説明

電源制御装置

【課題】リレースイッチを用いずに低コストで待機電力を零にできる電源制御装置を提供する。
【解決手段】電源制御装置が、制御回路部2と、電源1と制御回路部2の電源ポート21との間に設けられる第1スイッチSW1と、第1スイッチSW1と並列に且つ電源1と制御回路部2の電源ポート21との間に設けられる第2スイッチSW2と、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2と制御回路部2とに対して並列に設けられる電力負荷部4とを備え、制御回路部2は、第1スイッチSW1への入力操作が行われているとき電源1から第1スイッチSW1を介して電源ポート21への電力の供給を受けて第2スイッチSW2をオン状態に切り換え、第2スイッチSW2がオン状態に切り換わると第1スイッチSW1への入力操作が中止されても電源1から第2スイッチSW2を介して電源ポート21への電力の供給を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から供給される電力を制御する電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な電気機器において、機器を使用していない間の待機電力を零にすることが求められている。特許文献1には、電気機器の待機電力を零にするための電源制御装置が記載されている。具体的には、特許文献1に記載の電源制御装置は、制御回路部と、電源と制御回路部の電源ポートとの間に設けられて、オフ状態となるように常時付勢され及び人的な入力操作を受け付けるとオン状態に切り換わる第1スイッチと、第1スイッチと並列に且つ電源と制御回路部の電源ポートとの間に設けられ、制御回路部によってオン状態及びオフ状態が切り換え制御される第2スイッチと、第1スイッチと第2スイッチとに対して直列に設けられる電力負荷部と、を備える。このうち、制御回路部によってオン状態及びオフ状態が切り換え制御される第2スイッチは、リレーコイルとリレースイッチとで構成される。このように構成することにより、第1スイッチ及び第2スイッチがオフ状態の間は、電源から制御回路部の電源ポートに電力は供給されないため、待機電力は零のままである。そして、第1スイッチがオン状態に操作されて初めて、電源から第2スイッチを介した制御回路部の電源ポートへの電力供給が常時行われるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−244095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電源制御装置において第2スイッチとして用いられているリレースイッチは大電流を流すことができるという利点がある。そもそも、特許文献1に記載の電源制御装置では、電源と第2スイッチと電力負荷部とは直列に接続されているので、第2スイッチには電力負荷部に流れるのと同程度の大電流が流れることが前提である。つまり、特許文献1に記載の電源制御装置では、必然的に大電流を流すことのできるリレースイッチを第2スイッチとして使用せざるを得ない。また、リレースイッチは機械式であるため、オン状態及びオフ状態の切り換えの際に接点の開閉音がするという問題がある。加えて、リレースイッチには、接点寿命を考慮しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リレースイッチを用いずに低コストで待機電力を零にできる電源制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る電源制御装置の特徴構成は、制御回路部と、
電源と前記制御回路部の電源ポートとの間に設けられて、オフ状態となるように常時付勢され及び人的な入力操作を受け付けるとオン状態に切り換わる第1スイッチと、
前記第1スイッチと並列に且つ前記電源と前記制御回路部の電源ポートとの間に設けられ、前記制御回路部によってオン状態及びオフ状態が切り換え制御される半導体スイッチで構成される第2スイッチと、
前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記制御回路部とに対して並列に設けられ、前記制御回路部によってオン状態及びオフ状態が切り換え制御される第3スイッチと負荷部とが直列接続されて構成される電力負荷部と、を備え、
前記制御回路部は、
前記第1スイッチへの前記入力操作が行われているとき、前記電源から前記第1スイッチを介して前記電源ポートへの電力の供給を受けて前記第2スイッチをオン状態に切り換え、
前記第2スイッチがオン状態に切り換わると、前記第1スイッチへの入力操作が中止されても、前記電源から前記第2スイッチを介して前記電源ポートへの電力の供給を受け続ける点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、第1スイッチ及び第2スイッチがオフ状態であれば、電源から制御回路部の電源ポートへの電力の供給を確実に遮断できる。その結果、電源制御装置が搭載されている電気機器の待機電力を零にできる。
また、電力負荷部が第1スイッチと第2スイッチと制御回路部とに対して並列に設けられるので、第2スイッチには電力負荷部に流れるのと同程度の大電流が流れることはない。つまり、第2スイッチには制御回路部などの動作に必要な電流が流れるのみであり、その結果、耐電流の高いスイッチを用いなくてもよいため、第2スイッチのコストを低くできる。加えて、第2スイッチには大電流を流す必要がないため、第2スイッチとして半導体スイッチを用いることができる。半導体スイッチには、従来から用いられていたリレースイッチとは異なり接点の開閉音がするといった問題及び接点寿命の問題も発生しない。また、半導体スイッチは、リレースイッチと比べて部品サイズが小さいため、省スペース化が可能である。ここで、第2スイッチには大電流は流れないので、第2スイッチを冷却するためのファンやヒートシンクは必要とはならない。
加えて、第2スイッチのオン状態及びオフ状態は制御回路部によって切り換えられるので、電源からの電力の供給を開始させるためには、第1スイッチに対してのみ人的な入力操作を行えばよい。
従って、リレースイッチを用いずに低コストで待機電力を零にできる電源制御装置を提供できる。
【0008】
本発明に係る電源制御装置の別の特徴構成は、前記第3スイッチと前記負荷部との間から前記電源ポートへと繋がる分岐線を有し、
