説明

電源供給回路及び電子デバイス

【課題】バックアップ機能を有する電源供給回路及び電子デバイスを提供する。
【解決手段】システム電源12から入力される電圧を昇圧して出力する昇圧回路30と、前記システム電源12の前記電圧と第1基準電圧(Vref)との大小関係を比較する電源監視回路18と、前記システム電源12に接続された第1入力端子24aと、前記昇圧回路30の出力側に接続された第2入力端子24bと、前記電源監視回路18の比較結果に基づいて前記第1入力端子24a及び前記第2入力端子24bの間で相互に切り替え接続される出力端子24cと、を備える電源切り替え回路24と、を有し、前記電源切り替え回路24は、前記システム電源12の前記電圧が前記第1基準電圧(Vref)より低い場合、前記出力端子24cを前記第2入力端子24bに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給回路及び電子デバイスに係り、特に電源のバックアップ行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリー駆動可能なポータブルコンピューターにおいては、従来、システム電源投入状態時に、システム電源供給回路の電源を用いて、リアルタイムクロック(Real Time Clock)装置の回路に動作用電源を供給するとともに専用電池(リアルタイムクロックバッテリー)に充電電源を供給していた(特許文献1、特許文献2参照)。その際、リアルタイムクロックの専用電池は、システム駆動に供されるメインバッテリーに比べて容量が著しく小さく、従って充電電流はシステム消費電流に比べて極わずかであるが、小容量のため特性劣化が生じると短い周期で充電を行う必要がある。
【0003】
したがって、従来では、システムを比較的短時間内で頻繁に使用している際は、そのシステム稼動の都度、リアルタイムクロック装置の専用電池に充電が行われることから電源遮断状態時においてもリアルタイムクロック回路が正常に動作し、保存データが失われることはないが、長時間にわたって使用しないときは、リアルタイムクロック装置の専用電池が放電し、同電池の過放電によりリアルタイムクロック回路の保存データが失われる。
【0004】
このような問題を解決するため特許文献3においては、図5に示すように、システム電源投入状態時において、VCC電源が逆流防止ダイオードD1を介してリアルタイムクロック回路217Aに動作用電源として供給されるとともに、抵抗R1を介してリアルタイムクロックバッテリー217Bに充電用電源として供給される第1の電源供給回路と、システム電源遮断状態時において、バックアップ電源(VBK)が逆流防止ダイオードD2および抵抗R2を介してリアルタイムクロックバッテリー217Bに充電用電源として供給される第2の電源供給回路とを有して、リアルタイムクロックバッテリー217Bに、システム電源のオン/オフ状態に拘わらず常時充電が行われるリアルタイムクロック装置217が開示されている。
【0005】
これにより、システムを長期にわたって使用しない場合であっても(システム電源の投入間隔が開いても)リアルタイムクロックバッテリー217B(リアルタイムクロック専用電池)の過放電を回避でき、これによりリアルタイムクロック回路のデータ保存動作を長時間にわたり正常に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭48−25463号公報
【特許文献2】特開平5−152846号公報
【特許文献3】特開平8−130411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし最近は、省電力化のため、システム電源の電圧を下げた仕様が一般的になってきている。このため、バックアップ用の電池及びキャパシタ(容量素子)のチャージ電圧も下がり、これにより電池及びキャパシタの放電時間が短くなるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は上記問題点に着目し、低電圧化されたシステム電源においてもバックアップ用の電池及びキャパシタの放電時間を充分に維持することが可能な電源供給回路、電子デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]システム電源から入力される電圧を昇圧して出力する昇圧回路と、前記システム電源の前記電圧と第1基準電圧との大小関係を比較する電源監視回路と、前記システム電源に接続された第1入力端子と、前記昇圧回路の出力側に接続された第2入力端子と、前記電源監視回路の比較結果に基づいて前記第1入力端子及び前記第2入力端子の間で相互に切り替え接続される出力端子と、を備える電源切り替え回路と、を有し、前記電源切り替え回路は、前記システム電源の前記電圧が前記第1基準電圧より低い場合、前記出力端子を前記第2入力端子に接続することを特徴とする電源供給回路。
