説明

電池温度制御装置

【課題】電池温度制御装置において、電池の冷却又は昇温を効率良く行い、さらに電池の結露に配慮した送風を行うことができる電池温度制御装置を提供する。
【解決手段】車両を駆動する電池3と、電池の制御を行う電気部品4、5と、内部を複数の収納部に分ける仕切板8とを有し、前記電池と前記電気部品とを収納する筺体2を設け、前記筺体は各収納部6、7の冷却風が通過可能な連通部13を有し、吸気ダクト14の吸気孔連結部16を開口10、11に連結することにより各収納部6、7に連通する複数の吸気孔を存在させ、排気ダクト15の排気孔連結部17を開口10、11に連結することにより各収納部6、7に連通する複数の排気孔を存在させ、吸気孔を開閉する吸気孔側弁22を設け、排気孔を開閉する排気孔側弁23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池温度制御装置に係り、特にハイブリッド車、電気自動車等の車両の駆動に用いられる電池の電池温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車、電気自動車は、その駆動のために電動モータ及びこの電動モータの駆動源となる電池が搭載されている。
電池にはその充放電を効率良く行える適正温度が存在し、その適正温度ではない電池はその性能を満足に発揮できない。そのため、早期にその適正温度になるよう電池を制御する必要がある。さらに、電池には、結露の問題もある。結露によって電池の腐食が発生し、電池の不良や漏電の発生を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−287618号公報
【0004】
特許文献1に係る車両用電池温度制御装置は、温度が所定値以下であって、且つ電池温度が車室内温度よりも低い場合に、車室内空気を電池に送風して電池を昇温させる一方、車室内温度が所定値以上の場合には、電池が結露する条件下にあると判断して送風を停止するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の特許文献1において、電池には充放電を効率よく行える最適温度が存在し、電池が最適温度以上となった場合には、冷却も必要である。
しかし、電池の昇温及び結露発生防止を目的としたものであり、電池の冷却については何ら触れられていない。また、電池ヘの送風方向が決まっており、送風の実行及び停止の切り換えを行うのみとしている。さらに、電池を昇温させるのに車室内空気を用いることとしているが、車室内空気温度は、乗員が快適と感じる温度までしか高めることはできず、電池を最適温度まで昇温させるには時間がかかるという不都合があった。
また、電池の結露発生防止を優先して車室内空気温度を高めると、車室内の快適性が損なわれるという不都合があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、電池の冷却又は昇温を効率良く行い、さらに電池の結露に配慮した送風を行うことができる電池温度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両駆動のための電池と、この電池の制御を行う電気部品と、内部を複数の収納部に分ける仕切板とを有して前記電池と前記電気部品とを収納する筺体を設け、この筺体を構成する一つの壁面には前記収納部内に連通する複数の開口を設け、この開口には前記筺体内の前記電池及び前記電気部品を冷却する冷却風を導入する吸気ダクトを連結するとともに前記筺体内の冷却風を排出する排気ダクトを連結し、前記筺体内へ冷却風を送る送風ファンを設け、前記筺体内への冷却風の温度を測定する温度センサを設け、前記筺体内への冷却風の湿度を測定する湿度センサを設け、前記電池の温度を測定する電池温度センサを設けた電池温度制御装置において、前記筺体は前記各収納部の冷却風が通過可能な連通部を有し、前記吸気ダクトは前記開口に連結する吸気孔連結部を備え、前記排気ダクトは前記開口に連結する排気孔連結部を備え、前記吸気ダクトの前記吸気孔連結部を前記開口に連結することにより前記各収納部に連通する複数の吸気孔を存在させ、前記排気ダクトの前記排気孔連結部を前記開口に連結することにより前記各収納部に連通する複数の排気