説明

電波吸収材

【課題】フレキケーブルやフレキシブルプリント配線板にしっかりと接着させることができ、また剥離紙も不要とすることが可能な電波吸収材を提供する。
【解決手段】柔軟性を有した硬化物となる熱硬化型接着シート1と、該熱硬化型接着シートの一方の面上に形成された、柔軟性を有した硬化物となる、センダスト含有硬化性樹脂組成物層2とを備えてなる電波吸収材。センダストの平均粒径は30〜100μmである。硬化性樹脂組成物層中におけるセンダストの含有率は50〜85wt%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルな電気・電子部品、例えばフレキケーブルなどのフレキシブルプリント配線板や薄層化された半導体などに接着され、機器から外部への電磁波の漏洩、外部からの電磁波の侵入をシールドする電波吸収材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電子技術において、民生機器の小型化から、それに使用されるフレキシブルプリント配線板はより小さく、より薄く、コンパクト化の一途を辿っている。従って、フレキシブルプリント配線板は更に柔軟性で、軽量であり、薄いものであることが必要であり、用途の拡大に伴い、耐熱性、電気特性等のフレキシブルプリント配線板用素材そのものの基本的性能に対する要求も高度のものになってきている。例えば、高屈曲性、柔軟性を保つには、薄型で柔軟なフレキシブルプリント配線板の適用が必要である。
【0003】
殊に最近ノート型パソコンは多機能、高機能とともに、小型、薄型化の傾向にある。それに伴い、ハードディスクやDVDドライブなどの光ピックアップ部に使用されるインターフェイスケーブルは、束ねたシールド線群からフラットで厚みの薄いフレキシブルプリント配線板へと変わりつつある。また、情報量の高速伝達が可能なようにデジタル信号を多く伝えるために、より高周波帯域の周波数を使うようになってきており、今まで以上の電磁波シールド特性が要求される。
【0004】
電磁波シールド対策としては、フレキシブルプリント配線板内部のアンテナになる配線パターンを修正し、不要電波が発射し難くしたり、フレキシブルプリント配線板を電波吸収体で被うことなどが考えられるが、本発明は後者のフレキシブルプリント配線板へノイズ抑制シートを実装する場合に関するものである。
【0005】
特開2005−281732号公報には、扁平状の軟磁性金属粉末を結合材中に配向分散させた、電磁波シールド特性を有するノイズ抑制シートが記載されている。
【0006】
このノイズ抑制シートは、難燃性と柔軟性を得るために塩素化ポリエチレンなどの有機樹脂を使用し、シート裏面にシリコーン系やアクリル系などの粘着剤層を付加することによって、フレキシブルプリント配線板へ実装している。
【特許文献1】特開2005−281732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2005−281732号公報のノイズ抑制シートをプリント基板上へ実装した場合、殊にウルトラスリムドライブのように、ケーブルの屈曲部の曲率が極端に小さく、さらに稼動部が高速で動作する部分では、ノイズ抑制シートの端部からの剥がれが発生し、延いては基板から脱落した抑制シートによってドライブ読み取り部の動作が停止し、シートが基板上で配線間にまたがって、電気的ショートトラブルを起こす恐れがあった。
【0008】
また、上記方法の場合、粘着部の保護のために剥離紙が必要となり、経済性、環境への負荷が大きくなるという問題も生じていた。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、フレキケーブルやフレキシブルプリント配線板にしっかりと接着させることができ、また剥離紙も不要とすることが可能な電波吸収材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電波吸収材は、加熱処理により柔軟性を有した硬化物となる熱硬化型接着層と、該熱硬化型接着層の一方の面上に形成された、加熱処理により柔軟性を有した硬化物となる、金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有した硬化性樹脂組成物層とを備えてなるものである。
【0011】
本発明では、この熱硬化型接着層が粘着性を有することが好ましい。
【0012】
センダストの平均粒径は30〜100μmが好ましい。また、硬化性樹脂組成物層中におけるセンダストの含有率は50〜85wt%が好ましい。
【0013】
熱硬化型接着層の厚さは10〜100μmが好ましく、硬化性樹脂組成物層の厚さは100〜500μmが好ましい。
【0014】
硬化性樹脂組成物層は、センダストが配合された非溶剤型の液状硬化性組成物により形成されたものであることが好ましい。この液状硬化性組成物は変成シリコーン系、シリコーン系、ウレタン系、又はポリイソブチレン系のポリマーを含むことが好ましい。
【0015】
本発明の電波吸収材では、熱硬化型接着シート及び硬化性樹脂組成物の加熱処理による硬化後の硬度(JIS K6253(タイプA))が20〜50度であることが好ましい。
【0016】
前記硬化性樹脂組成物層の層上に、第二の接着層、金属層を貼り合わせた積層フィルムを有することが好ましい。また、第二の接着層が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂により形成されていることが好ましく、金属層が、アルミ薄膜であることが好ましい。
