説明

電源装置

【課題】複数の電源チャンネルにおける起動/終了シーケンスに柔軟に対応すると共に、リセットタイミングを高精度で制御可能とする。
【解決手段】電源IC202は、複数の電源CH1〜6と、汎用ポート212及び213を有する。CPU204系に電源出力するCH1〜CH3及びCPU204にリセット信号を出力するポート212で第1の電源グループ、示部210に電源出力するCH4〜CH6及び表示用IC208にリセット信号を出力するポート213で第2の電源グループを形成する。SW203のオンで、電源IC202内のメモリに予め記憶された制御情報に従い、第1の電源グループの起動シーケンスが開始され、ポート212の通信によるCPU204のリセット解除、CH1〜CH3による電源出力が順次、行われる。第1の電源グループの起動シーケンスが完了すると、続けて第2の電源グループの起動シーケンスが開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電圧を出力する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなど、電源として電池を用いる電子機器では、電池から供給される直流電源電圧を安定的に出力させるための電源装置を備えているのが一般的である(特許文献1参照)。図7は、従来技術による、電池などの直流電源電圧を入力電源として動作を行う電源装置700の一例の回路図を示す。電源装置700は、概略的には、電力変換部701、制御部702およびアナログ回路部703を有し、電池704から供給される直流電源電圧を電力変換部701を介して負荷705に印加する。
【0003】
電力変換部701において、スイッチング素子707がオン、スイッチング素子708がオフの状態では、インダクタ709の電流が増加していき、負荷705に電流が供給されると共に、出力コンデンサ710に電荷が蓄積される。一方、スイッチング素子707がオフ、スイッチング素子708がオンの状態では、インダクタ709の電流が減少していき、それに応じて出力コンデンサ710に蓄積されている電荷が放出され、負荷705に電流が供給される。スイッチング素子707および708のオン/オフのデューティ比を出力電圧に応じて制御することで、一定電圧を出力する。なお、この図7の例では、スイッチング素子707および708として、MOSFETを用いている。
【0004】
より具体的には、アナログ回路部703において、出力電圧を抵抗R100およびR101で分圧した電圧と、参照電圧Vref711とをエラーアンプ712で比較し、これらの差分電圧をエラーアンプ712から出力する。この差分電圧と発振器714から出力される所定周波数の三角波(ノコギリ波)とに基づき、PWMコンパレータ713がPWM信号を生成する。すなわち、PWMコンパレータ713は、エラーアンプ712からの差分電圧(図8(b)参照)と、発振器714からの三角波(図8(c)参照)とを重ね合わせ、差分電圧と三角波との電圧方向の差分が時間方向の差分になるように比較する。この比較結果は、図8(a)に例示されるような、差分信号の電圧値が低くなるほどデューティ比が大きくなるPWM信号として出力される。
【0005】
なお、デッドタイムコントロール(DTC)部717は、PWMコンパレータ713から出力されるPWM信号の最大デューティを決定するためのデッドタイムコントロール信号(以下、DTC信号)を出力する。このDTC信号は、PWMコンパレータ713に供給される。DTC信号は、周期的にオン/オフを繰り返し、DTC信号がオンのときにPWMコンパレータ713からPWM信号が出力される。このDTC信号によりPWM信号のデューティ比が制限され、スイッチング素子707および708の駆動時のオーバーロードが抑制される。
【0006】
PWMコンパレータ713から出力されたPWM信号は、制御部702のPWM制御部706に供給される。PWM制御部706は、供給されたPWM信号をスイッチング素子707および708を駆動可能なように増幅して駆動信号を生成する。この駆動信号は、スイッチング素子707および708のゲートに互いに反転されてそれぞれ供給され、スイッチング素子707および708を、上述のようにしてそれぞれ駆動する。
【0007】
なお、制御部702には、電池704からの入力電圧が所定値より低い場合に動作を停止する制御を行うためのUVLO判定部と、負荷側の電源短絡保護のためのSCPと、加熱保護のためのOPTとからなる保護回路が設けられる。また、PWM制御部706に対し、電池704の出力が制御許可信号としてスイッチ721を介して供給される。PWM制御部706は、この制御許可信号がHighレベルとなっているときに、スイッチング素子707および708を駆動する駆動信号を出力する。
【0008】
ここで、電源装置700におけるソフトスタート制御について説明する。アナログ回路部703において、エラーアンプ712に対してソフトスタート信号715が入力される。このソフトスタート信号715は、シーケンス部716によりタイミング制御され、電源装置700の起動時の一定時間、負荷705に大電流が流れ込むのを防止するために、エラーアンプ712の正出力を抑制する。エラーアンプ712は、このソフトスタート信号と参照電圧Vrefとを比較し、電圧の低い方と、分圧抵抗R100およびR101で分圧された出力電圧とを比較する。
【0009】
PWM制御部706への動作許可信号がオフからオン状態へ変化した場合について考える。電源装置700の動作開始時は、負荷705への出力電圧は0Vであるため、分圧抵抗R100およびR101から取り出されエラーアンプ712に印加される電圧は、0Vとなる。起動時には、シーケンス部716から出力されるソフトスタート信号715により、エラーアンプ712がソフトスタート動作を行うように制御される。
【0010】
ソフトスタート信号は、時間に応じて電圧が0Vから直線的に増加する電圧が用いられる。例えば、ソフトスタート信号として、定電流源に接続されたコンデンサの電圧を用いる。ソフトスタート動作は、このソフトスタート信号の電圧が参照電圧Vref以下の期間、エラーアンプ712で、出力電圧を分圧抵抗R100およびR101で分圧した電圧と比較する電圧を、このソフトスタート信号の電圧とするような動作を行う。すなわち、エラーアンプ712は、この参照電圧Vrefより低い電圧のソフトスタート信号と、出力電圧を分圧した電圧との比較結果から得られる信号を、出力信号とする。このようにソフトスタート動作を制御することで、電源装置700の起動時における負荷705に対する突入電流を抑制する。
【0011】
