説明

電源装置およびそれを備える電子機器

重負荷の場合に十分な電流を供給し、負荷が変動した場合に過渡応答を高速にすることができる低消費電力の電源装置を提供する。この電源装置1は、出力端子(VTT出力端子)へ電力を供給する入力電源(VTT_IN)と接地電位の間に設けられたNMOS型出力トランジスタ11、12と、基準電圧(VREF)を生成する基準電圧生成回路6と、出力電源電圧(VTT)をフィードバック入力し、基準電圧(VREF)と比較して、NMOS型出力トランジスタ11、12をそれぞれ制御する差動増幅回路13、14と、を備え、差動増幅回路13、14は、出力電源電圧(VTT)にNMOS型トランジスタ11、12がともにオフする電圧範囲を設けるべく、入力される基準電圧(VREF)と出力電源電圧(VTT)との間に入力オフセット電圧を持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速メモリ装置に好適なプッシュプル型の電源装置、およびその電源装置を備えてその出力をターミネーション用電源に用いる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化に伴い、データ転送速度のより高速化を図るメモリ装置の開発が盛んに行われている。その中で、クロック信号に同期して動作するシンクロナスDRAM(SDRAM)のデータ転送速度を高速化するものとして、データ転送をクロック信号の立ち上がりと立ち下がりの両方のエッジに同期させるDDR(Double Data Rate)シンクロナスDRAM(DDR−SDRAM)が実用化されている。
【0003】
そして、DDR−SDRAMでは、この高速のデータ転送のため、ターミネーション用電源電圧と基準電圧とを用いた高速で小振幅のインターフェイスが採用されている(例えば、特許文献1)。図4はこのインターフェイスの構成を示す電子機器の部分回路図である。この電子機器49は、例えばマイクロコンピュータであるコントローラ51、DDR−SDRAM52、ターミネーション用電源電圧(VTT)を出力するターミネーション用電源装置50を備えている。コントローラ51とDDR−SDRAM52とはインターフェイス用抵抗53を介して信号ラインにより接続され、この信号ラインとターミネーション用電源装置50のターミネーション用電源(VTT)は、インターフェイス用抵抗53のDDR−SDRAM52側の接続点N1で、インターフェイス用抵抗54を介して接続されている。
【0004】
この例では、コントローラ51およびDDR−SDRAM52のシステム電源(VDD)は2.5Vに、ターミネーション用電源電圧(VTT)と基準電圧(VREF)とは1.25Vに、また、インターフェイス用抵抗53、54の抵抗値は等しくされている。コントローラ51は、その出力回路61がCMOS形式で構成され、ハイレベルとして2.5V、ローレベルとして0Vを出力する。このハイおよびローレベルの電圧は、インターフェイス用抵抗53、54にて分割され、接続点N1ではそれぞれ1.875V、0.625Vに小振幅化される。この小振幅化された信号は、DDR−SDRAM52の入力信号差動増幅器62の非反転入力端子に入力され、反転入力端子に入力される基準電圧(VREF)の1.25Vと比較することにより、ハイレベルであるかローレベルであるかが高速でもって判定される。
【0005】
したがって、このような高速で信号が小振幅化されたインターフェイスを実現するためには、ターミネーション用電源電圧(VTT)と基準電圧(VREF)とを出力するターミネーション用電源装置50が必要である。このターミネーション用電源装置50として用いられる従来の電源装置を図5に示す。この電源装置101は、いわゆるプッシュプル型であり、ターミネーション用電源電圧(VTT)をターミネーション用電源電圧出力端子(VTT出力端子)から、基準電圧(VREF)を基準電圧出力端子(VREF出力端子)から出力する。
【0006】
この電源装置101は、システム電源(VDD)の電圧を抵抗117、118により分割して基準電圧(VREF)を生成し、バッファアンプ115を介して出力する基準電圧生成回路106と、VTT出力端子に接続されるPMOS型トランジスタ111およびNMOS型トランジスタ112と、ターミネーション用電源電圧(VTT)がフィードバック入力され、基準電圧(VREF)と比較してPMOS型トランジスタ111およびNMOS型トランジスタ112を制御する差動増幅器113と、から構成される。なお、抵抗117、118は等しい抵抗値にされている。
【0007】
この基準電圧生成回路106は、システム電源、すなわち、入力電源(VDD)が2.5Vであり、抵抗117、118の分割により基準電圧(VREF)として1.25Vを生成している。そして、この基準電圧(VREF)にターミネーション用電源電圧(VTT)を一致させるよう、差動増幅器113、PMOS型トランジスタ111、NMOS型トランジスタ112からなるフィードバックループが作用するのである。
