説明

電池用粘着テープ

【課題】電極間の短絡を防止する目的で極板等に貼着する電池用粘着テープであって、基材から糊がはみ出すことにより引き起こされる電解液の劣化を抑制することができる電池用粘着テープを提供する。
【解決手段】本発明の電池用粘着テープは、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を積層して得られる粘着テープであって、下記に規定する粘着剤層が、基材の両側端縁部から0.5mm以上内側に積層されていることを特徴とする。
粘着剤層:ゴム成分を70重量%以上含有し、該ゴム成分の重量平均分子量が30万〜500万であり、厚みが1〜25μmである

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用粘着テープ、具体的には、リチウムイオン電池等の電池内部に貼り合わせて、短絡を防止する目的で使用する粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウムイオン電池等の二次電池は、携帯電話やノートパソコン等のモバイル機器の電源として不可欠である。また、リチウムイオン電池は高容量・軽量であるため、電気自動車用バッテリーとしても大いに期待され、今後更に高容量化することが求められている。
【0003】
リチウムイオン電池の高容量化に伴い、特に巻回型電池において電極板の巻回数がより多くなる傾向があり、より薄いセパレータを使用することが主流となっている。しかし、製造工程において、電池内部に混入した非常に小さな異物、又は極板に存在するバリ等によりセパレータに穴が開き、正の電極板と負の電極板とが短絡(ショート)して発熱し、発火事故等の原因となることが問題となっていた。
【0004】
短絡を防止する方法としては、バリが存在する極板端部や電極端子に粘着テープを貼り合わせることにより、薄いセパレータがバリに接触して穴が開くことを防止する方法が挙げられる(特許文献1)。
【0005】
しかし、特に巻回型電池の場合、電池の巻回構造の内側に位置する電極のリード付近にも粘着テープが使用され、その場合、巻回構造の内側部分では高い内圧がかかるため粘着剤層が変形しやすく、基材から糊(粘着剤層)がはみ出し易い。そして、基材からはみ出した糊は電解液と接触するが、リード付近は電池のなかでも最も反応性が高い部位であるため、糊が電解液中の電解質と反応し、それにより電解液が劣化して電池特性が低下することが問題であった。具体的には、電池の製造に際してアクリル系粘着剤層を有する粘着テープを使用した場合、高電圧下の充電、放電を繰り返す間にアクリル系粘着剤層中の架橋点及び官能基が電解液中の電解質と化学反応を起こして電池の劣化を引き起こすことが問題であった。
【0006】
特許文献2には、有機系電解液を使用するリチウムイオン電池等の二次電池の製造に際し、前記有機系電解液に対して安定な基材フィルム上にポリイソブチレンゴムと飽和炭化水素樹脂からなる粘着剤層を形成して得られる粘着テープを使用すると、電池が劣化せず、電池の出力を高水準に維持することができると記載されているが、接着性付与のために使用している飽和炭化水素樹脂は、その製法上、構造中に二重結合を含有する不純物を完全に排除することは困難であり、高電圧下の充電、放電を繰り返す間に徐々に電池が劣化する。そのため、より高容量化、より高出力化された電池においては、電池内部での粘着剤層と電解液との反応性はより高くなるため、電解液の劣化がますます起こりやすくなり、電池出力を維持することができないことが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−247489号公報
【特許文献2】特開平9−165557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、極板に存在するバリ等による電極間の短絡を防止する目的で極板等に貼着する電池用粘着テープについて、基材から糊がはみ出すことにより引き起こされる電解液の劣化を抑制することができる電池用粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の分子量分布を有するゴム成分を70重量%以上含有する粘着剤層は、適度な接着性を有するとともに、高い凝集性を有するため、高圧下でも粘着剤層が変形しにくく、電解液に溶出しにくいこと、及び、電解液に溶出しても電解液との反応性が低いため電解液の劣化を極めて低く抑制することができることを見出した。
【0010】
さらに、上記構成を有する粘着剤層を特定の厚みとし、基材の両側端縁部に特定の幅の粘着剤層非積層部分を形成して該粘着剤層を積層することにより得られる粘着テープは基材から糊がはみ出しにくく、電池内部等の高圧下で使用しても糊が電解液中に溶出し難いこと、たとえ糊が溶出したとしても電解液を劣化させにくいため、電池用粘着テープとして使用すると、電解液の劣化を極めて低く抑制することができ、高い水準で電池出力を維持することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を積層して得られる粘着テープであって、下記に規定する粘着剤層が、基材の両側端縁部から0.5mm以上内側に積層されていることを特徴とする電池用粘着テープを提供する。
粘着剤層:ゴム成分を70重量%以上含有し、該ゴム成分の重量平均分子量が30万〜500万であり、厚みが1〜25μmである
尚、本発明において重量平均分子量は標準ポリスチレン換算重量平均分子量を使用した。
【0012】
ゴム成分としては、ポリイソブチレンゴムを含有することが好ましい。
【0013】