PWMコンパレータ713は、エラーアンプ712からのソフトスタート信号に応じた出力と、発振器714からの三角波との比較を行い、PWM信号を生成する。ソフトスタート期間、すなわち、ソフトスタート信号の電圧が参照電圧Vref以下である期間、エラーアンプ712の出力は、時間と共に上昇する。これに伴い、PWMコンパレータ713の出力は、三角波との重なり部分が増加して、出力されるPWM信号のパルス幅を増加させるように、時間的に変化する。PWM制御部706は、このPWM信号に基づきスイッチング素子707および708を駆動する。このようにソフトスタート動作を行うことで、電源装置700の起動時に負荷705に印加される電圧が0Vから徐々に増加していき、ソフトスタート動作の終了時には、負荷705に対して所期の電圧が印加される。
【0012】
ところで、近年では、上述したような電源装置において、負荷の構成が複雑な多電源になっている例が多くなってきている。図9は、従来の技術による、電源装置に複数の異なる負荷が接続されるシステム構成例を示す。図9に例示される装置は、電源IC902、CPU903、ROM904、RAM905、表示用IC906および表示パネル907を有する。この例では、CPU903、ROM904、RAM905、表示用IC906および表示パネル907は、それぞれ1.2V、3.3V、1.8V、3.0Vおよび5.0V、ならびに、8.5Vと異なる電源電圧を必要とする。そのため、電源IC902においても、これら必要とされる電源電圧にそれぞれ対応した出力電圧値の電源CH100〜CH105が設けられる。
【0013】
電源IC902は、例えば、上述した電源装置700の構成を、一部の機能を共有して電源CH100〜105のそれぞれに有する。電池901の出力がメインスイッチ908を介して電源IC902に供給される。電源IC902は、この電池901の出力を第1の動作許可信号として動作を開始する。
【0014】
図9に例示される構成では、メインスイッチ908をオンとして第1の動作許可信号が電池901の出力レベルとされると、電源IC902は、先ず電源CH100〜CH102の出力を開始する。電源CH100〜CH102には、それぞれオープンドレイン出力のリセットIC950〜952が接続されており、プルアップ抵抗103で電源CH102によりパラレルにプルアップされる。電源CH100〜102の出力電圧がそれぞれ所定の電圧値となり、リセットIC950〜952の出力が全てHighレベルとなったときに、CPU903のリセットの解除が行われる。
【0015】
CPU903は、リセットの解除後、データバス909に接続されたROM904からプログラムを読み出してRAM905上に展開し、このプログラムに従って動作を行う。
【0016】
次に、CPU903は、表示パネル907に対する表示動作を開始するため、制御ポート910から電源IC902に接続される表示部電源制御線の電位をHighに駆動し、電源IC902に対して第2の動作許可信号を供給する。この図9の例では、表示用IC906が電源CH103、104で駆動され、表示パネル907が電源CH105で駆動される。起動シーケンスとしては、電源CH103が表示用IC906に印加された後に表示用IC906のリセットを解除し、表示用IC906の動作を開始させる。そして、表示用IC906の動作開始後に、電源CH104を表示用IC906に印加すると共に、電源CH105を表示パネル907に印加する。
【0017】
ここで、電源CH103〜105には、電源電圧の低下に備えて、オープンドレイン出力によるリセットIC953〜955がそれぞれ接続される。また、リセットIC954および955の出力が共にHighレベルとなったときに、リセットIC953からのリセット出力と、リセットIC954および955との出力とでワイアードORが取れるような外付け回路960が設けられている。リセットIC953〜955は、プルアップ抵抗R104で電源CH103によりプルアップされる。ここで、リセットIC954および955は、外付け回路960を介してプルアップされる。
【0018】
上述した起動シーケンスを守るため、リセットIC953による表示用IC906のリセット期間を短くする。それと共に、電源CH104およびCH105のソフトスタート期間は、表示用IC906が初期動作を行うまでの時間に対して十分長い時間とする。
【0019】
このような構成により、表示用IC906には、電源CH103が電源CH104およびCH105よりも先に印加される。さらに、電源CH103〜CH105が全てオンとなった後に、これら電源CH103〜CH105の監視のためのリセットIC953〜955が機能するようになっている。
【0020】
【特許文献1】特開2007−116804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
以上述べてきたように、電源ICが多電源化するのに従い電源の周辺回路の構成も複雑化し部品点数が増加すると共に、電源オン/オフ時の起動/終了シーケンスの複雑化を伴う。そのため、部品点数を抑えつつ、多電源チャンネル化および動作の高速化に伴う複雑な起動/終了シーケンスに柔軟に対応でき、且つ、リセットタイミングを高精度で制御可能な電源装置が求められている。
【0022】
したがって、本発明の目的は、複数の電源チャンネルにおける起動/終了シーケンス、ならびに、リセットタイミングなどの動作開始制御タイミングの適切な制御が可能な電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、上述した課題を解決するために、電源電圧を出力する複数の電源出力手段と、機能ブロックの動作開始を制御する動作開始制御信号を出力する1または複数の通信手段と、1の通信手段と、1の通信手段により出力される動作開始制御信号によって動作開始を制御される機能ブロックに電源電圧を出力する1または複数の電源出力手段とからなるグループごとに、起動時および終了時の少なくとも一方について、電源出力手段による電源電圧の供給または供給の終了のタイミングと、動作開始制御信号の出力タイミングを含む動作シーケンスを制御するための制御情報を記憶する記憶手段と、制御情報に従い通信手段と電源出力手段とを制御する制御手段とを備えることを特徴とする電源装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上述のような構成を有するため、複数の電源チャンネルにおける起動/終了シーケンスに柔軟に対応できると共に、動作開始制御タイミングを高精度で制御可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に適用可能なデータ表示装置の構成例を示す。この図1に例示されるデータ表示装置は、電池201により電源が供給され、CPU204により表示用IC208を制御して表示パネル209に表示を行わせるようにしている。
