説明

電流を制限する複合材

【課題】障害を最小限にして回復機能を改善する。
【解決手段】電流を制限する細長い複合材であって、少なくとも1つの酸化物超伝導部材、及び前記少なくとも1つの酸化物超伝導部材を実質的に囲む少なくとも1つの第2の導電部材から成り、前記複合材が約0.05〜0.5V/cmの範囲の電場を障害電流を制限する事象の間に示し、障害電流を制限する事象は動作電流の約3〜10倍を前記複合材を通過させることから成り、前記動作電流が少なくとも1つの酸化物超伝導部材の臨界温度より低い選択された動作温度において前記酸化物超伝導体の臨界電流以下及び前記酸化物超伝導体の臨界電流の2分の1以上であるように選択されることを特徴とする複合材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の属する技術分野]
本発明は、電流を制限する挙動と障害電流から速やかに回復する機能を示す複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
障害電流は、電力伝達システムを流れる正常な動作電流中で(通常は一時的に)大きく増加する。障害電流は、落雷又は短絡の原因となり得る電気装置の突発的な故障を含む多くの異なる事象から起こり得る。例えば、短絡は、回路を流れる電流において20倍又はそれ以上の増加を引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の遮断器はほぼ全ての電力伝達及び分配システムで使用され、万一の故障の際に回路を「開いて」電流の流れを遮断する。障害電流レベルは、新しい装置が時間が経過するに従って付加されるにつれて増加する。しかし、障害電流の大きさが増加するにつれて、遮断器のサイズ及び費用の増加が生じる。更に、従来の遮断器は瞬時に開かない。一般に、障害電流は、制御回路への信号を発生する電流センサにより最初に検出される。制御回路は前記信号を処理し、次に制御信号を発生して遮断器を開かせる。これらの(50〜2000ミリ秒又はそれ以上の持続時間を有する)ステップの間、遮断器及び伝達システムの他の部品は、より高い障害電流レベルにさらされる。従って、遮断器、変圧器、及びシステムの他の構成要素は、一定時間にわたるより高い電流レベルに耐えるように見積もられることが多い。
【0004】
障害電流リミッタはインピーダンスを接続に素早く挿入して障害電流の大きさを減少させるように開発され、それにより遮断器及び電力伝達システムを保護した。多くの障害電流リミッタは、回路のインダクタンスに比例するエネルギーを蓄積する調整されたリアクタンス回路を含む。
【0005】
一過性の故障が解消した場合に、遮断器は開いた後に短時間で自動的に再閉路するように設計されることが多いであろう。従って、遮断器が再閉路したときに機能するように、障害電流リミッタは早い回復特性を示すことが望ましい。
【0006】
超伝導体の重要な特性は、臨界温度Tcより下に冷却されたときの電気抵抗の消失である。与えられた磁場及びTcより下の温度に対して固有の臨界電流Icが存在し、臨界電流Icより下では超伝導体は実質的に無抵抗を示す。Icより上では、抵抗(及び電場)は非常に急速に増加する。もし超伝導体が導電マトリックス(母材)に埋め込まれるか又はマトリックスと一緒に巻かれたら、電流は超伝導体とマトリックスの間で並列回路として分割される(Icより下では、超伝導体は実質的に全電流を伝える。何故ならば、抵抗が無いからである。)。
【0007】
超伝導材料の遷移特性は、超伝導障害電流リミッタを開発するのに都合よく使用されてきた。例えば、従来の1つのアプローチでは、超伝導電流制限装置は、熱放散ウェーハ(例えば、サファイア)の表面に被覆された超伝導材料の薄いコーティングを使用して構成される。障害が検出されるとき、前記コーティングは通常状態に遷移して抵抗を有するようになり、それにより電流の流れを(前記装置と直列な)遮断器が電流の流れを遮断するまで制限する。他のアプローチでは、大量の超伝導ロッド又はリングが、障害電流のレベルを誘導的に制限する装置で使用される。
【0008】
現在の障害電流リミッタは(それらが独立した装置であろうと保護しようとしている装置と一体であろうと)、複数の分離した電気的構成要素から成る。電流を制限する機能を元から所有する細長い複合材は、障害電流を制限する機能を統合するより簡単な設計を可能にする。例えば、そのような導体は、障害電流を制限する変圧器になる変圧器の巻線に組み込める。この考えは、定常状態のピーク電流よりも大きな障害電流が存在する状態で望ましい電場を示す、電流を制限する細長い複合材に対する必要性を明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの側面では、本発明は、酸化物超伝導部材、及び前記酸化物超伝導部材を実質的に囲む第2の導電部材から成る、電流を制限する細長い複合材から成る。前記複合材は、次のような障害制限特性を有する。即ち、動作電流の約3〜10倍の電流が前記複合材を通過するとき、前記電流は約0.05〜0.5V/cmの電場を示す。前記動作電流は、選択された動作温度での臨界電流の約半分から臨界電流の間であり、前記動作温度は超伝導体の臨界温度より低い。
【0010】
導電部材は銀含有マトリックスであり、銀含有マトリックスは更にガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、及びアンチモンを含む。また、銀含有マトリックスは接合剤(例えば、接着剤又は半田)も含み、接合剤は熱安定素子をマトリックスに接着する。例えば、熱安定素子は、ステンレス鋼又は銅合金から成る。複合材は電線の形状である。
