説明

電源回路遮断装置

【課題】信号回路の遮断とメイン回路の遮断との間に必要なタイムラグを設けると共に、低コストに構成する。
【解決手段】回動レバー9が信号回路操作位置にあるときにだけ第1ロック機構27がロックされ、回動レバー9がメイン回路操作位置にあるときにだけ第2ロック機構29がロックされるようにし、第1ロック機構27のロックを解除しないと第2ロック機構29のロックを解除できないように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイン回路と信号回路を有する電源回路の接続操作と遮断操作を行う電源回路遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド車両では、大電力を扱う電気系統のメンテナンスを行う際には、安全性を保つために、電源側と負荷側とを電源回路遮断装置によって遮断する必要がある。この電源回路遮断装置にはメイン回路と信号回路が設けられており、電源を遮断するに際しては、信号回路とメイン回路の順に回路が遮断される場合は、メイン回路が遮断される際に生じるスパークから信号回路を保護する必要がある。
【0003】
特許文献1に、このような目的に用いられる電源回路遮断装置201が記載されている。
【0004】
図13〜図15に示すように、電源回路遮断装置201は、第1及び第2のコネクタハウジング203,205と、回動操作されるレバー207などから構成されている。メイン回路の一方の端子は第1コネクタハウジング203側に設けられ、メイン回路の他方の端子は第2コネクタハウジング205側に設けられており、信号回路の一方の端子はレバー207のコネクタ部209に設けられ、信号回路の他方の端子はコネクタハウジング203の外部フード部211に設けられている。
【0005】
コネクタハウジング205には一対の支持軸213,213が、また、コネクタハウジング203には一対のカムピン215,215がそれぞれ設けられており、レバー207は直線状の支持軸受け溝217,217で支持軸213,213に係合し、曲線状のカム溝219,219と直線状のカムピン受け溝221,221とでカムピン215,215に係合している。レバー207を、図13の状態から図14の状態まで回動操作すると、カムピン215とカム溝219の間で生じるカムスラスト力により、コネクタハウジング205がコネクタハウジング203に差し込まれてメイン回路の各端子が接続される。さらに、レバー207を、図14の状態から図15の状態まで矢印223のように右方へ押圧操作すると、支持軸213とカムピン215が支持軸受け溝217とカムピン受け溝221の中をそれぞれスライドし、図15のように、コネクタ部209と外部フード部211の間で信号回路の各端子が接続され、電源回路遮断装置201の接続が完了する。
【0006】
また、図15から図13の順で、レバー207を左方に引き出して信号回路の接続を遮断し、さらに、レバー207を上方に回動させればメイン回路の接続が遮断されて電源回路遮断装置201の遮断が完了すると共に、信号回路が遮断された後メイン回路が遮断されるまでの間、レバー207の回動作業分のタイムラグが与えられ、遮断に伴う信号回路の残留電荷がその間に消失するから、メイン回路の遮断に伴うスパークの影響から信号回路が保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−100382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、電源回路遮断装置201は、上記のように、レバー207をスライドさせることによって信号回路の遮断とメイン回路の遮断との間にタイムラグを与えているから、レバー207のスライド幅(図14のS)だけ余分な作業スペースが必要である上に、金型もこれに応じて構造が複雑になり、コスト高になる。
【0009】
