説明

電源システム及び照明システム

【課題】電源装置の小型化及び配線の簡素化を図ることができる電源システム及び該電源システムを備える照明システムを提供する。
【解決手段】制御部12は、通信部13を介して子機接続台数確認信号を他の電源装置へ送信する。制御部12は、他の電源装置が送信した子機接続台数応答信号を受信することにより、他の電源装置の数を検出する。制御部12は、受光部17で取得した所要の電流値に関する情報及び検出した他の電源装置の数に基づいて自身及び他の電源装置の出力電流が均等になるように算出する。通信部13は、算出した出力電流値に応じた電流制御信号を、出力端OUTを介して電源線に重畳させて他の電源装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電源装置の各出力端を並列接続した電源システム及び該電源システムを備える照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)を光源とする照明装置が様々な用途向けに開発されており、白熱電球や蛍光灯等の従来の光源を用いた照明装置に対する置換えが行われつつある。また、光源を所望の明るさに調整することができる調光機能を備えた照明装置が既に商品化されている。
【0003】
例えば、交流電源を整流する整流ブリッジ及び当該整流ブリッジで整流した電圧を用いた定電流回路を備える電源装置と、LEDモジュール部とを備えるLED照明器具が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方で、照明装置の設置場所の制限や薄型化などのため、照明装置に内蔵した電源装置を照明装置から分離して外部に設置する態様も増えつつある。また、同時に、多くの照明装置をまとめて設置する要望もあり、外部電源装置と照明装置とを1対1に対応させてシステムを構成する場合がある。また、他の例として、複数の照明装置を設置する場合、1つの外部電源から複数の照明装置へ電力を供給するシステムが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4370901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された電源装置を外部電源として用いて複数の照明装置に電力を供給する場合において、電源装置と照明装置とを1対1に対応させて設置するときは、電源装置と照明装置との間の配線が個々の電源装置と照明装置毎に必要となり、配線が複雑になるという問題がある。また、1つの外部電源装置で複数の照明装置へ電力を供給する場合には、電源装置の容量が増大し電源装置が大型化しコストアップになるという問題もある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電源装置の小型化及び配線の簡素化を図ることができる電源システム及び該電源システムを備える照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源システムは、複数の電源装置の各出力端を並列接続した電源システムにおいて、一の電源装置は、所要の電流値に関する情報を取得する取得部と、該取得部で取得した情報に基づいて出力電流を制御する電流制御部と、前記取得部で取得した情報に応じた電流制御信号を、前記出力端を介して電源線に重畳させて送信する送信部とを備え、他の電源装置は、出力端を介して前記電流制御信号を受信する受信部と、該受信部で受信した電流制御信号に応じて出力電流を制御する電流制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、複数の電源装置の各出力端を並列接続してあり、一の電源装置(例えば、親機)は、所要の電流値(例えば、複数の電源装置全体で供給する電流値の合計など)に関する情報を取得する取得部と、取得した情報に基づいて出力電流を制御する電流制御部と、取得した情報に応じた電流制御信号を、出力端を介して電源線に重畳させて送信する送信部とを備える。他の電源装置(例えば、子機)は、出力端を介して電流制御信号を受信する受信部と、受信部で受信した電流制御信号に応じて出力電流を制御する電流制御部とを備える。
【0010】
電源線に重畳させて送受信する電流制御信号は、例えば、周波数変調、あるいは振幅変調などの変調信号を所要の周波数(例えば、10MHzなど)の搬送波で行うことができる。一の電源装置は電源線を介して電流制御信号を他の電源装置へ送信するので、電流制御信号を送受信するための通信線が不要であり配線を簡素化することができる。また、複数の電源装置を備えるので、1つの電源装置で出力電流を供給する場合に比べて出力電流を分散して、個々の電源装置が供給する電流を少なくすることができ、電源装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。また、一の電源装置が他の電源装置へ電流制御信号を送信して他の電源装置の出力電流を制御するので、各電源装置で供給する電流を均一化することができる。