前記分岐線には、電流が前記電源ポートへ向かう方向にのみ流れることを許容する半導体素子が設けられている点にある。
【0009】
制御回路部が、第3スイッチをオフ状態に切り換えようとしても、第3スイッチが溶着するなどの問題が生じていた場合には第3スイッチがオフ状態に切り換わらずに導通したままとなって、電源から負荷部への電力供給が継続される可能性がある。
ところが、本特徴構成では、第3スイッチと負荷部との間から上記電源ポートへと繋がる分岐線を有し、その分岐線には、電流が上記電源ポートへ向かう方向にのみ流れることを許容する半導体素子が設けられている。つまり、第3スイッチが溶着するなどの問題が生じていた場合には、制御回路部が第2スイッチ及び第3スイッチをオフ状態に切り換えて、自己への電力供給を停止させ且つ負荷部への電力供給を停止させようとしても、上記第3スイッチ及び上記分岐線を介して自己に電力が供給され続けるという異常が発生するため、制御回路部は、第3スイッチが溶着していると判定できる。
【0010】
本発明に係る電源制御装置の更に別の特徴構成は、前記制御回路部は、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチをオン状態からオフ状態に切り換えてからの継続期間を計測し、前記継続期間が設定期間以上になると前記第3スイッチが異常であると判定する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、第3スイッチが溶着によって導通していれば、制御回路部が第2スイッチ及び第3スイッチをオフ状態に切り換えてからの継続期間が設定期間以上になっても、第3スイッチ及び分岐線を介して電源から制御回路部へ電力が供給されるため、制御回路部は動作を停止しない。一方で、第3スイッチが溶着しておらず正常にオフ状態に切り換えられるのであれば、制御回路部が第2スイッチ及び第3スイッチをオフ状態に切り換えた後、制御回路部に電力が供給されなくなるか、或いは、充電されているコンデンサなどから制御回路部へ一定期間は電力が供給されるがその後は電力が供給されなくなる。つまり、制御回路部は、第2スイッチ及び第3スイッチをオフ状態に切り換えた後、上記設定期間にわたって動作できているならば、第3スイッチ及び分岐線を介して電源からの電力供給を受けていると判定できる。従って、制御回路部は、第3スイッチが異常であると判定できる。
【0012】
本発明に係る電源制御装置の更に別の特徴構成は、前記第2スイッチは、トライアックと発光素子とを組み合わせたフォトトライアックカプラを用いて構成される点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、発光素子に流れる電流量を調節してオン(発光)状態及びオフ(非発光)状態を切り換えることで、トライアックのオン(導通)状態及びオフ(非導通)状態を切り換えることができる。
【0014】
本発明に係る電源制御装置の更に別の特徴構成は、前記第1スイッチは、コモン端子とノーマルクローズ端子とノーマルオープン端子とを有する3端子スイッチであり、
前記コモン端子は、前記制御回路部の前記電源ポートに接続され、
前記ノーマルクローズ端子は、前記第1スイッチへ入力操作が行われたことを検知するための前記制御回路部のスイッチ入力ポートに接続され、
前記ノーマルオープン端子は、前記電源に接続される点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、第1スイッチへの入力操作が行われていない間は、ノーマルオープン端子とコモン端子とは接続されていない。つまり、電源と制御回路部の電源ポートとは、第1スイッチを介して接続されていないので、第2スイッチがオフ状態であれば、電源から制御回路部の電源ポートへの電力の供給を確実に遮断できる。一方で、第1スイッチへの入力操作が行われると、ノーマルオープン端子とコモン端子とが接続される。その結果、電源と制御回路部の電源ポートとが第1スイッチを介して接続されて、電源から制御回路部の電源ポートへの電力の供給が開始される。
【0016】
本発明に係る電源制御装置の更に別の特徴構成は、前記制御回路部は、前記第2スイッチをオン状態に切り換えている間に前記第1スイッチへの入力操作があったとき、当該入力操作の態様に応じた複数種の命令を実行可能に構成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、第1スイッチが上記3端子スイッチである場合、オン状態に切り換えられた第2スイッチを介して電源から制御回路部への電力の供給が継続的に行われている間も、制御回路部は第1スイッチへの入力操作を検知できる。具体的には、第2スイッチがオン状態であり、第1スイッチがノーマルクローズ端子とコモン端子との接続状態(即ち、第1スイッチはオフ状態)にあるとき、ノーマルクローズ端子には第2スイッチ及びコモン端子を介して電源からの電圧が印加されるので、制御回路部のスイッチ入力ポートにも電圧が印加されている。その状態で第1スイッチへの入力操作があったとき、第1スイッチがノーマルオープン端子とコモン端子との接続状態(第1スイッチはオン状態)になるため、ノーマルクローズ端子に接続されている制御回路部のスイッチ入力ポートには電圧が印加されなくなる。その結果、制御回路部は、電源から第2スイッチを介した制御回路部への電力供給に影響を受けることなく、第1スイッチSW1への入力操作があったことを検知できる。
従って、第1スイッチを、負荷部への電力供給の開始指令及び停止指令を行うための手段としてだけでなく、負荷部への電力供給形態の変更指令を受け付ける手段として利用できる。具体的には、予め、第1スイッチへの入力操作の回数、入力操作の持続期間などの入力操作の態様と、制御回路部に対する複数種の命令とを関連付けておけば、使用者は、第1スイッチに対する入力操作の態様を変えることで制御回路部に対する複数種の命令を区別して入力できる。
【0018】
本発明に係る電源制御装置の更に別の特徴構成は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチと前記制御回路部の前記電源ポートとの間に電圧検出回路部を備える点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、電圧検出回路部は、第1スイッチ及び第2スイッチよりも制御回路部側に設けられているので、電圧検出回路部が電源電圧を検出する際の消費電力(即ち、電圧検出回路部に通電される電力)は、待機電力を零にする妨げとはならない。
