電池用封口体並びにその射出成形金型および射出成形方法
【課題】 中央に筒状部を有する蓋状の電池用封口体を成形するにあたり、余分な成形部分等を生じず、しかも筒状部を完全な貫通形状とする。
【解決手段】 ホットランナー方式の射出成形金型であって、可動側型板5の中心には筒状部12を形成するためのセンターピン6が配置され、固定側型板1のランナー2にはバルブスリーブ3が配置されており、バルブスリーブ3によるゲート閉止時にセンターピン6の先端部6aが前記バルブスリーブ3の先端部3a内に嵌め入れられるようになされている。
【解決手段】 ホットランナー方式の射出成形金型であって、可動側型板5の中心には筒状部12を形成するためのセンターピン6が配置され、固定側型板1のランナー2にはバルブスリーブ3が配置されており、バルブスリーブ3によるゲート閉止時にセンターピン6の先端部6aが前記バルブスリーブ3の先端部3a内に嵌め入れられるようになされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ乾電池等の端部開口を閉止するための封口体並びにその射出成形金型および射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、封口体61は、全体が蓋形状であって、中央に筒状部62が設けられ、筒状部62の周辺部分には薄肉状の防爆用安全弁63が形成されている。
【0003】
そして、アルカリ乾電池の製造においては、乾電池の中心に集電棒を圧入するため、前記筒状部62は、集電棒が圧入可能なように、全長にわたって完全に貫通した形状とする必要がある。
【0004】
従来、前述した構造の封口体61を射出成形する場合、コールドランナー方式では、封口体61における防爆用安全弁63が有効に機能するように、ウエルドを全く生じない成形方法がとられ、その代表例としてフィルムゲート方式が採用されている。
【0005】
具体的には、図13に示すように、封口体61の形状に対応するキャビティ65における前記筒状部62の成形部分先端64に対して、ランナー66における内周全周がフィルムゲート67となされていた。
【0006】
なお、図中68は、封口体61の筒状部62を形成するためのセンターピンを示す。
【0007】
一方、ホットランナー方式では、いわゆるオープンタイプの場合、図14に示すように、封口体61の形状に対応するキャビティ75に対して、チップヒーター69が配置されたランナー76から溶融樹脂が流入するが、この際、封口体61の筒状部62を成形するためのセンターピン78の先端に溶融樹脂が当接して該当接部分に傘状成形部71が形成されるため、筒状部62の先端が閉止されることとなる。
【0008】
この他、バルブピンによるホットランナー方式の場合、図15に示すように、バルブピン80が後退してゲート82が開いた状態では、溶融樹脂がランナー86からキャビティ85に充填された後、図16に示すように、バルブピン80がキャビティ85側へ前進してバルブピン80の先端80aがセンターピン88の先端88aに当接するが、この際、センターピン88の先端88aとバルブピン80の先端80aとの間に溶融樹脂が介在することから、該部分に膜状部79が形成され、そのため、封口体61の筒状部62の先端が閉止されることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した従来の成形方法のうち、先ずコールドランナー方式では、成形された封口体61以外に、ランナー66における成形部分等、不要な成形部位が付設されてしまう。
【0010】
一方、ホットランナー方式では、オープンタイプの場合には、封口体61の筒状部62先端に傘状成形部71が形成され、バルブピンによるシールタイプの場合には、封口体61の筒状部62先端に膜状部79が形成されるため、いずれの成形方法でも筒状部62が完全な貫通形状にならないという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、余分な成形部分等を生じず、しかも筒状部を完全な貫通形状とすることができる電池用封口体並びにその射出成形金型および射出成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の本発明は、中央に筒状部を有する蓋状の電池用封口体を成形するホットランナー方式の射出成形金型であって、可動側型板の中心には前記筒状部を形成するセンターピンが配置され、固定側型板のランナーにはバルブスリーブが配置されており、バルブスリーブによるゲート閉止時にセンターピンの先端部が前記バルブスリーブの先端部内に嵌め入れられるようになされているものである。
【0013】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の射出成形金型について、バルブスリーブの先端部内周に、センターピンの先端部を案内するテーパー部が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の射出成形金型について、センターピンの先端部が半球状となされていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の射出成形金型により、熱可塑性樹脂を用いて電池用封口体を成形する射出成形方法に関するものである。
【0016】
