説明

電波受信装置

【課題】車両の電源オン時に用いるアンテナと電源オフ時に用いるアンテナとが車両に設置される場合においても電源オフ時における動作を正常に行う。
【解決手段】電波受信装置は、第1のアンテナと、第2のアンテナと、第1の受信回路と、第2の受信回路と、信号抑圧部とを備えている。第1の受信回路は、前記第1のアンテナに接続され、非線形素子を有する。第2の受信回路は、前記第2のアンテナに接続されるとともに、前記車両の電源オフ時に動作する回路に接続される。信号抑圧部は、前記車両の電源オフ時において、前記第1のアンテナから前記第1の受信回路へ伝搬する信号を抑圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波受信装置に関し、より特定的には、複数のアンテナを有する車両用の電波受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラスアンテナとして複数種類のアンテナを有する構成が記載されている。具体的には、特許文献1に記載のガラスアンテナは、FM、AM、およびWB(ウェザーバンド)の3つのバンドのアンテナを有している。このような構成によって、FM、AM、およびWBの3バンドのラジオ放送を受信することができる。一方、特許文献2には、ラジオ用のアンテナと、自動車ロック用のアンテナとを1つのアンテナで共用することが記載されている。
【特許文献1】特開2001−160707号公報
【特許文献2】特開平08−144597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、車両の電源オン時に用いるアンテナと、電源オフ時に用いるアンテナとが車両に設けられる場合が考えられる。典型的には、FMやAM等のラジオアンテナと、スマートキーのアンテナ(スマート用アンテナ)とがガラスアンテナとして設けられる場合である。この場合において、車両の電源オフ時にラジオ周波数の強電界がラジオアンテナに入力されると、ラジオアンテナに接続される回路において歪みが発生する。この歪みによって生じたノイズ信号がラジオアンテナに入力されてラジオアンテナから妨害波が発生するので、当該妨害波がスマート用アンテナで受信されることによって、本来受信すべき電波が正常に受信されず、スマートキーの制御が正常に行えなくなる可能性がある。また、ラジオアンテナに接続される回路によって発生した歪みが、スマート用アンテナに接続される回路に影響を及ぼすことによっても、スマートキーの制御が正常に行えなくなる可能性がある。以上のように、車両の電源オン時に用いるアンテナと、電源オフ時に用いるアンテナとが車両に設置される場合には、車両の電源オフ時において正常な動作が行えない可能性がある。
【0004】
なお、上記特許文献2に示すように、車両の電源オン時に用いるアンテナと、電源オフ時に用いるアンテナとを1つのアンテナで共用することも考えられる。しかし、異なる周波数帯域の複数のアンテナを共用する場合には、アンテナをそれぞれの周波数帯域に最適な構成とすることはできず、少なくともいずれかの周波数帯域においてアンテナの性能が低下してしまう。
【0005】
それ故、本発明の目的は、車両の電源オン時に用いるアンテナと電源オフ時に用いるアンテナとが車両に設置される場合においても電源オフ時における動作を正常に行うことが可能な車両用電波受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明は、車両に搭載される電波受信装置である。電波受信装置は、第1のアンテナと、第2のアンテナと、第1の受信回路と、第2の受信回路と、信号抑圧部とを備えている。第1の受信回路は、前記第1のアンテナに接続され、非線形素子を有する。第2の受信回路は、前記第2のアンテナに接続されるとともに、前記車両の電源オフ時に動作する回路に接続される。信号抑圧部は、前記車両の電源オフ時において、前記第1のアンテナから前記
第1の受信回路へ伝搬する信号を抑圧する。
【0007】
第2の発明においては、前記信号抑圧部は、前記車両の電源オン時において前記第1のアンテナと前記第1の受信回路との間を接続し、前記車両の電源オフ時において前記第1のアンテナと前記第1の受信回路との間を遮断するスイッチにより構成されてもよい。
【0008】
第3の発明においては、電波受信装置は、電源回路をさらに備えていてもよい。電源回路は、前記車両の電源がオンになったことに応じて、前記第1の受信回路に対して給電を行うとともに前記スイッチを接続状態に制御し、前記車両の電源がオフになったことに応じて、前記第1の受信回路に対する給電を停止するとともに前記スイッチを切断状態に制御する。
【0009】