【0010】
上記構成により、昇圧回路の出力電圧はシステム電源の電圧より高くすることができるので、昇圧回路によりキャパシタ等のバックアップ用電源に大きな電圧を印加することができ、バックアップ用電源の放電時間を延ばすことにより、バックアップ対象回路の駆動を安定的に行うことができる。また第1入力端子及び第2入力端子が同時に出力端子に接続されることがないので、昇圧回路側からの給電がシステム電源側に逆流することはなく、昇圧回路からバックアップ対象回路側に確実に給電して、昇圧回路の給電のロスを回避することができる。
【0011】
[適用例2]前記昇圧回路の前記出力側に、充電及び放電を行うバックアップ電源が接続されたことを特徴とする適用例1に記載の電源供給回路。
上記構成により、バックアップ対象回路の駆動を安定的に行うバックアップ電源を備えた電源供給回路を提供できる。
【0012】
[適用例3]前記バックアップ電源はキャパシタであることを特徴とする適用例1に記載の電源供給回路。
上記構成により、システム電源が供給されているとき、キャパシタには昇圧回路により昇圧された電圧が印加され、電荷を保持することになる。そしてシステム電源がストップするとキャパシタに蓄えられた電荷をバックアップ対象回路側に放電することによりバックアップ対象回路側に給電するので、システム電源が停止しても簡単な構成でバックアップ対象回路側の駆動の停止を防止できる。
【0013】
[適用例4]前記第2入力端子には降圧回路の出力側が接続され、前記降圧回路の入力側が前記昇圧回路側に接続されたことを特徴とする適用例1乃至3のいずれかに記載の電源供給回路。
【0014】
上記構成により、昇圧された電圧を降圧させてバックアップ対象回路側に出力することができるので、バックアップ対象回路側の消費電力を低減して放電時間を延長することができる。
【0015】
[適用例5]前記昇圧回路は、第1フロートキャパシタと、前記システム電源に接続された入力キャパシタと、前記電源切り替え回路側に接続された出力キャパシタと、前記入力キャパシタ及び前記第1フロートキャパシタにより形成される第1並列回路と、前記入力キャパシタと前記第1フロートキャパシタとの直列回路及び出力キャパシタにより形成される第2並列回路と、をクロックに基づいて交互に切り替え制御する第1スイッチ回路とを有することを特徴とする適用例1乃至4のいずれかに記載の電源供給回路。
【0016】
上記構成により、第1フロートキャパシタは、充電時に入力キャパシタと並列に接続されるとともにシステム電源により充電され、放電時に入力キャパシタと直列に接続され、この直列回路と出力キャパシタが並列に接続されるため、簡単な構成で出力キャパシタにおいて昇圧が可能となる。
【0017】
[適用例6]前記降圧回路は、第2フロートキャパシタと、前記昇圧回路側に接続された第2入力キャパシタと、前記電源切り替え回路側に接続された第2出力キャパシタと、前記第2フロートキャパシタと前記第2出力キャパシタとの第2直列回路及び前記第2入力キャパシタにより形成される第3並列回路と、前記第2フロートキャパシタ及び前記第2出力キャパシタにより形成される第4並列回路と、をクロックに基づいて交互に切り替え制御する第2スイッチ回路と、を有することを特徴とする適用例4に記載の電源供給回路。
【0018】
上記構成により、第2フロートキャパシタは、充電時に第2入力キャパシタと並列に接続されるとともに第2出力キャパシタと直列に接続されるため、第2入力キャパシタに掛かる電圧を第2フロートキャパシタと第2出力キャパシタとで分圧することになる。そして放電時には第2フロートキャパシタと第2出力キャパシタとが並列に接続されるため、降圧回路の出力電圧は第2入力キャパシタに係る電圧より低くなるため、簡単な構成で降圧が可能となる。
【0019】
[適用例7]前記降圧回路は、前記電源切り替え回路の出力電圧と第2基準電圧との大小関係を比較する第2電源監視回路と、前記第2電源監視回路の比較結果に基づいて、前記クロックを前記第2スイッチ回路へ出力するか否かを制御する制御回路と、を有し、前記制御回路は、前記出力電圧が前記第2基準電圧より低い場合、前記クロックを前記第2スイッチ回路に出力する制御を行うことを特徴とする適用例6に記載の電源供給回路