請求項5記載の本発明は、全体が蓋状であって、中央に筒状部を有し、該筒状部の先端面内縁に断面略三角形の突出部が形成されている電池用封口体に関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、中央に筒状部を有する蓋状の電池用封口体を成形するにあたり、ホットランナー方式の射出成形金型において、前記筒状部を成形するためのセンターピンの先端部が、ゲート閉止時にバルブスリーブの先端部内に嵌め入れられる構成となされているため、成形された電池用封口体の筒状部には、従来のように、余分な成形部分が付設されず、しかも筒状部全長にわたって完全な貫通状とすることができる。また、前述したように余分な成形部分が生じないため、その除去作業も一切不要であり、歩留まりにも優れている。
【0018】
また、ホットランナー方式の射出成形において、本発明によれば、金型内で溶融樹脂の均一な流動が実現されるため、成形された電池用封口体において、ウエルドライン等の不良が発生するおそれもない。
【0019】
更に、バルブスリーブの先端部内周に、センターピンの先端部を案内するテーパー部が形成された本発明によれば、センターピンの先端部がバルブスリーブの先端部内によりスムーズに嵌め入れられることは勿論、センターピンの先端部外縁が磨耗した場合でも該部分はセンターピンのテーパー部より更に内方へ進入する構造とすることができるため、電池用封口体の筒状部には前記センターピンの先端部外縁の磨耗に起因する不要な成形部分が発生することもない。
【0020】
この他、センターピンの先端部が半球状となされた本発明によれば、バルブスリーブの先端部内へのセンターピンの嵌め入れが更に容易に行えるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0022】
以下に述べる本実施形態の射出成形方法は、バルブゲートを用いたホットランナー方式によるものである。
【0023】
(実施形態1)
【0024】
先ず、本実施形態における金型の構造について説明すると、図1に示すように、1は固定側型板、2は固定側型板1内に形成されたランナー、3はランナー2の中心に配置されたバルブスリーブ、4はバルブスリーブ3を囲むように設けられたホットランナーユニット、5は可動側型板、6は可動側型板5の中心に配置されたセンターピン、7は固定側型板1、可動側型板5、バルブスリーブ3およびセンターピン6により形成されたキャビティである。
【0025】
なお、図中8はゲートを示す。
【0026】
本実施形態では、センターピン6の先端部6aが半球状となされ、該先端部6aがバルブスリーブ3内に容易に進入するようになされている。
【0027】
本実施形態に係る金型を用いてアルカリ乾電池の封口体を成形する場合、図2に示すように、バルブスリーブ3が後退した状態において、キャビティ7内に溶融樹脂が充填され、その後、図3に示すように、バルブスリーブ3が前進して該バルブスリーブ3内にセンターピン6の先端部6aが進入する。この際、ゲート8が完全に閉止された状態となる。
【0028】
そのため、図4および図5に示すように、本実施形態の成形方法によって成形された封口体11は、筒状部12を有し、その周囲には薄肉状の防爆用安全弁9が形成されたものである。そして、前記筒状部12は完全な貫通形状となる。
【0029】
(実施形態2)
【0030】
本実施形態における金型の基本的構造は、前記実施形態1と同様である。したがって、同じ部分は同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0031】
図6および図7に示すように、本実施形態では、センターピン26の先端部26aが円柱状となされ、バルブスリーブ23の先端部23a内周には、センターピン26の先端部26aを案内するテーパー部31が形成されている。
【0032】
本実施形態に係る金型を用いてアルカリ乾電池の封口体を成形する場合、図8に示すように、バルブスリーブ23が後退した状態において、キャビティ7内に溶融樹脂が充填され、その後、図9に示すように、バルブスリーブ23が前進して該バルブスリーブ23の先端部23a内にセンターピン26の先端部26aが進入する。この際、センターピン26の先端部26aは、バルブスリーブ23の先端部23a内周におけるテーパー部31に案内されて、その内方に容易に進入する。この場合、図7に示すように、センターピン26の先端部26aはバルブスリーブ23のテーパー部31上を摺動することとなるため、センターピン26の先端部26aにおける周縁部分20が磨耗するが、該周縁部分20はバルブスリーブ23の先端部23a内周のテーパー部31より更に内方へ進入しているため、センターピン26の先端部26aにおける周縁部分20が磨耗しても溶融樹脂は磨耗した周縁部分20まで流入せず、従って図10および図11に示すように、成形された封口体41の筒状部42の内周面42aは完全な貫通状態となる。また、封口体41の筒状部42先端面には、前記バルブスリーブ23先端のテーパー部31に対応する横断面略三角形の突出部32が形成される。
【0033】
この他、本実施形態において、センターピン26の先端部26aは、前記実施形態1のセンターピン6と同様、半球状としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、アリカリ乾電池の封口体以外にも、中央に筒状部を有する他の電池用封口体の成形にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態1に係る射出成形金型の要部断面図である。