そこで、この発明は、信号回路の遮断とメイン回路の遮断との間に必要なタイムラグを設けることができると共に、スライド機能が不要であって低コストに構成された電源回路遮断装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の電源回路遮断装置は、メイン回路の一方の端子を有する第1のコネクタハウジングと、メイン回路の他方の端子及び信号回路の一方の端子を有する第2のコネクタハウジングと、信号回路の他方の端子を有すると共に、カム機構を介して前記両コネクタハウジングに連結され、両コネクタハウジングを着脱する着脱操作位置とメイン回路の断続を行うメイン回路操作位置と信号回路の断続を行う信号回路操作位置との間で回動操作され、前記カム機構のカムスラスト力によって両コネクタハウジングを近接または離間させる回動レバーとを備え、メイン回路は、回動レバーが、着脱操作位置にあるときは接続が遮断され、メイン回路操作位置にあるときは接続され、信号回路は、回動レバーが、着脱操作位置及びメイン回路操作位置にあるときは接続が遮断され、信号回路操作位置にあるときは接続される電源回路遮断装置であって、回動レバーを信号回路操作位置にロックする第1ロック機構と、回動レバーをメイン回路操作位置にロックする第2ロック機構とを設けると共に、回動レバーが信号回路操作位置にあるときにだけ第1ロック機構がロックされ、回動レバーがメイン回路操作位置にあるときにだけ第2ロック機構がロックされるようにしたことによって、第1ロック機構のロックを解除しないと第2ロック機構のロックを解除することができないように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2の電源回路遮断装置は、請求項1に記載された発明であって、第1ロック機構と第2ロック機構は、それぞれ第2のコネクタハウジングと回動レバーとの間に設けられた互いに係脱可能な係止部と被係止部とからなると共に、第1ロック機構と第2ロック機構において、係止部と被係止部のいずれか一方が可撓片上に設けられており、各可撓片を撓める操作によって各ロック機構のロックが解除されることを特徴とする。
【0012】
請求項3の電源回路遮断装置は、請求項2に記載された発明であって、第1ロック機構と第2ロック機構の可撓片は、それぞれのロックを解除する際、互いに異なった方向に操作されることを特徴とする。
【0013】
請求項4の電源回路遮断装置は、請求項2又は請求項3に記載された発明であって、第1ロック機構と第2ロック機構の可撓片に、信号回路操作位置とメイン回路操作位置に回動操作される回動レバーと接触し各可撓片を撓ませて各ロック機構をロックさせるテーパー面が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5の電源回路遮断装置は、請求項2〜請求項4のいずれかに記載された発明であって、第2ロック機構の可撓片が第2コネクタハウジングに形成されている場合は回動レバーに、また、第2ロック機構の可撓片が回動レバーに形成されている場合は第2コネクタハウジングに、回動レバーが信号回路操作位置にあるときの前記可撓片の撓みを防止する撓み防止片がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の電源回路遮断装置は、回動レバーを信号回路操作位置にロックする第1ロック機構と回動レバーをメイン回路操作位置にロックする第2ロック機構を、回動レバーがそれぞれのロック位置にあるときにだけ作動するようにし、第1ロック機構がロックされている間は第2ロック機構のロックを解除できないように構成したので、回動レバーを信号回路操作位置からメイン回路操作位置まで回動させる時間と第2ロック機構のロックを解除する時間だけ、信号回路の遮断とメイン回路の遮断との間にタイムラグを設けることができるから、メイン回路遮断に伴うスパークの影響から信号回路が保護される。
【0016】
また、従来例と異なって、タイムラグを設けるためのスライド機能が不要であるから、金型も構造が簡単になり、それだけ低コストに構成することができる。
【0017】
請求項2の電源回路遮断装置は、請求項1の構成と同等の効果が得られる。
【0018】
また、第1ロック機構と第2ロック機構を構成する係止部と被係止部のいずれか一方を可撓片上に設けたことにより、可撓片を撓めるだけで各ロック機構のロックを容易に解除することができる。
【0019】
また、各ロック機構の係止部と被係止部は、第2コネクタハウジングと回動レバーのいずれに設けてもよいから、設計上の自由度が高い。
【0020】
請求項3の電源回路遮断装置は、請求項2の構成と同等の効果が得られる。
【0021】
また、第1ロック機構と第2ロック機構は、各可撓片の操作方向を互いに異なった方向に設定してあるから、操作ミスが防止される。
【0022】
請求項4の電源回路遮断装置は、請求項2又は請求項3の構成と同等の効果が得られる。
【0023】
また、第1ロック機構と第2ロック機構の可撓片に回動レバーと接触して各可撓片を撓ませるテーパー面を設けたから、回動レバーを信号回路操作位置とメイン回路操作位置まで回動操作するだけで各ロック機構を容易にロックさせることができる。
