説明

電源装置、電源ユニット診断装置および電源装置の制御方法

【課題】システムの誤動作をさせることなく、故障電源ユニットを検出できる電源装置、電源ユニット診断装置および電源装置の制御方法を提供する。
【解決手段】 並列接続された電源ユニット2a〜2nを有する電源ユニット部2と、電源ユニット部2の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較し、第1出力電圧が所定の第1閾値より高い場合、電源ユニット2a〜2nの1つに対し、該電源ユニットが出力する電圧の設定値を下げる第1指示を行い、第1指示後における電源ユニット部2の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較し、第2出力電圧が所定の第2閾値より低い場合、第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定する制御回路11と判断回路14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、電源ユニット診断装置および電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータと、このコンピュータに電力を供給する電源装置と、を有するコンピュータシステムが知られている。電源装置は、並列接続された複数の電源ユニットを有する。ここで、単体の電源ユニットが出力する電圧をユニット出力電圧とし、電源装置が出力する電圧を電源装置出力電圧とする。このシステムにおける故障電源ユニットの判別方法として、並列接続された電源ユニットのうち任意の電源ユニットのユニット出力電圧を上昇させる指示を行い、電源装置出力電圧を検出することにより電源ユニットの故障を判別する方法が知られている。この方法は、電源装置出力電圧が、並列接続された複数の電源ユニットが出力するユニット出力電圧のうち、一番高い電圧のユニット出力電圧とほぼ等しくなるという特性を利用している。例えば、正常な電源ユニットにユニット出力電圧を上昇させる電圧上昇指示が与えられた場合、電源装置出力電圧は上昇する。一方、故障電源ユニットに電圧上昇指示が与えられた場合、電源装置出力電圧は、ほとんど上昇しない。この特性を、図10を用いて説明する。
【0003】
図10は、電圧上昇の指示に対する正常な電源ユニットと、故障電源ユニットの電圧を示す図である。図10においてV軸は電圧軸を示し、t軸は時間軸を示す。以下の説明において、ユニット出力電圧が低下する故障が発生している電源ユニットを故障電源ユニットとする。図10に示す901は、電源装置出力電圧を示し、902は、故障電源ユニットのユニット出力電圧を示す。故障電源ユニット以外の正常な電源ユニットのいずれか1つに時刻903において電圧上昇指示がなされると、電源装置出力電圧901は上昇し、時刻904において電圧上昇指示の解除がなされると、電源装置出力電圧901は元に戻る。同様に、故障電源ユニットに時刻905において電圧上昇指示がなされると、ユニット出力電圧902は上昇し、時刻906において電圧上昇指示の解除がなされると、ユニット出力電圧902は元に戻る。ここで、故障電源ユニットは、電圧上昇指示が与えられた場合においても、正常な電源ユニットのユニット出力電圧まで、ユニット出力電圧を上昇させることができない。故障電源ユニットのユニット出力電圧は、他の正常な電源ユニットのユニット出力電圧より低いままである。そのため、時刻905において電源装置出力電圧901は上昇しない。従って、全ての並列接続された電源ユニットにそれぞれ電圧上昇指示を与え、電源装置出力電圧を観測することにより、電源装置出力電圧がほとんど上昇しない電源ユニットを故障電源ユニットと判別することができる。つまり、この判別方法によれば、電源ユニットへの電圧上昇指示に対する電源装置出力電圧に応じて故障電源ユニットが判別される。
【0004】
関連する技術に、複数の電源ユニットに対し、ユニット出力電圧の上昇指示を行い、異常電源ユニットを検出する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57−009224号公報
【特許文献2】特開昭60−102818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コンピュータシステムには、許容できる動作電圧範囲として上限動作電圧と下限動作電圧が定められており、電源ユニットが上限動作電圧を超えて電圧上昇を行うと誤動作が発生し、最悪の場合にはシステムダウンに陥る場合がある。例えば、電源ユニットの故障には上述したように指示されたユニット出力電圧が出力されない故障だけでなく、規定電圧以上の出力を行う故障もある。このような故障により、電源ユニットのユニット出力電圧が設計時に設定した上限動作電圧近傍の電圧になった場合、電圧上昇指示がなされると、ユニット出力電圧は、上限動作電圧を超えた電圧となる。つまり、上述した判別方法によれば、電源ユニットが、規定電圧より高いユニット出力電圧を出力する故障が発生している場合、電圧上昇指示により誤動作が発生する可能性が高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、システムに誤動作を発生させることなく、故障電源ユニットを検出できる電源装置、電源ユニット診断装置および電源装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電源装置は、並列接続された複数の電源ユニットを有する電源ユニット部と、前記電源ユニット部の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較する第1比較部と、前記第1出力電圧が前記第1閾値より高い場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、該電源ユニットが出力する設定値を下げる第1指示を行う第1指示部と、前記第1指示後における前記電源装置の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較する第2比較部と、前記第2出力電圧が前記第2閾値より低い場合、前記第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定する特定部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
