説明

電源装置及び照明器具

【課題】 適正な電力を供給でき安定した動作を確保できる電源装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】 発光ダイオード18に流れる電流に基づいて定電流制御信号を生成する定電流制御信号生成部22と発光ダイオード18に印加される電圧に基づいて定電圧制御信号を生成する定電圧制御信号生成部24を設け、常時は、定電流制御信号生成部22で生成される定電流制御信号に基づいて発光ダイオード18に対する定電流制御を行い、負荷異常により発光ダイオード18に印加される電圧が所定値に達すると、この時点から定電圧制御信号生成部24で生成される定電圧制御信号に基づいて発光ダイオード18に対する定電圧制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光ダイオードなどの半導体発光素子の駆動に最適な電源装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、発光ダイオードなどの半導体発光素子の電源として、スイッチング手段を用いた直流の電源装置が多く用いられている。
【0003】
そして、この種の電源装置として、特許文献1に開示されるように負荷に流れる負荷電流を検出し、この検出信号に基づいて制御回路によりスイッチング素子をオンオフさせて負荷に対する出力を制御するようなものがある。
【特許文献1】特開2001−313423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる特許文献1のものは、例えば負荷として発光ダイオードを用い、この発光ダイオードに流れる電流を一定にして発光ダイオードが一定の明るさになるように定電流制御している状態で、何らかの原因で発光ダイオードに所定以上の電圧、つまり過電圧が印加されることがあると、発光ダイオードは一定の明るさを保つものの急激に発熱し、破損してしまうことがある。
【0005】
そこで、従来では、発光ダイオードに印加される過電圧を検出する過電圧検出手段を設け、例えば、図6に示すように、発光ダイオードに流れる電流が一定値Icの定電流制御を行っている状態から、負荷異常により過電圧検出手段が発光ダイオードに印加される過電圧Vo(図示A点)を検出すると、定電流制御をキャンセルして発光ダイオードを強制的に消灯させるようなものが考えられている。
【0006】
しかし、発光ダイオードに流れる電流を一定に制御する定電流制御を行う場合、通常、発光ダイオードの順方向電圧の固体ばらつき及び使用環境による温度特性による変動などを予め考慮して電源装置の保証動作範囲(設計範囲)を広く設定するため負荷異常と判定する過電圧Voを大きな値に設定するなどの、いわゆる余剰設計が行われている。この結果、過電圧検出手段が負荷異常による過電圧Voを検出するまで、このときの過電圧により適正でない電力が発光ダイオードに入り続けることになり、この場合も発光ダイオードに異常な発熱を生じることがあった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、適正な電力を供給でき安定した動作を確保できる電源装置及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、半導体発光素子と;前記半導体発光素子に流れる電流に基づいて定電流制御信号を生成する定電流制御信号生成手段と;前記半導体発光素子に印加される電圧に基づいて定電圧制御信号を生成する定電圧制御信号生成手段と;前記定電流制御信号生成手段で生成される定電流制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電流制御を行うとともに、前記半導体発光素子に印加される電圧が所定値に達すると前記電圧制御信号生成手段で生成される定電圧制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電圧制御を行う制御手段と;を具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、半導体発光素子と;前記半導体発光素子に流れる電流に基づいて定電流制御信号を生成する定電流制御信号生成手段と;前記半導体発光素子に流れる電流及び前記半導体発光素子に印加される電圧基づいて定電力制御信号を生成する定電力制御信号生成手段と;前記定電流制御信号生成手段で生成される定電流制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電流制御を行うとともに、前記半導体発光素子に印加される電圧が所定値に達すると前記定電力制御信号生成手段で生成される定電力制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電力制御を行う制御手段と;を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電源装置と;前記電源装置を有する器具本体と:を具備したことを特徴とする照明器具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体発光素子に対して適正な電力を供給でき、半導体発光素子が熱により破損するなどの不具合を生じることがない安定した動作を確保できる。
