説明

電池組付け装置

【課題】電池と枠体とを高精度に組付け生産性の高い電池組付け装置を提供すること。
【解決手段】一端側を中心にして他端側端部が同一円周上を回転する回転アーム21,31および、電池2又は枠体3を把持して回転アーム21,31の他端側端部に揺動可能にピン結合された先端治具22,32を備え、先端治具22,32が回転アーム21,31に対して回転方向に所定角度傾くように伸縮可能な弾性部材23,33によって連結された電池組付け手段11および枠体組付け手段12と、対になった回転アーム21,31を逆方向に同期して回転させる駆動機構とを有し、電池組付け手段11および枠体組付け手段12は、両方の回転アーム21,31の回転中心を結んだ直線上に移動させた電池2および枠体3に対し、回転アーム21,31と先端治具22,32を介して電池2および枠体3の略中央部にほぼ直交するように押し付け力を作用させる電池組付け装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池とその電池を収容する枠体との組付けを自動で連続して行う電池組付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、携帯電話やノート型パソコンなど電子機器の電源として、或いはハイブリッド自動車や電気自動車などの車両用電源として、様々な分野で利用され、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・水素電池、リチウムイオン二次電池などがある。そうした電池は、用途に応じた出力を得るため、複数の電池(セル)を電気的に接続した組電池(モジュール)として用いられている。
【0003】
車両用電源として利用される組電池は、必要となる出力電圧を得るために複数の電池が直列に接続される。そうした組電池の一例として下記特許文献1を挙げることができる。同文献には、隣り合う電池の間にスペーサが挟み込まれ、複数の角型の電池が積層された組電池が記載されている。スペーサは、一定以上の熱に反応して熱分解する発砲剤を含有させた絶縁性樹脂が使用され、これにより電池同士を絶縁しつつ、いずれかの電池が異常発熱した場合でも、熱の伝達を抑制できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−165597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記文献の組電池は、並べられた電池の間にスペーサを挟み込む構成がとられているが、電池間の絶縁や断熱などの機能を果たすものとしては、一の電池を枠体で覆った枠付き電池がある。そうした枠付き電池を使用する場合には、先ず電池と枠体との組付けを行う必要があるが、1台の車両に必要となる電池の個数は多いもので数百個にもなるため、枠付き電池の作製に当たっては、高い生産性と組付け精度が要求される。
【0006】
そこで、本発明は、電池とその電池を収容する枠体とを高精度に組付けることができ、さらに生産性の高い電池組付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電池組付け装置は、一端側を中心にして他端側端部が同一円周上を回転する回転アームおよび、電池を把持して前記回転アームの他端側端部に揺動可能にピン結合された先端治具を備え、前記先端治具が前記回転アームに対して回転方向に所定角度傾くように伸縮可能な弾性部材によって連結された電池組付け手段と、一端側を中心にして他端側端部が同一円周上を回転する回転アームおよび、枠体を把持して前記回転アームの他端側端部に揺動可能にピン結合された先端治具を備え、前記先端治具が前記回転アームに対して回転方向に所定角度傾くように伸縮可能な弾性部材によって連結された枠体組付け手段と、前記電池組付け手段および前記枠体組付け手段の対になった前記回転アームを逆方向に同期して回転させる駆動機構とを有し、前記電池組付け手段および前記枠体組付け手段は、両方の回転アームの回転中心を結んだ直線上に移動させた前記電池および枠体に対し、前記回転アームおよび先端治具を介して前記電池および枠体の略中央部にほぼ直交するように押し付け力を作用させるものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電池組付け装置は、前記電池組付け手段および体組付け手段が、その回転アームと先端治具との組みが複数設けられたものであることが好ましい。
また、本発明に係る電池組付け装置は、前記回転アームに対して前記先端治具を揺動させる軸部の位置を移動させる位置調整機構を備えるものであることが好ましい。
また、本発明に係る電池組付け装置は、前記電池組付け手段および体組付け手段が、前記弾性部材の収縮によって前記先端治具が揺動する勢いを抑えるダンパーが設けられたものであることが好ましい。
