説明

電池電源式リモートコントロール装置

【課題】電池の消耗が進行したときには蓄電手段が放電され、コントロールユニットにリセットが確実にかかるよう構成された電池電源式リモートコントロール装置を提供する。
【解決手段】電池電圧が設定値以下になると、マイコン12は液晶パネル8に電池切れ表示マークを表示させる。その後、ストップスイッチ5Bの操作回数をカウントし、この回数が設定回数以上になったときには、停止モードに移行し、ノズル3、脱臭ファン、ポンプなどの本体部2の機器が動作している場合、その機器の動作を停止させるストップ信号を発光部6から発光させたあと、操作スイッチ5Aが操作されても発光部6から光信号を発光させないようにする。その後、トランジスタ16を所定時間ONとし、コンデンサC,Cを放電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄装置付便器やシステムバスなどを制御するための光信号等を発信する電池電源式リモートコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水洗浄装置付便器などを制御するために光信号を発信する電池電源式リモートコントロール装置として、例えば特開平8−319649号公報に記載されているものがある。このリモートコントロール装置は、制御用の光信号の発信が不能となる電源電圧よりも少し高い電圧を判定する第1の電圧判定回路と、第1の電圧判定回路で判定される電圧よりも高い電圧を判定する第2の電圧判定回路とを設け、電池の電圧が第2の電圧判定回路で判定される電圧まで低下した時点で電池切れ表示を行い、第1の電圧判定回路で判定される電圧まで低下した時点でリモートコントロール装置の操作部の操作による信号の発信を停止するようにしたものである。
【0003】
同号公報の電池電源式リモートコントロール装置は、第1の電圧判定回路と第2の電圧判定回路との2つの電圧判定回路を設ける必要があり、そのため電子回路が複雑になってコスト高になるという問題がある。
【0004】
特開平11−214044には、簡単な電子回路で電池切れを知ることが可能な電池電源式リモートコントロール装置として、操作部の操作により離隔配置された本体部の機器を制御する信号を発信する電池電源式リモートコントロール装置において、前記電池の電圧を判定する電圧判定手段と、前記電池の電圧が所定値まで低下したとき電池切れ表示をする表示手段と、前記操作部の操作回数をカウントするカウント手段と、前記電池切れ表示後に前記操作回数が所定値を超えると前記本体部の機器の動作を停止させるか、又は操作部の操作による信号の発信を停止するように構成した電池電源式リモートコントロール装置が提案されている。
【0005】
この電池電源式リモートコントロール装置によれば、電池が消耗し始めていることが表示されるだけでなく、この消耗が進行したときでも電池が切れる前に本体部の機器を停止させたり、又は本体部の機器への信号発信が行われないようになる。しかも、電池の消耗の進行を経過時間又は操作回数に基づいて簡易に検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−319649号公報
【特許文献2】特開平11−214044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の電池電源式リモートコントロール装置の電源部に、電池と並列にコンデンサを設け、このコンデンサの充電電荷を利用してLEDを発光させることがある。また、電池出力電圧の平滑化のためにコンデンサが電池と並列に設けられることもある。
【0008】
上記電源部から電池を取り外すと、マイコンへのリセット端子の電圧レベルが低下し、マイコンがリセットされる。
【0009】
ところが、上記のように電池と並列にコンデンサが設けられている場合、消耗した電池を交換すべく電池を取り外したときに、コンデンサの充電電圧がマイコンのリセット端子に印加され、マイコンがリセットされないおそれがあった。特に、電池を手早く交換した場合、コンデンサの電圧がリセット電圧以下に低下しないうちに新品の電池が装着されるため、マイコンがリセットされないことが生じ易い。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、電池と並列に蓄電手段が設けられている電池電源式リモートコントロール装置において、電池が所定値以上に消耗したときに電池消耗が表示されると共に、さらに電池の消耗が進行したときには蓄電手段が放電され、コントロールユニットにリセットが確実にかかるよう構成された電池電源式リモートコントロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の電池電源式リモートコントロール装置は、操作部の操作により信号が入力されるコントロールユニットと、該コントロールユニットからの信号により、離隔配置された本体部の機器を制御する信号を発信する発信手段と、装置駆動用の電池の電圧を判定する電圧判定手段と、電池と並列に設けられた蓄電手段と、前記電池の電圧が所定値まで低下したとき電池切れ表示をする表示手段と、前記電池切れ表示後の電池の消耗を検知する消耗検知手段と、該消耗検知手段により検知される電池の消耗レベルが所定レベルを超えると前記発信手段による信号の発信を停止する操作停止手段とを有する電池電源式リモートコントロール装置において、該消耗検知手段により検知される電池の消耗レベルが前記所定レベルを超えたときに前記蓄電手段を放電させる放電手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