説明

電源装置及び放電灯点灯装置、並びに照明装置

【課題】過渡的なサージ電圧が電源電圧に重畳する場合や、過渡的に電源電圧を上昇させる制御を行う場合において、コストを増大することなく電子部品が破壊されるのを防止することのできる電源装置及び放電灯点灯装置、並びに照明装置を提供する。
【解決手段】コンバータ部3と、極性反転部6と、電圧検出部4と、電流検出部5と、制御部8と、比較部7とを備え、制御部8は、極性反転時に一定時間のみコンバータ部3からの出力電圧を定常時の出力電圧よりも上昇させる過大出力制御を行い、比較部7は、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を超えると制御部8にハイレベルの抑制制御信号S1を出力し、制御部8は、ハイレベルの抑制制御信号S1を受けるとコンバータ部3における過大出力制御時の出力電圧の上昇を抑制させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び放電灯点灯装置、並びに照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メタルハライドランプなどの高輝度放電灯(HIDランプ)はランプ温度が冷えている場合、始動から安定点灯までの光出力の立ち上がりが遅いことが欠点となっている。特に、車両用前照灯や、液晶プロジェクタ用光源としてこのような高輝度放電灯を使用する場合、その光出力の立ち上がりの改善が必要となる。このため、例えば特許文献1に開示される放電灯点灯装置(電源装置)では、放電灯の点灯直後、過大なランプ電流を流すことで、光出力の立ち上がりを早めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−141988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば車載用の電源装置では、バッテリーの電圧変動や過酷な環境で用いられることに加え、モータやリレー等の誘導性負荷により過渡的なサージ電圧が発生して電源電圧に重畳してしまう場合がある。また、電源装置では、負荷に応じた出力制御が求められ、一定の周期で過渡的に電源電圧を上昇させる制御を行う場合がある。
【0005】
しかしながら、上記従来例では、このように過渡的なサージ電圧が電源電圧に重畳する場合や、過渡的に電源電圧を上昇させる制御を行う場合には、電源電圧の大きさによっては回路の電子部品の最大定格を超え、電子部品が破壊される虞があった。これを回避するために、最大定格の大きい電子部品を回路に採用することが考えられるが、コストが増大するために、例えば低コスト化を求められる車載用の電源装置では実現が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、過渡的なサージ電圧が電源電圧に重畳する場合や、過渡的に電源電圧を上昇させる制御を行う場合において、コストを増大することなく電子部品が破壊されるのを防止することのできる電源装置及び放電灯点灯装置、並びに照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電源装置は、直流電源からの電源電圧を所定の直流電圧に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部からの出力電圧の極性を交互に反転させて負荷に供給する極性反転部と、前記コンバータ部からの出力電圧を検出する電圧検出部と、前記コンバータ部からの出力電流を検出する電流検出部と、前記電圧検出部及び前記電流検出部における検出結果に基づいて前記コンバータ部を制御する制御部と、前記電源電圧と所定の閾値とを比較する比較部とを備え、前記制御部は、極性反転時に一定時間のみ前記コンバータ部からの出力電圧を定常時の出力電圧よりも上昇させる過大出力制御を行い、前記比較部は、前記電源電圧が前記所定の閾値を超えると前記制御部に抑制制御信号を出力し、前記制御部は、前記抑制制御信号を受けると前記コンバータ部における過大出力制御時の出力電圧の上昇を抑制させることを特徴とする。
【0008】
この電源装置において、前記制御部は、前記抑制制御信号を受けると前記コンバータ部における前記過大出力制御を停止させることが好ましい。
【0009】
この電源装置において、制御部は、前記抑制制御信号を受けると前記極性反転部の動作を停止させることが好ましい。
【0010】
本発明の放電灯点灯装置は、上記何れかの電源装置に前記負荷として高輝度放電灯を用いたことを特徴とする。
【0011】