孔を存在させ、前記吸気孔を開閉する吸気孔側弁を設け、前記排気孔を開閉する排気孔側弁を設け、少なくとも一方の収納部に連通する吸気孔と他方の収納部に連通する排気孔とを閉鎖するように前記吸気孔側弁及び前記排気孔側弁を動作した第一状態と、この第一状態にて閉鎖されていない吸気孔及び排気孔を閉鎖するように前記吸気孔側弁及び前記排気孔側弁を動作した第二状態とを切り換えることで、前記筺体内部を流れる冷却風の流れる方向を変更可能にする制御手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の電池温度制御装置は、電池の冷却又は昇温を効率良く行い、さらに電池の結露に配慮した送風を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は電池温度制御のフローチャートである。(実施例)
【図2】図2は電池温度制御装置の斜視図である。(実施例)
【図3】図3は通常送風モードを説明する筺体の正面図である。(実施例)
【図4】図4は図3のIV−IV線による通常送風モードにおける筺体の右側面による概略図である。(実施例)
【図5】図5は逆転送風モードを説明する筺体の正面図である。(実施例)
【図6】図6は図5のVI−VI線による逆転送風モードにおける筺体の右側面による概略図である。(実施例)
【図7】図7は結露発生推定温度を設定するマップである。(実施例)
【図8】図8は温度Tcのヒステリシスを説明する図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、電池の冷却又は昇温を効率良く行い、さらに電池の結露に配慮した送風を行う目的を、電池と他の電気部品を同一の筺体に収納して、筺体内を流れる冷却風の送風方向を変化させて実現するものである。
【実施例】
【0011】
図1〜図8は、この発明の実施例を示すものである。
図2において、1はハイブリッド車、電気自動車等の車両に搭載される電池温度制御装置である。
この電池温度制御装置1は、筺体2を備えている。
この筺体2は、車両駆動のための電池3と、この電池3の制御を行う電気部品であるDC/DCコンバータ4及びインバータ5と、内部を複数の収納部である下側収納部6と上側収納部7とに分ける仕切板8とを有して、電池3とDC/DCコンバータ4及びインバータ5とを収納する。電池3は、下側収納部6に収納される。DC/DCコンバータ4及びインバータ5は、冷却系の部品であり、上側収納部7に収納される。電池3の動作保証温度は、最も低いものである。DC/DCコンバータ4及びインバータ5の動作保証温度は、電池3の動作保証温度よりも高いものである。
下側収納部6と上側収納部7とは、上下方向に積み重ねて配設されている。これにより、電池3とDC/DCコンバータ4及びインバータ5とを上下方向に積み重ねて設置できるので、筺体2を小さくすることができる。
筺体2を構成する一つの壁面である右壁面9には、複数の開口として、下側収納部6内に連通する下側開口10と、上側収納部7内に連通する上側開口11とが設けられる。この下側開口10及び上側開口11は、例えば、長手方向が水平方向に延びた長方形状に形成されている。
電池3は、該電池3が収納される下側収納部6内でDC/DCコンバータ4及びインバータ5よりも右壁面9に近接して収納されている。
筺体2は、仕切板8が右壁面9とは反対側の左壁面12から最も離れて配置されることで、下側収納部6及び上側収納部7の冷却風(空気)が通過可能な連通部13を有している。
【0012】
下側開口10及び上側開口11には、筺体2内の電池3とDC/DCコンバータ4及びインバータ5とを冷却する冷却風を導入する吸気ダクト14が連結しているとともに、筺体2内の冷却風を排出する排気ダクト15が連結している。
吸気ダクト14は、例えば、上下方向の下側開口10及び上側開口11の左半分に連結する吸気孔連結部16を備え、車両の乗員室内から冷却風を導入する。この吸気孔連結部16は、長手方向が上下方向に延びて配置される。
排気ダクト15は、例えば、上下方向の下側開口10及び上側開口11の右半分に連結する排気孔連結部17を備えている。排気孔連結部17は、長手方向が上下方向に延びて配置される。