【0024】
請求項5の電源回路遮断装置は、請求項2〜請求項4の構成と同等の効果が得られる。
【0025】
また、第2ロック機構の可撓片が第2コネクタハウジングに形成されている場合は回動レバーに、また、第2ロック機構の可撓片が回動レバーに形成されている場合は第2コネクタハウジングに、回動レバーが信号回路操作位置にあるときの可撓片の撓みを防止する撓み防止片を設けたから、第1ロック機構のロックを解除する前に、あるいは、第1ロック機構のロックを解除する際に、第2ロック機構を不用意に解除してしまう誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】回動レバー9が信号回路操作位置にある状態の第1実施例(電源回路遮断装置1)を示す斜視図である。
【図2】図1の電源回路遮断装置1の断面図である。
【図3】回動レバーがメイン回路操作位置にある状態の電源回路遮断装置1を示す斜視図である。
【図4】図3の電源回路遮断装置1の断面図である。
【図5】電源回路遮断装置1において、回動レバー9が信号回路操作位置及びメイン回路操作位置にあるときの第1ロック機構27と第2ロック機構29の状態を示す模式図である。
【図6】回動レバー9が信号回路操作位置にある状態の第2実施例(電源回路遮断装置101)を示す上面図である。
【図7】電源回路遮断装置101において、回動レバー9が信号回路操作位置及びメイン回路操作位置にあるときの第1ロック機構103と第2ロック機構105の状態を示す模式図である。
【図8】回動レバー9が信号回路操作位置にある状態の第3実施例(電源回路遮断装置151)を示す上面図である。
【図9】回動レバー9が信号回路操作位置にある状態の電源回路遮断装置151において、第1ロック機構153と第2ロック機構155の部分を切り欠いて示す斜視図である。
【図10】回動レバー9が信号回路操作位置にある状態の電源回路遮断装置151において、第1ロック機構153を示す模式図である。
【図11】回動レバー9が信号回路操作位置にある状態の電源回路遮断装置151において、第2ロック機構155と撓み防止片173を示す模式図である。
【図12】回動レバー9がメイン回路操作位置にある状態の電源回路遮断装置151において、第2ロック機構155を示す模式図である。
【図13】従来の電源回路遮断装置201において、メイン回路と信号回路の接続がいずれも遮断されている状態を示す図面である。
【図14】従来の電源回路遮断装置201において、メイン回路だけが接続されている状態を示す図面である。
【図15】従来の電源回路遮断装置201において、メイン回路と信号回路の両方が接続されている状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施例〕
図1〜図5によって電源回路遮断装置1(第1実施例)の説明をする。
【0028】
[電源回路遮断装置1の構成]
電源回路遮断装置1は、第1及び第2のコネクタハウジング3,5と、カム機構7を介してコネクタハウジング3,5に連結された回動レバー9などから構成されている。第1コネクタハウジング3はメイン回路の一方の端子11,11を収容し、第2コネクタハウジング5はメイン回路の他方の端子13,13及び信号回路の一方の端子15,15を収容しており、信号回路の他方の端子17,17は回動レバー9に収容されている。また、第2コネクタハウジング5にはヒューズ19が収容されており、端子13,13はヒューズ19に接続されている。
【0029】
また、カム機構7は、第2コネクタハウジング5に形成された支持軸21,21に回動レバー9を回動自在に連結すると共に、第1コネクタハウジング3に設けられたカムピン23,23に回動レバー9の曲線状のカム溝25,25を挿通して構成されており、回動レバー9を、コネクタハウジング3,5を着脱する着脱操作位置とメイン回路を断続するメイン回路操作位置(図3と図4の位置)と信号回路を断続する信号回路操作位置(図1と図2の位置)との間で回動操作すると、カム機構7のカムスラスト力によってコネクタハウジング3,5が近接し、また、離間する。
【0030】
このとき、メイン回路の端子11,13(SW1)は、回動レバー9が、着脱操作位置にあるときは接続が遮断され、メイン回路操作位置にあるときは接続される。また、信号回路の端子15,17(SW2)は、回動レバー9が、着脱操作位置及びメイン回路操作位置にあるときは接続が遮断され、信号回路操作位置にあるときは接続される。
