説明

電源制御装置および電動車両

【課題】充電効率を向上可能な電源制御装置およびその電源制御装置によって充電可能な電動車両を提供する。
【解決手段】車両20に搭載された蓄電装置70は、充電器68を用いてパワーグリッド30から充電することができる。また、蓄電装置56は、住宅の蓄電装置56からも充電される。蓄電装置56から蓄電装置70の充電が行なわれるとき、コンバータ64は、蓄電装置56からの直流電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換する。そして、蓄電装置56からの直流電力は、コンバータ64、スイッチ65、直流電力線DCLおよび接続コネクタ27を順次介して充電器68を介することなく蓄電装置70へ供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源制御装置および電動車両に関し、特に、電動車両に搭載された蓄電装置を車両外部から充電するための電源制御装置およびそのような電源制御装置によって充電可能な電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−8380号公報(特許文献1)は、電気自動車のバッテリと住宅との間で相互に電力伝達可能とする電力マネジメントシステムを開示する。このシステムでは、たとえば、電気自動車は、バッテリと、インレットと、バッテリとインレットとの間に設けられる第1のインバータとを備える。また、住宅は、配電盤に接続される第2のインバータと、第2のインバータと充電パドルとの間に設けられる第3のインバータと、第2および第3のインバータの間に接続される住宅用蓄電池とを備える。
【0003】
そして、このシステムでは、第2および第3のインバータを用いて系統電力を高周波の交流電力に変換して充電パドルへ出力し、電気自動車においてインレットから入力される高周波の交流電力を第1のインバータにより直流電力に変換してバッテリを充電することができる。また、第2のインバータにより系統電力を直流電力に変換して住宅用蓄電池を充電することができる。また、住宅用蓄電池に蓄えられた電力を第3のインバータにより高周波の交流電力に変換して充電パドルへ出力し、電気自動車において第1のインバータにより直流電力に変換してバッテリを充電することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−8380号公報
【特許文献2】特開平11−178234号公報
【特許文献3】特開平7−298516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、住宅用蓄電池から電気自動車のバッテリを充電する場合、第3のインバータにより高周波の交流電力に変換し、電気自動車において第1のインバータにより直流電力に変換してバッテリを充電するので、電力変換回数が多く、充電効率が低下し得る。
【0005】
それゆえに、この発明の目的は、充電効率を向上可能な電源制御装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、充電効率を向上可能な電源制御装置によって充電可能な電動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、電源制御装置は、充電装置を用いて交流電源から充電可能な第1の蓄電装置を第2の蓄電装置から充電する電源制御装置であって、第1および第2の電圧変換器と、出力装置と、制御装置とを備える。第1の電圧変換器は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換可能なように構成される。第2の電圧変換器は、第1の電圧変換器と第2の蓄電装置との間に設けられ、第1の電圧変換器と第2の蓄電装置との間で電圧変換を行なう。出力装置は、第2の電圧変換器により電圧変換された第2の蓄電装置からの直流電力を第1の蓄電装置へ供給するために設けられる。制御装置は、第2の電圧変換器を制御することによって、第2の蓄電装置からの直流電力を第1の蓄電装置の電圧レベルに変換して出力装置を介して第1の蓄電装置を充電するように構成される。
【0008】
好ましくは、第1の蓄電装置は、第1の蓄電装置に蓄えられた電力を用いて車両走行用の電動機を駆動する電動車両に搭載される。
【0009】
また、この発明によれば、電動車両は、充放電可能な蓄電装置と、電動機と、充電装置と、受電部とを備える。電動機は、蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する。充電装置は、与えられる交流電力を直流電力に変換して蓄電装置を充電可能なように構成される。受電部は、車両外部の交流電源から供給される交流電力を用いて蓄電装置を充電する第1の充電モード時、交流電源からの交流電力を充電装置に与え、車両外部から供給される直流電力を用いて蓄電装置を充電する第2の充電モード時、車両外部から供給される直流電力を蓄電装置へ出力する。