この吸気孔連結部16及び排気孔連結部17は、共働して、下側開口10及び上側開口11を隙間無く覆って下側開口10及び上側開口11を密封している。
よって、図4に示すように、右壁面9においては、吸気孔連結部16で覆われて下側収納部6及び上側収納部7に連通する複数の吸気孔としての下側開口10の左半分の下側吸気孔18及び上側開口11の左半分の上側吸気孔19と、排気孔連結部17で覆われて下側収納部6及び上側収納部7に連通する複数の排気孔としての下側開口10の右半分の下側排気孔20及び上側開口11の右半分の上側排気孔21とが存在する。これら下側吸気孔18及び上側吸気孔19と下側排気孔20及び上側排気孔21とは、下側収納部6及び上側収納部7に連通する。
下側吸気孔18と上側吸気孔19とは、吸気孔側弁22(図4の左側の斜線部分で示す)によって選択的に開閉される。この吸気孔側弁22は、例えば、右壁面9、あるいは吸気孔連結部16内に設けられる。
下側排気孔20及び上側排気孔21は、排気孔側弁23(図4の右側の斜線部分で示す)によって選択的に開閉される。この排気孔側弁23は、例えば、右壁面9、あるいは排気孔連結部17に設けられる。
【0013】
吸気ダクト14には、筺体2内へ冷却風を送る送風ファン24と、筺体2内への冷却風の温度を測定する温度センサ25と、筺体2内への冷却風の湿度を測定する湿度センサ26とが設けられる。なお、送風ファン24を排気ダクト15に設けて、筺体2内の冷却風を吸い出す構造とすることも可能である。
図2に示すように、吸気孔側弁22と排気孔側弁23と送風ファン24と温度センサ25と湿度センサ26とは、制御手段27に連絡している。また、この制御手段27には、電池3の温度を測定する電池温度センサ28とイグニションスイッチ29とが連絡している。
この制御手段27は、図4に示すように、少なくとも一方の収納部である上側収納部7に連通する吸気孔である上側吸気孔19と他方の収納部である下側収納部6に連通する排気孔である下側排気孔20とを閉鎖するように吸気孔側弁22及び排気孔側弁23を動作した第一状態と、図6に示すように、この第一状態にて閉鎖されていない吸気孔である下側吸気孔18及び上側排気孔21を閉鎖するように吸気孔側弁22及び排気孔側弁23を動作した第二状態とを切り換えることで、筺体2内部を流れる冷却風の流れる方向を変更可能にする。
【0014】
このような構造により、複数の吸気孔18、19には一つの吸気ダクト14が連結され、複数の排気孔20、21には一つの排気ダクト15が連結されており、各収納部6、7に連通する複数の吸気孔及び排気孔のうち、特定の吸気孔及び排気孔を吸気孔側弁22及び排気孔側弁23によって塞ぐことで、筺体2内の送風方向の変更が可能である。
また、筺体2内に送風するための吸気孔18、19及び排気孔20、21は、筺体2を構成する一つの右壁面9に集約されており、連結される吸気ダクト14及び排気ダクト15をコンパクトにできる。
更に、筺体2内の送風方向の流れを変化させても、車室内の空気の流れは変わらないので、乗員に違和感を与えることがない。
【0015】
また、制御手段27は、電池3の温度が所定温度よりも高い場合に、電池3が電気部品としてのDC/DCコンバータ4及びインバータ5よりも筺体2内を流れる冷却風の上流側に位置するように吸気孔側弁22及び排気孔側弁23を動作した第一送風モード(通常送風モード)で送風ファン24を駆動し、電池3の温度が所定温度よりも低い場合には、電池3がDC/DCコンバータ4及びインバータ5よりも筺体2内を流れる冷却風の下流側に位置するように吸気孔側弁22及び排気孔側弁23を動作して第二送風モード(逆転送風モード)で送風ファン24を駆動する。第一送風モード(通常送風モード)は、電池3が適正温度よりも高温であって電池3の冷却の必要がある場合である。第二送風モード(逆転送風モード)は、電池3が適正温度よりも低温であって電池3の暖気の必要がある場合である。
これにより、吸気孔側弁22及び排気孔側弁23の開閉によって筺体2内の電池3の冷却及び昇温が可能である。また、電気部品としてのDC/DCコンバータ4及びインバータ5の廃熱を利用して電池3を昇温できる。さらに。第一送風モード(通常送風モード)時では、他のDC/DCコンバータ4及びインバータ5の廃熱の影響を受けない最も低温な冷却風を電池3に送風でき、第二送風モード(逆転送風モード)時では、他のDC/DCコンバータ4及びインバータ5の廃熱によって昇温された冷却風を電池3に送風できる。よって、電池3の早期冷却と早期昇温とが可能となる。