また、本発明に係る電池組付け装置は、前記電池組付け手段および体組付け手段が、前記弾性部材がスプリングであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池組付け手段と枠体組付け手段による回転アームの回転に従い、電池と枠体とが先端治具を介して連続した自動組付けができ、これにより枠付き電池の生産性を高めることが可能になる。そして、回転アームに先端治具をピン結合し、スプリングなどの弾性部材を用いて回転アームに対して先端治具を回転方向に傾け、その回転アームを介して作用する力が、電池や枠体の略中央部に対しほぼ直交するように作用するので、加圧面全体にかかるほぼ均等な圧力によって高精度に電池を枠体に組付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】組電池の一例を示した斜視図である。
【図2】図1に示す組電池を構成する枠付き電池を示した斜視図である。
【図3】図2に示す枠付き電池を構成する電池と枠体の組付け前の状態を示した斜視図である。
【図4】電池組付け装置の一例について組付け機構を概念的に示した図である。
【図5】電池組付け装置の実施形態について組付け前の状態を概念的に示した図である。
【図6】電池組付け装置の実施形態について組付け開始時の状態を概念的に示した図である。
【図7】電池組付け装置の実施形態について組付け完了時の状態を概念的に示した図である。
【図8】電池組付け装置の実施形態について組付け完了後の状態を概念的に示した図である。
【図9】電池組付け装置の実施形態について枠付き電池の放出時の状態を概念的に示した図である。
【図10】電池組付け手段および枠体組付け手段の駆動機構を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る電池組付け装置の実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。図1は、組電池の一例を示した斜視図であり、図2は、その組電池を構成する枠付き電池を示した斜視図である。そして図3は、枠付き電池を構成する電池と枠体との組付け前の状態を示した斜視図である。
【0012】
組電池1は、複数の枠付き電池2が積層された電池群であり、その枠付き電池2は、電池3が枠体4に嵌め合わされている。積層された複数の枠付き電池2は、その両端にエンドプレート5が重ねられ、そのエンドプレート5に固定して積層方向に掛け渡された金属バンド6によって結束されている。こうして一体になった各電池3が隣り合うもの同士バスバー7によって電気的に接続され、組電池1が作製される。
【0013】
電池3は、正極板と負極板の間にセパレータを挟んで巻かれた発電要素が、直方体形状のケースに扁平形状にして収容され、リチウム塩を溶解させた有機溶剤からなる電解液が注入されたリチウムイオン二次電池である。一方、枠体4は、絶縁性樹脂によって形成されたものであり、断熱機能を有する。枠体4は、電池3を嵌合させ易いように一側面側が大きく開放した形状であり、電池3が組付けられた後には、両者がツメの引っ掛けなどによって容易に外れないようになっている。
【0014】
こうした枠付き電池2は、生産性向上のため電池3と枠体4との連続した自動組付けがが望まれている。図4は、連続した自動組付けを行う電池組付け装置の一例について、その組付け機構を概念的に示した図である。ここでは、電池3との組付けが分かりやすいように、枠体4をコの字の断面形状で表現している。この電池組付け装置100では、電池3と枠体4が、左右両側から別々の電池供給マガジン103や枠体供給マガジン104によって送り込まれる。そして、電池組付け手段101に把持された電池3と、枠体組付け手段102に把持された枠体4とが、中央の組付け位置Yに搬送され、そこで組付けられる。
【0015】
電池組付け手段101及び枠体組付け手段102には、それぞれ回転テーブル111,121に電池3や枠体4を把持する把持治具112,122が設けられている。把持治具112,122は、ツメによって電池3や枠体4を掴むようにしたものであり、回転テーブル111,121の回転前方側がピン結合され、旋回中心X11,X12を支点として揺動可能に取り付けられている。そして、矢印で示す各回転方向の後方側にはスプリング113,123が設けられ、径方向外側に付勢されている。
【0016】
電池組付け装置100は、把持治具112が電池供給マガジン103から一つの電池3を掴み取り、反対側では把持治具122が枠体供給マガジン104から一つの枠体4を掴み取る。こうして把持された電池3と枠体4は、回転テーブル111,121の回転により組付け位置Yにまで送られ、そこで把持治具112,122により図面の左右両側から押し付けられ、嵌め合わせによる組付けが行われる。なお、組付け位置Yは、回転テーブル111,121の回転中心を結んだ位置にある。
【0017】
把持治具112,122は、回転する円の接線方向に対して傾きを有しているため、電池3と枠体4は、図示するように組付け位置Yの手前で向き合う。図4に示した位置の電池3と枠体4は、そこから組付け位置Yまで移動する間に、把持治具112,122の旋回中心X11,X12側とスプリング113,123側とで互いに押し付け合い、電池3が枠体4に嵌め込まれて組付けが完了する。そして、枠付き電池2が作製された後は、把持治具112,122から外れてコンベア105に乗り、次の工程へと送られる。このような電池組付け装置によれば、枠付き電池2の連続した自動組付けによって生産性を向上させることができる。