【0026】
<システム構成例>
図1において、データ表示装置は、電源IC202、メインスイッチ203、CPU204、ROM205、RAM206、操作部207、表示部210およびリセットIC211を有する。表示部210は、表示用IC208と表示パネル209とを有する。ROM205およびRAM206は、CPU204に対してデータバスを介して接続される。CPU204は、ROM205に予め格納されたプログラムに従い、RAM206をワークメモリとして表示部210を始めとするこのデータ表示装置の全体を制御する。操作部207は、操作者からの入力を検出し、検出結果に応じた制御信号をCPU204に供給する。
【0027】
電源IC202に対して電池201が接続される。電池201の出力は、電源IC202に対して直接的に供給されると共に、メインスイッチ203の一端に供給される。メインスイッチ203の他端は、電源IC202の内部で電源IC202の動作を開始させるためのイネーブル線に接続される。電源IC202は、複数の電源チャンネルを有し、電池201から供給された電源電圧を、予め決められた複数の電圧値による電源電圧に変換して、それぞれ複数の電源チャンネルから出力する。また、電源IC202は、発振器250から出力されるクロックCLKに従い動作し、リセットIC211の出力に応じてリセットされる。
【0028】
この図1の例では、CPU204が1.2V、RAM206が1.8V、ROM205および操作部207が3.3Vの電源電圧でそれぞれ動作するようにされている。電源IC202は、これらの電源電圧に対応し、出力電圧が1.2Vの電源チャンネルである電源CH1と、出力電圧が1.8Vの電源チャンネルである電源CH2と、出力電圧が3.3Vの電源チャンネルである電源CH1とを備える。CPU204は、これら電源CH1〜CH3からの電源投入後から動作可能状態となる。
【0029】
さらに、表示部210において、表示用IC208が3.0Vおよび5.0Vの2種類の電源電圧で動作し、表示パネル209が10.0Vの電源電圧で動作するようにされている。電源IC202は、上述の電源CH1〜CH3に加え、出力電圧が3.0Vの電源チャンネルである電源CH4と、出力電圧が5.0Vの電源チャンネルである電源CH5と、出力電圧が10.0Vの電源チャンネルである電源CH6とをさらに備える。表示部210は、電源CH4からの電源投入後に表示用IC208のリセットを解除することで、CPU204からのアクセスが可能な状態となる。そして、表示用IC208としての機能動作を行わせるためには、電源CH5およびCH6による電源出力を、電源CH4による電源出力後に行うことが必要である。
【0030】
なお、電源CH1〜CH6の全ての電源は、電源IC202により、電池201の電圧からの降圧方式にて生成される。
【0031】
電源IC202の電源CH1〜CH6は、1または複数のグループに纏められる。この図1の例では、CPU204およびその周辺回路に電源を供給する電源チャンネルである電源CH1〜CH3で第1の電源グループが形成される。また、表示部210に電源を供給する電源チャンネルである電源CH4〜CH6で第2の電源グループが形成される。本第1の実施形態においては、これら第1および第2の電源グループ毎に、電源供給を開始および終了する起動および終了シーケンスが設定されると共に、電源供給先の機能をリセットするためのリセット信号(動作開始制御信号)を送信できるようにされている。
【0032】
電源IC202において、第1および第2の電源グループに対し、通信手段としての汎用ポート212および213がそれぞれ設けられる。汎用ポート212および213は、それぞれ所属する電源グループによる電源供給先のリセット端子に接続される。汎用ポート212および213を用いて送信されるリセット信号により、所属する電源グループによる電源が供給される機能ブロックの機能のリセット状態を制御することができる。また、電源IC202は、シリアル通信を行うデータ通信手段としての通信線220および221を有する。図1の例では、通信線220および221は、それぞれCPU204に接続され、電源IC202とCPU204との間でシリアル通信を行うことができるようにされている。
【0033】
<電源ICの構成例>
図2は、本発明に適用可能な電源IC202の一例の構成を示す。図1を用いて説明したように、電源IC202は、電源出力手段として電源CH1〜CH6の6チャンネルの電圧出力制御が可能とされている。ここでは、繁雑さを避けるため、電源IC202の6チャンネルの出力のうち1チャンネル分の構成を示す。電源IC202は、スイッチング素子309および310を、制御部315により、駆動波形に基づき駆動することで、駆動波形のデューティ比に応じた一定電圧を出力する。電源IC202の出力は、インダクタ303および出力コンデンサ304からなるLCフィルタ回路を介して負荷305に供給される。この図2の例では、スイッチング素子309としてPチャンネルのMOSFETを用い、スイッチング素子310としてNチャンネルのMOSFETを用いている。
【0034】
制御手段としての制御部315は、例えばマイクロコンピュータからなり、図示されないROMに予め記憶されたプログラムに従い動作する。後述するROM312に記憶されたプログラムによる動作も可能である。制御部315は、後述するPWM生成部314から供給されるPWMデータに基づき、スイッチング素子309および310を駆動するための駆動波形を生成する。
【0035】
また、制御部315は、シーケンス部315a、ソフトスタート部315bおよびタイマ部315cを有すると共に、保護部を有する。保護部は、電池201からの入力電圧が所定値より低い場合に動作を停止する制御を行うためのUVLO判定部と、負荷側の電源短絡保護のためのSCPと、加熱保護のためのOPTとを備える。これらシーケンス部315a、ソフトスタート部315b、タイマ部315cおよび保護部は、プログラムにより実現される制御部315の機能であってもよいし、それぞれ専用のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0036】