【0016】
更に、制御手段27は、温度センサ25及び湿度センサ26の検出結果から電池3の結露発生推定温度を求め、前記第一送風モード時では電池3の温度よりも前記結露発生推定温度が高い場合に送風ファン24の駆動を停止し、前記第二送風モード時では電池3がDC/DCコンバータ4及びインバータ5の廃熱によって昇温される場合であっても電池3の温度よりも前記結露発生推定温度が高い場合には送風ファン24の駆動を停止する。
これにより、筺体2に送風される冷却風によって電池3の結露が発生すると推測される場合に、冷却風の送風を停止することで、電池3の結露の発生を防止できる。
また、第二送風モード(逆転送風モード)では、DC/DCコンバータ4及びインバータ5の廃熱によって冷却風が昇温されるので、結露の発生を回避しつつ電池3の昇温を行うことができる。
【0017】
次いで、この実施例に係る電池温度制御を、図1のフローチャートに基づいて説明する。
図1に示すように、イグニションスイッチ29がオンになって制御手段27のプログラムが起動すると(ステップA01)、先ず、電池温度TBAT <所定温度Tか否かを判断する(ステップA02)。この場合、1回目のフロー処理において、所定温度Tは、第1の温度TCLに設定して処理される。この実施例では、さらに第2の温度TCHを備え、第1の温度TCLと第2の温度TCHは、TCL<TCHの大小関係を持つように設定し、図8に示すように、ヒステリシス制御を行う構成としている。このヒステリシス制御をこの実施例に当てはめて説明すると、前記ステップA02においてNOとなる場合は、電池3の温度が比較的高く、電池3の冷却が必要となる場合であって、このときの所定温度Tは、第1の温度TCLに設定されて(ステップA02)、電池3の冷却を実施する通常送風モードが実施される(ステップA03)。一方、前記ステップA02においてYESとなる場合は、電池3の温度が比較的低く、電池3の暖機が必要な場合であって、このときの所定温度Tは、第2の温度TCHに設定されて(ステップA10)、電池3の暖機を実施する逆転送風モードを実施する。つまり、電池3の温度が第1の温度TCLと第2の温度TCHの温度範囲内にあるように制御できる。このように、ヒステリシスを設ける理由としては、電池3が活性化する適正温度には一定の温度範囲があり、その温度範囲内に電池3の温度があれば良く、冷却風の送風方向の変更が頻繁に発生することを避けて、フロー処理の処理負荷や消費電力低減の効果をもたらすことができるからである。
このステップA02がNOの場合で、通常温度時において、次回のフロー処理では、所定温度Tは、第1の温度TCLとして処理される(T=TCL)(ステップA03)。
そして、吸気孔側弁22及び排気孔側弁23を作動して第一送風モード(通常送風モード)に切り替える(ステップA04)。つまり、図3、図4に示すように、下側吸気孔18を開放する一方、上側吸気孔19を閉鎖し、また、上側吸気孔21を開放する一方、下側吸気孔20を閉鎖する。
その後、電池温度TBAT >結露発生推定温度TDEW (H、T)か否かを判断する(ステップA05)。結露発生推定温度TDEW は、図7に示すように、電池3が結露する温度であり、送風湿度Hと送風温度Tとから決定される。
このステップA05がYESの場合には、送風ファン24を駆動して送風を行い(ステップA06)、図3、図4の白抜きの矢印P1で示すように、冷却風を、吸気ダクト14から下側吸気孔18と下側収納部6と連通部13とを経て上側収納部7に送り、そして、上側排気孔21から排気ダクト15へ送る。
しかし、このステップA05がNOの場合には、送風ファン24の駆動を停止して送風を停止する(ステップA07)。
そして、前記ステップA06又は前記ステップA07の処理後は、イグニションスイッチ29がオフとなって停止要求があるか否かを判断し(ステップA08)、このステップA08がNOの場合には、前記ステップA02に戻すが、このステップA08がYESの場合には、プログラムを停止する(ステップA09)。
【0018】