【0011】
本発明に係る電源システムは、前記一の電源装置は、並列接続された他の電源装置の数を検出する検出部と、前記取得部で取得した情報及び前記検出部で検出した数に基づいて他の電源装置の出力電流値を算出する算出部とを備え、前記送信部は、前記算出部で算出した出力電流値に応じた電流制御信号を送信するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、一の電源装置は、並列接続された他の電源装置の数を検出する検出部と、取得した情報及び検出した数に基づいて他の電源装置の出力電流値を算出する算出部とを備える。そして、送信部は、算出した出力電流値に応じた電流制御信号を送信する。例えば、所要の電流値(複数の電源装置全体で供給する電流値の合計など)をIとし、他の電源装置の数をnとすると、算出部は、出力電流値を{I/(n+1)}により算出する。これにより、一の電源装置及び他の電源装置は、それぞれ{I/(n+1)}で表される出力電流を供給することができ、各電源装置で供給する電流を均一化することができる。
【0013】
本発明に係る電源システムは、前記一の電源装置は、調光信号を取得する調光信号取得部を備え、前記算出部は、前記調光信号取得部で取得した調光信号に応じて他の電源装置の出力電流値を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、一の電源装置は、調光信号を取得する調光信号取得部を備え、算出部は、取得した調光信号に応じて他の電源装置の出力電流値を算出する。例えば、所要の電流値(複数の電源装置全体で供給する電流値の合計など)をIとし、他の電源装置の数をnとし、調光信号が示す調光度を70%とすると、算出部は、出力電流値を{0.7×I/(n+1)}により算出する。これにより、一の電源装置及び他の電源装置は、それぞれ{0.7×I/(n+1)}で表される出力電流を供給することができ、各電源装置で供給する電流を均一に調光することができる。
【0015】
本発明に係る電源システムは、各電源装置は、ダイオードとコイルとの直列回路を出力端に直列に接続してあり、前記出力端と前記送信部又は受信部との間にコンデンサを介装してあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、各電源装置は、ダイオードとコイルとの直列回路を出力端に直列に接続してあり、出力端と送信部又は受信部との間にコンデンサを介装してある。電流制御部から出力される電流は、コイル及びダイオードを通って照明装置などの負荷へ供給されるとともに、他の電源装置に設けられたダイオードにより電流の逆流を防止することができる。また、コイルは、電源装置の出力側を高インピーダンス化するので、電源線に重畳させて送受信される電流制御信号が電流制御部へ流入することを阻止する。また、出力端と送信部又は受信部との間に介装されたコンデンサは、出力電流を阻止するとともに電流制御信号を透過させる。これにより、電流制御信号を電源線に重畳させて各電源装置間で送受信することができる。
【0017】
本発明に係る照明システムは、前述の発明のいずれか1つに係る電源システムと、光源を有する複数の照明装置とを備え、各照明装置を前記出力端に接続してあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、電源システムと、光源を有する複数の照明装置とを備え、各照明装置を出力端に接続してある。これにより、各照明装置へ均一な電流を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電流制御信号を送受信するための通信線が不要であり配線を簡素化することができる。また、複数の電源装置を備えるので、1つの電源装置で出力電流を供給する場合に比べて出力電流を分散して、個々の電源装置が供給する電流を少なくすることができ、電源装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。また、一の電源装置が他の電源装置へ電流制御信号を送信して他の電源装置の出力電流を制御するので、各電源装置で供給する電流を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態の照明システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の電源装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態の電源システムによる電流制御の一例を示す説明図である。