【0010】
好ましくは、受電部は、第1および第2の受電部を含む。第1の受電部は、交流電源からの交流電力を受電する。第2の受電部は、車両外部から供給される直流電力を受電する。
【0011】
さらに好ましくは、電動車両は、切替装置をさらに備える。切替装置は、第1の充電モード時、第1の受電部を充電装置と電気的に接続するとともに第2の受電部を蓄電装置から電気的に切離し、第2の充電モード時、第2の受電部を蓄電装置と電気的に接続するとともに第1の受電部を充電装置から電気的に切離す。
【0012】
さらに好ましくは、電動車両は、充電制御部をさらに備える。充電制御部は、第2の受電部が直流電力を受電しているとき、第2の充電モードで蓄電装置を充電するように切替装置を制御し、第2の受電部が直流電力を受電していないとき、第1の充電モードで蓄電装置を充電するように切替装置を制御する。
【発明の効果】
【0013】
この発明による電源制御装置においては、第2の蓄電装置からの直流電力は、第2の電圧変換器により第1の蓄電装置の電圧レベルに変換されて出力装置を介して第1の蓄電装置へ供給されるので、第2の蓄電装置からの直流電力を第2および第1の電圧変換器を用いて交流電力に変換し充電装置を介して第1の蓄電装置へ供給する充電ルートに比べて、電力変換回数が少ない。
【0014】
したがって、この発明による電源制御装置によれば、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置を充電する際の充電効率を向上させることができる。
【0015】
また、この発明による電動車両においては、第1の充電モード時、受電部により受電される車両外部の交流電源からの交流電力が充電装置に与えられ、充電装置により直流電力に変換されて蓄電装置が充電される。一方、第2の充電モード時は、受電部により受電される車両外部からの直流電力を用いて蓄電装置が直接充電される。
【0016】
したがって、この発明による電動車両によれば、車両外部から供給される電力が交流電力および直流電力のいずれの場合にも対応することができる。そして、第2の充電モード時においては、充電装置を用いることなく蓄電装置が直接充電されるので、充電効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
[実施の形態1]
図1は、この発明による電源制御装置および電動車両が用いられる電力システムの全体図である。図1を参照して、この電力システム1は、住宅10と、車両20と、接続ケーブル25と、接続コネクタ27と、パワーグリッド30と、送電線35とを備える。
【0019】
住宅10は、送電線35に接続され、送電線35を介してパワーグリッド30と電力を授受することができる。また、住宅10は、接続ケーブル25および接続コネクタ27によって接続される車両20へ電力を供給することができる。
【0020】
車両20は、車両走行用の直流電源として蓄電装置を搭載した電動車両であり、たとえば、ハイブリッド車両や電気自動車である。車両20は、接続ケーブル25および接続コネクタ27によって住宅10と電気的に接続される。そして、車両20は、住宅10から電力の供給を受けて車載の蓄電装置を充電することができる。
【0021】
接続ケーブル25は、車両20を住宅10内の電力系統に接続して、車両20に搭載された蓄電装置を住宅10から充電するための充電ケーブルである。接続コネクタ27は、接続ケーブル25を車両20に接続するためのコネクタである。なお、この図1では、接続コネクタ27は、接続ケーブル25の車両20側に設けられ、車両20に接続されるものとしたが、接続コネクタ27を接続ケーブル25の住宅10側に設けて住宅10に接続されるようにしてもよい。
【0022】
パワーグリッド30は、系統電力を生成する多数の発電設備から成る系統電源である。パワーグリッド30には、火力発電所や原子力発電所、風力発電設備、水力発電設備、太陽光発電設備など、様々な発電設備が接続される。
【0023】
図2は、図1に示した住宅10の全体ブロック図である。図2を参照して、住宅10は、太陽電池52と、燃料電池54と、蓄電装置56と、負荷58と、電力管理ステーション60とを含む。太陽電池52、燃料電池54、蓄電装置56、負荷58および車両20(図1)は、電力管理ステーション60と電気的に接続される。そして、電力管理ステーション60は、パワーグリッド30と接続される。
【0024】
太陽電池52、燃料電池54および蓄電装置56は、住宅10に設置された電源設備である。太陽電池52は、太陽光を受けて発電し、その発電電力を電力管理ステーション60へ出力する。燃料電池54は、水素をエネルギー源として発電し、その発電電力を電力管理ステーション60へ出力する。