一方、前記ステップA02がYESの場合には、低温時であり、所定温度Tを、第2の温度TCHとして処理する(T=TCH)(ステップA10)。
そして、吸気孔側弁22及び排気孔側弁23を作動して第二送風モード(逆転送風モード)に切り替える(ステップA11)。つまり、図5、図6に示すように、上側吸気孔19を開放する一方、下側吸気孔18を閉鎖し、また、下側排気孔20を開放する一方、上側排気孔21を閉鎖する。
その後、電池温度TBAT +廃熱温度HBAT >結露発生推定温度TDEW か否かを判断する(ステップA12)。電池温度TBAT +廃熱温度HBAT は、DC/DCコンバータ4及びインバータ5の廃熱によって昇温された電池温度であり、DC/DCコンバータ4及びインバータ5の温度と電池温度TBAT と冷却風の送風温度及び湿度を基に求められる。結露発生推定温度TDEW は、図7に示すように、冷却風の送風温度及び湿度を基に事前にマップ化されたデータにより求められる。
このステップA12がYESの場合には、送風ファン24を駆動して送風を行い(ステップA13)、図5、図6の白抜きの矢印P2で示すように、冷却風を、吸気ダクト14から上側吸気孔19と上側収納部7と連通部13とを経て下側収納部6に送り、そして、下側排気孔20から排気ダクト15へ送る。
これにより、一般に、電池3よりもDC/DCコンバータ4及びインバータ5の方が早く電池3の適正温度以上に温度上昇する傾向があり、このような逆転時の送風方法は、DC/DCコンバータ4及びインバータ5の廃熱を利用して電池3を暖気でき、電池3の冷機始動時において、電池3を早期に所定温度に上昇させることができる。
しかし、このステップA05がNOの場合には、送風ファン24の駆動を停止して送風を停止する(ステップA14)。
これにより、湿度が高く結露するような条件下では、送風を停止して結露が発生しないようにすることができる。また、必要な時にだけ昇温した冷却風を送るようにして、電池3を過熱し過ぎることをなくすることができる。
そして、前記ステップA06又は前記ステップA07の処理後は、イグニションスイッチ29がオフとなって停止要求があるか否かを判断し(ステップA08)、このステップA08がNOの場合には、前記ステップA02に戻すが、このステップA08がYESの場合には、プログラムを停止する(ステップA09)。
【0019】
なお、この発明においては、上述の実施例に限定されず、種々応用改変が可能であることは勿論である。
即ち、上述の実施例では、電池と他の電気部品とを異なる収納部に収納することとしたが、他の電気部品のうち、少なくとも一つの電気部品を電池と共に同じ収納部に収納することとしても良い。この場合、筺体内での電池の配置は、吸気孔及び排気孔に最も近い位置とするのが望ましい。吸気孔及び排気孔に最も近い位置に電池を配置することで、電池の冷却時には、他の電気部品の廃熱の影響を受けない最も低温な冷却風を電池に送風でき、また、電池の昇温時には他の電気部品の廃熱によって昇温された冷却風を電池に送風できる。これにより、電池の早期冷却及び早期昇温が可能となる。
また、上述の実施例では、収納部を2つ設けることとしたが、3つ以上の収納部を持つ筺体としても良い。この場合、追加される収納部(追加収納部)にも弁による閉鎖が可能な吸気孔及び排気孔を備えたものとし、その吸気孔を吸気ダクトに連結し、排気孔を排気ダクトに連結する構造とする。そして、追加収納部に収納される部品が電池以外の部品(電気部品)であるならば、電気部品が収納されている収納部と同じ孔を閉弁し、追加収納部に収納される部品が電池であるならば、電池が収納されている収納部と同じ孔を閉弁する構成とする。これにより、収納部が3つ以上となった場合でも、上述の実施例と同様に電池の冷却、昇温が可能であり、また、一つの壁面に吸気孔及び排気孔を集約でき、上述の実施例と同様の効果が得られる。
更に、冷却風の送風温度は、車室内温度や送風量から求めることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
この発明の電池温度制御装置を、自動車に限らず、電池と補機との冷却系のシステムにも適用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 電池温度制御装置