本発明の照明装置は、上記何れかの電源装置又は放電灯点灯装置と、前記負荷である照明負荷とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、電源電圧が所定の閾値を超えると過大出力制御時の出力電圧の上昇を抑制するため、回路の電子部品に印加される電圧が過大になるのを防止することができる。したがって、過渡的なサージ電圧が電源電圧に重畳する場合や、過渡的に電源電圧を上昇させる制御を行う場合において、コストを増大することなく電子部品が破壊されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電源装置の実施形態1を示す回路概略図である。
【図2】同上の比較部のコンデンサの説明図で、(a)は基準となるコンデンサの端子電圧の波形図で、(b)はコンデンサの容量を小さくした場合の端子電圧の波形図で、(c)はコンデンサの容量を大きくした場合の端子電圧の波形図である。
【図3】同上の過大出力制御が行われない場合の波形図である。
【図4】同上の過大出力制御が行われる場合の波形図である。
【図5】同上の電源電圧が過渡的に上昇すると過大出力制御を抑制する場合の波形図である。
【図6】同上の電源電圧が過渡的に上昇すると過大出力制御を停止する場合の波形図である。
【図7】同上の電源電圧が過渡的に上昇すると極性反転動作を停止する場合の波形図である。
【図8】同上をケースに収納する場合を示す分解斜視図である。
【図9】本発明に係る放電灯点灯装置の実施形態2を示す回路概略図である。
【図10】同上の直流電源を交流電源及び整流回路及びPFC回路から構成した場合を示す回路概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本発明に係る電源装置の実施形態1について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1に示すように、直流電源1と、入力フィルタ部2と、コンバータ部3と、電圧検出部4と、電流検出部5と、極性反転部6と、比較部7と、制御部8と、出力フィルタ部9と、負荷部10とから構成される。
【0015】
入力フィルタ部2は、インダクタL0及びコンデンサC0から構成されており、直流電源1からの電源電圧Vinのリプル成分を減衰させる機能を有する。また、直流電源1がスイッチング電源で構成されている場合には、入力フィルタ部2は、スイッチング素子(図示せず)から発生するスイッチングノイズを減衰させる機能も有する。なお、入力フィルタ部2のインダクタL0としては、インダクタL0に流れ得る最大電流でも飽和することがなく、十分な直流重畳特性を有しているものを用いることが望ましい。
【0016】
この入力フィルタ部2の後段には、アルミ電解コンデンサC1が並列に接続されている。アルミ電解コンデンサC1は、高容量のコンデンサであって、直流電源1からの電源電圧Vinの供給が瞬間的に絶たれた場合において、一定時間の間に負荷部10への電源電圧Vinの供給が途絶えないようにバックアップする機能を有する。
【0017】
コンバータ部3は、フライバック方式であって、電源電圧Vinを昇圧又は降圧させるためのトランスT1と、トランスT1の1次側をスイッチングするMOSFETから成るスイッチング素子Q1とを備える。また、コンバータ部3は、トランスT1の2次側に直列に接続されるFRT(First Recovery Diode)から成るダイオードD1と、トランスT1の2次側に並列に接続される平滑コンデンサC2とを備える。なお、ダイオードD1は、スイッチング素子Q1がオンとなりトランスT1の1次側に電圧が印加された際に、トランスT1の2次側に発生する電流を阻止する向きに接続されている。また、トランスT1は、1次側の巻数がN1、2次側の巻数がN2となっている。
【0018】
以下、コンバータ部3の動作について簡単に説明する。スイッチング素子Q1がオンの時には、トランスT1の1次側に電流が流れることでエネルギーが蓄えられる。このとき、トランスT2の2次側ではダイオードD1によって電流が流れるのを阻止される。スイッチング素子Q1がオフになると、トランスT1に蓄えられたエネルギーが磁束結合によりトランスT1の2次側に伝達され、ダイオードD1がオンとなりトランスT1の2次側に電流が流れる。なお、本実施形態では、コンバータ部3の回路方式はフライバック方式であるが、電源電圧Vinを昇圧又は降圧させるための他の回路方式(例えば、フォワード方式)を用いても構わない。
【0019】
