説明

電源管理サーバ、及び電源管理処理プログラム

【課題】供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御する。
【解決手段】電源管理サーバ10が、電力会社提供情報に基づいて、今後の電力使用率を予想した予想電力使用率を導出し、電源管理マスタを参照して導出した予想電力使用率が複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を超える時間帯を特定し、電源管理マスタを参照して特定した時間帯に予想電力使用率が超えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定し、特定した時間帯に到達する所定時間前となったときに、特定した電気機器を示す特定電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令を通信ネットワーク30を介して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給電力により稼働する電気機器の電源を管理する電源管理サーバ、及び電源管理処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各所に設置された電気機器の電源を制御するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、スケジュール管理テーブルを設け、スケジュールにあわせた管理を行うことにより、待機電力を低減しつつ利便性を高めた電気機器の電力管理を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−20989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のシステムでは、あらかじめ定められたスケジュールに従って電源を制御するものであるに過ぎないため、供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御することはできないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消し、供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源管理サーバは、供給電力により稼働する電気機器の電源を管理する電源管理サーバであって、あらかじめ定められた複数段階の節電レベルと、各段階の節電レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタを記憶する電源管理マスタ記憶手段と、電力会社が管理するサーバ装置から取得した電力会社提供情報を記憶する電力会社提供情報記憶手段と、前記電力会社提供情報に基づいて、今後の電力使用率を予想した予想電力使用率を導出する予想電力使用率導出手段と、前記電源管理マスタを参照し、前記予想電力使用率導出手段によって導出された予想電力使用率が前記複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を超える時間帯を特定する電力使用率超過時間帯特定手段と、前記電源管理マスタを参照して、前記電力使用率超過時間帯特定手段によって特定された時間帯に予想電力使用率が超えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定する電気機器特定手段と、前記電力使用率超過時間帯特定手段によって特定された時間帯に到達する所定時間前となったときに、前記電気機器特定手段によって特定された電気機器を示す特定電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給停止命令送信手段とを含むことを特徴とする。
【0007】
上記の構成としたことで、供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御することができるようになる。
【0008】
前記電力会社提供情報は、前年相当日の電力使用量と、前日の電力使用量とを含み、前記予想電力使用率導出手段は、前年相当日の電力使用量と前日の電力使用量とに基づいて予想電力使用率を導出する構成とされていてもよい。
【0009】
前記電力会社提供情報は、予想電力使用率を含み、前記予想電力使用率導出手段は、前記電力会社提供情報に含まれている予想電力使用率をそのまま予想電力使用率として導出する構成とされていてもよい。
【0010】
前記電源管理マスタを参照し、前記予想電力使用率導出手段によって導出された予想電力使用率が前記複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を低下する時間帯を特定する電力使用率低下時間帯特定手段を含み、前記電源管理マスタを参照して、前記電力使用率低下時間帯特定手段によって特定された時間帯に予想電力使用率が低下することとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以上の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定する電力供給開始電気機器特定手段と、前記電力使用率低下時間帯特定手段によって特定された時間帯に到達した特定時間後となったときに、前記電力供給開始電気機器特定手段によって特定された電気機器を示す電力供給開始電気機器に対する電力供給の開始を命令する電力供給開始命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給開始命令送信手段とを含む構成とされていてもよい。
【0011】
前記電力供給停止命令送信手段は、電気機器を管理する電気機器管理端末に対して電力供給停止命令を送信し、前記電気機器管理端末は、電力供給停止命令に従って、通信ネットワークを介して特定電気機器に対して電力供給の停止を指示する構成とされていてもよい。
【0012】
電力供給停止信号を受信して電力供給の停止処理を実行する電気機器からの電力供給を停止状態とすることを示す電力供給停止完了通知を受けた前記電気機器管理端末から、電気機器の電力供給を停止させることが完了した旨を報告するための電力供給停止完了報告を受信する電力供給停止完了報告受信手段と、電力供給停止完了報告を受信したことに応じて、電力供給を停止させることが完了した電気機器を報知する電力供給停止完了報知手段とを含む構成とされていてもよい。
【0013】
電源管理マスタでは、電気機器情報が、当該電気機器情報が示す電気機器を管理する電気機器管理端末を特定可能な端末特定情報に対応付けされている構成とされていてもよい。
【0014】