この出願に開示された電源装置、電源ユニット診断装置および電源装置の制御方法によれば、システムの誤動作をさせることなく、故障電源ユニットを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る電源装置の全体のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る変数領域に記憶されているアドレスと変数との対応関係を示す図である。
【図3】実施の形態に係る電源ユニットを説明する図である。
【図4】実施の形態に係る電源ユニット診断部における機能ブロック図である。
【図5】実施の形態に係る診断処理により、予め設定されたユニット設定値より高い電圧のユニット出力を出力する故障電源ユニットに対し、電圧降下を示す電圧指示信号が出力された場合を説明する図である。
【図6】実施の形態に係る診断処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る検出処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】この出願に開示された技術を適用しない電源装置の全体のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図9】この出願に開示された技術を適用しない電源装置において、予め設定されたユニット設定値より高い電圧のユニット出力を出力する故障電源ユニットに対し、電圧指示信号を出力した場合を説明する図である。
【図10】電圧上昇の指示に対する正常な電源ユニットと、故障電源ユニットの電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る電源装置の全体のハードウェア構成を示すブロック図である。電源装置1は、電源ユニット診断部10と、電源ユニット部2とを有する。電源ユニット診断部10は、制御回路11と、出力電圧指示回路12と、出力電圧検出回路13と、判別回路14とを有する。電源装置1は、図示しないコンピュータシステムに組み込まれており、当該コンピュータシステムが有するコンピュータに電力を供給する。電源ユニット部2は、並列接続された複数の電源ユニット2a〜2nを有し、電源装置出力をコンピュータおよび出力電圧検出回路13へ出力する。なお、電源装置出力の電圧が電源装置出力電圧である。電源ユニット診断部10は、この電源ユニット部2と電気的に接続されている。
【0013】
制御回路11は、後述する診断処理を実行する。出力電圧指示回路12は、制御回路11から出力されるユニット出力電圧の上昇または下降の指示を各電源ユニット2a〜2nに対し行う。出力電圧検出回路13は、電源ユニット部2から出力された電源装置出力の電源装置出力電圧を検出する。判別回路14は、電源ユニット2a〜2nの故障を判別する。以下、上述した各回路の詳細を説明する。
【0014】
制御回路11は、記憶回路111と、シーケンサ112とを有する。記憶回路111は、シーケンサ112の動作に必要な各プログラムが記憶されているプログラム領域111aと、電源ユニット2a〜2nの各状態を示す変数を記憶する変数領域111bとを有する。変数領域111bにおいては、電源ユニット2a〜2nに対応付けられた所定の各アドレスに、「正常」を示す「0」および「故障」を示す「1」等の変数が格納される。
【0015】
ここで、変数領域111bに記憶される情報について説明する。図2は、実施の形態に係る変数領域に記憶されているアドレスと変数との対応関係を示す図である。図2に示すように、例えば、電源ユニット2a〜2cが正常である場合、これらの電源ユニットに対応するアドレスに格納される変数は「0」となる。電源ユニット2dが故障している場合、この電源ユニットに対応するアドレスに格納される変数は「1」となる。なお、「正常」を示す変数を「0」、「故障」を示す変数を「1」と説明したが、この変数に限定するものではなく、「正常」および「故障」を示す情報がアドレスまたは個々の電源ユニット2a〜2nを示す情報に対応付けられればよい。記憶回路111は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0016】
シーケンサ112は、演算機能を有し、電圧指示信号112aおよび対象ユニット指示信号112bを出力電圧指示回路12に出力する。電圧指示信号112aは、電源ユニット2a〜2nそれぞれに設定されているユニット出力電圧を設定する値(以後、ユニット設定値と称する)を、個別に上昇または下降させる指示を行う信号である。例えば、電圧指示信号112aによって、電源ユニット2a〜2nのユニット出力電圧は、例えば、±5Vの範囲内又は±5%の範囲内に設定される。実施の形態において、電圧指示信号112aは、例えば8本の信号線を介し、8bitの256段階の分解能で出力される。対象ユニット指示信号112bは、電圧指示信号112aを出力する対象の電源ユニット2a〜2nを切り替える信号である。
【0017】
シーケンサ112は、判別回路14に対し、故障電源ユニットの検出に用いる基準となる期待電圧値を出力する。期待電圧値は、例えば48V等の電圧を示し、実施の形態において、8bitの256段階の分解能で出力される。シーケンサ112は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等である。実施の形態において、シーケンサ112は、CPUを有するとする。制御回路11は、コンピュータシステムおよびユーザ等と通信するインターフェース112cを有する。インターフェース112cは、例えば、コンピュータシステムが有するコンピュータ内部に直結するバス、I2C(Inter−Integrated Circuit)またはUSB(Universal Serial Bus)等である。
【0018】