【0025】
蓄電装置56は、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。蓄電装置56は、電力管理ステーション60から電力の供給を受けて充電される。また、蓄電装置56は、蓄電された電力を電力管理ステーション60へ出力する。なお、蓄電装置56として、電気二重層キャパシタを用いてもよい。
【0026】
負荷50は、住宅10内の電気負荷を総括的に示したものであり、電力管理ステーション60から電力の供給を受けて動作することができる。
【0027】
電力管理ステーション60は、太陽電池52、燃料電池54、蓄電装置56、負荷58、車両20およびパワーグリッド30(系統電源)間の電力需給を各設備の電力需給量および電力コストに基づいて管理する。たとえば、深夜時間帯の系統電力は安価であるので、電力管理ステーション60は、パワーグリッド30から蓄電装置56および車両20の充電を深夜時間帯に行なうことができる。また、車両20の充電が昼間に要求されたとき、電力管理ステーション60は、太陽電池52により発電された電力や、深夜電力を用いて充電された蓄電装置56からの電力を車両20へ供給することができる。
【0028】
図3は、図2に示した蓄電装置56に関連する部分の電力管理ステーション60の機能ブロック図である。図3を参照して、電力管理ステーション60は、インバータ62と、コンバータ64と、スイッチ65と、管理ECU66とを含む。
【0029】
インバータ62は、管理ECU66からの駆動信号に基づいてパワーグリッド30からの交流電力を直流電力に変換し、その変換した直流電力をスイッチ65へ出力する。コンバータ64は、管理ECU66からの駆動信号に基づいて、インバータ62からスイッチ65を介して受ける直流電力を蓄電装置56の電圧レベルに変換して蓄電装置56へ出力する。
【0030】
また、コンバータ64は、蓄電装置56に蓄えられた電力を用いて車両20の充電が行なわれるとき、管理ECU66からの駆動信号に基づいて、蓄電装置56からの直流電力を車両20の蓄電装置70の電圧レベルに変換してスイッチ65へ出力する。
【0031】
スイッチ65は、蓄電装置56から車両20内の蓄電装置70の充電が行なわれるとき、管理ECU66からの制御信号に基づいてコンバータ64を直流電力線DCLと電気的に接続する。一方、蓄電装置56から車両20の蓄電装置70への給電が行なわれないときは、スイッチ65は、管理ECU66からの制御信号に基づいてコンバータ64をインバータ62と電気的に接続する。
【0032】
直流電力線DCLは、蓄電装置56から車両20の蓄電装置70へ直流電力を供給するための電力線である。直流電力線DCLの一端は、スイッチ65に接続され、その他端は、接続コネクタ27(図1)に接続される。交流電力線ACLは、パワーグリッド30から車両20の蓄電装置70へ系統電力を供給するための電力線である。交流電力線ACLの一端は、パワーグリッド30に接続され、その他端は、接続コネクタ27に接続される。なお、直流電力線DCLおよび交流電力線ACLは、図1に示した接続ケーブル25を形成する。なお、直流電力線DCL、交流電力線ACLおよびその他の各機器間に接続される電力線の各々は、実際には2本のケーブルから成る。
【0033】
車両20は、充電器68と、蓄電装置70とを含む。充電器68は、パワーグリッド30から蓄電装置70の充電が行なわれるとき、交流電力線ACLから受ける交流電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換して蓄電装置70へ出力する。一方、住宅10内の蓄電装置56から蓄電装置70の充電が行なわれるときは、直流電力線DCLから受ける直流電力は、充電器68を介することなく蓄電装置70に直接充電される。なお、車両20の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0034】
この実施の形態1においては、パワーグリッド30からの系統電力を交流電力線ACLを介して車両20へ直接供給し、車両20に搭載された充電器68を用いて車両20の蓄電装置70を充電することができる。
【0035】
また、パワーグリッド30からの系統電力をインバータ62およびコンバータ64を用いて蓄電装置56の電圧レベルに変換し、蓄電装置56を充電することができる。この蓄電装置56に蓄えられた電力は、住宅10内の負荷58や、車両20の蓄電装置70の充電に用いることができる。そして、蓄電装置56から蓄電装置70の充電が行なわれるとき、コンバータ64は、蓄電装置56からの電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換する。スイッチ65は、コンバータ64からの直流電力を直流電力線DCLへ出力する。そして、蓄電措置70は、直流電力線DCLから受ける直流電力によって充電器68を介することなく充電される。