【0011】
いくつかの実施例では、複合材の熱容量は、複合材の温度が少なくとも1つの酸化物超伝導部材の臨界温度より上に障害事象の間に上昇することを阻止するのに十分なように選択される。この熱容量は、式(2)により50、150、250、500、1000、又は2000ミリ秒だけ持続する障害に対して計算される。他の実施例では、複合材は、十分な熱が複合材から障害事象の後で散逸されて、複合材が動作温度まで冷却されることを可能にするように形成される。この形状は、式(3)を参照して50、150、250、500、1000、又は2000ミリ秒だけ持続する障害に対して決定される。更に他の実施例に対して、式(2)及び式(3)の両方が、50、150、250、500、1000、又は2000ミリ秒だけ持続する障害に対して満たされる。
【0012】
他の側面では、本発明は電流制限変圧器を含み、前記電流制限変圧器は巻線と電気的に直列に接続された上記のような複合材を有する。更に変圧器は、変圧器を動作温度に維持するための一体化された冷却手段を含む。更に本発明は、上記の複合材及び複合材を動作温度に維持するための一体化された冷却手段から成る電流リミッタを含む。
【0013】
更に他の側面では、本発明は、障害事象の間に、動作電流を伝える電力伝達システム中の電流を制限する方法を含む。前記方法は、第2の導体により実質的に囲まれる酸化物超伝導部材から成る超伝導複合材を挿入することから成り、障害が無いときは前記複合材は臨界電流の少なくとも半分の動作電流を1μV/cmより小さい電圧傾度で伝えることができ、システムが動作電流の約3〜10倍の電流を伝える障害が存在する状態では0.05〜0.5V/cmの範囲の電圧傾度を示すことができる。
【0014】
第2の導体は銀含有マトリックスであり、銀含有マトリックスはガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、又はアンチモンを更に含む。また銀含有マトリックスは接合剤(例えば、接着剤又は半田)を含み、接合剤は熱安定素子をマトリックスに接着する作用をする。この熱安定素子は、例えば、ステンレス鋼又は銅合金である。複合材は電線の形状に形成されてもよく、障害事象の間に超伝導体の臨界温度を越えないように形成されてもよい。
【0015】
更に複合材は、電流を障害事象に応答して、例えば50〜2000ミリ秒、100〜1000ミリ秒、又は200〜500ミリ秒後に遮断する遮断器と電気的に直列な関係に配置される。
【0016】
特に記載されない限り、「マトリックス抵抗率」はマトリックス材料の多くの結晶粒を横断して電線の軸に沿って決定されるマトリックスの体積抵抗率を意味し、「複合材抵抗率」は超伝導素子、マトリックス、及び付加的な薄層状構成要素を含む複合材物品の抵抗率を意味する。
【0017】
超伝導複合材の「動作電流密度」は、ここで使用されるように、超伝導体、及び複合材のマトリックスの両方を通過する全電流を、酸化物超伝導フィラメント、マトリックス、及び電流が通過する他の構成要素を含む複合材の断面積で割ったものを意味する。この数量は、Jopで表記される。
【0018】
「工学的臨界電流密度」は、ここで使用されるように、超伝導複合材の超伝導部材の全臨界電流を、酸化物超伝導フィラメント及び導電マトリックスの両方を含む複合材全体の断面積で割ったものを意味する。この数量は、Jeで表記される。
【0019】
「臨界電流」は、ここで使用されるように、DCアプリケーションに対しては1μV/cmの消失が、又はACアプリケーションに対しては1mW/A−mの消失が存在する電流を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による酸化物超伝導体複合材の種々の実施例を示す。
【図2】66〜95Kの間の温度における酸化物超伝導体複合材の拡張された(即ち、臨界電流より十分低い電流を含む)電場−電流特性を示す。
【図3】障害事象の間の電流及び電圧記録であり、本発明による複合材の素早い回復特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、高いマトリックス抵抗率を有する超伝導複合材の障害電流リミッタとしての使用を含む。従来の障害電流リミッタは(それらが独立した装置であろうと保護しようとしている装置と一体であろうと)、複数の分離した電気的構成要素(例えば、米国特許第5,828,291号に記載の「分離した分流抵抗器」)から成る。本発明は、電流を制限する機能を示す細長い複合材を提供し、より簡単な障害電流リミッタ設計を可能にする。例えば、そのような導体は、障害電流を制限する変圧器になる変圧器の巻線に組み込める。更に、本発明の障害電流リミッタは、殆ど瞬時である動作の回復を障害事象の後に示すことができる。
【0022】
一般的な電力伝達システムでは、異なるフィーダに対して提供される複数の遮断器、及び複数のフィーダを制御する(一般に、更に大きい)母線遮断器が存在する。フィーダの1つで障害が発生したとき、そのフィーダの遮断器が開いて回路を保護する(一般に50〜200ミリ秒以内に、しかし更に大きな遅延も複数の状況で見られる)。もしフィーダ遮断器が故障したら、メインの母線遮断器が(一般に300ミリ秒又はそれ以上後に)開き、母線に接続された全フィーダを電気が無いままにしておく。更に複雑なシステムでは、複数層の遮断器が存在し、障害に最も近い遮断器が開いたかどうかを決定するサイクル、及びもし開いてなければどの上流の遮断器を開くかを決定するサイクルが数回繰り返され、システムが障害電流にさらされる持続時間を延長する。従来の開閉装置及び変圧器では、ユーティリティはこれらの遅延をモデム制御機器を利用することにより約1秒に減少させようとしているが、1〜5秒の遅延が一般的である。