本発明に係る電池用粘着テープは、短絡防止用として電極端子及び/又は極板端部、セパレータにおける極板端部が接触する部分に貼付して使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電池用粘着テープによれば、巻回型電極構造を有する電池の極板等に貼付することにより、バリがセパレータを貫通して電極間の短絡を引き起こすことを防止することができ、電池に高い安全性、信頼性を付与することができる。更に、本発明に係る電池用粘着テープの粘着剤層は上記構成を有するため、巻回型電極構造内部など、高圧下で使用しても粘着剤層が変形しにくく、基材からの糊のはみ出しが起こりにくい。そのため、電解液への溶出を極めて低く抑制することができる。その上、溶出しても電解液中の電解質との反応性が低いため、電解液の劣化を抑制することができ、電池出力を高い水準に維持することができる。本発明に係る電池用粘着テープは、高出力化、高容量化された電池において好適に使用することができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係る電池用粘着テープは、製造の工程でロール状に巻回しても(圧力がかかっても)、基材から糊がはみ出しにくいため、製造ラインの汚染を防止することができ、また、粘着テープ端面への異物の付着による歩留まりの低下も防止することができる。そのため生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電池用粘着テープの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る電池用粘着テープの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】リチウムイオン電池における、本発明にかかる電池用粘着テープの使用例を示した概略図であり、図(3-1)は使用前の図、図(3-2)は極板等へ本発明にかかる電池用粘着テープを貼着した図、図(3-3)は、極板を巻回して本発明にかかる電池用粘着テープを使用して巻き止めした図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
本発明に係る電池用粘着テープは、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を積層して得られる粘着テープであって、下記に規定する粘着剤層が、基材の両側端縁部から0.5mm以上内側に積層されていることを特徴とする。
粘着剤層:ゴム成分を70重量%以上含有し、該ゴム成分の重量平均分子量が30万〜500万であり、厚みが1〜25μmである
【0019】
図1は、本発明に係る電池用粘着テープ3の一例を示す概略断面図であり、基材1の片面に、該基材1の両側端縁部にそれぞれLa1、La2(mm)幅の粘着剤層非積層部分を形成して粘着剤層2Aが設けられている。La1、La2(mm)は同一であっても良く、異なっていてもよい。
【0020】
図2は、本発明に係る電池用粘着テープ3の他の一例を示す概略断面図であり、基材1の両面に、該基材1の両側端縁部にそれぞれLa1、La2、Lb1、Lb2(mm)幅の粘着剤層非積層部分を形成して粘着剤層2A、2Bが設けられている。粘着剤層2A、2Bは組成及び厚みについて、同一であっても良く異なっていてもよい。また、La1、La2、Lb1、Lb2(mm)は同一であっても良く、異なっていてもよい。
【0021】
[粘着剤層]
本発明における粘着剤層は、ゴム成分を70重量%以上含有する。ゴム成分の含有量が上記範囲を下回ると、粘着剤層を構成する成分が電解液へ溶出し易くなり、電解液の劣化を抑制することが困難となるため好ましくない。
【0022】
前記ゴム成分としては、天然ゴムや各種の合成ゴムが挙げられる。前記合成ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンや、これらの変性体等を挙げることができる。
【0023】
本発明においては、なかでも、電解液へ溶出しにくく、且つ、電解液に溶出しても電解液中の電解質との反応性が低く、電解液の劣化を抑制することができる点で、ポリイソプレンゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、ブチルゴム等を使用することが好ましく、特に、ポリイソブチレンゴムを使用することが好ましい。
【0024】
また、上記ゴム成分の重量平均分子量は、30万〜500万(好ましくは、30万〜250万)である。ゴム成分の重量平均分子量が上記範囲を下回ると、粘着剤層の凝集性が低下し、基材から糊のはみ出しが起こりやすくなる。一方、ゴム成分の重量平均分子量が上記範囲を上回ると、接着性が低下する。
【0025】
上記ゴム成分は、分子量が20万〜550万程度(なかでも、20万〜300万)の高分子量ゴム成分を全ゴム成分の70重量%以上含有することが好ましく、特に、前記高分子量ゴム成分を全ゴム成分の70重量%以上含有すると共に、分子量が20万未満の低分子量ゴム成分を全ゴム成分の0〜30重量%程度含有することが、凝集性に優れ、基材から糊がはみ出しにくく、且つ、高い接着性を有する点で好ましい。
【0026】
本発明に係る電池用粘着テープは、ゴム成分を70重量%以上含有する粘着剤層を有するため、電解液への溶出を極めて低く抑制することができる。ゴム成分として、特に、ポリイソブチレンゴムを含有する場合、ポリイソブチレンゴムは不飽和度が低く、さらに官能基を有さないため、電解液に溶出しても電解液中の電解質との反応性が低く、電解液の劣化を抑制することができる。
【0027】
本発明に係る電池用粘着テープは、粘着剤層に上記粘着成分以外に他の成分を含有していてもよく、例えば、架橋剤、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