【0036】
すなわち、この実施の形態1においては、住宅10の蓄電装置56から車両20の蓄電装置70の充電が行なわれるとき、コンバータ64、インバータ62、交流電力線ACLおよび充電器68を順次介した充電ルートを用いるのではなく、直流電力線DCLを介した充電ルートが用いられる。そして、直流電力線DCLは、コンバータ64とインバータ62との間に接続され、蓄電装置56からの電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換するためにコンバータ64が流用される。
【0037】
このような構成とすることにより、蓄電装置56から蓄電装置70の充電が行なわれるとき、パワーグリッド30からの充電ルートを用いる場合すなわち蓄電装置56からコンバータ64、インバータ62、交流電力線ACLおよび充電器68を順次介する充電ルートを用いる場合に比べて電力変換回数を少なくすることができ、その結果、充電効率が向上する。また、蓄電装置56からの電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換するためのコンバータを別途備える必要がなく(コンバータ64が流用される。)、低コストでの実現が可能である。
【0038】
図4は、図3に示した車両20の機能ブロック図である。なお、この図4では、電力管理システム60(図3)からの充電に関する部分について詳細に示されている。図4を参照して、車両20は、充電器68と、蓄電装置70と、インバータ102と、モータジェネレータ104と、受電部106A,106Bと、スイッチ108と、充電ECU118とを含む。充電器68は、AC/DC変換器110,116と、DC/AC変換器112と、トランス114とから成る。
【0039】
受電部106Aは、直流電力線ACLからの交流電力(系統電力)を受電する。受電部106Aは、図示されない電圧センサおよび電流センサを含み、受電された交流電力の電圧V1および電流I1を検出して充電ECU118へ出力する。受電部106Bは、直流電力線DCLからの直流電力を受電する。受電部106Bも、図示されない電圧センサおよび電流センサを含み、受電された直流電力の電圧V2および電流I2を検出して充電ECU118へ出力する。
【0040】
スイッチ108は、充電ECU118からの制御信号に基づいて、受電部106Aと充電器68との電気的な接続および切離し、ならびに受電部106Bと蓄電装置70との電気的な接続および切離しを行なう。具体的には、交流電力線ACLから蓄電装置70の充電が行なわれるとき(以下「第1の充電モード」と称する。)、スイッチ108は、充電ECU118からの制御信号に基づいて、受電部106Aを充電器68と電気的に接続し、受電部106Bを蓄電装置70から電気的に切離す。また、直流電力線DCLから蓄電装置70の充電が行なわれるとき(以下「第2の充電モード」と称する。)、スイッチ108は、充電ECU118からの制御信号に基づいて、受電部106Aを充電器68から電気的に切離し、受電部106Bを蓄電装置70と電気的に接続する。
【0041】
AC/DC変換器110は、第1の充電モード時、受電部106Aによって受電された交流電力を直流電力に変換する。DC/AC変換器112は、AC/DC変換器110からの直流電力を高周波の交流電力に変換する。トランス114は、DC/AC変換器112からの高周波の交流電力を一次コイルおよび二次コイルの巻数比に応じて電圧変換する。AC/DC変換器116は、トランス114からの高周波の交流電力を直流電力に変換して蓄電装置70へ出力する。
【0042】
蓄電装置70は、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。蓄電装置70は、第1の充電モード時、充電器68によって充電され、第2の充電モード時、受電部106Bにより受電される直流電力を受けて直接充電される。そして、蓄電装置70は、蓄えられた電力を車両走行用の電力としてインバータ102へ出力する。
【0043】
インバータ102は、蓄電装置70からの直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力をモータジェネレータ104へ出力してモータジェネレータ104を駆動する。モータジェネレータ104は、車両走行用の電動機であり、インバータ102により駆動されて走行駆動力を発生する。
【0044】