タイマ部315cは、例えばクロックCLKをカウントし時間を計測する。ソフトスタート部315bは、タイマ部315cで計測された時間に基づきソフトスタート制御を行う。シーケンス部315aは、与えられたパラメータに従い、電源CH1〜CH6の起動シーケンスの制御や、ソフトスタート部315bによるソフトスタート処理を開始するタイミング制御を行う。
【0037】
制御部315は、クロックCLKおよびリセットIC211からのリセット信号により、動作可能となっている。すなわち、制御部315は、クロックCLKが供給され、且つ、リセットIC211によりリセット解除がなされることで、動作を開始することができる。
【0038】
電源IC202において、A/D変換器308は、電池201の出力すなわち電源IC202の入力電圧値をディジタルデータに変換する。A/D変換器316は、出力電圧すなわちインダクタ303の出力端の電圧値をディジタルデータに変換する。比較器313は、一方の入力端に入力されたデータと他方の入力端に入力される出力電圧目標値Ref.Dataとを比較して差分を出力する。PWM生成部314は、入力データに応じたデューティ比のPWMデータを生成する。
【0039】
記憶手段としてのROM312は、例えば、フラッシュメモリといったデータの書き換えが可能な不揮発性メモリからなる。ROM312は、電源IC202を動作させるために必要なプログラムや、電源IC202による電源出力動作の動作シーケンスに関する情報が予め記憶される。例えばROM312には、プログラムと共に、少なくとも電源IC202の起動時に必要な、制御情報としての各種パラメータが予め記憶される。
【0040】
通信インターフェイス(I/F)311は、汎用ポート212や通信線220、通信線221による通信を制御する。通信インターフェイス311により、電源IC202の外部から制御部315と通信を行ったり、ROM312に記憶するデータを電源IC202の外部から供給したりすることができる。
【0041】
なお、電源IC202において、A/D変換器316、比較器313およびPWM生成部314は、各電源CH1〜CH6毎に設けられる。同様に、スイッチング素子309および310、バッファアンプ321および322、ならびに、インダクタ303および出力コンデンサ304が、各電源CH1〜CH6毎に設けられる。制御部315は、各電源CH1〜CH6で共通とすることができる。このとき、PWM生成部314に対する入力およびスイッチング素子309および310に対する出力は、各電源CH1〜CH6毎に設けられる。また、ROM312は、各電源CH1〜CH6で共通に用いられる。
【0042】
<1チャンネル分の電源電圧生成動作例>
次に、1チャンネル分の電源電圧生成動作について説明する。電源IC202に対して電池201の出力電圧が印加されており、且つ、クロックCLKとリセットIC211によるリセット信号とが入力されているものとする。この状態でメインスイッチ203がオン状態とされると、電源IC202の動作開始のためのイネーブル線に電池201の出力電圧が印加され、動作イネーブル信号(動作開始制御信号)がHighレベルとされる。電源IC202は、動作イネーブル信号がHighレベルとされると、電源電圧生成動作を開始する。
【0043】
制御部315において、ROM312から出力電圧目標値Ref.Dataのデータを読み出し、比較器313のレジスタに書き込むなどにより比較器313の他方の入力端に供給する。ここでは、出力電圧目標値Ref.Dataは、当該電源チャンネルで出力すべき電圧値を示すデータであるものとする。
【0044】
また、制御部315は、ソフトスタートのためのタイマ動作を開始する。例えば、制御部315は、動作イネーブル信号がオン状態とされると、ROM312からソフトスタートの期間を示す時間を示すパラメータを読み出してタイマ部315cに設定し、タイマ部315cによる時間の計測を開始する。その後、比較器313における動作を開始させる。
【0045】
なお、この初期動作においては、タイマ部315cに設定する時間を示すデータや出力電圧目標値Ref.Dataを、ハードコード化された回路上の設定値とすることも可能である。
【0046】
この状態では、スイッチング素子309および310の駆動は行われておらず、インダクタ303の出力端における出力電圧値は0Vのままとなっている。この出力電圧値は、A/D変換器316でディジタルデータに変換されて比較器313の一方の入力端に供給される。比較器313は、一方の入力端に供給されたこの出力電圧値と、上述したようにして他方の入力端に供給された出力電圧目標値Ref.Dataとを比較し、比較結果をPWM生成部314に供給する。比較結果は、例えば出力電圧値と出力電圧目標値Ref.Dataとの差分を示すデータである。
【0047】
PWM生成部314は、比較器313から供給された比較結果に基づきPWMデータを生成する。このPWMデータは、制御部315に供給される。ここで、制御部315は、動作イネーブル信号がオン状態となった際にタイマ部315cに設定した時間と、タイマ部315cによる時間の計測結果とに基づき、現時点がソフトスタート期間内であるか否かを判定する。現時点がソフトスタート期間であると判定されると、ソフトスタート部315bは、PWMデータに対して突入電流を避けるための変換処理を行う。この変換処理は、例えば、PWMデータに示されるデューティ比に対して、現在のタイマ部315cにより計測された時間の、ソフトスタート期間に対する割合を乗じる処理により行う。
【0048】
PWMデータが決まると、制御部315は、PWMデータから実際のスイッチング素子309および310を駆動するための駆動波形を生成する。ここでは、同期整流方式でスイッチング素子309および310を駆動するため、スイッチング素子309および310で互いに反転した駆動波形が生成される。制御部315で生成された駆動波形は、バッファアンプ321および322で駆動信号とされ、それぞれスイッチング素子309および310のゲートに供給される。
【0049】
電池201の出力電圧は、スイッチング素子309、310によりPWMデータに示されるデューティ比でスイッチングされ、後段のインダクタ303および出力コンデンサ304によるLCフィルタで平滑化され、デューティ比に応じた電圧に変換される。この電圧が、目的とする電源チャンネルの電源電圧として出力される。この出力電圧は、負荷305に供給されると共にA/D変換器316に供給され、ディジタルデータに変換されて比較器313の一方の入力端に供給され、出力電圧目標値Ref.Dataと比較される。これにより、フィードバック制御が行われる。
【0050】