【0028】
本発明における粘着剤層の厚さは、1〜25μm(好ましくは、1〜20μm)である。粘着剤層の厚さが1μmを下回ると、接着性が不十分となり、電極間の短絡を防止する目的に使用することが困難となる。一方、厚さが25μmを超えると、粘着剤層の変形や、基材から糊のはみ出しが起き易くなり、電解質の劣化を引き起こしやすくなる。
【0029】
[基材]
基材としては、特に限定されず、各種基材を用いることが可能であり、例えば、布、不織布、フェルト、ネットなどの繊維系基材;各種の紙などの紙系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;各種樹脂によるフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体等の適宜な薄葉体を用いることができる。上記プラスチック系基材の材質又は素材としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース類、フッ素系樹脂、ポリエーテル、ポリエーテルアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。本発明においては、なかでも、電解液に対して分解、劣化しにくいものが好ましく、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィン(特に、ポリプロピレン)等のプラスチック系基材を使用することが好ましい。なお、基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層の形態を有していてもよい。
【0030】
また、基材の表面には、必要に応じて、粘着剤層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよい。
【0031】
基材の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、8〜100μm程度、好ましく、10〜50μm程度である。基材の厚さが上記範囲を下回ると、粘着テープの強度が低くなりすぎ、実用性を損なう恐れがある。一方、基材の厚さが上記範囲を上回ると、電池内に占める体積が大きくなり過ぎ、電池の高容量化が困難となる傾向がある。
【0032】
[電池用粘着テープ]
本発明に係る電池用粘着テープは、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を積層して得られる粘着テープであって、上記粘着剤層が、基材の両側端縁部から0.5mm以上内側に積層されていることを特徴し、基材に粘着剤層が、該基材両側端縁部に0.5mm幅以上の粘着剤層非積層部分(粘着剤層非塗布領域)を形成して積層(塗布)されている。粘着剤層非積層部分の幅が上記範囲を下回ると、糊のはみ出しを防止することが困難となる。本発明においては、なかでも、基材の両側端縁部から0.5〜2.0mm内側に粘着剤層を積層すること、すなわち、基材両側端縁部に粘着剤層非積層部分が0.5〜2.0mm幅で形成されていることが、接着性と、糊のはみ出し防止性とを兼ね備えることができる点で好ましい。
【0033】
本発明に係る電池用粘着テープの幅は適宜調整することができ、例えば、10.0〜150.0mm程度(好ましくは、15.0〜110.0mm程度)である。
【0034】
また、本発明に係る電池用粘着テープの接着性としては、例えば、クリープ試験(JIS Z 0237準拠)によるズレ距離が1.0mm以下(好ましくは、0.5mm以下)であることが好ましい。ズレ距離が上記範囲を上回ると、糊のはみ出しを防止することが困難となる傾向がある。
【0035】
本発明に係る電池用粘着テープの形成方法としては、例えば、必要に応じて溶媒(例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等)を使用して上記粘着成分及び必要に応じて添加剤を希釈してコーティング液を調製し、これを基材の両側端縁部から0.5mm以上内側に塗布して粘着剤層を形成する方法や、適当なセパレータ(剥離紙など)上に前記コーティング液を塗布して粘着剤層を形成し、これを基材の両側端縁部から0.5mm以上内側に転写(移着)して積層する方法などが挙げられる。転写による場合は、基材との界面にボイド(空隙)が残る場合がある。この場合、オートクレーブ処理等により加温加圧処理を施し、ボイドを拡散させて消滅させることができる。
【0036】
また、本発明に係る電池用粘着テープには、粘着剤層表面の保護、ブロッキング防止の観点などから、粘着剤層表面にセパレータ(剥離ライナー)が設けられていてもよい。セパレータは本発明に係る電池用粘着テープを被着体に貼着する際に剥がされるものであり、必ずしも設けなくてもよい。用いられるセパレータとしては、特に限定されず、公知慣用の剥離紙などを使用できる。例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン系等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。
【0037】
本発明に係る電池用粘着テープが両面粘着テープである場合、上記セパレータは、本発明に係る電池用粘着テープの両方の粘着剤層表面に設けられてもよいし、片方の粘着面に背面剥離層を有するセパレータを設け、シートを巻回することによって、反対側の粘着剤層表面にセパレータの背面剥離層が接するようにしてもよい。
【0038】
本発明に係る電池用粘着テープは、リチウムイオン電池等の非水系電解液が封入される電池の製造用に使用されることが好ましい。