【図4】親機としての電源装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】親機としての電源装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】子機としての電源装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の照明システムの構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の照明システムは、一の電源装置100(以下、親機とも称する)及び1又は複数の他の電源装置110(以下、子機とも称する)を備える電源システムと、複数の照明装置201、202、203とを備える。なお、図1の例では、3つの電源装置100、110と3つの照明装置201〜203を備える構成であるが、電源装置及び照明装置の数は図1の例に限定されない。
【0022】
各電源装置100、110は、電源線3を介して商用電源2から交流電圧(例えば、AC100V、AC200Vなど)が印加される。また、一の電源装置100は、通信線4を介して調光コントローラ1から調光信号を取得する。調光コントローラ1は、例えば、操作用のダイヤル又はスイッチなどを備え、使用者が好みの調光度に設定することができる。調光信号は、アナログ信号でもよく、あるいはPWMなどのデジタル信号でもよい。また、通信線4を介さずに赤外線などの光通信又は無線により調光信号を送出することもできる。
【0023】
各電源装置100、110の正側の直流電圧(出力電流)が出力される出力端OUTは、電源線5を介してお互いに接続してあり、接地側の出力端GNDも、電源線5を介してお互いに接続されている。これにより、各電源装置100、110の各出力端は並列接続されている。また、各照明装置201〜203は、並列に接続された各電源装置100、110の出力端に電源線5を介して接続してある。
【0024】
図2は本実施の形態の電源装置100の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の親機としての電源装置100は、交流電圧を所定の直流電圧に変換する定電圧回路10、出力電流を制御する電流制御部11、電源装置100全体の動作を制御する制御部12、電流制御信号を送受信するための通信部13、コイル14、ダイオード15、コンデンサ16、リモコン(不図示)からの光信号を受光する受光部17、調光コントローラ1からの調光信号を取得する入力部18などを備える。また、電流制御部11は、抵抗111、トランジスタ112、DAコンバータ113などを備える。
【0025】
受光部17は、所要の電流値(例えば、システムとして必要な電流容量であり、各電源装置からなる電源システム全体で照明装置201〜203へ供給する電流値の合計など)に関する情報をリモコン(不図示)から取得する取得部としての機能を有する。受光部17は、取得した情報を制御部12へ出力する。なお、受光部17を備える代わりに、電源装置100の内部にディップスイッチ等を設けておき、スイッチの切り替えに応じて所要の電流値を設定することもできる。
【0026】
入力部18は、調光コントローラ1から調光信号を取得する調光信号取得部としての機能を有する。入力部18は、取得した調光信号を制御部12へ出力する。調光信号には、調光度に関する情報が含まれ、例えば、0〜100%の範囲の調光度とすることができる。
【0027】
制御部12は、内部にROMなどの記憶部を備え、自身が親機であることを示す情報を設定してある。制御部12は、電源オンの際に行われるパワーオンリセットにより自身が親機に設定されているか否かを判定する。
【0028】
制御部12は、並列接続された他の電源装置110の数(子機の接続台数)を検出する検出部としての機能を有する。より具体的には、制御部12は、通信部13を介して子機接続台数確認信号を他の電源装置110へ送信する。そして、制御部12は、他の電源装置110が送信した子機接続台数応答信号を、通信部13を介して受信する。制御部12は、受信した子機接続台数応答信号の数により他の電源装置110の数(子機の接続台数)を検出することができる。
【0029】
制御部12は、受光部17で取得した所要の電流値に関する情報及び検出した他の電源装置110の数に基づいて他の電源装置110の出力電流値を算出する算出部としての機能を有する。例えば、所要の電流値をIとし、他の電源装置の数をnとすると、制御部12は、各電源装置100、110の出力電流値を{I/(n+1)}により算出する。これにより、一の電源装置100及び他の電源装置110は、それぞれ{I/(n+1)}で表される出力電流を供給することができ、各電源装置100、110で供給する電流を均一化することができる。
【0030】
制御部12は、調光信号を受信した場合、調光度に応じて他の電源装置110の出力電流値を算出する。例えば、所要の電流値(複数の電源装置全体で供給する電流値の合計など)をIとし、他の電源装置の数をnとし、調光信号が示す調光度を70%とすると、制御部12は、各電源装置100、110の出力電流値を{0.7×I/(n+1)}により算出する。これにより、一の電源装置100及び他の電源装置110は、それぞれ{0.7×I/(n+1)}で表される出力電流を供給することができ、各電源装置100、110で供給する電流を均一に調光することができる。
【0031】
制御部12は、算出した出力電流値に応じたデジタル値を電流制御部11のDAコンバータ113、及び通信部13へ出力する。
