説明

電池劣化判定システム

【課題】電池劣化判定システムにおいて、電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力することである。
【解決手段】電池劣化判定システムは、電池ECU12を含む。電池ECU12は、DC/DCコンバータ18において、デューティ指令値DIに基づいて、第1電圧VLと第2電圧VHとの間での電圧変換を行うときの、電池出力電力Pと電池温度Tと電池容量SOCと第2電圧VHとを含む電圧変換状態値と、デューティ指令値DIとを取得し、取得された電圧変換状態値に基づいて電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得し、取得されたデューティ指令値DIと電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を含むDC/DCコンバータを用いて、DC/DCコンバータに接続される電池の劣化を判定する電池劣化判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、電気自動車またはハイブリッド車等の走行用電動モータを搭載した電動車両には、電動モータの電源としてバッテリである二次電池を搭載している。電動車両は、二次電池に蓄電された電力により電動モータを駆動する。また、燃料電池車では、燃料電池で発電した電力を電動モータに供給したり、発電電力と二次電池から放電される電力とにより電動モータを駆動する場合がある。
【0003】
また、電動車両の制動時に電動モータを発電機として機能させ、電動モータで発電した電力を二次電池へ回収させる回生制動を行うことも行われている。この場合、二次電池が充電されるため、エネルギ消費を低減できる可能性がある。
【0004】
このような電動車両や燃料電池車において、二次電池が劣化すると、二次電池の満充電時の残存電池充電容量であるSOC(State of Charge)が減少する。この場合、二次電池の内部抵抗が増大する。また、この場合、二次電池の充電容量を正確に把握することが困難になるため、二次電池を使用して充電したり放電する場合に、過充電や過放電が生じる可能性がないとはいえない。また、二次電池の放電電力を用いて走行用電動モータを駆動させ、車両を走行させる場合の走行距離が減少する可能性もある。さらに、二次電池が劣化し、内部抵抗が増大すると、二次電池内でエネルギ損失が大きくなり、二次電池の電力を使用して走行する車両のSOCの低下が早くなる。この場合、例えば、エンジンと走行用モータとを搭載し、エンジンと走行用モータとの少なくとも一方を主駆動源として使用するハイブリッド車両の場合には、エンジンにより発電機を駆動し、発電した電力を二次電池に供給、すなわち充電する機会が増えるため、エンジンの燃料消費量が大きくなり、燃費が悪化しやすくなる。
【0005】
また、二次電池の内部抵抗が増大すると、走行用モータを搭載する電動車両において、車輪がスリップしたり、過度にグリップが大きくなる場合に二次電池から放電される放電電流が大きくなったり、充電電流が大きくなる。例えば、スリップ時には走行用モータの回転数が高くなるが、走行用モータの出力(パワー)を一定に制御するためにはトルクを低く抑える必要があるのに対し、実際のトルクが小さくならないため、放電電流の絶対値が大きくなる場合がある。この場合には、内部抵抗と放電電流の絶対値との積が大きくなり、二次電池の端子間電圧が過度に上昇したり、過度に下降する可能性があり、二次電池にDC/DCコンバータが接続されている場合にDC/DCコンバータの二次電池接続側で過電圧が発生し、DC/DCコンバータが停止される可能性がないとはいえない。このように二次電池が劣化すると種々の問題が発生するため、劣化した二次電池は早期に交換する必要がある。このため、二次電池が劣化した場合にその劣化を運転者等のユーザに知らせる方法が考えられている。
【0006】
例えば、特許文献1には、二次電池の残存容量であるSOCと、二次電池の開放電圧値であるOCVとを検出する手段と、SOCの変化に対するOCVの変化の割合が大きいほど、二次電池が劣化していると判定する手段とを備える劣化判定装置が記載されている。この装置では、二次電池が劣化していると判定されると、異常処理が実行され、警告灯を表示(点灯や点滅)させるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−179284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが特許文献1に記載された劣化判定装置では、SOCの変化に対するOCVの変化の割合を算出して、その割合が予め設定された閾値よりも大きい場合に二次電池は劣化していると判定するので、SOCを変動させる時間分、二次電池の劣化を判定するのに時間を要してしまう。このため、実際の二次電池の劣化に対してその劣化判定結果の出力に遅れが生じる可能性があり、二次電池の劣化判定結果を迅速に出力する面から改良の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、電池劣化判定システムにおいて、電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電池劣化判定システムのうち、第1の発明に係る電池劣化判定システムは、スイッチング素子を含むDC/DCコンバータを用いて、DC/DCコンバータに接続される電池の劣化を判定する電池劣化判定システムであって、DC/DCコンバータにおいて、スイッチング素子のデューティ比の指令値であるデューティ指令値に基づいて電圧変換を行うときの、電池出力電力と電池温度と電池容量と電圧とを含む電圧変換状態値と、デューティ指令値とを取得する状態指令値取得手段と、取得された電圧変換状態値に基づいて電池劣化判定用デューティ基準値を取得する基準値取得手段と、取得されたデューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする電池劣化判定システムである。
【0011】
上記の第1の発明に係る電池劣化判定システムによれば、電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。また、上記の特許文献1に記載の構成の場合と異なり、電池容量を変動させ、その電池容量の変動前後で電池の開放電圧を検出する必要がなくなり、判定に要する時間を短くでき、電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。
【0012】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、電圧変換状態値と電池劣化判定用デューティ基準値との関係を表すマップのデータを記憶するマップ記憶手段を備え、基準値取得手段は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段で記憶されたマップのデータを参照しつつ電池劣化判定用デューティ基準値を取得する。
【0013】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、マップ記憶手段は、電圧変換状態値と燃費悪化判定用デューティ基準値との関係を表す第2マップのデータを記憶し、基準値取得手段は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段で記憶された第2マップのデータを参照しつつ燃費悪化判定用デューティ基準値を取得し、判定手段は、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定するとともに、デューティ指令値と燃費悪化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、燃費性能悪化か否かを判定し、それぞれの判定結果に基づいて、2の通知信号を出力し、さらに、2の通知信号に基づいて異なる報知を行う報知手段を備える。
【0014】
上記構成によれば、電池劣化に至っていないが、燃費性能悪化であることをユーザに注意することができ、燃費性能の悪化を許容できるユーザにとって無駄な電池交換の必要をなくせるとともに、燃費性能の悪化を許容できないユーザに、電池交換により車両の性能向上の機会を提供することができる。
【0015】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、基準値取得手段は、電池容量及び電池温度に基づいて定められる電池劣化時の電池内部抵抗推測値を取得し、電池劣化時の電池内部抵抗推測値と電池出力電力と電池容量と電圧とに基づいて電池劣化判定用デューティ基準値を取得する。
【0016】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、DC/DCコンバータは、上側スイッチング素子を含む上アームと、下側スイッチング素子を含むしたアームとを含み、状態指令値取得手段は、上アームの1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値を取得し、判定手段は、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値を下回った場合に、電池劣化であると判定し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値以上である場合に、電池劣化ではないと判定する。
【0017】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、DC/DCコンバータは、上側スイッチング素子を含む上アームと、下側スイッチング素子を含む下アームとを含み、状態指令値取得手段は、下アームの1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値を取得し、判定手段は、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値を上回った場合に、電池劣化であると判定し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値以下である場合に、電池劣化ではないと判定する。