コンバータ部3の後段には、コンバータ部3の出力電圧を検出する電圧検出部4と、コンバータ部3の出力電流を検出する電流検出部5とが設けられている。電圧検出部4は、例えば2つの抵抗(図示せず)を直列に接続した抵抗回路をコンバータ部3の出力端と並列に接続して成り、この抵抗回路により分圧されたコンバータ部3の出力電圧の検出電圧を後述する制御部8の電力制御回路80に入力する。電流検出部5は、例えばコンバータ部3の高圧側に直列に接続される検出抵抗(図示せず)から成り、検出抵抗を流れる負荷電流を電圧に変換して後述する制御部8の電力制御回路80に入力する。
【0020】
極性反転部6は、例えばIGBTやMOSFET、バイポーラトランジスタから成る4つのスイッチング素子Q2〜Q5で構成されるフルブリッジ回路であって、コンバータ部3の出力電圧を矩形波状の交流電圧に変換して出力する。
【0021】
比較部7は、直流電源1と並列に接続される2つの抵抗R1,R2の直列回路と、抵抗R2と並列に接続されるコンデンサC3と、コンデンサC3の端子電圧と基準電圧Vrefとを比較するコンパレータCOM1とから構成される。比較部7では、電源電圧Vinを抵抗R1,R2で分圧するとともに、コンデンサC3によってリプル成分を除去することで、電源電圧Vinに比例したコンデンサC3の端子電圧を得ることで、電源電圧Vinを検出する。そして、コンデンサC3の端子電圧と基準電圧VrefとをコンパレータCOM1で比較し、コンデンサC3の端子電圧が基準電圧Vrefを上回ると、コンパレータCOM1から後述する制御部8の電源監視回路81にハイレベルの抑制制御信号S1が出力される。なお、本実施形態では、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1(図5参照)を上回ると、コンデンサC3の端子電圧が基準電圧Vrefを上回るようになっている。
【0022】
ここで、抵抗R2の抵抗値とコンデンサC3の容量値との積で時定数τが定まるため、抵抗R2の抵抗値とコンデンサC3の容量値との積を適宜変更することで、時定数τを制御することができる。例えば、図2(a)に示すように、コンデンサC3の端子電圧がVC1まで充電されるのに時間t0を要するものとする。また、このときのコンデンサC3の端子電圧に、リプル成分Vr0が重畳されるものとする。このとき、抵抗R1,R2による分圧比を一定としてコンデンサC3の容量を小さくすると、図2(b)に示すように、コンデンサC3の端子電圧がVC1まで充電されるのに時間t1(t1>t0)を要し、応答性が悪くなってしまう。但し、コンデンサC3の端子電圧に重畳されるリプル成分Vr1(Vr1<Vr0)は小さくなる。
【0023】
一方、抵抗R1,R2による分圧比を一定としてコンデンサC3の容量を大きくすると、図2(c)に示すように、コンデンサC3の端子電圧がVC1まで充電されるのに時間t2(t2<t0)を要し、応答性が良くなる。但し、コンデンサC3の端子電圧に重畳されるリプル成分Vr2(Vr2>Vr0)が大きくなってしまい、後述の制御部8の誤動作を引き起こす虞がある。したがって、抵抗R2の抵抗値及びコンデンサC3の容量値は、応答性とリプル成分とを考慮して決定される。
【0024】
制御部8は、電力制御回路80と、電源監視回路81と、駆動制御回路82と、ドライブ回路83とを集積した集積回路から構成される。電力制御回路80は、電圧検出部4で検出された検出電圧、及び電流検出部5で検出された検出電流に基づいてコンバータ部3の電力制御を行うものであって、ドライブ回路83に駆動信号S2(図4参照)を出力することでフィードバック制御を行う。電源監視回路81は、比較部7から出力される抑制制御信号S1を受信し、抑制制御信号がハイレベル、即ち、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を上回ると、電力制御回路80に後述する過大出力制御を制限させる指令信号を出力する。
【0025】
駆動制御回路82は、駆動信号S3によって極性反転部6のスイッチング素子Q2,Q5のオン/オフを同時に切り替え、駆動信号S4によって極性反転部6のスイッチング素子Q3,Q4のオン/オフを同時に切り替える。ここで、図3に示すように、駆動信号S3がハイレベルの場合には、極性反転部6のスイッチング素子Q1,Q5がオンに切り替わり、図1に示す電流I1が出力フィルタ部9に流れる。また、駆動信号S4がハイレベルの場合には、極性反転部6のスイッチング素子Q3,Q4がオンに切り替わり、図1に示す電流I1とは逆向きの電流I2が出力フィルタ部9に流れる。したがって、図3に示すように、出力電圧Vout及び出力電流Ioutが一定周期毎に反転する矩形波状の交流出力が負荷部10に供給される。
【0026】