出力電圧指示回路12は、D/Aコンバータ121と、アナログスイッチ122a〜122nと、抵抗器123とを有する。D/Aコンバータ121は、デジタル信号である電圧指示信号112aをアナログ信号に変換する。アナログスイッチ122a〜122nは、対象ユニット指示信号112bによりユニット出力電圧が変更される電源ユニット2a〜2nを切り替える。このアナログスイッチ122a〜122nは、電源ユニット2a〜2nのそれぞれに対応して設けられている。例えば、アナログスイッチ122aがON状態になると、アナログスイッチ122aから電源ユニット2aのTRIM入力(アナログ信号に変換された電圧指示信号112a)が出力される。電源ユニット2aは、TRIM入力に印加される電圧により、現在のユニット設定値を調節する。同様に、アナログスイッチ112b〜112nも、ON状態になると、それぞれ対応する電源ユニット2b〜2nのTRIM入力を出力する。抵抗器123は、TRIM入力の電圧が不定とならないために、アナログスイッチ122a〜122nと電源ユニット2a〜2nとの間にそれぞれ接続され、且つGNDとそれぞれ接続される。例えば、アナログスイッチ122aがOFFとなっている場合、GNDから抵抗器123を介して0Vの電圧が電源ユニット2aへ入力される。
【0019】
電源ユニット2a〜2nは、それぞれ電源入力とTRIM入力が入力され、ユニット出力を出力する。ユニット出力の電圧がユニット出力電圧である。ここで、電源入力は、交流とする。この電圧は、例えば200Vである。電源ユニット2a〜2nの構成は、いずれも同様の構成であるため、電源ユニット2aを例示し、その詳細を説明する。図3は、実施の形態に係る電源ユニットを説明する図である。図3に示すように、電源ユニット2aは、演算部21と、ユニット設定値を格納する設定値記憶部22と、AC(Alternate Current)−DC(Direct Current)電源23とを有する。
【0020】
TRIM入力が入力された場合、演算部21は、設定値記憶部22からユニット設定値を読み出し、TRIM入力に印加される電圧値により、ユニット設定値を調整する。演算部21は、この調整したユニット設定値をAC−DC電源23へ出力する。AC−DC電源23は、電源入力の電圧を演算部21から出力されたユニット設定値が示す電圧に設定し、この電圧のユニット出力を出力する。ユニット出力は直流である。この構成により、例えば、電源ユニット2aは、48Vのユニット出力を出力している場合において、電圧の5%上昇を示すTRIM入力が入力されると、設定された50.4Vのユニット出力を出力する。一方、TRIM入力が入力されない場合、演算部21は、設定値記憶部22から読み出したユニット設定値をそのままAC−DC電源23へ出力する。
【0021】
出力電圧検出回路13は、電源装置出力の電源装置出力電圧を示すアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ131を有する。出力電圧検出回路13は、A/Dコンバータ131により、デジタル信号に変換された電源装置出力(以後、検出電圧値と称する)を判別回路14へ出力する。実施の形態において、検出電圧値は、256段階の8bitの分解能で出力される。
【0022】
判別回路14は、検出電圧値と、予め設定された基準電圧値または制御回路11による期待電圧値とを比較すると共に比較結果を制御回路11へ出力する演算回路141を有する。基準電圧値とは、電源ユニット部2が有する電源ユニット2a〜2nが全て正常である場合の電源装置出力電圧の設定値を示す。例えば基準電圧値は、48V等の電圧値を示し、電圧指示信号112aが出力される前の検出電圧値との比較に用いられる。また、期待電圧値は、電圧指示信号112aが出力された後の検出電圧値との比較に用いられる。なお基準電圧値と期待電圧値とを同様の値とし、期待電圧値のみで電圧指示信号112a出力前後の検出電圧値との比較が行われるようにしてもよい。演算回路141は、例えばCPUまたはFPGA等である。
【0023】
図4は、実施の形態に係る電源ユニット診断部における機能ブロック図である。電源ユニット診断部10は、検出電圧値が電圧異常か否かを判断する異常判断部101と、電圧指示信号112aおよび対象ユニット指示信号112bの出力を行う指示部102とを有する。更に、電源ユニット診断部10は、電源ユニット2a〜2nの全てに対し、電圧指示信号112aを出力したか否かを判断する電源ユニット判断部103と、後述する割り込み処理を実行する割込部104とを有する。なお、これらの機能ブロックは全て制御回路11を中心に構成される。更に、異常判断部101は、判別回路14と出力電圧検出回路13とで構成され、指示部102は、出力電圧指示回路12で構成される。これらの機能ブロックは、これらのハードウェアとシーケンサ112を制御するソフトウェアとが協同して実現される。または、シーケンサ112にはソフトウェアを搭載せず、インターフェース112cにより接続される図1に記述しないCPUで実行されるソフトウェアと協同して実現することも可能である。
【0024】
図5は、実施の形態に係る診断処理により、予め設定されたユニット設定値より高い電圧のユニット出力を出力する故障電源ユニットに対し、電圧降下を示す電圧指示信号が出力された場合を説明する図である。図5に示す31は、故障電源ユニットを有する電源ユニット部2が出力した電源装置出力の検出電圧値を示す。32は、正常な電源ユニットに対し、電圧降下を示す電圧指示信号112a(以後、下降指示信号と称する)が出力された時刻を示し、33は、正常な電源ユニットに対する下降指示信号の出力が解除された時刻を示す。34は、故障電源ユニットに対し、下降指示信号が出力された時刻を示し、35は、故障電源ユニットに対する下降指示信号の出力が解除された時刻を示す。
【0025】
検出電圧値31は、故障電源ユニットがユニット設定値より高い電圧のユニット出力を出力しているため、期待電圧値より高い。正常な電源ユニットに対し、時刻32において下降指示信号が出力されると、検出電圧値31は、下降指示信号の出力前に検出していた値とほぼ同じ値となる。これは、電源装置出力電圧が、故障電源ユニットが出力している高い電圧に引っ張られるためである。
【0026】