【0008】
【特許文献1】特開2001−195884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、この電源装置101は、ターミネーション用電源電圧(VTT)と基準電圧(VREF)とを出力することができる。しかしながら、これらの電圧は入力電源(VDD)の電圧と接地電位のほぼ中央にある中間電圧であり、PMOS型トランジスタ111およびNMOS型トランジスタ112はともにオンするため、それらを流れる貫通電流が大きく、その結果、電源装置101の消費電力が大きくなる。
【0010】
また、重負荷の場合に十分な電流を供給し、負荷が変動した場合に過渡応答を高速にするためには、PMOS型トランジスタ111の電流駆動能力を高める必要がある。しかし、PMOS型トランジスタ111の最大電流能力は、そのゲート電圧を接地電位にしたときであるので、限界がある。
【0011】
本発明は、以上の事由に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、重負荷の場合に十分な電流を供給すること、負荷が変動した場合に過渡応答を高速にすること、ができるうえに低消費電力化が図れる電源装置、およびそれを用いて高性能化に対応できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電源装置は、出力端子から出力電源電圧を出力する電源装置であって、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、ドレインが出力端子へ電力を供給する入力電源に、ソースが出力端子に、それぞれ接続される第1のNMOS型トランジスタと、ドレインが出力端子に、ソースが接地電位に、それぞれ接続される第2のNMOS型トランジスタと、出力電源電圧をフィードバック入力し、基準電圧生成回路から入力される基準電圧と比較して、第1、第2のNMOS型トランジスタをそれぞれ制御する第1、第2の差動増幅回路と、を備え、前記第1、第2の差動増幅回路は、出力電源電圧に第1、第2のNMOS型トランジスタがともにオフする電圧範囲を設けるべく、入力される基準電圧と出力電源電圧との間に入力オフセット電圧を持たせたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る別の電源装置は、出力端子から出力電源電圧を出力する電源装置であって、上側基準電圧と下側基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、ドレインが出力端子へ電力を供給する入力電源に、ソースが出力端子に、それぞれ接続される第1のNMOS型トランジスタと、ドレインが出力端子に、ソースが接地電位に、それぞれ接続される第2のNMOS型トランジスタと、出力電源電圧をフィードバック入力し、下側基準電圧と比較して、第1のNMOS型トランジスタを制御する第1の差動増幅回路と、出力電源電圧をフィードバック入力し、上側基準電圧と比較して、第2のNMOS型トランジスタを制御する第2の差動増幅回路と、を備え、前記出力電源電圧に第1、第2のNMOS型トランジスタがともにオフする電圧範囲を設けていることを特徴とする。
【0014】
更に、これらの電源装置は、第1の差動増幅回路の入力電源が出力端子へ電力を供給する入力電源よりも高い電圧であるとすることもできる。
【0015】
本発明に係る電子機器は、上記のいずれかの電源装置と、メモリ装置およびコントローラとを備える電子機器であって、メモリ装置とコントローラとは第1の抵抗を介して少なくとも1つの信号ラインで接続され、電源装置の出力端子は、ターミネーション用電源として、第2の抵抗を介して信号ラインのメモリ装置側に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電源装置は、出力端子に接続される入力電源側のトランジスタをNMOS型トランジスタにしたので、重負荷の場合に十分な電流を供給し、負荷が変動した場合に過渡応答を高速にすることができ、また、第1、第2の差動増幅回路に、出力電源電圧に第1、第2のNMOS型トランジスタがともにオフする電圧範囲を設けるべく、入力される基準電圧と出力電源電圧との間に入力オフセット電圧を持たせたので、貫通電流が流れるのを防止し、その結果、低消費電力にすることができる。また、本発明の電子機器は、この電源装置を用いることにより、高速で信号が小振幅化されるインターフェイスを実現でき、高性能化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る電源装置の回路図である。