【0018】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、基準値取得手段は、予め設定された特定条件成立時にのみ、取得された電圧変換状態値に基づいて電池劣化判定用デューティ基準値を取得し、判定手段は、予め設定された特定条件成立時にのみ、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。
【0019】
上記構成によれば、特定条件成立時にのみ、電池劣化の判定が行われるので、特定条件を電圧変換状態値に関係付けて設定することにより、基準値取得手段が、電圧変換状態値と電池劣化判定用デューティ基準値との関係を表すマップを用いて電池劣化判定用デューティ基準値を取得する場合に、予め記憶させるマップ点数を減らすことができる。
【0020】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、電圧の取得値に基づいて、PI演算によりデューティ指令値を補正する補正手段を備え、補正手段は、判定手段により得られた電池劣化の判定結果に応じて、PI演算で使用するゲインを変更するゲイン変更手段を含む。
【0021】
上記構成によれば、電池の劣化の判定結果に応じてPI演算で使用するゲインを変更できるため、DC/DCコンバータの制御応答性の向上を図れる。
【0022】
また、第1の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、サブスイッチング素子を含み、サブ電池に接続されるサブDC/DCコンバータを備え、DC/DCコンバータとサブDC/DCコンバータとを、それぞれで電圧変換しつつ電力の授受可能に接続しており、さらに、サブDC/DCコンバータにおいて、サブスイッチング素子のデューティ比の指令値であるサブデューティ指令値に基づいて電圧変換を行うときの、サブ電池出力電力とサブ電池温度とサブ電池容量とサブ電圧とを含むサブ電圧変換状態値と、サブデューティ指令値とを取得するサブ状態指令値取得手段と、取得されたサブ電圧変換状態値に基づいてサブ電池劣化判定用デューティ基準値を取得するサブ基準値取得手段と、サブデューティ指令値とサブ電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、サブ電池の電池劣化か否かを判定するサブ判定手段とを備える。
【0023】
上記構成によれば、電池とサブ電池とを搭載する車両の停車時においても、電池とサブ電池との間で電力の授受を行いつつ、電池とともにサブ電池も劣化判定を行え、電池またはサブ電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。
【0024】
また、より好ましくは、サブ電圧の取得値に基づいて、サブPI演算によりサブデューティ指令値を補正するサブ補正手段を備え、サブ補正手段は、サブ判定手段により得られたサブ電池劣化の判定結果に応じて、サブPI演算で使用するゲインを変更するサブゲイン変更手段を含む。
【0025】
上記構成によれば、サブ電池の劣化の判定結果に応じてサブPI演算で使用するゲインを変更できるため、サブDC/DCコンバータの制御応答性の向上を図れる。
【0026】
また、本発明に係る電池劣化判定システムのうち、第2の発明に係る電池劣化判定システムは、スイッチング素子を含むDC/DCコンバータを用いて、DC/DCコンバータに接続される電池の劣化を判定する電池劣化判定システムであって、DC/DCコンバータにおいて、スイッチング素子のデューティ比の指令値であるデューティ指令値に基づいて電圧変換を行うときの、電池出力電力と電池温度と電池容量と電圧とを含む電圧変換状態値と、デューティ指令値とを取得する状態指令値取得手段と、取得されたデューティ指令値と電圧変換状態値とに基づいて現在の電池内部抵抗推測値と電池劣化時内部抵抗推測値とを取得する内部抵抗取得手段と、現在の電池内部抵抗推測値と電池劣化時内部抵抗推測値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする電池劣化判定システムである。
【0027】
上記の第2の発明に係る電池劣化判定システムによれば、電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。また、上記の特許文献1に記載の構成の場合と異なり、電池容量を変動させ、その電池容量の変動前後で電池の開放電圧を検出する必要がなくなり、判定に要する時間を短くでき、電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。
【0028】
また、第2の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、電圧変換状態値と現在内部抵抗推測値及び電池劣化時内部抵抗推測値との関係を表すマップのデータを記憶するマップ記憶手段を備え、内部抵抗取得手段は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段で記憶されたマップのデータを参照しつつ現在の電池内部抵抗推測値と電池劣化時内部抵抗推測値とを取得する。
【0029】
また、第2の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、マップ記憶手段は、電圧変換状態値と燃費性能悪化判定用内部抵抗推測値との関係を表す第2マップのデータを記憶し、判定手段は、現在の電池内部抵抗推測値と電池劣化時内部抵抗推測値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定するとともに、燃費性能悪化か否かを判定し、それぞれの判定結果に基づいて、2の通知信号を出力し、さらに、2の通知信号に基づいて異なる報知を行う報知手段を備える。
【0030】
上記構成によれば、電池劣化に至っていないが、燃費性能悪化であることをユーザに注意することができ、燃費性能の悪化を許容できるユーザにとって無駄な電池交換の必要をなくせるとともに、燃費性能の悪化を許容できないユーザに、電池交換により車両の性能向上の機会を提供することができる。
【0031】
また、第2の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、DC/DCコンバータは、上側スイッチング素子を含む上アームと、下側スイッチング素子を含むしたアームとを含み、状態指令値取得手段は、上アームの1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値を取得し、判定手段は、現在の電池内部抵抗推測値と電池劣化時内部抵抗推測値とを比較し、現在の電池内部抵抗推測値が電池劣化時内部抵抗推測値を上回った場合に、電池劣化であると判定し、現在の電池内部抵抗推測値が電池劣化時内部抵抗推測値以下である場合に、電池劣化ではないと判定する。
【0032】
また、第2の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、DC/DCコンバータは、上側スイッチング素子を含む上アームと、下側スイッチング素子を含むしたアームとを含み、状態指令値取得手段は、下アームの1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値を取得し、判定手段は、現在の電池内部抵抗推測値と電池劣化時内部抵抗推測値とを比較し、現在の電池内部抵抗推測値が電池劣化時内部抵抗推測値を下回った場合に、電池劣化であると判定し、現在の電池内部抵抗推測値が電池劣化時内部抵抗推測値以上である場合に、電池劣化ではないと判定する。
【0033】
また、第2の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、内部抵抗取得手段は、予め設定された特定条件成立時にのみ、取得された電圧変換状態値に基づいて現在の電池内部抵抗推測値及び電池劣化時内部抵抗推測値を取得し、判定手段は、予め設定された特定条件成立時にのみ、現在の電池内部抵抗推測値と電池劣化時内部抵抗推測値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。
【0034】
上記構成によれば、特定条件成立時にのみ、電池劣化の判定が行われるので、特定条件を電圧変換状態値に関係付けて設定することにより、内部抵抗取得手段が、電圧変換状態値と現在の電池内部抵抗推測値及び電池劣化時内部抵抗推測値との関係を表すマップを用いて現在の電池内部抵抗推測値及び電池劣化時内部抵抗推測値を取得する場合に、予め記憶させるマップ点数を減らすことができる。
【0035】
また、第2の発明に係る電池劣化判定システムにおいて、好ましくは、電圧の取得値に基づいて、PI演算によりデューティ指令値を補正する補正手段を備え、補正手段は、判定手段により得られた電池劣化の判定結果に応じて、PI演算で使用するゲインを変更するゲイン変更手段を含む。
【0036】
上記構成によれば、電池の劣化の判定結果に応じてPI演算で使用するゲインを変更できるため、DC/DCコンバータの制御応答性の向上を図れる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る電池劣化判定システムによれば、電池の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電池劣化判定システムを含むモータ駆動装置を示す回路図である。
【図2】図1に示す電池ECU及びモータECUと報知手段とを示す構成図である。
【図3】図2に示す電池ECUを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る電池劣化判定システムを含むモータ駆動装置を示す回路図である。