前記電源管理マスタでは、複数段階のうち最も低いレベルに設定された節電レベルに、電力供給を停止しても支障がない電気機器を示す電気機器情報が対応付けされ、電力供給を停止した場合に生じる支障の度合いが大きい電気機器であるほど、複数段階のうちより高いレベルの節電レベルに当該電気機器を示す電気機器情報が対応付けされる構成とされていてもよい。
【0015】
前記電源管理マスタ記憶手段は、あらかじめ定められた複数段階の緊急レベルと、各段階の緊急レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された緊急対応電源管理マスタを記憶し、緊急レベルの指定を受け付ける緊急レベル受付手段と、前記緊急対応電源管理マスタを参照して、前記緊急レベル受付手段によって受け付けられた緊急レベルが示す緊急度以下の緊急レベルに対応付けされた電気機器を特定する緊急停止電気機器特定手段と、該緊急停止電気機器特定手段によって特定された電気機器を示す緊急停止電気機器に対する電力供給の緊急停止を命令する電力供給緊急停止命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給緊急停止命令送信手段とを含む構成とされていてもよい。
【0016】
前記緊急レベル受付手段は、電力会社が管理するサーバ装置からの通知により、緊急レベルの指定を受け付ける構成とされていてもよい。
【0017】
また、本発明の電源管理処理プログラムは、供給電力により稼働する電気機器の電源を電源管理サーバに管理させるための電源管理処理プログラムであって、あらかじめ定められた複数段階の節電レベルと、各段階の節電レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタを記憶する電源管理マスタ記憶手段と、電力会社が管理するサーバ装置から取得した電力会社提供情報を記憶する電力会社提供情報記憶手段とを備えた前記電源管理サーバに、前記電力会社提供情報に基づいて、今後の電力使用率を予想した予想電力使用率を導出する予想電力使用率導出処理と、前記電源管理マスタを参照し、前記予想電力使用率導出処理にて導出した予想電力使用率が前記複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を超える時間帯を特定する電力使用率超過時間帯特定処理と、前記電源管理マスタを参照して、前記電力使用率超過時間帯特定処理にて特定した時間帯に予想電力使用率が超えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定する電気機器特定処理と、前記電力使用率超過時間帯特定処理にて特定した時間帯に到達する所定時間前となったときに、前記電気機器特定処理にて特定した電気機器を示す特定電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給停止命令送信処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態における電源管理システムの構成の例を示すブロック図である。
【図2】電源管理マスタの例を示す説明図である。
【図3】電力会社提供情報の例を示す説明図である。
【図4】電源管理処理の例を示すフローチャートである。
【図5】電力供給停止完了状況表示画面の例を示す説明図である。
【図6】電源管理処理の他の例を示すフローチャートである。
【図7】電源管理処理の他の例を示すフローチャートである。
【図8】電力供給停止指示命令設定画面の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電源管理システム100の構成の例を示すブロック図である。図1に示すように、電源管理システム100は、電源管理サーバ10と、店舗端末21と、店舗端末21に接続された電気機器21a〜21gと、配送センタ端末22と、配送センタ端末22に接続された電機機器(図示を省略)とを含む。図1では、店舗A内に設置された店舗端末21と店舗端末21に接続された電気機器21a〜21g、及び配送センタA内に設置された配送センタ端末22のみが開示されているが、他の1又は2以上の店舗や配送センタにそれぞれ設置された端末(店舗端末と配送センタ端末)とその端末に接続された電気機器を含む構成としてもよい。また、図1では電気機器21a〜21gを例示しているが、電力供給を受けて稼働する機器であれば、どのようなものであってもよい。以下、店舗端末21を例にして説明を行う。
【0022】
電源管理サーバ10、および店舗端末21は、それぞれ、例えばLANやインターネットなどの通信ネットワーク30に接続されている。また、電気機器21a〜21gは、例えばLANや無線LANなどの通信ネットワーク40により店舗端末21と接続されている。
【0023】
電源管理サーバ10は、本システム100のシステム管理者によって管理され、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成される。また、店舗端末21は、店舗Aによって管理され、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置によって構成される。
【0024】
電源管理サーバ10は、所定の条件が満たされたときに、各店舗に設置されている電気機器への電力供給を停止させるための各種の処理などを実行する。また、電源管理サーバ10は、後述する電源管理マスタを記憶する電源管理マスタDB11と、後述する電力会社提供情報を記憶する電力会社提供情報DB12を備えている。電源管理マスタDB11や電力会社提供情報DB12は、電源管理サーバ10の内部にあっても外部にあってもよい。
【0025】
図2は、電源管理マスタの例を示す説明図である。図2に示すように、電源管理マスタには、各店舗に設置されている制御可能な電気機器のID(電気機器ID)と、その電気機器の名称とが対応付けされた電気機器情報が登録されている。また、図2に示すように、電源管理マスタには、各店舗毎にその店舗に設置されている電気機器の電気機器情報が設定されるとともに、複数段階の節電レベル毎又は緊急レベル毎(本例ではレベル1〜3の3段階)に電力供給停止対象の電気機器の電気機器情報が設定される。
【0026】
電力供給を停止しても店舗の営業に支障がない電気機器ほど、より低い節電レベルと緊急レベルに対応付けされる。本例では、3段階の節電レベルと緊急レベルが設定されており、電力供給を停止しても店舗の営業に支障がない電気機器は、最低レベルのレベル1に対応付けされている。また、電力供給を停止した場合に店舗の営業に支障が出るが営業を継続することが可能な程度の支障である電気機器は、中間レベルのレベル2に対応付けされている。そして、電力供給を停止した場合に店舗の営業を継続することが不可能な程度の支障が出る電気機器は、最高レベルのレベル3に対応付けされている。各電気機器をどのレベルに対応付けするかについては、あらかじめシステム管理者等によって決定され、この決定に従って電源管理マスタが設定される。