【0020】
上記構成により、第2基準電圧を基準として降圧回路のON/OFF制御が可能なので、キャパシタ等からの給電が降圧回路においてロスすることを低減して、放電時間を延ばすことができる。
【0021】
[適用例8]適用例1乃至7のいずれかに記載の電源供給回路を搭載し、前記電源供給回路の出力を電源として駆動するバックアップ対象回路を有することを特徴とする電子デバイス。
【0022】
上記構成により、システム電源が不安定となっても安定的にバックアップ対象回路を駆動できる電子デバイスとなる。とくにバックアップ対象回路が発振回路の場合はクロックを発振回路から取り出すことができるので、他の発振回路を搭載する必要が無く電子デバイスを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る電源供給回路の回路図である。
【図2】第1実施形態に係る昇圧回路の回路図である。
【図3】第2実施形態に係る電源供給回路の回路図である。
【図4】第2実施形態に係る降圧回路の回路図である。
【図5】従来技術に係るバックアップ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0025】
第1実施形態に係る電源供給回路の回路図を図1に示す。第1実施形態に係る電源供給回路10は、システム電源12から入力される電圧を昇圧して出力する昇圧回路30と、前記システム電源12の前記電圧と第1基準電圧(Vref)との大小関係を比較する電源監視回路18と、前記システム電源12に接続された第1入力端子24aと、前記昇圧回路30の出力側に接続された第2入力端子24bと、前記電源監視回路18の比較結果に基づいて前記第1入力端子24a及び前記第2入力端子24bの間で相互に切り替え接続される出力端子24cと、を備える電源切り替え回路24と、を有し、前記電源切り替え回路24は、前記システム電源12の前記電圧が前記第1基準電圧(Vref)より低い場合、前記出力端子24cを前記第2入力端子24bに接続する構成を有しており、出力端子24cはバックアップ対象回路であるリアルタイムクロック回路14に接続している。
【0026】
リアルタイムクロック回路14は、32768Hzで振動する圧電振動子14aを分周器(不図示)で1Hzにまで分周し、1Hzにまで分周されたクロックをトリガとしてメモリーに書き込まれている時刻データをアップデートしつつ外部に時刻データを出力するものである。分周器(不図示)は第0分周(32768Hz)から第15分周(1Hz)までの16種類のクロックを出力可能となるため、分周されたクロック16を後述の昇圧回路及び降圧回路に出力することができる。
【0027】
電源監視回路18は、システム電源の電圧と第1基準電圧(Vref)の大小関係を信号に変換して出力するコンパレータであり、第1オペアンプ20により構成される。第1オペアンプ20の入力20a(+)側がシステム電源12に接続され、第1オペアンプ20の反転入力20b(−)側に第1基準電圧(Vref)が印加される。そして入力20a側の電圧は第1基準電圧(Vref)を中心として反転増幅され、信号22として出力される。よって、システム電源12の電圧が第1基準電圧(Vref)より高い場合は、信号22は電圧の高い信号(H)を出力し、逆にシステム電源12の電圧が第1基準電圧(Vref)より低い場合は電圧の低い信号(L)を出力する。
【0028】
電源切り替え回路24は、N型の第1MOSトランジスタ26、第2MOSトランジスタ28、インバータ30により構成されている。第1MOSトランジスタ26の一端26b及び第2MOSトランジスタ28の一端28bは互いに接続され、その接続中点が出力端子24cと接続されている。そして第1MOSトランジスタ26の他端26cは第1入力端子24aと接続され、第2MOSトランジスタ28の他端28cは第2入力端子24bに接続されている。また第1MOSトランジスタ26のゲート端子26aは信号入力端子24dに接続され、第2MOSトランジスタ28はインバータ30を介して信号入力端子24dに接続されている。
【0029】
第1MOSトランジスタ26及び第2MOSトランジスタ28は、ゲートに入力される信号がHのときにON(導通)となり、LのときにOFF(非導通)となる。よって、システム電源12が第1基準電圧(Vref)より高い場合は信号がHとなるため、ゲート端子26aに信号Hが入力されて第1MOSトランジスタ26がONとなり、ゲート端子28aに信号Lが入力されて第2MOSトランジスタ28がOFFとなる。逆にシステム電源12が第1基準電圧より低い場合(システム電源12が遮断された場合)、第1MOSトランジスタ26がOFFとなり、第2MOSトランジスタ28がOFFとなる。よって第1MOSトランジスタ26及び第2MOSトランジスタ28が同時にONとなることはないので、昇圧回路30側の給電がシステム電源12側に逆流することはなく、キャパシタからの給電をリアルタイムクロック回路14に対して無駄なく行うことができる。