【図8】図7に示す電池ECU及びモータECUと報知手段とを示す構成図である。
【図9】図7に示す電池ECUを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図3は、本発明の第1の実施の形態を示している。
【0040】
本実施の形態に係る電池劣化判定システムは、電動車両であるハイブリッド車両に搭載する場合を説明するが、ハイブリッド車両以外の電気自動車または燃料電池車に搭載して使用することもできる。なお、以下では、二次電池から電力を供給される負荷が車両の走行用モータであるモータジェネレータである場合を説明するが、モータジェネレータの代わりに、例えば、空調装置のブロア用モータやコンプレッサ用モータ等、車両用以外のモータ等の車両に搭載する他のモータを、二次電池から電力を供給される負荷とすることもできる。また、車両以外の用途に使用するモータを、二次電池から電力を供給される負荷とすることもできる。また、モータジェネレータは、モータと発電機との機能を併せ持つモータジェネレータである場合を説明するが、走行用モータは、モータのみの機能を有するモータとしてもよい。
【0041】
図1に示すモータ駆動装置10は、ハイブリッド車両に搭載して使用されるもので、電池劣化判定システムを構成する、電池制御部である電池ECU12と、モータECU14と、二次電池16と、DC/DCコンバータ18と、インバータ20と、モータジェネレータ22とを備える。モータジェネレータ22は、3相モータであり、主として電動機として使用されるが、車両の制動時に発電機としての機能を発揮する。制動時にモータジェネレータ22で発電した電力は、二次電池16で回収して二次電池16を充電する。このような制動は回生制動と呼ばれる。二次電池16は、ニッケル水素電池や、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等である。
【0042】
二次電池16にDC/DCコンバータ18を接続しており、DC/DCコンバータ18にインバータ20を介してモータジェネレータ22を接続している。DC/DCコンバータ18は、上側スイッチング素子を含む上アーム24と、下側スイッチング素子を含む下アーム26とを直列に接続し、上アーム24と下アーム26との中点にリアクトル28を接続している。上アーム24は、上側スイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードを含む。下アーム26は、下側スイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードを含む。上側、下側各スイッチング素子は、IGBTや、トランジスタ、MOS−FET等である。リアクトル28には、空心コイルまたは鉄心を有するコイルが用いられる。なお、DC/DCコンバータ18のモータジェネレータ22側に、モータジェネレータ22と並列に別のインバータを介して、主として発電機として機能する別のモータジェネレータを接続することもできる。
【0043】
DC/DCコンバータ18は、二次電池16の端子間電圧を第1電圧VLとし、DC/DCコンバータ18のインバータ20側であり、インバータ20入力電圧を第2電圧VHとした場合に、上側スイッチング素子のデューティ比の指令値であるデューティ指令値DIに基づいて、第1電圧VLと第2電圧VHとの間で所望の大きさの電圧に、昇圧または降圧の電圧変換を行う。DC/DCコンバータ18で電圧変換された後の第2電圧VHは、インバータ20へ供給される。インバータ20とDC/DCコンバータ18との間に平滑化用のコンデンサ30を接続している。なお、二次電池16の出力側とDC/DCコンバータ18との間にも平滑化用のコンデンサを、二次電池16に対し並列に接続することもできる。インバータ20は、入力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ20が生成した3相の交流電流は、モータジェネレータ22に供給され、モータジェネレータ22が駆動する。モータECU14は、モータ制御部とコンバータ制御部とを含み、モータ制御部は、インバータ20にモータジェネレータ22を駆動するための制御信号を送る。コンバータ制御部は、DC/DCコンバータ18を構成する各スイッチング素子に制御信号を出力し、各スイッチング素子をオンオフ制御することにより、DC/DCコンバータ18に電圧変換を行わせる。
【0044】
また、二次電池16に、第1電圧VLを検出する第1電圧センサ32を接続している。また、DC/DCコンバータ18とインバータ20との間に、第2電圧VHを検出する第2電圧センサ34を接続している。モータECU14は、CPU、メモリ等を有するマイクロコンピュータを含む。モータECU14には、モータジェネレータ22に設けた図示しないモータ電流センサによりモータジェネレータ22の各相を流れるモータ電流値を入力する。また、モータECU14には、第1電圧センサ32により検出した第1電圧VLと、第2電圧センサ34により検出した第2電圧VHと、図示しない外部ECUからのトルク指令値と、モータのロータ位置情報とを入力する。モータのロータ位置情報は、モータジェネレータ22に設けた回転角度センサ(図示しない)等から取得する。
【0045】
モータECU14を構成するモータ制御部は、モータ電流値及び第2電圧VHの検出値と、トルク指令値及びモータのロータ位置情報とに基づいて、モータジェネレータ22を駆動する際の、インバータ20のスイッチング素子を制御するための信号を生成し、インバータ20に出力する。これによって、インバータ20は、モータジェネレータ22に駆動信号を出力し、モータジェネレータ22を駆動する。
【0046】
モータECU14を構成するコンバータ制御部は、インバータ20によりモータジェネレータ22を駆動する際に、第1電圧VL及び第2電圧VHの検出値と、トルク指令値及びモータ回転数とに基づいて、目標第2電圧を算出し、第2電圧VHが目標第2電圧となるようにデューティ指令値DIを生成する。そしてコンバータ制御部は、デューティ指令値DIに基づいて上側スイッチング素子と下側スイッチング素子とをオンオフ制御するための信号を生成して、DC/DCコンバータ18に出力する。
【0047】
また、コンバータ制御部は、モータジェネレータ22が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号を生成し、インバータ20に出力するとともに、インバータ20からの直流電圧を降圧して二次電池16に充電するためのDC/DCコンバータ18を制御するためのデューティ指令値DIを生成し、デューティ指令値DIに基づいて、上側スイッチング素子と下側スイッチング素子とをオンオフ制御するための信号を生成して、DC/DCコンバータ18に出力する。
【0048】
本例の場合、上側スイッチング素子のオンの間、下側スイッチング素子をオフとし、上側スイッチング素子のオフの間、下側スイッチング素子をオンする。
【0049】
DC/DCコンバータ18で電圧変換動作を行う場合、例えば、昇圧動作時には、下側スイッチング素子をオンさせる、すなわち接続するとともに、上側スイッチング素子をオフさせる、すなわち非接続とする。これにより、二次電池16側の電力をリアクトル28に一時的に磁気エネルギとして蓄える。また、下側スイッチング素子のオフ時には上側スイッチング素子をオンさせ、リアクトル28で蓄えた磁気エネルギをコンデンサ30の両端間に電力として供給する。この場合、上側スイッチング素子の1周期におけるオンデューティの割合であるデューティ比を指示する指令値を、デューティ指令値DIとし、デューティ指令値DIに基づいて、第2電圧VHを制御できる。
【0050】
電池ECU12は、二次電池16の充電状態を監視するとともに、二次電池16の劣化状態を判定し、二次電池16が劣化していると判定されたならば、劣化を表す信号を報知手段である報知部36(図2)に出力し、報知部36でユーザに電池劣化を報知させる。例えば、報知部36は、液晶表示部等の表示部またはLED等を含み、点灯や点滅させる警告灯や、ブザー等の警告音や、電池劣化を知らせる音声を出力する出力部等とする。
【0051】
また、二次電池16に、二次電池16の充放電電流IBを検出する電流センサ38を接続し、電流センサ38の検出値を電池ECU12に入力している。また、二次電池16の温度である電池温度Tを検出する温度センサ40を設け、温度センサ40の検出値を電池ECU12に入力している。また、電池ECU12に、第1電圧センサ32の検出値、第2電圧センサ34の検出値、及び、モータECU14からのデューティ指令値DIを表す信号を入力している。
【0052】
電池ECU12は、CPU、メモリ等を有するマイクロコンピュータを含み、図2に示すように、状態指令値取得手段42と、マップ記憶手段44と、基準値取得手段46と、判定手段48とを含む。電池ECU12を含む電池劣化判定システムは、DC/DCコンバータ18を用いて、二次電池16の劣化を判定する。状態指令値取得手段42は、第1電圧センサ32と第2電圧センサ34とから、第1電圧VLと、電圧変換状態値である第2電圧VHとの検出値を取得する。また、状態指令値取得手段42は、電流センサ38から充放電電流IBの検出値を取得することにより、電圧変換状態値であり、電池容量であるSOCを取得する。この場合、状態指令値取得手段42は、二次電池16への充電電流値IB及び二次電池16からの放電電流値IBを時間積算することにより、SOCを算出する、すなわち取得する。なお、SOCの取得のために、電流値の時間積算による方法以外の方法を用いることもできる。また、状態指令値取得手段42は、温度センサ40から電圧変換状態値である、電池温度Tを取得する。さらに、状態指令値取得手段42は、充放電電流IBの検出値と、第1電圧VLの検出値との積を算出し、電圧変換状態値である、二次電池16の出力電力Pを算出、すなわち取得する(P=IB×VL)。
【0053】