【0039】
前記非水系電解液としては、特に限定されることがなく、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネートとジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネートとの混合溶媒と、電解質としてLiPF6等のリチウム塩が溶解している電解液等を挙げることができる。
【0040】
リチウムイオン電池は、正極芯体に正極活物質が塗布された正極板と、負極芯体に負極活物質が塗布された負極板とがセパレータを介して相対向させ、これらを渦巻状に巻回して得られた巻回型電極群、正極板、負極板から引き出された電極端子、及び電解液が外装缶に封入された構造を有する。
【0041】
本発明に係る電池用粘着テープは、リチウムイオン電池製造過程において、異物やバリ等によるセパレータの貫通を防止する目的や、電池ケース内への電極の詰め込み適性を改善する目的(例えば、巻回型電池の巻末部を巻き止めする目的、活物質の剥がれを防止する目的)で使用することができる。貼着場所としては前記目的を達成することができる場所であれば特に限定されることなく、例えば、リチウムイオン電池(例えば、電極端子、極板端部、セパレータにおける極板端部が接触する部分、活物質の端部、巻末部等)に貼り合わせて使用することが好ましい(図3参照)。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0043】
実施例1
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB200」、BASFジャパン(株)製)100重量部をトルエンで希釈してコーティング液(1)を得た。
得られたコーティング液(1)を、厚さ30μmのポリプロピレンフィルム上の両側端縁部から0.5mm内側に、乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布、乾燥して、粘着テープ(1)を得た。
【0044】
実施例2
粘着剤層の乾燥後の厚みを15μmから10μmへ変更した以外は実施例1と同様にして粘着テープ(2)を得た。
【0045】
実施例3
粘着剤層の乾燥後の厚みを15μmから2μmへ変更した以外は実施例1と同様にして粘着テープ(3)を得た。
【0046】
実施例4
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量150万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB150」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして粘着テープ(4)を得た。
【0047】
実施例5
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量150万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB150」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例2と同様にして粘着テープ(5)を得た。
【0048】
実施例6
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量150万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB150」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例3と同様にして粘着テープ(6)を得た。
【0049】
実施例7
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量50万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB50」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして粘着テープ(7)を得た。
【0050】
実施例8
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量50万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB50」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例2と同様にして粘着テープ(8)を得た。
【0051】
実施例9
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量50万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB50」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例3と同様にして粘着テープ(9)を得た。
【0052】
実施例10
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴム 100重量部に代えて、重量平均分子量100万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB100」、BASFジャパン(株)製)100重量部、重量平均分子量12万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB12SF」、BASFジャパン(株)製)30重量部を使用した以外は実施例1と同様にして粘着テープ(10)を得た。