【0030】
図2に昇圧回路の回路図を示す。昇圧回路30は、システム電源12から入力される電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する回路である。昇圧回路30は、図2(a)(b)に示すように、第1フロートキャパシタ32と、システム電源12に接続された入力キャパシタ34と、電源切り替え回路24側に接続された出力キャパシタ36と、入力キャパシタ34及び第1フロートキャパシタ32により形成される第1並列回路50と、入力キャパシタ34と第1フロートキャパシタ32との直列回路52及び出力キャパシタ36により形成される第2並列回路54と、をクロック14に基づいて交互に切り替え制御する第1スイッチ回路38とを有する構成である。なお入力キャパシタ34は第1スイッチ回路38による切り替え制御に関わらず常時システム電源12により充電される。
【0031】
図2(a)に示すように、第1スイッチ回路38は、N型の第3MOSトランジスタ40、第4MOSトランジスタ42、第5MOSトランジスタ44、第6MOSトランジスタ46、インバータ48により構成されている。
【0032】
第3MOSトランジスタ40は、ベース端子40cがクロック16に接続され、一端40aを入力キャパシタ34の一端34a及び第6MOSトランジスタ46の他端46bに接続され、他端40bが第1フロートキャパシタ32の一端32a及び第5MOSトランジスタ44の一端44aに接続されている。
【0033】
第4MOSトランジスタ42は、ベース端子42cがクロック16に接続され、一端42aが入力キャパシタ34の他端34bに接続され、他端42bが第1フロートキャパシタ32の他端32b及び第6MOSトランジスタ46の一端46aに接続されている。
【0034】
第5MOSトランジスタ44は、ベース端子44cがインバータ48を介してクロック16に接続され、一端44aが第3MOSトランジスタ40の他端40b及び第1フロートキャパシタ32の一端32aに接続され、他端44bが出力キャパシタ36の一端36aに接続されている。
【0035】
第6MOSトランジスタ46は、ベース端子46cがインバータ48を介してクロック16に接続され、一端46aが第1フロートキャパシタ32の他端32b及び第4MOSトランジスタ42の他端42bに接続され、他端46bが入力キャパシタ34の一端34a及び第3MOSトランジスタ40の一端40aに接続されている。さらに入力キャパシタ34の他端34b及び出力キャパシタ36の他端36bは接地されている。
【0036】
各MOSトランジスタにおいてベース端子に電圧の高いクロックの成分が入ったときはON(導通)となり、電圧の低いクロックの成分が入力されたときはOFF(非導通)となる。第3MOSトランジスタ40及び第4MOSトランジスタ42がON(導通)のとき、第5MOSトランジスタ44及び第6MOSトランジスタ46がOFF(非導通)となる(Phase1)。このとき第1スイッチ回路38は、図2(b)に示すように入力キャパシタ34及び第1フロートキャパシタ32により形成される第1並列回路50となり、第1フロートキャパシタ32も入力キャパシタ34及びシステム電源12により充電される。
【0037】
一方、第3MOSトランジスタ40及び第4MOSトランジスタ42がOFF(非導通)のとき、第5MOSトランジスタ44及び第6MOSトランジスタ46がON(導通)となる(Phase2)。このとき第1スイッチ回路38は、図2(b)に示すように、入力キャパシタ34と第1フロートキャパシタ32の直列回路52及び出力キャパシタ36により形成される第2並列回路54となり、出力キャパシタ36は、入力キャパシタ34に係る電圧と第1フロートキャパシタ32に掛かる電圧を足し合わせた昇圧電圧56により充電するとともに出力キャパシタ36から昇圧電圧56が出力キャパシタ36の容量に応じてリアルタイムクロック回路14側に給電されることになる。よって第1スイッチ回路38はPhase1とPhase2とをクロック16の周期と同期して交互に繰り返すことになるが、クロック16として各キャパシタの充電に必要な時定数程度の周期のものを入力することにより、出力キャパシタ36においてシステム電源12の電圧を昇圧して、クロック16の周期に合わせて昇圧電圧56を断続的に出力することができる。