【0017】
金属層の第二の接着層とは他方の面に、絶縁層を貼り合わせるのが好ましい。
【0018】
硬化性樹脂組成物層の層上に金属層が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電波吸収材は、熱硬化型接着層と、その上に形成された金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有する硬化性樹脂組成物層とを有している。この熱硬化型接着層をフレキケーブルなどのフレキシブルプリント配線板に重ね、加熱ないしは加熱加圧することにより電波吸収材をフレキケーブルなどのフレキシブルプリント配線板にしっかりと接着させることができる。
【0020】
この熱硬化型接着層及び硬化性樹脂組成物層は、いずれも硬化後に柔軟性を有したものとなるため、電波吸収材は柔軟性で屈曲耐久性に優れたものとなる。また、磁性粉体としてセンダスト等の金属磁性粉を用いることで、電波吸収特性を良好にすることができる。
【0021】
本発明によれば、例えば薄型ノートパソコンに搭載する光ディスクドライブ(ODD)の光ピックアップ用のフレキシブルプリント配線板にノイズ抑制シートを実装する場合、基板からの剥がれ・落ちが生じないように、接着層として従来の粘着剤層の代わりに熱硬化型接着層を用いることで、熱圧着機能(ヒートシール機能)を具備することができる。これによって広く電子技術分野へのフレキシブルプリント配線板の利用価値を高めることが可能となる。また、熱硬化型接着層は、粘着剤層と異なり剥離紙で被覆しておかなくてもよいので、剥離紙などの余剰の廃棄物をなくし、環境への負荷が大幅に軽減することができる。さらに、この電波吸収材は、熱硬化型接着層と金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有した硬化性樹脂組成物層とを一体に備えているから、該熱硬化型接着層と金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有した層(電波吸収層)とを同時に形成できる。なお、フレキシブルプリント配線板とフレキケーブルへの実装も同時に可能であり経済性に優れる。
【0022】
金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末の平均粒径が30〜100μmであり、また、硬化性樹脂組成物層中のセンダストの含有率が50〜85wt%であると、金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有した硬化性樹脂組成物層を均一に且つ薄く形成できると共に、硬化性樹脂組成物の硬化物も十分に柔軟なものとなる。また、硬化性樹脂組成物層に粘着性(ベタツキ)がなく、ハンドリングし易いものとなる。
【0023】
熱硬化型接着層が10〜100μm程度であり金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有した硬化性樹脂組成物層が100〜500μm程度であると、硬化後の電波吸収材が十分に柔軟性で屈曲耐久性に優れたものとなる。
【0024】
本発明の電波吸収材は、JIS K6253(タイプA)による硬化後の硬度を20〜50度とすることができる。
【0025】
なお、本発明の電波吸収材の熱硬化型接着層が粘着性を有する場合、この電波吸収材をフレキケーブルやフレキシブルプリント配線板に重ねて接着させる際に、電波吸収材の仮留めを行うことができ、接着作業性が良好なものとなる。
【0026】
本発明の電波吸収材の硬化性樹脂組成物層は、非溶剤型の液状硬化性組成物により形成されること、特に変成シリコーン系、シリコーン系、ウレタン系又はポリイソブチレン系ポリマーを含む液状硬化性組成物から形成されることが好ましい。
【0027】
本発明の電波吸収材の硬化性樹脂組成物層の層上に、第二の接着層、金属層を貼り合わせた積層フィルムを設ける、もしくは、硬化性樹脂組成物層の層上に金属層を設けることで、更にシールド効果を向上させることができる。また、金属層の第二の接着層とは他方の面に、絶縁層を貼り合わせるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0029】
本発明の電波吸収材は、図1に示すように、熱硬化型接着層1と、この熱硬化型接着層1の一方の面上に形成された金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有した硬化性樹脂組成物層2とを有する。
【0030】
この熱硬化型接着層1としては、例えば熱硬化性ウレタンシート、熱硬化性エポキシシートなどを用いることができる。
【0031】
また、この熱硬化型接着層1は室温から150℃程度の接着作業温度まで粘着性を有していることが好ましい。特に、熱硬化型接着層は、仮留め時温度(100℃)においても粘着性が保持されるものが望ましい。
【0032】
このような条件を満たす熱硬化型接着シートとしては、東洋インキ製造(株)製TSU4(ウレタン系)などが例示される。
【0033】