【0031】
回動レバー9と第2コネクタハウジング5との間には、回動レバー9を信号回路操作位置にロックする第1ロック機構27と、回動レバー9をメイン回路操作位置にロックする第2ロック機構29が設けられており、図5のように、第1ロック機構27は回動レバー9が信号回路操作位置にあるときだけロックし、第2ロック機構29は回動レバー9がメイン回路操作位置にあるときだけロックする。
【0032】
図5のように、第1ロック機構27と第2ロック機構29は、第2コネクタハウジング5側の係止部31,33と、回動レバー9に形成された被係止部35とからなり、係止部31,33は第2コネクタハウジング5に設けられた可撓片37,39の先端部に形成され、可撓片37,39を互いの反対方向に撓めることによって各ロック機構27,29のロックが解除される。
【0033】
また、第1ロック機構27と第2ロック機構29の係止部31,33には、回動操作された回動レバー9(被係止部35)と接触し可撓片37,39を撓ませて被係止部35と係止部31,33とを係止させ各ロック機構27,29をロックするテーパー面41,43が形成されている。
【0034】
電源回路遮断装置1は電源部と負荷部との間に配置され、メイン回路の端子11,13で構成されるSW1と、信号回路の端子15,17で構成されるSW2とが直列に接続されており、メイン回路と信号回路の両方が接続されているときだけ電源回路はON状態でる。例えば、回動レバー9がメイン回路操作位置にあるときのように、メイン回路が接続されていても、信号回路が遮断されていれば電源回路はOFFである。
【0035】
電源回路をONにするには、回動レバー9を着脱操作位置に回動した状態でコネクタハウジング3,5を互いに位置合わせした後、回動レバー9をメイン回路操作位置(図3と図4の位置)まで回動させると、カム機構7のカムスラスト力によってコネクタハウジング3,5が嵌合し、メイン回路の端子11,13(SW1)がONになる。また、このとき、回動レバー9(被係止部35)が係止部33のテーパー面43と接触し、可撓片39が撓んで係止部33が被係止部35と係止し、ロック機構29がロックされる。
【0036】
さらに、回動レバー9を信号回路操作位置(図1と図2の位置)まで回動させると、信号回路の端子15,17(SW2)がONになって電源回路がONになると共に、ONになった信号回路を介してメイン回路のON情報が通知される。また、このとき、回動レバー9(被係止部35)が係止部31のテーパー面41と接触し、可撓片37が撓んで係止部31が被係止部35と係止し、ロック機構27がロックされる。
【0037】
このように、第1ロック機構27は回動レバー9が信号回路操作位置にあるときだけロックし、第2ロック機構29は回動レバー9がメイン回路操作位置にあるときだけロックする。
【0038】
また、電源回路をOFFにするには、信号回路操作位置に回動レバー9をロックしている第1ロック機構27の可撓片37を図5の矢印45の方向に撓め、被係止部35と係止部31との係止を外してロック機構27のロックを解除した後、矢印47のように、回動レバー9を引き上げれば信号回路端子15,17(SW2)がOFFになり、さらに、回動レバー9をメイン回路操作位置まで引き上げれば、被係止部35が第2ロック機構29の係止部33に係止して第2ロック機構29がロックされる。
【0039】
さらに、第2ロック機構29の可撓片39を矢印49の方向に撓め、被係止部35と係止部33との係止を外してロック機構29のロックを解除した後、回動レバー9をメイン回路操作位置からさらに回動させれば、メイン回路端子11,13(SW1)がOFFになって電源回路OFFになり、さらに、回動レバー9を着脱操作位置まで回動させれば、カム機構7のカムスラスト力によってコネクタハウジング3,5の嵌合が解除される。
【0040】
上記のように、第1ロック機構27のロックを解除しないと第2ロック機構29のロックを解除することが不可能であると共に、回動レバー9を信号回路操作位置からメイン回路操作位置まで回動させる時間と第2ロック機構29のロックを解除する時間だけのタイムラグが信号回路の遮断とメイン回路の遮断との間に設定される。
【0041】
[電源回路遮断装置1の効果]