マップ記憶手段44は、電圧変換状態値である、出力電力P、電池温度T、SOC、及び第2電圧VHと、電池劣化判定用デューティ基準値DLとの関係を表すマップのデータを記憶する。すなわち、DC/DCコンバータ18の上アーム24におけるデューティ比であるデューティ指令値Dに関して、図1に示すように下アーム26の両端間電圧をV0とした場合に、次式がそれぞれ成立する。
【0054】
V0=VB−R×IB ・・・(1)
V0=VH×D ・・・(2)
ここで、VBは二次電池16の起電力であり、Rは二次電池16の内部抵抗である。
【0055】
また、二次電池16の出力電力Pについて、次式が成立する。
P=VH×D×IB ・・・(3)
【0056】
したがって、(3)式に(1)(2)式の関係を代入すると、
P=VH×D×1/R×(VB−D×VH)
=−(VH)2/R×{D−VB/(2VH)}2+(VB)2/(4R) ・・・(4)
が成立する。
【0057】
したがって、(4)式において、デューティ指令値Dについての二次方程式を解くことにより、次式が得られる。
【0058】
【数1】

【0059】
(5)式から、デューティ指令値Dは、二次電池16の起電力VBと、二次電池16の内部抵抗Rと、二次電池16の出力電力Pと、第2電圧VHとから決定されることが分かる。また、二次電池16の起電力VBは、二次電池16の容量SOCに依存することが分かっている。また、内部抵抗Rは、電池容量SOCと電池温度Tとに依存することも分かっている。本実施の形態では、このようなDについての関係を用いて、二次電池16の劣化時のデューティ指令値DLを推測し、現在のデューティ指令値DIとこの劣化時のデューティ指令値DLとの大小関係を求めることにより、二次電池16が劣化しているか否かを判定する。
【0060】
すなわち、二次電池16の内部抵抗Rは、電池容量SOCと電池温度Tとに依存するため、二次電池16劣化時の内部抵抗Rも、電池容量SOCと電池温度Tとに依存する。このため、予め二次電池16劣化時の内部抵抗推測値RLと、電池容量SOCと電池温度Tとの関係を表すマップのデータを記憶部に記憶させておくことで、取得された電池容量SOCと電池温度Tとから、二次電池16劣化時の内部抵抗RLを取得できる。
【0061】
また、取得された内部抵抗推測値RL、第2電圧VH、及び電池出力電力Pと、電池容量SOCから一義的に算出される二次電池16の起電力VBとを、(5)式に代入することで、二次電池16劣化時のデューティ指令値を、劣化判定用デューティ基準値DLとして算出できるので、予め内部抵抗推測値RL、第2電圧VH、電池出力電力P、及び電池容量SOCと、算出される基準値DLとの関係を表すマップのデータを記憶部に記憶させておくことで、取得された内部抵抗推測値RL、第2電圧VH、電池出力電力P、及び電池容量SOCから、基準値DLを取得できる。したがって、電圧変換状態値である、電池出力電力Pと、電池温度Tと、電池容量SOCと、第2電圧VHと、基準値DLとの関係を表すマップのデータをマップ記憶手段44に記憶させておくことで、マップ記憶手段44で記憶されたデータを参照しつつ、取得された電圧変換状態値に基づいて、電池劣化判定用デューティ基準値DLを得ることができる。本例の場合には、マップ記憶手段44は、上記の電圧変換状態値と、電池劣化判定用デューティ基準値DLとの関係を表すマップのデータを記憶する。また、基準値取得手段46は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段44で記憶されたマップのデータを参照しつつ、電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得する。
【0062】
判定手段48は、取得されたデューティ指令値DIと電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。より具体的には、判定手段48は、状態指令値取得手段42で取得されたデューティ指令値DIと、基準値取得手段46で取得された電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較し、デューティ指令値DIが電池劣化判定用デューティ基準値DLを下回った場合(DI<DL)に、電池劣化であると判定し、デューティ指令値DIが電池劣化判定用デューティ基準値DL以上である場合(DI≧DL)に、電池劣化ではないと判定する。そして、判定手段48は、電池劣化であると判定した場合に、報知部36に電池劣化判定結果、すなわち二次電池16が劣化していることを表す信号を出力し、報知部36は、ユーザへ電池劣化を通知する。例えば、報知部36が表示部を含む場合には、表示部に電池劣化を表示させる。
【0063】
また、モータECU14を構成するコンバータ制御部は、補正手段50を含む。補正手段50は、DC/DCコンバータ18で電圧変換を行う場合に、第2電圧VHの取得値に基づいて、PI演算により取得されたデューティ指令値DIを補正する。すなわち、補正手段50は、第2電圧VHが目標第2電圧VH´に近づくように、第2電圧VHの取得値と目標第2電圧との偏差を取得し、その偏差に基づいてPI演算により補正量を出力し、デューティ指令値DIを補正する。そして、補正手段50は、判定手段48から電池劣化であることを表す判定結果の信号が入力されることにより、電池劣化である場合に通常時に対して、PI演算で使用するフィードバックゲインである、Pゲイン及びIゲインを、予め設定した所定量増加または減少させる等により、ゲインを変更するゲイン変更手段52を含む。すなわち、ゲイン変更手段52は、判定手段48により得られた電池劣化の判定結果に応じて、PI演算で使用するゲインを変更する。これにより、二次電池16の劣化時には、PI演算によるデューティ指令値DIの制御の応答性が悪化する傾向となるのに対し、本例の構成によれば、デューティ指令値DIの制御応答性の向上を図れる。また、このようなゲインの変更は、予め記憶させたゲインと偏差との関係を表すマップを別のマップに変更することで実行してもよく、また、ゲインと偏差との関係を表す関数を変更することで実行してもよい。
【0064】
なお、PI演算の代わりにPI演算を含むPID演算を使用してもよい。この場合、ゲイン変更手段52は、判定手段48から電池劣化であることを表す判定結果の信号が入力されることにより、通常時に対して、PID演算で使用するフィードバックゲインである、Dゲインも、予め設定した所定量増加または減少させる等により、ゲインを変更してもよい。
【0065】
次に、このような電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を、図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明では、図1,2に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。このようなフローチャートは、例えば電池ECU12が備える記憶部に記憶させた判定プログラムを実行することにより、実行される。なお、このプログラムは、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
【0066】
まず、判定プログラムが開始されると、図3のステップ(以下、「ステップ」は単にSとして説明する。)10において、状態指令値取得手段42は、デューティ指令値DI、電池温度T、電池容量SOC、充放電電流IB、第1電圧VL、及び第2電圧VHを取得する。次いで、S20において、状態指令値取得手段42は、電池出力電力Pを、充放電電流IBと第1電圧VLとの積により算出、すなわち取得する。
【0067】
次いで、S14において、基準値取得手段46は、取得された電池出力電力P、電池温度T、電池容量SOC、及び第2電圧VHに基づいて、マップ記憶手段44で記憶されたマップを参照しつつ、劣化判定用デューティ基準値DLを取得する。
【0068】
S16では、判定手段48は、取得されたデューティ指令値DIと電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定し、DIがDLを下回った場合(DI<DL)には、電池劣化であると判定し、その判定結果を表す信号を報知部36へ出力し、報知部36においてユーザへ電池劣化を通知させる、すなわち報知させ、ユーザに電池交換を促す。また、判定手段48は、ゲイン変更手段52に電池劣化であることを表す信号を出力し、ゲイン変更手段52でPI演算またはPID演算に用いるゲインを変更させる。これに対して、S16で、DIがDL以上である場合(DI≧DL)には、電池劣化ではないと判定し、判定処理を終了する。
【0069】
本実施の形態によれば、二次電池16の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力でき、ユーザにその劣化をより迅速に通知することができる。このため、ユーザに二次電池16の交換要求を適切な時期に知らせることができる。また、上記の特許文献1に記載の構成の場合と異なり、電池容量SOCを変動させ、そのSOCの変動前後で二次電池16の開放電圧OCVを検出する必要がなくなり、判定に要する時間を短くでき、劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、デューティ指令値DIと第2電圧VHの取得値とに基づいて、PI演算によりデューティ指令値を補正する補正手段50を備え、補正手段50は、判定手段48により得られた電池劣化の判定結果に応じて、PI演算で使用するゲインを変更するゲイン変更手段52を含むので、DC/DCコンバータ18の制御応答性の向上を図れる。
【0071】