【0038】
昇圧回路30の出力側には大容量のバックアップ電源用キャパシタ58(または2次電池)が並列に接続され、バックアップ電源用キャパシタ58と昇圧回路30との間には逆流防止のためのダイオード60が介装されている。バックアップ電源用キャパシタ58には昇圧回路30から断続的に出力される昇圧電圧56が入力されて充電され、バックアップ電源用キャパシタ58に掛かる電圧が昇圧電圧56と同じになるまで充電される。そしてバックアップ電源用キャパシタ58は電源切り替え回路24の第2入力端子24bがONとなった場合、すなわちシステム電源12が第1基準電圧(Vref)より低くなった場合に、リアルタイムクロック回路14側に昇圧電圧56を給電することになる。
【0039】
よって上記構成により、システム電源12が第1基準電圧(Vref)より高い場合は、システム電源12がリアルタイムクロック回路14に給電し、逆に第1基準電圧(Vref)より低い場合(システム電源が遮断された場合)は、バックアップ電源用キャパシタ58(または2次電池)がリアルタイムクロック回路14に給電することになる。
【0040】
第2実施形態に係る電源供給回路70の回路図を図3に示す。第2実施形態に係る電源供給回路70は第1実施形態に係る電源供給回路70において、第2入力端子24bには降圧回路72の出力側が接続され、前記降圧回路72の入力側が前記昇圧回路30側に接続された構成を有している。
【0041】
降圧回路72はバックアップ電源用キャパシタ58(または2次電池)からの給電の電圧を下げてリアルタイムクロック回路14側に出力するものである。これによりバックアップ電源用キャパシタ58の放電量を制限して放電時間を延ばすことができる。
【0042】
図4(a)、(b)に降圧回路の回路図を示す。降圧回路72は、第2フロートキャパシタ74と、昇圧回路30側に接続された第2入力キャパシタ76と、電源切り替え回路24側に接続された第2出力キャパシタ78と、第2フロートキャパシタ74と第2出力キャパシタ76との第2直列回路102及び前記第2入力キャパシタ76により形成される第3並列回路104と、第2フロートキャパシタ74及び前記第2出力キャパシタ78により形成される第4並列回路106と、をクロック16に基づいて交互に切り替え制御する第2スイッチ回路80と、を有する。さらに降圧回路72は、電源切り替え回路24の出力電圧と第2基準電圧(Vref2)との大小関係を比較する第2電源監視回路82と、第2電源監視回路82の比較結果に基づいて、クロック16を第2スイッチ回路80へ出力するか否かを制御する制御回路88と、を有し、制御回路88は、前記出力電圧が第2基準電圧(Vref2)より低い場合、クロック16を第2スイッチ回路80に出力する制御を行う構成を有する。
【0043】
第2電源監視回路82は、電源切り替え回路24の出力電圧と第2基準電圧(Vref2)との大小関係を第2信号84に変換して出力するコンパレータであり、第2オペアンプ86により構成される。第2オペアンプ86の入力86a(+)側が電源切り替え回路24の出力端子24c(R)に接続され、第2オペアンプ86の反転入力86b(−)側に第2基準電圧(Vref2)が印加される。そして入力86a側の電圧は第2基準電圧(Vref2)を中心として反転増幅され、第2信号84として出力される。よって、電源切り替え回路24の出力電圧が第2基準電圧(Vref2)より高い場合は、第2信号84は電圧の低い信号(L)を出力し、逆に電源切り替え回路24の出力電圧が第2基準電圧(Vref2)より低い場合は電圧の高い信号(H)を出力する。
【0044】
制御回路88は、第2信号84をゲートして降圧回路72に入力されるクロック16のON/OFF制御を行うものであり、N型の第7MOSトランジスタ90により構成される。第7MOSトランジスタ90のゲート端子90cは第2電源監視回路82の出力と接続され、一端90aが第2スイッチ回路80に接続され、他端90bがリアルタイムクロック回路14のクロック16に接続される。よって制御回路88は第2信号84がLのとき、すなわち電源切り替え回路24の出力電圧が第2基準電圧(Vref2)より高い場合はOFFとなり第2スイッチ回路80に入力されるクロック16を遮断し、逆にHのとき、すなわち電源切り替え回路24の出力電圧が第2基準電圧(Vref2)より低い場合はONとなりクロックを導通する。
【0045】