【0018】
ところで、図4に示す電池組付け装置100は、枠体4に電池3を嵌め込む際、把持治具112,122の旋回中心X11,X12側とスプリング113,123側との両側(図面の上下)で、それぞれ電池3と枠体4とを押し付け合う。すなわち、回転テーブル111,121の回転によって距離が縮まり、電池3と枠体4が左右両方から押し付けられる。しかし、組付け位置Yでの旋回中心X11と旋回中心X12との距離は一定であるのに対し、電池3の厚みが公差範囲内で増減してしまうため、厚みの違いにより旋回中心X11,X12側で電池3に作用する圧力に差が生じる。一方、反対側ではスプリング113,123が公差を吸収し、厚みが異なってもほぼ一定の圧力が作用することになる。
【0019】
こうした組立時にかかる旋回中心X11,X12側の圧力とスプリング113,123側の圧力との差は、電池3の加圧面3a(図3参照)を不均一なものにしてしまう。そのため、枠付き電池2となった後で、扁平形状をした各電池3の厚さに僅かな差を生じることがある。それは、一つの枠付き電池2では僅かな誤差であっても、数十個の単位で積層した組電池1では大きな誤差となってしまう。例えば、旋回中心X11,X12側に設計以上の膨らみが生じてしまった場合、金属バンド50で止められないなど、製品上の問題が発生する。従って、電池3の加圧面3aが均一になるような枠付き電池2の作製が望まれており、本実施形態の電池組付け装置はそうした組付けを可能にするものである。
【0020】
図5乃至図9は、本実施形態の電池組付け装置の組付け機構について各状態を概念的に示した図である。電池組付け装置10は、前述した電池組付け装置100と同様に、電池3と枠体4が左右別々に配置された電池供給マガジン103や枠体供給マガジン104を介して送り込まれる。そうした電池3や枠体4に対して電池組付け手段11と枠体組付け手段12が設けられている。電池組付け手段11は、回転アーム21に対してピン結合された軸部を介して先端治具22が連結されている。枠体組付け手段12は、同じく回転アーム31に対してピン結合された軸部を介して先端治具32が連結されている。
【0021】
回転アーム21と先端治具22および、回転アーム31と先端治具32は、ともに回転方向側に設けられたスプリング23又は33によって連結されている。これにより、通常の状態では、回転アーム21,31に対して先端治具22,32が回転方向に所定の角度θだけ傾くように設定されている。また、先端治具22,32は、回転する回転アーム21,31に対して旋回中心X1,X2を支点にして揺動可能であるが、スプリング23,33の付勢力を受けながら揺動することとなる。
【0022】
先端治具22,32は、T字形をしており、電池3や枠体4を把持する把持部221,321と、回転アーム21,31に連結されたアーム部222,322とによって構成されている。アーム部222,322は、その中心線L22,L32が把持部221,321に把持された電池3や枠体4の略中央部にほぼ直交している。また、把持部221,321には電池3や枠体4を把持できるようにツメが形成されている。図1乃至図3に示す枠体4の形状は便宜的に示したものであり、後述するように、把持部221,321に把持された電池3と枠体4との嵌め合わせが可能なように、把持部221のツメと枠体4、或いは把持部221,321のツメ同士が干渉しないようにそれぞれが形成されている。
【0023】
電池3と枠体4の組付けが完了する組付け位置Yは、回転アーム21,31の回転中心O1,O2を結んだ直線上に位置する。回転アーム21,31に対する先端治具22,32の角度θは、図6に示すように、組付け位置Yの手前の位置で、電池3と枠体4とが真正面に向き合った組付け姿勢となるようにした角度である。そして、その図6に示す組付け開始位置から図7の組付け完了位置(図5に示す組付け位置Y)に達するまでの回転範囲(以下、これを「組付け回転範囲」という)において、電池3と枠体4との組付けが行われる。このときの先端治具22,32は、電池3と枠体4との嵌合により拘束され、スプリング23,33の付勢力に抗して揺動することとなる。
【0024】
組付け回転範囲では、先端治具22,32の旋回中心X1,X2が近づくことにより、電池3と枠体4は、真正面に向き合った組付け姿勢を維持したまま、先端治具22,32の把持部221,321によって図面左右から挟み込まれる。アーム部222,322の中心線L22,L32および回転アーム21,31の中心線L21,L31が図7に示すように一直線になった状態で旋回中心X1,X2が最接近する。このとき、電池3と枠体4は図面左右からの挟み込みにより最も強く押し付けられ、その押し付け力により組付けが完了する。電池組付け装置10は、回転中心O1,O2を結んだ中心線L21,L22,L31,L32上に前記押し付け力が作用し、更にその力は電池3や枠体4の略中央部にほぼ直交するよう構成されている。