この熱硬化型接着層は、厚みが薄すぎると十分な接着強度が得られない。また厚すぎると、接着するフレキシブルプリント配線板等と金属磁性体含有硬化性樹脂組成層との間隔のため電波吸収特性が悪化する。このため熱硬化型接着層の厚さは10〜100μm、特に10〜50μm程度が望ましい。
【0034】
この熱硬化型接着層1の上に形成するセンダスト含有硬化性樹脂組成物層の硬化性樹脂としては、変成シリコーン系、シリコーン系、ウレタン系、ポリイソブチレン系等のポリマーからなる非溶剤型の液状硬化性組成物が好適であり、特に変成シリコーン樹脂が好適である。液状硬化性組成物の硬化後の硬度(JIS K6253(タイプA))が20〜50度程度であるものが好ましい。
【0035】
変成シリコーン樹脂としては、特に、加水分解性ケイ素を少なくとも1分子以上有するポリオキシアルキレン系樹脂、例えば「MSポリマーS810」(株式会社カネカ製)が好適であるが、加水分解性ケイ素を少なくとも1分子以上有するポリイソブチレン系樹脂例えば「エピオンSタイプ」(株式会社カネカ製)や、加水分解性ケイ素を少なくとも1分子以上有するポリアクリル系樹脂なども用いることができる。
【0036】
加水分解性ケイ素基を少なくとも1分子以上有するポリオキシアルキレン系樹脂については多くの製法があり特に制限はされないが、例えば、特開2001−55438号公報に記載の方法にて製造することができる。
【0037】
具体的には、エポキシド重合触媒を用いて、重合開始剤存在下、不飽和基を含有しない炭素数3以上のモノエポキシドと不飽和基を含有するモノエポキシドとの混合物を重合することによってポリオキシアルキレン系重合体中に不飽和基を導入した後、この不飽和基を加水分解性ケイ素基に変換することを行い、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体を製造することができる。
【0038】
エポキシド重合触媒はエポキシ基を開環重合できるものであれば特に限定されず、公知の物が使用できる。具体的にはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムあるいは水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、アルミニウムポルレフィリン錯体、ホスファゼニウム化合物、複金属シアン化物錯体等が挙げられる。
【0039】
これらのエポキシド重合触媒を用いたモノエポキシドの重合反応は、無溶媒で行ってもよく、THFなどの溶媒を用いて行ってもよい。
【0040】
不飽和基を含有しない炭素数3以上のモノエポキシドとしては特に限定されず、プロピレンオキシド、1,2−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド、エピクロルヒドリン等の脂肪族アルキレンオキシド、スチレンオキシド等の芳香族アルキレンオキシド等が挙げられるが、脂肪族アルキレンオキシドが好ましく、特にプロピレンオキシドが好ましい。
【0041】
また、不飽和基を含有するモノエポキシドとしては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ブタジエンモノオキシド、シクロペンタジエンモノエポキシド等が挙げられるが、(メタ)アリルグリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0042】
不飽和基を含有しない炭素数3以上のモノエポキシドと不飽和基を含有するモノエポキシドとの混合物(混合モノマー)における割合(モル比)は、50:1から1:10が好ましい。より好ましくは20:1から1:5、更に好ましくは10:1から1:2である。不飽和基の導入位置が末端に近い方が、加水分解性ケイ素基導入後の重合体硬化物のゴム的性質が良好になるので、不飽和基を含有するモノエポキシドの割合は高い方が好ましい。
【0043】
このようにして得られた、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の不飽和基は、一分子中にヒドロシリル基と加水分解性ケイ素基を含有する化合物をヒドロシリル化反応させることにより、加水分解性ケイ素基に変換することが可能である。このようにして末端近傍への加水分解性ケイ素基の導入率の高い、硬化物のゴム的性質の良好なポリオキシアルキレン系重合体が得られる。
【0044】
一分子中にヒドロシリル基と加水分解性ケイ素基を含有する化合物としては特に限定されないが下記一般式(I)で表される化合物が入手することが容易であることもあり好ましい。
【0045】
H−Si(R3−a)X・・・(I)
[式中Rは炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R′)SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、ここでR′は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、加水分解性基はXが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。]
【0046】
上記Xのうちの加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば良い。具体的には例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