【0023】
金属被覆に包まれた1つ又は複数の酸化物フィラメントから成る超伝導複合材では、被覆金属及び超伝導体が並列回路を構成する。電流が超伝導素子の臨界電流より上のレベルまで増加するとき、その抵抗率は突然(25μΩ−cmより高い)高いレベルまで増加する。次に、著しく大きな電流が被覆金属を流れる。本発明によると、与えられた電圧に対して、この過剰な電流は、高い抵抗率(例えば、少なくとも3μΩ−cmの、好ましくは約5〜25μΩ−cmの抵抗率)の被覆を有する複合材を提供することにより制限される。
【0024】
これらの高い被覆抵抗率を有する複合材を製造する方法についての詳細な情報は、1999年3月22日に出願の米国特許出願第09/274,438号、1999年2月1日に出願の米国特許出願第09/240,998号、及びPCT公開公報W099/40633号で提供される。これらの方法は、高いマトリックス抵抗率を少なくとも1つの溶質エレメントを用いたマトリックス金属の固溶体の形成により達成する。溶質は、少な目の量が加えられるときにマトリックス材料の抵抗率を大きく増加させる1つ又は複数のエレメントから成ることが望ましい。
【0025】
適切な合金化エレメントは抵抗率をマトリックスに付与し、マトリックスの体積抵抗率を増加させることができる。合金抵抗に最大の影響を有するエレメントが、一般には最も望ましい。しかし、適切なエレメントも銀の中での高い拡散率、及び固溶体を銀を用いて低温で形成する能力を明示する。銀を用いて緩やかな条件で高い抵抗率を形成することを期待される適切な溶質金属、固溶体合金は、錫(Sn)、ガリウム(Ga)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、及びそれらの合金を含む。1つ又は複数の溶質エレメントを使用してもよい。
【0026】
反応状態にあるとき、多くの溶質エレメントが酸化物超伝導体を劣化させる。従って、溶質エレメントがマトリックス中に存在するとき、そのような状態を避けることが望ましい。酸化物超伝導体の前に合金マトリックスが形成されるとき、これは困難である。何故ならば、酸化物超伝導体が形成される状態は必然的な反応状態だからである。従って、反応状態より下の温度がもう発生しないとき、高い抵抗率の構成要素は低温で、かつ超伝導複合材を製造する時点で導入されることが好ましい。
【0027】
合金化プロセスは、酸化物超伝導体複合材を溶質(例えば、溶質槽)が存在する状態で加熱することにより、又は溶質成分を酸化物超伝導体複合材の外部表面に沈殿させて加熱することにより達成され、それにより溶質をマトリックスの内部に拡散させる。
【0028】
被覆された超伝導複合材テープの長い長さを焼きなまし、溶質をマトリックスの内部に、バッチプロセスで分離剤(例えば、酸化物スラリ)又は他の粒子(例えば、MgO粒子)を用いてテープを被覆することにより拡散させることができる。好ましい実施例では、スラリは加えられて乾燥され、微細粒子のコーティングをマトリックスの表面に残し、テープが心棒又はリールに巻かれるとき、微細粒子のコーティングはテープの隣接領域が互いに貼り付くことを阻止する。また、分離材料の平らなストリップ、又は米国特許第5,952,270号に記載されるような多孔性コーティングも使用されるが、セパレータ及び超伝導複合材の熱膨張係数の相違により起こる機械的損傷を最小にするように注意しなければならない。粒子を用いるコーティングが好ましい。何故ならば、小粒子は複合材が熱で膨張したときに互いから離れて動くことができ、熱的な不整合損傷を最小にするからである。
【0029】
分離剤の塗布後、テープをリールに巻いて(例えば、米国特許第5,952,270号に開示されているような)パンケーキコイルを形成することができ、次にパンケーキコイルは加熱炉の中で水平に置かれて熱拡散処理される。分離剤は、処理された複合材が熱処理後に容易に巻き戻されて分離されることを可能にする。或いはまた、熱処理は、被覆されたテープを心棒(例えば、アルミナの心棒)に単一の又は複数の層に巻くことにより実行される。本発明の好ましい実施例では、複合材の抵抗率は熱処理の間中モニタされるので、複合材に対して所望する被覆抵抗率が得られる。
【0030】
本発明は、所望する酸化物超伝導体又はその前駆物質を用いて実施される。「所望する酸化物超伝導体」は、完成した物品での最後の使用を意図される酸化物超伝導体を意味する。一般に、所望する酸化物超伝導体は、その優れた電気的特性(例えば、高い臨界温度又は臨界電流密度)のために選択される。一般に、所望する酸化物超伝導体は、優れた電気的特性を示した酸化物超伝導体族(例えば、BSCCO2223(BSCCO(2.1)223を含む)又はBSCCO族のBSCCO2212)の一員である。「前駆物質」は、適切な熱処理が加えられると酸化物超伝導体に変換できる材料を意味する。前駆物質は、エレメント、金属塩、酸化物、亜酸化物、所望する酸化物超伝導体への中間物である酸化物超伝導体、又は所望する酸化物超伝導体の安定フィールドで反応するときにその超伝導体を生ずる他の化合物のいかなる組み合わせも含む。