第2スイッチ回路80は、N型の第8MOSトランジスタ92、第9MOSトランジスタ94、第10MOSトランジスタ96、第11MOSトランジスタ98、インバータ100を有する。
【0046】
第8MOSトランジスタ92は、ゲート端子92cが制御回路88の一端88aに接続され、一端92aが第2入力キャパシタ76の一端76aに接続され、他端92bが第2フロートキャパシタ74の一端74a及び第10MOSトランジスタ96の一端96aに接続されている。
【0047】
第9MOSトランジスタ94は、ゲート端子94cが制御回路88の一端88aに接続され、一端94aが第2フロートキャパシタ74の他端74b及び第11MOSトランジスタ98の一端98aに接続され、他端94bが第10MOSトランジスタ96の他端96b及び第2出力キャパシタ78の一端78aに接続されている。
【0048】
第10MOSトランジスタ96は、ゲート端子96cがインバータ100を介して制御回路88の一端88aと接続され、一端96aが第8MOSトランジスタ92の他端92b及び第2フロートキャパシタ74の一端74aに接続され、他端96bが第9MOSトランジスタ94の他端94b及び第2出力キャパシタ78の一端78aと接続されている。
【0049】
第11MOSトランジスタ98は、ゲート端子98cがインバータ100を介して制御回路88の一端88aに接続され、一端98aが第2フロートキャパシタ74の他端74b及び第9MOSトランジスタ94の一端94aと接続され、他端98bが第2入力キャパシタ76の他端76b及び第2出力キャパシタ78の他端78bに接続されるとともに接地される。
【0050】
第8MOSトランジスタ92及び第9MOSトランジスタ94がON(導通)のとき、第10MOSトランジスタ96及び第11MOSトランジスタ98がOFF(非導通)となる(Phase1)。このとき第2スイッチ回路80は、図4(b)に示すように第2フロートキャパシタ74と第2出力キャパシタ78との第2直列回路102及び第2入力キャパシタ76により形成された第3並列回路104となる。このときシステム電源12の電圧をVとすると第2フロートキャパシタ74に掛かる電圧はC・V/(C+C)となり、第2出力キャパシタ78に掛かる電圧はC・V/(C+C)となり、第2入力キャパシタ76に係る電圧Vが分圧されてそれぞれ充電される。
【0051】
一方、第8MOSトランジスタ92及び第9MOSトランジスタ94がOFF(非導通)のとき、第10MOSトランジスタ96及び第11MOSトランジスタ98がON(導通)となる(Phase2)。このとき第2スイッチ回路80は、図4(b)に示すように、第2フロートキャパシタ74及び第2出力キャパシタ78により形成される第4並列回路106となる。よって第2フロートキャパシタ74及び第2出力キャパシタ78は各キャパシタの容量に応じてリアルタイムクロック回路14側に降圧電圧108を給電することができる。
【0052】
よって第2スイッチ回路80はPhase1とPhase2とをクロック16の周期と同期して交互に繰り返すことになるが、クロック16として各キャパシタの充電に必要な時定数程度の周期のものを入力することにより、第2フロートキャパシタ74及び第2出力キャパシタ78による降圧電圧108を断続的生成することができる。
【0053】
なお、上述のようにリアルタイムクロック回路14の消費電力は非常に小さいが、入力される電圧が適正な電圧より高くすると消費電力が大きくなる傾向がある。よって、第2実施形態のように降圧回路72により適正な電圧(第2基準電圧)とすることによりリアルタイムクロック回路14での電力消費を削減してキャパシタ等の放電時間を延ばすことができる。
【0054】
また降圧回路72は、システム電源12が遮断されたときに駆動するものであるが、頻繁に駆動させると降圧回路72において動作ロスが発生してバックアップ電源用キャパシタ58(2次電池)の給電ロスとなるため、なるべく駆動させないように制御することが望ましい。よって降圧回路72は、第2電源監視回路82及び制御回路88を用いて、電源切り替え回路24の出力電圧(降圧電圧108)が第2基準電圧(Vref2)より低くなった場合のみクロック16を入力して、降圧回路72を動作させ第2フロートキャパシタ74及び第2出力キャパシタ78に充電して降圧電圧108を生成し、電源切り替え回路24の出力電圧(降圧電圧108)が第2基準電圧(Vref2)より高くなったらクロック16を遮断して降圧回路72の動作を停止させ、リアルタイムクロック回路14側へ降圧電圧108を給電して上述のロスを低減している。
【0055】