第4の発明においては、前記第1のアンテナおよび第2のアンテナは、車両のガラスに設けられるガラスアンテナであってもよい。
【0010】
第5の発明においては、前記第1のアンテナは、ラジオアンテナであり、前記第2のアンテナは、車両のロックの制御に用いられる電波を受信するためのアンテナであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、車両の電源オフ時においては、第1のアンテナから第1の受信回路へ伝搬される信号は信号抑圧部によって抑圧される。そのため、仮に第1のアンテナで電波が受信されたとしても、第1の受信回路において発生する高調波が抑圧され、高調波が第2のアンテナおよび第2の受信回路に与える影響を小さくすることができる。したがって、第1の発明によれば、車両の電源オン時に用いるアンテナと電源オフ時に用いるアンテナとが車両に設置される場合においても、電源オフ時における動作を正常に行うことが可能となる。
【0012】
第2の発明によれば、車両の電源オフ時においては、第1のアンテナと第1の受信回路との間はスイッチによって切断される。したがって、仮に第1のアンテナで電波が受信されたとしても、第1の受信回路において高調波が発生しないので、第2のアンテナおよび第2の受信回路に影響を与えことがない。すなわち、第2の発明によれば、電源オフ時における正常な動作をより確実に行うことが可能となる。
【0013】
第3の発明によれば、上記スイッチを電源回路によって容易に制御することができる。
【0014】
第4の発明によれば、各アンテナをガラスアンテナとすることによって、帯域や利得の点でアンテナ性能を向上することができる。
【0015】
第5の発明によれば、ラジオ用のアンテナと、車両のロックの制御に用いられる電波(例えば、スマートキーの電波)を受信するためのアンテナとを備える電波受信装置に本発明を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る電波受信装置について説明する。図1は、本実施形態に係る電波受信装置の構成を示す図である。図1において、電波受信装置は、4つのアンテナ1〜4、第1〜第3スイッチ6a〜6c、第1〜第3ラジオ受信回路7a〜7c、スマート受信回路8、電源回路9、スマート受信機10、ラジオECU(電子制御ユニット)11を備えている。電波受信装置は、4つのアンテナ1〜4を用いて、車両の電源オン時にAMおよびFMラジオの電波を受信するとともに、車両
の電源オフ時にスマートキーの電波を受信するものである。
【0017】
上記4つのアンテナ1〜4は、具体的には、FMメインアンテナ1、AMアンテナ2、FMサブアンテナ3、およびスマート用アンテナ4からなる。FMメインアンテナ1およびFMサブアンテナ3は、FMラジオの電波を受信するためのアンテナである。AMアンテナ2は、AMラジオの電波を受信するためのアンテナである。スマート用アンテナ4は、車両のロックを制御するシステムの一例であるスマートキーシステムにおいて用いられるスマートキーの電波を受信するためのアンテナである。本実施形態では、これら4つのアンテナ1〜4は、ガラスアンテナとして車両のリヤガラス15に設置される。リヤガラス15には、各アンテナ1〜4と後述するモジュール16との導通用の接点5a〜5dが設けられる。
【0018】
また、本実施形態では、第1〜第3スイッチ6a〜6c、第1〜第3ラジオ受信回路7a〜7c、スマート受信回路8、および電源回路9は、1つのモジュール16として構成される。モジュール16は、例えばリヤガラス15付近に設置される。これらの各構成要素をモジュール16に集約することによって、各構成要素の車両への搭載が容易になる。
【0019】
FMメインアンテナ1は、接点5aを介して第1スイッチ6aの一方端に接続される。第1スイッチ6aの他方端は、第1ラジオ受信回路7aの入力端に接続される。第1スイッチ6aは、FMメインアンテナ1と第1ラジオ受信回路7aとの間を接続/切断する(図1では接続状態を示す)ものである。第1ラジオ受信回路7aは、FMラジオの信号を入力し、入力した信号を増幅等して出力する回路である。第1ラジオ受信回路7aには、インピーダンス整合のためのマッチング回路、および、非線形素子(例えばダイオードやトランジスタ等)を有するアンプ回路が含まれる。第1ラジオ受信回路7aの出力端はラジオECU11に接続される。ラジオECU11は、ラジオ電波の信号を入力し、音声を出力するための適宜の処理を実行するものである。
【0020】