【図2】図2は同上のオフセット電圧生成回路の回路図である。
【図3】図3は本発明の別の実施形態に係る電源装置の回路図である。
【図4】図4は高速で信号を小振幅化したインターフェイスを構成する電子機器の部分回路図である。
【図5】図5は背景技術の電源装置の回路図である。
【符号の説明】
【0018】
1、2 電源装置
6、7 基準電圧生成回路
11 第1のNMOS型トランジスタ
12 第2のNMOS型トランジスタ
13 第1の差動増幅回路
14 第2の差動増幅回路
21 第1のオフセット電圧生成回路
22 第2のオフセット電圧生成回路
23 第1のオペアンプ
24 第2のオペアンプ
49 高速で小振幅のインターフェイスを構成する電子機器
50 ターミネーション用電源装置
51 コントローラ
52 DDR−SDRAM
53、54 インターフェイス用抵抗
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明が前述の図4に示した電子機器に用いられる実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態である電源装置1の回路図である。
【0020】
電源装置1は、いわゆるプッシュプル型であり、出力電源電圧、すなわち、ターミネーション用電源電圧(VTT)をターミネーション用電源電圧出力端子(VTT出力端子)から、基準電圧(VREF)を基準電圧出力端子(VREF出力端子)から出力するものであり、基準電圧(VREF)を生成する基準電圧生成回路6と、ドレインが入力電源(VTT_IN)に、ソースがVTT出力端子に、それぞれ接続される第1のNMOS型トランジスタ11と、ドレインがVTT出力端子に接続され、ソースが接地される第2のNMOS型トランジスタ12と、ターミネーション用電源電圧(VTT)がフィードバック入力され、基準電圧(VREF)と比較して、第1、第2のNMOS型トランジスタ11、12をそれぞれ制御する第1、第2の差動増幅回路13、14と、を備える。したがって、第1の差動増幅回路13、第1のNMOS型トランジスタ11は第1のフィードバックループを形成し、第2の差動増幅回路14、第2のNMOS型トランジスタ12は第2のフィードバックループを形成する。なお、VTT出力端子にはターミネーション用電源電圧(VTT)を安定化する安定化コンデンサ(図示せず)が接続されている。また、この電源装置1は、これを用いる電子機器に柔軟に対応するため、3種類の入力電源(VTT_IN、VDDQ、VCC)を有しているが、これらの具体的な電圧については後述する。
【0021】
基準電圧生成回路6は、入力電源(VDDQ)の電圧を分割して基準電圧(VREF)を生成する抵抗17、18と、この基準電圧(VREF)を出力するバッファアンプ15と、から構成される。抵抗17、18は等しい抵抗値にしている。基準電圧(VREF)は、基準電圧出力端子(VREF出力端子)から外部に出力されるとともに、第1および第2の差動増幅回路13、14に出力される。
【0022】
第1の差動増幅回路13は、第1のオフセット電圧生成回路21と第1のオペアンプ23とから構成される。第1のオフセット電圧生成回路21は、第1のフィードバックループによるターミネーション用電源電圧(VTT)と、基準電圧生成回路6が出力する基準電圧(VREF)とが入力され、ターミネーション用電源電圧(VTT)にオフセット電圧を相対的に付加する。そして、第1のオペアンプ23には、オフセット電圧が付加されたターミネーション用電源電圧(VTT)が反転入力端子に、基準電圧(VREF)が非反転入力端子に、それぞれ入力される。したがって、第1の差動増幅回路13は、ターミネーション用電源電圧(VTT)が基準電圧(VREF)よりもオフセット電圧だけ低い電圧で平衡して中心電圧を出力する。すなわち、ターミネーション用電源電圧(VTT)が基準電圧(VREF)よりもオフセット電圧だけ低い電圧以上では、第1のNMOS型トランジスタ11はオフするのである。
【0023】
第2の差動増幅回路14は、第2のオフセット電圧生成回路22と第2のオペアンプ24とから構成される。第2のオフセット電圧生成回路22は、第2のフィードバックループによるターミネーション用電源電圧(VTT)と、基準電圧生成回路6が出力する基準電圧(VREF)とが入力され、基準電圧(VREF)にオフセット電圧を相対的に付加する。そして、第2のオペアンプ24には、オフセット電圧が付加された基準電圧(VREF)が反転入力端子に、ターミネーション用電源電圧(VTT)が非反転入力端子に、それぞれ入力される。したがって、第2の差動増幅回路14は、ターミネーション用電源電圧(VTT)が基準電圧(VREF)よりもオフセット電圧だけ高い電圧で平衡して中心電圧を出力する。すなわち、ターミネーション用電源電圧(VTT)が基準電圧(VREF)よりもオフセット電圧だけ高い電圧以下では、第2のNMOS型トランジスタ12はオフするのである。