【0027】
なお、本例では、節電レベルと緊急レベルを3段階としているが、2段階としても、4段階以上としてもよい。また、図2において、各電気機器が対応付けされているレベルは一例であり、他のレベルに対応付けされていてもよい。また、節電レベルと緊急レベルとが異なる数の段階に分けられていてもよい。
【0028】
ここで、「節電レベル」は、対象エリア(例えば該当店舗が位置するエリアに電力供給を行っている電力会社が管轄するエリア:具体的には、例えば北海道)全体の供給電力(例えば、電力会社など供給側の電力生産状況として示される供給電力。現時点から少し先、例えば12時間先の供給電力を含む。供給予定電力量。)に対する予想電力使用量の割合(以下「節電実施電力使用率」という。)が高まっていることによって、電力使用量を低減させる必要が生じたときに推奨される節電の程度を示すレベルを意味する。よって、例えば、対象エリア全体の節電実施電力使用率が極めて高い(例えば88%)場合には、電力使用量を早急に大幅に低減させる必要が生じているため、節電レベルは最高レベルとなる。例えば、対象エリア全体の供給電力に対する使用電力の割合が所定の閾値より高い(例えば80%)場合には、電力使用量を念のため低減させる必要が生じているため、節電レベルは最低レベルとなる。本例においては、例えば、対象エリア全体の供給電力に対する使用電力の割合が80%になるとレベル1と判断され、85%になるとレベル2と判断され、88%になるとレベル3と判断されるものとする。この判断は、電源管理サーバ10を管理する管理者によって判断されるようにしてもよいし、電力会社が管理するサーバ装置からの通知(対象エリア全体の節電実施電力使用率の割合の通知)を受けた電源管理サーバ10によって自動的に判断されるようにしてもよい。また、節電実施電力使用率は、後述する電力会社情報が含む予想電力使用率と対比されるものである。
【0029】
また、「緊急レベル」は、対象エリア(例えば該当店舗が位置するエリアに電力供給を行っている電力会社が管轄するエリア:具体的には、例えば北海道)全体の供給電力に対する使用電力の割合が高まっていることなどによって、電力使用量を低減させる必要が生じたときの対応の緊急性を示すレベルを意味する。よって、例えば、対象エリア全体の供給電力に対する使用電力の割合が極めて高い(例えば98%)場合には、電力使用量を早急に大幅に低減させる必要が生じているため、緊急レベルは最高レベルとなる。例えば、対象エリア全体の供給電力に対する使用電力の割合が所定の閾値より高い(例えば90%)場合には、電力使用量を念のため低減させる必要が生じているため、緊急レベルは最低レベルとなる。本例においては、例えば、対象エリア全体の供給電力に対する使用電力の割合が90%になるとレベル1と判断され、95%になるとレベル2と判断され、98%になるとレベル3と判断されるものとする。この判断は、電源管理サーバ10を管理する管理者によって判断されるようにしてもよいし、電力会社が管理するサーバ装置からの通知(対象エリア全体の供給電力に対する使用電力の割合の通知)を受けた電源管理サーバ10によって自動的に判断されるようにしてもよい。
【0030】
図3は、電力会社提供情報の例を示す説明図である。電力会社提供情報は、電源管理サーバ10が、予想電力使用率を導出するために用いられる情報であり、例えば、電力会社などが管理するサーバ装置から電源管理サーバ10が取得する。本例では、電力会社提供情報は、時間帯毎に、当日実績(当日の電力使用量。)、前日実績、前年相当日の実績(当日に対し、前年の同月、同週、同曜日に該当する日の電力使用量。)、供給電力と、予想電力使用率を含む。
【0031】
ここで、本例においては、電源管理サーバ10は、時間帯毎の「供給電力」に対する「前日実績」と「前年相当日の実績」との平均値の割合を算出して、「予想電力使用率」として電力会社提供情報に登録する。なお、予想電力使用率の算出方法はこれに限定されず、現時点よりも先の供給電力に対する電力使用量の割合を予想する算出方法として妥当と考えられるものであればよい。また、電力会社が管理するサーバ装置が、予想電力使用率を含む情報を電源管理サーバ10に提供する場合には、電源管理サーバ10が、提供された情報から予想電力使用率を抽出する構成としてもよい。
【0032】
次に、本例の電源管理システム100の動作について説明する。
【0033】
図4は、本例の電源管理システム100における電源管理処理の例を示すフローチャートである。ここでは、電源管理サーバ10を管理する管理者Xの操作に応じて、電源管理サーバ10が、店舗端末21に対して強制的に電力供給を停止する指示を電気機器に対して行うよう命令(すなわち、ここでは、電源管理マスタに店舗Aに関する情報のみが登録されているものとする。)し、店舗端末21の指示により電気機器への電力供給を緊急停止する場合を例に説明する。なお、本発明に特に関わる処理以外は、説明を省略している場合があるものとする。
【0034】
本例において、電源管理処理は、電源管理サーバ10が稼働中は常に実行されているものとする。
【0035】
電源管理処理において、先ず、電源管理サーバ10は、電力会社提供情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、電力会社提供情報を取得していないと判定すると(ステップS101のN)、電源管理サーバ10は、後述するステップS104の処理に移行する。
【0036】
一方、例えば電力会社が管理する所定のサーバ装置から電力会社提供情報を取得したと判定すると(ステップS101のY)、電源管理サーバ10は、所定の算出式を用いて、予想電力使用率を算出する(ステップS102)(図2参照)。
【0037】
予想電力使用率を算出すると、電源管理サーバ10は、電源管理マスタと電力会社提供情報とを参照して、算出した予想電力使用率が、節電レベルが示す節電実施電力使用率を超える時間帯(以下「節電時間帯」という。)を特定する(ステップS103)。
【0038】
節電時間帯を特定すると、電源管理サーバ10は、公知の方法により現在時刻を特定し、現在時刻が、特定した節電時間帯に到達する所定時間前(例えば、5分前。)となったか否かを判定する(ステップS104)。ここで、特定した節電時間帯に到達していないと判定すると(ステップS104のN)、電源管理サーバ10は、ステップS101の処理に移行する。
【0039】
一方、特定した節電時間帯に到達したと判定すると(ステップS104のY)、電源管理サーバ10は、電源管理マスタを参照し、算出した予想電力使用率が越えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに応じた電気機器を、電力供給の停止対象とする電気機器(以下、適宜「電力供給停止対象機器」という。)として特定する(ステップS105)。
