説明

電源システム

【課題】異なる種類の電池に対応しながら、電源生成の効率を低下させることなく、安定した電源電圧を供給する。
【解決手段】インバータ28,29がロー出力時に、トランジスタ31がON、トランジスタ32がOFFとなり、トランジスタ17をOFFする。その際、コンデンサ34が基準電圧発生部25と基準電圧調整器35との差電圧を充電する。インバータ28,29がハイ出力時にトランジスタ31がOFF、トランジスタ32がONとなる。インバータ30がロー出力となり、コンデンサ34は、ダイオード35aにより放電できずトランジスタ33のゲートが負電位となり、トランジスタ33もONし、トランジスタ17をONする。トランジスタ33のドレインは出力端子OUT7から十分な負電圧が印加される。よって、入力電源部11以上の電圧をトランジスタ17のゲートに印加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムの電圧安定化技術に関し、特に、異なる電池に対応しながら電源生成の効率を低下させることなく安定した電源電圧を供給するに有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの電子機器には、安定化直流電源などとして、複数のDC−DCコンバータなどからなる電源システムが広く用いられている。電源システムは、Li−ION(リチウムイオン)電池や2AA電池などの入力電源から、レンズ駆動用モータなどに供給する5V程度の電源、アナログ信号処理用回路やメモリカードなどに供給する3.3V程度の電源、コア電源に供給する1.8V/1.2V程度の電源、メモリなどに供給する2.5V/1.8V程度の電源、および撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)などに供給する15V程度、−7.5V程度の電源などを生成する。
【0003】
一般的に、入力電源として2AA電池(たとえば、電圧範囲として1.8V程度〜3.6V程度)が用いられる場合、3.3V程度の電源を生成するには、昇圧型DC−DCコンバータが用いられ、入力電源としてLi−ION電池(たとえば、電圧範囲として2.2V程度〜4.5V程度)が用いられる場合には、昇圧型DC−DCコンバータが用いるか、または昇圧型DC−DCコンバータから出力される5V程度の電源電圧を入力する降圧型DC−DCコンバータから用いられている。
【0004】
入力電源として2AA電池が用いられる場合、目標出力電圧となる3.3V程度を安定して出力するために、昇圧型DC−DCコンバータの出力電圧を3.3Vよりも高く設定し、LDO(Low Drop Output)などのリニアシリーズレギュレータを介することによって安定した電圧を得ている。
【0005】
また、2AA電池が用いられる場合、1.8V/1.2V程度の電源を生成する降圧型DC−DCコンバータ、および2.5V/1.8V程度の電源を生成する降圧型DC−DCコンバータは、該DC−DCコンバータの出力電圧よりも高い、たとえば、5V程度の電源を生成する昇圧型DC−DCコンバータの出力電圧を入力電源として該電源を生成している。
【0006】
また、反転型DC−DCコンバータにおいても、該反転型DC−DCコンバータの入力端子に接続されている出力段のPチャネルMOS−FETのゲート−ソース間に十分な電圧が印加されずにON抵抗が悪化し、最大出力電流能力の低下と電源の生成効率が低下することを防止するために、たとえば、5.0V程度の電源電圧を生成する昇圧型DC−DCコンバータから出力される電源電圧を用いて電源電圧を生成している。
【0007】
さらに、この種の電源システムとしては、たとえば、反転型スイッチングレギュレータの制御用ICに含まれる発振回路を正電源入力端子と接地間とに印加される電圧によって駆動する回路構成とすることによって、該発振回路の消費電流を低減するものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平05−191968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記のような電源システムでは、次のような問題点があることが本発明者により見い出された。
【0009】
すなわち、降圧型DC−DCコンバータが、昇圧型DC−DCコンバータの出力電圧を用いて電源電圧を生成する場合、昇圧型DC−DCコンバータにおける損失が増加してしまうことになり、電源システム全体の効率が悪化してしまうという問題がある。
【0010】
また、反転型DC−DCコンバータが、昇圧型DC−DCコンバータの出力電圧を用いて電源電圧を生成する構成では、電池の電圧範囲において、昇圧型DC−DCコンバータの出力電圧が一定電圧で出力されるために反転型DC−DCコンバータの最大出力電流の悪化はしないが、効率においては、上記と同様に昇圧型DC−DCコンバータを介して反転型DC−DCコンバータの出力電圧を得ることになるので損失が増加し、この場合においても、電源システム全体の効率が低下してしまうという問題がある。
【0011】
さらに、特許文献1の技術では、発振回路の消費電流を低減させることは可能となるが、制御用IC内の誤差増幅、基準電圧回路、およびNAND回路などの消費電流は従来どおり比較的大きく、この部分の消費電流低減にはならず、構成回路には比較的高い耐圧を持つ素子を選択することを迫られるためにコストアップの要因となってしまう恐れがある。
【0012】
本発明の目的は、異なる種類の電池に対応しながら、電源生成の効率を低下させることなく、安定した電源電圧を供給することのできる電源生成技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
本発明は、直流の電源電圧を昇圧/降圧し、任意の直流電圧に変換する昇降圧型DC−DCコンバータと、直流電圧を安定化させる少なくとも1つのリニアレギュレータと、直流の電源電圧を反転し、任意の直流負電圧に変換する反転型DC−DCコンバータと、直流の電源電圧を降圧し、任意の直流電圧に変換する降圧型DC−DCコンバータとを備え、該リニアレギュレータは、昇降圧型DC−DCコンバータによって変換された電源電圧によって出力電圧を生成するものである。
【0016】
また、本発明は、直流の電源電圧を昇圧/降圧し、任意の直流電圧に変換する昇降圧型DC−DCコンバータと、直流電圧を安定化させる少なくとも1つのリニアレギュレータとを備え、該リニアレギュレータは、昇降圧型DC−DCコンバータによって変換された電源電圧によって出力電圧を生成するものである。
【0017】
また、本願のその他の発明の概要を簡単に示す。
【0018】
本発明は、前記昇降圧型DC−DCコンバータが、昇降圧動作を行う2組のPWM信号を有し、該PWM信号に基づいて、それぞれのスイッチングを行う第1および第2のドライバ部を有し、出力電圧の制御を行う電圧制御部と、該電圧制御部から出力される電流制御指示信号に基づいて、ドライバ部に駆動信号としてPWM信号を出力する電流制御部とを備え、それら2組のPWM信号は、電圧制御部によって出力電圧と基準電圧との電位差を誤差積分し、その誤差積分の結果としての電流制御指示を出力し、電流制御部は同電流制御指示とインダクタ電流の平均値との誤差に基づいて生成される第1のPWM信号と、入力電圧と出力電圧の差電圧に基づいて生成される第2のPWM信号よりなるものである。
【0019】
また、本発明は、前記電圧制御部が、DC−DCコンバータから出力される出力電圧を検出するフィードバック回路と、インダクタ電流の平均値を検出する平均電流検出部と、前記基準電圧とフィードバック回路が検出した出力電圧の電位差とを誤差積分し、駆動電流指示信号として出力する駆動電流指示部と、平均電流検出部から出力された平均値と駆動電流指示部から出力された駆動電流指示信号との誤差信号を出力する比例制御型の電流制御アンプと、該電流制御アンプから出力される誤差信号と三角波とを比較し、その比較結果を第1のPWM信号として第1のドライバ部に出力する第1の比較部と、入力電圧と出力電圧との差に逆比例する信号と三角波とを比較し、その比較結果を第2のPWM信号として第2のドライバ部に出力する第2の比較部とを備え、第1のPWM信号に基づく第1のドライバ部出力と第2のPWM信号に基づく第2のドライバ部出力において、両出力のハイ電圧期間の中心時刻とロー電圧期間の中心時刻が常に一致するように制御されるものである。