【0024】
このように、フィードバックされたターミネーション用電源電圧(VTT)と基準電圧(VREF)にオフセット電圧を相対的に付加することにより、第1、第2の差動増幅回路13、14は入力オフセット電圧を持ち、第1、第2のNMOS型トランジスタ11、12がともにオフする電圧範囲がターミネーション用電源電圧(VTT)に設けられることになる。
【0025】
ここで、第1、第2のNMOS型トランジスタ11、12がともにオフする電圧範囲は、ターミネーション用電源電圧(VTT)に許容される基準電圧(VREF)からのずれ電圧を考慮して設定される。例えば、ターミネーション用電源電圧(VTT)は、基準電圧(VREF)に対し、±30mVが許容される。そして、本実施形態では、ターミネーション用電源電圧(VTT)が、基準電圧(VREF)に対して±5mVの範囲で、第1、第2のNMOS型トランジスタがともにオフするようにする。そのため、第1、第2のオフセット電圧生成回路21、22のオフセット電圧は5mVとなる。
【0026】
次に、電源装置1の各部における電圧について説明する。本実施形態では、第1、第2の差動増幅回路13、14およびバッファアンプ15の入力電源(VCC)を5Vに設定し、第1のNMOS型トランジスタ11の入力電源(VTT_IN)と抵抗17、18に入力する入力電源(VDDQ)は、入力電源(VCC)からレギュレータ(図示せず)により降圧して、前述の図4におけるシステム電源(VDD)と同じ2.5Vに設定している。したがって、入力電源(VDDQ)の電圧2.5Vから抵抗17、18の分割により生成する基準電圧(VREF)は1.25Vとなる。
【0027】
そして、ターミネーション用電源電圧(VTT)が1.25V−5mVよりも下がると、前述の第1のフィードバックループにより、第1のNMOS型トランジスタ11がオンし、ターミネーション用電源電圧(VTT)を上昇させる。同様に、ターミネーション用電源電圧(VTT)が1.25V+5mVを越えると、第2のフィードバックループにより、第2のNMOS型トランジスタ12がオンし、ターミネーション用電源電圧(VTT)を降下させる。こうして、ターミネーション用電源電圧(VTT)はほぼ1.25V±5mVに維持される。
【0028】
以上のように、電源装置1は、第1、第2のNMOS型トランジスタを各別に制御する第1、第2の差動増幅回路13、14を、各別に最適化することによって過渡応答特性などを改善することができる。そして、ターミネーション用電源電圧(VTT)が、基準電圧(VREF)に対して一定の範囲で、第1、第2のNMOS型トランジスタをともにオフさせることにより、VTT出力端子につながる負荷が無負荷の場合や負荷が変動した場合に、第1のNMOS型トランジスタから第2のNMOS型トランジスタへの貫通電流が流れるのを防止することができて低消費電力化を達成できる。
【0029】
また、第1、第2の差動増幅回路13、14は、その入力電源(VCC)を5Vに設定しているので、最大5Vを出力することができる。したがって、第1、第2のNMOS型トランジスタ11、12のゲート電圧を入力電源(VTT_IN)よりに高くすることができ、それらの電流駆動能力も高くすることができる。これにより、重負荷の場合でも十分な電流を供給することができ、負荷の変動の過渡応答を高速にすることが可能になる。
【0030】
なお、第1のNMOS型トランジスタ11の入力電源(VTT_IN)と、抵抗17、18に入力する入力電源(VDDQ)とは、この実施形態では等しい電圧、具体的には2.5Vに設定しているが、異なっていても構わない。すなわち、入力電源(VTT_IN)の電圧を上げて第1のNMOS型トランジスタ11の電流能力を増加させることができる。しかし、この場合、入力電源(VTT_IN)用の別のレギュレータが必要になったり、第1のNMOS型トランジスタ11での電力損失が大きくなる。
【0031】
次に、第1、第2のオフセット電圧生成回路21、22の具体的な回路構成を図2に示す。電源BGは、バンドギャップ型定電圧源であり、その電圧を抵抗31、32により分割して5mVを生成している。そして、5mVに対応する電流(I1)が抵抗33に流れる。この電流(I1)は、カレントミラー回路で伝達され、抵抗34の両端に直列的に接続されるPMOS型トランジスタ38とNMOS型トランジスタ39に、抵抗36の両端に直列的に接続されるPMOS型トランジスタ44とNMOS型トランジスタ45に、それぞれ流れる。ここで、抵抗34、36および後述する抵抗35、37は抵抗33と等しい抵抗値Rになっている。
【0032】