一方、故障電源ユニットに対し、時刻34において、故障電源ユニットに対し、下降指示信号が出力されると、検出電圧値31は下降し、時刻35において、下降指示信号が解除されると、元の値となる。このため、下降指示信号が出力された電源ユニットが故障電源ユニットであると判断される。ここで、検出電圧値31は、故障電源ユニットにより、上限動作電圧の設定値である上限動作電圧値付近の値となっている。このため、電圧上昇を示す電圧指示信号112a(以後、上昇指示信号と称する)が出力されると、検出電圧値31は、上限動作電圧値を上回る可能性がある。しかしながら、実施の形態に係る診断処理によれば、下降指示信号により、検出電圧値31が上限動作電圧値を超えず、コンピュータシステムを停止することなく故障電源ユニットを検出できる。この診断処理を、図6〜7を用いて説明する。
【0027】
図6は、実施の形態に係る診断処理の動作を示すフローチャートである。まず、予め設定された周期の到来、またはユーザからの指示等により診断処理が開始されると、異常判断部101、指示部102および電源ユニット判断部103は、後述する検出処理を実行する(S11)。検出処理後、割込部104は、割り込み処理を行い(S12)、本フローは終了となる。
【0028】
図7は、実施の形態に係る検出処理の動作を示すフローチャートである。まず、異常判断部101は、出力電圧検出回路13から得られる検出電圧値に異常があるか否かを判断する(S101)。ここで、異常判断部101は、判別回路14が有する基準電圧値と検出電圧値とを比較し、検出電圧値が基準電圧値を含む所定の範囲内であるか否かに基づいて判断する。所定の範囲は、基準電圧値±5Vの範囲内または基準電圧値±5%の範囲内等適宜設定が可能である。検出電圧値に異常がある場合、つまり、検出電圧値が所定の範囲外である場合(S101,YES)、異常判断部101は、検出電圧値が所定の範囲より高いか否かを判断する(S102)。検出電圧値が、所定の範囲より高い場合(S102,YES)、異常判断部101は、判断結果を制御回路11へ出力する。指示部102は、入力された判断結果に基づいて選択された電源ユニットを指示対象として設定し、下降指示信号を、出力電圧指示回路12を介して指示の対象の電源ユニット(以後、対象電源ユニットと称する)に対し出力する(S103)。対象電源ユニットは、実施の形態において、記憶回路111が有するアドレスの値(以後、アドレス値と称する)の降順に設定されるとし、ここでは電源ユニット2aとする。なお、アドレス値の昇順に設定されてもよい。指示部102は、下降指示信号の出力と共に、対象ユニット指示信号112bを電源ユニット2aに対応するアナログスイッチ122aに対し出力し、アナログスイッチ122aをON状態に切り替える。
【0029】
下降指示信号出力後、異常判断部101は、検出電圧値が下降指示信号に基づいた値の誤差範囲内まで降下するか否かを判断する(S104)。例えば、ユニット出力電圧の5%下降を示す下降指示信号の出力前は検出電圧値が48Vであった場合、誤差範囲を±1%とすると下降指示信号出力後に検出電圧値が45.6V±1%内の電圧値となったか否かを判断する。誤差範囲は、±2%または±2V等の範囲設定が可能である。検出電圧値が下降指示信号に基づいた値の誤差範囲内まで下降した場合(S104,YES)、異常判断部101は、電源ユニット2aを故障電源ユニットと特定し、比較結果として変数「1」(例えば3.3V)を制御回路11へ出力する(S105)。出力後、制御回路11へ入力された比較結果「1」に基づいて、電源ユニット判断部103は、電源ユニット2aを故障と判断し、電源ユニット2aを特定する情報及び当該比較結果を記憶回路111に記憶する(S106)。つまり、電源ユニット判断部103は、記憶回路111の変数領域にある電源ユニット2aに対応する変数を「1」と書き換える。記憶後、指示部102は、電源ユニット2aに対する下降指示信号の出力を解除する。
【0030】
一方、検出電圧値が下降指示信号に基づいた値の誤差範囲内まで下降しない場合(S104,NO)、異常判断部101は、比較結果として変数「0」(例えば0V)を制御回路11へ出力する(S107)。出力後、制御回路11へ入力された比較結果「0」に基づいて、電源ユニット判断部103は、電源ユニット2aを正常と判断し、電源ユニット2aを特定する情報及び当該比較結果を記憶回路111に記憶する(S108)。つまり、電源ユニット判断部103は、記憶回路111の変数領域にある電源ユニット2aに対応する変数を「0」と上書きする。記憶後、指示部102は、電源ユニット2aに対する下降指示信号の出力を解除する。
【0031】
比較結果の記憶後、電源ユニット判断部103は、電源ユニット2a〜2nの全てに対し、下降指示信号を出力したか否かを判断する(S109)。実施の形態において、アドレス値の降順に下降指示信号を出力しているため、電源ユニット判断部103は、最後のアドレス値に対応する電源ユニットまで下降指示信号を出力したか否かに基づいて判断する。なお、電源ユニット判断部103が、記憶回路111における比較結果の記憶履歴に基づいての判断や、下降指示信号または対象電源ユニット指示信号を出力した電源ユニットを示す情報を記憶しておき、これに基づいた判断をしてもよい。電源ユニット2a〜2nの全てに対し、下降指示信号を出力した場合(S109,YES)、割込部104は、ステップS12の割り込み処理を行う。一方、電源ユニット2a〜2nの全てに対し、下降指示信号を出力していない場合(S109,NO)、指示部102は、ステップS103における次のアドレスの電源ユニットを対象電源ユニットに設定し、下降指示信号を出力する処理を行う。
【0032】
また、ステップS102において、検出電圧値が、所定の範囲より低い場合(S102,NO)、異常判断部101は、全ての電源ユニット2a〜2nが故障していると判断し、判断結果を制御回路11へ出力する。判断結果に基づいて、電源ユニット判断部103は、判断結果を記憶回路111に記憶する(S110)。つまり、電源ユニット判断部103は、記憶回路111の変数領域にある全電源ユニット2a〜2nに対応する変数を全て「1」と書き換える。記憶後、割込部104は、ステップS12の割り込み処理を行う。
【0033】