【0020】
さらに、本発明は、前記反転型DC−DCコンバータが、出力端子と入力端子との間に接続される第1のスイッチング用トランジスタと、該出力端子から出力される出力電圧を安定化させる負帰還制御信号に基づいて、第1のスイッチング用トランジスタを駆動させるトランジスタ駆動回路とを備え、該トランジスタ駆動回路は、出力端子から出力される出力電圧から、第1のスイッチング用トランジスタを駆動するゲート電圧を生成するものである。
【0021】
また、本発明は、前記トランジスタ駆動回路が、入力された負帰還制御信号をレベルシフトする第1のレベルシフトと、一方の接続部が入力端子に接続され、第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をHi電圧に駆動する第1のトランジスタと、入力部が、第1のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が第1のトランジスタのゲートに接続され、第1のトランジスタを駆動する第1のインバータと、負帰還制御信号をレベルシフトする第2のレベルシフトと、一方の接続部が、第1のトランジスタの他方の接続部に接続され、第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をLo電圧に駆動する第2のトランジスタと、入力部が、第2のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が第3のトランジスタのゲートに接続され、第2のトランジスタを駆動する第2のインバータと、一方の接続部が第2のトランジスタとカスコード接続され、他方の接続部が、出力端子に接続された第3のトランジスタと、第2のインバータから出力される信号に基づいて、第3のトランジスタを駆動する駆動信号を出力する第3のインバータと、一方の接続部が、第3のインバータの出力部に接続され、他方の接続部が、第3のトランジスタのゲートに接続される第1のコンデンサと、出力部に、第1のコンデンサの他方の接続部が接続された任意の電圧を発生する電圧調整器とを備え、第1のコンデンサは、電圧調整器が調整する電圧と基準電圧との差電圧を充電し、第3のインバータは、第3のトランジスタのゲートに第1のコンデンサに充電された電圧を与えるものである。
【0022】
さらに、本発明は、前記電圧調整器が、アノードが、第1のコンデンサの他方の接続部に接続されたダイオードと、出力部にダイオードのカソードが接続され、基準電圧を生成する電圧生成部とよりなるものである。
【0023】
また、本発明は、前記電圧調整器が、アノードが、第1のコンデンサの他方の接続部に接続されたダイオードと、一方の接続部が、ダイオードのカソードが接続され、他方の接続部が、基準電位に接続された抵抗とよりなるものである。
【0024】
さらに、本発明は、前記降圧型DC−DCコンバータが、出力端子と入力端子との間に接続されるハイサイドスイッチ側の第2のスイッチング用トランジスタと、出力端子と基準電位との間に接続されるローサイドスイッチ側の第3のスイッチング用トランジスタと、出力端子から出力される出力電圧を安定化させる負帰還制御信号に基づいて、第2のスイッチング用トランジスタを駆動させるトランジスタ駆動回路とを備え、トランジスタ駆動回路は、出力端子から出力される出力電圧から、第2のスイッチング用トランジスタを駆動するゲート電圧を生成するものである。
【0025】
また、本発明は、前記トランジスタ駆動回路が、入力された負帰還制御信号をレベルシフトする第1のレベルシフトと、一方の接続部が入力端子に接続され、第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をHi電圧に駆動する第1のトランジスタと、入力部が、第1のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が第1のトランジスタのゲートに接続され、第1のトランジスタを駆動する第1のインバータと、負帰還制御信号をレベルシフトする第2のレベルシフトと、一方の接続部が、第1のトランジスタの他方の接続部に接続され、第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をLo電圧に駆動する第2のトランジスタと、入力部が、第2のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が第3のトランジスタのゲートに接続され、第2のトランジスタを駆動する第2のインバータと、該第2のインバータから出力される信号に基づいて、駆動信号を出力する第3のインバータと、一方の接続部が、第3のインバータの出力部に接続され、他方の接続部が、第2のトランジスタの他方の接続部に接続される第2のコンデンサと、出力部に、第2のコンデンサの他方の接続部が接続された任意の電圧を発生する電圧調整器とを備え、第3のインバータから出力される駆動信号に基づいて、第2のコンデンサが電圧調整器が調整する電圧と基準電圧との差電圧を充電するものである。
【発明の効果】
【0026】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0027】
(1)昇降圧型DC−DCコンバータが生成した電圧をリニアレギュレータを介して電源供給することにより、電力変換効率を落とすことなく、ノイズの分離を安易に行うことができる。
【0028】
(2)また、反転型DC−DCコンバータ、および降圧型DC−DCコンバータ内のハイサイド側のスイッチング用トランジスタのオン抵抗を入力端子の電源電圧に係わらずに充分な値を確保できるため、最大出力電流の低下を防止するとともに、電源変換効率を向上させることにより、電池寿命を延ばすことができる。
【0029】
(3)上記(1)、(2)により、信頼性が高く、高性能で、かつ低コストの電源システムを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による電源システムの構成例を示すブロック図、図2は、図1の電源システムに設けられた反転型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図、図3は、図2の反転型DC−DCコンバータにおける各部信号のタイミングチャートである。
【0032】
本実施の形態1において、電源システム1は、たとえば、デジタルカメラなどの電子機器に用いられる。電源システム1は、図1に示すように、昇圧型DC−DCコンバータ2〜4、昇降圧型DC−DCコンバータ5、降圧型DC−DCコンバータ6,7、反転型DC−DCコンバータ8、およびLDO9,10から構成されており、これらは、たとえば、電源用ICなどからなる。
【0033】
これら昇圧型DC−DCコンバータ2〜4、昇降圧型DC−DCコンバータ5、降圧型DC−DCコンバータ6,7、ならびに反転型DC−DCコンバータ8の入力部には、入力端子IN1〜IN7を介して入力電源部11がそれぞれ接続されている。
【0034】
この入力電源部11は、電子機器のバッテリなどであり、たとえば、Li−ION(リチウムイオン)電池や乾電池などである。昇圧型DC−DCコンバータ2は、入力電源部11から供給された電源電圧を昇圧し、たとえば、デジタルカメラのレンズを駆動するモータなどの電源(たとえば、5V程度)として供給する。
【0035】
昇圧型DC−DCコンバータ3は、入力電源部11から供給された電源電圧を昇圧する。昇圧型DC−DCコンバータ3が昇圧した電源は、出力端子OUT2を介してデジタルカメラの撮像素子となるCCD(Charge Coupled Device)などの電源(たとえば、15V程度)として供給される。
【0036】
昇圧型DC−DCコンバータ4は、入力電源部11から供給された電源電圧を昇圧し、デジタルカメラに設けられたLCD(Liqiud Crystal Display)のバックライト用LED駆動などの電源として出力端子OUT3を介して供給する。
【0037】