【0040】
電力供給停止対象機器を特定すると、電源管理サーバ10は、電力供給の停止対象とする電気機器に接続されている店舗端末21に対して、電力供給の停止対象とする電気機器の電気機器IDを提示して、提示した電気機器IDが示す電気機器に対する電力供給を強制的に停止する指示を行うよう命令するための強制電力供給停止指示命令を送信する(ステップS106)。
【0041】
店舗端末21は、強制電力供給停止指示命令を受信すると、提示された電気機器IDがそれぞれ示す各電気機器に対して、電力供給の停止(電源スイッチオフ)を指示するための電力供給停止信号を送信する(ステップS107)。
【0042】
各電気機器は、電力供給停止信号を受信すると、電力供給の停止処理を実行することにより電力供給の停止状態とすることを示す電力供給停止完了通知を店舗端末21に送信したあと、電力供給の停止処理(電源スイッチをオフ状態にする処理)を実行する。
【0043】
店舗端末21は、各電気機器の全てから電力供給停止完了通知を受信すると(ステップS108)、該当する全ての電気機器の電力供給を停止させることが完了した旨を報告するための電力供給停止完了報告を電源管理サーバ10に対して送信する(ステップS109)。なお、一定期間待機しても、一部の電気機器から電力供給停止完了通知が送信されてこない場合には、店舗端末21は、電力供給を停止させることが完了した電気機器をそれぞれ示す電気機器IDを含む電力供給停止完了報告を送信するようにすればよい。
【0044】
電源管理サーバ10は、電力供給停止完了報告を受信すると、電力供給を停止させることが完了した電気機器を報知するための電力供給停止完了状況表示画面を作成し、作成した電力供給停止完了状況表示画面を自己が備える表示装置に表示して(ステップS110)、ステップS101の処理に移行する。電力供給停止完了状況表示画面に表示される電力供給停止完了状況は、例えば複数の店舗端末から電力供給停止完了報告を受ける場合には、電力供給停止完了報告を受ける毎に更新される。
【0045】
図5は、電力供給停止完了状況表示画面の例を示す説明図である。図5に示すように、電力供給停止完了状況表示画面には、電力供給停止完了状況を表示する表示領域101と、電力供給停止により低減された電力総量を表示する表示領域101と、電力供給停止完了状況表示画面を閉じる際に押下される終了ボタン103とが設けられている。
【0046】
管理者Xは、電力供給停止完了状況表示画面の表示領域101を閲覧することによって電力供給停止完了状況を把握し、表示領域101を閲覧することによって低減された電力総量を把握する。
【0047】
上記のようにして、電源管理サーバ10が、店舗端末21に対して強制的に電力供給を停止する指示を電気機器に対して行うよう命令し、店舗端末21の指示により電気機器への電力供給を緊急停止する処理が実行される。
【0048】
図6は、本例の電源管理システム100における電源管理処理の他の例を示すフローチャートである。ここでは、電源管理サーバ10を管理する管理者Xの操作に応じて、電源管理サーバ10が、店舗端末21に対して電力供給を開始する指示(すなわち、電力供給の停止を解除する指示)を電気機器に対して行うよう命令(すなわち、ここでは、電源管理マスタに店舗Aに関する情報のみが登録されているものとする。)し、店舗端末21の指示により電気機器への電力供給を開始する場合を例に説明する。なお、本発明に特に関わる処理以外は、説明を省略している場合があるものとする。
【0049】
本例において、電源管理処理は、電源管理サーバ10が稼働中は常に実行されているものとする。
【0050】
電源管理処理において、先ず、電源管理サーバ10は、電力会社提供情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、電力会社提供情報を取得していないと判定すると(ステップS201のN)、電源管理サーバ10は、後述するステップS204の処理に移行する。
【0051】
一方、例えば電力会社が管理する所定のサーバ装置から電力会社提供情報を取得したと判定すると(ステップS201のY)、電源管理サーバ10は、所定の算出式を用いて、予想電力使用率を算出する(ステップS202)(図2参照)。
【0052】
予想電力使用率を算出すると、電源管理サーバ10は、電源管理マスタと電力会社提供情報とを参照して、算出した予想電力使用率が、節電レベルが示す節電実施電力使用率を下回る所定の割合(以下「節電解除割合」という。)になる時間帯(以下「節電解除時間帯」という。)を特定する(ステップS203)。
【0053】
節電解除時間帯を特定すると、電源管理サーバ10は、公知の方法により現在時刻を特定し、現在時刻が、特定した節電解除時間帯に到達する所定時間前(例えば、5分前。)となったか否かを判定する(ステップS204)。ここで、特定した節電解除時間帯に到達していないと判定すると(ステップS204のN)、電源管理サーバ10は、ステップS201の処理に移行する。
【0054】
一方、特定した節電解除時間帯に到達したと判定すると(ステップS204のY)、電源管理サーバ10は、電源管理マスタを参照し、電力供給停止対象として電気の供給を停止中の(または、停止した)電気機器を特定する(ステップS205)。なお、電気機器の特定方法としては、例えば、電源管理サーバ10が、電源管理処理の履歴を参照する構成としてもよいし、店舗端末21から電気機器の稼動状況に関する情報を取得する構成としてもよい。
【0055】
電力供給停止中の電気機器を特定すると、電源管理サーバ10は、電力供給停止中の電気機器に接続されている店舗端末21に対して、電力供給停止中の電気機器の電気機器IDを提示して、提示した電気機器IDが示す電気機器に対する電力供給をする指示(電気供給の停止を解除する指示)を行うよう命令するための強制電力供給停止解除指示命令を送信する(ステップS206)。
【0056】
店舗端末21は、強制電力供給停止解除指示命令を受信すると、提示された電気機器IDがそれぞれ示す各電気機器に対して、電力供給(電源スイッチオン)を指示するための電力供給停止解除信号を送信する(ステップS207)。
【0057】
各電気機器は、電力供給停止解除信号を受信すると、電力供給の停止解除処理を実行することにより電力供給の停止状態を解除したことを示す電力供給停止解除完了通知を店舗端末21に送信したあと、電力供給の停止解除処理(電源スイッチをオン状態にする処理)を実行する。
【0058】