抵抗34とPMOS型トランジスタ38の接続点は、PMOS型トランジスタ38と並列的に電流(I2)を流す定電流源40が接続され、かつ、第1のオペアンプ23の反転入力端子に出力する端子(OUTA−)になっている。抵抗34とNMOS型トランジスタ39の接続点には、NMOS型トランジスタ39と並列的なPNP型トランジスタ42のエミッタが接続されている。また、抵抗35の両端は、電流(I2)を流す定電流源41とPNP型トランジスタ43のエミッタがそれぞれ接続されている。抵抗35と定電流源41との接続点は、第1のオペアンプ23の非反転入力端子に出力する端子(OUTA+)になっている。さらに、PNP型トランジスタ42のベースにはターミネーション用電源電圧(VTT)が、PNP型トランジスタ43のベースには基準電圧(VREF)が入力されるようにしている。
【0033】
また、抵抗36とPMOS型トランジスタ44の接続点は、PMOS型トランジスタ44と並列的に電流(I2)を流す定電流源46が接続され、かつ、第2のオペアンプ24の反転入力端子に出力する端子(OUTB−)になっている。抵抗36とNMOS型トランジスタ45の接続点には、NMOS型トランジスタ45と並列的なPNP型トランジスタ48のエミッタが接続されている。また、抵抗37の両端は、電流(I2)を流す定電流源47とPNP型トランジスタ49のエミッタがそれぞれ接続されている。抵抗37と定電流源47との接続点は、第2のオペアンプ24の非反転入力端子に出力する端子(OUTB+)になっている。さらに、PNP型トランジスタ48のベースには基準電圧(VREF)が、PNP型トランジスタ49のベースにはターミネーション用電源電圧(VTT)が入力されるようにしている。
【0034】
PNP型トランジスタ42のベースにターミネーション用電源電圧(VTT)が入力されると、端子(OUTA−)は、VTT+Vf+(I1+I2)×Rの電圧となる。また、PNP型トランジスタ43のベースに基準電圧(VREF)が入力されると、端子(OUTA+)は、VREF+Vf+I2×Rの電圧となる。ここで、Vfはトランジスタの順バイアス電圧である。したがって、端子(OUTA−)と端子(OUTA+)の電圧差はVTT−VREF+I1×Rとなり、I1×Rは5mVであるので、5mVのオフセット電圧がターミネーション用電源電圧(VTT)に相対的に付加されることになるのである。
【0035】
同様に、PNP型トランジスタ48のベースに基準電圧(VREF)が入力されると、端子(OUTB−)は、VREF+Vf+(I1+V2)×Rの電圧となる。また、PNP型トランジスタ49のベースにターミネーション用電源電圧(VTT)が入力されると、端子(OUTB+)は、VTT+Vf+I2×Rの電圧となる。したがって、端子(OUTB−)と端子(OUTB+)の電圧差はVREF−VTT+I1×Rとなり、5mVのオフセット電圧が基準電圧(VREF)に相対的に付加されることになるのである。
【0036】
以上のような構成にすると、第1、第2のオフセット電圧生成回路21、22において精度の良いオフセット電圧を生成させることができるが、前述のターミネーション用電源電圧(VTT)の許容電圧範囲(±30mV)を満足するならば、別の構成にすることも可能である。
【0037】
次に、本発明の別の実施形態である電源装置について図3に基づいて説明する。この電源装置2では、電源装置1における第1、第2のオフセット電圧生成回路21、22を構成要素として持たず、第1、第2のオペアンプ23、24がそのまま第1、第2の差動増幅回路になる。基準電圧生成回路7では基準電圧(VREF)を生成するほか、上側基準電圧と下側基準電圧を生成し、この上側基準電圧を第2のオペアンプ24の反転入力端子に、下側基準電圧を第1のオペアンプ23の非反転入力端子に、それぞれ入力させている。第1のオペアンプ23の反転入力端子と第2のオペアンプ24の非反転入力端子には、ターミネーション用電源電圧(VTT)が直接入力される。
【0038】
基準電圧生成回路7は、入力電源(VDDQ)と接地電位との間に、入力電源(VDDQ)の電圧を分割する抵抗25、26、27、28をこの順に接続している。そして、抵抗26、27の接続点の電圧をバッファアンプ15を通る基準電圧(VREF)、抵抗25、26の接続点の電圧を上側基準電圧、抵抗27、28の接続点の電圧を下側基準電圧として、それぞれ出力する。ここで、上側基準電圧と基準電圧(VREF)との差および基準電圧(VREF)と下側基準電圧との差は、ともに5mVになるように、抵抗値を設定する。
【0039】
この電源装置2は、電源装置1と同様、第1、第2のNMOS型トランジスタ11、12がともにオフする電圧範囲を有するターミネーション用電源電圧(VTT)を出力することができる。なお、この電源装置2の上側基準電圧と下側基準電圧を生成する回路は別の回路構成でも可能である。
【0040】