【0020】
本発明に係る電源制御装置の更に別の特徴構成は、前記電源から前記制御回路部に電力が供給されている間に前記電源により充電され、前記電源から前記制御回路部に電力が供給されなくなると前記制御回路部に電力を供給するコンデンサを備え、
前記制御回路部は、前記電圧検出回路部の検出結果に基づいて前記電源からの電力供給が停止したことを検知すると、前記第3スイッチをオフ状態に切り換える点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、電源から制御回路部への電力の供給が停止されても、一定期間はコンデンサに充電されていた分の電力が制御回路部に供給される。その結果、制御回路部は、電圧検出回路部の検出結果に基づいて電源からの電力供給が停止したことを検知すると、第3スイッチをオフ状態に切り換えることができる。例えば、電源からの電力の供給が制御回路部の制御によらない事態によって瞬間的に停止したような場合(例えば、電気ケトルのケトル本体が、給電用の電源プレートから持ち上げられた場合など)、制御回路部はコンデンサから供給される電力によって動作できるため、第2スイッチはオン状態のまま維持される。しかし、制御回路部は、安全のため第3スイッチをオフ状態に切り換えて、再び電源からの電力供給が復帰しても電源から負荷部への電力の供給を行わないようにする。
【0022】
本発明に係る電源制御装置の更に別の特徴構成は、光学的な報知手段及び音声報知手段の少なくとも何れか一方を備え、
前記制御回路部は、前記第1スイッチに前記入力操作が行われて前記電源から前記電源ポートへの電力供給が開始されると、或いは、異常が発生したと判定すると、前記光学的な報知手段及び前記音声報知手段の少なくとも何れか一方を作動させる点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、電源から制御回路部の電源ポートへの電力供給が開始されたことを、光学的な報知手段及び音声報知手段を用いて第1スイッチの操作者に対して確実に知らせることができる。また、上述したような、第3スイッチが溶着するなどの異常、及び、電源からの電力の供給が制御回路部の制御によらない事態によって瞬間的に停止したような異常が発生した場合に、その異常の発生を使用者に対して確実に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電源制御装置の概念を説明する回路図である。
【図2】電源制御装置の具体例を説明する回路図である。
【図3】電源制御装置の所定部位での電圧を説明するグラフである。
【図4】別の電源制御装置の概念を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照して本発明に係る電源制御装置について説明する。この電源制御装置は、様々な電気機器に搭載されて電源からの電力供給状態を制御するものである。
図1は、電源制御装置の概念を説明する回路図である。図示するように、電源制御装置は、制御回路部としてのマイクロコンピュータ2と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とを備える。尚、図1は、待機電力を零にするための回路構成を説明することを目的としており、後述する電力負荷部は省略している。
【0026】
第1スイッチSW1は、機械式のスイッチであり、オフ状態となるように常時付勢され、及び、人的な入力操作が行われるとその間だけオン状態に切り換わる。具体的には、第1スイッチSW1は、コモン端子cとノーマルクローズ端子ncとノーマルオープン端子noとを有する3端子スイッチである。よって、第1スイッチSW1は、ノーマルクローズ端子ncとコモン端子cとが接続されているオフ状態と、人的な入力操作が行われたときにノーマルオープン端子noとコモン端子cとが接続されるオン状態との間で切り換わる。
【0027】
第1スイッチSW1は、電源1とマイクロコンピュータ2の電源ポート21との間に設けられる。具体的には、コモン端子cは、マイクロコンピュータ2の電源ポート21に接続される。ノーマルクローズ端子ncは、第1スイッチSW1へ入力操作が行われたことを検知するためのマイクロコンピュータ2のスイッチ入力ポート22に接続される。ノーマルオープン端子noは、電源1に接続される。ここで、コモン端子cと電源ポート21との間、ノーマルクローズ端子ncとスイッチ入力ポートとの間、及び、ノーマルオープン端子noと電源1との間は、直接又は何らかの電気部品を介して間接的に接続されていればよい。第1スイッチSW1をこのように構成することで、第1スイッチSW1への入力操作が行われていない間は、ノーマルオープン端子noとコモン端子cとは接続されていない。つまり、電源1とマイクロコンピュータ2の電源ポート21とは、第1スイッチSW1を介して接続されていないので、第2スイッチSW2がオフ状態であれば、電源1からマイクロコンピュータ2の電源ポート21への電力の供給を確実に遮断できる。その結果、電源制御装置が搭載されている電気機器の待機電力を零にできる。一方で、第1スイッチSW1への入力操作が行われると、ノーマルオープン端子noとコモン端子cとが接続される。その結果、電源1とマイクロコンピュータ2の電源ポート21とが第1スイッチSW1を介して接続されて、電源1からマイクロコンピュータ2の電源ポート21への電力の供給が開始される。
【0028】
第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1と並列に且つ電源1とマイクロコンピュータ2の電源ポート21との間に設けられる半導体スイッチで構成される。この半導体スイッチはマイクロコンピュータ2によって動作が制御される。具体的には、本実施形態の第2スイッチSW2は、トライアック3と発光ダイオードD2などの発光素子とで構成されるフォトトライアックカプラ(半導体スイッチの一例)である。トライアック3は、電源1とマイクロコンピュータ2の電源ポート21との間に設けられる。発光ダイオードD2は、トライアック3のマイクロコンピュータ2の電源ポート21の側とマイクロコンピュータ2のスイッチ制御ポート26との間に設けられる。
【0029】