店舗端末21は、各電気機器の全てから電力供給停止解除完了通知を受信すると(ステップS208)、該当する全ての電気機器の電力供給を停止解除(すなわち、電気供給を開始)させることが完了した旨を報告するための電力供給停止解除完了報告を電源管理サーバ10に対して送信する(ステップS209)。なお、一定期間待機しても、一部の電気機器から電力供給停止解除完了通知が送信されてこない場合には、店舗端末21は、電力供給を停止解除させることが完了した電気機器をそれぞれ示す電気機器IDを含む電力供給停止解除完了報告を送信するようにすればよい。
【0059】
電源管理サーバ10は、電力供給停止解除完了報告を受信すると、電力供給を停止解除させることが完了した電気機器を報知するための電力供給停止解除完了状況表示画面を作成し、作成した電力供給停止解除完了状況表示画面を自己が備える表示装置に表示して(ステップS210)、ステップS201の処理に移行する。電力供給停止解除完了状況表示画面に表示される電力供給停止解除完了状況は、例えば複数の店舗端末から電力供給停止解除完了報告を受ける場合には、電力供給停止解除完了報告を受ける毎に更新される。
【0060】
管理者Xは、電力供給停止解除完了状況表示画面を閲覧することによって電力供給停止解除完了状況を把握し、増加された電力総量を把握する。
【0061】
上記のようにして、電源管理サーバ10が、店舗端末21に対して強制的に電力供給を停止解除する指示を電気機器に対して行うよう命令し、店舗端末21の指示により電気機器への電力供給を停止解除(すなわち、電力供給を再開)する処理が実行される。
【0062】
上記の例では、主として、電源管理サーバ10が一つの店舗端末21に対して強制的に電力供給を停止(または開始。図4,6参照。)する指示を電気機器に対して行うよう命令する場合について説明したが、電源管理サーバ10が複数の店舗端末に対して強制的に電力供給を停止(または開始)する指示を電気機器に対して行うよう命令するようにしてもよい。図2に示したような電源管理マスタが登録されている場合には、店舗Aや配送センタAがそれぞれ管理する各端末(店舗端末21と配送センタ端末22)に対して、それぞれ強制的に電力供給を停止(または開始)する指示を電気機器に対して行うよう命令する処理が実行される。なお、電力供給の停止や開始は、強制的である必要はなく、例えば、音声出力等により、店舗端末21の管理者などに電力供給の停止や開始を促す構成としてもよい。
【0063】
上記の例では、電源管理サーバ10から店舗端末21を介して各電器機器に電力供給を停止(または開始)するための指示を行う構成としていたが、電源管理サーバ10から各電器機器に直接電力供給を停止(または開始)するための指示を行う構成としてもよい。
【0064】
上記の例では、小売店の店舗に設置された電器機器への電力供給を強制的に停止(または開始)する処理について説明したが、電器機器の設置場所は小売店の店舗でなく、住宅や配送センタ等、複数の電気機器を使用する設備である電気機器使用設備であってもよい。
【0065】
以上に説明したように、上述した一実施の形態では、供給電力により稼働する電気機器の電源を管理する電源管理サーバ10が、あらかじめ定められた複数段階の節電レベルと、各段階の節電レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタを記憶する電源管理マスタDB11と、電力会社が管理するサーバ装置から取得した電力会社提供情報を記憶する電力会社提供情報DB12とを備え、電力会社提供情報に基づいて、今後の電力使用率を予想した予想電力使用率を導出し、電源管理マスタを参照して導出した予想電力使用率が複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を超える時間帯を特定し、電源管理マスタを参照して特定した時間帯に予想電力使用率が超えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定し、特定した時間帯に到達する所定時間前(例えば、5分前。)となったときに、特定した電気機器を示す特定電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令(強制電力供給停止指示命令:ステップS106参照)を通信ネットワーク30を介して送信する構成としたので、供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御することができるようになる。
【0066】
すなわち、電源管理サーバ10が、あらかじめ定められた複数段階の節電レベルと、各段階の節電レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタを参照して、電力会社提供情報に基づいて予想電力使用率を導出し、予想電力使用率が節電実施電力使用率を超える時間帯を特定し、特定した時間帯に予想電力使用率が超えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定し、特定した時間帯に到達する所定時間前となったときに、特定した電気機器を示す特定電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令を通信ネットワーク30を介して送信する構成としたので、実際の電力使用率が節電実施電力使用率を極力超えないように制御することができるようになり、供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御することができるようになるのである。電力会社による総供給電力量に対する制御対象となっている各電気機器の総使用電力量の割合が高ければ高いほど、上記の効果が顕著となる。また、上記のような構成としているので、電力使用率を一定範囲以下に継続して抑制することができるようになり、電力会社に対して総供給電力量の削減を提案することも可能となる。この結果、使用電力料金を低減させることも期待できる。
【0067】
また、上述した実施の形態では、電力会社提供情報は、前年相当日の電力使用量と、前日の電力使用量とを含み、電源管理サーバ10が、前年相当日の電力使用量と前日の電力使用量とに基づいて予想電力使用率を導出する構成としたので、電力会社提供情報に基づき実際の電力使用率に近い予想電力使用率を導出することができるようになる。
【0068】
また、上述した実施の形態において、電力会社提供情報は、予想電力使用率を含み、電源管理サーバ10が、電力会社提供情報に含まれている予想電力使用率をそのまま予想電力使用率として導出する構成とした場合には、電力会社が提供している信頼性の高い予想電力使用率を利用することが可能となる。
【0069】