【0012】
また、本発明によれば、適正な電力を供給し安定した動作を確保できる照明器具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
まず、本発明が適用される照明器具について簡単に説明する。
【0015】
図1(a)(b)(c)において、1は器具本体で、この器具本体1は、長方形状をしており、一方端部に取付金具2が設けられ、この取付金具2により、例えば支持柱などに取り付け可能にしている。また、器具本体1は、筐体の一部を構成する天板1aを有し、この天板1a内面側に電源ユニット用基板3及び定電流回路用基板4が並べて配置されている。ここで、天板1aを有する筐体は、熱伝導性の高い材料のものが用いられ、例えば、熱伝導率の高い金属製であっても良いし、放熱作用を期待できる程度の熱伝導率であれば樹脂製であっても良い。電源ユニット用基板3には電源装置100が設けられる。電源装置100については後述する。
【0016】
また、器具本体1は、図1(c)に示すように天板1aの長手方向に沿って断面逆三角形状の突出部1bが形成され、この突出部1bの傾斜した側面に沿ってLEDモジュール5が設けられている。LEDモジュール5は、断面を三角波状に形成した基部5aを有し、この断面三角波状の基部5aが突出部1bの側面に沿って配置されている。また、LEDモジュール5は、三角波状の基部5aの各谷部分に複数(図示例では4個)の発光ダイオード(LED)6からなる発光ダイオード群がそれぞれ配置されている。この場合、発光ダイオード群が配置される谷部両側の山部側面は、発光ダイオード6から発する光を反射する反射面に形成されている。
【0017】
図2は、このように構成された照明器具の電源ユニット用基板3に設けられる電源装置100の概略構成を示している。
【0018】
図2において、11は交流電源で、この交流電源11は、不図示の商用電源からなっている。この交流電源11には、全波整流回路12の入力端子が接続されている。全波整流回路12は、交流電源11からの交流電力を全波整流した出力を発生する。全波整流回路12の正負極の出力端子間には、平滑用のコンデンサ13が接続され、全波整流回路12とともに直流電源を構成している。
【0019】
ここでは、直流電源として、商用電源を整流平滑したものを用いたが、力率改善のための力率改善コンバータを使用しても良い。
【0020】
コンデンサ13には、DC−DCコンバータ10が接続されている。このDC−DCコンバータ10は、フライバックトランスであるスイッチングトランス14、スイッチング手段としてのスイッチングトランジスタ15、整流平滑手段としてのダイオード16と平滑コンデンサ17からなる整流平滑回路より構成されている。ここで、コンデンサ13の両端には、スイッチングトランス14の一次巻線14aとスイッチングトランジスタ15の直列回路が接続されている。スイッチングトランス14は、一次巻線14aと磁気的結合された二次巻線14bを有している。スイッチングトランス14の二次巻線14bには、図示極性のダイオード16と平滑コンデンサ17からなる整流平滑回路が接続されている。この整流平滑回路は、スイッチングトランジスタ15、スイッチングトランス14とともに直流出力生成手段を構成し、スイッチングトランス14の二次巻線14bより発生する交流出力をダイオード16で整流し、この整流出力を平滑コンデンサ17により平滑して直流出力として発生する。
【0021】
ここでは、DC−DCコンバータ10としてフライバックコンバータを用いたが、例えば、負荷側の電圧が電源電圧より低い場合は降圧型コンバータ、負荷側の電圧が電源電圧より高い場合は昇圧型コンバータなど、昇降圧型コンバータを用いても良い。要は、負荷の状態や外部からの信号に応じて出力を可変できるものであればよい。
【0022】
DC−DCコンバータ10の整流平滑回路を構成する平滑コンデンサ17の両端には、負荷として、光源として半導体発光素子である発光ダイオード18(図1で述べた発光ダイオード(LED)6に相当する。)が接続されている。
【0023】