次に、第2スイッチSW2の動作について説明する。上述したように、第1スイッチSW1への入力操作が行われると、電源1からマイクロコンピュータ2の電源ポート21への電力の供給が開始される。マイクロコンピュータ2は、電力の供給が開始されると、スイッチ制御ポート26をLO(ロー)レベルに制御する。その結果、発光ダイオードD2のカソード側がLOレベルとなるので、発光ダイオードD2は順方向に電流が流れて発光する。そうすると、トライアック3もオン状態になる。つまり、第2スイッチSW2がオン状態となって、電源1から第2スイッチSW2を介してマイクロコンピュータ2の電源ポート21への電力の供給が行われる。一方で、マイクロコンピュータ2が、スイッチ制御ポート26をHIレベルに切り換えると、発光ダイオードD2はオフ状態となって、トライアック3もオフ状態となる。その結果、マイクロコンピュータ2の電源ポート21への第2スイッチSW2を介した電力の供給状態は停止する。
【0030】
以上のように、マイクロコンピュータ2は、スイッチ制御ポート26のLOレベル及びHIレベルを切り換えることで、第2スイッチSW2のオン状態及びオフ状態を切り換えることができる。そして、マイクロコンピュータ2は、第1スイッチSW1への入力操作が行われているとき、電源1から第1スイッチSW1を介して電源ポート21への電力の供給を受けて第2スイッチSW2をオン状態に切り換え、第2スイッチSW2がオン状態に切り換わると、第1スイッチSW1への入力操作が中止されても、電源1から第2スイッチSW2を介して電源ポート21への電力の供給を受け続ける。
【0031】
図2は、電源制御装置の具体例を説明する回路図である。本実施形態では、電源制御装置が、電気ケトルや電気ポットなどの電気湯沸器に用いられる場合を想定している。
図示するように、電源制御装置は、上述した第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及びマイクロコンピュータ2に加えて、マイクロコンピュータ2によってオン状態及びオフ状態が切り換え制御される第3スイッチSW3と負荷部7とが直列接続されて構成される電力負荷部4を備える。本実施形態では、電源制御装置が電気湯沸器に用いられる例を説明するので、上記負荷部7は、湯沸用のヒータ(抵抗加熱器)である。電力負荷部4は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とマイクロコンピュータ2とに対して並列に設けられる。本実施形態において、第3スイッチSW3はリレースイッチで構成される。後述のように、第3スイッチSW3のオン状態及びオフ状態は、マイクロコンピュータ2によって制御される。加えて、電源制御装置は、電源1からマイクロコンピュータ2に電力が供給されている間に電源1により充電され、電源1からマイクロコンピュータ2に電力が供給されなくなるとマイクロコンピュータ2に電力を供給するコンデンサ17を備える。このコンデンサ17は、上述のようなバックアップ電源としての用途だけでなく、マイクロコンピュータ2に供給される電力の安定化或いはノイズカットなどの機能も果たす。
【0032】
具体的には、電源制御装置は、電源ポート21と電源グランドポート23との間にリレーコイル5を備える。マイクロコンピュータ2は、自身のリレーポート25をLOレベル及びHIレベルに切り換えることで、トランジスタ6のオン状態及びオフ状態を制御する。つまり、上述したように第1スイッチSW1がオン状態になって電源ポート21に電力が供給されると、マイクロコンピュータ2がリレーポート25をLOレベルに制御してトランジスタ6をオン状態に切り換えている間、そのトランジスタ6を介してリレーコイル5にも電力が供給される。リレーコイル5に電力が供給されると、第3スイッチSW3が作動してオン状態に切り換わる。そして、負荷部7に電力が供給される。
【0033】
尚、本実施形態では、電源制御装置は、湯温を検出する温度センサ10を備える。よって、マイクロコンピュータ2は、温度センサ10の検出結果に基づいて、湯温が設定温度以上であると判定すると(即ち、湯温が充分に高いと判定すると)、上述したような負荷部7への電力供給を行わない。或いは、マイクロコンピュータ2は、先ず、上述したような負荷部7への電力供給を行った後、温度センサ10の検出結果に基づいて、湯温が設定温度以上であると判定すると、後述するような負荷部7への電力供給の停止を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ2は、後述する光学的な報知手段8及び音声報知手段9の少なくとも何れか一方を用いて、負荷部7への電力供給を行わなかったこと、或いは、負荷部7への電力供給を停止したことを報知してもよい。
【0034】
図3は、電源制御装置の所定部位での電圧を説明するグラフである。具体的には、Aは、第1スイッチSW1に対して入力操作が行われた時刻を零としたときの、図2の回路図の電圧VAの時間的変化を示すグラフであり、Bは、図2の回路図の電圧VBの時間的変化を示すグラフである。マイクロコンピュータ2の動作に必要な電圧はV1であるので、時刻t1にマイクロコンピュータ2は起動する。そして、上述した第2スイッチSW2のオン状態への切り換え制御プログラムを実行する。また、マイクロコンピュータ2は、時刻t1において起動したときに、リレーコイル5のオン状態への切り換え制御プログラムも実行可能であるが、実際にその制御プログラムを実行するのは時刻t2を経過してからである。何故ならば、リレースイッチである第3スイッチSW3を作動させるのに必要な磁力をリレーコイル5で発生させるためには、電圧VAがV2にまで上昇するのを待つ必要があるからである。従って、マイクロコンピュータ2は、時刻t2以降においてリレーコイル5のオン状態への切り換え制御プログラムを実行する。
【0035】