また、ステップS101において、検出電圧値に異常がない場合、つまり、検出電圧値が所定の範囲内である場合(S101,NO)、異常判断部101は、判断結果を制御回路11へ出力する。指示部102は、入力された判断結果に基づいて対象電源ユニットを設定し、上昇指示信号を、出力電圧指示回路12を介して指示の対象となる対象電源ユニットに対し出力する(S111)。対象電源ユニットは、ここでは電源ユニット2aとする。指示部102は、上昇指示信号の出力と共に、対象ユニット指示信号112bを電源ユニット2aに対応するアナログスイッチ122aに対し出力し、アナログスイッチ122aをON状態に切り替える。
【0034】
上昇指示信号出力後、異常判断部101は、検出電圧値が上昇指示信号に基づいた値の誤差範囲内まで上昇するか否かを判断する(S112)。例えば、ユニット出力電圧の5%上昇を示す上昇指示信号の出力前は検出電圧値が48Vであった場合、誤差範囲を±1%とすると上昇指示信号出力後に検出電圧値が50.4V±1%内の電圧値となったか否かを判断する。検出電圧値が上昇指示信号に基づいた値の誤差範囲内まで上昇しない場合(S112,NO)、異常判断部101は、電源ユニット2aを故障電源ユニットと特定し、比較結果として変数「1」を制御回路11へ出力する(S113)。出力後、制御回路11へ入力された比較結果「1」に基づいて、電源ユニット判断部103は、電源ユニット2aを故障と判断し、電源ユニット2aを特定する情報及び当該比較結果を記憶回路111に記憶する(S114)。記憶後、指示部102は、電源ユニット2aに対する上昇指示信号の出力を解除する。
【0035】
一方、検出電圧値が下降指示信号に基づいた値の誤差範囲内まで上昇した場合(S112,YES)、異常判断部101は、比較結果として変数「0」を制御回路11へ出力する(S115)。出力後、制御回路11へ入力された比較結果「0」に基づいて、電源ユニット判断部103は、電源ユニット2aを正常と判断し、電源ユニット2aを特定する情報及び当該比較結果を記憶回路111に記憶する(S116)。記憶後、指示部102は、電源ユニット2aに対する上昇指示信号の出力を解除する。
【0036】
比較結果の記憶後、電源ユニット判断部103は、電源ユニット2a〜2nの全てに対し、下降指示信号を出力したか否かを判断する(S117)。実施の形態において、アドレス値の降順に上昇指示信号を出力しているため、電源ユニット判断部103は、最後のアドレス値の電源ユニットまで上昇指示信号を出力したか否かに基づいて判断する。
【0037】
電源ユニット2a〜2nの全てに対し、上昇指示信号を出力した場合(S117,YES)、割込部104は、ステップS12の割り込み処理を行う。一方、電源ユニット2a〜2nの全てに対し、上昇指示信号を出力していない場合(S117,NO)、指示部102は、ステップS111における次のアドレスの電源ユニットを対象電源ユニットに設定し、上昇指示信号を出力する処理を行う。
【0038】
次に、実施の形態に係る、ステップS12の割り込み処理の詳細を説明する。
【0039】
検出処理後、割込部104は、電源ユニット診断部10を制御するOS(Operating System)が動作しているCPUへ、interrupt(以後、割り込みと称する)をかける。実施の形態においては、電源ユニット診断部10が動作しているCPUは、シーケンサ112が有するCPUであるとする。したがって、OS上の1つのプログラムとして診断処理が動作しているため、割込部104は、自身に割り込みをかける。割り込み後、割込部104は、記憶回路111に記憶されている電源ユニット2a〜2nの状態を示す変数または状態内容等の状態情報を読み出す。割込部104は、読み出した状態情報に故障電源ユニットを示す情報が含まれる場合、故障電源ユニットの情報を有する故障発生のログを生成し、ユーザまたはコンソール等へ故障発生のメッセージを出力し、電源ユニットの故障が発生したことを通知する。なお、割込部104は、記憶回路111に記憶されている全ての状態情報を出力してもよい。
【0040】
上述した実施の形態に係る割り込み処理では、電源ユニット診断部10を制御するOSが動作しているCPUが、シーケンサ112が有するCPUとして説明したが、このOSが、電源装置1を有するコンピュータシステムのOSである場合、割り込み処理は以下の通りとなる。検出処理後、割込部104は、電源ユニット診断部10を制御するOSが動作しているコンピュータシステムのCPUへ割り込みをかける。割り込みを受けたOSは、記憶回路111に記憶されている状態情報を、インターフェース112cを介して読み出す。読み出した情報に故障電源ユニットを示す情報が含まれる場合、OSは、故障電源ユニットの情報を有する故障発生のログを生成し、ユーザまたはコンソール等へ故障発生のメッセージを出力し、電源ユニットの故障が発生したことを通知する。
【0041】
なお、実施の形態において、電源装置1は、コンピュータシステムに組み込まれていると説明をしたが、外部からコンピュータシステムに接続されてもよい。また、電源ユニット診断部10が、コンピュータシステムに組み込まれ、電源ユニット部2が外部からコンピュータシステムに接続されてもよい。電源ユニット診断部10が外部からコンピュータシステムに接続され、電源ユニット部2がコンピュータシステムに組み込まれてもよい。電源入力は、直流であってもよい。この場合、電源ユニット2a〜2nは、AC−DC電源23の代わりにDC−DCコンバータを有する。
【0042】
比較結果の記憶後に、上昇指示信号および下降指示信号を解除すると説明を行ったが、指示部102は、各指示信号を出力したまま、対象電源ユニット指示信号112bを出力し、スイッチを切り替えるようにしてもよい。対象電源ユニットが正常と判断した場合、電源ユニット2aを特定する情報及び当該比較結果を記憶回路111に記憶するとしたが、当該比較結果を記憶しなくてもよい。制御回路11と判別回路14とを分けて説明を行ったが、判別回路14が行う演算機能を有する制御回路11を用いて、判別回路14を用いなくてもよい。全ての電源ユニット2a〜2nへの下降指示信号または上昇指示信号の出力後に割り込み処理を行うと説明したが、故障電源ユニットが特定された時点で割り込み処理が行われてもよい。
【0043】