例えば、酸化物超伝導体のYBCO族に対しては銅、イットリウム、及びバリウムのエレメント、塩類、又は酸化物;酸化物超伝導体のBSCCO族に対しては銅、ビスマス、ストロンチウム、及びカルシウム、並びに任意に鉛のエレメント又は酸化物;酸化物超伝導体のタリウム(TBSCCO)族に対しては銅、タリウム、カルシウム、及びバリウム又はストロンチウム、並びに任意にビスマス及び鉛のエレメント、塩類、又は酸化物;酸化物超伝導体の水銀(HBSCCO)族に対しては銅、水銀、カルシウム、バリウム、又はストロンチウム、並びに任意にビスマス及び鉛のエレメント、塩類、又は酸化物を含む。酸化物超伝導体のYBCO族は、バリウム、銅、及びイットリウム、ランタン、ネオジウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから成るグループから選択された希土類から成るタイプの全ての酸化物超伝導体を含むと考えられる。「所望する酸化物超伝導体への酸化物超伝導体中間物」は、所望する酸化物超伝導体に変換できる酸化物超伝導体を意味する。中間物の形成は、所望する酸化物超伝導体が同様には有しない望ましい処理特性(例えば、テクスチャリングに従う雲母構造)を利用するために所望される。前駆物質は、酸化物超伝導体を形成するのに十分な量だけ含まれる。いくつかの実施例では、前駆物質の粉末が実質的に化学量に比例して供給される。他の実施例では、前駆物質の化学量的に過剰な又は不足分が、所望する超伝導複合材を形成するのに使用される処理条件に適応するために存在する。この目的のために、特定の前駆物質の過剰分又は不足分が、所望する酸化物超伝導体の理想的な陽イオン化学量と比較することにより定められる。割合におけるタリエーション(thalliation)((上記の任意の材料を含むが限定されない)ドーピング材料の添加)変化、及び当該技術分野で既知の所望する酸化物超伝導体の前駆物質における他の変化も、本発明の範囲及び精神に含まれる。
【0031】
超伝導体(BSCCO2223及び(2.1)223)のBSCCO族の一員の3層の高Tc相(例えば、Bi2Sr2Ca2Cu3x又は[Bi1-yPby2Sr2Ca2Cu3x(0<y<0.5))は、本発明の実施のために最も望ましい所望する酸化物超伝導体である。BSCCO2223を含む複合材は、十分にテクスチャリングされたときの長い長さにおける優れた機械的及び電気的性能に対する潜在能力を示した。Bi2Sr2Ca1Cu2x及び[Bi1-yPby2Sr2Ca1Cu2x(BSCCO2212)も、本発明の実施のために望ましい材料である。
【0032】
本発明によると、複合材は電流を制限する機能及び回復機能を示すと仮定される。図1A〜図1Cは、本発明による(回復機能も示す)典型的な電流を制限する複合材を図示する。
【0033】
例えば、図1Aは、少なくとも1つの酸化物超伝導材料52(例えば、BSCCO2212、BSCCO2223、希土類−BCOのような高温酸化物超伝導体)及び酸化物超伝導体52より小さい導電性を有する第2の導電材料を含む超伝導複合材50を示す。この実施例では、前記第2の導電材料は、少なくとも1つの酸化物超伝導材料52を実質的に囲むマトリックス材料54(例えば、銀合金、銅合金、又はニッケル合金のような金属合金)である。いくつかの実施例では、マトリックス材料54は酸化物超伝導材料52と接触する。マトリックス材料54は、ガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、及びアンチモンから成るグループから選択された少なくとも1つの他のエレメントを含むことが好ましい。
【0034】
図1Bは、本発明による電流を制限する複合材の他の実施例を示す。複合材60は、酸化物超伝導体52(例えば、BSCCO2212、BSCCO2223、希土類−BCOのような高温酸化物超伝導体)及び酸化物超伝導体52より小さい導電性を有する第2の導電材料を含む。この実施例では、前記第2の導電材料は、少なくとも1つの酸化物超伝導材料52を実質的に囲むマトリックス材料54(例えば、銀合金、銅合金、又はニッケル合金のような金属合金)を含む。いくつかの実施例では、マトリックス材料54は酸化物超伝導材料52と接触する。マトリックス材料54は、ガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、及びアンチモンから成るグループから選択された少なくとも1つの他のエレメントを含むことが好ましい。
【0035】
加えて、前記第2の導電材料は、マトリックス材料54に熱的に接続される少なくとも1つの接合剤56を含む。また、前記第2の導電材料は、前記接合剤に熱的に接続される熱安定素子58を任意に含む。
【0036】
限定はされないが、典型的な接合剤は半田(例えば、50−50重量%のインジウム−鉛、60重量%のビスマス、40重量%の鉛又はビスマス-錫)、接着剤(エポキシ、ウレタン、及び同様のもの)、熱可塑性樹脂、及び同様のものを含む。熱安定素子58は、例えば、ステンレス鋼、(少なくとも3重量%のチタニウム、及び0−5重量%のケイ素を有する)銅合金、ニッケル合金、又は鉄合金から形成される。
【0037】
図1A及び図1Bに各々示される複合材50、60は、モノフィラメント(PIT)複合材又は被覆された導体として形成できる。また、本発明は、マルチフィラメントpowder-in-tube(PIT)及び多層の実施例を含む。例えば、図1Cは、図1Aに類似した複合材70を図示するが、酸化物超伝導体52及び接合剤56の追加のフィラメントを含む。