2 筺体
3 電池
4 DC/DCコンバータ
5 インバータ
6 下側収納部
7 上側収納部
8 仕切板
9 右壁面
10 下側開口
11 上側開口
12 左壁面
13 連通部
14 吸気ダクト
15 排気ダクト
16 吸気孔連結部
17 排気孔連結部
18 下側吸気孔
19 上側吸気孔
20 下側排気孔
21 上側排気孔
22 吸気孔側弁
23 排気孔側弁
24 送風ファン
25 温度センサ
26 湿度センサ
27 制御手段
28 電池温度センサ
29 イグニションスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動のための電池と、この電池の制御を行う電気部品と、内部を複数の収納部に分ける仕切板とを有して前記電池と前記電気部品とを収納する筺体を設け、この筺体を構成する一つの壁面には前記収納部内に連通する複数の開口を設け、この開口には前記筺体内の前記電池及び前記電気部品を冷却する冷却風を導入する吸気ダクトを連結するとともに前記筺体内の冷却風を排出する排気ダクトを連結し、前記筺体内へ冷却風を送る送風ファンを設け、前記筺体内への冷却風の温度を測定する温度センサを設け、前記筺体内への冷却風の湿度を測定する湿度センサを設け、前記電池の温度を測定する電池温度センサを設けた電池温度制御装置において、前記筺体は前記各収納部の冷却風が通過可能な連通部を有し、前記吸気ダクトは前記開口に連結する吸気孔連結部を備え、前記排気ダクトは前記開口に連結する排気孔連結部を備え、前記吸気ダクトの前記吸気孔連結部を前記開口に連結することにより前記各収納部に連通する複数の吸気孔を存在させ、前記排気ダクトの前記排気孔連結部を前記開口に連結することにより前記各収納部に連通する複数の排気孔を存在させ、前記吸気孔を開閉する吸気孔側弁を設け、前記排気孔を開閉する排気孔側弁を設け、少なくとも一方の収納部に連通する吸気孔と他方の収納部に連通する排気孔とを閉鎖するように前記吸気孔側弁及び前記排気孔側弁を動作した第一状態と、この第一状態にて閉鎖されていない吸気孔及び排気孔を閉鎖するように前記吸気孔側弁及び前記排気孔側弁を動作した第二状態とを切り換えることで、前記筺体内部を流れる冷却風の流れる方向を変更可能にする制御手段を設けたことを特徴とする電池温度制御装置。
【請求項2】
前記電池は、該電池が収納される収納部内で前記電気部品よりも前記壁面に近接して収納され、前記制御手段は、前記電池の温度が所定温度よりも高い場合に、前記電池が前記電気部品よりも前記筺体内を流れる冷却風の上流側に位置するように前記吸気孔側弁及び前記排気孔側弁を動作した第一送風モードで前記送風ファンを駆動し、前記電池の温度が前記所定温度よりも低い場合には、前記電池が前記電気部品よりも前記筺体内を流れる冷却風の下流側に位置するように前記吸気孔側弁及び前記排気孔側弁を動作した第二送風モードで前記送風ファンを駆動することを特徴とする請求項1に記載の電池温度制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記温度センサ及び前記湿度センサの検出結果から前記電池の結露発生推定温度を求め、前記第一送風モード時では前記電池の温度よりも前記結露発生推定温度が高い場合に前記送風ファンの駆動を停止し、前記第二送風モード時では前記電池が前記電気部品の廃熱によって昇温される場合であっても前記電池の温度よりも前記結露発生推定温度が高い場合には前記送風ファンの駆動を停止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池温度制御装置。
【請求項4】
前記筺体の前記各収納部は、上下方向に積み重ねて配設されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池温度制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−54032(P2012−54032A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194190(P2010−194190)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】