【0032】
電流制御部11は、出力電流を制御する電流制御部としての機能を有する。DAコンバータ113は、制御部12から出力されたデジタル値をアナログ値に変換し、変換したアナログ値に応じた電圧が、抵抗111両端の電圧と及びトランジスタ112のエミッタ・ベース間の電圧の合計の電圧になるようにトランジスタ112のベースにバイアス電圧を印加し、トランジスタのエミッタ・コレクタ間の抵抗を変化させてトランジスタ112に流れる電流、すなわち出力電流を調整する。
【0033】
通信部13は、後述の電流制御信号、あるいは前述の子機接続台数確認信号を、出力端OUTを介して電源線5に重畳させて他の電源装置110へ送信する送信部としての機能を有する。このことにより、他の電源装置110は、親機である電源装置100で算出した出力電流値に対応する電流制御信号を取得することができる。通信部13は、制御部12から出力された出力電流値に応じたデジタル値を電流制御信号に変換し、変換した電流制御信号を電源線5に重畳させて送信する。
【0034】
通信部13は、制御部12から出力された子機接続台数確認信号を電源線5に重畳させて送信する。また、通信部13は、他の電源装置110から送信された子機接続台数応答信号を受信する。
【0035】
電源線5に重畳させて送信する電流制御信号、あるいは子機接続台数確認信号は、例えば、周波数変調、あるいは振幅変調などの変調信号を所要の周波数(例えば、10MHzなど)の搬送波で行うことができる。電源装置100は電源線5を介して電流制御信号を他の電源装置110へ送信するので、電流制御信号を送信するための通信線が不要であり配線を簡素化することができる。
【0036】
また、トランジスタ112のコレクタと出力端OUTとの間には、ダイオード15とコイル14との直列回路を介装(出力端OUTに直列に接続)してある。また、出力端OUTと通信部13の出力側との間にコンデンサ16を介装してある。電流制御部11(トランジスタ112)から出力される電流は、コイル14及びダイオード15を通って照明装置などの負荷へ供給されるが、コンデンサ16により通信部13へ流れることが阻止される。また、通信部13から出力される高周波(例えば、10MHz程度)である電流制御信号は、コイル14が高インピーダンス化するので電流制御部11へ流れることが阻止される。
【0037】
子機としての電源装置110の構成は、受光部17、入力部18を具備しない点を除いて図2に示す親機としての電源装置100の構成と同様である。
【0038】
次に、子機としての電源装置110について説明する。電源装置110の通信部13は、親機である電源装置100が送信した電流制御信号又は子機接続台数確認信号を、出力端OUTを介して受信する受信部としての機能を有する。通信部13は、受信した電流制御信号又は子機接続台数確認信号を制御部12へ出力する。また、通信部13は、子機接続台数応答信号を電源線5に重畳させて親機である電源装置100へ送信する。
【0039】
子機としての電源装置110の制御部12は、内部にROMなどの記憶部を備え、自身が子機であることを示す情報を設定してある。制御部12は、電源オンの際に行われるパワーオンリセットにより自身が子機に設定されているか否かを判定する。
【0040】
子機としての電源装置110の制御部12は、子機接続台数確認信号を受信した場合、電源装置110自身が親機の電源装置100と並列に接続されていることを示すために子機接続台数応答信号を通信部13へ出力する。
【0041】
また、子機としての電源装置110の制御部12は、通信部13で受信した電流制御信号に応じたデジタル値を電流制御部11(DAコンバータ113)へ出力する。電流制御部11の機能は、親機の電源装置100と同様である。
【0042】
図3は本実施の形態の電源システムによる電流制御の一例を示す説明図である。図3に示すように、親機としての電源装置100及び複数の子機としての電源装置110の各出力端OUTを電源線5により並列に接続してあり、複数の照明装置201〜203を電源線5に接続してある。各照明装置201〜203は、例えば、光源としてのLED50を複数直列に接続した直列LED群を複数並列に接続した構成をなしている。また、各照明装置201〜203の入力側にはコイル51を介装してある。
【0043】
電源オンなどの際に、親機である電源装置100は、子機の台数を検出するために電源線5を介して子機接続台数確認信号を子機である他の電源装置110へ送信する。子機である他の電源装置110は、電源線5を介して子機接続台数応答信号を親機である電源装置100へ送信する。
【0044】
親機である電源装置100は、各電源装置100、110の出力電流を等しくするために、電源線5を介して電流制御信号を子機である他の電源装置110へ送信する。
【0045】
そして、各電源装置100、110は、お互いに等しい出力電流を照明装置201〜203へ供給する。例えば、照明システム全体として5.4Aの電流供給が必要であるとした場合、図3に示すように3台の電源装置が並列接続されているときは、親機に対してシステムとして必要な電流が5.4Aであることを設定しさえすれば、各電源装置100、110が出力する出力電流は均等になるように、それぞれ1.8Aに設定される。