の電池電源式リモートコントロール装置は、請求項1において、前記消耗検知手段により検知される電池の消耗レベルが所定レベルを超えると、前記本体部の機器の動作を停止させるストップ信号を発信するストップ信号出力手段が設けられており、前記放電手段は、該出力手段がストップ信号を出力した後に前記蓄電手段を放電させることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の電池電源式リモートコントロール装置は、請求項1又は2において、前記放電手段は、前記発信手段を作動させるものであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の電池電源式リモートコントロール装置は、請求項1又は2において、前記放電手段は、前記コントロールユニットを高消費電力モードとするものであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の電池電源式リモートコントロール装置は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記消耗検知手段は、前記表示手段が電池切れを表示した後に行われる前記操作部の操作回数をカウントするものであり、前記所定レベルは、所定のカウント数であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6の電池電源式リモートコントロール装置は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記消耗検知手段は前記表示手段が電池切れを表示した後の経過時間を測定するものであり、前記所定レベルは、所定の経過時間であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電池電源式リモートコントロール装置では、電池の電圧が所定値以下にまで低下すると、表示手段に電池切れを示す表示がなされる。この表示がなされた後、さらに電池が所定レベルまで消耗すると、本体部の機器の動作がなされないように、発信手段による信号の発信を停止するか、さらに、本体部の機器の動作を停止させるようにストップ信号が発信される。加えて、本発明では、これと共に、電池と並列に設けられたコンデンサなどの蓄電手段を放電させる。そのため、電池を交換すると、この電池交換作業が著しく手早く行われたとしても、コントロールユニットはリセットされる。
【0018】
なお、コンデンサ等の蓄電手段を放電させるには、LED等の発信手段を作動させて蓄電手段の電荷を消費してもよく、コントロールユニットを高消費電力モードとすることにより蓄電手段の電荷を消費するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る電池電源式リモートコントロール装置を備えたトイレ設備の斜視図である。
【図2】図1の電池電源式リモートコントロール装置の回路図である。
【図3】図1の電池電源式リモートコントロール装置の作動を示すフローチャートである。
【図4】図1の電池電源式リモートコントロール装置の作動の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について説明する。第1図は温水洗浄装置付便器1の斜視図である。便器の本体部2の後部上面に設置されたタンクカバー4内には、ロータンクのほか、人体局部に向けて洗浄水を噴出させる一対のノズル3や、図示していない脱臭ファン、ノズル3への給水用のポンプ、制御回路を搭載した制御基板などが設置されている。
【0021】
トイレ室の壁面には電池及び制御基板を内蔵したリモコン5が取り付けられている。リモコン5には複数の操作スイッチ5Aが配設されており、操作スイッチ5Aの一つが押されると、当該操作スイッチの内容に対応した操作信号光が発光部6から送信される。発光部6から送信された光信号はタンクカバー4に設けられた受光部7で受光され、光電変換されてタンクカバー4内の制御回路に入力され、制御回路が該当する機器の駆動を制御する。
【0022】
リモコン5にはストップスイッチ5Bが設けられている。このストップスイッチ5Bが押されると、ストップ信号が発光部6から送信され、このストップ信号光が受光部7で受光されると、制御回路はその時点で駆動している機器を停止させる。
【0023】
第2図の通り、リモコン5の制御基板には、コントロールユニットとしてマイコン12が内蔵されている。このマイコン12の電源入力端子Vin及びグラウンド端子G間には、電池(この実施の形態では乾電池)10からの電圧が電解コンデンサC,C及び抵抗11を介して入力されている。電池10の正極とアース間には、LED14,15が抵抗12,13及びトランジスタ16を介して並列に接続されている。
【0024】
LED14,15は各発光部6の裏側に配置されており、信号光を発光する。
【0025】
リモコン5内の制御基板には、マイコンへの入力電圧を判定する電圧判定回路17が設けられており、この電圧判定回路17の判定結果がマイコン12に入力される。
【0026】
マイコン12は、操作スイッチ5A,ストップスイッチ5B及び電圧判定回路17からの信号に基づいてトランジスタ16を制御すると共に、リモコン5の前面の液晶表示パネル8の表示制御を行う。なお、マイコン12には前記操作スイッチ5A、ストップスイッチ5Bの操作回数をカウントするソフトプログラム、及び前記電池がリモコン5にセットされたときからの経過時間を計測するソフトプログラムがインストールされている。
【0027】