【0038】
図1A〜Cに図示される実施例は、電流を制限する機能、及び場合によっては、障害電流事象から速やかに回復する機能を提供する。電流を制限する機能は、高い電圧傾度(例えば、0.05〜0.5V/cm)を動作電流(Iop)の3〜10倍において必要とする。動作電流(Iop)は定常状態における電流であり、公称の動作条件であり、一般にDC用途では約1μV/cmより小さい関連する電圧傾度を有し、AC用途では約1mW/A−mより小さい関連する電圧傾度を有する。一般的な障害電流を制限するアプリケーションでは、複合材の臨界電流は正常な変動を考慮して公称の動作電流より高い値を有するように選択されるが、本発明の電流を制限する特徴を起動することなく危険なレベルの電流がシステムを流れることを可能にするほど高い値ではない。
【0039】
障害が発生したとき、大きな電圧が装置の両端にかけられ、電流が定常状態の動作電流より遙かに大きな値まで急増する。超伝導体中の電流がIcを越えるまで増加するとき、酸化物超伝導体の抵抗は劇的に増加し、それにより電流が流れる量を障害に応答して制限する。複合材の与えられた長さに対して発生する電流を制限する量は、単位長さあたりの全体的な実効抵抗に依存する。超伝導体と並列なマトリックス抵抗が低抵抗経路を障害電流に対して提供せず、複合材の単位長さあたりの大きな抵抗を障害電流に対して維持することを保証するために、十分に高い抵抗率がマトリックスに対して要求される。従って、本発明による複合材の一般的特性は、次のように定められる。
【数1】

ここで、Pcompositeは複合材の抵抗率、Acompositeは複合材の断面積である。
【0040】
所望する瞬時の回復を達成するために、障害の終わりにおける超伝導体の温度は、その臨界温度より低くなければならない。この制限は、超伝導体を熱的に安定させるために複合材中の高い熱容量の材料を必要とし、抵抗加熱は超伝導体が高すぎる温度に達する原因とはならないであろう。高い熱容量の材料が複合材の第2の導電部材の一部又は全部を形成することが好ましい。
【0041】
本発明で使用するのに適切な高い熱容量の材料は、(限定はされないが)ステンレス鋼ベース、銅ベース、鉄ベース、及びニッケルベースの合金を含む。適切な材料に対する熱容量は、次の式により与えられる。
【数2】

ここで、Cpは複合材に対する平均比熱(J/K−g)、densityは複合材に対する平均密度(g/cm3)、Tcは超伝導体の臨界温度(K)(即ち、その温度より下で超伝導体は超伝導特性を示す)、Topは複合材の定常状態動作温度(K)、ρelは電流に依存する複合材の平均抵抗率(μΩ−cm)(障害事象の持続時間にわたって平均される)、Vは複合材に沿う電圧傾度(V/cm)、及びtは障害の時間(即ち、持続時間)である。
【0042】
上記の熱容量基準に加えて、使用される電流リミッタは、いったん障害がクリアされたら、定常状態動作電流により生成された熱を周囲に移すことが出来なければならない。この要求は、複合材の表面における熱流束への制約として次のように表すことが出来る。
【数3】



ここで、Jopは動作電流密度(A/cm2)、ρ*elは障害事象の終わりにおける電流に依存する複合材の平均抵抗率(Ω−cm)(これは一般にピーク抵抗率である)、hは有効熱伝達係数(A2−Ω/K−cm2)であり、Tc及びTopは上記で定められ、αは熱伝達面積と複合材の体積の比率を反映する形状因子(1/cm)である。例えば、矩形断面の導体(w×d)が4つの辺全てにおいて冷却されるとき、形状因子は約2(w+d)/(w×d)であり、1辺において冷却される同じ導体に対しては、形状因子は約1/dである。第1原理からの形状因子及び有効熱伝達係数の計算は不正確であること、及びこれらの因子は経験的に更に便利に決定されることが多いことを当業者は認識するであろう。
【0043】
所望する、電流を制限する機能及び回復機能を同時に達成するために、本発明による複合材は、第2の導電材料の(例えば、3μΩ−cmより大きい)高い電気抵抗率、及び高い熱容量(>1〜2J/cm3K)を有することが好ましい。上記の基準をベースにして、所望する、電流を制限する機能及び回復機能を同時に達成するために、複合材の面積と体積の間に最適のバランスが存在することを当業者は認めるであろう。いくつかの実施例では、小さい面積と大きな体積が望ましい。
【実施例】
【0044】
実施例1−高いマトリックス抵抗率を有する超伝導複合材
(Ag含有量に対して)約10〜13重量%のGaが、銀被覆の中のBSCCOフィラメントから成る超伝導テープの表面に、電気メッキ技術及びリール−リール電気メッキラインを使用して付着された。電解質は、1リットルの5MのNaOHあたり67gのGa23から成る。メッキの後、Gaは被覆の内部に拡散され、高抵抗のAg−Ga固溶体合金を作る。代表的な「立証」サンプルがメッキされた複合材の長い長さから切り取られ、拡散プロセスをモニタするために使用された。立証サンプルは、拡散プロセスの間、4点プローブ測定を使用して被覆抵抗を連続的に測定することを可能にした。立証サンプル及び長い長さのコイルが、対流加熱炉の中に配置された。前記加熱炉は10度/分の割合で空気中で425度まで加熱され、立証サンプルの抵抗が9.62μΩ/cmの値に達するまでこの温度にとどまることを許容された。いったんこの値が達成されたら、加熱炉は室温まで速やかに冷却された。冷却の後、テープの抵抗は6.6μΩ/cmであることがわかった。加熱炉をいつ停止させるか決定するために使用される425度における抵抗値は、所望する室温抵抗(この場合は6.6μΩ/cm)を達成するために経験的に又は理論的に確立される。