電源回路遮断装置1は、回動レバー9がそれぞれのロック位置(信号回路操作位置とメイン回路操作位置)にあるときにだけ第1ロック機構27と第2ロック機構29のロック解除操作が可能になるようにし、第1ロック機構27のロックを解除しないと第2ロック機構29のロックを解除できないように構成したので、回動レバー9を信号回路操作位置からメイン回路操作位置まで回動させる時間と第2ロック機構のロックを解除する時間だけ、上記のように、信号回路の遮断とメイン回路の遮断との間にタイムラグが得られるから、メイン回路の遮断に伴うスパークの影響から信号回路が保護される。
【0042】
また、タイムラグを設けるためのスライド機能が不要であるから、金型も構造が簡単になり、それだけ低コストに構成することができる。
【0043】
また、第1ロック機構27と第2ロック機構29の係止部31,33を可撓片37,39上に設けたことにより、可撓片37,39を撓めるだけで各ロック機構27,29のロックを容易に解除できる。
【0044】
なお、各ロック機構27,29の係止部31,33と被係止部35は、第2コネクタハウジング2と回動レバー9のいずれに設けてもよいから、設計上の自由度が高い。
【0045】
また、第1ロック機構27と第2ロック機構29は、各可撓片37,39の操作方向を互いの反対方向に設定してあるから、誤操作が防止される。
【0046】
また、第1ロック機構27と第2ロック機構29の可撓片37,39(係止部31,33)にテーパー面41,43を設けたので、回動レバー9を信号回路操作位置とメイン回路操作位置まで回動操作するだけで各ロック機構27,29を容易にロックさせることができる。
【第2実施例】
【0047】
図6と図7によって電源回路遮断装置101(第2実施例)の説明をする。
【0048】
電源回路遮断装置101では、回動レバー9を信号回路操作位置にロックする第1ロック機構103とメイン回路操作位置にロックする第2ロック機構105は、図7のように、第2コネクタハウジング5側の係止部107,109と、回動レバー9に形成された被係止部111,113とからなり、係止部107,109は第2コネクタハウジング5に設けられた可撓片115,117に形成され、可撓片115,117を互いの反対方向に撓めることによって各ロック機構103,105のロックが解除される。なお、第2ロック機構105は第1ロック機構103の両側に一対設けられている。
【0049】
また、第1ロック機構103と第2ロック機構105の係止部107,109には、回動操作された回動レバー9(被係止部111,113)と接触し可撓片115,117を撓ませて被係止部111,113と係止部107,109とを係止させ各ロック機構103,105をロックするテーパー面119,121が形成されている。
【0050】
電源回路をONにする際は、回動レバー9をメイン回路操作位置まで回動させると、メイン回路の端子11,13(SW1)がONになると共に、回動レバー9(被係止部113)が係止部109のテーパー面121と接触し、可撓片117が撓んで係止部109が被係止部113と係止してロック機構105がロックされ、さらに、回動レバー9を信号回路操作位置まで回動させると、信号回路の端子15,17(SW2)がONになると共に、回動レバー9(被係止部111)が係止部107のテーパー面119と接触し、可撓片115が撓んで係止部107が被係止部111と係止してロック機構103がロックされる。
【0051】
このように、第1ロック機構103は回動レバー9が信号回路操作位置にあるときだけロックし、第2ロック機構105は回動レバー9がメイン回路操作位置にあるときだけロックする。
【0052】
また、電源回路をOFFにする際は、第1ロック機構103の可撓片115を図7の矢印123の方向に撓め、被係止部111と係止部107の係止を外してロック機構103のロックを解除した後、矢印125のように、回動レバー9を引き上げれば信号回路端子15,17(SW2)がOFFになり、さらに、回動レバー9をメイン回路操作位置まで引き上げれば、被係止部113が第2ロック機構105の係止部109に係止して第2ロック機構105がロックされる。
【0053】
さらに、第2ロック機構105の可撓片117を矢印127の方向に撓め、被係止部113と係止部109の係止を外してロック機構103のロックを解除した後、回動レバー9をメイン回路操作位置からさらに回動させればメイン回路端子11,13(SW1)がOFFになる。
【0054】
[電源回路遮断装置101の効果]
電源回路遮断装置101は、第1ロック機構103と第2ロック機構105のロックを解除する際の可撓片115,117の操作方向をそれぞれ電源回路遮断装置1と反対方向になるように構成したものであり、電源回路遮断装置1と同等の効果が得られる。