昇降圧型DC−DCコンバータ5は、入力電源部11から供給された電源電圧を昇圧/降圧し、リニアシリーズレギュレータであるLDO9,10の入力電源として出力端子OUT4cから供給する。LDO9は、昇降圧型DC−DCコンバータ5が生成した電源電圧から、デジタルカメラの画像処理部におけるアナログ回路系などの電源(たとえば、3.3V)として出力端子OUT4を介して供給する。
【0038】
LDO10は、昇降圧型DC−DCコンバータ5が生成した電源電圧から、メモリカードなどの電源(たとえば、3.3V)として出力端子OUT4aを介して供給する。これらLDO9,10によってアナログ系電源とデジタル系電源とを独立に供給することにより、デジタル系からアナログ系へのノイズ干渉を低減している。
【0039】
降圧型DC−DCコンバータ6は、入力電源部11から供給された電源電圧を降圧し、デジタルカメラに設けられたDRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリの電源(たとえば、1.8V程度)として出力端子OUT5を介して供給する。
【0040】
降圧型DC−DCコンバータ7は、入力電源部11から供給された電源電圧を降圧し、デジタルカメラに設けられた画像処理系の半導体集積回路装置のコア電源(たとえば、1.2V程度)として出力端子OUT6を介して供給する。
【0041】
反転型DC−DCコンバータ8は、入力電源部11から供給された電源電圧を負の電源電圧に生成し、前述した撮像素子であるCCDのバイアス電圧(たとえば、−6V程度)として出力端子OUT7を介して供給する。
【0042】
図2は、電源システム1に設けられた反転型DC−DCコンバータ8の構成例を示す回路図である。
【0043】
反転型DC−DCコンバータ8は、図示するように、誤差増幅器12、位相補償器13、PWMコンパレータ14、発振回路15、トランジスタ駆動回路16、PチャネルMOSFETからなるトランジスタ17、インダクタ18、ダイオード19、抵抗20,21、コンデンサ22、および基準電圧発生部23〜25から構成されている。
【0044】
誤差増幅器12の正(+)側入力端子には、基準電圧発生部24が生成した基準電圧が供給されるように接続されており、該誤差増幅器12の出力部には、位相補償器13、およびPWMコンパレータ14の正(+)側入力端子がそれぞれ接続されている。
【0045】
PWMコンパレータ14の負(−)側入力端子には、発振回路15から出力される三角波形が入力されるように接続されている。このPWMコンパレータ14の出力部には、トランジスタ駆動回路16が接続されている。
【0046】
トランジスタ駆動回路16は、レベルシフト26,27、インバータ28〜30、トランジスタ31〜33、第1のコンデンサとなるコンデンサ34、および電圧生成部となる基準電圧調整器35から構成されている。トランジスタ31,33は、たとえば、PチャネルMOSFETからなり、トランジスタ32は、たとえば、NチャネルMOSFETからなる。
【0047】
PWMコンパレータ14の出力部には、レベルシフト26,27の入力部がそれぞれ接続されている。第1のレベルシフトであるレベルシフト26の出力部には、第1のインバータであるインバータ28の入力部が接続されており、第2のレベルシフトであるレベルシフト27の出力部には、第2のインバータであるインバータ29の入力部が接続されている。インバータ28の出力部には、第1のトランジスタであるトランジスタ31のゲートが接続されている。
【0048】
トランジスタ31の一方の接続部、およびインバータ28の電源端子には、入力端子IN7を介して入力電源11から供給される電源電圧が入力されるように接続されている。インバータ29の出力部には、第3のインバータであるインバータ30の入力部、ならびに第2のトランジスタであるトランジスタ32のゲートがそれぞれ接続されている。
【0049】
インバータ30の出力部には、コンデンサ34の一方の接続部が接続されており、コンデンサ34の他方の接続部には、第3のトランジスタであるトランジスタ33のゲートが接続されている。基準電圧調整器35は、ダイオード35a、および基準電圧発生器35bからなる。
【0050】
ダイオード35aのアノードには、トランジスタ33のゲートが接続されており、該ダイオード35aのカソードには、基準電圧発生器35bが生成する基準電圧が供給されるように接続されている。
【0051】
トランジスタ31の他方の接続部には、トランジスタ32の一方の接続部、ならびに第1のスイッチング用トランジスタとなるトランジスタ17のゲートがそれぞれ接続されている。トランジスタ32の他方の接続部には、トランジスタ33の一方の接続部が接続されており、該トランジスタ33の他方の接続部には、出力端子OUT7が接続されている。
【0052】
また、インバータ29,30の電源端子には、基準電圧発生部25が生成した基準電圧が入力されるように接続されている。トランジスタ17の一方の接続部には、入力端子IN7が接続されており、該トランジスタ17の他方の接続部には、外付け部品であるインダクタ18の一方の接続部、および同じく外付け部品であるダイオード19のカソードがそれぞれ接続されている。
【0053】
ダイオード19のアノード、および外付け部品であるコンデンサ22の一方の接続部には、出力端子OUT7が接続されており、インダクタ18の他方の接続部とコンデンサ22の他方の接続部には、基準電位がそれぞれ接続されている。
【0054】
また、出力端子OUT7には、抵抗20の一方の接続部が接続されており、該抵抗20の他方の接続部には、抵抗21の一方の接続部が接続されている。そして、抵抗21の他方の接続部には、基準電圧発生部23が生成した基準電圧が供給されるように接続されている。
【0055】
さらに、抵抗20と抵抗21との接続部には、誤差増幅器12の負(−)側入力端子が接続されている。誤差増幅器12は、出力端子OUT7から出力される電圧と基準電圧発生部23から出力される基準電圧と間の電圧を抵抗20,21で分圧した出力電圧モニタ信号MONIと、基準電圧発生部24が生成した基準電圧とを比較する。
【0056】
位相補償器13は、誤差増幅器12から出力される出力信号を安定化する。PWMコンパレータ14は、誤差増幅器12から出力された信号と発振回路15が生成する三角波の基準電圧とを比較し、DUTYに変換された信号として出力とする。
【0057】
トランジスタ駆動回路16は、PWMコンパレータ14から出力されたDUTY信号に基づいて、トランジスタ17を駆動制御する。トランジスタ17、インダクタ18、ならびにダイオード19によって極性が反転された負電圧が出力端子OUT7から出力される。
【0058】
また、出力端子OUT7から出力される電圧は、抵抗20,21、基準電圧発生部23、誤差増幅器12、位相補償器13、PWMコンパレータ14、発振回路15、トランジスタ駆動回路16、およびトランジスタ17によって一定に制御される。
【0059】
出力端子OUT7に出力される電圧Voutは下記の式で表わされる。
【0060】
Vout=Vref1−(Vref2−Vref1)×R1/R2 (式1)
ここに、R1は抵抗20の抵抗値、R2は抵抗21の抵抗値であり、Vref1は基準電圧基準電圧発生部24の基準電圧値、Vref2は基準電圧基準電圧発生部23の基準電圧値である。
【0061】
たとえば、R1=400KΩ、R2=100KΩ、Vref1=1.2V、Vref2=3.1Vとすると出力端子OUT7に出力される電圧Voutは負電圧の−6.4V程度となる。
【0062】
また、基準電圧発生部23,24、抵抗20,21、誤差増幅器12、位相補償器13、PWMコンパレータ14、発振回路15、トランジスタ駆動回路16、ならびにトランジスタ17は、たとえば、モノリシックIC化されており、一般にスイッチングレギュレータの制御ICとして提供される。
【0063】
次に、本実施の形態1におけるトランジスタ駆動回路16の動作について、図2、および図3のタイミングチャートを用いて説明する。
【0064】
ここで、図3において、上方から下方にかけては、PWMコンパレータ14の出力信号、トランジスタ17のゲート電圧、トランジスタ31のゲート電圧、トランジスタ32のゲート電圧、インバータ30の出力信号、トランジスタ33のゲート電圧、図2のノードa(トランジスタ32とトランジスタ33との接続部)、トランジスタ17の出力信号、インダクタ18に流れる電流、および出力端子OUT7における各信号波形をそれぞれ示している。