図1〜図3を参照して説明したように、第1スイッチSW1への入力操作が行われる前までは、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3はオフ状態に切り換わっているので、電源制御装置の待機電力は零である。そして、第1スイッチSW1への入力操作が行われると、マイクロコンピュータ2への電力供給が開始されて、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3がオン状態に切り換えられる。また、電力負荷部4が第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とマイクロコンピュータ2とに対して並列に設けられるので、第2スイッチSW2には電力負荷部4に流れるのと同程度の大電流が流れることはない。つまり、第2スイッチSW2にはマイクロコンピュータ2などの動作に必要な電流が流れるのみであり、その結果、耐電流の高いスイッチを用いなくてもよいため、第2スイッチSW2のコストを低くできる。加えて、第2スイッチSW2には大電流を流す必要がないため、第2スイッチSW2として、上述のような半導体スイッチ(フォトトライアックカプラ)を用いることができる。半導体スイッチは、従来から用いられていたリレースイッチとは異なり接点の開閉音がするといった問題及び接点寿命の問題も発生しない。また、半導体スイッチは、リレースイッチと比べて部品サイズが小さいため、省スペース化が可能である。ここで、第2スイッチSW2には大電流は流れないので、第2スイッチSW2を冷却するためのファンやヒートシンクは必要とはならない。
【0036】
また、電源制御装置は、光学的な報知手段8及び音声報知手段9の少なくとも何れか一方を備え、第1スイッチSW1に入力操作が行われて電源1から電源ポート21への電力供給が開始されると、光学的な報知手段8及び音声報知手段9の少なくとも何れか一方を作動させる。光学的な報知手段8としては、発光ダイオードなどの各種発光素子や液晶表示装置などを利用できる。また、音声報知手段9としては、圧電ブザーなどの各種音声発生手段を利用できる。
【0037】
更に、電源制御装置は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2とマイクロコンピュータ2の電源ポート21との間に電圧検出回路部15を備える。この電圧検出回路部15は、電圧波形のゼロクロス点を検出するものである。具体的には、マイクロコンピュータ2は、電圧検出回路部15に接続されているゼロクロスポート24に入力されるパルスを検出することで、電源1からの電力供給が正常に行われているのか否かを判定できる。このように、電圧検出回路部15は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2よりもマイクロコンピュータ2側に設けられているので、電圧検出回路部15が電源電圧を検出する際の消費電力(即ち、電圧検出回路部15に通電される電力)は、待機電力を零にする妨げとはならない。
【0038】
更に、マイクロコンピュータ2は、電圧検出回路部15の検出結果に基づいて電源1からの電力供給が停止したことを検知して第3スイッチSW3をオフ状態に切り換える。例えば、電気湯沸器としての電気ケトル(図示せず)に本発明の電源制御装置が搭載されている場合、その電気ケトルは、電源プレートとケトル本体とで構成される。電源プレートは、家庭用コンセントなどに接続される電源ケーブル及びケトル本体が装着される給電機構を有する据置式のものであり、ケトル本体は、持ち運び可能であり且つ電源プレート上に載置して給電機構と装着されることで電力の供給を受けることができものである。本発明に係る電源制御装置の構成要素のうち、電源1は電源プレート側に位置し、電力負荷部4や第1スイッチSW1、第2スイッチSW2及びマイクロコンピュータ2などはケトル本体側に位置する。このような構成の場合、電力負荷部4を構成する第3スイッチSW3がオン状態(即ち、負荷部7に通電することによる湯沸しが実行中の状態)にあるときに、ケトル本体が持ち上げられて電源プレート(即ち、電源1)から取り外される可能性がある。そのとき、電源1からマイクロコンピュータ2への電力の供給は停止されるが、一定期間はコンデンサ17に充電されていた分の電力がマイクロコンピュータ2へ供給されるため、マイクロコンピュータ2は一定期間は動作可能である。
【0039】
その結果、マイクロコンピュータ2は、電源検出回路部15に接続されているゼロクロスポート24にパルスが入力されなくなること、即ち、ケトル本体が電源プレートから取り外されることで電源1からの電力供給が停止したことを検知できる。そして、マイクロコンピュータ2は、電源1からの電力の供給が自己の制御によらない事態によって瞬間的に停止したと判定して、第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えておく。そうすると、ケトル本体が電源プレートに再び載置されたときであっても、第3スイッチSW3はオフ状態になっているので、湯沸しが突然開始されることは無いので安全である。
【0040】
以上のようにして、負荷部(ヒータ)7への電力供給が開始されて、電源1からの電力供給状態が電圧検出回路部15によって監視されつつ湯沸かしが行われる。その後、マイクロコンピュータ2は、温度センサ10の検出結果が湯沸完了条件を満たすと、湯沸かしが完了したと判定して第3スイッチSW3をオフ状態に制御する。湯沸完了条件としては、例えば、温度センサ10で検出される湯温が設定温度を超えた場合などがある。
【0041】
次に、マイクロコンピュータ2が、負荷部7への電力供給を停止し、及び、自身への電力供給も停止する手順について説明する。
マイクロコンピュータ2は、負荷部7への電力供給を停止するためにリレーポート25のレベルを切り換え、及び、自身への電力供給を停止するためにスイッチ制御ポート26のレベルを切り換える。具体的には、マイクロコンピュータ2は、上述した湯沸し完了条件が満たされたと判定すると、リレーポート25をHIレベルに切り換える。そうすると、トランジスタ6がオフ状態となって、リレーコイル5に電流が流れなくなる。その結果、第3スイッチSW3がオフ状態に切り換わって、負荷部7への電力供給が停止される。そして、マイクロコンピュータ2は、光学的な報知手段8及び音声報知手段9の少なくとも何れか一方を用いて、負荷部7への電力供給を停止したことを報知する。
また、マイクロコンピュータ2は、スイッチ制御ポート26をHIレベルに切り換える。そうすると、発光ダイオードD2に電流が流れなくなって、トライアック3がオフ状態に切り換わる(即ち、第2スイッチSW2がオフ状態に切り換わる)。その結果、電源1からマイクロコンピュータ2の電源ポート21への第2スイッチSW2を介した電力の供給が停止される。
【0042】