発光ダイオード18には、電流検出手段として電流検出部19が直列に接続されている。この電流検出部19は、インピーダンス素子として抵抗191が用いられる。また、発光ダイオード18には、電圧検出手段として電圧検出部20が並列に接続されている。この電圧検出部20は、インピーダンス素子として抵抗201と202の直列回路が用いられる。
【0024】
電流検出部19には、定電流制御信号生成手段としての定電流制御信号生成部22と低電流検出手段としての低電流検出部29が接続されている。
【0025】
定電流制御信号生成部22は、比較手段である比較器221を有している。この比較器221の一方入力端子には、電流検出部19の抵抗191と発光ダイオード18の接続点が接続され、他方の入力端子には、基準信号源23が接続されている。この基準信号源23は、発光ダイオード18に流れる電流を一定に制御するための所定の基準信号が設定される。また、比較器221の出力端子は、出力切換部27に接続されている。出力切換部27については後述する。
【0026】
低電流検出部29は、比較手段である比較器291を有している。この比較器291の一方入力端子には、電流検出部19の抵抗191と発光ダイオード18の接続点が接続され、他方の入力端子には、基準信号源30が接続されている。この基準信号源30は、発光ダイオード18に対して許容される明るさを保証する最低電流を検出するための基準信号が設定される。また、比較器291の出力端子は、出力切換部27に接続されている。
【0027】
電圧検出部20には、定電圧制御信号生成手段としての定電圧制御信号生成部24が接続されている。定電圧制御信号生成部24は、比較手段である比較器241を有している。この比較器241の一方入力端子には、電圧検出部20の抵抗201と202の接続点が接続され、他方の入力端子には、基準信号源25が接続されている。この基準信号源25は、発光ダイオード18に印加される電圧を一定に制御するための所定の基準信号が設定される。また、比較器241の出力端子は、出力切換部27に接続されている。
【0028】
出力切換部27は、出力端子を制御回路26に接続されている。出力切換部27は、定電流制御信号生成部22の出力及び定電圧制御信号生成部24の出力を制御回路26に出力するとともに、定電流制御信号生成部22の出力が発生している間は、低電流検出部29からの出力の発生を停止し、定電流制御信号生成部22からの出力に代わって定電圧制御信号生成部24より出力が発生すると、低電流検出部29の出力を制御回路26に出力する。 制御回路26は、不図示の電源部により駆動されるもので、その動作によりスイッチングトランジスタ15をオンオフさせてスイッチングトランス14をスイッチング駆動する。
【0029】
この場合、制御回路26は、定電流制御信号生成部22での比較器221の電流検出部19の出力と基準信号源23の基準値との比較結果(定電流制御信号)に基づいてスイッチングトランジスタ15をオンオフ動作させ発光ダイオード18に供給する電流を一定に制御する定電流制御を行い、定電圧制御信号生成部24での比較器241の電圧検出部20の出力と基準信号源25の基準値との比較結果(定電圧制御信号)に基づいてスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作させ発光ダイオード18に印加される出力電圧を一定に制御する定電圧制御を行う。また、制御回路26は、定電流制御信号生成部22の比較器221からの出力(定電流制御信号)を優先して定電流制御を行い、負荷異常により発光ダイオード18に印加される電圧が所定値(基準信号源25の基準値)に達すると、このときの定電圧制御信号生成部24の出力(定電圧制御信号)を受けて、これ以降、定電圧制御信号生成部24の比較器241からの出力(定電圧制御信号)を優先して定電圧制御を行う。さらに制御回路26は、定電流制御信号生成部22からの出力に代わって定電圧制御信号生成部24から出力が発生すると、この時点から出力切換部27より出力される低電流検出部29からの出力を監視し、比較器291で電流検出部19の出力と基準信号源30の基準値とが一致したことを検出すると、この検出信号によりスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作を停止させ定電圧制御をキャンセルし、発光ダイオード18を消灯する。
【0030】
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
【0031】
図2において、交流電源11の交流電力が全波整流回路12に印加されると、全波整流回路12で全波整流され、平滑用コンデンサ13スイッチングトランス14及びスイッチングトランジスタ15に供給される。
【0032】