AMアンテナ2は、接点5bを介して第2スイッチ6bの一方端に接続される。第2スイッチ6bの他方端は、第2ラジオ受信回路7bの入力端に接続される。第2スイッチ6bは、AMアンテナ2と第2ラジオ受信回路7bとの間を接続/切断する(図1では接続状態を示す)ものである。第2ラジオ受信回路7bは、AMラジオの信号を入力し、入力した信号を増幅等して出力する回路である。第2ラジオ受信回路7bには、第1ラジオ受信回路7aと同様、インピーダンス整合のためのマッチング回路、および、非線形素子を有するアンプ回路が含まれる。第2ラジオ受信回路7bの出力端は、ラジオECU11に接続される。
【0021】
FMサブアンテナ3は、接点5cを介して第3スイッチ6cの一方端に接続される。第3スイッチ6cの他方端は、第3ラジオ受信回路7cの入力端に接続される。第3スイッチ6cは、FMサブアンテナ3と第3ラジオ受信回路7cとの間を接続/切断する(図1では接続状態を示す)ものである。第3ラジオ受信回路7cは、FMラジオの信号を入力し、入力した信号を増幅等して出力する回路である。第3ラジオ受信回路7cには、第1ラジオ受信回路7aと同様、インピーダンス整合のためのマッチング回路、および、非線形素子を有するアンプ回路が含まれる。第3ラジオ受信回路7cの出力端は、ラジオECU11に接続される。
【0022】
以上のように、各ラジオ受信回路7a〜7cは非線形素子を有する構成であり、本実施形態では、各ラジオ受信回路7a〜7cが、特許請求の範囲に記載の第1の受信回路に相当する。また、各ラジオ受信回路7a〜7cに接続されるラジオ用の各アンテナ1〜3(以下、ラジオ用アンテナ1〜3と記載する)が、特許請求の範囲に記載の第1のアンテナに相当する。
【0023】
また、上記第1〜第3のスイッチ6a〜6cは、車両の電源オフ時において、ラジオ用アンテナ1〜3と各ラジオ受信回路7a〜7cとの間を切断する、すなわち、ラジオ用アンテナ1〜3から各ラジオ受信回路7a〜7cへ伝搬される信号を抑圧する。つまり、本実施形態においては、上記第1〜第3のスイッチ6a〜6cが、特許請求の範囲に記載の信号抑圧部に相当する。
【0024】
スマート用アンテナ4は、接点5dを介してスマート受信回路8の入力端に接続される。スマート受信回路8は、具体的にはインピーダンス整合のためのマッチング回路である。スマート受信回路8の出力端はスマート受信機10に接続される。スマート受信機10は、スマートキーから受信される信号に対して所定の処理(復号等)を実行するものである。スマート受信機10は、車両の電源オフ時に動作する。すなわち、本実施形態では、スマート受信機10に接続される受信回路であるスマート受信回路8が、特許請求の範囲に記載の第2の受信回路に相当する。なお、車両は、車両のロック、電源、およびエンジン始動等を制御する制御部を備え、当該制御部は、スマート受信機10によって処理された信号に基づいてこれらの制御を行う。
【0025】
また、電源回路9は、各ラジオ受信回路7a〜7cおよび各スイッチ6a〜6cに接続されている。電源回路9は、各ラジオ受信回路7a〜7cに対して給電を行うとともに、各スイッチ6a〜6cの接続/切断を制御する。また、電源回路9には、車両電源スイッチ14の一方端が接続されている。車両電源スイッチ14の他方端は、車両の電源13に接続されている。車両電源スイッチ14は、電源13と電源回路9との間を接続/切断する(図1では接続状態を示す)ものである。
【0026】
次に、図2および図3を用いて、上記のように構成される電波受信装置の動作を説明する。図2は、電波受信装置の動作の流れを示すフローチャートである。図2に示すように、電波受信装置は、車両の電源オン時の動作(ステップS1〜S3)と、電源オフ時の動作(ステップS4〜S6)とを繰り返し行う。
【0027】
まず、車両電源オン時の動作を説明する。なお、図1は、車両電源オン時における電波受信装置の各スイッチの状態を示している。車両の電源がオンになる(ステップS1)、すなわち、車両電源スイッチ14が接続状態となると、電源回路9に電源から電力が供給される。これに応じて、電源回路9は、各ラジオ受信回路7a〜7cに対して給電を行うとともに、各スイッチ6a〜6cを接続状態に制御する(ステップS2。図1参照)。これによって、ラジオECU11は、各ラジオ用アンテナ1〜3によって受信されたラジオ電波を受信することができるので、ラジオ電波の受信を開始する(ステップS3)。すなわち、ラジオ用アンテナ1〜3によってラジオ電波が受信されると、受信された各信号はラジオ受信回路7a〜7cによってそれぞれ増幅されてラジオECU11に入力される。ラジオECU11は、入力された信号を適宜処理してスピーカ等から音声を出力する。
【0028】