尚、マイクロコンピュータ2が、リレーポート25をHIレベルに切り換えて第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えようとしても、第3スイッチSW3が溶着するなどの問題が生じていた場合には第3スイッチSW3がオフ状態に切り換わらずに導通したままとなって、電源1から負荷部7への電力供給が継続される可能性がある。そのような問題を検知するため、本実施形態では、第3スイッチSW3と負荷部7との間から、マイクロコンピュータ2の電源ポート21へと繋がる分岐線16を設け、その分岐線16には電流がマイクロコンピュータ2の電源ポート21へ向かう方向にのみ流れることを許容するダイオードD3(半導体素子の一例)を設けている。つまり、第3スイッチSW3が溶着するなどの問題が生じていた場合には、マイクロコンピュータ2が第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えて、自己への電力供給を停止させ且つ負荷部7への電力供給を停止させようとしても、第3スイッチSW3及び分岐線16を介して自己に電力が供給され続けるという異常が発生するため、マイクロコンピュータ2は、第3スイッチSW3が溶着していると判定できる。
【0043】
具体的には、マイクロコンピュータ2は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオン状態からオフ状態に切り換えてからの継続期間を計測し、その継続期間が設定期間以上になると第3スイッチSW3が異常であると判定する。リレーポート25がHIレベルに切り換えられ、且つ、スイッチ制御ポート26がHIレベルに切り換えられた場合、上述のような問題が生じていなければ第3スイッチSW3及び第2スイッチSW2は共にオフ状態になるため、電源1から電源ポート21には電力供給は行われない。電源1からの電力供給が停止されても、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えた後の一定期間はコンデンサ17に充電されていた分の電力がマイクロコンピュータ2に供給される。但し、コンデンサ17に充電されていた電力が無くなるとマイクロコンピュータ2に電力は供給されなくなって動作が停止する。ところが、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えた後の一定期間を超えても、第3スイッチSW3が溶着によって導通していれば、第3スイッチSW3及び分岐線16を介して電源1からマイクロコンピュータ2へ電力が供給されるため、マイクロコンピュータ2は動作を停止しない。
【0044】
つまり、マイクロコンピュータ2は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えた後、コンデンサ17に充電されていた電力が無くなるまでの一定期間よりも長い設定期間にわたって動作できているならば、第3スイッチSW3及び分岐線16を介して電源1からの電力供給を受けていると判定できる。従って、マイクロコンピュータ2は、第3スイッチSW3が異常であると判定できる。つまり、上記設定期間を、コンデンサ17からマイクロコンピュータ2への電力供給が無くなるまでの一定期間よりも長く設定しておけば、マイクロコンピュータ2は、上述のように第3スイッチSW3が溶着していると判定して、上記報知手段8、9を報知作動させることができる。尚、第3スイッチSW3が正常にオフ状態に作動した場合、コンデンサ17からマイクロコンピュータ2への電力供給が無くなった時点で(即ち、上記設定期間が経過する前に)マイクロコンピュータ2は作動を停止する。その結果、マイクロコンピュータ2は、第3スイッチSW3が異常であると判定することはない。
【0045】
尚、上述の説明では、コンデンサ17に充電されていた電力がマイクロコンピュータ2に供給されることを前提としているが、コンデンサ17からマイクロコンピュータ2への電力供給が無くても、或いは、コンデンサ17が設けられていない場合であっても、マイクロコンピュータ2は上述したような第3スイッチSW3の異常判定を実行可能である。例えば、コンデンサ17からマイクロコンピュータ2への電力供給が無かった場合、或いは、コンデンサ17が設けられていない場合であっても、第3スイッチSW3が溶着によって導通していれば、マイクロコンピュータ2が第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えた後も、第3スイッチSW3及び分岐線16を介して電源1からマイクロコンピュータ2へ電力が供給され続けるため、マイクロコンピュータ2は動作を停止しない。一方で、第3スイッチSW3が溶着しておらず正常にオフ状態に切り換えられるのであれば、マイクロコンピュータ2が第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えた後、即座にマイクロコンピュータ2に電力が供給されなくなる。つまり、マイクロコンピュータ2は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3をオフ状態に切り換えた後、上記設定期間にわたって動作できているならば、第3スイッチSW3及び分岐線16を介して電源1からの電力供給を受けていると判定できる。従って、マイクロコンピュータ2は、第3スイッチSW3が異常であると判定できる。
【0046】
以上のように、分岐線16及びダイオードD3を設けることで、マイクロコンピュータ2が、第3スイッチSW3をオフ状態に制御しようとしたにも拘わらず、実際にはオン状態のまま負荷部7への電力供給が継続されるような問題が生じた場合に、使用者に知らせることができる。