なお、上述した実施の形態では、電源管理サーバ10が、節電時間帯(予想電力使用率が節電解除割合になる時間帯)に電力供給停止対象機器として電気供給停止中の電気機器を特定し(ステップS203,S205参照)、特定した電気機器を示す電力供給開始電気機器に対する電力供給の開始を命令する電力供給開始命令(強制電力供給停止解除指示命令:ステップS206参照)を、通信ネットワーク30を介して送信する場合について説明したが(図6参照)、電気供給を開始(再開)させるために電源管理サーバ10が実行する処理は当該構成に限定されず、例えば、電源管理サーバ10が、電源管理マスタを参照して導出した予想電力使用率が複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を低下する時間帯(すなわち、予想電力使用率が節電実施電力使用率を下回る時間帯。例えば、節電解除時間帯。)を特定し、電源管理マスタを参照して特定した時間帯に予想電力使用率が低下することとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以上の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定し、特定した時間帯に到達した特定時間後となったときに、特定した電気機器を示す電力供給開始電気機器に対する電力供給の開始を命令する電力供給開始命令を、通信ネットワーク30を介して送信する構成としてもよい。このような構成とすることにより、予想電力使用率が低下するとき(例えば、予想電力使用率が節電実施電力使用率よりも低くなるとき)には、電力供給が開始されるように制御することが可能となり、無用に電力供給停止状態を維持させることを防止することが可能となる。
【0070】
また、上述した実施の形態では、電源管理サーバ10が、電気機器を管理する電気機器管理端末(例えば店舗端末21)に対して電力供給停止命令(強制電力供給停止指示命令:ステップS106参照)を送信し、電気機器管理端末は、電力供給停止命令に従って、通信ネットワーク40を介して特定電気機器に対して電力供給の停止を指示(ステップS107参照)する構成としたので、電気機器管理端末単位で電力供給停止命令を送信することが可能となり、電源管理サーバ10の処理負荷を軽減することができるようになる。
【0071】
また、上述した実施の形態では、電源管理サーバ10が、電力供給停止信号(ステップS107参照)を受信して電力供給の停止処理を実行する電気機器からの電力供給を停止状態とすることを示す電力供給停止完了通知(ステップS108参照)を受けた電気機器管理端末(例えば店舗端末21)から、電気機器の電力供給を停止させることが完了した旨を報告するための電力供給停止完了報告(ステップS109参照)を受信し、電力供給停止完了報告を受信したことに応じて、電力供給を停止させることが完了した電気機器を報知(ステップS110参照)する構成とされているので、該当する電気機器の電力供給が停止したことを認識させることが可能となる。
【0072】
また、上述した実施の形態では、電源管理マスタでは、電気機器情報が、当該電気機器情報が示す電気機器を管理する電気機器管理端末(例えば店舗端末21)を特定可能な端末特定情報(例えば店舗名や店舗ID)に対応付けされている構成としたので、電力供給を停止する対象となった電気機器を管理する端末を容易に特定することが可能となり、迅速に処理を行うことができるようになる。
【0073】
また、上述した実施の形態では、電源管理マスタでは、複数段階のうち最も低いレベルに設定された節電レベルに、電力供給を停止しても支障がない電気機器を示す電気機器情報が対応付けされ、電力供給を停止した場合に生じる支障の度合いが大きい電気機器であるほど、複数段階のうちより高いレベルの節電レベルに当該電気機器を示す電気機器情報が対応付けされる構成としたので、予想電力使用率に応じて適切に電力供給を停止する電気機器を選択することが可能となる。よって、店舗における支障を引き起こす事態を極力防止することが可能になるとともに、重要度のより高い電気機器を極力稼働状態にしておくことが可能となる。
【0074】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、電源管理サーバ10は、あらかじめ設定された時間間隔で電源管理処理(図4,6参照)を実行するものとする。ただし、例えば、電源管理サーバ10が、電力会社情報に基づいて、電源管理処理を実行する時刻を示す情報(判定時刻情報)を生成する構成としてもよい。
【0075】
また、上述した実施の形態では特に言及していないが、電源マスタは、あらかじめ定められた複数段階の緊急レベルと、各段階の緊急レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報を含み(図2参照)、電源管理サーバ10が、緊急レベルの指定を受け付け、電源管理マスタを参照して、受け付けた緊急レベルが示す緊急度以下の緊急レベルに対応付けされた電気機器を特定する構成としてもよい。以下、この場合の電源管理サーバ10の動作について説明する。
【0076】
図7は、緊急レベルに応じた電気機器を特定する場合の電源管理処理の例を示すフローチャートである。なお、上述した実施の形態において説明した内容については、同じ符号(ステップ番号を含む。)を付してその説明を省略している場合がある。
【0077】
緊急レベルに応じた電気機器を特定する場合の電源管理処理において、先ず、電源管理サーバ10は、管理者Xの操作に応じて電力供給停止指示命令設定画面を自己が備える表示装置に表示し、この電力供給停止指示命令設定画面において緊急レベルを受け付ける(ステップS301)。
【0078】
図8は、電力供給停止指示命令設定画面の例を示す説明図である。図8に示すように、電力供給停止指示命令設定画面には、緊急レベルを入力する緊急レベル入力領域201と、電源管理マスタを確認する際に押下される電源管理マスタ確認ボタン202と、緊急レベル入力領域201に入力した緊急レベルにて電気機器への電力供給を停止させるための処理を実行する際に押下される電力供給停止実行ボタン203とが設けられている。緊急レベル入力領域201は、例えばプルダウンメニューなどによって、設定されている緊急レベルの何れかを選択できるように構成される。
【0079】
電力供給停止指示命令設定画面において、管理者Xは、例えば対象エリア全体の供給電力に対する使用電力の割合を確認し(例えば電力会社が提供しているリアルタイム情報によって確認する)、その割合に応じた緊急レベルを決定し、決定した緊急レベルを緊急レベル入力領域201に入力する。緊急レベルを入力すると、管理者Xは、電力供給停止実行ボタン203を押下する。なお、電源管理マスタの内容を確認したい場合には、管理者Xは、電源管理マスタ確認ボタン202を押下する。電源管理マスタ確認ボタン202が押下されると、電源管理サーバ10は、自己が備える表示装置に電源管理マスタの内容を表示する電源管理マスタ表示画面を表示する。
【0080】