実施の形態において、下降指示信号は、ユニット設定値を下降させる指示を行う信号として説明をした。しかしながら、下降指示信号は、ユニット設定値を示す信号でもよい。この場合、異常判断部101は、下降指示信号が出力される前の検出電圧値と基準電圧値との差分を算出し、指示部102は、対象電圧ユニットにおけるユニット設定値からその差分を差し引いた値を示す下降指示信号を出力する。また、この場合、電源ユニット2a〜2nは、演算部21と設定値記憶部22とを有さない。上昇指示信号においても、ユニット設定値を示す信号でもよい。
【0044】
比較例として、この出願に開示された技術を適用しない電源装置を説明する。図8は、この出願に開示された技術を適用しない電源装置の全体のハードウェア構成を示すブロック図である。この比較例における電源装置8は、電源装置1と比較すると、電源ユニット診断部10に代わり電源ユニット診断部80を有する。電源ユニット診断部80は、電源ユニット診断部10と比較すると、制御回路11に代わり制御回路81を有し、出力電圧指示回路12に代わり、出力電圧指示回路82を有する。制御回路81は、制御回路11と比べると、電圧の下降または上昇指示を示す電圧指示信号112aを出力するシーケンサ112の代わりに、電圧の上昇指示のみを示す電圧上昇指示信号812aを出力するシーケンサ812を有する。電源装置8は、電圧上昇指示信号812aを用いて電源ユニット2a〜2nの故障の診断を行う。出力電圧指示回路82は、制御回路81から出力される電圧指示信号812aを各電源ユニット2a〜2nに対し行う。
【0045】
図9は、この出願に開示された技術を適用しない電源装置において、予め設定されたユニット設定値より高い電圧のユニット出力を出力する故障電源ユニットに対し、電圧指示信号を出力した場合を説明する図である。図9に示す801は、故障電源ユニットを有する電源ユニット部2が出力した電源装置出力の検出電圧値を示す。802は、故障電源ユニットに対し、電圧上昇指示信号812aが出力された時刻を示し、803は、電圧上昇指示信号812aの出力が解除された時刻を示す。検出電圧値801は、故障電源ユニットがユニット設定値より高い電圧のユニット出力を出力しているため、期待電圧値より高い。電源装置8は、故障の診断のために故障電源ユニットに対し、時刻802において電圧上昇指示信号812aを出力する。電圧上昇指示信号812aが出力されると、検出電圧値801は、時刻803まで上限動作電圧値を超えた値となる。したがって、電源ユニット診断装置8における故障電源ユニットの故障の診断では、コンピュータシステムの動作は保証できない。
【0046】
これに対し、実施の形態によれば、検出電圧値が期待電圧値より上昇している場合、故障の診断のため、電源ユニット2a〜2nそれぞれが出力するユニット出力電圧を下降させる下降指示信号を出力することができる。下降指示信号を出力することにより、検出電圧値が上限動作電圧値を超えることなく、故障電源ユニットを検出できる。これに加え、ユニット出力電圧が下降している故障電源ユニットがある場合においても、上昇指示信号を出力することができるため、故障電源ユニットを検出することが可能となる。
【0047】
特許請求の範囲または付記に記載の第1比較部、第2比較部および特定部は、例えば、異常判断部101に対応する。第1指示部および第2指示部は、例えば、指示部102に対応する。記憶部および書換部は、例えば、電源ユニット判断部103に対応する。通知部は、例えば、割込部104に対応する。第1、第2および第3出力電圧は、例えば、検出電圧値に対応する。所定の第1閾値は、例えば、基準電圧値の所定範囲における上限の電圧値に対応し、所定の第3閾値は、基準電圧値の所定範囲における下限の電圧値に対応する。所定の第2閾値は、例えば、期待電圧値の誤差範囲における上限の電圧値に対応し、所定の第4閾値は、期待電圧値の誤差範囲における下限の電圧値に対応する。設定値は、例えば、ユニット設定値に対応する。設定値を下げる指示は、例えば、下降指示信号に対応し、設定値を上げる指示は、上昇指示信号に対応する。状態情報は、例えば、変数または状態内容に対応する。電源ユニット診断装置は、例えば、電源ユニット診断部に対応する。
【0048】
以上、実施の形態によれば、以下の付記で示す技術的思想が開示されている。
(付記1)
並列接続された複数の電源ユニットを有する電源ユニット部と、
前記電源ユニット部の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較する第1比較部と、
前記第1出力電圧が前記第1閾値より高い場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、該電源ユニットが出力する電圧の設定値を下げる第1指示を行う第1指示部と、
前記第1指示後における前記電源ユニット部の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較する第2比較部と、
前記第2出力電圧が前記第2閾値より低い場合、前記第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定する特定部と、
を備えることを特徴とする電源装置。
(付記2)
前記電源装置は更に、
前記第1出力電圧が前記第1閾値以下であり且つ所定の第3閾値以上である場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、前記設定値を上げる第2指示を行う第2指示部を備え、
前記第2比較部は、前記第2指示後における前記電源ユニット部の第3出力電圧と所定の第4閾値とを比較し、
前記特定部は、前記第3出力電圧が前記第4閾値より低い場合、前記第2指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定することを特徴とする付記1記載の電源装置。
(付記3)
前記電源装置において、
前記第1出力電圧が前記第3閾値未満である場合、前記特定部は、前記複数の電源ユニット全てが故障していると判断することを特徴とする付記2記載の電源装置。
(付記4)
前記電源装置は更に、
前記複数の電源ユニットの状態を示す状態情報を記憶する記憶部と、
前記特定部により故障と特定された電源ユニットに対応する状態情報を、故障を示す状態情報に書き換える書換部と、
を備えることを特徴とする付記1記載の電源装置。
(付記5)
前記電源装置は更に、