制御部315は、タイマ部315cの計測結果に基づきソフトスタート期間が終了したと判定したら、PWM生成部314から供給されるPWMデータに基づいて、スイッチング素子309および310を駆動するための駆動波形の生成および出力を行う。
【0051】
制御部315は、メインスイッチ203がオフ状態とされ、動作イネーブル信号がLowレベルとされるか、または、通信インターフェイス311を介して出力停止命令が送信されると、当該電源チャンネルによる電圧出力を停止する動作を行う。制御部315は、PWM生成部314から供給されるPWMデータによる駆動波形の生成を停止する。そして、出力側のA/D変換器316からディジタルデータとして供給される出力電圧値を監視しながら、スイッチング素子310のみを駆動し、出力側電源ラインに残っている電荷を放電させる。A/D変換器316から供給される出力電圧値が閾値以下になるか、または、駆動波形の生成停止から所定時間が経過した後、制御部315は、動作を停止する。
【0052】
<第1の電源グループの出力制御例>
次に、本発明の第1の実施形態による、複数の電源チャンネルの出力制御について説明する。本発明では、複数の電源チャンネルと1つの汎用ポートからなる電源グループ毎に、電源出力シーケンスの制御を行う。図1の構成において、最初にCPU204に電源を供給するための第1の電源グループによる電源出力が行われ、次に、表示部210に電源を供給するための第2の電源グループによる電源出力が行われるように制御される。
【0053】
図3は、本第1の実施形態による第1の電源グループにおける電源出力の起動シーケンスの例を示す。時間t1の、電池201による電源電圧の印加以前の状態では、制御部315に対するリセット信号と、第1の電源グループによる電源出力対象のCPU204に対するリセット信号は、共にLowレベルとされる。これにより、制御部315およびCPU204がリセット状態に保持される。
【0054】
時間t1で電池201による電源電圧が印加されると、電源IC202に対して発振器250からクロックCLKが入力される。一方、リセットIC211の出力はLowレベルのままなので、制御部315のリセット状態が維持される。電池201による電源電圧印加から所定時間tR1の経過後、リセットIC211の出力がHighレベルとされて制御部315のリセット状態が解除される(時間t2)。リセットIC211による制御部315のリセット解除後、例えば時間t3でメインスイッチ203がオン状態とされると、電源IC202による電源電圧の出力が開始される。
【0055】
なお、リセットIC211のリセット解除電圧(Highレベル)は、使用する電池201が出力可能な最低電圧より低い値とし、確実にリセットがかかるようになっている。
【0056】
制御部315は、リセット解除後に、ROM312に予め記憶された、上述した電源IC202の起動時に必要な各パラメータを読み出して、制御部315内のレジスタに順次セットする。パラメータの設定が完了すると、制御部315は、ROM312に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。
【0057】
電源IC202内のROM312には、予め動作開始時に出力する電源チャンネルおよび各電源チャンネルの立ち上げ順序がパラメータとして記憶されている。制御部315は、リセット解除後にこのパラメータを読み出し、読み出したパラメータに基づいて動作を行う。
【0058】
先ず、起動時においては、CPU204が動作するための第1の電源グループの各電源CH1〜CH3を所定の順序で起動するようなパラメータがROM312から読み出され、制御部315内のレジスタにセットされる。例えば、ROM312には、第1の電源グループの各電源CH1〜CH3を、出力電圧の低い順に起動するようなパラメータが記憶される。
【0059】
また、起動時の各電源CH1〜CH3におけるソフトスタート期間および出力開始タイミングも、ROM312にパラメータとして記憶されている。さらに、CPU204のリセット端子に接続される電源IC202の汎用ポート212からのリセット信号の出力タイミングについても、ROM312にパラメータとして記憶されている。電源IC202内の制御部315は、ROM312から読み出したこれらのパラメータを、制御部315内のレジスタに順次セットする。パラメータの設定が完了すると、制御部315は、ROM312内のプログラムに従って動作を開始する。
【0060】
制御部315は、ROM312から読み出したパラメータに従って、時間t3で、先ず電源CH1による電源出力を行う。上述した各電源チャンネルの動作と同様にして、ソフトスタート期間をタイマ部315cに設定してタイマ部315cによる時間の計測を開始する。そして、電源CH1の比較器313に対して、ROM312から読み出した出力電圧目標値Ref.Dataを設定して比較器313の動作を開始する。
【0061】
すなわち、電源CH1において、インダクタ303の出力端の電圧値をA/D変換器316で変換したデータと、出力電圧目標値Ref.Dataとが比較器313で比較され、比較結果がPWM生成部314に供給される。PWM生成部314は、この比較結果に基づきPWMデータを生成し、制御部315に供給する。制御部315は、供給されたPWMデータからスイッチング素子309および310を駆動するための駆動波形を生成する。この駆動波形は、バッファアンプ321および322を介してそれぞれ駆動信号としてスイッチング素子309および310を駆動する。これにより、電源CH1による電源出力が開始される(時間t4)。
【0062】
制御部315は、A/D変換器316の出力値を監視し、当該電源CH1による出力電圧が予め決められた電圧範囲内になったか否かを判定する。例えばソフトスタート期間が終了し、電源CH1による出力電圧が予め決められた電圧範囲内になったと判定されると(時間t5)、制御部315は、ROM312から読み出したパラメータに従い、次に立ち上げるべき電源CH2による電源出力の制御を行う。
【0063】
なお、制御部315は、電源CH1による電源出力において、出力電圧目標値Ref.Dataで設定された電圧値まで出力電圧が上がらなかった場合、電源CH1による電源出力を停止させ、電源に異常があると判断して電源IC202の動作を停止させる。これに限らず、A/D変換器308の出力に基づき電池201の出力電圧が所定の値以下に低下したと判定されたり、リセットIC211の出力がLowレベルに変化した場合などにも、電源に異常があると判断し、同様の処理を行う。
【0064】