以上述べたように本実施形態に係る電源供給回路10、70は、昇圧回路30の出力電圧はシステム電源12の電圧より高くすることができるので、昇圧回路30によりバックアップ用のキャパシタ等に大きな電圧を印加することができ、キャパシタ等の放電時間を延ばすことにより、バックアップ対象回路(リアルタイムクロック回路14)の駆動を安定的に行うことができる。また第1入力端子24a及び第2入力端子24bが同時に出力端子24cに接続されることがないので、昇圧回路30側からの給電がシステム電源12側に逆流することはなく、昇圧回路30からバックアップ対象回路(リアルタイムクロック回路14)側に確実に給電して、昇圧回路30の給電のロスを回避することができる。
【0056】
また、システム電源12が供給されているとき、バックアップ電源用キャパシタ58には昇圧回路30により昇圧された電圧が印加され、電荷を保持することになる。そしてシステム電源12がストップするとバックアップ電源用キャパシタ58に蓄えたれた電荷をバックアップ対象回路側(リアルタイムクロック回路14)に放電することによりバックアップ対象回路側に給電するので、システム電源12が停止しても簡単な構成でバックアップ対象回路側の駆動の停止を防止できる。さらにバックアップ電源用キャパシタ58に替わって2次電池を用いることにより放電時間を大幅に延ばすことができる。
【0057】
また昇圧回路30において、第1フロートキャパシタ32は、充電時(Phase1)に入力キャパシタ34と並列に接続されるとともにシステム電源12により充電され、放電時(Phase2)に入力キャパシタと直列に接続され,この直列回路52と出力キャパシタ36が並列に接続されるため、簡単な構成で出力キャパシタにおいて昇圧が可能となる。
【0058】
第2実施形態で述べたように、降圧回路72を用いることで昇圧電圧56を降圧させてバックアップ対象回路側に降圧電圧108を出力することができるので、バックアップ対象回路側の消費電力を低減して放電時間を延長することができる。
【0059】
また降圧回路72において、第2フロートキャパシタ74は、充電時(Phase1)に第2出力キャパシタに直列で接続され、第2直列回路104と第2入力キャパシタ76とが並列に接続されるため、第2入力キャパシタ76に掛かる電圧を第2フロートキャパシタ74と第2出力キャパシタ78とで分圧することになる。そして放電時(Phase2)には第2フロートキャパシタ74と第2出力キャパシタ78とが並列に接続されるため、降圧回路72の出力電圧は第2入力キャパシタ76に係る電圧より低くなるため、簡単な構成で降圧が可能となる。
【0060】
さらに降圧回路72は、第2基準電圧(Vref2)を基準として降圧回路72のON/OFF制御が可能なので、バックアップ電源用キャパシタ58等からの給電が降圧回路72においてロスすることを低減して、放電時間を延ばすことができる。
【0061】
いずれの実施形態においてもクロック源をリアルタイムクロック回路14等の発振回路から取っているので、クロック16を確実に得ることができ、昇圧回路30及び降圧回路72の駆動を安定的に行うことができる。
【0062】
さらにいずれの実施形態に係る電源供給回路10、70を搭載し、前記電源供給回路10.70の出力を電源として駆動するバックアップ対象回路を有する電子デバイス(不図示)を構築すすることができる。これにより、システム電源12が不安定となっても安定的にバックアップ対象回路を駆動できる電子デバイス(不図示)となる。とくにバックアップ対象回路が発振回路の場合はクロック16を発振回路から取り出すことができるので、他の発振回路を搭載する必要が無く電子デバイス(不図示)を小型化することができる。
【符号の説明】
【0063】
10………電源供給回路、12………システム電源、14………リアルタイムクロック回路、16………クロック、18………電源監視回路、20………第1オペアンプ、22………信号、24………電源切り替え回路、26………第1MOSトランジスタ、28………第2MOSトランジスタ、29………インバータ、30………昇圧回路、32………第1フロートキャパシタ、34………入力キャパシタ、36………出力キャパシタ、38………第1スイッチ回路、40………第3MOSトランジスタ、42………第4MOSトランジスタ、44………第5MOSトランジスタ、46………第6MOSトランジスタ、48………インバータ、50………第1並列回路、52………直列回路、54………第2並列回路、56………昇圧電圧、58………バックアップ電源用キャパシタ、60………ダイオード、70………