【0047】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、マイクロコンピュータ2が、温度センサ10の検知結果に基づいて、負荷部7への電力の供給を停止する場合について説明したが、第1スイッチSW1への入力操作があった場合に負荷部7への電力の供給を停止するようにも構成されている。例えば、第1スイッチSW1のノーマルクローズ端子ncは、マイクロコンピュータ2のスイッチ入力ポート22に接続される。つまり、マイクロコンピュータ2は、上述のように、第1スイッチSW1への入力操作が行われて電源1からマイクロコンピュータ2の電源ポート21への電力の供給が開始された後、再度、第1スイッチSW1への入力操作があった場合もその入力操作を検知できる。具体的には、第2スイッチSW2がオン状態であり、第1スイッチSW1がノーマルクローズ端子ncとコモン端子cとの接続状態(即ち、第1スイッチSW1はオフ状態)にあるとき、マイクロコンピュータ2のスイッチ入力ポート22には電圧(例えば、5V)が印加されている。その状態で第1スイッチSW1への入力操作があったとき、第1スイッチSW1がノーマルオープン端子noとコモン端子cとの接続状態(即ち、第1スイッチSW1はオン状態)になるため、ノーマルクローズ端子ncに接続されているマイクロコンピュータ2のスイッチ入力ポート22には電圧が印加されなくなる。その結果、マイクロコンピュータ2は、電源1から第2スイッチSW2を介したマイクロコンピュータ2への電力供給に影響を受けることなく、第1スイッチSW1への入力操作があったことを検知できる。よって、マイクロコンピュータ2は、第1スイッチSW1への入力操作が行われて電源1からマイクロコンピュータ2の電源ポート21への電力の供給が開始された後、再度、第1スイッチSW1への入力操作が行われた場合は、その入力操作を負荷部7への電力供給の停止指令と判定して、負荷部7への電力の供給を停止するように構成できる。
【0048】
或いは、第1スイッチSW1を負荷部7への電力供給の開始指令及び停止指令を行うための手段としてだけでなく、負荷部7への電力供給形態の変更指令を受け付ける手段として利用してもよい。具体的には、予め、第1スイッチSW1への入力操作の回数、入力操作の持続期間などの入力操作の態様と、マイクロコンピュータ2に対する複数種の命令とを関連付けておけば、使用者は、第1スイッチSW1に対する入力操作の態様を変えることでマイクロコンピュータ2に対する複数種の命令(例えば、電源制御装置が搭載されている電気機器の動作モードの変更命令など)を区別して入力できる。例えば、マイクロコンピュータ2が、1回目に行われた第1スイッチSW1の入力操作を負荷部7への電力供給の開始(即ち、湯沸かしの開始)の命令と判定し、2回目に行われた第1スイッチSW1の入力操作を負荷部7とは別の保温用ヒータ(図示せず)を用いた保温制御を行う命令と判定し、3回目に行われた第1スイッチSW1の入力操作を負荷部(及び保温用ヒータ)への電力供給の停止(即ち、湯沸かし或いは保温の停止)の命令と判定するように構成してもよい。
【0049】
<2>
上記実施形態では、制御回路部がマイクロコンピュータを用いて構成された例を説明したが、マイクロコンピュータを用いずに待機電力を零にするための電源制御装置を作製できる。図4は、別の電源制御装置の概念を説明する回路図である。図4に例示する電源制御回路において、ヒータなどの負荷部11への電力の供給は、第5スイッチSW5を介して行われる。第5スイッチSW5はリレースイッチであり、そのオン状態及びオフ状態は制御部13によって制御されるリレーコイル14によって切り換えられる。よって、制御部13への電力供給が開始されると、それと共に電力が供給されるリレーコイル14は自動的に第5スイッチSW5をオン状態に切り換え、制御部13への電力供給が停止されると、それと共に電力供給が停止されるリレーコイル14は自動的に第5スイッチSW5をオフ状態に切り換える。図4に例示する電源制御装置において、電源部12へ電力が供給されると制御部13へも電力が供給される。電源部12へは、第4スイッチSW4及び第5スイッチSW5が共にオフ状態の間は電力が供給されない。第4スイッチSW4は、オフ状態となるように常時付勢され及び人的な入力操作を受け付けるとその間だけオン状態に切り換わるスイッチである。
【0050】
次に、この電源制御装置の動作を説明する。
最初に第4スイッチSW4に対して入力操作が行われると、電源1からダイオードD4と第4スイッチSW4とを介して電源部12に電力が供給される。その結果、上述したように、第5スイッチSW5がオン状態に切り換わる。尚、第4スイッチSW4がオン状態であり且つ第5スイッチSW5がオフ状態にあるとき、ダイオードD5によって電流が阻止されて負荷部11へは電流は流れない。そのため、第4スイッチSW4は、電源部12及び制御部13の動作に必要な電流を流すだけの能力があればよい。その結果、第4スイッチSW4として、小型で且つ安価なスイッチを用いることができる。
そして、第5スイッチSW5がオン状態に切り換わると、電源1から第5スイッチSW5を介した負荷部11への電力の供給が行われる。また、その後に第4スイッチSW4への入力操作が停止されても、第5スイッチSW5がオン状態に切り換わって、電源1から第5スイッチSW5及びダイオードD5を介して電源部12への電力の供給が行われるので、第5スイッチSW5のオン状態も維持される。
以上のように、図4に示した電源制御装置でも、使用していない間の待機電力を零にすることができる。
【0051】
以上のように、電源部12へは、第4スイッチSW4及び第5スイッチSW5が共にオフ状態の間は電力が供給されないので、電源制御装置の待機電力を零にできる。そして、第4スイッチSW4に入力操作があったときには、電源部12への電力供給が開始されるとともに、上述のように負荷部11への電力の供給が開始されるようにできる。
【0052】
<3>
上記実施形態では、第2スイッチSW2にフォトトライアックカプラを用いたが、他の半導体スイッチを用いてもよい。例えば、フォトトライアックカプラの代わりにソリッドステートリレーや、サイリスタと発光素子とで構成されるフォトサイリスタカプラを用いてもよい。尚、トライアック3の代わりにサイリスタを用いた場合、電源1の整流目的で設けていたダイオードD1は不要となる。
【0053】
<4>
上記実施形態では、電源1を用いたドロッパ電源の回路構成を例示したが、スイッチング電源の回路構成に改変してもよい。
【0054】
<5>
上記実施形態において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を設ける位置を変更してもよい。例えば、図1の回路構成では、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を電源1とマイクロコンピュータ2の電源ポート21との間に設けているが、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を電源1とマイクロコンピュータ2の電源グランドポート23との間に設けてもよい。但し、その場合は他の回路構成も変更する必要がある。