電源CH2による電源出力の制御においては、電源CH1の場合と同様に、ソフトスタート期間をタイマ部315cに設定してタイマ部315cによる時間の計測を開始する。そして、電源CH2の比較器313に対して、ROM312から読み出した電源CH2の出力電圧目標値Ref.Dataを設定して比較器313の動作を開始する。
【0065】
すなわち、電源CH2において、インダクタ303の出力端の電圧値を示すデータと出力電圧目標値Ref.Dataとが比較器313で比較され、比較結果に基づきPWM生成部314でPWMデータを生成する。制御部315は、PWM生成部314から供給されたPWMデータからスイッチング素子309および310を駆動するための駆動波形を生成し、この駆動波形に基づきスイッチング素子309および310を駆動する。これにより、電源CH2による電源出力が開始される(時間t6)。
【0066】
制御部315は、A/D変換器316の出力に基づき電源CH2の出力電圧が予め決められた電圧範囲内になったか否かを確認する。例えばソフトスタート期間が終了し、電源CH2の出力電圧が予め決められた電圧範囲内になったと確認されると(時間t7)、制御部315は、ROM312から読み出したパラメータに従い、次に立ち上げるべき電源CH3による電源出力の制御を行う。
【0067】
電源CH3による電源出力の制御も、上述の電源CH1および電源CH2と同様であるので、ここでの詳細な説明を省略する。電源CH3による電源出力が時間t8で開始され、ソフトスタート期間が終了した時間t9で、出力電圧が予め決められた電圧範囲内になったと確認されたら、制御部315は、第1の電源グループの電源出力対象であるCPU204のリセット解除処理を行う。
【0068】
すなわち、制御部315は、時間t9で、電源CH3の出力電圧が予め決められた範囲内になったら、タイマ部315cに対して時間tR2を設定する。この時間tR2は、CPU204に対するリセット遅延時間となる。タイマ部315cにより時間の計測が開始され、時間tR2が経過するまでの間、制御部315は、各電源CH1〜CH3におけるA/D変換器316の出力を監視する。
【0069】
タイマ部315cによる計測が開始されてから時間tR2に達するまでの間、各電源CH1〜CH3の出力電圧が各々設定された出力電圧範囲内にあるか否かを判定する。それぞれ出力電圧範囲内にあると判定したら、制御部315は、CPU204に対する汎用ポート212の出力をHighレベルとして、CPU204のリセットを解除する。
【0070】
なお、この汎用ポート212をオープンドレイン出力とすると、CPU204側でさらに他の電源の出力にリセットICを設け、このリセットICの出力と電源IC202からのリセット出力とをワイアードORとしてCPU204へ入力することもできる。CPU204側で用いる他の電源としては、例えばローカルなレギュレータで生成する3.0V電圧が考えられる。
【0071】
CPU204のリセット解除後、電源IC202は、電源CH1〜CH3の出力側にそれぞれ設けられたA/D変換器316の出力値に基づき、CPU204の動作開始に伴う電源CH1〜CH3の負荷変動を監視する。その結果、例えば負荷変動が所定範囲内であれば、電源CH1〜CH3および当該電源CH1〜CH3に接続されている負荷(図1の例ではCPU204、ROM205、RAM206および操作部207)が正常動作をしているものと判断する。これら電源CH1〜CH3および負荷が正常動作していると制御部315により判断されれば、第1の電源グループによる一連の起動シーケンスが終了される。
【0072】
なお、電源CH1〜CH3および負荷が正常動作しているか否かの判定方法は、上述の方法に限られない。例えば、CPU204のリセット解除後の所定時間内に、CPU204から通信線220によるシリアル通信が行われることで、正常動作していると判定することもできる。
【0073】
また、上述したように、電源IC202の外部にリセットICが追加されている場合には、ワイアードOR後のリセット線を、電源IC202の他の汎用ポートに入力することができる。そして、この他の汎用ポートへの入力信号がLowレベルからHighレベルに変化するタイミングを、CPU204の起動時期と判定する。CPU204が起動された時点以降から、負荷変動および/または通信線220によるシリアル通信を監視することで、第1の電源グループに対する正常起動の判定をより確実に行うことができる。
【0074】
第1の電源グループが上述のようにして起動された後、制御部315は、一定周期で各電源CH1〜CH3の出力電圧を監視する。監視の結果、各電源CH1〜CH3のうち何れか1つでも出力電圧に異常があった場合、第1の電源グループによる電圧出力の終了処理を開始する。例えば、想定された範囲外の負荷変動などの原因により、電源CH1〜CH3の何れかの出力電圧が、一定時間以上、予め設定された出力電圧範囲外になった場合、制御部315は、第1の電源グループに異常が発生したものと判定する。
【0075】
終了処理に関しても、上述した立ち上げ処理の例と同様に、ROM312に各電源CH1〜CH3の立ち下げ順序がパラメータとして予め記憶されている。制御部315は、ROM312からこの立ち下げ順序を示すパラメータを読み出して、このパラメータに従い終了動作を行う。終了動作は、基本的には、起動処理と逆の順序で行われる。
【0076】
終了動作が開始されると、先ず、制御部315は、CPU204に対して、電源異常を示す割り込み信号を、例えば通信線220によるシリアル通信で送信する。若し、CPU204が電源変動に対して影響を受けずに動作している場合には、CPU204は、この割り込み信号を受け取ると直ちにCPU204側での終了処理を開始する。そして、CPU204側の終了処理が完了すると、CPU204は、電源IC202に対して、通信線220によるシリアル通信で、電源出力の終了が可能であることを通知する。電源IC202側では、CPU204からのこの通知を受信すると、電源CH1〜CH3による電源出力の終了処理を開始する。
【0077】
一方、電源変動によりCPU204の動作が中断した状態である場合には、電源IC202から送信された割り込み信号に対して応答が帰ってこないものと想定される。そこで、電源IC202は、割り込み信号の送信後、一定時間経過してもCPU204からの応答が無い場合、電源IC202における電源CH1〜CH3の電源出力の終了処理を開始する。
【0078】