この状態で、制御回路26によるスイッチングトランジスタ15のオンオフによりスイッチングトランス14がスイッチング駆動される。この場合、スイッチングトランジスタ15のオンでスイッチングトランス14の一次巻線14aに電流を流してエネルギーを蓄積し、スイッチングトランジスタ15のオフで、一次巻線14aに蓄積したエネルギーを二次巻線14bを通して放出する。これにより整流平滑回路を構成する平滑コンデンサ17両端より直流出力が発生し、この直流出力が発光ダイオード18に供給される。
【0033】
この状態で、制御回路26は、定電流制御信号生成部22の比較器221での電流検出部19の出力と基準信号源23の基準値との比較結果より生成される定電流制御信号によりスイッチングトランジスタ15をオンオフ動作させ発光ダイオード18に対して定電流制御を行う。図3のa1は、この状態を示しており、発光ダイオード18に対して一定の電流Ic1が供給されている。この場合、出力切換部27は、定電流制御信号生成部22の出力が発生している間、低電流検出部29からの出力の発生を停止している。
【0034】
この状態から、負荷異常などにより発光ダイオード18に印加される電圧が所定値(図3に示すB点)に達すると、制御回路26は、このときの定電圧制御信号生成部24の出力(定電圧制御信号)により、これ以降、定電圧制御信号生成部24の比較器241からの出力(定電圧制御信号)を優先して、発光ダイオード18に対して定電圧制御を行う。図3のa2は、この状態を示しており、発光ダイオード18に対して一定の電圧Vc1が印加される。
【0035】
定電圧制御信号生成部24から出力が発生すると、出力切換部27より低電流検出部29からの出力が発生し制御回路26に入力される。この状態で、制御回路26は、低電流検出部29の比較器291からの出力を監視する。そして、低電流検出部29の比較器291で電流検出部19の出力と基準信号源30の基準値が一致すると(図3に示すC点)、この検出信号により制御回路26は、スイッチングトランジスタ15のオンオフ動作を停止させ定電圧制御をキャンセルして発光ダイオード18を消灯する。ここで、図3に示すIc2は、低電流検出部29の比較器291で電流検出部19の出力と基準信号源30の基準値が一致した時点で発光ダイオード18に対して許容される明るさを保証する最低電流である。
【0036】
したがって、このようにすれば、発光ダイオード18に流れる電流に基づいて定電流制御信号を生成する定電流制御信号生成部22と発光ダイオード18に印加される電圧に基づいて定電圧制御信号を生成する定電圧制御信号生成部24を設け、常時は、定電流制御信号生成部22で生成される定電流制御信号に基づいて発光ダイオード18に対する定電流制御を行い、負荷異常により発光ダイオード18に印加される電圧が所定値に達すると、この時点から定電圧制御信号生成部24で生成される定電圧制御信号に基づいて発光ダイオード18に対する定電圧制御を行うようにした。これにより、負荷異常などにより発光ダイオード18の印加電圧が上昇することがあっても、発光ダイオード18に対する制御が速やかに定電圧制御に移行されるので、従来の発光ダイオード18に対する電流を一定制御した状態で過電圧が検出されるまで余分な電力が発光ダイオードに入りつづけるものと比べ、発光ダイオード18に対して適正な電力を供給することができる。この結果、余分な電力が原因で発光ダイオードが異常に発熱し、この熱により発光ダイオードが破損するようなことを確実に防止でき、常に安定した動作を確保することができる。
【0037】
また、この場合、定電流制御から定電圧制御に移行するため発光ダイオード18の明るさに多少の変動が生じることがあるが、発光ダイオード18の明るさを保証できないレベルまで電流が低下した時点で定電圧制御をキャンセルして発光ダイオード18を消灯するようにしたので、発光ダイオード18が不安定状態のままで点灯し続けることが無く、常に安定した状態の範囲で点灯させることができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示すもので、図2と同一部分には同符号を付して説明を省略する。
【0039】
この場合、電流検出部19には、定電力制御信号生成手段として定電力制御信号生成部42が接続されている。定電力制御信号生成部42は、乗算器421及び比較器422を有している。乗算器421は、一方入力端子に電流検出部19の抵抗191と発光ダイオード18の接続点が接続され、他方の入力端子に電圧検出部20の抵抗201と202の接続点が接続され、これら電流検出部19と電圧検出部20の出力を乗算した出力(電力量)を発生する。比較器422は、一方入力端子に乗算器421の出力端子が接続され、他方の入力端子に基準信号源43が接続されている。この基準信号源43は、発光ダイオード18に入力される電力を一定に制御するための基準信号が設定される。また、比較器422の出力端子は、制御回路26に接続されるとともに、出力切換部49に接続されている。出力切換部49には、定電力制御信号生成部22の比較器221の出力端子が接続されている。出力切換部49については後述する。