【0045】
拡散プロセスの後、ガリウム酸化物皮膜がテープの表面に存在した。この酸化物層は、以下に記載されるような次の積層プロセスの前に、90g/lのフッ化アンモニウムを含む50%の硝酸溶液を使用して化学的に除去された。エッチング溶液は48度まで加熱され、拡散されたテープは、リール−リールエッチングラインを使用して、(5秒の残留時間を維持しながら)前記溶液に通された。いったんテープがガリウム酸化物層を化学的に取り除かれたら、テープは積層プロセスの間に容易に半田付けされた。
【0046】
積層プロセスは、機械的及び熱的安定の両方をストランドに提供するために使用された。リール−リールプロセス機械及び流動半田付けポットを使用して、ガリウム後処理された電線が、ステンレス鋼安定板に50/50鉛−インジウム半田を使用して接着された。
【0047】
実施例2−熱的に安定化された電流を制限する複合材
名目上は純粋な銀被覆、BSCCO−2223超伝導体フィラメント、2.5mmの公称幅、及び0.11mmの公称厚さを有するHTSモノフィラメント導体が、ガリウムで電気メッキされて、6.1重量%ガリウムの最終平均成分を銀の中に提供した。導体はMgO粒子のスラリで被覆され、MgO粒子は乾燥することを許容され、粒子の微細コーティングを表面に残した。次にガリウムは、被覆されたモノフィラメントを450度まで4時間だけ加熱することにより、銀の内部に拡散することを許容された。
【0048】
結果として出来た導体は、77Kで公称3μΩ−cmの被覆抵抗率を、及び77Kで16Aの公称DC臨界電流を1μV/cmの自己電場中で有した。次に、ステンレス鋼部材(公称2.0mm幅、及び0.1mm厚さ)が、公称100mm長さのサンプルの各表面に半田付けされた。次に、熱伝導グリースが、2つの銅部材(厚さ約0.5mm)の間に挟まれるこの構造に添加された。
【0049】
上記の熱的に安定化されたサンプルの電場応答が、最大約35Aの電流パルスを印加する間に測定された。これらの測定は66〜95Kの間の6つの温度で行われ、結果データは図2にプロットされ、高電流に対して高抵抗を示す。77Kにおいて、1×10-6V/cm(lμV/cm)の消失に対応する臨界電流Icは16Aであることがわかる。3×Ic(48A)の電流に対して、電場は約0.03V/cmであり、10×Ic(160A)において、電場は約0.1V/cmである。
【0050】
図3は、本発明による他の複合材導体の1m区画の電流及び電圧記録を示す。前記複合材導体は約16〜18Aの臨界DC電流を有し、複合材導体の厚さの約10倍の2つのステンレス鋼テープの間に高抵抗率の半田によって挟まれた。電流及び電圧は、持続時間150ミリ秒の障害事象の前、間、及び後に測定された。通常の特性が障害の後に素早く回復したことがわかるであろう。
【0051】
図3は、本発明による複合材が、定常状態電流Iopで障害の直後に熱暴走(Tcより上の温度までの加熱)なしに機能できることを示す。障害事象の後、複合材の両端の実効電圧は低い電圧までゆっくりと減衰することがわかり、温度に対して十分な熱伝達が存在し、定常状態の値まで増加することを示す。
【0052】
更に、長さ80mまでのテープの測定は、本発明による電流リミッタの早い回復の可能性を確認した。速やかな回復は約250ミリ秒までの故障に対して観測され、速やかな回復が約500ミリ秒、約1000ミリ秒、又は数秒の長さの故障に対してさえ、本発明によって達成されることを予期した。
【0053】
本発明の他の実施例は、ここに記載した本発明の明細書及び実施例を考慮することにより当業者には明らかである。明細書及び実施例は単なる例示に過ぎず、本発明の本当の範囲及び精神は請求項により示すことを意図する。
【符号の説明】
【0054】
50、60、70 複合材
52 酸化物超伝導体
54 マトリックス材料
56 接合剤
58 熱安定素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を制限する細長い複合材であって、
少なくとも1つの酸化物超伝導部材、及び
前記少なくとも1つの酸化物超伝導部材を実質的に囲む少なくとも1つの第2の導電部材から成り、
前記複合材が約0.05〜0.5V/cmの範囲の電場を障害電流を制限する事象の間に示し、障害電流を制限する事象は動作電流の約3〜10倍を前記複合材を通過させることから成り、前記動作電流が少なくとも1つの酸化物超伝導部材の臨界温度より低い選択された動作温度において前記酸化物超伝導体の臨界電流以下及び前記酸化物超伝導体の臨界電流の2分の1以上であるように選択されることを特徴とする複合材。
【請求項2】
前記第2の導電部材が銀を含有するマトリックスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合材。
【請求項3】
前記銀を含有するマトリックスが、ガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、及びアンチモンから成るグループから選択される少なくとも1つのエレメントを更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の複合材。
【請求項4】