【0055】
<6>
上記実施形態では、第1スイッチSW1として、コモン端子cとノーマルクローズ端子ncとノーマルオープン端子noとを有する3端子スイッチを用いた場合を例示したが、他の構成のスイッチを用いてもよい。例えば、電源1に接続される端子と、マイクロコンピュータ2の電源ポート21に接続される端子とを有し、その2端子間の接続(オン状態)及び非接続(オフ状態)が人的な入力操作によって切り換えられるだけのスイッチを用いてもよい。
【0056】
<7>
上記実施形態では、本発明に係る電源制御装置が電気ケトルや電気ポットなどの電気湯沸器に用いられる場合を例示したが、電源制御装置を他の電気機器に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の電源制御装置は、機器を使用していない間の待機電力を零にするために利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 電源
2 マイクロコンピュータ(制御回路部)
3 トライアック(フォトトライアックカプラ)
4 電力負荷部
7 負荷部
8 光学的な報知手段
9 音声報知手段
15 電圧検出回路部
16 分岐線
21 電源ポート
22 スイッチ入力ポート
D2 発光ダイオード(発光素子、フォトトライアックカプラ)
D3 ダイオード(半導体素子)
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ(半導体スイッチ、フォトトライアックカプラ)
SW3 第3スイッチ
c コモン端子
nc ノーマルクローズ端子
no ノーマルオープン端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路部と、
電源と前記制御回路部の電源ポートとの間に設けられて、オフ状態となるように常時付勢され及び人的な入力操作を受け付けるとオン状態に切り換わる第1スイッチと、
前記第1スイッチと並列に且つ前記電源と前記制御回路部の電源ポートとの間に設けられ、前記制御回路部によってオン状態及びオフ状態が切り換え制御される半導体スイッチで構成される第2スイッチと、
前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記制御回路部とに対して並列に設けられ、前記制御回路部によってオン状態及びオフ状態が切り換え制御される第3スイッチと負荷部とが直列接続されて構成される電力負荷部と、を備え、
前記制御回路部は、
前記第1スイッチへの前記入力操作が行われているとき、前記電源から前記第1スイッチを介して前記電源ポートへの電力の供給を受けて前記第2スイッチをオン状態に切り換え、
前記第2スイッチがオン状態に切り換わると、前記第1スイッチへの入力操作が中止されても、前記電源から前記第2スイッチを介して前記電源ポートへの電力の供給を受け続ける電源制御装置。
【請求項2】
前記第3スイッチと前記負荷部との間から前記電源ポートへと繋がる分岐線を有し、
前記分岐線には、電流が前記電源ポートへ向かう方向にのみ流れることを許容する半導体素子が設けられている請求項1記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記制御回路部は、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチをオン状態からオフ状態に切り換えてからの継続期間を計測し、前記継続期間が設定期間以上になると前記第3スイッチが異常であると判定する請求項2記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記第2スイッチは、トライアックと発光素子とを組み合わせたフォトトライアックカプラを用いて構成される請求項1〜3の何れか一項に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記第1スイッチは、コモン端子とノーマルクローズ端子とノーマルオープン端子とを有する3端子スイッチであり、
前記コモン端子は、前記制御回路部の前記電源ポートに接続され、
前記ノーマルクローズ端子は、前記第1スイッチへ入力操作が行われたことを検知するための前記制御回路部のスイッチ入力ポートに接続され、
前記ノーマルオープン端子は、前記電源に接続される請求項1〜4の何れか一項に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記制御回路部は、前記第2スイッチをオン状態に切り換えている間に前記第1スイッチへの入力操作があったとき、当該入力操作の態様に応じた複数種の命令を実行可能に構成されている請求項5に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチと前記制御回路部の前記電源ポートとの間に電圧検出回路部を備える請求項1〜6の何れか一項に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記電源から前記制御回路部に電力が供給されている間に前記電源により充電され、前記電源から前記制御回路部に電力が供給されなくなると前記制御回路部に電力を供給するコンデンサを備え、
前記制御回路部は、前記電圧検出回路部の検出結果に基づいて前記電源からの電力供給が停止したことを検知すると、前記第3スイッチをオフ状態に切り換える請求項7記載の電源制御装置。
【請求項9】
光学的な報知手段及び音声報知手段の少なくとも何れか一方を備え、
前記制御回路部は、前記第1スイッチに前記入力操作が行われて前記電源から前記電源ポートへの電力供給が開始されると、或いは、異常が発生したと判定すると、前記光学的な報知手段及び前記音声報知手段の少なくとも何れか一方を作動させる請求項1〜8の何れか一項に記載の電源制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−36090(P2011−36090A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182223(P2009−182223)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】