【0046】
また、複数の電源装置100、110を備えるので、1つの電源装置で出力電流を供給する場合に比べて出力電流を分散して、個々の電源装置が供給する電流を少なくすることができ、電源装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。また、一の電源装置が他の電源装置へ電流制御信号を送信して他の電源装置の出力電流を制御するので、各電源装置で供給する電流を均一化することができる。
【0047】
また、図3に示すように、親機である電源装置100の出力電流は、子機である電源装置110のダイオード15により阻止されるので、親機から出力電流が子機へ逆流すること防止できる。他の電源装置110も同様である。
【0048】
また、各電源装置100、110は、ダイオード15とコイル14との直列回路を出力端OUTに直列に接続してあり、出力端OUTと通信部13との間にコンデンサ16を介装してある。電流制御部11から出力される電流は、コイル14及びダイオード15を通って照明装置などの負荷へ供給される。コイル14は、電源装置100、110の出力側を高インピーダンス化するので、電源線5に重畳させて送受信される電流制御信号が電流制御部11へ流入することを阻止する。また、出力端OUTと通信部13との間に介装されたコンデンサ16は、出力電流を阻止するとともに電流制御信号を透過させる。これにより、電流制御信号を電源線5に重畳させて各電源装置間で送受信することができる。
【0049】
各照明装置201〜203の入力側に介装したコイル51は、各電源装置100、110間で送受信される電流制御信号などの高周波信号がLED50に流れないように阻止するものであるが、電流制御信号の周波数帯あるいは電力などに応じてLED50の動作に影響がなければコイル51を省略することもできる。
【0050】
次に、本実施の形態の電源システムの動作について説明する。図4及び図5は親機としての電源装置100の処理手順を示すフローチャートである。制御部12は、電源オンがなされたか否かを判定し(S11)、電源オンがなされていない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続ける。
【0051】
電源オンがなされた場合(S11でYES)、制御部12は、自身が親機設定であるか否かを判定し(S12)、親機設定ではない場合(S12でNO)、処理を終了する。親機設定である場合(S12でYES)、制御部12は、システム電流値に関する情報を取得する(S13)。システム電流値に関する情報は、受光部17を介して取得してもよく、ディップスイッチの設定から取得してもよい。
【0052】
制御部12は、子機接続台数確認信号を送信し(S14)、子機接続台数応答信号を受信したか否かを判定し(S15)、受信していない場合(S15でNO)、ステップS15の処理を続ける。
【0053】
子機接続台数応答信号を受信した場合(S15でYES)、制御部12は、受信した子機接続台数応答信号の数により子機接続台数を検出し(S16)、各子機の出力電流を算出する(S17)。なお、各子機の出力電流と自身(親機)の出力電流は同等になるように出力電流を算出する。例えば、システム電流値をIとし、子機の台数をnとすると、制御部12は、自身及び各子機の出力電流値を{I/(n+1)}により算出する。
【0054】
制御部12は、算出した出力電流に応じた電流制御信号を各子機へ送信し(S18)、自身(親機)の電流を出力する(S19)。このとき、例えば、トランジスタ112をオフからオンにする。
【0055】
制御部12は、入力部18から調光信号を受信したか否かを判定し(S20)、調光信号を受信した場合(S20でYES)、調光信号に基づいてシステム電流値を算出する(S21)。例えば、当初取得したシステム電流値をIとし(調光度100%に相当する)、調光信号による調光度を70%とすると、システム電流値IcをIc=0.7×Iにより算出する。
【0056】
制御部12は、調光信号に応じて各子機の出力電流を算出する(S22)。この場合も、各子機の出力電流と自身(親機)の出力電流は同等になるように出力電流を算出する。例えば、システム電流値をIcとし、子機の台数をnとすると、制御部12は、自身及び各子機の出力電流値を{Ic/(n+1)}により算出する。
【0057】
制御部12は、算出した出力電流に応じた電流制御信号を各子機へ送信し(S23)、自身(親機)の電流を出力する(S24)。この場合、出力電流は調光信号を受信する前の電流値の70%となる。調光信号を受信していない場合(S20でNO)、制御部12は、ステップS21〜S24の処理を行わずに後述のステップS25の処理を行う。
【0058】
制御部12は、電源オフがなされた否かを判定し(S25)、電源オフがなされていない場合(S25でNO)、ステップS20以降の処理を行い、電源オフがなされた場合(S25でYES)、処理を終了する。