前記第2の導電部材が、前記マトリックスに熱的に接続された少なくとも1つの接合剤を更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の複合材。
【請求項5】
前記第2の導電部材が、前記少なくとも1つの接合剤に熱的に接続された少なくとも1つの熱安定素子を更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の複合材。
【請求項6】
前記少なくとも1つの熱安定素子がステンレス鋼から成ることを特徴とする、請求項5に記載の複合材。
【請求項7】
前記接合剤が接着剤又は半田から成ることを特徴とする、請求項6に記載の複合材。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱安定素子が、少なくとも3重量%のチタニウム及び0〜5重量%のケイ素を含む銅合金から成ることを特徴とする、請求項5に記載の複合材。
【請求項9】
前記接合剤が接着剤又は半田から成ることを特徴とする、請求項8に記載の複合材。
【請求項10】
前記複合材が電線の形状であることを特徴とする、請求項5に記載の複合材。
【請求項11】
前記複合材の熱容量は、前記複合材の温度が障害事象の間に前記少なくとも1つの酸化物超伝導部材の臨界温度より上に増加するのを阻止するのに十分であることを特徴とする、請求項1に記載の複合材。
【請求項12】
請求項11に記載の複合材であって、
【数1】

であり、
ここで、Cpは前記複合材に対する平均比熱、densityは前記複合材に対する平均密度、Tcは前記超伝導部材の臨界温度、Topは動作温度、ρelは電流に依存する前記複合材の平均抵抗率(持続時間の障害事象の持続時間tにわたって平均される)、Vは前記複合材に沿う電圧傾度であり、tは約50ミリ秒であることを特徴とする複合材。
【請求項13】
tが約150ミリ秒であることを特徴とする、請求項12に記載の複合材。
【請求項14】
tが約250ミリ秒であることを特徴とする、請求項12に記載の複合材。
【請求項15】
tが約500ミリ秒であることを特徴とする、請求項12に記載の複合材。
【請求項16】
tが約1000ミリ秒であることを特徴とする、請求項12に記載の複合材。
【請求項17】
tが約2000ミリ秒であることを特徴とする、請求項12に記載の複合材。
【請求項18】
十分な熱が前記複合材から散逸でき、動作電流を障害事象の後に伝えて前記複合材が前記動作温度まで冷却することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の複合材。
【請求項19】
請求項18に記載の複合材であって、
【数2】

であり、
ここで、Jopは動作電流密度、hは前記複合材の有効熱伝達係数、Tcは前記超伝導部材の臨界温度、Topは動作温度、αは前記複合材の形状因子、及びρ*elは50ミリ秒の持続時間の障害事象の終わりにおける前記複合材の電流に依存する平均抵抗率であることを特徴とする複合材。
【請求項20】
ρ*elが、150ミリ秒の持続時間の障害事象の終わりにおける前記複合材の電流に依存する平均抵抗率であることを特徴とする、請求項19に記載の複合材。
【請求項21】
ρ*elが、250ミリ秒の持続時間の障害事象の終わりにおける前記複合材の電流に依存する平均抵抗率であることを特徴とする、請求項19に記載の複合材。
【請求項22】
ρ*elが、500ミリ秒の持続時間の障害事象の終わりにおける前記複合材の電流に依存する平均抵抗率であることを特徴とする、請求項19に記載の複合材。
【請求項23】
ρ*elが、1000ミリ秒の持続時間の障害事象の終わりにおける前記複合材の電流に依存する平均抵抗率であることを特徴とする、請求項19に記載の複合材。
【請求項24】
ρ*elが、2000ミリ秒の持続時間の障害事象の終わりにおける前記複合材の電流に依存する平均抵抗率であることを特徴とする、請求項19に記載の複合材。
【請求項25】
前記複合材の熱容量は、前記複合材の温度が障害事象の間に前記少なくとも1つの酸化物超伝導部材の臨界温度より上に増加するのを阻止するのに十分であり、十分な熱が前記複合材から散逸でき、動作電流を障害事象の後に伝えて前記複合材が前記動作温度まで冷却することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の複合材。
【請求項26】
請求項25に記載の複合材であって、
【数3】

であり、
及び
【数4】

であり、
ここで、Cpは前記複合材に対する平均比熱、densityは前記複合材に対する平均密度、Tcは前記超伝導部材の臨界温度、Topは動作温度、ρelは電流に依存する前記複合材の平均抵抗率(持続時間の障害事象の持続時間tにわたって平均される)、ρ*elは持続時間tの障害事象の終わりにおける前記複合材の電流に依存する平均抵抗率、Vは前記複合材に沿う電圧傾度、Jopは動作電流密度、hは前記複合材の有効熱伝達係数、αは前記複合材の形状因子、及びtは約50ミリ秒であることを特徴とする複合材。
【請求項27】
tが約150ミリ秒であることを特徴とする、請求項26に記載の複合材。
【請求項28】
tが約250ミリ秒であることを特徴とする、請求項26に記載の複合材。
【請求項29】
tが約500ミリ秒であることを特徴とする、請求項26に記載の複合材。
【請求項30】
tが約1000ミリ秒であることを特徴とする、請求項26に記載の複合材。
【請求項31】
tが約2000ミリ秒であることを特徴とする、請求項26に記載の複合材。