【0047】
上記一般式(I)で表される化合物は、具体的には、トリクロルシラン、メチルジクロルシラン、ジメチルクロルシラン、フェニルジクロルシラン、トリメチルシロキシメチルクロルシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1−ブロモジシロキサンの如きハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメトキシシラン、トリメチルシロキシジエトキシシランの如きアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシラン、トリメチルシロキシジアセトキシシランの如きアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、トリス(アセトキシメート)シランの如きケトキシメートシラン類;メチルイソプロペニルオキシシランの如きアルケニルオキシシラン類などが挙げられる。中でもメチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン等のアルコキシシラン類;トリクロロシラン、メチルジクロロシラン等のハロゲン化シラン類が好ましく、メチルジメトキシシラン、トリメトキシシランが特に好ましい。ハロゲン化シラン類のハロゲン原子は不飽和基にヒドロシリル化反応させた後、公知の方法によりカルボン酸、オキシム、アミド、ヒドロキシアミン等の活性水素化合物やケトン類のアルカリ金属エノラート等と反応させることにより他の加水分解性基に変換しても良い。
【0048】
上記の一分子中にヒドロシリル基と加水分解性ケイ素基を含有する化合物はポリオキシアルキレン系重合体の各分子鎖末端に対し、0.5から5当量反応させるのが好ましい。硬化性および物性バランスの点より0.6から4当量がより好ましく、0.7から3当量が更に好ましい。
【0049】
また不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に一分子中にヒドロシリル基と加水分解性ケイ素基を含有する化合物を反応させる触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム、及びニッケル等の9族および10族の遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が有効に使用される。
【0050】
このようにして得られた加水分解性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水分あるいは大気中の湿分と反応することにより架橋硬化物を与える。
【0051】
変成シリコーン樹脂の分子量には特に制限はないが、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が3000〜50000であることが好ましい。数平均分子量を上記範囲にすることで良好なゴム的性質を有する硬化物が得られると共に、適度な重合体の粘度が得られ、施工性のためにも好ましい。さらに、変成シリコーン樹脂は常温では液状である必要があり、数平均分子量が5000〜30000であることが、粘度の点から特に好ましい。
【0052】
変成シリコーン樹脂が有する分子末端の加水分解性ケイ素基の数は、少なくとも1個、好ましくは1.2〜4個である。かかる加水分解性ケイ素基の数を上記範囲にすることで硬化が充分になり、柔軟な弾性挙動を発現することができる。なお、加水分解性ケイ素基が分子末端に存在することにより、形成される硬化物に含まれる重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなる。
【0053】
上記の変成シリコーン樹脂は、粘着性を有しているので、電波吸収材を熱硬化型接着シート又はフレキケーブルなどのフレキシブルプリント配線板に重ねた際に電波吸収材が位置決めされるので、その後の圧着工程を効率よく行うことができる。
【0054】
また、本発明において、変成シリコーン樹脂に対する硬化触媒として金属カルボン酸塩および/またはアミン化合物を含むことが好ましい。
【0055】
金属カルボン酸塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類が挙げられる。
【0056】
また、アミン化合物としては、例えば、ブチルアミン、モノエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,3−ジアザビシクロ(5.4.6)ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。
【0057】
これら硬化触媒の量は、触媒の種類や加水分解性ケイ素基の量などによって適宜決定することができる。
【0058】
本発明においては、硬化性樹脂組成物は、所望により、光安定剤(D1)、紫外線吸収剤(D2)及び酸化防止剤(D3)の中から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
【0059】
光安定剤(D1)としては、ラジカル捕捉剤であるヒンダートアミン系のものが好ましく、また紫外線吸収剤(D2)としては、サリチル酸エステル系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系を用いることができる。