緊急レベル入力領域201に緊急レベルが入力され、電力供給停止実行ボタン203が押下されると、電源管理サーバ10は、電源管理マスタDB11に格納されている電源管理マスタ(ここで、緊急レベルを含む電源管理マスタを特に「緊急対応電源管理マスタ」という。)を参照し、入力された緊急レベル以下の全ての緊急レベル(例えば、レベル2が入力された場合には、レベル1及びレベル2)に対応付けされている電気機器を電力供給の停止対象とする電気機器として特定する(ステップS302)。
【0081】
電力供給の停止対象とする電気機器を特定すると、電源管理サーバ10は、電力供給の停止対象とする電気機器に接続されている店舗端末21に対して強制電力供給停止指示命令を送信し(ステップS106)、店舗端末21にて上述したステップS107〜ステップS109の処理が実行された後、電力供給停止完了報告を受信して、電力供給停止完了状況表示画面を作成し、作成した電力供給停止完了状況表示画面を自己が備える表示装置に表示して(ステップS110)ここでの処理を終了する。
【0082】
上記のように、供給電力により稼働する電気機器の電源を管理する電源管理サーバ10が、あらかじめ定められた複数段階の緊急レベルと、各段階の緊急レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタ(緊急対応電源管理マスタ)を記憶する電源管理マスタDB11を備え、緊急レベルの指定を受け付け、緊急対応電源管理マスタを参照して、受け付けた緊急レベルが示す緊急度以下の緊急レベルに対応付けされた電気機器を特定し、特定した電気機器を示す緊急停止電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給緊急停止命令を通信ネットワーク30を介して送信する構成とした場合には、緊急事態が発生した場合に消費電力を迅速かつ適切に低減させることができるようになる。
【0083】
すなわち、あらかじめ定められた複数段階の緊急レベルと、各段階の緊急レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタを参照して、受け付けた緊急レベルが示す緊急度以下の緊急レベルに対応付けされた電気機器を特定し、特定した電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令を通信ネットワーク30を介して送信する構成としてので、電源管理マスタに従って緊急レベルに合致した適切な電気機器を迅速に特定することができ、その電気機器の電力供給を緊急停止させることが可能となる。よって、緊急事態が発生した場合に消費電力を迅速かつ適切に低減させることができるようになるのである。
【0084】
また、上述した実施の形態では、電源管理サーバ10が、電気機器を管理する電気機器管理端末(例えば店舗端末21)に対して電力供給停止命令(強制電力供給停止指示命令:図7のステップS106参照)を送信し、電気機器管理端末が、電力供給停止命令に従って、通信ネットワーク40を介して特定電気機器に対して電力供給の停止を指示(図7のステップS107参照)する構成としたので、電気機器管理端末単位で電力供給停止命令を送信することが可能となり、電源管理サーバ10の処理負荷を軽減することができるようになる。
【0085】
また、上述した実施の形態では、電源管理サーバ10が、電力供給停止信号(図7のステップS107参照)を受信して電力供給の停止処理を実行する電気機器からの電力供給を停止状態とすることを示す電力供給停止完了通知(図7のステップS108参照)を受けた電気機器管理端末(例えば店舗端末21)から、電気機器の電力供給を停止させることが完了した旨を報告するための電力供給停止完了報告(図7のステップS109参照)を受信し、電力供給停止完了報告を受信したことに応じて、電力供給を停止させることが完了した電気機器を報知(図7のステップS110参照)する構成とされているので、該当する電気機器の電力供給が停止したことを認識させることが可能となる。
【0086】
また、上述した実施の形態では、電源管理マスタでは、複数段階のうち緊急性が最も低い緊急レベルに、電力供給を停止しても支障がない電気機器を示す電気機器情報が対応付けされ、電力供給を停止した場合に生じる支障の度合いが大きい電気機器であるほど、複数段階のうち緊急性がより高い緊急レベルに当該電気機器を示す電気機器情報が対応付けされる構成としたので、緊急度に応じて適切に電力供給を停止する電気機器を選択することが可能となる。よって、大停電などを引き起こす事態を極力防止することが可能になるとともに、重要度のより高い電気機器を極力稼働状態にしておくことが可能となる。
【0087】
また、上述した実施の形態において、電源管理サーバ10が、電力会社が管理するサーバ装置からの通知により、緊急レベルの指定を受け付ける構成とした場合には、電力会社側からの通知に応じて電力供給を停止させる電気機器を選定し、選定した電気機器への電力供給を停止させる処理を自動的に行うことができるようになる。
【0088】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、電源管理サーバ10は、自己が備える記憶媒体に格納されている処理プログラム(電源管理処理プログラム)に従って、上述した各種の処理(例えば図4、図6、図7参照)を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、供給電力量に対して安全な範囲に使用電力量を制御するのに有用である。
【符号の説明】
【0090】
10 電源管理サーバ
11 電源管理マスタDB
12 電力会社提供情報DB
21 店舗端末
22 配送センタ端末
30 通信ネットワーク
40 通信ネットワーク
100 電源管理システム





【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給電力により稼働する電気機器の電源を管理する電源管理サーバであって、
あらかじめ定められた複数段階の節電レベルと、各段階の節電レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタを記憶する電源管理マスタ記憶手段と、
電力会社が管理するサーバ装置から取得した電力会社提供情報を記憶する電力会社提供情報記憶手段と、
前記電力会社提供情報に基づいて、今後の電力使用率を予想した予想電力使用率を導出する予想電力使用率導出手段と、
前記電源管理マスタを参照し、前記予想電力使用率導出手段によって導出された予想電力使用率が前記複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を超える時間帯を特定する電力使用率超過時間帯特定手段と、
前記電源管理マスタを参照して、前記電力使用率超過時間帯特定手段によって特定された時間帯に予想電力使用率が超えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定する電気機器特定手段と、