【請求項32】
電流を制限する変圧器であって、
複数の巻線から成り、少なくとも1つの前記巻線が前記巻線と電気的に直列な請求項1の前記複合材を含むことを特徴とする変圧器。
【請求項33】
前記複合材を前記酸化物超伝導体の臨界温度以下の動作温度に維持するための冷却手段を更に含むことを特徴とする、請求項32に記載の変圧器。
【請求項34】
電力伝達システムと直列に配置されるのに適した電流リミッタであって、
請求項1による電流を制限する複合材、及び
前記複合材を前記複合材の臨界温度以下の動作温度に冷却するための冷却手段から成ることを特徴とする電流リミッタ。
【請求項35】
動作電流を伝える電力伝達システムの中での障害事象の間に電流を制限する方法であって、
超伝導複合材をシステムの内部にシステムの他の構成要素と直列に挿入することから成り、前記複合材が、
酸化物超伝導部材、及び
前記酸化物超伝導部材を実質的に囲む第2の導電部材から成り、
前記超伝導複合材は動作温度に維持され、障害が無い状態で1μV/cmより小さい電圧傾度で動作電流を伝え、前記動作電流が前記酸化物超伝導部材の臨界電流の少なくとも約半分であり、
前記システムが前記動作電流の約3〜10倍の電流を伝える障害が発生するとすぐ、超伝導複合材中の前記電圧傾度が0.05〜0.5V/cmの範囲になることを特徴とする方法。
【請求項36】
前記第2の導電部材が銀を含有するマトリックスから成ることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記銀を含有するマトリックスが、ガリウム、錫、カドミウム、亜鉛、インジウム、及びアンチモンから成るグループから選択された少なくとも1つの他のエレメントを更に含むことを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の導電部材が、前記マトリックスに熱的に接続された少なくとも1つの接合剤を更に含むことを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の導電部材が、少なくとも1つの接合剤に熱的に接続された少なくとも1つの熱安定素子を更に含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの熱安定素子がステンレス鋼から成ることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記接合剤が接着剤又は半田から成ることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの熱安定素子が、少なくとも3重量%のチタニウム及び0〜5重量%のケイ素を含む銅合金から成ることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記接合剤が接着剤又は半田から成ることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記複合材が電線の形状であることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
障害電流を制限する事象に続く前記少なくとも1つの酸化物超伝導体の温度が、前記少なくとも1つの酸化物超伝導体の臨界温度より小さくなるように前記第2の導電部材が形成されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記電力伝達システムが超伝導複合材と直列な遮断器を含み、前記遮断器が電流を障害事象に応答して遮断することを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
障害事象の始まりと遮断器による電流の遮断の間の時間が約50〜2000ミリ秒であることを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
障害事象の始まりと遮断器による電流の遮断の間の時間が約100〜1000ミリ秒であることを特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
障害事象の始まりと遮断器による電流の遮断の間の時間が約200〜500ミリ秒であることを特徴とする、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−139041(P2011−139041A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260404(P2010−260404)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【分割の表示】特願2000−607284(P2000−607284)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(500117059)アメリカン スーパーコンダクター コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】AMERICAN SUPERCONDUCTOR CORPORATION
【出願人】(501374460)エイビービー トランスミッション アンド ディストリビューション テクノロジーズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】