【0065】
まず、インバータ28の出力がローレベル、インバータ29の出力がローレベル時に、トランジスタ31がON、トランジスタ32がOFFとなり、トランジスタ17のゲートを入力端子IN7の電圧のハイ側電圧に駆動し、トランジスタ17をOFFする。
【0066】
その際、インバータ30の出力は、ハイレベルのためブート容量であるコンデンサ34には、基準電圧発生部25が発生する基準電圧と基準電圧調整器35の発生電圧との差電圧を充電する。
【0067】
インバータ28の出力、インバータ29の出力がハイレベル時に、トランジスタ31がOFF、トランジスタ32がONとなる。インバータ30の出力はローレベルとなることで、コンデンサ34に蓄えられた電荷は、整流用のダイオード35aにより放電できないため、トランジスタ33のゲートが負電位となり、該トランジスタ33もONすることで、トランジスタ17のゲートをロー側に駆動するためトランジスタ17をONする。
【0068】
トランジスタ33の他方の接続部(ドレイン)は、出力端子OUT7に接続され十分な負電圧が印加されている。この動作により、トランジスタ17のゲートのローレベルは、トランジスタ33のゲート電位+トランジスタ33のしきい値電圧VTHとなる。
【0069】
たとえば、基準電圧発生部25が生成する基準電圧を約3.1Vとすると、インバータ30の出力であるハイレベルは、基準電圧発生部25が生成する基準電圧の電位とほぼ同じ約3.1Vになる。
【0070】
基準電圧調整器35における基準電圧を0Vとすると、コンデンサ34に充電される電圧は、基準電圧発生部25の基準電圧の電位からダイオード35aの順電圧VFとの差電圧となる。
【0071】
順電圧VFを一般的な、0.7V程度とすると、コンデンサ34の間に充電される電圧は約2.4Vとなる。このためインバータ30の出力がローレベル時に、ほぼ0Vになったとすると、コンデンサ34の間に充電された電荷はダイオード35aにより放電はされないため、トランジスタ33のゲート電位は約−2.4Vの負電位となる。
【0072】
これより、トランジスタ17のゲート電圧は、トランジスタ33のゲート電位の約2.4Vにトランジスタ33のしきい値電圧VTH=0.8V程度を加算した−1.6V程度となる。
【0073】
入力電源部11の電圧を、たとえば、2.0V程度とすると、トランジスタ17のゲート−ソース間電圧は、2.0V−(−1.6V)=3.6V程度が得られ(図3の電位差C)、入力電源部11の電圧以上の電圧をトランジスタ17のゲートに印加することが可能となる。
【0074】
また、基準電圧調整器35の発生する電圧は、入力電源部11の電圧をモニタすることでコンデンサ34への充電電圧を調整することが可能である。たとえば、入力電源部11の電圧が約5.0Vの場合に、コンデンサ34間に充電される電圧を0V程度とし、トランジスタ33のしきい値電圧VTHを0.8V程度とすると、トランジスタ17のゲート電圧は約4.2Vとなり、トランジスタ17ゲートへの過大な電圧印加を防止することができる。
【0075】
さらに、コンデンサ34に充電された電荷は、その接続先がトランジスタ33のゲートのみであるので、通常動作において放電する経路はない。このため、コンデンサ34は、比較的小さい値の容量値が使用可能であり、それによって、コンデンサ34を小さくすることができ、トランジスタ33のゲートを高速駆動を可能とするとともに、コンデンサ34への充放電が少ないことより消費電流を極めて小さくすることができる。
【0076】
また、入力電源部11の電圧以上の電圧をトランジスタ17のゲートに印加することが可能となるため、入力電源部11の電圧が比較的低い場合でも、トランジスタ17のオン抵抗の悪化を生じないことより、トランジスタ17の最大電流の確保が可能となる。
【0077】
反転型DC−DCコンバータ8での損失は、入力電源部11の電圧が比較的低い2.4V程度においても、トランジスタ17のオン抵抗を0.5Ω程度と小さくできるため、出力電流Ioを50mA程度 、出力電圧Voを7.5V程度の時の効率を80%と仮定すると、反転型DC−DCコンバータ8の損失は、損失pd=Io×Vo(1/Effi−1)=50mA×7.5V(1/0.80−1)=93.8mWとなり、損失を大幅に低減することができ、電力変換効率(Effi)を向上させることができる。
【0078】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2による反転型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図、図5は、図4の反転型DC−DCコンバータにおける各部信号のタイミングチャートである。
【0079】
本実施の形態2において、電源システム1は、前記実施の形態1の図1と同様に、昇圧型DC−DCコンバータ2〜4、昇降圧型DC−DCコンバータ5、降圧型DC−DCコンバータ6,7、反転型DC−DCコンバータ8、およびLDO9,10から構成されている。
【0080】
また、電源システム1における反転型DC−DCコンバータ8は、前記実施の形態1の図2と同様に、誤差増幅器12、位相補償器13、PWMコンパレータ14、発振回路15、トランジスタ駆動回路16、PチャネルMOSFETからなるトランジスタ17、インダクタ18、ダイオード19、抵抗20,21、コンデンサ22、および基準電圧発生部23〜25からなる。
【0081】
さらに、トランジスタ駆動回路16は、図4に示すように、レベルシフト26,27、インバータ28〜30、トランジスタ31〜33、コンデンサ34、および基準電圧調整器35からなる図2の構成に、PチャネルMOSFETからなるトランジスタ36,37、ならびに抵抗38が新たに追加されている。また、基準電圧調整器35の構成も図2と異なっており、基準電圧発生器35bの代わりに抵抗35cが設けられている。
【0082】
トランジスタ36のゲートには、基準電圧発生部25の基準電圧が供給されるように接続されており、該トランジスタ36の一方の接続部には、抵抗38の他方の接続部が接続されている。
【0083】
抵抗38の一方の接続部には、トランジスタ37の一方の接続部が接続されており、該トランジスタ37の他方の接続部には、入力端子IN7が接続されている。また、トランジスタ37のゲートには、インバータ28の出力部が接続されている。
【0084】
また、基準電圧調整器35において、ダイオード35aのカソードには、抵抗35cの一方の接続部が接続されており、該抵抗35cの他方の接続部には、基準電位が接続されている。その他の接続構成については、前記実施の形態1の図2と同様となっているので、説明は省略する。
【0085】
次に、本実施の形態2におけるトランジスタ駆動回路16の動作について、図4、および図5のタイミングチャートを用いて説明する。
【0086】
ここで、図5においては、上方から下方にかけて、入力端子IN7、PWMコンパレータ14の出力信号、トランジスタ17のゲート電圧、トランジスタ31のゲート電圧、トランジスタ32のゲート電圧、インバータ30の出力信号、トランジスタ33のゲート電圧、図2のノードa(トランジスタ32とトランジスタ33との接続部)、トランジスタ17の出力信号、インダクタ18に流れる電流、および出力端子OUT7における各信号波形をそれぞれ示している。
【0087】
トランジスタ17と連動するトランジスタ37がON時に、入力電源部11の電位が抵抗38の片側に印加される。トランジスタ36のゲートは、基準電圧発生部25の基準電圧に接続され、トランジスタ36のソース電位を決める。
【0088】
抵抗38はトランジスタ36の一方の接続部(ソース)に接続されるため、該抵抗38に差電圧が印加されて電流が流れる。この電流は、トランジスタ36を介して抵抗35cとダイオード35aとに流れるため、入力電源部11の電圧にほぼ比例した電圧がトランジスタ33のゲートに発生する。
【0089】
ここで、基準電圧発生部25の基準電圧を、たとえば、約3.1Vとすると、該基準電の3.1V+トランジスタ36のしきい値電圧VTH以上の入力電源部11の電圧から基準電圧調整器35の電圧は調整可能となる。
【0090】