【0040】
電流検出部19には、低電流検出手段として低電流検出部47が接続されている。また、電圧検出部20には、低電圧検出手段として低電圧検出部45が接続されている。
【0041】
低電流検出部47は、比較手段である比較器471を有している。この比較器471の一方入力端子には、電流検出部19の抵抗191と発光ダイオード18の接続点が接続され、他方の入力端子には、基準信号源48が接続されている。この基準信号源48は、発光ダイオード18に対して許容される明るさを保証する最低電流を検出するための基準信号が設定される。また、低電圧検出部45は、比較手段である比較器451を有している。この比較器451の一方入力端子には、電圧検出部20の抵抗201と202の接続点が接続され、他方の入力端子には、基準信号源46が接続されている。この基準信号源46は、発光ダイオード18に対して許容される明るさ保証する最低電圧を検出するための基準信号が設定される。
【0042】
低電流検出部47の比較器471及び低電圧検出部45の比較器451のそれぞれの出力端子は、出力切換部49に接続されている。出力切換部49は、定電力制御信号生成部22から出力が発生している間は、低電流検出部47及び低電圧検出部45からの出力の発生を停止し、定電力制御信号生成部42から出力が発生すると、低電流検出部47及び低電圧検出部45からのそれぞれの出力を制御回路26に出力する。
【0043】
制御回路26は、定電流制御信号生成部22での比較器221の電流検出部19の出力と基準信号源23の基準値との比較結果(定電流制御信号)に基づいてスイッチングトランジスタ15をオンオフ動作させ発光ダイオード18に供給する電流を一定に制御する定電流制御を行い、定電力制御信号生成部42での比較器422の乗算器421の出力と基準信号源43の基準値との比較結果(定電力制御信号)に基づいてスイッチングトランジスタ15のオンオフ動作させ発光ダイオード18に入力される電力を一定に制御する定電力制御を行う。また、制御回路26は、定電流制御信号生成部22の比較器221からの出力(定電流制御信号)を優先して定電流制御を行い、負荷異常により発光ダイオード18に供給される電力が所定値(基準信号源43の基準値)に達すると、このときの定電力制御信号生成部42の出力(定電力制御信号)を受けて、これ以降、定電力制御信号生成部42の比較器422からの出力(定電力制御信号)を優先して定電力制御を行う。さらに、制御回路26は、定電力制御信号生成部42から出力が発生すると、この時点から出力切換部49より出力される低電流検出部47及び低電圧検出部45のそれぞれの出力を監視し、低電流検出部47の比較器471で電流検出部19の出力と基準信号源48の基準値とが一致、又は低電圧検出部45の比較器451で電圧検出部20の出力と基準信号源46の基準値とが一致したことを検出すると、スイッチングトランジスタ15のオンオフ動作を停止させ定電力制御をキャンセルして発光ダイオード18を消灯する。
【0044】
その他は、図2と同一である。
【0045】
このような構成においても、制御回路26は、定電流制御信号生成部22での比較器221の電流検出部19の出力と基準信号源23の基準値との比較結果より生成される定電流制御信号によりスイッチングトランジスタ15をオンオフ動作させ発光ダイオード18に対して定電流制御を行う。図5のb1は、この状態を示しており、発光ダイオード18に対して一定の電流Ic3が供給されている。この場合、出力切換部49は、定電力制御信号生成部22より出力が発生している間、低電流検出部47及び低電圧検出部45の出力の発生を停止している。
【0046】
この状態から、負荷異常により発光ダイオード18に印加される電圧が所定値(図5に示すD点)に達すると、制御回路26は、このときの定電力制御信号生成部42の出力(定電力制御信号)により、これ以降、定電力制御信号生成部42の比較器422からの出力(定電力制御信号)を優先して、発光ダイオード18に対して定電力制御を行う。図5のb2は、この状態を示しており、発光ダイオード18に対して一定の電力が供給される。
【0047】
定電力制御信号生成部42から出力が発生すると、出力切換部49より低電流検出部47及び低電圧検出部45のそれぞれの出力が発生し制御回路26に入力される。この状態で、制御回路26は、低電流検出部47及び低電圧検出部45のそれぞれの出力の出力を監視する。そして、低電流検出部47の比較器471で電流検出部19の出力と基準信号源48の基準値が一致すると(又は低電圧検出部45の比較器451で電圧検出部20の出力と基準信号源46の基準値が一致すると)(図4に示すE点)、この検出信号により制御回路26は、スイッチングトランジスタ15のオンオフ動作を停止させ定電力制御をキャンセルして発光ダイオード18を消灯する。