【0060】
酸化防止剤(D3)としては、キノン系、アミン系、フェノール系、リン系、硫黄系などが用いられる。
【0061】
本発明においては、前記(D1)、(D2)又は(D3)成分のみを用いてもよく、また、(D1)、(D2)及び(D3)成分を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0062】
これらの添加剤を含有させることにより、得られる電磁波吸収体の耐光性や耐候性がさらに向上する。
【0063】
前記(D1)、(D2)、(D3)成分の含有量はポリマー成分100質量部に対し、それぞれ通常0.05〜5質量部程度であり、好ましくは0.1〜3質量部である。
【0064】
さらに、本発明においては、変成シリコーン樹脂等の樹脂成分と反応する官能基を有しない可塑剤(F)を、樹脂成分100質量部に対して、1〜100質量部含むことが好ましい。
【0065】
(F)成分の可塑剤としては、ポリブテン、水素添加ポリブテン、エチレン−α−オレフィンコオリゴマー、α−メチルスチレンオリゴマー、ビフェニル、トリフェニル、トリアリールジメタン、アルキレントリフェニル、液状ポリブタジエン、水素添加液状ポリブタジエン、アルキルジフェニル、部分水素添加ターフェニルなどのポリアルキレン系可塑剤;パラフィン系可塑剤;ナフテン系可塑剤;ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのフタル酸エステル系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケートなどの脂肪族2塩基酸エステル系可塑剤;アクリル系可塑剤;ジエチレングリコールベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエートなどのポリアルキレングリコールのエステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤などがあげられる。これらのなかではとくに飽和炭化水素系化合物類が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの可塑剤は飽和炭化水素系有機重合体に反応性ケイ素基を導入する際に、反応温度の調節、反応系の粘度の調節などの目的で溶剤のかわりに用いてもよい。
【0066】
本発明では、この硬化性樹脂組成物層は金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有する。この金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末は、金属磁性粉として、センダスト、パーマロイ、アモルファス合金、ステンレス鋼、金属酸化物としてはMnZnフェライト、NiZnフェライト等が好適に用いられる。中でも、その優れた磁気特性からセンダスト系の金属磁性粉であることが好ましい。また、センダスト粉は扁平形状であり、アスペクト比が十分高い方が望ましい。このセンダスト等の磁性粉は、平均粒径が30〜100μmであることが好ましい。この平均粒径が30μmよりも小さかったり、逆に100μmよりも大きい場合には、硬化性樹脂と混練した混練物が十分に滑らかな展延性を有さず、熱硬化型接着層の上に薄く均一に塗布することが難しくなる。
【0067】
金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末の配合量は、金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末が硬化性樹脂組成物層中に50〜85wt%含有される程度が好ましい。この金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末の含有率が50wt%よりも低いと、電波吸収特性が不足すると共に、硬化性樹脂組成物層が相対的に樹脂成分過多のものとなり、ベタツキ(粘着性)が生じ、ハンドリングしにくくなる。また、金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末の含有率が85wt%よりも高いと、硬化性樹脂と金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末との混練物の展延性が不足すると共に、磁性粉末含有硬化性樹脂組成物層2の柔軟性が損なわれる。
【0068】
樹脂成分と金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末との混練を行うための混練機については特に制限はないが、プラネタリーミキサーが好ましい。プラネタリーミキサーは液体と粉体の攪拌、混練に優れた性能を有し、2本のブレードが自転、公転し遊星運動(プラネター運動)によりブレード相互間およびブレードとタンクの内面の精密な間隔によってDead Space(死点)が非常に少なく強力な混練効果を発揮し、高度のニーディング効果(攪拌、混練、分散)を得ることができる。
【0069】