ドライブ回路83は、電力制御回路80からの駆動信号S2を受けてコンバータ部3のスイッチング素子Q1のオン/オフを切り替える。ここで、電力制御回路80は、図4に示すように、出力電圧Voutの反転時において、一定時間の間だけ駆動信号S2のオンデューティ比を大きくすることで、出力電圧Voutを定常時の出力電圧Voutよりも上昇させる過大出力制御を行っている。このように極性反転時に過大出力制御を行うことで、高輝度放電灯の点灯直後に過大なランプ電流を流し、光出力の立ち上がりを早めている。
【0027】
なお、本実施形態では、制御部8は各回路80〜83を集積した集積回路で構成されているが、制御部8をMPU(Micro-Processing Unit)で構成し、プログラムを実行することで各回路80〜83の機能を発揮するようにしてもよい。
【0028】
出力フィルタ部9は、インダクタ及びコンデンサから構成されており、スイッチング素子Q2〜Q5から発生するスイッチングノイズを減衰させる機能を有する。そして、出力フィルタ部9の出力電圧Vout、出力電流Ioutが後段の負荷部10に供給される。
【0029】
ところで、駆動制御回路82は、極性反転部6の全てのスイッチング素子Q2〜Q5が同時にオンに切り替わると回路が破壊される虞があるため、駆動信号S3,S4が切り替わる際にデッドタイムtd1を設けている(図3参照)。ここで、電力制御回路80からの駆動信号S2がハイレベルの場合は、スイッチング素子Q1に印加される印加電圧Vdsは零となるが、駆動信号S2がローレベルの場合は、印加電圧Vdsは以下の式で表される電圧となる。
【0030】
Vds=Vin+N1/N2・(Vout+VF1+VF2)
なお、VF1はダイオードD1における電圧降下を示し、VF2は極性反転部6の2つのスイッチング素子Q2,Q5又はQ3,Q4における電圧降下を示している。したがって、図4に示すように、デッドタイムtd1の間に過大出力制御によって出力電圧Voutが上昇した場合、スイッチング素子Q1の印加電圧Vdsも上昇してしまう。
【0031】
また、図5に示すように、電源電圧Vinに過渡的なチャージ電圧が重畳する場合、或いは電源電圧Vinを過渡的に上昇させる制御を行う場合には、電源電圧Vinの上昇に伴ってスイッチング素子Q1の印加電圧Vdsも上昇する。特に、制御部8が過大出力制御を行っている場合には、図5の破線で示すように、出力電圧Voutの上昇に伴ってスイッチング素子Q1の印加電圧Vdsが更に上昇するため、スイッチング素子Q1の最大定格電圧を超える虞がある。
【0032】
そこで、本実施形態では、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を上回ると、コンバータ部3における過大出力制御時の出力電圧の上昇を抑制するようにしている。以下、この制御について図面を用いて説明する。先ず、図5に示すように、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を上回ると、時間t3を経過した後に比較部7のコンパレータCOM1からハイレベルの抑制制御信号S1が出力される。次に、制御部8の電源監視回路81においてハイレベルの抑制制御信号S1を受信すると、電源監視回路81は電力制御回路80に指令信号を出力する。電力制御回路80は、指令信号を受けると過大出力制御時における駆動信号S2のオンデューティ比を通常時よりも小さくすることで、コンバータ部3における過大出力制御時の出力電圧の上昇を抑制させ、結果として出力電圧Voutの上昇も抑制させる。このように過大出力制御時の出力電圧Voutの上昇を抑制することで、抑制しない場合には印加電圧VdsがV10まで上昇するのに対し、抑制した場合には印加電圧VdsがV1(V1<V10)までしか上昇しない(図5参照)。
【0033】
上述のように、本実施形態では、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を超えると過大出力制御時の出力電圧Voutの上昇を抑制するため、回路の電子部品(スイッチング素子Q1)に印加される印加電圧Vdsが過大になるのを防止することができる。したがって、過渡的なサージ電圧が電源電圧Vinに重畳する場合や、過渡的に電源電圧Vinを上昇させる制御を行う場合において、コストを増大することなく電子部品(スイッチング素子Q1)が破壊されるのを防止することができる。
【0034】