そして、前述の電源装置1(または2)は、背景技術の項において図4に基づき説明した電子機器49に用いることができる。すなわち、図4におけるターミネーション用電源装置50として電源装置1(または2)を用いる。コントローラ51とDDR−SDRAM52とは第1のインターフェイス用抵抗53を介して信号ラインで接続され、この信号ラインと電源装置1(または2)のVTT出力端子は、インターフェイス用抵抗53のDDR−SDRAM52側の接続点N1で、第2のインターフェイス用抵抗54を介して接続される。さらに、電源装置1(または2)のVREF出力端子の出力は、DDR−SDRAM52の入力信号差動増幅回路62の基準電圧(VREF)として入力される。こうして、図4が示す電子機器において、高速で信号を小振幅化したインターフェイスが実現できる。
【0041】
なお、電源装置1(または2)は、基準電圧(VREF)を外部に出力する端子(VREF端子)を有し、その出力を前述のインターフェイスの基準電圧(VREF)としているが、電源装置1(または2)においてVREF端子を有さず、このインターフェイスの基準電圧を他の装置から出力することは可能である。
【0042】
以上、本発明の実施形態としてターミネーション用電源電圧(VTT)を出力する電源装置とそれを用いた電子機器について説明したが、本発明の電源装置は、一定の許容電圧範囲がある他の電源電圧を出力する場合にも適用でき、他の電子機器にも用いることができる。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、実施形態で述べたターミネーション用電源電圧(VTT)や基準電圧(VREF)などの具体的な電圧値はそれぞれの電子機器に適するよう任意に選択できるのは勿論である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子から出力電源電圧を出力する電源装置であって、
基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
ドレインが出力端子へ電力を供給する入力電源に、ソースが出力端子に、それぞれ接続される第1のNMOS型トランジスタと、
ドレインが出力端子に、ソースが接地電位に、それぞれ接続される第2のNMOS型トランジスタと、
出力電源電圧をフィードバック入力し、基準電圧生成回路から入力される基準電圧と比較して、第1、第2のNMOS型トランジスタをそれぞれ制御する第1、第2の差動増幅回路と、
を備え、
前記第1、第2の差動増幅回路は、出力電源電圧に第1、第2のNMOS型トランジスタがともにオフする電圧範囲を設けるべく、入力される基準電圧と出力電源電圧との間に入力オフセット電圧を持たせたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
出力端子から出力電源電圧を出力する電源装置であって、
上側基準電圧と下側基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
ドレインが出力端子へ電力を供給する入力電源に、ソースが出力端子に、それぞれ接続される第1のNMOS型トランジスタと、
ドレインが出力端子に、ソースが接地電位に、それぞれ接続される第2のNMOS型トランジスタと、
出力電源電圧をフィードバック入力し、下側基準電圧と比較して、第1のNMOS型トランジスタを制御する第1の差動増幅回路と、
出力電源電圧をフィードバック入力し、上側基準電圧と比較して、第2のNMOS型トランジスタを制御する第2の差動増幅回路と、
を備え、
前記出力電源電圧に第1、第2のNMOS型トランジスタがともにオフする電圧範囲を設けていることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置において、
第1の差動増幅回路の入力電源は、出力端子へ電力を供給する入力電源よりも高い電圧であることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電源装置と、メモリ装置およびコントローラとを備える電子機器であって、
メモリ装置とコントローラとは第1の抵抗を介して少なくとも1つの信号ラインで接続され、
電源装置の出力端子は、ターミネーション用電源として、第2の抵抗を介して信号ラインのメモリ装置側に接続されていることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【国際公開番号】WO2005/022284
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513428(P2005−513428)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012051
【国際出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】