充電ECU118は、受電部106Aから電圧V1および電流I1の検出値を受け、受電部106Bから電圧V2および電流I2の検出値を受ける。そして、電力管理ステーション60(図示せず)から蓄電装置70の充電が要求されているとき、充電ECU118は、電圧V2および電流I2に基づき受電部106Bでの受電を判定すると、第2の充電モードで蓄電装置70の充電を実行する。具体的には、充電ECU118は、受電部106Bと蓄電装置70との電気的接続および受電部106Aと充電器68との電気的切離を指示する制御信号をスイッチ108へ出力する。
【0045】
一方、充電ECU118は、電圧V2および電流I2に基づき受電部106Bでの非受電を判定すると、第1の充電モードで蓄電装置70の充電を実行する。具体的には、充電ECU118は、受電部106Aと充電器68との電気的接続および受電部106Bと蓄電装置70との電気的切離を指示する制御信号をスイッチ108へ出力する。
【0046】
なお、電力管理ステーション60から蓄電装置70の充電要求は、たとえば、充電要求ボタンを利用者が操作することによって行なわれる。また、上記においては、スイッチ108の切替は、充電ECU118の制御信号に基づいて自動的に行なわれるものとしたが、利用者が手動で行うようにしてもよい。
【0047】
この車両20においては、受電部106Aにより受電される交流電力(系統電力)を充電器68により直流電力に変換して蓄電装置70を充電することができる。また、受電部106Bにおいて直流電力が受電されているときは、その受電された直流電力は、充電器68を介することなく蓄電装置70へ直接充電される。
【0048】
以上のように、この実施の形態1においては、住宅10内の蓄電装置56からの直流電力は、電力管理ステーション60内のコンバータ64により車両20の蓄電装置70の電圧レベルに変換され、直流電力線DCLおよび接続コネクタ27を介して車両20の蓄電装置70へ供給される。したがって、この実施の形態1によれば、住宅10内の蓄電装置56から車両20の蓄電装置70を充電する際の電力変換回数を少なくすることができ、充電効率を向上させることができる。また、蓄電装置56からの直流電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換する際にコンバータ64が流用されるので、コスト低減も実現することができる。
【0049】
また、車両20においては、第1の充電モード時、受電部106Aにより受電される交流電力(系統電力)が充電器68に与えられ、充電器68により直流電力に変換されて蓄電装置70が充電される。一方、第2の充電モード時は、受電部106Bにより受電される蓄電装置56からの直流電力によって蓄電装置70が直接充電される。したがって、この実施の形態1による車両20によれば、パワーグリッド30および住宅10内の蓄電装置56のいずれからも蓄電装置70を充電することができる。そして、第2の充電モード時は、充電器68を用いることなく蓄電装置70が直接充電されるので、充電効率が向上する。
【0050】
[実施の形態2]
実施の形態1では、住宅10の蓄電装置56から車両20の蓄電装置70の充電時、蓄電装置56からの直流電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換するのに電力管理ステーション60内のコンバータ64を流用したが、この実施の形態2では、車載コンバータが用いられる。
【0051】
実施の形態2における住宅の全体構成は、図2に示した実施の形態1における住宅10と同じである。
【0052】
図5は、実施の形態2における電力管理ステーション60の機能ブロック図である。なお、この図5でも、図3と同様に蓄電装置56に関連する部分のみ示されている。図5を参照して、電力管理ステーション60Aは、図3に示した実施の形態1における電力管理ステーション60の構成において、スイッチ65に代えてスイッチ67を含む。
【0053】
スイッチ67は、蓄電装置56から車両20A内の蓄電装置70の充電が行なわれるとき、管理ECU66からの制御信号に基づいて蓄電装置56を直流電力線DCLと電気的に接続する。一方、蓄電装置56から車両20Aの蓄電装置70への給電が行なわれないときは、スイッチ67は、管理ECU66からの制御信号に基づいて蓄電装置56をコンバータ64と電気的に接続する。
【0054】
車両20Aは、実施の形態1における車両20の構成において、コンバータ72をさらに含む。コンバータ72は、蓄電装置56から蓄電装置70の充電が行なわれるとき、直流電力線DCLから受ける直流電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換して蓄電装置70を充電する。
【0055】