終了処理が開始されると、電源IC202は、汎用ポート212からCPU204に対して出力しているリセット信号をLowレベルとし、CPU204をリセット状態にする。この後、先ず電源CH3についてスイッチング素子309をオフ状態として出力停止状態にし、且つ、スイッチング素子310をオン状態として電源CH3の電源ラインに残る電荷の放電を行う。制御部315は、電源CH3に設けられたA/D変換器316の出力を監視し、電源CH3の出力電圧値が閾値以下になったと判断したら、制御部315は、スイッチング素子310をオフ状態とする。これにより、電源CH3による電源出力の終了処理が完了したとして、電源CH2の電源出力の終了処理に移行する。
【0079】
電源IC202は、電源CH3による電源出力の終了処理と同様の処理により電源CH2による電源出力の終了処理を行う。電源CH2による電源出力の終了処理が完了したら、電源CH1による電源出力の終了処理に移行され、電源CH3および電源CH2の電源出力終了処理と同様にして電源CH1の終了処理を行う。第1の電源グループの全ての電源CH1〜CH3について出力終了処理が完了したら、電源IC202は、内部の動作を停止させる。
【0080】
このとき、ROM312に記憶するパラメータにより、電圧異常時の処理として電源IC202の再起動を指定することも可能である。この場合、電源IC202は、自己ソフトリセットを行い電源IC202を再起動させる処理へ移行させる。
【0081】
<第2の電源グループの出力制御例>
次に、CPU204の起動後に、表示部210を起動する場合の動作について説明する。この場合には、このデータ表示装置全体を制御するCPU204が既に起動されているため、表示部210に対して電源を供給するためのパラメータを、CPU204から電源IC202に対して設定することができる。
【0082】
上述したように、表示部210には、第2の電源グループによる電源CH4〜CH6による電源が供給される。図4は、本第1の実施形態による第2の電源グループにおける電源電圧の起動シーケンスの例を示す。図4に例示されるように、電源CH4〜CH6の立ち上げ順序は、電圧CH4による電源出力の表示用IC208に対する印加(時間t11、t12)の後に表示用IC208のリセット解除を行う(時間t13)。その後、電源CH5による電源出力を行い(時間t14、t15)、最後に電源CH6による電源出力を行う(時間t16、t17)ようになっている。
【0083】
第1の電源グループによる電源CH1〜CH3の起動シーケンスが終了したら、CPU204は、電源IC202に対して、第2の電源グループの起動シーケンスを示すパラメータを通信線220を用いたシリアル通信により送信する。ここで送信されるパラメータは、上述した、電源IC202の起動時に用いるために予めROM312に記憶されているパラメータと同じ種類のものなので、詳細な説明を省略する。CPU204から送信されたパラメータは、電源IC202に受信されると、制御部315は、このパラメータをそれぞれレジスタにセットする。受信されたパラメータを、一旦ROM312の所定の記憶領域に書き込むようにし、このROM312に書き込まれたパラメータを制御部315が読み出してレジスタにセットするようにしてもよい。
【0084】
なお、第2の電源グループの起動シーケンスを示すパラメータを、ROM312に予め記憶しておくようにしてもよい。例えば、ROM312において、複数の起動シーケンスのパラメータセットをそれぞれに割り当てられた記憶領域に予め記憶しておく。CPU204または制御部315は、ROM312から、複数のパラメータセットから処理に適合するものを選択して読み出し、レジスタにセットする。
【0085】
パラメータの設定後、CPU204は、起動シーケンスに従った電源出力開始の指示を、通信線221を用いて行う。すなわち、CPU204は、電源IC202に対して、通信線221で送信される表示部電源制御信号をHighレベルとする(t10)。電源IC202は、この表示部電源制御信号のHighレベルを検出したら、設定されたパラメータに従い、第2の電源グループの各電源CH4〜CH6の電源電圧出力を開始する。
【0086】
先ず、電源IC202は、電源CH4について、上述した電源CH1の動作と同様に、タイマ部315cに対してソフトスタート期間を設定し、タイマ部315cによる時間計測を開始させる。そして、電源CH4の比較器313に対して、CPU204から送信された出力電圧目標値Ref.Dataを設定して比較器313の動作を開始する。
【0087】
すなわち、電源CH4において、インダクタ303の出力電圧値と出力電圧目標値Ref.Dataとが比較器313で比較され、比較結果に基づきPWM生成部314でPWMデータが生成される。このPWMデータは、制御部315に供給され、スイッチング素子309および310を駆動するための駆動波形が生成される。この駆動波形は、バッファアンプ321および322を介してそれぞれ駆動信号としてスイッチング素子309および310を駆動する。これにより、電源CH4による電源出力が開始される(時間t11)。
【0088】
例えばソフトスタート期間が終了して電源CH4の出力電圧が予め決められた範囲内になったと判定されると(時間t12)、制御部315は、次のシーケンスへ移行する。
【0089】
なお、電源IC202は、電源CH4の出力電圧値が出力電圧目標値Ref.Dataで設定された電圧値まで上がらなかった場合、電源CH4による電源出力を停止させる。これに限らず、電池201の出力電圧値が所定値以下に低下したり、先に電源出力が行われている第1の電源グループにおける電源CH1〜CH3何れかの出力電圧値が所定値以下に低下した場合なども、電源CH4に異常があると判断し、同様の処理を行う。
【0090】
また、電源CH4による電源出力が停止された場合、制御部315は、出力中の電源CH1〜CH3の出力電圧を確認し、異常があると判定したら、電源IC202による全ての電源出力を停止する。第1の電源グループの出力電圧に異常が見られない場合には、例えばエラー要因をレジスタにセットし、CPU204に対して例えば通信線220により割り込み信号を送信し、エラーの通知を行う。これにより、CPU204に対して、電源CH4の起動に失敗したことを通知する。
【0091】
電源IC202は、電源CH4の電源出力に異常が無いと判断した場合、第2の電源グループの起動シーケンスに従い、表示用IC208のリセット解除を行う(時間t13)。
【0092】