【図2】同実施形態におけるゲート開状態を示す金型の概略図である。
【図3】同実施形態におけるゲート閉状態を示す金型の概略図である。
【図4】同実施形態で成形された電池用封口体の斜視図である。
【図5】同じく断面斜視図である。
【図6】実施形態2に係る射出成形金型の要部断面図である。
【図7】図6におけるゲート部分の拡大図である。
【図8】同実施形態におけるゲート開状態を示す金型の概略図である。
【図9】同実施形態におけるゲート閉状態を示す金型の概略図である。
【図10】同実施形態で成形された電池用封口体の斜視図である。
【図11】同じく断面斜視図である。
【図12】従来例を示す封口体の断面図である。
【図13】従来例に係る射出成形金型の一例を示す概略図である。
【図14】他の従来例を示す概略図である。
【図15】更に他の従来例に係る射出成形金型におけるゲート開状態の概略図である。
【図16】同じくゲート閉状態の概略図である。
【符号の説明】
【0036】
1 固定側型板
2 ランナー
3 バルブスリーブ
3a バルブスリーブの先端部
4 ホットランナーユニット
5 可動側型板
6 センターピン
6a センターピンの先端部
7 キャビティ
8 ゲート
9 防爆用安全弁
11 封口体
12 筒状部
31 テーパー部
32 突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ乾電池等の端部開口を閉止するための封口体並びにその射出成形金型および射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、封口体61は、全体が蓋形状であって、中央に筒状部62が設けられ、筒状部62の周辺部分には薄肉状の防爆用安全弁63が形成されている。
【0003】
そして、アルカリ乾電池の製造においては、乾電池の中心に集電棒を圧入するため、前記筒状部62は、集電棒が圧入可能なように、全長にわたって完全に貫通した形状とする必要がある。
【0004】
従来、前述した構造の封口体61を射出成形する場合、コールドランナー方式では、封口体61における防爆用安全弁63が有効に機能するように、ウエルドを全く生じない成形方法がとられ、その代表例としてフィルムゲート方式が採用されている。
【0005】
具体的には、図13に示すように、封口体61の形状に対応するキャビティ65における前記筒状部62の成形部分先端64に対して、ランナー66における内周全周がフィルムゲート67となされていた。
【0006】
なお、図中68は、封口体61の筒状部62を形成するためのセンターピンを示す。
【0007】
一方、ホットランナー方式では、いわゆるオープンタイプの場合、図14に示すように、封口体61の形状に対応するキャビティ75に対して、チップヒーター69が配置されたランナー76から溶融樹脂が流入するが、この際、封口体61の筒状部62を成形するためのセンターピン78の先端に溶融樹脂が当接して該当接部分に傘状成形部71が形成されるため、筒状部62の先端が閉止されることとなる。
【0008】
この他、バルブピンによるホットランナー方式の場合、図15に示すように、バルブピン80が後退してゲート82が開いた状態では、溶融樹脂がランナー86からキャビティ85に充填された後、図16に示すように、バルブピン80がキャビティ85側へ前進してバルブピン80の先端80aがセンターピン88の先端88aに当接するが、この際、センターピン88の先端88aとバルブピン80の先端80aとの間に溶融樹脂が介在することから、該部分に膜状部79が形成され、そのため、封口体61の筒状部62の先端が閉止されることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した従来の成形方法のうち、先ずコールドランナー方式では、成形された封口体61以外に、ランナー66における成形部分等、不要な成形部位が付設されてしまう。
【0010】
一方、ホットランナー方式では、オープンタイプの場合には、封口体61の筒状部62先端に傘状成形部71が形成され、バルブピンによるシールタイプの場合には、封口体61の筒状部62先端に膜状部79が形成されるため、いずれの成形方法でも筒状部62が完全な貫通形状にならないという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、余分な成形部分等を生じず、しかも筒状部を完全な貫通形状とすることができる電池用封口体並びにその射出成形金型および射出成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の本発明は、中央に筒状部を有する蓋状の電池用封口体を成形するホットランナー方式の射出成形金型であって、可動側型板の中心には前記筒状部を形成するセンターピンが配置され、固定側型板のランナーにはバルブスリーブが配置されており、バルブスリーブによるゲート閉止時にセンターピンの先端部が前記バルブスリーブの先端部内に嵌め入れられるようになされているものである。