【0025】
ところで本実施形態の電池組付け手段11と枠体組付け手段12では、回転アーム21および先端治具22と回転アーム31および先端治具32との組み合わせが、180°ずらせた位置に二組設けられている。そのため、例えば図6に示すように、電池3と枠体4との組付けを行う反対側で、電池供給マガジン103および枠体供給マガジン104から電池3や枠体4が掴み取られる。そして、電池組付け装置10では、対になった回転アーム21,31が、逆方向に同期して回転する構成がとられている。ここで、図10は、電池組付け手段11および枠体組付け手段12の駆動機構を側面側から示した概念図である。なお、便宜的に一対の回転アーム21,31と先端治具22,32のみを示している。
【0026】
電池組付け手段11および枠体組付け手段12は、テーブル41から突き出した回転軸25,35にそれぞれ回転アーム21,31の一端側が固定され、他端側端部には前述したように先端治具22,32がピン結合されている。回転軸25は駆動モータ42の出力軸に連結され、回転出力が直接伝えられるよう構成されている。また、回転軸25には第1ギヤ45が一体に設けられ、その第1ギヤ45に第2ギヤ46が噛み合っている。第2ギヤ46は同軸に第3ギヤ47が設けられ、その第3ギヤ47には回転軸35に固定された第4ギヤ48が歯付ベルト49を介して連結されている。第1乃至第4ギヤ45〜48は、第1ギヤ45と第4ギヤ48が同じ回転数で逆方向に回転するように、全て同じ大きさのギヤが用いられている。
【0027】
電池組付け手段11および枠体組付け手段12は、回転アーム21,31に対し、旋回中心X1,X2となる先端治具22,32の軸部の位置を中心線L21,L31に沿って移動させる不図示の位置調整機構が設けられている。例えば、回転アーム21,31に対して中心線L21,L31に沿った長孔が形成され、その長孔の中を移動させた先端治具22,32の軸部を所定箇所で位置決めできるように構成されている。これにより、回転アーム21と先端治具22または、回転アーム31と先端治具32が、それぞれ図7に示すように一直線上に配置された状態の長さが調整できる。つまり、電池組付け手段11および枠体組付け手段12で挟み込んだ電池3と枠体4に対する押し付け力を調整することができるようになっている。
【0028】
このように構成された電池組付け装置10では、次のようにして電池3を枠体4に嵌め合わせる組付けが行われる。先ず、電池組付け手段11では、電池供給マガジン103から一つの電池3が先端治具22によって掴み取られ、反対側では枠体組付け手段12の先端治具32によって枠体供給マガジン104から一つの枠体4が掴み取られる。そうした電池3と枠体4は、回転アーム21,31の同期した回転により図5に示す組付け位置Yに同じタイミングで送られ、そこで電池組付け手段11および枠体組付け手段12による挟み込みにより両者が押し付けられ、組付けが行われる。
【0029】
その際、回転アーム21,31に対しする先端治具22,32の角度θにより、電池3と枠体4とは、図6に示す組付け位置の手前で、真正面に向き合った組付け姿勢となる。このとき、電池3と枠体4に多少の位置ずれが生じていたとしても、揺動可能な先端治具22,32の自由度によって、互いの形状に倣い真正面に向き合った組付け姿勢となる。そして、回転アーム21,31が更に回転し、図7に示す組付け完了の位置に達するまでの組付け回転範囲で電池3と枠体4とが嵌り合う。すなわち、図面左右からの挟み込みにより加圧され、電池3が枠体4の中に押し込められる。
【0030】
図6から図7に示す組付け回転範囲では、先端治具22,32がスプリング23,33の付勢力に抗して旋回中心X1,X2を支点に揺動する。先端治具22,32は、電池3と枠体4が真正面に向き合った組付け姿勢を維持したまま、回転アーム21,31に対する角度θが徐々に小さくなる。図7に示す組付け完了の位置では、回転アーム21,31の中心線L21,L31および先端治具22,32中心線L22,L32の全てが、回転アーム21,31の回転中心O1,O2を結んだ直線上に重なる。そして、電池3と枠体4は、先端治具22,32の把持部221,321によって図面左右から押し付けられ、その力は中心線L21,L22,L31,L32上に作用し、電池3や枠体4の略中央部にほぼ直交する。そのため、加圧面3a(図3参照)全体にほぼ均等に加わる圧力によって電池3が枠体4に嵌め込まれる。
【0031】
枠付き電池2が組み上がった後は、回転アーム21,31が図7から図8に示すように回転する。その際、先端治具22,32は、互いに枠付き電池2を把持しているため、それが抵抗になり、図5に示す角度θとは逆方向に振れる。そして、回転アーム21,31が更に回転すれば、図9に示すように、把持部221,321同士の距離が離れて枠付き電池2が外れる。抵抗を失った先端治具22,32は、スプリング23,33の付勢力によって角度θの傾きに戻り、枠付き電池2はコンベア105を介して次の工程へと送られる。