【第3実施例】
【0055】
図8〜図12によって電源回路遮断装置151(第3実施例)の説明をする。
【0056】
電源回路遮断装置151では、回動レバー9を信号回路操作位置にロックする第1ロック機構153と、メイン回路操作位置にロックする第2ロック機構155の内、第1ロック機構153は、第2コネクタハウジング5に形成された係止部157と、回動レバー9に形成された被係止部159とからなり、第2ロック機構155は、回動レバー9に形成された係止部161と、第2コネクタハウジング5に形成された被係止部163(図12)とから構成されている。第1ロック機構153の係止部157は第2コネクタハウジング5に設けられた可撓片165に形成され、第2ロック機構155の係止部161は回動レバー9に設けられた可撓片167に形成され、可撓片165,167を互いの反対方向に撓めることによって各ロック機構153,155のロックが解除される。
【0057】
また、第1ロック機構153と第2ロック機構155の係止部157,161には、回動レバー9が回動操作されたとき、回動レバー9の被係止部159と第2コネクタハウジング5の被係止部163とそれぞれ接触し、可撓片165,167を撓ませて被係止部159,163と係止部157,161とを係止させ各ロック機構153,155をロックするテーパー面169,171が形成されている。
【0058】
また、第2コネクタハウジング5には、撓み防止片173が設けられており、回動レバー9が信号回路操作位置にあるときは、第2ロック機構155の可撓片167を第2ロック機構155のロック解除方向に撓ませることができないようにされている。
【0059】
電源回路をONにする際は、回動レバー9をメイン回路操作位置まで回動させると、メイン回路の端子11,13(SW1)がONになると共に、回動レバー9(被係止部161)のテーパー面171が第2コネクタハウジング5の被係止部163と接触し、可撓片167が撓んで係止部161が被係止部163と係止してロック機構155がロックされ、さらに、回動レバー9を信号回路操作位置まで回動させると、信号回路の端子15,17(SW2)がONになると共に、回動レバー9の被係止部159が第2コネクタハウジング5の係止部157のテーパー面169と接触し、可撓片165が撓んで係止部157が被係止部159と係止してロック機構153がロックされる。
【0060】
このように、第1ロック機構153は回動レバー9が信号回路操作位置にあるときだけロックし、第2ロック機構155は回動レバー9がメイン回路操作位置にあるときだけロックする。
【0061】
また、電源回路をOFFにする際は、第1ロック機構153の可撓片165を図10の矢印175の方向に撓め、被係止部159と係止部157の係止を外してロック機構153のロックを解除した後、回動レバー9を引き上げれば信号回路端子15,17(SW2)がOFFになり、さらに、回動レバー9をメイン回路操作位置まで引き上げれば、係止部161がコネクタハウジング5の被係止部163に係止して第2ロック機構155がロックされる。
【0062】
さらに、第2ロック機構155の可撓片167を、図12の矢印177の方向に撓め、被係止部163と係止部161の係止を外してロック機構155のロックを解除した後、回動レバー9をメイン回路操作位置から回動させればメイン回路端子11,13(SW1)がOFFになる。
【0063】
[電源回路遮断装置151の効果]
電源回路遮断装置151は、電源回路遮断装置1と同等の効果が得られる。
【0064】
また、第2ロック機構155の可撓片167を回動レバー9側に設けたので、可撓片を第2コネクタハウジング側に設けた場合と異なって、可撓片167が回動レバー9と一体にメイン回路操作位置まで回動するから、第2ロック機構155のロック解除の際に指先が可撓片167に届き易くなり、解除操作がそれだけ容易になる。
【0065】
また、第2コネクタハウジング5に撓み防止片173を設けたので、回動レバー9が信号回路操作位置にあるときに、可撓片167を第2ロック機構155のロック解除方向に撓ませることができないから、第1ロック機構153のロックを解除する前に、あるいは、第1ロック機構153のロックを解除する際に、第2ロック機構155を不用意に解除してしまう誤操作を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、電気自動車以外にも、一般的なメイン回路と信号回路を有する電源回路の接続操作と遮断操作を行う電源回路遮断装置に用いることもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 電源回路遮断装置