電源供給回路、72………降圧回路、74………第2フロートキャパシタ、76………第2入力キャパシタ、78………第2出力キャパシタ、80………第2スイッチ回路、82………第2電源監視回路、84………第2信号、86………第2オペアンプ、88………制御回路、90………第7MOSトランジスタ、92………第8MOSトランジスタ、94………第9MOSトランジスタ、96………第10MOSトランジスタ、98………第11MOSトランジスタ、100………インバータ、102………第2直列回路、104………第3並列回路、106………第4並列回路、108………降圧電圧、217………リアルタイムクロック装置、217A………リアルタイムクロック回路、217B………リアルタイムクロックバッテリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム電源から入力される電圧を昇圧して出力する昇圧回路と、
前記システム電源の前記電圧と第1基準電圧との大小関係を比較する電源監視回路と、
前記システム電源に接続された第1入力端子と、前記昇圧回路の出力側に接続された第2入力端子と、前記電源監視回路の比較結果に基づいて前記第1入力端子及び前記第2入力端子の間で相互に切り替え接続される出力端子と、を備える電源切り替え回路と、を有し、
前記電源切り替え回路は、前記システム電源の前記電圧が前記第1基準電圧より低い場合、前記出力端子を前記第2入力端子に接続することを特徴とする電源供給回路。
【請求項2】
前記昇圧回路の前記出力側に、充電及び放電を行うバックアップ電源が接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電源供給回路。
【請求項3】
前記バックアップ電源はキャパシタであることを特徴とする請求項1に記載の電源供給回路。
【請求項4】
前記第2入力端子には降圧回路の出力側が接続され、前記降圧回路の入力側が前記昇圧回路側に接続されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電源供給回路。
【請求項5】
前記昇圧回路は、
第1フロートキャパシタと、
前記システム電源に接続された入力キャパシタと、
前記電源切り替え回路側に接続された出力キャパシタと、
前記入力キャパシタ及び前記第1フロートキャパシタにより形成される第1並列回路と、前記入力キャパシタと前記第1フロートキャパシタとの直列回路及び出力キャパシタにより形成される第2並列回路と、をクロックに基づいて交互に切り替え制御する第1スイッチ回路とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電源供給回路。
【請求項6】
前記降圧回路は、
第2フロートキャパシタと、
前記昇圧回路側に接続された第2入力キャパシタと、
前記電源切り替え回路側に接続された第2出力キャパシタと、
前記第2フロートキャパシタと前記第2出力キャパシタとの第2直列回路及び前記第2入力キャパシタにより形成される第3並列回路と、前記第2フロートキャパシタ及び前記第2出力キャパシタにより形成される第4並列回路と、をクロックに基づいて交互に切り替え制御する第2スイッチ回路と、を有することを特徴とする請求項4に記載の電源供給回路。
【請求項7】
前記降圧回路は、
前記電源切り替え回路の出力電圧と第2基準電圧との大小関係を比較する第2電源監視回路と、
前記第2電源監視回路の比較結果に基づいて、前記クロックを前記第2スイッチ回路へ出力するか否かを制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記出力電圧が前記第2基準電圧より低い場合、前記クロックを前記第2スイッチ回路に出力する制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の電源供給回路
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電源供給回路を搭載し、前記電源供給回路の出力を電源として駆動するバックアップ対象回路を有することを特徴とする電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−233380(P2010−233380A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79467(P2009−79467)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】