この樹脂成分と金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末との混練を行うに際しては、金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を2回以上に分割して投入する分割投入法を採用するのが好ましい。この分割投入法によれば、金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を十分に樹脂中に分散させることができる。なお、実用的には、金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末のうちの1/3〜2/3をまず投入して混練し、残りを2〜4回程度、好ましくは略等分に分割して投入するのが好適である。
【0070】
金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末と混練された硬化性組成物は未硬化の状態では不定形であり、熱硬化型接着層の上に塗工される。該組成物には硬化触媒が含まれていて、塗工後に空気中の水分などにより硬化反応が進む1成分系と、該組成物と硬化触媒を混合して硬化反応が進む2成分系のものがある。後者の場合、熱硬化型接着層に硬化性樹脂組成物層を塗工する直前に硬化触媒を樹脂組成物に添加して混合するのが好ましい。硬化性樹脂組成物層は、上記樹脂組成物を熱硬化型接着層上にバーコーターやドクターブレード法などにより塗工することにより形成される。
【0071】
硬化性樹脂組成物層は、環境及び安全衛生面に配慮し、有機溶剤を用いない非溶剤型の塗工材料として使用できる。しかし、塗工作業性を向上させるために、有機溶剤を添加し、粘度を下げて塗工することも可能である。有機溶剤の種類は、酢酸エチル、キシレン、トルエン等が用いられ、その添加量は、0.5〜50%、好ましくは1〜20%が望ましい。添加量が0.5%以下であると、塗工作業性を向上させることが難しく、また50%以上であると固形分が減少し塗工性が低下する。
【0072】
塗工により形成される磁性粉末含有硬化性樹脂組成層は、その厚みが厚いほど電波吸収特性が優れる傾向にある。このため、薄い場合は十分な吸収特性にはならない。また厚すぎる場合は、フレキシビリティが悪化し、また重量も重くなるため、フレキシブルプリント配線板等への使用が難しくなる。
【0073】
本発明の図1の更なる構造として図2を示す。図2の電波吸収材は、図1の硬化型樹脂組成物層2の層上に積層フィルム3を積層した構造となっている。前記積層フィルム3は、第二の接着層4、金属層5、絶縁層6を貼り合わせた積層構造になっている。
【0074】
前記第二の接着層4としては、熱接着性を有した材料として、例えば、EMMA(エチレン系樹脂)フィルムが用いられるが、下地となる硬化型樹脂組成物層2に合わせて他の公知の各種の熱接着性を備えた材料(例えば、ポリイミド樹脂やCPP(無延伸ポリプロピレン)など)を用いても構わない。本実施例では、前記EMMAを用いて厚さ30μmの第二の接着層4を形成した。
【0075】
また、前記金属層5として、蒸着やメッキなどで形成した金属薄膜が用いられる。本実施例では、前記金属層5として、アルミニウムを蒸着したアルミニウム薄膜を使用している。アルミニウム薄膜の厚みを、本実施例では、400Åの厚みとなるように形成している。前記金属層5の厚みを薄くすることで、前記金属層5を抵抗膜として作用させ、電磁波の吸収能力の向上を図ることができる。
【0076】
前記金属層5の他方の主面に、絶縁層6を貼り合わせている。本実施例では、前記絶縁層6として、厚さ20μmのCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムを用いているが、他の公知の絶縁材料に適宜変更してもよい。例えば、PET,PE,PI等の有機材料や、SiOコートやSiN等の無機膜であってもよい。絶縁層6は、例えば、蒸着やスパッタ等の方法のほか、公知の湿式法によって成膜することができる。また、絶縁層6の抵抗値は、10Ω/cm以上である。これは、抵抗値が10Ω/cm未満では絶縁性が失われ、上部に配線を載せた場合にショートする恐れがあるためである。
【0077】
上記積層フィルム3は、例えば、前記絶縁層6に、前記金属層5(アルミニウム薄膜)を蒸着で形成してから、前記第二の接着層4をラミネート加工によって貼り合わせて形成することが出来る。
【0078】
図1の構造に積層フィルム3を積層させることにより、入射した電磁波の一部が積層フィルムで遮蔽されるようになる。このため、図1の構造よりも、更に電磁波の吸収特性及び遮蔽特性の向上を図ることができる。
【実施例】
【0079】
実施例1
次の(1)の材料を用い、(2)の方法によってフレキケーブル用電波吸収材を製造した。そして、(3)のようにしてフレキケーブルとの接着を行った。また、(4)の測定及び評価方法によって電波吸収材の特性を測定及び評価し、結果を表1に示した。
【0080】
(1)材料(配合は表1の通り)
ポリマー:(株)カネカ製 MSポリマーS810
可塑剤:フタル酸ジイソノニル
金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉としてはセンダスト系の金属磁性粉を以下のように調整した。Si9.6wt%,A15.5wt%、残部FeからなるFe−Si−Al合金(センダスト)粉末をアトリッションミル(商品名アトライター)にて粉砕処理を行い、扁平粉末を得た。その際粉砕時間により粒径の調整を行った。
【0081】
レーザー回折法により測定した平均粒径D50(μm)を表1に示す。
【0082】