図6は、図5に示した車両20Aの機能ブロック図である。なお、この図6でも、図4と同様に、電力管理システム60A(図5)からの充電に関する部分について詳細に示されている。図6を参照して、車両20Aは、図4に示した実施の形態1による車両20の構成において、コンバータ72をさらに含み、充電ECU118に代えて充電ECU118Aを含む。
【0056】
コンバータ72は、蓄電装置70とインバータ102との間に設けられ、蓄電装置70とインバータ102との間で電圧変換を行なう。また、コンバータ72をインバータ102と接続する正極線PL3および負極線NL3には、スイッチ108を介して受電部106Bが接続される。そして、コンバータ72は、第2の充電モード時、充電ECU118Aからの制御信号に基づいて、受電部106Bからスイッチ108を介して正極線PL3および負極線NL3に与えられる直流電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換して蓄電装置70へ出力する。
【0057】
充電ECU118Aは、第2の充電モード時、コンバータ72を駆動するための制御信号を生成してコンバータ72へ出力するとともに、インバータ102を停止するための制御信号を生成してインバータ102へ出力する。なお、充電ECU118Aのその他の機能は、図4に示した実施の形態1における充電ECU118と同じである。
【0058】
この実施の形態2においては、住宅10内の蓄電装置56からの直流電力は、スイッチ67(図5)、直流電力線DCLおよび接続コネクタ27を介して車両20Aの受電部106Bにより受電される。そして、受電部106Bにより受電された蓄電装置56からの直流電力は、コンバータ72により蓄電装置70の電圧レベルに変換され、蓄電装置70が充電される。
【0059】
したがって、この実施の形態2によっても、住宅10内の蓄電装置56から車両20Aの蓄電装置70を充電する際の電力変換回数を少なくすることができ、充電効率を向上させることができる。また、蓄電装置56からの直流電力を蓄電装置70の電圧レベルに変換する際に車両20Aのコンバータ72が流用されるので、コスト低減も実現することができる。
【0060】
[実施の形態3]
この実施の形態3では、住宅内の蓄電装置と車両の蓄電装置とが同一規格から成り、かつ、取外し可能とされ、蓄電装置の相互利用が図られる。
【0061】
図7は、実施の形態3における蓄電システムのブロック図である。なお、この図7は、図2に対応するものであり、電力管理ステーション60に接続されるパワーグリッド30、太陽電池52、燃料電池54および負荷58については、図示を省略している。
【0062】
図7を参照して、蓄電装置56は、複数の蓄電ブロック70A,70Bを含む。蓄電ブロック70A,70Bは、電力管理ステーション60から電力の供給を受けて充電される。そして、蓄電ブロック70A,70Bは、取外し可能なように構成される。また、車両20の蓄電装置70も、取外し可能なように構成される。
【0063】
そして、蓄電ブロック70A,70Bおよび蓄電装置70は、同一規格から成り、相互利用可能なように構成される。具体的には、蓄電装置70A〜70Cは、互いに同一形状であり、使用電圧範囲および容量が同一である。
【0064】
したがって、この実施の形態3によれば、住宅内の蓄電装置56の蓄電ブロック70A,70Bと車両20に搭載される蓄電装置70との相互利用を図ることができる。
【0065】
なお、特に図示しないが、同一規格化された蓄電装置70および蓄電ブロック70A,70Bをその他のモバイル機器(たとえば携帯発電機)で相互利用可能としてもよい。また、上記においては、蓄電装置56は、蓄電ブロックを2つ含むものとしたが、3つ以上の蓄電ブロックを含んでもよい。
【0066】
[実施の形態4]
実施の形態1においては、第1の充電モード時、車両に搭載された専用の充電器68を用いて蓄電装置70を充電するものとしたが、車両が少なくとも2つの交流電動機を搭載している場合、その2つの交流電動機にそれぞれ対応する2つのインバータを用いて系統電源から蓄電装置70を充電するようにしてもよい。
【0067】
この実施の形態4における住宅側の構成は、図3に示した実施の形態1における住宅10と同じである。
【0068】
図8は、実施の形態4における車両の機能ブロック図である。図8を参照して、この車両20Bは、蓄電装置70と、インバータ102−1,102−2と、モータジェネレータ104−1,104−2と、受電部106A,106Bと、スイッチ108と、電力線ACL1,ACL2とを含む。
【0069】
インバータ102−1,102−2は、三相ブリッジ回路から成り、互いに並列して蓄電装置70に接続される。そして、インバータ102−1は、蓄電装置70からの電力を用いてモータジェネレータ104−1を駆動し、インバータ102−2は、蓄電装置70からの電力を用いてモータジェネレータ104−2を駆動する。
【0070】