【0032】
こうした本実施形態の電池組付け装置10によれば、電池組付け手段11と枠体組付け手段12の回転に従い電池3と枠体4との連続した自動組付けができ、枠付き電池2の生産性を高めることが可能になる。本実施形態では、回転アーム21および先端治具22と回転アーム31および先端治具32の組み合わせが二組設けられているが、例えば三組或いはそれ以上であってもよく、そうすれば更に生産性を向上させることが可能になる。
【0033】
また、電池組付け装置10は、回転アーム21,31に先端治具22,32をピン結合し、スプリング23,33を用いて回転アーム21,31に対する先端治具22,32を傾けた構成としたことにより、加圧面3a全体にかかるほぼ均等な圧力によって電池3を枠体4に組付けることが可能になる。そのため、扁平形状をした各電池3の厚さを均一にすることができ、図1に示す組電池1とした場合に、製品上問題のない組付け精度を得ることができる。
【0034】
ところで、先端治具22,32の旋回中心X1,X2が位置する軸部にはロータリーダンパーが設けられている。図8から図9に示すように、先端治具22,32から外れた枠付き電池2がコンベア160に送られる場合、スプリング23,33が戻ろうとする勢いで枠付き電池2を弾いてしまうことが考えられる。そうした場合、次工程へ移動する枠付き電池2の搬送間隔が不規則になったり、或いは勢いでコンベア160から飛びだしてしまうおそれもある。そこで、ロータリーダンパーを設ければ、スプリング23,33の付勢力に抗して先端治具22,32の戻り方向の回転を抑えることができ、枠付き電池2に対する衝撃を緩和して安定した搬送が可能になる。なお、ロータリーダンパーの他には、ストレートダンパを用いるようにしてもよい。
【0035】
以上、本発明に係る電池組付け装置の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 組電池
2 電池
3 枠体
10 電池組付け装置
11 電池組付け手段
12 枠体組付け手段
21,31 回転アーム
22,32 先端治具
23,33 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側を中心にして他端側端部が同一円周上を回転する回転アームおよび、電池を把持して前記回転アームの他端側端部に揺動可能にピン結合された先端治具を備え、前記先端治具が前記回転アームに対して回転方向に所定角度傾くように伸縮可能な弾性部材によって連結された電池組付け手段と、
一端側を中心にして他端側端部が同一円周上を回転する回転アームおよび、枠体を把持して前記回転アームの他端側端部に揺動可能にピン結合された先端治具を備え、前記先端治具が前記回転アームに対して回転方向に所定角度傾くように伸縮可能な弾性部材によって連結された枠体組付け手段と、
前記電池組付け手段および前記枠体組付け手段の対になった前記回転アームを逆方向に同期して回転させる駆動機構とを有し、
前記電池組付け手段および前記枠体組付け手段は、両方の回転アームの回転中心を結んだ直線上に移動させた前記電池および枠体に対し、前記回転アームおよび先端治具を介して前記電池および枠体の略中央部にほぼ直交するように押し付け力を作用させるものであることを特徴とする電池組付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載する電池組付け装置において、
前記電池組付け手段および体組付け手段は、その回転アームと先端治具との組みが複数設けられたものであることを特徴とする電池組付け装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する電池組付け装置において、
前記回転アームに対して前記先端治具を揺動させる軸部の位置を移動させる位置調整機構を備えるものであることを特徴とする電池組付け装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する電池組付け装置において、
前記電池組付け手段および体組付け手段は、前記弾性部材の収縮によって前記先端治具が揺動する勢いを抑えるダンパーが設けられたものであることを特徴とする電池組付け装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する電池組付け装置において、
前記電池組付け手段および体組付け手段は、前記弾性部材がスプリングであることを特徴とする電池組付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93112(P2013−93112A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232787(P2011−232787)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(594004639)明和工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】