前記記憶部が記憶している前記複数の電源ユニットの状態情報を外部装置へ通知する通知部を備えることを特徴とする付記4記載の電源装置。
(付記6)
前記電源装置において、
前記通知部は、故障と書き換えられた電源ユニットの状態情報に基づいて故障発生のログを生成すると共に故障発生のメッセージを前記外部装置へ通知することを特徴とする付記5記載の電源装置。
(付記7)
並列接続された複数の電源ユニットを有する電源ユニット部の前記電源ユニットを診断する電源ユニット診断装置であって、
前記電源ユニット部の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較する第1比較部と、
前記第1出力電圧が前記第1閾値より高い場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、該電源ユニットが出力する電圧の設定値を下げる第1指示を行う第1指示部と、
前記第1指示後における前記電源ユニット部の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較する第2比較部と、
前記第2出力電圧が前記第2閾値より低い場合、前記第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定する特定部と、
を備えることを特徴とする電源ユニット診断装置。
(付記8)
前記電源ユニット診断装置は更に。
前記第1出力電圧が前記第1閾値以下であり且つ所定の第3閾値以上である場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、前記設定値を上げる第2指示を行う第2指示部を備え、
前記第2比較部は、前記第2指示後における前記電源ユニット部の第3出力電圧と所定の第4閾値とを比較し、
前記特定部は、前記第3出力電圧が前記第4閾値より低い場合、前記第2指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定することを特徴とする付記7記載の電源ユニット診断装置。
(付記9)
前記電源ユニット診断装置において、
前記第1出力電圧が前記第3閾値未満である場合、前記特定部は、前記複数の電源ユニット全てが故障していると判断することを特徴とする付記8記載の電源ユニット診断装置。
(付記10)
前記電源ユニット診断装置は更に、
前記複数の電源ユニットの状態を示す状態情報を記憶する記憶部と、
前記特定部により故障と特定された電源ユニットに対応する状態情報を、故障を示す状態情報に書き換える書換部と、
を備えることを特徴とする付記7記載の電源ユニット診断装置。
(付記11)
前記電源ユニット診断装置は更に、
前記記憶部が記憶している前記複数の電源ユニットの状態情報を外部装置へ通知する通知部を備えることを特徴とする付記10記載の電源ユニット診断装置。
(付記12)
前記電源ユニット診断装置において、
前記通知部は、故障と書き換えられた電源ユニットの状態情報に基づいて故障発生のログを生成すると共に故障発生のメッセージを前記外部装置へ通知することを特徴とする付記11記載の電源ユニット診断装置。
(付記13)
並列接続された複数の電源ユニットを有する電源装置の前記電源ユニットを診断する電源装置の制御方法であって、
前記電源装置の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較するステップと、
前記第1出力電圧が前記第1閾値より高い場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、該電源ユニットが出力する電圧の設定値を下げる第1指示を行うステップと、
前記第1指示後における前記電源装置の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較するステップと、
前記第2出力電圧が前記第2閾値より低い場合、前記第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定するステップを有することを特徴とする電源装置の制御方法。
(付記14)
前記電源装置の制御方法は更に、
前記第1出力電圧が前記第1閾値以下であり且つ所定の第3閾値以上である場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、前記設定値を上げる第2指示を行うステップを有し、
前記第2指示後における前記電源装置の第3出力電圧と所定の第4閾値とを比較するステップと、
前記第3出力電圧が前記第4閾値より低い場合、前記第2指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定するステップを特徴とする付記13記載の電源装置の制御方法。
(付記15)
前記電源装置の制御方法において、
前記第1出力電圧が前記第3閾値未満である場合、前記複数の電源ユニット全てが故障していると判断するステップを特徴とする付記14記載の電源装置の制御方法。
(付記16)
前記電源装置の制御方法は更に、
前記複数の電源ユニットの状態を示す状態情報を記憶するステップと、
故障と特定された電源ユニットに対応する状態情報を、故障を示す状態情報に書き換えるステップと、
を有することを特徴とする付記13記載の電源装置の制御方法。
(付記17)
前記電源装置の制御方法は更に、
記憶している複数の電源ユニットの状態情報を外部装置へ通知するステップを有することを特徴とする付記16記載の電源装置の制御方法。
(付記18)
前記電源装置の制御方法において、
故障と書き換えられた電源ユニットの状態情報に基づいて故障発生のログを生成すると共に故障発生のメッセージを前記外部装置へ通知するステップを特徴とする付記17記載の電源装置の制御方法。
【符号の説明】
【0049】
1 電源装置、2 電源ユニット部、2a〜2n 電源ユニット、10 電源ユニット診断部、11制御回路、12 出力電圧指示回路、13 出力電圧検出回路、14 判別回路、101 異常判断部、102 指示部、103 電源ユニット判断部、104 割込部、111 記憶回路、112a 電圧指示信号、112b 対象ユニット指示信号、 112c インターフェース、121 D/Aコンバータ、122a〜122n アナログスイッチ、123 抵抗器、131 A/Dコンバータ、141 演算回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続された複数の電源ユニットを有する電源ユニット部と、