【0013】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の射出成形金型について、バルブスリーブの先端部内周に、センターピンの先端部を案内するテーパー部が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の射出成形金型について、センターピンの先端部が半球状となされていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の射出成形金型により、熱可塑性樹脂を用いて電池用封口体を成形する射出成形方法に関するものである。
【0016】
請求項5記載の本発明は、全体が蓋状であって、中央に筒状部を有し、該筒状部の先端面内縁に断面略三角形の突出部が形成されている電池用封口体に関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、中央に筒状部を有する蓋状の電池用封口体を成形するにあたり、ホットランナー方式の射出成形金型において、前記筒状部を成形するためのセンターピンの先端部が、ゲート閉止時にバルブスリーブの先端部内に嵌め入れられる構成となされているため、成形された電池用封口体の筒状部には、従来のように、余分な成形部分が付設されず、しかも筒状部全長にわたって完全な貫通状とすることができる。また、前述したように余分な成形部分が生じないため、その除去作業も一切不要であり、歩留まりにも優れている。
【0018】
また、ホットランナー方式の射出成形において、本発明によれば、金型内で溶融樹脂の均一な流動が実現されるため、成形された電池用封口体において、ウエルドライン等の不良が発生するおそれもない。
【0019】
更に、バルブスリーブの先端部内周に、センターピンの先端部を案内するテーパー部が形成された本発明によれば、センターピンの先端部がバルブスリーブの先端部内によりスムーズに嵌め入れられることは勿論、センターピンの先端部外縁が磨耗した場合でも該部分はセンターピンのテーパー部より更に内方へ進入する構造とすることができるため、電池用封口体の筒状部には前記センターピンの先端部外縁の磨耗に起因する不要な成形部分が発生することもない。
【0020】
この他、センターピンの先端部が半球状となされた本発明によれば、バルブスリーブの先端部内へのセンターピンの嵌め入れが更に容易に行えるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0022】
以下に述べる本実施形態の射出成形方法は、バルブゲートを用いたホットランナー方式によるものである。
【0023】
(実施形態1)
【0024】
先ず、本実施形態における金型の構造について説明すると、図1に示すように、1は固定側型板、2は固定側型板1内に形成されたランナー、3はランナー2の中心に配置されたバルブスリーブ、4はバルブスリーブ3を囲むように設けられたホットランナーユニット、5は可動側型板、6は可動側型板5の中心に配置されたセンターピン、7は固定側型板1、可動側型板5、バルブスリーブ3およびセンターピン6により形成されたキャビティである。
【0025】
なお、図中8はゲートを示す。
【0026】
本実施形態では、センターピン6の先端部6aが半球状となされ、該先端部6aがバルブスリーブ3内に容易に進入するようになされている。
【0027】
本実施形態に係る金型を用いてアルカリ乾電池の封口体を成形する場合、図2に示すように、バルブスリーブ3が後退した状態において、キャビティ7内に溶融樹脂が充填され、その後、図3に示すように、バルブスリーブ3が前進して該バルブスリーブ3内にセンターピン6の先端部6aが進入する。この際、ゲート8が完全に閉止された状態となる。
【0028】
そのため、図4および図5に示すように、本実施形態の成形方法によって成形された封口体11は、筒状部12を有し、その周囲には薄肉状の防爆用安全弁9が形成されたものである。そして、前記筒状部12は完全な貫通形状となる。
【0029】
(実施形態2)
【0030】
本実施形態における金型の基本的構造は、前記実施形態1と同様である。したがって、同じ部分は同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0031】
図6および図7に示すように、本実施形態では、センターピン26の先端部26aが円柱状となされ、バルブスリーブ23の先端部23a内周には、センターピン26の先端部26aを案内するテーパー部31が形成されている。
【0032】
本実施形態に係る金型を用いてアルカリ乾電池の封口体を成形する場合、図8に示すように、バルブスリーブ23が後退した状態において、キャビティ7内に溶融樹脂が充填され、その後、図9に示すように、バルブスリーブ23が前進して該バルブスリーブ23の先端部23a内にセンターピン26の先端部26aが進入する。この際、センターピン26の先端部26aは、バルブスリーブ23の先端部23a内周におけるテーパー部31に案内されて、その内方に容易に進入する。この場合、図7に示すように、センターピン26の先端部26aはバルブスリーブ23のテーパー部31上を摺動することとなるため、センターピン26の先端部26aにおける周縁部分20が磨耗するが、該周縁部分20はバルブスリーブ23の先端部23a内周のテーパー部31より更に内方へ進入しているため、センターピン26の先端部26aにおける周縁部分20が磨耗しても溶融樹脂は磨耗した周縁部分20まで流入せず、従って図10および図11に示すように、成形された封口体41の筒状部42の内周面42aは完全な貫通状態となる。また、封口体41の筒状部42先端面には、前記バルブスリーブ23先端のテーパー部31に対応する横断面略三角形の突出部32が形成される。