なお、本例の場合に、ゲイン変更手段52を省略し、判定手段48は、電池劣化を判定した場合に、報知部36へ判定結果を出力することのみを実行させることもできる。また、本例の場合、マップ記憶手段44は、それぞれ電圧変換状態値である、電池出力電力Pと、電池温度Tと、電池容量SOCと、第2電圧VHと、基準値DLとの関係を表すマップを記憶しておき、基準値取得手段46は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段44で記憶されたマップのデータを参照しつつ、電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得している。ただし、マップ記憶手段44は、電池容量SOCと二次電池16の起電力VBとの関係を表すマップのデータと、電池容量SOCと電池温度Tと二次電池16劣化時の内部抵抗推測値RLとの関係を表す別のマップのデータとを記憶させ、基準値取得手段46は、取得された電池容量SOC及び電池温度Tに基づいて、2つのマップを参照しつつ起電力VB及び内部抵抗推測値RLを取得し、取得された電池出力電力P、第2電圧VH、起電力VB及び内部抵抗推測値RLを、上記の(5)式に代入して劣化判定用デューティ基準値DLを算出、すなわち取得することもできる。
【0072】
また、この場合、基準値取得手段46は、マップのデータを用いることなく、取得された電池容量SOC及び電池温度Tに基づいて、起電力VB及び内部抵抗推測値RLをそれぞれに関係する関係式から算出し、算出された電池出力電力P、第2電圧VH、起電力VB及び内部抵抗推測値RLを、上記の(5)式に代入して劣化判定用デューティ基準値DLを算出、すなわち取得することもできる。すなわち、基準値取得手段46は、電池容量SOC及び電池温度Tに基づいて定められる電池劣化時の電池内部抵抗推測値RLを取得し、電池劣化時の電池内部抵抗推測値RL、電池出力電力P、電池容量SOC、及び第2電圧VHに基づいて電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得することもできる。
【0073】
なお、本例において、判定手段48が出力した劣化判定結果を表す信号に基づいて、制御部において、異常検出履歴として記憶部に所定の異常コードを記憶させることもできる。また、本例の場合、電池ECU12とモータECU14とを別の制御部として構成しているが、これらを1の制御部であるECUにより構成することもできる。
【0074】
[第2の発明の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、図1,2に示した要素と同等の要素には、同一の符号を付して説明する。上記の第1の実施の形態の場合には、状態指令値取得手段42は、DC/DCコンバータ18の上側スイッチング素子の1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値であるデューティ指令値DIを取得し、判定手段48は、デューティ指令値DIと電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較し、電池劣化か否かを判定している。ただし、本実施の形態の場合には、状態指令値取得手段42は、デューティ指令値として、DC/DCコンバータ18の下側スイッチング素子の1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値であるデューティ指令値DI´を取得する。また、図4のS26で、判定手段48は、デューティ指令値DI´と電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較し、デューティ指令値DI´が電池劣化判定用デューティ基準値DLを上回った場合に、電池劣化であると判定し、デューティ指令値DI´が電池劣化判定用デューティ基準値DL以下である場合に、電池劣化ではないと判定する。その他の構成及び作用は、上記の第1の実施の形態と同様である。
【0075】
[第3の発明の実施の形態]
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。以下の説明でも、図1,2に示した要素と同等の要素には同一の符号を付して説明する。本実施の形態の場合、基準値取得手段46は、予め設定された特定条件成立時にのみ、取得された電圧変換状態値である電池出力電力P、電池温度T,電池容量SOC及び第2電圧VHに基づいて、電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得する。また、判定手段48は、予め設定された特定条件成立時にのみ、デューティ指令値DIと電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。
【0076】
この場合、状態指令値取得手段42で取得される電圧変換状態値である、第2電圧VH、電池容量SOC、電池温度T及び電池出力電力Pのうち、いずれか1以上か、またはすべてが、それぞれに対応して予め設定される個別特定条件が成立である場合に、特定条件が成立したと設定する。例えば、個別特定条件とは、二次電池16が劣化した場合に表れる傾向となる条件であり、例えば第2電圧VHがある閾値電圧よりも低い場合、電池容量SOCがある閾値容量よりも低い場合等である。
【0077】
また、本例の場合、マップ記憶手段44は、電圧変換状態値と燃費悪化判定用デューティ基準値DAとの関係を表す第2マップのデータを予め記憶する。この燃費悪化判定用デューティ基準値DAは、劣化判定用デューティ基準値DLよりも大きい値である(DA>DL)。基準値取得手段46は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段44で記憶されたマップのデータを参照しつつ電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得するとともに、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段44で記憶された第2マップのデータを参照しつつ燃費悪化判定用デューティ基準値DAを取得する。
【0078】
また、判定手段48は、デューティ指令値DIと、基準値取得手段46で取得された電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。これとともに、判定手段48は、デューティ指令値DIと、基準値取得手段46で取得された燃費悪化判定用デューティ基準値DAとを比較した結果に基づいて、燃費性能悪化か否かを判定する。判定手段48は、電池劣化判定結果と燃費性能悪化判定結果との、それぞれの判定結果に基づいて、2の異なる通知信号を出力する。報知手段である報知部36は、このような異なる2の通知信号に基づいて異なる報知を行う。例えば、報知部36が表示部である場合、燃費性能悪化であることを表す信号が入力された場合には、表示部に「燃費性能悪化」を表示させ、電池劣化であることを表す信号が入力された場合には、表示部に「電池劣化」を表示させる。これにより、電池劣化には至らないが燃費性能悪化である場合には、それをユーザに通知させることができる。
【0079】
次に、このような構成を用いて実行する電池劣化判定方法を説明する。まず、図5のS30において、状態指令値取得手段42は、電圧変換状態値の特定条件に対応する1以上を用いて、特定条件成立か否かを判定し、特定条件成立と判定された場合には、S32に移行する。
【0080】
S32では、状態指令値取得手段42は、デューティ指令値DI、電池温度T、電池容量SOC、充放電電流IB、第1電圧VL、及び第2電圧VHを取得する。次いで、S34において、状態指令値取得手段42は、電池出力電力Pを、充放電電流IBと第1電圧VLとの積により算出する。
【0081】
次いで、S36において、基準値取得手段46は、取得された電池出力電力P、電池温度T、電池容量SOC、及び第2電圧VHに基づいて、マップ記憶手段44で記憶されたマップ及び第2のマップを参照しつつ、燃費悪化判定用デューティ基準値DA及び劣化判定用デューティ基準値DLを取得する。
【0082】
S38では、判定手段48は、取得されたデューティ指令値DIと燃費悪化判定用デューティ基準値DAとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定し、DIがDAを下回った場合(DI<DA)には、燃費性能悪化であると判定し、S40に移行する。これに対して、S38でDIがDA以上である場合(DI≧DA)には、燃費性能悪化ではなく、かつ、電池劣化でもないと判定し、判定処理を終了する。
【0083】
S40では、判定手段48は、取得されたデューティ指令値DIと劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定し、DIがDLを下回った場合(DI<DL)には、電池劣化であると判定し、S42で、その判定結果を表す信号を報知部36へ出力し、報知部36においてユーザへ電池劣化を通知させる、すなわち報知させ、ユーザに電池交換を促す。これに対して、S40で、DIがDL以上である場合(DI≧DL)には、燃費性能悪化であるが、電池劣化ではないと判定し、S44で、その判定結果を表す信号を報知部36へ出力し、報知部36においてユーザへ燃費性能悪化を通知させる、すなわち報知させる。
【0084】
なお、判定手段48は、上記の図1から図3に示した第1の実施の形態と同様に、S42で、ゲイン変更手段52に電池劣化であることを表す信号を出力し、ゲイン変更手段52でPI演算またはPID演算に用いるゲインを変更させることもできる。
【0085】
上記の構成によれば、基準値取得手段46は、予め設定された特定条件成立時にのみ、取得された電圧変換状態値に基づいて電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得し、判定手段48は、予め設定された特定条件成立時にのみ、デューティ指令値DIと電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。このため、特定条件を電圧変換状態値に関係付けて設定することにより、基準値取得手段46が、電圧変換状態値と電池劣化判定用デューティ基準値DLとの関係を表すマップを用いて電池劣化判定用デューティ基準値DLを取得する場合に、予め記憶させるマップ点数を減らすことができる。
【0086】
