記電池モジュールにおいて、前記電池の内部の圧力が所定値となった場合に前記変形部が変形することで、前記拘束した状態を維持したまま前記圧力を緩和した後、前記電池の内部の圧力が再び高まって予防値近傍に達した場合に、前記制御装置は前記遮断を行うことを特徴とする電池システム。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114943(P2013−114943A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261131(P2011−261131)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】