なお、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を上回ると、制御部8による過大出力制御を停止するようにしてもよい。即ち、電力制御回路80は、指令信号を受けると過大出力制御を停止することで、極性反転時の出力電圧Voutの上昇を抑制させる。このように過大出力制御を停止することで、図6に示すように、停止しない場合には印加電圧VdsがV20まで上昇するのに対し、停止した場合には印加電圧VdsがV2(V2<V20)までしか上昇しない。したがって、上記と同様の効果を奏することができる。
【0035】
更に、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を上回ると、制御部8による極性反転部6の駆動制御を停止するようにしてもよい。即ち、電力制御回路80は、指令信号を受けると過大出力制御を停止するとともに、駆動制御回路82による各スイッチング素子Q2〜Q5の駆動制御を停止させる。このように極性反転部6の駆動制御を停止することで、図7に示すように、停止しない場合には印加電圧VdsがV30まで上昇するのに対し、停止した場合には印加電圧VdsがV3(V3<V30)までしか上昇しない。したがって、上記と同様の効果を奏することができる。
【0036】
なお、本実施形態の負荷部10には、例えばHIDランプ(高輝度放電灯)や照明用の発光ダイオード(LED)等の照明負荷が用いられる。
【0037】
ところで、本実施形態は、図8に示すようにケース18に収納して用いられる。同図において、本実施形態は、各部の回路を構成する電子部品11と、入力フィルタ部2と、アルミ電解コンデンサC1と、コンバータ部3を構成するトランスT1、スイッチング素子Q1、ダイオードD1と、制御部8を構成するマイコン12とをプリント基板17に搭載している。電子部品11は、抵抗、コンデンサ、コイル、FET、ダイオード等から成り、種類を問わない。また、プリント基板17には、入力用配線13を接続するための入力用カプラ14と、出力用配線15を接続するための出力用カプラ16とが搭載されている。なお、同図では、直流電源1、出力フィルタ部9、負荷部10の図示を省略している。
【0038】
ケース18は、一面(図8における上面)を開口した直方体状に形成され、その内部にプリント基板17が収納される。また、ケース18の側面には、入力用配線13を通すための配線孔18Aが設けられている。このケース18の一面には、一面(図8における下面)を開口した扁平な直方体状に形成されたカバー19が結合される。カバー19の一面には、出力用配線15を通すための配線孔19Aが設けられている。また、カバー19の側面には、複数(図示では3つ)の平板状の取付部20が外部に突出する形で設けられている。これら取付部20には、灯体(図示せず)にケース18及びカバー19を取り付けるための取付孔20Aが設けられている。このようにケース18をカバー19で密閉することで、プリント基板17に搭載された各部品の放熱及び防水を図ることができる。
【0039】
(実施形態2)
以下、本発明に係る放電灯点灯装置の実施形態2について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態は、実施形態1の電源装置を用いて負荷であるHIDランプ(高輝度放電灯)10Aに点灯電力を供給するものであって、図9に示すように、負荷部10が、昇圧回路21と、イグナイタ回路22と、HIDランプ10Aとから構成される。
【0040】
昇圧回路21は、HIDランプ10Aを始動させるためにコンバータ部3の出力電圧を昇圧して負荷部10に出力するものである。イグナイタ回路22は、パルストランスT2や放電ギャップG1を有し、昇圧回路21からの出力電圧を更に昇圧した数kVの高電圧のパルス電圧をHIDランプ10Aに印加する。したがって、イグナイタ回路22により印加される高電圧のパルス電圧によって、HIDランプ10Aは電極間を絶縁破壊されて始動する。
【0041】
ここで、HIDランプ10Aの始動直後から100μ秒の間は、制御部8によるフィードバック制御を行うことができず、HIDランプ10Aが消灯する虞がある。そこで、HIDランプ10Aが始動直後に消灯しないように、極性反転部6の前段に始動補助回路23を設けている。なお、上記の昇圧回路21、イグナイタ回路22、始動補助回路23は従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
ところで、本実施形態のようにHIDランプ10Aを負荷とする車載用電源装置や、LED(図示せず)を負荷とする車載用電源装置では、バッテリーの電圧変動やバッテリーの電圧変動や過酷な環境で用いられることが想定される。また、設計において、モータやリレー等の誘導性負荷により過渡的なサージ電圧への耐性を考慮しなければならない。更に、JASO(日本自動車技術会規格)指定のA−1種サージ試験や、アイドリングストップ機能時の電源電圧の急変による過渡電圧など、電源装置の過渡電圧に対する耐性や電源保護機能は必須であり、高い品質レベルが要求されている。