また、マップ記憶手段44は、電圧変換状態値と燃費悪化判定用デューティ基準値DAとの関係を表す第2マップのデータを記憶し、基準値取得手段46は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段44で記憶された第2マップのデータを参照しつつ燃費悪化判定用デューティ基準値DAを取得し、判定手段48は、デューティ指令値DIと電池劣化判定用デューティ基準値DLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定するとともに、デューティ指令値DIと燃費悪化判定用デューティ基準値DAとを比較した結果に基づいて、燃費性能悪化か否かを判定し、それぞれの判定結果に基づいて、2の通知信号を出力し、さらに、2の通知信号に基づいて異なる報知を行う報知部36を備える。このため、電池劣化に至っていないが、燃費性能悪化であることをユーザに注意することができ、燃費性能の悪化を許容できるユーザにとって無駄な電池交換の必要をなくせるとともに、燃費性能の悪化を許容できないユーザに、電池交換により車両の性能向上の機会を提供することができる。
【0087】
なお、本実施の形態において、特定条件成立判定工程と、燃費悪化判定工程とのいずれかを省略することもできる。また、図4に示した第2の実施の形態と同様に、状態指令値取得手段42は、デューティ指令値として、DC/DCコンバータ18の下側スイッチング素子の1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値であるデューティ指令値DI´を取得し、判定手段48は、デューティ指令値DI´と電池劣化判定用デューティ基準値DL及び燃費悪化判定用デューティ基準値DAとを比較し、デューティ指令値DI´が電池劣化判定用デューティ基準値DLを上回った場合に、電池劣化であると判定し、デューティ指令値DI´が燃費悪化判定用デューティ基準値DAをさらに上回った場合に、燃費性能悪化であると判定することもできる。その他の構成及び作用は、上記の図1から図3に示した第1の実施の形態と同様である。
【0088】
[第4の発明の実施の形態]
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。以下の説明でも、図1,2に示した要素と同等の要素には同一の符号を付して説明する。本実施の形態の場合、上記の各実施の形態と異なり、電池劣化か否かを判定するために二次電池16の現在内部抵抗推測値REを取得するとともに、電池劣化時内部抵抗推測値である劣化時内部抵抗推測値RLを取得し、両内部抵抗推測値RE,RLの比較により、二次電池16の劣化を判定する。
【0089】
すなわち、上記の各実施の形態の原理となる上記の(5)式を変形すると、二次電池16の内部抵抗Rに関して、次式が得られる。
【0090】
【数2】

【0091】
(6)式において、VHは第2電圧であり、Dはデューティ指令値であり、VBは二次電池16の起電力であり、Pは二次電池16の電池出力電力である。ここで、起電力VBは電池容量SOCに依存し、内部抵抗Rは、電池容量SOC及び電池温度Tに依存する。上記各実施の形態では、デューティ指令値の比較により、電池劣化を判定していたが、本例では現在の内部抵抗値と、電池劣化時の内部抵抗値とを比較することにより、電池劣化か否かを判定する。このため、マップ記憶手段44は、電圧変換状態値である、電池出力電力P、デューティ指令値DI、電池容量SOC、及び第2電圧VHと、現在内部抵抗推測値REとの関係を表す現在抵抗マップのデータと、電圧変換状態値である、電池温度T及び電池容量SOCと劣化時内部抵抗推測値RLとの関係を表す劣化時抵抗マップのデータとを記憶する。また、本実施の形態の場合、上記の図2に示した第1の実施の形態において、基準値取得手段46の代わりに内部抵抗取得手段(図示せず)を備え、内部抵抗取得手段は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段44で記憶された現在抵抗マップ及び劣化時抵抗マップのデータを参照しつつ、現在内部抵抗推測値REと、劣化時内部抵抗推測値RLとを取得する。
【0092】
判定手段48は、取得された現在内部抵抗推測値REと劣化時内部抵抗推測値RLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する。より具体的には、判定手段48は、現在内部抵抗推測値REが劣化時内部抵抗推測値RLを上回った場合(RE>RL)に、電池劣化であると判定し、現在内部抵抗推測値REが劣化時内部抵抗推測値RL以下である場合(RE≦RL)に、電池劣化ではないと判定する。そして、判定手段48は、電池劣化であると判定した場合に、報知部36に電池劣化判定結果、すなわち二次電池16が劣化していることを表す信号を出力し、報知部36は、ユーザへ電池劣化を通知する。
【0093】
また、判定手段48は、電池劣化であると判定した場合に、モータECU14が含む補正手段50のゲイン変更手段52に、二次電池16が劣化していることを表す信号を出力し、ゲインを変更させる。
【0094】
次に、このような電池劣化判定システムを用いて実行される電池劣化判定方法を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。このようなフローチャートは、例えば電池ECU12が備える記憶部に記憶させた判定プログラムを実行することにより、実行される。判定プログラムが開始されると、図6のS50において、状態指令値取得手段42は、デューティ指令値DI、電池温度T、電池容量SOC、充放電電流IB、第1電圧VL、及び第2電圧VHを取得する。次いで、S52において、状態指令値取得手段42は、電池出力電力Pを、充放電電流IBと第1電圧VLとの積により算出、すなわち取得する。この場合、電池出力電力Pが0となった場合には、上記の(6)式を用いて内部抵抗を算出する場合に算出不能となるため、この不都合を防止すべく電池出力電力Pは予め正の値である所定の下限ガード値を設定し、S52で算出された電池出力電力Pが下限ガード値以下となる場合には、電池出力電力Pを下限ガード値に置き換える処理を行う。
【0095】
次いで、S54において、内部抵抗取得手段は、取得された電池出力電力P、電池温度T、電池容量SOC、及び第2電圧VHに基づいて、マップ記憶手段44で記憶された現在抵抗マップを参照しつつ、現在内部抵抗推測値REを取得する。
【0096】
また、S56では、内部抵抗取得手段は、取得された電池温度T及び電池容量SOCに基づいて、マップ記憶手段44で記憶された劣化抵抗マップを参照しつつ、劣化時内部抵抗推測値RLを取得する。
【0097】
S58では、判定手段48は、取得された現在内部抵抗推測値REと劣化時内部抵抗推測値RLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定し、REがRLを上回った場合(RE>RL)には、電池劣化であると判定し、その判定結果を表す信号を報知部36へ出力し、報知部36においてユーザへ電池劣化を通知させる。また、判定手段48は、ゲイン変更手段52に電池劣化であることを表す信号を出力し、ゲイン変更手段52でPI演算またはPID演算に用いるゲインを変更させる。これに対して、S58で、REがRL以下である場合(RE≦RL)には、電池劣化ではないと判定し、判定処理を終了する。
【0098】
本実施の形態によれば、二次電池16の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。また、上記の特許文献1に記載の構成の場合と異なり、電池容量を変動させ、その電池容量SOCの変動前後で二次電池16の開放電圧を検出する必要がなくなり、判定に要する時間を短くでき、二次電池16の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。
【0099】
また、補正手段50は、判定手段48により得られた電池劣化の判定結果に応じて、PI演算で使用するゲインを変更するゲイン変更手段52を含むので、電池の劣化の判定結果に応じてPI演算で使用するゲインを変更できるため、DC/DCコンバータ18の制御応答性の向上を図れる。
【0100】
なお、内部抵抗取得手段は、マップ記憶手段44で記憶させたマップを用いるのではなく、電圧変換状態値である、電池出力電力P、デューティ指令値DI、電池容量SOC、及び第2電圧VHと、現在内部抵抗推測値REとの関係を表す関係式から、現在内部抵抗推測値REを算出、すなわち取得し、電圧変換状態値である、電池温度T及び電池容量SOCと劣化時内部抵抗推測値RLとの関係を表す関係式から、劣化時内部抵抗推測値RLを算出、すなわち取得することもできる。その他の構成及び作用は、上記の図1から図3に示した第1の実施の形態と同様である。
【0101】
なお、本実施の形態において、上記の図5に示した第3の実施の形態と同様に、マップ記憶手段44は、電圧変換状態値と燃費性能悪化判定用内部抵抗推測値との関係を表す第2マップのデータを記憶し、判定手段48は、現在の電池内部抵抗推測値REと電池劣化時内部抵抗推測値RLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定するとともに、現在の電池内部抵抗推測値REと燃費性能悪化判定用内部抵抗推測値とを比較した結果に基づいて、燃費性能悪化か否かを判定し、それぞれの判定結果に基づいて、2の通知信号を出力し、さらに、2の通知信号に基づいて異なる報知を行う報知手段を備える構成を採用することもできる。
【0102】
この構成を採用した場合には、電池劣化に至っていないが、燃費性能悪化であることをユーザに注意することができ、燃費性能の悪化を許容できるユーザにとって無駄な電池交換の必要をなくせるとともに、燃費性能の悪化を許容できないユーザに、電池交換により車両の性能向上の機会を提供することができる。
【0103】