このため、入力電源部11の電圧が低い場合は、トランジスタ17のON時の該トランジスタ17ゲート−ソース間電圧を入力電源部11の電圧より高くすることができ(図5、電位差E)、入力電源部11の電圧が高い場合は、基準電圧調整器35によりトランジスタ17のON時のトランジスタ17におけるゲート−ソース間電圧を入力電源部11の電圧より低く設定(図5、電位差F)することができる。
【0091】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3による反転型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【0092】
本実施の形態3においても、電源システム1は、前記実施の形態1の図1と同様に、昇圧型DC−DCコンバータ2〜4、昇降圧型DC−DCコンバータ5、降圧型DC−DCコンバータ6,7、反転型DC−DCコンバータ8、およびLDO9,10から構成されている。
【0093】
また、電源システム1における反転型DC−DCコンバータ8は、前記実施の形態1の図2と同様に、誤差増幅器12、位相補償器13、PWMコンパレータ14、発振回路15、トランジスタ駆動回路16、PチャネルMOSFETからなるトランジスタ17、インダクタ18、ダイオード19、抵抗20,21、コンデンサ22、および基準電圧発生部23〜25からなる。
【0094】
トランジスタ駆動回路16は、図6に示すように、前記実施の形態1の図2の構成からトランジスタ33を取り除いたものとなっている。トランジスタ32の他方の接続部には、ダイオード35aのアノードが接続されており、出力端子OUT7の電位に影響されない。
【0095】
トランジスタ17におけるゲートのローレベルは、トランジスタ32のソース電位となる。このトランジスタ32のソース電位は、コンデンサ34に蓄えられた電荷の放電される電位により決定される。
【0096】
インバータ30の出力は、ハイレベル時にコンデンサ34には、基準電圧発生部25の基準電圧と電圧調整器35による発生電圧との差電圧を充電する。インバータ28、およびインバータ29の出力がそれぞれハイレベル時に、トランジスタ31がOFFし、トランジスタ32がONとなり、インバータ30の出力は、ローレベルとなることで、コンデンサ34に蓄えられた電荷はダイオード35aによって放電できないため、トランジスタ32のソースは負電位となり、トランジスタ17のゲートを負電位のローレベルに駆動する。そのため、トランジスタ17がONとなって入力電源部11の電圧以上の電圧を、該トランジスタ17のゲート電圧として印加可能となる。
【0097】
この図6に示した例では、コンデンサ34は、トランジスタ32を介して、トランジスタ17のゲートに接続されているため、該トランジスタ17のゲートの負電位は、コンデンサ34に蓄えらる電荷と、その電荷がトランジスタ17のゲート容量に移動する量、電圧調整器35における発生電圧、および基準電圧発生部25の基準電圧で決まる。
【0098】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4による降圧型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【0099】
前記実施の形態3の図6に示したトランジスタ17を駆動するトランジスタ駆動回路16は、たとえば、図1に示す降圧型DC−DCコンバータ6(,7)、および昇降圧型DC−DCコンバータ5にも適用することができる。図7は、降圧型DC−DCコンバータ6(,7)における出力段を示したものである。
【0100】
構成は、図7に示すように、PチャネルMOSFETのハイサイド側スイッチングトランジスタとなるトランジスタ17、前段に設けられたPWMコンパレータ14(図1)の信号に基づいて該トランジスタ17を駆動するトランジスタ駆動回路16、NチャネルMOSFETからなりローサイド側スイッチングトランジスタとなるトランジスタ39、PWMコンパレータ14(図1)の信号をレベル変換するレベルシフト40、レベルシフト40から出力される信号に基づいてトランジスタ39を駆動するバッファ41からなる。
【0101】
また、外付け部品として、インダクタ18、安定化容量となるコンデンサ22が設けられており、トランジスタ17とトランジスタ39とは交互にON/OFFを繰り返す一般的な降圧スイッチングレギュレータの出力段である。
【0102】
この場合、トランジスタ駆動回路16は、前述したように前記実施の形態3の図6と同様の構成となっており、それにより、入力電源部11の電圧以上の電圧をトランジスタ17のゲート電圧として印加することができる。
【0103】
本構成での損失は、たとえば、降圧型DC−DCコンバータ6の出力端子OUT5の電圧Vo=1.8V程度とし、入力電源部11の電圧を2.4V程度、出力端子OUT5で消費する電流が100mA程度、降圧型DC−DCコンバータ6の効率(Effi)を90%とすると、降圧型DC−DCコンバータ6での損失Pd(降圧型DC−DCコンバータ6)=Io×Vo(1/Effi−1)=100mA×1.8V(1/0.9−1)=20mW程度となる。
【0104】
入力電源部11の電圧が比較的高い場合、入力電源部11の電圧を4.5V程度、出力電流Ioを100mA程度の時に、降圧型DC−DCコンバータ6の効率(Effi)=85%とすると、降圧型DC−DCコンバータ6の損失Pd=Io×Vo(1/Effi−1)=100mA×1.8V(1/0.85−1)=31.8mWとなる。
【0105】
このように、入力端子電圧に係わらず、入力端子IN5の入力電圧よりもトランジスタ17のゲート駆動電圧のダイナミックレンジを広くとれることにより、トランジスタ17を充分にONができ、入力端子IN5(,IN6)が入力電源部11に直結することが可能となる。
【0106】
また、2AA、またはリチウムイオンなどの種類の異なる電池を入力電源部11として用いた場合であっても、電力変換の効率の悪化を防止することができるとともに、最大出力電流の低下を防止することができる。
【0107】
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5による昇圧型DC−DCコンバータの入力電源に接続する電源スイッチの一例を示す回路図、図9は、本発明の実施の形態5による昇圧型DC−DCコンバータの入力電源に接続する電源スイッチの他の例を示す回路図である。
【0108】
前記実施の形態1〜3に示したトランジスタ駆動回路16は、たとえば、図1に示す昇圧型DC−DCコンバータ3の入力電源に接続する電源スイッチなどにも適用することができる。
【0109】
図8は、昇圧型DC−DCコンバータ3の入力電源に接続する電源スイッチの出力段において、図6のトランジスタ駆動回路16を適用した一例を示した回路であり、図9は、昇圧型DC−DCコンバータ3の入力電源に接続する電源スイッチの出力段において、図4のトランジスタ駆動回路16を適用した一例を示した回路である。
【0110】
トランジスタ駆動回路16が駆動する電源スイッチとなるトランジスタ42は、PチャネルMOSFETからなり、インダクタ43は、入力端子IN2と入力電源部11の間に接続された入力端子IN8との間にトランジスタ42を介して接続されている。
【0111】
トランジスタ42は、該トランジスタ42のON時に昇圧型DC−DCコンバータ3への電源入力を行い、電源スイッチON/OFF信号81によってON/OFF動作する。
【0112】
トランジスタ42のOFF時に昇圧型DC−DCコンバータ3の入力端子IN2への電源入力を禁止すると共に出力端子OUT2に接続されている安定化容量となるコンデンサへの充電を防止する。
【0113】
この場合においても、同様に、入力電源部11の電圧が低い場合に、トランジスタ42のゲート駆動電圧を入力電源部11の電圧以上に取れることになり、入力電源部11が比較的低い場合でもトランジスタ42のオン抵抗を低くすることができるために、該トランジスタ42における損失を低下させることができる。
【0114】
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6による昇降圧型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図、図11は、昇降圧モードにおける昇降圧型DC−DCコンバータの入力側DUTY制御の一例を示す説明図、図12は、昇降圧モードにおける昇降圧型DC−DCコンバータでのコイル駆動端とコイル電流の波形を示す説明図である。