前記電源ユニット部の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較する第1比較部と、
前記第1出力電圧が前記第1閾値より高い場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、該電源ユニットが出力する電圧の設定値を下げる第1指示を行う第1指示部と、
前記第1指示後における前記電源ユニット部の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較する第2比較部と、
前記第2出力電圧が前記第2閾値より低い場合、前記第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定する特定部と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電源装置は更に、
前記第1出力電圧が前記第1閾値以下であり且つ所定の第3閾値以上である場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、前記設定値を上げる第2指示を行う第2指示部を備え、
前記第2比較部は、前記第2指示後における前記電源ユニット部の第3出力電圧と所定の第4閾値とを比較し、
前記特定部は、前記第3出力電圧が前記第4閾値より低い場合、前記第2指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記電源装置において、
前記第1出力電圧が前記第3閾値未満である場合、前記特定部は、前記複数の電源ユニット全てが故障していると判断することを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記電源装置は更に、
前記複数の電源ユニットの状態を示す状態情報を記憶する記憶部と、
前記特定部により故障と特定された電源ユニットに対応する状態情報を、故障を示す状態情報に書き換える書換部と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電源装置は更に、
前記記憶部が記憶している前記複数の電源ユニットの状態情報を外部装置へ通知する通知部を備えることを特徴とする請求項4記載の電源装置。
【請求項6】
並列接続された複数の電源ユニットを有する電源ユニット部の前記電源ユニットを診断する電源ユニット診断装置であって、
前記電源ユニット部の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較する第1比較部と、
前記第1出力電圧が前記第1閾値より高い場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、該電源ユニットが出力する電圧の設定値を下げる第1指示を行う第1指示部と、
前記第1指示後における前記電源ユニット部の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較する第2比較部と、
前記第2出力電圧が前記第2閾値より低い場合、前記第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定する特定部と、
を備えることを特徴とする電源ユニット診断装置。
【請求項7】
前記電源ユニット診断装置は更に。
前記第1出力電圧が前記第1閾値以下であり且つ所定の第3閾値以上である場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、前記設定値を上げる第2指示を行う第2指示部を備え、
前記第2比較部は、前記第2指示後における前記電源ユニット部の第3出力電圧と所定の第4閾値とを比較し、
前記特定部は、前記第3出力電圧が前記第4閾値より低い場合、前記第2指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定することを特徴とする請求項6記載の電源ユニット診断装置。
【請求項8】
前記電源ユニット診断装置において、
前記第1出力電圧が前記第3閾値未満である場合、前記特定部は、前記複数の電源ユニット全てが故障していると判断することを特徴とする請求項7記載の電源ユニット診断装置。
【請求項9】
前記電源ユニット診断装置は更に、
前記複数の電源ユニットの状態を示す状態情報を記憶する記憶部と、
前記特定部により故障と特定された電源ユニットに対応する状態情報を、故障を示す状態情報に書き換える書換部と、
を備えることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の電源ユニット診断装置。
【請求項10】
前記電源ユニット診断装置は更に、
前記記憶部が記憶している前記複数の電源ユニットの状態情報を外部装置へ通知する通知部を備えることを特徴とする請求項9記載の電源ユニット診断装置。
【請求項11】
並列接続された複数の電源ユニットを有する電源装置の前記電源ユニットを診断する電源装置の制御方法であって、
前記電源装置の第1出力電圧と所定の第1閾値とを比較するステップと、
前記第1出力電圧が前記第1閾値より高い場合、前記複数の電源ユニットの1つに対し、該電源ユニットが出力する電圧の設定値を下げる第1指示を行うステップと、
前記第1指示後における前記電源装置の第2出力電圧と所定の第2閾値とを比較するステップと、
前記第2出力電圧が前記第2閾値より低い場合、前記第1指示が行われた電源ユニットを故障した電源ユニットと特定するステップを有することを特徴とする電源装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−22960(P2011−22960A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169869(P2009−169869)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】