また、本実施の形態において、上記の図4に示した第2の実施の形態と同様に、状態指令値取得手段42は、下アーム26の1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値を取得し、判定手段48は、現在の電池内部抵抗推測値RE´と電池劣化時内部抵抗推測値RLとを比較し、現在の電池内部抵抗推測値RE´が電池劣化時内部抵抗推測値RLを下回った場合に、電池劣化であると判定し、現在の電池内部抵抗推測値RE´が電池劣化時内部抵抗推測値RL以上である場合に、電池劣化ではないと判定する構成を採用することもできる。
【0104】
また、本実施の形態において、上記の図5に示した第3の実施の形態と同様に、内部抵抗取得手段は、予め設定された特定条件成立時にのみ、取得された電圧変換状態値に基づいて現在の電池内部抵抗推測値RE及び電池劣化時内部抵抗推測値RLを取得し、判定手段48は、予め設定された特定条件成立時にのみ、現在の電池内部抵抗推測値REと電池劣化時内部抵抗推測値RLとを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する構成を採用することもできる。
【0105】
この構成を採用した場合には、特定条件成立時にのみ、電池劣化の判定が行われるので、特定条件を電圧変換状態値に関係付けて設定することにより、内部抵抗取得手段が、電圧変換状態値と現在の電池内部抵抗推測値RE及び電池劣化時内部抵抗推測値RLとの関係を表すマップを用いて現在の電池内部抵抗推測値RE及び電池劣化時内部抵抗推測値RLを取得する場合に、予め記憶させるマップ点数を減らすことができる。
【0106】
[第5の発明の実施の形態]
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る電池劣化判定システムを含むモータ駆動装置を示す回路図である。図8は、図7に示す電池ECU12及びモータECU14と報知手段とを示す構成図である。図9は、図7に示す電池ECU12を用いて実行される電池劣化判定方法を説明するためのフローチャートである。
【0107】
本実施の形態の場合、上記の図1から図3に示した第1の実施の形態において、二次電池をマスタバッテリと呼ばれる主二次電池54とするとともに、スレーブバッテリと呼ばれるサブ二次電池56を備え、サブ二次電池56にサブDC/DCコンバータ58を接続している。また、DC/DCコンバータ18及びインバータ20の間に、サブDC/DCコンバータ58の、サブ二次電池56と反対側を接続している。
【0108】
サブDC/DCコンバータ58は、サブスイッチング素子である上側スイッチング素子を含む上アーム60と、サブスイッチング素子である下側スイッチング素子を含む下アーム62と、各アーム60,62の中点に接続されたリアクトル64とを含む。このようなサブDC/DCコンバータ58の基本構成は、DC/DCコンバータ18の構成と同様である。また、主二次電池54とDC/DCコンバータ18との間、サブ二次電池56とサブDC/DCコンバータ58との間に、それぞれ平滑化用のコンデンサ66,68を設けている。また、サブ二次電池56のサブ電池温度T2を検出する温度センサ70を設け、温度センサ70の検出信号を電池ECU12に入力している。また、サブ二次電池56の充放電電流IB2を検出する電流センサ72を設け、電流センサ72の検出信号を電池ECU12に入力している。
【0109】
また、サブDC/DCコンバータ58のサブ二次電池56の端子間電圧であるサブ第1電圧VL2を検出する第1電圧センサ74を設け、第1電圧センサ74の検出値を電池ECU12に入力している。また、サブDC/DCコンバータ58のインバータ20側電圧であるサブ第2電圧VH2は、DC/DCコンバータ18のインバータ20側電圧である第2電圧VH(図1参照)と等しい(同電位である)(VH2=VH)。このため、電池ECU12に入力される第2電圧センサ34(図1参照)の検出値を、第2電圧VH及びサブ第2電圧VH2の検出値として使用する。
【0110】
サブDC/DCコンバータ58は、上側スイッチング素子のデューティ比の指令値であるサブデューティ指令値DI2に基づいて、サブ第1電圧VL2とサブ第2電圧VH2との間での電圧変換を行う。このようなサブDC/DCコンバータ58とDC/DCコンバータ18とは、それぞれで電圧変換しつつ電力の授受可能に接続している。
【0111】
図8に示すように、電池ECU12は、上記の図2に示した第1の実施の形態の状態指令値取得手段42、基準値取得手段46及び判定手段48に加えて、サブ状態指令値取得手段78、サブ基準値取得手段80及びサブ判定手段82を含む。サブ状態指令値取得手段78は、サブDC/DCコンバータ58において電圧変換を行うときの、サブ電池出力電力P2とサブ電池温度T2とサブ電池容量SOC2とサブ第2電圧VH2とを含むサブ電圧変換状態値と、サブデューティ指令値DI2とを取得する。サブ電池出力電力P2は、電池出力電力Pと同様に、充放電電流IB2とサブ第1電圧VL2との積により算出する。また、サブ電池容量SOC2は、例えば、サブ二次電池56への充電電流値IB2及びサブ二次電池56からの放電電流値IB2を時間積算することにより算出する。
【0112】
サブ基準値取得手段80は、取得されたサブ電圧変換状態値に基づいてサブ電池劣化判定用デューティ基準値DL2を取得する。サブ判定手段82は、サブデューティ指令値DI2とサブ電池劣化判定用デューティ基準値DL2とを比較した結果に基づいて、サブ二次電池56の電池劣化か否かを判定する。サブ判定手段82でサブ二次電池56の劣化であると判定された場合には、その判定結果を表す信号を、報知部36及び後述するサブゲイン変更手段86に出力する。このようなサブ状態指令値取得手段78、サブ基準値取得手段80及びサブ判定手段82の機能自体は、状態指令値取得手段42、基準値取得手段46及び判定手段48のそれぞれの機能と同様である。また、マップ記憶手段44は、電圧変換状態値である、電池出力電力Pと、電池温度Tと、電池容量SOCと、第2電圧VHと、電池劣化判定用デューティ基準値DLとの関係を表すマップのデータとともに、サブ電圧変換状態値である、サブ電池出力電力P2と、サブ電池温度T2と、サブ電池容量SOC2と、サブ第2電圧VH2と、サブ電池劣化判定用デューティ基準値DL2との関係を表すサブマップのデータを記憶する。
【0113】
このように主二次電池54及びサブ二次電池56を備えることにより、電池劣化判定システムを備えるモータ駆動装置10をハイブリッド車両等の電動車両に搭載する場合に、電動車両の走行距離を長くすることができる。電動車両は、走行時に、モータジェネレータ22の電力源として、主二次電池54及びサブ二次電池56の一方または両方を使用する。
【0114】
また、モータECU14を構成するコンバータ制御部は、サブ補正手段84を含む。サブ補正手段84は、サブDC/DCコンバータ58で電圧変換を行う場合に、サブ第2電圧VH2の取得値に基づいて、サブPI演算により取得されたサブデューティ指令値DI2を補正する。また、サブ補正手段84は、サブ判定手段82から電池劣化であることを表す判定結果の信号が入力されることにより、電池劣化である場合に通常時に対して、サブPI演算で使用するフィードバックゲインである、Pゲイン及びIゲインを、予め設定した所定量増加または減少させる等により、ゲインを変更するサブゲイン変更手段86を含む。また、モータECU14は、DC/DCコンバータ18及びサブDC/DCコンバータ58の電流制御が可能である。
【0115】
次にこのような電池劣化判定システムを用いて、車両の停止中等、車両整備モードにある場合に電池劣化判定処理を行う方法を、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明では、図1、図2、図7、図8に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。まず、S70において、電池ECU12は、現在の車両が車両整備モード中であるか否かを判定する。この場合、例えば、車両が停止中であり、かつ、運転席周辺部に設けられた整備モードスイッチがオンされたことを、車両整備モード中であることの成立条件とすることができる。整備モードスイッチのオンで、劣化判定処理を実行する場合には、ユーザの任意のタイミングで判定処理を実行できる。なお、整備モードスイッチを設けることなく、予め設定された条件成立時にのみ、車両整備モード中であると判定することもできる。
【0116】
車両整備モード中であると判定された場合、S72において、電池ECU12は、電池劣化判定条件成立か否かを判定する。この場合、例えば、電池劣化判定処理を実行する場合に、主二次電池54とサブ二次電池56との間で電力の授受を行う必要があり、本例の場合、サブ二次電池56をPRkwで放電させるとともに、主二次電池54を−PRkwで充電させる必要があるので、主二次電池54及びサブ二次電池56の電池容量SOC,SOC2がそれぞれに対応して設定された所定の容量範囲内にある場合に、電池劣化判定条件成立とすることもできる。
【0117】
電池劣化判定条件成立と判定された場合、S74において、電池ECU12は、モータECU14に制御信号を出力し、DC/DCコンバータ18及びサブDC/DCコンバータ58を制御し、サブ二次電池56をPRkwで放電させるとともに、主二次電池54を−PRkwで充電させる。このために、例えば、主二次電池54とDC/DCコンバータ18との間に設けた図示しないシステムリレーと、サブ二次電池56とサブDC/DCコンバータ58との間に設けた図示しないサブシステムリレーとの断接を制御することもできる。
【0118】