3 第1のコネクタハウジング
5 第2のコネクタハウジング
7 カム機構
9 回動レバー
11,13 メイン回路の端子
15,17 信号回路の端子
27 第1ロック機構
29 第2ロック機構
31,33 係止部
35 被係止部
37,39 可撓片
41,43 テーパー面
101 電源回路遮断装置
103 第1ロック機構
105 第2ロック機構
107,109 係止部
111,113 被係止部
115,117 可撓片
119,121 テーパー面
151 電源回路遮断装置
153 第1ロック機構
155 第2ロック機構
157,161 係止部
159,163 被係止部
165,167 可撓片
169,171 テーパー面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン回路の一方の端子を有する第1のコネクタハウジングと、メイン回路の他方の端子及び信号回路の一方の端子を有する第2のコネクタハウジングと、信号回路の他方の端子を有すると共に、カム機構を介して前記両コネクタハウジングに連結され、両コネクタハウジングを着脱する着脱操作位置とメイン回路の断続を行うメイン回路操作位置と信号回路の断続を行う信号回路操作位置との間で回動操作され、前記カム機構のカムスラスト力によって両コネクタハウジングを近接または離間させる回動レバーとを備え、
メイン回路は、回動レバーが、着脱操作位置にあるときは接続が遮断され、メイン回路操作位置にあるときは接続され、
信号回路は、回動レバーが、着脱操作位置及びメイン回路操作位置にあるときは接続が遮断され、信号回路操作位置にあるときは接続される電源回路遮断装置であって、
回動レバーを信号回路操作位置にロックする第1ロック機構と、回動レバーをメイン回路操作位置にロックする第2ロック機構とを設けると共に、
回動レバーが信号回路操作位置にあるときにだけ第1ロック機構がロックされ、回動レバーがメイン回路操作位置にあるときにだけ第2ロック機構がロックされるようにしたことによって、第1ロック機構のロックを解除しないと第2ロック機構のロックを解除することができないように構成したことを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電源回路遮断装置であって、
第1ロック機構と第2ロック機構は、それぞれ第2のコネクタハウジングと回動レバーとの間に設けられた互いに係脱可能な係止部と被係止部とからなると共に、
第1ロック機構と第2ロック機構において、係止部と被係止部のいずれか一方が可撓片上に設けられており、各可撓片を撓める操作によって各ロック機構のロックが解除されることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項3】
請求項2に記載された電源回路遮断装置であって、
第1ロック機構と第2ロック機構の可撓片は、それぞれのロックを解除する際、互いに異なった方向に操作されることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれかに記載された電源回路遮断装置であって、
第1ロック機構と第2ロック機構の可撓片に、信号回路操作位置とメイン回路操作位置に回動操作される回動レバーと接触し各可撓片を撓ませて各ロック機構をロックさせるテーパー面が形成されていることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかに記載された電源回路遮断装置であって、
第2ロック機構の可撓片が第2コネクタハウジングに形成されている場合は回動レバーに、また、第2ロック機構の可撓片が回動レバーに形成されている場合は第2コネクタハウジングに、回動レバーが信号回路操作位置にあるときの前記可撓片の撓みを防止する撓み防止片がそれぞれ設けられていることを特徴とする電源回路遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−156108(P2012−156108A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16757(P2011−16757)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】