硬化剤として日本化学産業(株)製ニッカオクチック錫を塗工前にポリマー量に対して0.05phr混合した。
【0083】
熱硬化型接着層としては、市販の熱硬化型接着シート(粘着性有り)である東洋インキ製造(株)製、TSU4(ウレタン樹脂シート、厚み35μm)を使用した。
【0084】
(2)製造方法
プラネタリーミキサーに、温度50℃にて、ポリマー、可塑剤、半量のセンダストを投入し、10分練り、その後、1/4量投入後10分練りを2回繰り返して液状組成物とした。
【0085】
上記の接着シートにこの液状組成物をバーコーターで塗工し、常温の空気雰囲気下に24時間以上置いて硬化させ、電波吸収体/熱硬化型接着シート積層体よりなる電波吸収材を作製した。塗工量は、電波吸収材の総厚みとして表1に示した。
【0086】
(3)フレキケーブルとの接着
このようにして製造した電波吸収材とフレキケーブルとを接着した。この接着条件は、100℃×1MPa×2分仮留め、150℃オーブン×3時間の熱圧着とした。
【0087】
(4)特性の測定及び評価方法
[分散性]
流動性を目視観察し、次の2段階評価を行った。(〇)混合物が液状で流動性を有する。(×)混合物の流動性が小さい。
【0088】
[シート加工性]
外観を観察し、次の2段階評価を行った。(〇)厚みが100〜200μmのシートの外観が良好であるもの。(×)厚みが100〜200μmのシートに凹凸等の外観不良が発生するもの。
【0089】
[硬度]
JIS K6253(タイプA)により測定した。
【0090】
[硬化性樹脂組成物層の粘着性]
べたつきの有無を接触により判定した。べたつきがあるものが(×)である。
【0091】
[電波吸収率]
マイクロストリップライン上のシートの吸収特性を測定した。吸収率=損失電力/入力電力、シート大きさは50×50mm、周波数は1GHzとした。
【0092】
[粘着力]
東洋精機製ビクマタックテスターIIで、ポリイミドフィルムと接着シートを圧着後、引き剥しに要する荷重を測定した。圧着時間は10秒、圧着荷重は100gとした。
【0093】
[接着シートの位置決め性]
上記の電波吸収体/熱硬化型接着シート積層体よりなる電波吸収材をフレキケーブルに仮留め接着させる時に、(〇)所定の位置に貼ることができる;(×)所定の位置に貼れない;の2段階評価を行った。
【0094】
[屈曲耐久性]
電波吸収材を室温、周波数1Hz、振幅±20mm、曲率半径2mmで180度折り返して繰り返し屈曲を行った。耐久回数100万回で外観良好なものを(○)と評価した。
【0095】
実施例2〜4
センダストの配合量を表1の通りそれぞれ増加させると共に、電波吸収材の厚みを変えた他は実施例1と同様にして電波吸収材の製造と評価を行った。結果を表1に示す。
【0096】
比較例1
センダストの硬化性樹脂組成物中の配合量を45wt%(117phr)と少なくしたこと以外は実施例1と同様にして電波吸収材を製造し、その評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
なお、電波吸収層の厚みは表1の通り0.25mmであり、実施例1(0.27mm)よりも極く僅か薄かった。
【0098】
比較例2
樹脂とセンダストとの混練に際し、センダストの全量を一括して投入したこと以外は実施例4と同様にして電波吸収材を製造し、その評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
比較例3
センダストの平均粒径を23.8μmと小さくしたこと以外は実施例4と同様にして電波吸収材を製造し、その評価を行った。結果を表1に示す。
【0100】
比較例4
センダストの平均粒径を110μmと大きくしたこと以外は実施例4と同様にして電波吸収材を製造し、その評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
比較例5
熱硬化型接着層として、粘着性のない東洋インキ製造(株)製TSU8(ウレタン樹脂シート 厚さはTSU4と同じ)を用いたこと以外は実施例4と同様にして電波吸収材を製造し、その評価を行った。結果を表1に示す。
【0102】
比較例6
センダストの配合量を85.6wt%(850phr)と多くしたこと以外は実施例1〜4と同様にして電波吸収材を製造し、その評価を行った。結果を表1に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
表1の通り、実施例1〜4はいずれも屈曲耐久性に優れると共に、センダストの分散性、シート加工性に優れる。また、フレキケーブルへの電波吸収材の位置決めが可能である。さらに、電波吸収材の硬化性樹脂組成物層が粘着性を有さず、ハンドリング性が良好である。
【0105】
これに対し、比較例1ではセンダストの配合比が低く、ポリマーが相対的に過剰であるため、センダスト含有硬化性樹脂組成物層が粘着性を有してしまい、ハンドリング性に劣っていた。
【0106】
比較例2では、センダストを一括投入したため、センダストの分散性及びシート加工性があまり良くない。
【0107】
比較例3では、センダストの平均粒径が小さすぎるため、センダストの分散性及びシート加工性が良くない。
【0108】
比較例4では、センダストの平均粒径が大き過ぎるため、センダストの分散性があまり良くなく、またシート加工性が良くない。
【0109】