また、インバータ102−1,102−2は、交流電力線ACLから蓄電装置70の充電が行なわれるとき、すなわち第1の充電モード時、後述の方法により、電力線ACL1,ACL2を介してモータジェネレータ104−1,104−2の中性点N1,N2に与えられる交流電力(系統電力)を直流電力に変換し、その変換した直流電力を蓄電装置70へ出力する。
【0071】
スイッチ108は、第1の充電モード時、図示されない充電ECU118からの制御信号に基づいて、受電部106Aを電力線ACL1,ACL2と電気的に接続し、受電部106Bを蓄電装置70から電気的に切離す。また、第2の充電モード時、スイッチ108は、充電ECU118からの制御信号に基づいて、受電部106Aを電力線ACL1,ACL2から電気的に切離し、受電部106Bを蓄電装置70と電気的に接続する。
【0072】
モータジェネレータ104−1,104−2は、三相交流電動機であり、モータジェネレータ104−1の中性点N1およびモータジェネレータ104−2の中性点N2にそれぞれ電力線ACL1,ACL2が接続される。
【0073】
図9は、図8に示したインバータ102−1,102−2およびモータジェネレータ104−1,104−2の零相等価回路を示した図である。三相ブリッジ回路から成る各インバータ102−1,102−2においては、6個のスイッチング素子のオン/オフの組合わせは8パターン存在する。その8つのスイッチングパターンのうち2つは相間電圧が零となり、そのような電圧状態は零電圧ベクトルと称される。零電圧ベクトルについては、上アームの3つのスイッチング素子は互いに同じスイッチング状態(全てオンまたはオフ)とみなすことができ、また、下アームの3つのスイッチング素子も互いに同じスイッチング状態とみなすことができる。したがって、この図9では、インバータ102−1の上アームの3つのスイッチング素子は上アーム102−1Aとしてまとめて示され、インバータ102−1の下アームの3つのスイッチング素子は下アーム102−1Bとしてまとめて示されている。同様に、インバータ102−2の上アームの3つのスイッチング素子は上アーム102−2Aとしてまとめて示され、インバータ102−2の下アームの3つのスイッチング素子は下アーム102−2Bとしてまとめて示されている。
【0074】
図9に示されるように、この零相等価回路は、電力線ACL1,ACL2を介して中性点N1,N2に与えられる単相交流電力を入力とする単相PWMコンバータとみることができる。そこで、インバータ102−1,102−2の各々において零電圧ベクトルを変化させ、インバータ102−1,102−2を単相PWMコンバータのアームとして動作するようにスイッチング制御することによって、電力線ACL1,ACL2から入力される交流電力(系統電力)を直流電力に変換して正極線PL2および負極線NL2へ出力することができる。
【0075】
なお、特に図示しないが、図8において蓄電装置70とインバータ102−1,102−2との間にコンバータが設けられる場合には、実施の形態2のように、直流電力線DCLからの直流電力をコンバータに与えるようにしてもよい。
【0076】
以上のように、この実施の形態4においては、第1の充電モード時に受電部106Aにより受電される交流電力は、モータジェネレータ104−1,104−2の中性点N1,N2に与えられ、インバータ102−1,102−2を用いて直流電力に変換される。したがって、この実施の形態4によれば、第1の充電モード専用の充電器を別途設ける必要がない。
【0077】
なお、上記において、蓄電装置70は、この発明における「第1の蓄電装置」に対応し、蓄電装置56は、この発明における「第2の蓄電装置」に対応する。また、インバータ62は、この発明における「第1の電圧変換器」に対応し、コンバータ64は、この発明における「第2の電圧変換器」に対応する。さらに、直流電力線DCLおよび接続コネクタ27は、この発明における「出力装置」を形成し、管理ECU66は、この発明における「制御装置」に対応する。
【0078】
また、さらに、蓄電装置70は、この発明における「蓄電装置」に対応し、モータジェネレータ104は、この発明における「電動機」に対応する。また、さらに、充電器68は、この発明における「充電装置」に対応し、受電部106A,106Bは、この発明における「受電部」を形成する。また、さらに、スイッチ108は、この発明における「切替装置」に対応し、充電ECU118は、この発明における「充電制御部」に対応する。
【0079】
また、さらに、モータジェネレータ104−1,104−2の少なくとも一方は、この発明における「電動機」に対応し、インバータ102−1,102−2およびモータジェネレータ104−1,104−2は、この発明における「充電装置」を形成する。