【0115】
本実施の形態6においては、図1の電源システム1に設けられた昇降圧型DC−DCコンバータ5について説明する。
【0116】
昇降圧型DC−DCコンバータ5は、3モード切り替え型であり、この3モードとは、降圧、昇圧、および昇降圧モードの3つのモードを示している。一般に入力レンジが広い昇降圧型DC−DCコンバータでは、効率の最適化を行う為、3モードを有している。
【0117】
昇降圧型DC−DCコンバータ5は、図10に示すように、アンプ44、入力電源制御部45、コンパレータ46,47、モード選択部48、電圧制御エラーアンプ49、コンデンサ50,51、抵抗52、電流制御アンプ53、抵抗54、コンパレータ55,56、三角波発生器57、制御ロジック部58、ドライバ部59、平均電流検出部60、およびフィードバック回路61から構成されている。また、電圧制御エラーアンプ49、コンデンサ50,51、ならびに抵抗52によって駆動電流指示部が構成されている。
【0118】
アンプ44の正(+)側入力端子には、入力電源部11から供給される入力電圧Viが供給される入力電圧端子Vinが接続されており、該アンプ44の負(−)側入力端子には、昇降圧型DC−DCコンバータ5から出力される出力電圧Voが入力されるように接続されている。
【0119】
アンプ44の出力部には、コンパレータ46の正(+)側入力端子、コンパレータ47の正(+)側入力端子、ならびに入力電源制御部45における3つの入力端子のうちの任意の1つの入力端子がそれぞれ接続されている。コンパレータ46の負(−)側入力端子、および入力電源制御部45の他の入力端子には、しきい値電圧Vthhがそれぞれ入力されるように接続されている。
【0120】
また、入力電源制御部45の残りの1つの入力端子、およびコンパレータ47の負(−)側入力端子には、下限しきい値Vthlがそれぞれ入力されるように接続されている。これらコンパレータ46,47の出力部には、モード選択部48の入力部がそれぞれ接続されている。
【0121】
入力電源制御部45の出力部には、第2の比較部となるコンパレータ56の正(+)側入力端子が接続されている。コンパレータ56の負(−)側入力端子、およびに第1の比較部となるコンパレータ55の負(−)側入力端子は、三角波発生器57が発生する三角波が入力されるように接続されている。
【0122】
コンパレータ55の正(+)側入力端子には、抵抗54の一方の接続部、ならびに電流制御アンプ53の出力部がそれぞれ接続されている。抵抗54の他方の接続部には、基準電圧Vref1が供給されるように接続されている。
【0123】
電流制御アンプ53の正(+)側入力端子には、電圧制御エラーアンプ49の出力部、コンデンサ50の一方の接続部、および抵抗52の一方の接続部がそれぞれ接続されている。
【0124】
抵抗52の他方の接続部には、コンデンサ51の一方の接続部が接続されている。コンデンサ50の他方の接続部、ならびにコンデンサ51の他方の接続部には、接地電位AGNDが接続されている。
【0125】
電圧制御エラーアンプ49の負(−)側入力端子には、フィードバック回路61から出力される検出電圧VFBが入力されるように接続されている。
【0126】
電流制御アンプ53の負(−)側入力端子には、平均電流検出部60から出力される電流検出結果Vsensが入力されるように接続されている。モード選択部48の出力部には、制御ロジック部58の入力部が接続されており、該モード選択部48から出力されるモード信号MODEが入力される。
【0127】
また、制御ロジック部58には、コンパレータ55から出力される電流制御用PWM信号Dctl、ならびにコンパレータ56から出力される入力電圧調整用PWM信号Dinがそれぞれ入力されるように接続されている。
【0128】
ロジック制御部58の2つの出力部には、ドライバ部59の入力部がそれぞれ接続されている。ドライバ部59は、ドライバ65〜68、およびトランジスタ69〜72から構成されている。
【0129】
ドライバ66,67は、インバータからなり、トランジスタ69〜72は、たとえば、NチャネルMOSFETからなる。制御ロジック部58の一方の出力部には、ドライバ65,66の入力部がそれぞれ接続されており、該制御ロジック部58の他方の出力部には、ドライバ67,68の入力部がそれぞれ接続されている。
【0130】
ドライバ65〜68の出力部には、トランジスタ69〜72のゲートがそれぞれ接続されている。トランジスタ69の一方の接続部には、入力電圧端子Vinが接続されている。
【0131】
トランジスタ69の他方の接続部には、トランジスタ70の一方の接続部、ならびに端子LX1がそれぞれ接続されている。トランジスタ70の他方の接続部には、トランジスタ72の他方の接続部、および基準電位端子PGNDがそれぞれ接続されている。
【0132】
トランジスタ71の一方の接続部には、出力端子OUT4cが接続されている。この出力端子OUT4cが昇降圧型DC−DCコンバータ5の出力部となる。
【0133】
トランジスタ71の他方の接続部には、端子LX2、ならびにトランジスタ72の一方の接続部がそれぞれ接続されている。また、端子LX1と端子LX2との間には、コイル73が外部接続されており、出力端子OUT4cと基準電位端子PGNDとの間には、平滑用のコンデンサ74が外部接続されている。
【0134】
平均電流検出部60は、スイッチ部75、抵抗76、コンデンサ77、ならびに電流センスアンプ78から構成されている。サンプル/ホールド回路となるスイッチ部75の一方の接続部には、端子LX1が接続されており、該スイッチ部75の他方の接続部には、抵抗76の一方の接続部が接続されている。
【0135】
スイッチ部75の制御端子には、制御ロジック部58から出力される制御信号が入力されるように接続されており、該スイッチ部75は、この制御信号に基づいて、ON/OFF動作を行う。
【0136】
抵抗76の他方の接続部には、ローパスフィルタとなるコンデンサ77の一方の接続部、および電流センスアンプ78の一方の入力部がそれぞれ接続されている。入力端子IN4には、コンデンサ77の他方の接続部、および電流センスアンプ78の他方の入力部がそれぞれ接続されている。そして、電流センスアンプ78から出力される信号が電流検出結果Vsensとなる。
【0137】
フィードバック回路61は、抵抗79,80から構成されている。抵抗79の一方の接続部には、出力端子OUT4cが接続されており、抵抗80の一方の接続部には、基準電位端子PGNDが接続されている。抵抗79の他方の接続部には、抵抗80の他方の接続部が接続されており、この接続部から出力される信号が検出電圧VFBとなる。
【0138】
この昇降圧型DC−DCコンバータ5は、入力端子IN4から入力される入力電圧Vinと出力端子OUT4cから出力される出力電圧Voの差をアンプ44によって抽出し、入力電圧Vinが出力電圧Voより確実に高いときには降圧モードが選択され、確実に低いときには昇圧モードが選択され、入力電圧Vinと出力電圧Voとが近い電圧の際には昇降圧モードがコンパレータ46,47とモード選択回路48とによって選択される。
【0139】
出力段の構成は、コイル73の両端が電源、および基準電位に相補動作するトランジスタ69〜72を有し、コイル73の一方の端部がトランジスタ69,70を介して入力端子IN4に接続されており、コイル73の他方の端部がトランジスタ71,72を介して出力端子OUT4cに接続される昇降圧動作可能なコンバータとなっている。
【0140】
降圧動作モードでは、トランジスタ72は常にOFFし、トランジスタ71は常にONしており、トランジスタ69,70が上記電流制御によってコイル73に流れる電流を調整して出力電圧を可変する。
【0141】
昇圧モードでは、トランジスタ69は常にONし、トランジスタ70は常にOFFしており、トランジスタ71,72が上記電流制御によってコイル73に流れる電流を調整して出力電圧を可変する。
【0142】
また、昇降圧モードでは、上記した降圧モードと昇圧モードとを組み合わせた動作となり、トランジスタ69,70、およびトランジスタ71,72の双方が動作する。フィードバック回路61において、出力電圧Voを抵抗分割した検出電圧VFBと基準電圧Vref0との差電位をエラーアンプで増幅し、位相補償器となるコンデンサ50,51、および抵抗52にて誤差積分を行う。