次に、車両電源オフ時の動作を説明する。図3は、車両電源オフ時における電波受信装置の各スイッチの状態を示す図である。車両の電源がオンからオフになる、すなわち、車両電源スイッチ14が切断状態となる(ステップS4)と、電源回路9に対する電力供給は停止する。したがって、電源回路9は、各ラジオ受信回路7a〜7cに対する給電を停止するとともに、各スイッチ6a〜6cを切断状態に制御する(ステップS5。図3参照)。さらに、スマート受信機10は、スマートキーの電波の受信を開始する(ステップS6)。すなわち、スマート用アンテナ4によってスマートキーの電波が受信されると、受信された信号はスマート受信回路8を介してスマート受信機10に入力される。スマート受信機10は、入力された信号に対して復調等の適宜の処理を実行し、車両のドアの開閉やエンジン始動の制御を行う。この後、車両の電源が再びオンになると、再度ステップS
1以降の処理が繰り返される。
【0029】
ここで、車両の電源オフ時において、ラジオ電波がラジオ用アンテナ1〜3によって受信された場合を考える。この場合において、もしFMメインアンテナ1と第1ラジオ受信回路7aとが接続されていると、FMメインアンテナ1で受信された信号は第1ラジオ受信回路7aに入力される結果、第1ラジオ受信回路7a内の非線形素子において歪み(高調波)が発生する。発生した高調波の信号は、FMメインアンテナ1に逆流してFMメインアンテナ1から出力される。FMメインアンテナ1から出力された高調波の電波は、スマート用アンテナ4で受信され、スマート受信回路8を介してスマート受信機10で受信される。このように、スマート受信機10では上記高調波が妨害波として受信されるために、スマート受信機10は正常な動作を行うことができなくなる。また、第1ラジオ受信回路7aで発生した高調波の電波が、スマート用アンテナ4からスマート受信機10までの経路に伝搬することによっても、スマート受信機10で妨害波が受信される原因となる。
【0030】
なお、AMアンテナ2およびFMサブアンテナ3でラジオ電波が受信された場合でも、上記FMメインアンテナ1の場合と同様、スマート受信機10では上記高調波が妨害波として受信されるという問題が生じる。また、例えば放送塔の直下の位置等、強電界地区に車両が存在する場合には、ラジオ用アンテナ1〜3で受信される電波のレベルが大きくなるので、発生する高調波のレベルも大きくなり、上記の問題が顕著になる。
【0031】
また、特に、スマート用アンテナ4の周波数帯域が、FMメインアンテナ1で受信された信号の周波数の定数倍となっている場合には、スマートシステム(スマート用アンテナ4、スマート受信回路8、およびスマート受信機10を含む)は高調波の影響を大きく受けることになる。上記の例で言えば、FMラジオの周波数は76〜90[MHz](北米では110[MHz]程度)であるのに対して、スマートキーの電波の周波数は312〜314[MHz]であり、FMラジオの周波数の約3倍である。元の信号(受信された信号)の整数倍の周波数を有する各高調波のうち、特に奇数倍、より特定的には3倍の高調波の成分が相対的に大きいので、本実施形態のように、スマート用アンテナの周波数が他のアンテナの周波数に対して約3倍の関係にある場合には、特に高調波の影響が大きくなり、上記の問題が顕著になる。
【0032】
そこで、上記問題を解決すべく、本実施形態では、車両の電源オフ時には、各ラジオ用アンテナ1〜3とそれぞれに対応する各ラジオ受信回路7a〜7cとの接続を切断している(図3参照)。これによって、ラジオ用アンテナ1〜3で電波が受信されたとしても受信された信号は受信回路に入力されないので、高調波は発生しない。したがって、本実施形態によれば、ラジオ受信回路7a〜7cで発生する高調波が原因でスマート受信機10が正常な動作を行うことができなくなることを防止することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、車両電源オフ時において、各ラジオ用アンテナ1〜3と、各ラジオ受信回路7a〜7cとの間を切断状態にすることとしたが、当該各アンテナ1〜3から各ラジオ受信回路7a〜7cへ伝搬する信号を抑圧することができればよい。例えば、他の実施形態においては、車両電源オフ時において、各アンテナ1〜3から各ラジオ受信回路7a〜7cへ伝搬する信号をアッテネータを用いて減衰させるようにしてもよい。具体的には、FMメインアンテナ1と第1ラジオ受信回路7aとの間が、車両電源オフ時には減衰経路で接続され、車両電源オン時には非減衰経路で接続されるように、例えばスイッチを用いて切り替える構成とする。ここで、上記減衰経路とはアッテネータを含む経路であり、非減衰経路とは(理想的には)信号の減衰のない経路である。また、AMアンテナ2と第2ラジオ受信回路7bとの間、および、FMサブアンテナ3と第3ラジオ受信回路7cとの間についても、上記の構成と同様の構成とする。以上の構成によれば、車両