【0033】
この他、本実施形態において、センターピン26の先端部26aは、前記実施形態1のセンターピン6と同様、半球状としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、アリカリ乾電池の封口体以外にも、中央に筒状部を有する他の電池用封口体の成形にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態1に係る射出成形金型の要部断面図である。
【図2】同実施形態におけるゲート開状態を示す金型の概略図である。
【図3】同実施形態におけるゲート閉状態を示す金型の概略図である。
【図4】同実施形態で成形された電池用封口体の斜視図である。
【図5】同じく断面斜視図である。
【図6】実施形態2に係る射出成形金型の要部断面図である。
【図7】図6におけるゲート部分の拡大図である。
【図8】同実施形態におけるゲート開状態を示す金型の概略図である。
【図9】同実施形態におけるゲート閉状態を示す金型の概略図である。
【図10】同実施形態で成形された電池用封口体の斜視図である。
【図11】同じく断面斜視図である。
【図12】従来例を示す封口体の断面図である。
【図13】従来例に係る射出成形金型の一例を示す概略図である。
【図14】他の従来例を示す概略図である。
【図15】更に他の従来例に係る射出成形金型におけるゲート開状態の概略図である。
【図16】同じくゲート閉状態の概略図である。
【符号の説明】
【0036】
1 固定側型板
2 ランナー
3 バルブスリーブ
3a バルブスリーブの先端部
4 ホットランナーユニット
5 可動側型板
6 センターピン
6a センターピンの先端部
7 キャビティ
8 ゲート
9 防爆用安全弁
11 封口体
12 筒状部
31 テーパー部
32 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に筒状部を有する蓋状の電池用封口体を成形するホットランナー方式の射出成形金型であって、可動側型板の中心には前記筒状部を形成するセンターピンが配置され、固定側型板のランナーにはバルブスリーブが配置されており、バルブスリーブによるゲート閉止時にセンターピンの先端部が前記バルブスリーブの先端部内に嵌め入れられるようになされている、電池用封口体の射出成形金型。
【請求項2】
バルブスリーブの先端部内周に、センターピンの先端部を案内するテーパー部が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の射出成形金型。
【請求項3】
センターピンの先端部が半球状となされていることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の射出成形金型。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の射出成形金型により、熱可塑性樹脂を用いて電池用封口体を成形する射出成形方法。
【請求項5】
全体が蓋状であって、中央に筒状部を有し、該筒状部の先端面内縁に断面略三角形の突出部が形成されている、電池用封口体。
【請求項1】
中央に筒状部を有する蓋状の電池用封口体を成形するホットランナー方式の射出成形金型であって、可動側型板の中心には前記筒状部を形成するセンターピンが配置され、固定側型板のランナーにはバルブスリーブが配置されており、バルブスリーブによるゲート閉止時にセンターピンの先端部が前記バルブスリーブの先端部内に嵌め入れられるようになされている、電池用封口体の射出成形金型。
【請求項2】
バルブスリーブの先端部内周に、センターピンの先端部を案内するテーパー部が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の射出成形金型。
【請求項3】
センターピンの先端部が半球状となされていることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の射出成形金型。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の射出成形金型により、熱可塑性樹脂を用いて電池用封口体を成形する射出成形方法。
【請求項5】
全体が蓋状であって、中央に筒状部を有し、該筒状部の先端面内縁に断面略三角形の突出部が形成されている、電池用封口体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−297718(P2006−297718A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121379(P2005−121379)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000114710)ヤマウチ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000114710)ヤマウチ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]