【0080】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明による電源制御装置および電動車両が用いられる電力システムの全体図である。
【図2】図1に示す住宅の全体ブロック図である。
【図3】図2に示す蓄電装置に関連する部分の電力管理ステーションの機能ブロック図である。
【図4】図3に示す車両の機能ブロック図である。
【図5】実施の形態2における電力管理ステーションの機能ブロック図である。
【図6】図5に示す車両の機能ブロック図である。
【図7】実施の形態3における蓄電システムのブロック図である。
【図8】実施の形態4における車両の機能ブロック図である。
【図9】図8に示すインバータおよびモータジェネレータの零相等価回路を示した図である。
【符号の説明】
【0082】
1 電力システム、10 住宅、20,20A,20B 車両、25 接続ケーブル、27 接続コネクタ、30 パワーグリッド、35 送電線、52 太陽電池、54 燃料電池、56,70 蓄電装置、70A,70B 蓄電ブロック、58 負荷、60,60A 電力管理ステーション、62,102,102−1,102−2 インバータ、64,72 コンバータ、65,67,108 スイッチ、66 管理ECU、68 充電器、102−1A,102−2A 上アーム、102−1B,102−2B 下アーム、104,104−1,104−2 モータジェネレータ、106A,106B 受電部、110,116 AC/DC変換器、112 DC/AC変換器、114 トランス、118,118A 充電ECU、ACL 交流電力線、DCL 直流電力線、N1,N2 中性点、ACL1,ACL2 電力線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置を用いて交流電源から充電可能な第1の蓄電装置を第2の蓄電装置から充電する電源制御装置であって、
前記交流電源からの交流電力を直流電力に変換可能なように構成された第1の電圧変換器と、
前記第1の電圧変換器と前記第2の蓄電装置との間に設けられ、前記第1の電圧変換器と前記第2の蓄電装置との間で電圧変換を行なう第2の電圧変換器と、
前記第2の電圧変換器により電圧変換された前記第2の蓄電装置からの直流電力を前記第1の蓄電装置へ供給するための出力装置と、
前記第2の電圧変換器を制御することによって、前記第2の蓄電装置からの直流電力を前記第1の蓄電装置の電圧レベルに変換し、前記出力装置を介して前記第1の蓄電装置を充電するように構成された制御装置とを備える電源制御装置。
【請求項2】
前記第1の蓄電装置は、前記第1の蓄電装置に蓄えられた電力を用いて車両走行用の電動機を駆動する電動車両に搭載される、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
充放電可能な蓄電装置と、
前記蓄電装置から電力の供給を受けて車両走行用の駆動力を発生する電動機と、
与えられる交流電力を直流電力に変換して前記蓄電装置を充電可能なように構成された充電装置と、
車両外部の交流電源から供給される交流電力を用いて前記蓄電装置を充電する第1の充電モード時、前記交流電源からの交流電力を前記充電装置に与え、車両外部から供給される直流電力を用いて前記蓄電装置を充電する第2の充電モード時、前記車両外部から供給される直流電力を前記蓄電装置へ出力する受電部とを備える電動車両。
【請求項4】
前記受電部は、
前記交流電源からの交流電力を受電する第1の受電部と、
前記車両外部から供給される直流電力を受電する第2の受電部とを含む、請求項3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記第1の充電モード時、前記第1の受電部を前記充電装置と電気的に接続するとともに前記第2の受電部を前記蓄電装置から電気的に切離し、前記第2の充電モード時、前記第2の受電部を前記蓄電装置と電気的に接続するとともに前記第1の受電部を前記充電装置から電気的に切離す切替装置をさらに備える、請求項4に記載の電動車両。
【請求項6】
前記第2の受電部が直流電力を受電しているとき、前記第2の充電モードで前記蓄電装置を充電するように前記切替装置を制御し、前記第2の受電部が直流電力を受電していないとき、前記第1の充電モードで前記蓄電装置を充電するように前記切替装置を制御する充電制御部をさらに備える、請求項5に記載の電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−199780(P2008−199780A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32109(P2007−32109)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】