電源オフ時にラジオ用アンテナ1〜3で電波が受信されても、受信された信号は減衰されてラジオ受信回路7a〜7cに入力されるので、発生する高調波のレベルは小さくなる。さらに、高調波がアンテナ1〜3に逆流する場合にも信号が減衰されるので、高調波の影響はさらに小さくなる。したがって、ラジオ用アンテナ1〜3から各ラジオ受信回路7a〜7cへ伝搬する信号を減衰することによって、一定の効果を得ることができる。
【0034】
また、上記実施形態では、電波受信装置が3つのラジオ用アンテナ1〜3とスマート用アンテナ4とを備える場合を例として説明したが、電波受信装置が備えるアンテナの数はこれに限られない。電波受信装置は、電源オン時に用いるアンテナ(上記実施形態では、ラジオ用アンテナ1〜3)と電源オフ時に用いるアンテナ(上記実施形態では、スマート用アンテナ4)とをそれぞれ少なくとも1つずつ含んでいればよい。例えば、電波受信装置は、電源オフ時に用いるアンテナとして、TPMS(タイヤプレッシャーモニタシステム)のアンテナを備えていてもよい。TPMSでは一般的には約300[MHz]の周波数帯域の電波が用いられるので、当該周波数帯域はFMラジオの周波数帯域の約3倍の関係にある。したがって、FMアンテナとTPMSのアンテナとを備える電波受信装置においては、上記高調波の影響が大きくなるので、上記実施形態と同様、本発明を適用することが有効である。
【0035】
また、上記実施形態では、電波受信装置が備える各アンテナ1〜4がガラスアンテナである場合を例として説明したが、アンテナの設置位置はこれに限られない。各アンテナは車両のどの位置に設置されてもよいが、本発明は、各アンテナが近接して設けられる場合に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、車両の電源オン時に用いるアンテナと電源オフ時に用いるアンテナとが車両に設置される場合においても電源オフ時における動作を正常に行うこと等を目的として、例えば車両に搭載される電波受信装置として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態に係る電波受信装置の構成を示す図
【図2】電波受信装置の動作の流れを示すフローチャート
【図3】車両電源オフ時における電波受信装置の各スイッチの状態を示す図
【符号の説明】
【0038】
1 FMメインアンテナ
2 AMアンテナ
3 FMサブアンテナ
4 スマート用アンテナ
6a〜6b スイッチ
7a〜7c 第1〜第3ラジオ受信回路
8 スマート受信回路
9 電源回路
10 スマート受信機
11 ラジオECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電波受信装置であって、
第1のアンテナと、
第2のアンテナと、
前記第1のアンテナに接続され、非線形素子を有する第1の受信回路と、
前記第2のアンテナに接続されるとともに、前記車両の電源オフ時に動作する回路に接続される第2の受信回路と、
前記車両の電源オフ時において、前記第1のアンテナから前記第1の受信回路へ伝搬される信号を抑圧する信号抑圧部とを備える、電波受信装置。
【請求項2】
前記信号抑圧部は、前記車両の電源オン時において前記第1のアンテナと前記第1の受信回路との間を接続し、前記車両の電源オフ時において前記第1のアンテナと前記第1の受信回路との間を遮断するスイッチにより構成される、請求項1に記載の電波受信装置。
【請求項3】
前記車両の電源がオンになったことに応じて、前記第1の受信回路に対して給電を行うとともに前記スイッチを接続状態に制御し、前記車両の電源がオフになったことに応じて、前記第1の受信回路に対する給電を停止するとともに前記スイッチを切断状態に制御する電源回路をさらに備える、請求項2に記載の電波受信装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナおよび第2のアンテナは、車両のガラスに設けられるガラスアンテナである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電波受信装置。
【請求項5】
前記第1のアンテナは、ラジオアンテナであり、
前記第2のアンテナは、車両のロックの制御に用いられる電波を受信するためのアンテナである、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電波受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−193368(P2008−193368A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24948(P2007−24948)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】