第3,4図の通り、電圧判定回路17により電池の電圧が設定値(例えば2.6ボルト)よりも高いときは、通常モードであり、リモコン5は通常通りの作動を行う。電池電圧が設定値以下になった場合、電圧判定回路17からの電圧低下信号がマイコン12に入力され、マイコン12は液晶パネル8に電池切れ表示マークを表示させる。
【0028】
この電池切れ表示マーク点灯により、電池切れを知ることができる。なお、このモード(電池切れ警告モード)では、電池切れマークが表示されるだけであり、リモコン5自体は通常モード時と同様に使用することができ、各機器も同様に動作可能である。
【0029】
マイコン12は、この電池切れ表示マークを表示させた後のリモコン5のストップスイッチ5Bの操作回数をカウントし、この回数が設定回数以上であるか否かを判断する。操作回数が設定回数未満である間に電池電圧が設定電圧以上に回復したときには、電池切れ表示を消去し、カウント数をゼロに戻し、カウントを停止する。
【0030】
電池電圧の回復がない場合には、そのままカウントを続行し、操作回数が設定回数以上になったときには、停止モードに移行し、前記ノズル3、脱臭ファン、ポンプなどの本体部2の機器が動作している場合、その機器の動作を停止させるストップ信号を発光部6から発光させたあと、操作スイッチ5Aが操作されても発光部6から光信号を発光させないようにする。これにより、操作スイッチを操作しても機器は作動しないようになる。
【0031】
この実施の形態では、その後、トランジスタ16を所定時間ONとし、コンデンサC,Cを放電させる。これにより、マイコン12にリセットがかかる。その後、電池10を新品のものに交換すると、マイコン12は通常モードに復帰する。
【0032】
上記実施の形態では、停止モードに移行すると、トランジスタ16をONとすることによりコンデンサC,Cを放電させているが、マイコン12を高消費電力のアクティブモードとすることによりコンデンサC,Cを放電させてもよい。
【0033】
上記実施の形態では、通常モードから電池切れ警告モードに移行した後、ストップスイッチの操作回数をカウントするようにしているが、電池切れ警告モードに移行した後の操作スイッチ5Aの操作回数をカウントしてもよく、操作スイッチ5Aとストップスイッチ5Bの操作回数の合計をカウントしてもよい。
【0034】
本発明では、電池切れ警告モードに移行した後、経過時間を計測し、この経過時間が所定時間に達したならば停止モードに移行するようにしてもよい。
【0035】
また、電池切れ警告モードに移行した後、ストップスイッチの操作回数のカウントと経過時間の計測とを併行して行い、操作回数及び経過時間のいずれか一方が所定値に達したならば停止モードに移行するようにしてもよい。
【0036】
電池切れは、警告用LEDの点灯や点滅によって表示するようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の操作により信号が入力されるコントロールユニットと、
該コントロールユニットからの信号により、離隔配置された本体部の機器を制御する信号を発信する発信手段と、
装置駆動用の電池の電圧を判定する電圧判定手段と、
電池と並列に設けられた蓄電手段と、
前記電池の電圧が所定値まで低下したとき電池切れ表示をする表示手段と、
前記電池切れ表示後の電池の消耗を検知する消耗検知手段と、
該消耗検知手段により検知される電池の消耗レベルが所定レベルを超えると前記発信手段による信号の発信を停止する操作停止手段とを有する電池電源式リモートコントロール装置において、
該消耗検知手段により検知される電池の消耗レベルが前記所定レベルを超えたときに前記蓄電手段を放電させる放電手段を備えたことを特徴とする電池電源式リモートコントロール装置。
【請求項2】
請求項1において、前記消耗検知手段により検知される電池の消耗レベルが所定レベルを超えると、前記本体部の機器の動作を停止させるストップ信号を発信するストップ信号出力手段が設けられており、
前記放電手段は、該出力手段がストップ信号を出力した後に前記蓄電手段を放電させることを特徴とする電池電源式リモートコントロール装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記放電手段は、前記発信手段を作動させるものであることを特徴とする電池電源式リモートコントロール装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記放電手段は、前記コントロールユニットを高消費電力モードとするものであることを特徴とする電池電源式リモートコントロール装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記消耗検知手段は、前記表示手段が電池切れを表示した後に行われる前記操作部の操作回数をカウントするものであり、前記所定レベルは、所定のカウント数であることを特徴とする電池電源式リモートコントロール装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記消耗検知手段は前記表示手段が電池切れを表示した後の経過時間を測定するものであり、前記所定レベルは、所定の経過時間であることを特徴とする電池電源式リモートコントロール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−200591(P2010−200591A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46070(P2009−46070)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】