【0048】
ここで、図4に示すIc4及びVc2は、発光ダイオード18に対して許容される明るさを保証する最低電流及び最低電圧である。
【0049】
したがって、このようにしても、負荷異常などにより発光ダイオード18の印加電圧が上昇することがあると、発光ダイオード18に対する制御が速やかに定電力制御に移行されるので、第1の実施の形態で述べたと同様な効果を得ることができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、半導体発光素子として発光ダイオードの例を述べたが、レーザダイオードなど他の半導体発光素子を用いた場合にも適用できる。また、上述した実施の形態では、交流電源11を備えたものを述べているが、交流電源11は、装置外部に設けられるものでもよい。さらに、上述した実施の形態では、アナログ回路の例を述べたが、マイコンやデジタル処理を用いた制御方式を採用することもできる。
【0051】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される照明器具を示す正面図、側面図及び横断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示す図。
【図3】第1の実施の形態にかかる電源装置の負荷特性を示す図。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示す図。
【図5】第2の実施の形態にかかる電源装置の負荷特性を示す図。
【図6】従来の電源装置の負荷特性を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1…器具本体、1a…天板、3…電源ユニット用基板
4…定電流回路用基板、5…LEDモジュール
6…発光ダイオード、11…交流電源
100…電源装置、10…DC−DCコンバータ
14…スイッチングトランス、15…スイッチングトランジスタ
18…発光ダイオード、19…電流検出部、20…電圧検出部
22…定電流制御信号生成部、24…定電圧制御信号生成部
26…制御回路、27、49…出力切換部、29…低電流検出部
42…定電力制御信号生成部、45…低電圧検出部
47…低電流検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子と;
前記半導体発光素子に流れる電流に基づいて定電流制御信号を生成する定電流制御信号生成手段と;
前記半導体発光素子に印加される電圧に基づいて定電圧制御信号を生成する定電圧制御信号生成手段と;
前記定電流制御信号生成手段で生成される定電流制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電流制御を行うとともに、前記半導体発光素子に印加される電圧が所定値に達すると前記電圧制御信号生成手段で生成される定電圧制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電圧制御を行う制御手段と;
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
半導体発光素子と;
前記半導体発光素子に流れる電流に基づいて定電流制御信号を生成する定電流制御信号生成手段と;
前記半導体発光素子に流れる電流及び前記半導体発光素子に印加される電圧基づいて定電力制御信号を生成する定電力制御信号生成手段と;
前記定電流制御信号生成手段で生成される定電流制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電流制御を行うとともに、前記半導体発光素子に印加される電圧が所定値に達すると前記定電力制御信号生成手段で生成される定電力制御信号に基づいて前記半導体発光素子に対する定電力制御を行う制御手段と;
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電源装置と;前記電源装置を有する器具本体と:を具備したことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−93874(P2010−93874A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258607(P2008−258607)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】