【0053】
実施例11
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴム 100重量部に代えて、重量平均分子量100万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB100」、BASFジャパン(株)製)100重量部、重量平均分子量12万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB12SF」、BASFジャパン(株)製)30重量部を使用した以外は実施例2と同様にして粘着テープ(11)を得た。
【0054】
実施例12
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴム 100重量部に代えて、重量平均分子量100万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB100」、BASFジャパン(株)製)100重量部、重量平均分子量12万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB12SF」、BASFジャパン(株)製)30重量部を使用した以外は実施例3と同様にして粘着テープ(12)を得た。
【0055】
実施例13
厚さ30μmのポリプロピレンフィルムに代えて、厚さ25μmのポリイミドフィルムを使用した以外は実施例9と同様にして粘着テープ(13)を得た。
【0056】
比較例1
粘着剤層の乾燥後の厚みを15μmから30μmへ変更した以外は実施例1と同様にして粘着テープ(14)を得た。
【0057】
比較例2
粘着剤層の乾燥後の厚みを15μmから30μmへ変更した以外は実施例7と同様にして粘着テープ(15)を得た。
【0058】
比較例3
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量12万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB12」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例2と同様にして粘着テープ(16)を得た。
【0059】
比較例4
重量平均分子量200万のポリイソブチレンゴムに代えて、重量平均分子量12万のポリイソブチレンゴム(商品名「オパノールB12」、BASFジャパン(株)製)を使用した以外は実施例3と同様にして粘着テープ(17)を得た。
【0060】
比較例5
粘着剤層を基材全面に設けた以外は実施例3と同様にして粘着テープ(18)を得た。
【0061】
比較例6
粘着剤層を基材全面に設けた以外は実施例12と同様にして粘着テープ(19)を得た。
【0062】
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、下記方法により評価した。
【0063】
[糊のはみ出し防止性試験]
金属SUS板にヒートプレス機(商品名「TP‐701‐B ヒートシールテスター上下温調TYPE」、テスター産業(株)製)を用いて、下記条件下にて実施例及び比較例で得られた粘着テープ(幅10mm、長さ100mm)の圧着を行い、光学顕微鏡(商品名「デジタルマイクロスコープ VHX‐100」、キーエンス(株)製)を用いて、粘着テープ端部から糊のはみ出しの有無を観察し、糊のはみ出しがない場合は「○」、糊のはみ出しがある場合は「×」と判定した。また、糊のはみ出しがある場合は、はみ出し距離を測定し、その最大値をテープの糊はみ出し距離(mm)とした。
測定条件
温度:150℃
圧力:0.5MPa
圧縮時間:3分間
【0064】
[保持力試験]
実施例及び比較例で得られた粘着テープ(幅10mm、長さ100mm)の保持力を、クリープ試験機(商品名「テープクリープ試験機」、今田製作所(株)製)を用い、下記条件下でズレ距離(mm)を測定することにより評価した。ズレ距離が少ないほど保持力が優れることになる。
測定条件
温度:40℃
荷重:600gf
保持面積:幅10mm×長さ20mm
保持時間:1時間
【0065】
上記評価結果を下記表にまとめて示す。
【表1】

【0066】
【表2】

【符号の説明】
【0067】
1 基材
2A、2B 粘着剤層
3、3A、3B 電池用粘着テープ
a1、La2、Lb1、Lb2 粘着剤層非積層部分幅
4 電極端子
5 正極板
6 負極板
7 セパレータ
8 活物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を積層して得られる粘着テープであって、下記に規定する粘着剤層が、基材の両側端縁部から0.5mm以上内側に積層されていることを特徴とする電池用粘着テープ。
粘着剤層:ゴム成分を70重量%以上含有し、該ゴム成分の重量平均分子量が30万〜500万であり、厚みが1〜25μmである
【請求項2】
ゴム成分がポリイソブチレンゴムを含有する請求項1に記載の電池用粘着テープ。
【請求項3】
短絡防止用として電極端子及び/又は極板端部に貼付して使用する請求項1に記載の電池用粘着テープ。
【請求項4】
短絡防止用としてセパレータにおける極板端部が接触する部分に貼付して使用する請求項1に記載の電池用粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−99227(P2012−99227A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243324(P2010−243324)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】