比較例5では、熱硬化型接着層が粘着性を有しないため、電波吸収材が粘着性を具備せず、フレキケーブルに対し位置決め(仮留め)することができなかった。
【0110】
比較例6では、センダストの配合量が多すぎるため、センダストの分散性及びシート加工性がいずれも良くない。
【0111】
更に、図2に示した熱硬化型接着層1、硬化型樹脂組成物層2に、第二の接着層4、金属層5、絶縁層6を貼り合わせた積層フィルム3を積層させた電波吸収材の吸収特性及び透過特性の比較それぞれ図3、図4に示す。
【0112】
実施例5の積層フィルム3として、第二の接着層4に厚さ30μmのEMMA、金属層5にはアルミニウムを蒸着した厚さ400Åのアルミニウム薄膜、絶縁層6に厚さ20μmのCPPを用いた。
【0113】
また、比較例7として、図1の電波吸収体の硬化性樹脂組成物層2の層上に、PETフィルムを積層させた電波吸収体を用いた。
【0114】
図3ないし図4より、積層フィルムを積層させることで、入射した電磁波の一部が積層フィルムで遮蔽されるようになるため、電磁波の吸収特性の向上、ひいては、遮蔽特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】実施の形態に係る電波吸収材の断面図である。
【図2】別の実施の形態に係る電波吸収材の断面図である。
【図3】実施の形態に係る電波吸収材の吸収特性を示したグラフである。
【図4】実施の形態に係る電波吸収材の透過特性を示したグラフである。
【符号の説明】
【0116】
1 熱硬化型接着シート
2 センダスト含有硬化性樹脂組成物層
3 積層フィルム
4 第二の接着層
5 金属層
6 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱等の処理により柔軟性を有した硬化物となる熱硬化型接着層と、
該熱硬化型接着層の一方の面上に形成された、加熱等の処理により柔軟性を有した硬化物となる金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末を含有した硬化性樹脂組成物層と
を備えてなる電波吸収材。
【請求項2】
請求項1において、前記熱硬化型接着層が粘着性を有することを特徴とする電波吸収材。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末の平均粒径が30〜100μmであることを特徴とする電波吸収材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記硬化性樹脂組成物層中における金属あるいは金属酸化物からなる磁性粉末の含有率が50〜85wt%であることを特徴とする電波吸収材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記熱硬化型接着層の厚さが10〜100μmであることを特徴とする電波吸収材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記硬化性樹脂組成物層の厚さが100〜500μmであることを特徴とする電波吸収材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、該硬化性組成物は変成シリコーン系、シリコーン系、ウレタン系、又はポリイソブチレン系のポリマーを含むことを特徴とする電波吸収材。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記硬化性樹脂組成物層は、前記磁性粉末としてセンダストが配合された非溶剤型の液状硬化性組成物により形成されたものであることを特徴とする電波吸収材。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、硬化性樹脂組成物の加熱等の処理による硬化後のJIS K6253(タイプA)により測定された硬度が20〜50度であることを特徴とする電波吸収材。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項において、前記硬化性樹脂組成物層の層上に、第二の接着層、金属層を貼り合わせた積層フィルムを有することを特徴とする電波吸収材。
【請求項11】
請求項10において、前記金属層の第二の接着層とは他方の面に、絶縁層を貼り合わせたことを特徴とする電波吸収材。
【請求項12】
請求項10において、前記第二の接着層が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂により形成されていることを特徴とする電波吸収材。
【請求項13】
請求項10において、前記金属層が、アルミ薄膜であることを特徴とする電波吸収材。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれか1項において、前記硬化性樹脂組成物層の層上に金属層が設けられることを特徴とする電波吸収材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−109075(P2008−109075A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108432(P2007−108432)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】