【0043】
本実施形態では、実施形態1と同様に、電源電圧Vinが所定の閾値Vt1を超えると過大出力制御時の出力電圧Voutの上昇を抑制するため、回路の電子部品(スイッチング素子Q1)に印加される印加電圧Vdsが過大になるのを防止することができる。したがって、過渡的なサージ電圧が電源電圧Vinに重畳する場合や、過渡的に電源電圧Vinを上昇させる制御を行う場合において、コストを増大することなく電子部品(スイッチング素子Q1)が破壊されるのを防止することができる。
【0044】
ところで、本実施形態では、実施形態1と同じ直流電源1を用いているが、図10に示すように、直流電源1を交流電源AC1、整流回路100、PFC回路101から構成してもよい。整流回路100は、4つのダイオードから成るフルブリッジ回路であって、交流電源AC1からの交流電圧を整流する。整流回路100の後段には、平滑用コンデンサC4が設けられており、整流回路100からの出力電圧を平滑化して直流電圧を出力する。
【0045】
ここで、交流電源AC1からの交流電圧を整流する際には、整流後の出力電圧と出力電流との間に位相のずれが生じ、力率が低下してしまう。このとき、出力電流に高調波成分を含んでしまい、ノイズ障害を引き起こす虞がある。そこで、平滑用コンデンサC4の後段にPFC回路101を設けることで、力率が低下するのを防いでいる。なお、PFC回路101は従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0046】
勿論、本実施形態も、実施形態1と同様に図8に示すようにケース18に収納して用いることができる。なお、上記各実施形態は、本発明に係る電源装置及び放電灯点灯装置の実施形態の一例を示したに過ぎない。また、実施形態1の電源装置又は実施形態2の放電灯点灯装置と、照明負荷であるHIDランプや発光ダイオードとを一体に構成した照明装置として、例えば車両用前照灯などに用いてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 直流電源
3 コンバータ部
4 電圧検出部
5 電流検出部
6 極性反転部
7 比較部
8 制御部
10 負荷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの電源電圧を所定の直流電圧に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部からの出力電圧の極性を交互に反転させて負荷に供給する極性反転部と、前記コンバータ部からの出力電圧を検出する電圧検出部と、前記コンバータ部からの出力電流を検出する電流検出部と、前記電圧検出部及び前記電流検出部における検出結果に基づいて前記コンバータ部を制御する制御部と、前記電源電圧と所定の閾値とを比較する比較部とを備え、前記制御部は、極性反転時に一定時間のみ前記コンバータ部からの出力電圧を定常時の出力電圧よりも上昇させる過大出力制御を行い、前記比較部は、前記電源電圧が前記所定の閾値を超えると前記制御部に抑制制御信号を出力し、前記制御部は、前記抑制制御信号を受けると前記コンバータ部における過大出力制御時の出力電圧の上昇を抑制させることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記抑制制御信号を受けると前記コンバータ部における前記過大出力制御を停止させることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記抑制制御信号を受けると前記極性反転部の動作を停止させることを特徴とする請求項1又は2記載の電源装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電源装置に前記負荷として高輝度放電灯を用いたことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電源装置又は請求項4記載の放電灯点灯装置と、前記負荷である照明負荷とを備えたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−70548(P2012−70548A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213602(P2010−213602)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】