【0143】
そして、電流制御アンプ53によって、誤差積分結果と平均電流検出回路60による電流検出結果Vsensとの誤差を出力し、駆動電流指示信号Voutctlとして出力される。
【0144】
駆動電流指示信号Voutctlは、コンパレータ55によって三角波発生器57が発生する三角波と比較され、電流制御信号Dctlを決定する。また、昇降圧モード時には、アンプ44で検出される(入力電圧Vin−出力電圧Vo)の結果に基づいたPWM信号Dinがコンパレータ56で生成される。
【0145】
電流制御信号Dinは、大きすぎると出力電圧Voに上ずりが発生し、小さすぎるとコイル74に流れる電流が増加し効率低下を招く。理想的には、Vo−(Vin×Din)=αを保つのがよい。ここでは、たとえば、図11に示すように、(Vin−Vo)に対して、Dinを徐々に減らしていくことで、理想に近い状態を実現している。
【0146】
さらに、昇降圧モードの際には、端子LX1と端子LX2とのスイッチングを三角波発振に同期させることで、図12に示すように双方のPWM重心を一致させ、コイル74のコイル電流の脈動を低減している。これにより、コイル74のACRによる損失を低減し、変換効率を向上させる(図12参照)。
【0147】
また、降圧モードでは、PWM信号Dctlに応じて、トランジスタ69,70がそれぞれスイッチングし、トランジスタ71がON、トランジスタ72がOFFとなり、昇圧モードでは、PWM信号Dctlに応じてトランジスタ71,72がそれぞれスイッチングし、トランジスタ69がONし、トランジスタ70がOFFとなる。
【0148】
さらに、昇降圧モードでは、PWM信号Dctlに応じて、トランジスタ71,72がそれぞれスイッチングし、PWM信号Dinに応じて、トランジスタ69,70がそれぞれスイッチングする。
【0149】
昇降圧型DC−DCコンバータ5については、出力電圧をLDO9,10でそれぞれ要求されるアナログ系、デジタル系の電圧(たとえば、3.3V程度)よりも少し高めに設定する、たとえば、後段に接続されるLDO9,10の入出力に生じるドロップ電圧特性(0.2V程度)、および昇降圧型DC−DCコンバータ5の出力リップル電圧分(0.005V程度)を考慮し、LDO9,10の出力電圧より、0.3V程度高い出力電圧とすることで、昇降圧型DC−DCコンバータ5の出力電圧は3.6V程度の出力設定により、後段のLDO9,10の入力電源として供給可能となる。
【0150】
本構成での損失は、たとえば、昇降圧型DC−DCコンバータ5の出力電圧Voが3.6V程度とし、アナログ系、ならびにデジタル系3.3V程度で消費する電流が、50mA程度それぞれ流れるとすると、LDO9,10における損失は、損失Pd=(3.6V−3.3V)×50mA×2=30mWとなる。
【0151】
入力電源部11の電圧を2.4V程度、出力電流Io=100mA程度の時に、昇降圧型DC−DCコンバータ5の効率Effi=90%とすると、昇降圧型DC−DCコンバータ5での損失は、損失Pd=Io×Vo(1/Effi−1)=50mA×2×3.6V(1/0.9−1)=40mWとなり、合計損失は70mW程度となる。
【0152】
入力電源部11の電圧が比較的高い場合、入力電源部11の電圧を4.5V程度、出力電流Io=1000mA程度の時に、昇降圧型DC−DCコンバータ5の効率が効率Effi=90%程度とすると、昇降圧型DC−DCコンバータ5での損失は、損失Pd=((昇降圧型DC−DCコンバータ5)=Io×Vo(1/Effi−1)=50mA×2×3.6V(1/0.9−1)=40mWとなり、損失Pd(LDO)との合計損失は70mWとなり、入力電源部11の電圧に係わらずに損失を一定にすることができる。
【0153】
このように、入力電源部11の電圧が高い場合であっても、損失を一定に保つことができるので、電力変換効率を向上させることができる。
【0154】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、DC−DCコンバータにおけるバッテリ減電圧時の電源生成の高効率化技術に適している。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施の形態1による電源システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の電源システムに設けられた反転型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図3】図2の反転型DC−DCコンバータにおける各部信号のタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2による反転型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図5】図4の反転型DC−DCコンバータにおける各部信号のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3による反転型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図7】本発明の実施の形態4による降圧型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図8】本発明の実施の形態5による昇圧型DC−DCコンバータの入力電源部に接続する電源スイッチの一例を示す回路図である。
【図9】本発明の実施の形態5による昇圧型DC−DCコンバータの入力電源部に接続する電源スイッチの他の例を示す回路図である。
【図10】本発明の実施の形態6による昇降圧型DC−DCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図11】昇降圧モードにおける昇降圧型DC−DCコンバータの入力側DUTY制御の一例を示す説明図である。
【図12】昇降圧モードにおける昇降圧型DC−DCコンバータでのコイル駆動端とコイル電流の波形を示す説明図である。
【符号の説明】
【0157】
1 電源システム
2〜4 昇圧型DC−DCコンバータ
5 昇降圧型DC−DCコンバータ
6,7 降圧型DC−DCコンバータ
8 反転型DC−DCコンバータ
9,10 LDO
11 入力電源部
12 誤差増幅器
13 位相補償器
14 PWMコンパレータ
15 発振回路
16 トランジスタ駆動回路
17 トランジスタ
18 インダクタ
19 ダイオード
20,21 抵抗
22 コンデンサ
23〜25 基準電圧発生部
26,27 レベルシフト
28〜30 インバータ
31〜33 トランジスタ
34 コンデンサ
35 基準電圧調整器
35a ダイオード
35b 基準電圧発生器
35c 抵抗
36,37 トランジスタ
38 抵抗
39 トランジスタ
40 レベルシフト
41 バッファ
42 トランジスタ
43 インダクタ
44 アンプ
45 入力電源制御部
46,47 コンパレータ
48 モード選択部
49 電圧制御エラーアンプ
50,51 コンデンサ
52 抵抗
53 電流制御アンプ
54 抵抗
55,56 コンパレータ
57 三角波発生器
58 制御ロジック部
59 ドライバ部
60 平均電流検出部
61 フィードバック回路
65〜68 ドライバ
69〜72 トランジスタ
73 コイル
74 コンデンサ
75 スイッチ部
76 抵抗
77 コンデンサ
79,80 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の電源電圧を昇圧/降圧し、任意の直流電圧に変換する昇降圧型DC−DCコンバータと、
直流電圧を安定化させる少なくとも1つのリニアレギュレータと、
直流の電源電圧を反転し、任意の直流負電圧に変換する反転型DC−DCコンバータと、
直流の電源電圧を降圧し、任意の直流電圧に変換する降圧型DC−DCコンバータとを備え、
前記リニアレギュレータは、
前記昇降圧型DC−DCコンバータによって変換された電源電圧によって出力電圧を生成することを特徴とする電源システム。
【請求項2】