そしてS76で、電池ECU12は、上記の図1から図3に示した第1の実施の形態と同様に、判定手段48とサブ判定手段82とのそれぞれで、電池劣化判定処理を実行し、主二次電池54の電池劣化であると判定された場合には、報知部36にその判定結果を報知させるとともに、DC/DCコンバータ18を制御する補正手段50が含むゲイン変更手段52でPI演算で使用するゲインを変更させる。また、サブ二次電池56の電池劣化であると判定された場合には、報知部36にその判定結果を報知させるとともに、サブDC/DCコンバータ58を制御するサブ補正手段84が含むサブゲイン変更手段86で、サブPI演算で使用するゲインを変更させる。なお、判定手段48とサブ判定手段82とのそれぞれの判定処理では、それぞれでデューティ指令値DI及び電池劣化判定用デューティ基準値DLの比較と、サブデューティ指令値DI2及びサブ電池劣化判定用デューティ基準値DL2の比較とを行い、それぞれで電池劣化を判定する。
【0119】
なお、本例の場合、判定処理時に、サブ二次電池56をPRkwで放電させるとともに、主二次電池54を−PRkwで充電させているが、判定処理時に、主二次電池54をPRkwで放電させるとともに、サブ二次電池56を−PRkwで充電させることもできる。
【0120】
このような構成によれば、主二次電池54とサブ二次電池56とを搭載する車両の停車時においても、主二次電池54とサブ二次電池56との間で電力の授受を行いつつ、主二次電池54とともにサブ二次電池56も劣化判定を行え、主二次電池54またはサブ二次電池56の劣化が生じた場合に、その劣化判定結果をより迅速に出力できる。また、本実施の形態では、主二次電池54の劣化判定処理を走行中以外でも実行できる。すなわち、上記の各実施の形態では、二次電池16の劣化判定処理を行う場合に二次電池16のエネルギをモータジェネレータ22で消費しているが、本実施の形態では、このような消費の必要がなくなり、モータジェネレータ22の停止時にも判定処理を実行できる。
【0121】
また、サブ補正手段84は、サブ判定手段82により得られたサブ二次電池56劣化の判定結果に応じて、サブPI演算で使用するゲインを変更するサブゲイン変更手段86を含むので、サブDC/DCコンバータ58の制御応答性の向上を図れる。なお、図9では、車両停止中の車両整備モード中に電池劣化判定処理を実行する場合を説明したが、これに加えて、車両走行中の予め設定した所定条件成立時に電池劣化判定処理を実行することもできる。その他の構成及び作用は、上記の図1から図3に示した第1の実施の形態と同様である。なお、本実施の形態において、上記の図4から図6に示した第2の実施の形態から第4の実施の形態の、1または複数を適用することもできる。
【符号の説明】
【0122】
10 モータ駆動装置、12 電池ECU、14 モータECU、16 二次電池、18 DC/DCコンバータ、20 インバータ、22 モータジェネレータ、24 上アーム、26 下アーム、28 リアクトル、30 コンデンサ、32 第1電圧センサ、34 第2電圧センサ、36 報知部、38 電流センサ、40 温度センサ、42 状態指令値取得手段、44 マップ記憶手段、46 基準値取得手段、48 判定手段、50 補正手段、52 ゲイン変更手段、54 主二次電池、56 サブ二次電池、58 サブDC/DCコンバータ、60 上アーム、62 下アーム、64 リアクトル、66,68 コンデンサ、70 温度センサ、72 電流センサ、74 第1電圧センサ、76 第2電圧センサ、78 サブ状態指令値取得手段、80 サブ基準値取得手段、82 サブ判定手段、84 サブ補正手段、86 サブゲイン変更手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を含むDC/DCコンバータを用いて、DC/DCコンバータに接続される電池の劣化を判定する電池劣化判定システムであって、
DC/DCコンバータにおいて、スイッチング素子のデューティ比の指令値であるデューティ指令値に基づいて電圧変換を行うときの、電池出力電力と電池温度と電池容量と電圧とを含む電圧変換状態値と、デューティ指令値とを取得する状態指令値取得手段と、
取得された電圧変換状態値に基づいて電池劣化判定用デューティ基準値を取得する基準値取得手段と、
取得されたデューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電池劣化判定システムにおいて、
電圧変換状態値と電池劣化判定用デューティ基準値との関係を表すマップのデータを記憶するマップ記憶手段を備え、
基準値取得手段は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段で記憶されたマップのデータを参照しつつ電池劣化判定用デューティ基準値を取得することを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電池劣化判定システムにおいて、
マップ記憶手段は、電圧変換状態値と燃費悪化判定用デューティ基準値との関係を表す第2マップのデータを記憶し、
基準値取得手段は、取得された電圧変換状態値に基づいて、マップ記憶手段で記憶された第2マップのデータを参照しつつ燃費悪化判定用デューティ基準値を取得し、
判定手段は、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定するとともに、デューティ指令値と燃費悪化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、燃費性能悪化か否かを判定し、それぞれの判定結果に基づいて、2の通知信号を出力し、
さらに、2の通知信号に基づいて異なる報知を行う報知手段を備えることを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電池劣化判定システムにおいて、
基準値取得手段は、
電池容量及び電池温度に基づいて定められる電池劣化時の電池内部抵抗推測値を取得し、電池劣化時の電池内部抵抗推測値と電池出力電力と電池容量と電圧とに基づいて電池劣化判定用デューティ基準値を取得することを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載の電池劣化判定システムにおいて、
DC/DCコンバータは、上側スイッチング素子を含む上アームと、下側スイッチング素子を含む下アームとを含み、
状態指令値取得手段は、上アームの1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値を取得し、
判定手段は、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値を下回った場合に、電池劣化であると判定し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値以上である場合に、電池劣化ではないと判定することを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載の電池劣化判定システムにおいて、
DC/DCコンバータは、上側スイッチング素子を含む上アームと、下側スイッチング素子を含むしたアームとを含み、
状態指令値取得手段は、下アームの1周期におけるオンデューティの割合を指示する指令値を取得し、
判定手段は、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値を上回った場合に、電池劣化であると判定し、デューティ指令値が電池劣化判定用デューティ基準値以下である場合に、電池劣化ではないと判定することを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1に記載の電池劣化判定システムにおいて、
基準値取得手段は、予め設定された特定条件成立時にのみ、取得された電圧変換状態値に基づいて電池劣化判定用デューティ基準値を取得し、
判定手段は、予め設定された特定条件成立時にのみ、デューティ指令値と電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、電池劣化か否かを判定することを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1に記載の電池劣化判定システムにおいて、
電圧の取得値に基づいて、PI演算によりデューティ指令値を補正する補正手段を備え、
補正手段は、判定手段により得られた電池劣化の判定結果に応じて、PI演算で使用するゲインを変更するゲイン変更手段を含むことを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1に記載の電池劣化判定システムにおいて、
サブスイッチング素子を含み、サブ電池に接続されるサブDC/DCコンバータを備え、
DC/DCコンバータとサブDC/DCコンバータとを、それぞれで電圧変換しつつ電力の授受可能に接続しており、さらに、サブDC/DCコンバータにおいて、サブスイッチング素子のデューティ比の指令値であるサブデューティ指令値に基づいて電圧変換を行うときの、サブ電池出力電力とサブ電池温度とサブ電池容量とサブ電圧とを含むサブ電圧変換状態値と、サブデューティ指令値とを取得するサブ状態指令値取得手段と、
取得されたサブ電圧変換状態値に基づいてサブ電池劣化判定用デューティ基準値を取得するサブ基準値取得手段と、
サブデューティ指令値とサブ電池劣化判定用デューティ基準値とを比較した結果に基づいて、サブ電池の電池劣化か否かを判定するサブ判定手段とを備えることを特徴とする電池劣化判定システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電池劣化判定システムにおいて、
サブ電圧の取得値に基づいて、サブPI演算によりサブデューティ指令値を補正するサブ補正手段を備え、
サブ補正手段は、サブ判定手段により得られたサブ電池劣化の判定結果に応じて、サブPI演算で使用するゲインを変更するサブゲイン変更手段を含むことを特徴とする電池劣化判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−99762(P2011−99762A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254724(P2009−254724)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】