前記電力使用率超過時間帯特定手段によって特定された時間帯に到達する所定時間前となったときに、前記電気機器特定手段によって特定された電気機器を示す特定電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給停止命令送信手段とを含む
ことを特徴とする電源管理サーバ。
【請求項2】
前記電力会社提供情報は、前年相当日の電力使用量と、前日の電力使用量とを含み、
前記予想電力使用率導出手段は、前年相当日の電力使用量と前日の電力使用量とに基づいて予想電力使用率を導出する
請求項1記載の電源管理サーバ。
【請求項3】
前記電力会社提供情報は、予想電力使用率を含み、
前記予想電力使用率導出手段は、前記電力会社提供情報に含まれている予想電力使用率をそのまま予想電力使用率として導出する
請求項1記載の電源管理サーバ。
【請求項4】
前記電源管理マスタを参照し、前記予想電力使用率導出手段によって導出された予想電力使用率が前記複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を低下する時間帯を特定する電力使用率低下時間帯特定手段を含み、
前記電源管理マスタを参照して、前記電力使用率低下時間帯特定手段によって特定された時間帯に予想電力使用率が低下することとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以上の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定する電力供給開始電気機器特定手段と、
前記電力使用率低下時間帯特定手段によって特定された時間帯に到達した特定時間後となったときに、前記電力供給開始電気機器特定手段によって特定された電気機器を示す電力供給開始電気機器に対する電力供給の開始を命令する電力供給開始命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給開始命令送信手段とを含む
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の電源管理サーバ。
【請求項5】
前記電力供給停止命令送信手段は、電気機器を管理する電気機器管理端末に対して電力供給停止命令を送信し、
前記電気機器管理端末は、電力供給停止命令に従って、通信ネットワークを介して特定電気機器に対して電力供給の停止を指示する
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載の電源管理サーバ。
【請求項6】
電力供給停止信号を受信して電力供給の停止処理を実行する電気機器からの電力供給を停止状態とすることを示す電力供給停止完了通知を受けた前記電気機器管理端末から、電気機器の電力供給を停止させることが完了した旨を報告するための電力供給停止完了報告を受信する電力供給停止完了報告受信手段と、
電力供給停止完了報告を受信したことに応じて、電力供給を停止させることが完了した電気機器を報知する電力供給停止完了報知手段とを含む
請求項5記載の電源管理サーバ。
【請求項7】
電源管理マスタでは、電気機器情報が、当該電気機器情報が示す電気機器を管理する電気機器管理端末を特定可能な端末特定情報に対応付けされている
請求項5または請求項6記載の電源管理サーバ。
【請求項8】
前記電源管理マスタでは、複数段階のうち最も低いレベルに設定された節電レベルに、電力供給を停止しても支障がない電気機器を示す電気機器情報が対応付けされ、電力供給を停止した場合に生じる支障の度合いが大きい電気機器であるほど、複数段階のうちより高いレベルの節電レベルに当該電気機器を示す電気機器情報が対応付けされる
請求項1から請求項7のうちいずれかに記載の電源管理サーバ。
【請求項9】
前記電源管理マスタ記憶手段は、あらかじめ定められた複数段階の緊急レベルと、各段階の緊急レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された緊急対応電源管理マスタを記憶し、
緊急レベルの指定を受け付ける緊急レベル受付手段と、
前記緊急対応電源管理マスタを参照して、前記緊急レベル受付手段によって受け付けられた緊急レベルが示す緊急度以下の緊急レベルに対応付けされた電気機器を特定する緊急停止電気機器特定手段と、
該緊急停止電気機器特定手段によって特定された電気機器を示す緊急停止電気機器に対する電力供給の緊急停止を命令する電力供給緊急停止命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給緊急停止命令送信手段とを含む
請求項1から請求項8のうちいずれかに記載の電源管理サーバ。
【請求項10】
前記緊急レベル受付手段は、電力会社が管理するサーバ装置からの通知により、緊急レベルの指定を受け付ける
請求項9記載の電源管理サーバ。
【請求項11】
供給電力により稼働する電気機器の電源を電源管理サーバに管理させるための電源管理処理プログラムであって、
あらかじめ定められた複数段階の節電レベルと、各段階の節電レベルにそれぞれ対応付けされた電気機器を示す電気機器情報とが設定された電源管理マスタを記憶する電源管理マスタ記憶手段と、電力会社が管理するサーバ装置から取得した電力会社提供情報を記憶する電力会社提供情報記憶手段とを備えた前記電源管理サーバに、
前記電力会社提供情報に基づいて、今後の電力使用率を予想した予想電力使用率を導出する予想電力使用率導出処理と、
前記電源管理マスタを参照し、前記予想電力使用率導出処理にて導出した予想電力使用率が前記複数の節電レベルそれぞれが示すそれぞれの節電実施電力使用率を超える時間帯を特定する電力使用率超過時間帯特定処理と、
前記電源管理マスタを参照して、前記電力使用率超過時間帯特定処理にて特定した時間帯に予想電力使用率が超えることとなる節電実施電力使用率を示す節電レベル以下の節電レベルに対応付けされた電気機器を特定する電気機器特定処理と、
前記電力使用率超過時間帯特定処理にて特定した時間帯に到達する所定時間前となったときに、前記電気機器特定処理にて特定した電気機器を示す特定電気機器に対する電力供給の停止を命令する電力供給停止命令を通信ネットワークを介して送信する電力供給停止命令送信処理とを
実行させるための電源管理処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−81297(P2013−81297A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219634(P2011−219634)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(503396309)生活協同組合コープさっぽろ (144)
【Fターム(参考)】