直流の電源電圧を昇圧/降圧し、任意の直流電圧に変換する昇降圧型DC−DCコンバータと、
直流電圧を安定化させる少なくとも1つのリニアレギュレータとを備え、
前記リニアレギュレータは、
前記昇降圧型DC−DCコンバータによって変換された電源電圧によって出力電圧を生成することを特徴とする電源システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の電源システムにおいて、
前記昇降圧型DC−DCコンバータは、
昇降圧動作を行う2組のPWM信号を有し、該PWM信号に基づいて、それぞれのスイッチングを行う第1および第2のドライバ部を有し、出力電圧の制御を行う電圧制御部と、該電圧制御部から出力される電流制御指示信号に基づいて、ドライバ部に駆動信号としてPWM信号を出力する電流制御部とを備え、
前記2組のPWM信号は、前記電圧制御部によって出力電圧と基準電圧との電位差を誤差積分し、その誤差積分の結果としての電流制御指示を出力し、前記電流制御部は、電流制御指示とインダクタ電流の平均値との誤差に基づいて生成される第1のPWM信号と、入力電圧と出力電圧の差電圧に基づいて生成される第2のPWM信号とを出力することを特徴とする電源システム。
【請求項4】
請求項3記載の電源システムにおいて、
前記電圧制御部は、
前記昇降圧型DC−DCコンバータから出力される出力電圧を検出するフィードバック回路と、
インダクタ電流の平均値を検出する平均電流検出部と、
前記基準電圧と前記フィードバック回路が検出した出力電圧の電位差とを誤差積分し、駆動電流指示信号として出力する駆動電流指示部と、
前記平均電流検出部から出力された平均値と前記駆動電流指示部から出力された駆動電流指示信号との誤差信号を出力する比例制御型の電流制御アンプと、
前記電流制御アンプから出力される誤差信号と三角波とを比較し、その比較結果を第1のPWM信号として第1のドライバ部に出力する第1の比較部と、入力電圧と出力電圧との差に逆比例する信号と三角波とを比較し、その比較結果を第2のPWM信号として第2のドライバ部に出力する第2の比較部とを備え、
前記第1のPWM信号に基づく前記第1のドライバ部の出力と前記第2のPWM信号に基づく前記第2のドライバ部の出力において、両出力のハイ電圧期間の中心時刻とロー電圧期間の中心時刻が常に一致するように制御されることを特徴とする電源システム。
【請求項5】
請求項1記載の電源システムにおいて、
前記反転型DC−DCコンバータは、
出力端子と入力端子との間に接続される第1のスイッチング用トランジスタと、
前記出力端子から出力される出力電圧を安定化させる負帰還制御信号に基づいて、前記第1のスイッチング用トランジスタを駆動させるトランジスタ駆動回路とを備え、
前記トランジスタ駆動回路は、
前記出力端子から出力される出力電圧から、前記第1のスイッチング用トランジスタを駆動するゲート電圧を生成することを特徴とする電源システム。
【請求項6】
請求項5記載の電源システムにおいて、
前記トランジスタ駆動回路は、
入力された前記負帰還制御信号をレベルシフトする第1のレベルシフトと、
一方の接続部が前記入力端子に接続され、前記第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をHi電圧に駆動する第1のトランジスタと、
入力部が、前記第1のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が前記第1のトランジスタのゲートに接続され、前記第1のトランジスタを駆動する第1のインバータと、
前記負帰還制御信号をレベルシフトする第2のレベルシフトと、
一方の接続部が、前記第1のトランジスタの他方の接続部に接続され、前記第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をLo電圧に駆動する第2のトランジスタと、
入力部が、前記第2のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が前記第3のトランジスタのゲートに接続され、前記第2のトランジスタを駆動する第2のインバータと、
一方の接続部が前記第2のトランジスタとカスコード接続され、他方の接続部が、前記出力端子に接続された第3のトランジスタと、
前記第2のインバータから出力される信号に基づいて、前記第3のトランジスタを駆動する駆動信号を出力する第3のインバータと、
一方の接続部が、前記第3のインバータの出力部に接続され、他方の接続部が、前記第3のトランジスタのゲートに接続される第1のコンデンサと、
出力部に、前記第1のコンデンサの他方の接続部が接続された任意の電圧を発生する電圧調整器とを備え、
前記第1のコンデンサは、
前記電圧調整器が調整する電圧と基準電圧との差電圧を充電し、
前記第3のインバータは、
前記第3のトランジスタのゲートに前記第1のコンデンサに充電された電圧を与えることを特徴とする電源システム。
【請求項7】
請求項6記載の電源システムにおいて、
前記電圧調整器は、
アノードが、前記第1のコンデンサの他方の接続部に接続されたダイオードと、
出力部に前記ダイオードのカソードが接続され、基準電圧を生成する電圧生成部とよりなることを特徴とする電源システム。
【請求項8】
請求項6記載の電源システムにおいて、
前記電圧調整器は、
アノードが、前記第1のコンデンサの他方の接続部に接続されたダイオードと、
一方の接続部が、前記ダイオードのカソードに接続され、他方の接続部が、基準電位に接続された抵抗とよりなることを特徴とする電源システム。
【請求項9】
請求項1記載の電源システムにおいて、
前記降圧型DC−DCコンバータは、
出力端子と入力端子との間に接続されるハイサイドスイッチ側の第2のスイッチング用トランジスタと、
前記出力端子と基準電位との間に接続されるローサイドスイッチ側の第3のスイッチング用トランジスタと、
前記出力端子から出力される出力電圧を安定化させる負帰還制御信号に基づいて、前記第2のスイッチング用トランジスタを駆動させるトランジスタ駆動回路とを備え、
前記トランジスタ駆動回路は、
前記出力端子から出力される出力電圧から、第2のスイッチング用トランジスタを駆動するゲート電圧を生成することを特徴とする電源システム。
【請求項10】
請求項9記載の電源システムにおいて、
前記トランジスタ駆動回路は、
入力された前記負帰還制御信号をレベルシフトする第1のレベルシフトと、
一方の接続部が前記入力端子に接続され、前記第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をHi電圧に駆動する第1のトランジスタと、
入力部が、前記第1のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が前記第1のトランジスタのゲートに接続され、前記第1のトランジスタを駆動する第1のインバータと、
前記負帰還制御信号をレベルシフトする第2のレベルシフトと、
一方の接続部が、前記第1のトランジスタの他方の接続部に接続され、前記第1のスイッチング用トランジスタのゲート電圧をLo電圧に駆動する第2のトランジスタと、
入力部が、前記第2のレベルシフトの出力部に接続され、出力部が前記第3のトランジスタのゲートに接続され、前記第2のトランジスタを駆動する第2のインバータと、
前記第2のインバータから出力される信号に基づいて、駆動信号を出力する第3のインバータと、
一方の接続部が、前記第3のインバータの出力部に接続され、他方の接続部が、前記第2のトランジスタの他方の接続部に接続される第2のコンデンサと、
出力部に、前記第2のコンデンサの他方の接続部が接続された任意の電圧を発生する電圧調整器とを備え、
前記第3のインバータから出力される駆動信号に基づいて、前記第2のコンデンサが前記電圧調整器が調整する電圧と基準電圧との差電圧を充電することを特徴とする電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−154655(P2010−154655A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329956(P2008−329956)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】