【0059】
図6は子機としての電源装置110の処理手順を示すフローチャートである。制御部12は、電源オンがなされたか否かを判定し(S31)、電源オンがなされていない場合(S31でNO)、ステップS31の処理を続ける。
【0060】
電源オンがなされた場合(S31でYES)、制御部12は、自身が子機設定であるか否かを判定し(S32)、子機設定ではない場合(S32でNO)、処理を終了する。子機設定である場合(S32でYES)、制御部12は、子機接続台数確認信号を受信したか否かを判定する(S33)。
【0061】
子機接続台数確認信号を受信していない場合(S33でNO)、制御部12は、ステップS33の処理を続ける。子機接続台数確認信号を受信した場合(S33でYES)、制御部12は、子機接続台数応答信号を送信する(S34)。
【0062】
制御部12は、電流制御信号を受信したか否かを判定し(S35)、受信していない場合(S35でNO)、ステップS35の処理を続ける。電流制御信号を受信した場合(S35でYES)、制御部12は、受信した電流制御信号に応じた自身(子機)の電流を出力する(S36)。このとき、例えば、トランジスタ112をオフからオンにする。
【0063】
制御部12は、電源オフがなされた否かを判定し(S37)、電源オフがなされていない場合(S37でNO)、ステップS35以降の処理を行い、電源オフがなされた場合(S37でYES)、処理を終了する。
【0064】
上述のとおり、本実施の形態によれば、照明システムを構成する上で必要な複数の照明装置と複数の電源装置との接続が簡単になる。また、照明システムを設置した後も、親機から子機へ電流制御信号が電源線を介して送信されるので、各電源装置の出力電流を均等にしつつ容易に変更することができ、設置後の照明装置の明るさを微調整することも可能となる。さらに、調光機能を使用する場合でも、複数の照明装置に対する調光動作が容易に実現できるとともに各照明装置を均等に調光することができる。
【0065】
上述の実施の形態では、LEDを光源として用いる例を説明したが、LEDに限定されず、EL(Electro-Luminescence)等の他の光源を用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
5 電源線
10 定電圧回路
11 電流制御部
12 制御部(検出部、算出部)
13 通信部(送信部、受信部)
14 コイル
15 ダイオード
16 コンデンサ
17 受光部(取得部)
18 入力部(調光信号取得部)
50 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源装置の各出力端を並列接続した電源システムにおいて、
一の電源装置は、
所要の電流値に関する情報を取得する取得部と、
該取得部で取得した情報に基づいて出力電流を制御する電流制御部と、
前記取得部で取得した情報に応じた電流制御信号を、前記出力端を介して電源線に重畳させて送信する送信部と
を備え、
他の電源装置は、
出力端を介して前記電流制御信号を受信する受信部と、
該受信部で受信した電流制御信号に応じて出力電流を制御する電流制御部と
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記一の電源装置は、
並列接続された他の電源装置の数を検出する検出部と、
前記取得部で取得した情報及び前記検出部で検出した数に基づいて他の電源装置の出力電流値を算出する算出部と
を備え、
前記送信部は、
前記算出部で算出した出力電流値に応じた電流制御信号を送信するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記一の電源装置は、
調光信号を取得する調光信号取得部を備え、
前記算出部は、
前記調光信号取得部で取得した調光信号に応じて他の電源装置の出力電流値を算出するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
各電源装置は、
ダイオードとコイルとの直列回路を出力端に直列に接続してあり、
前記出力端と前記送信部又は受信部との間にコンデンサを介装してあることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電源システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電源システムと、光源を有する複数の照明装置とを備え、
各照明装置を前記出力端に接続してあることを特徴とする照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−242874(P2011−242874A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112335(P2010−112335)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】