すなわち、電源IC202は、時間t12で電源CH4の出力電圧値が予め決められた範囲内になったと判定したら、タイマ部315cに対して時間tR3を設定する。この時間tR3は、表示用IC208に対するリセット遅延時間となる。タイマ部315cによる時間の計測が開始され、時間tR3が経過するまでの間、電源IC202内の制御部315は、電源CH4に設けられたA/D変換器316の出力を監視し、電源CH4の出力電圧が設定された範囲内にあるか否かを判定する。範囲内にあると判定したら、制御部315は、表示用IC208に対するリセット信号用の汎用ポート213の出力をHighレベルとして、表示用IC208のリセットを解除する。
【0093】
表示用IC208のリセットを解除した後、制御部315は、第2の電源グループの起動シーケンスに従い電源CH5による電源出力を行い、その後、電源CH6による電源出力を行う。これら電源CH5およびCH6による電源出力は、上述した電源CH4による電源出力と同様にして行われる。
【0094】
すなわち、電源CH5による電源出力の制御において、制御部315は、ROM312から電源CH5による電源出力の制御に関するパラメータを読み出す。そして、タイマ部315cに対してソフトスタート期間を設定して時間の計測を開始すると共に、電源CH5の比較器313に対して出力電圧目標値Ref.Dataを設定し、電源CH5による電源出力動作を開始する(時間t14)。ソフトスタート期間が終了し、電源CH5の出力電圧値が出力電圧目標値Ref.Dataに対して所定範囲内になったら(時間t15)、電源CH6の出力設定に移行する。
【0095】
電源CH6による電源出力の制御も同様にして、制御部315は、ROM312から電源CH6による電源出力の制御に関するパラメータを読み出す。そして、タイマ部315cに対してソフトスタート期間を設定して時間の計測を開始すると共に、電源CH6の比較器313に対して出力電圧目標値Ref.Dataを設定し、電源CH6による電源出力動作を開始する(時間t16)。
【0096】
例えばソフトスタート期間が終了し電源CH6の出力電圧値が出力電圧目標値Ref.Dataに対して所定範囲内になったら(時間t17)、制御部315は、第2の電源グループの起動シーケンスの正常終了を示す正常終了フラグをレジスタにセットする。そして、制御部315は、通信線220によるシリアル通信で、CPU204に対して第2の電源グループの起動シーケンスが終了したことを通知するための割り込み信号を送信する。
【0097】
その後、制御部315は、CPU204から通信線220を用いて行われるシリアル通信を受信することで、第2の電源グループの各電源CH4〜CH6と、第2の電源グループの各電源CH4〜CH6に接続されている負荷とが正常動作していると判定する。この判定により、制御部315は、電源CH4〜CH6からなる第2の電源グループの起動シーケンスを終了する。そして、電源CH1〜CH6それぞれの出力に設けられるA/D変換器316の出力値の監視を、所定の周期で行う。
【0098】
CPU204は、第2の電源グループにより表示部210に対して電源供給が行われると、必要なデータを表示部210へ送り、データの表示処理を行っていく。
【0099】
第2の電源グループの起動後、電源IC202の制御部315は、電源CH1〜CH6で出力中の電源の電圧値の監視を所定の周期で継続的に行う。この時点で、操作部207からCPU204に対して表示部210の動作停止指示が送られるか、または第2の電源グループの電源CH4〜CH6何れかの電圧が、一定時間以上、予め設定された出力電圧範囲外になった場合、終了処理を開始する。
【0100】
終了処理に関しても、上述した立ち上げ処理の例と同様に、CPU204から第2の電源グループの終了シーケンスを示すパラメータが通信線220によるシリアル通信で電源IC202に送信され、制御部315によりレジスタにセットされる。これに限らず、シリアル通信で送信されたこのパラメータを、一旦ROM312に書き込むようにし、ROM312からこのパラメータを読み出してレジスタにセットしてもよい。また、第2の電源グループの終了シーケンスを示すパラメータをROM312に予め記憶しておくようにしてもよい。
【0101】
電源IC202は、先ず電源CH6の電源出力の停止処理を行う。すなわち、電源CH6のPWM生成部314によるPWMデータ生成を停止し、スイッチング素子309をオフ状態とすると共にスイッチング素子310をオン状態とし、電源CH6の電源ラインに残る電荷の放電を行う。A/D変換器316による出力電圧値の監視結果に基づき、電源CH6の出力電圧値が予め決められた電圧値以下になったと判定すると、電源IC202は、電源CH6のスイッチング素子310をオフ状態とする。そして、電源CH6による電源出力の終了処理が完了したものとして、電源CH5による電源出力の停止処理へ移行する。
【0102】
電源CH6の終了処理と同様にして電源CH5による電源出力の停止動作が終了すると、電源IC202は、汎用ポート213により表示用IC208に出力しているリセット信号をLowレベルとし、表示用IC208をリセット状態にする。表示用IC208をリセット状態へ移行させてから所定時間の経過後、電源CH4による電源出力の停止処理を行う。
【0103】
第2の電源グループの電源CH4〜CH6全ての電源出力が停止された時点で、電源IC202は、第2の電源グループの終了処理が完了したことを示すフラグをレジスタへ設定する。そして、通信線220によるシリアル通信で、CPU204に対して割り込み信号を送信する。この割り込み信号の送信から所定時間以内にCPU204から通信線220によるシリアル通信が発生すると、電源IC202において終了処理完了フラグがクリアされ、第2の電源グループによる電源出力の終了シーケンスが完了する。
【0104】
この終了シーケンスにおいて、電源CH4〜CH6の何れかの出力電圧値に異常があった場合、電源IC202は、終了シーケンスに示される次の電源チャンネルの出力停止処理へ移行する。例えば、電源CH5による電源出力の停止処理後、所定時間を経過しても電源CH5の出力電圧が閾値以下にならないような場合、異常があったと判定する。そして、第2の電源グループの終了シーケンスが全て終了した後に、終了フラグと共にエラーフラグをレジスタに設定し、CPU204に割り込み信号を送信することで、CPU204に対して異常を通知する。第2の電源グループ2出力停止処理後、電源IC202は、第1の電源グループの各電源CH1〜CH3の出力電圧値の監視を継続する動作に移行される。
【0105】
また、電源グループ2の動作停止を行い割り込み信号をCPU204に送信した後、所定時間が経過してもCPU204からの通信が無い場合には、電源IC202は、システムに異常が生じたものと判断して、第1の電源グループの動作停止処理へ移行する。
【0106】
以上述べてきたように、本第1の実施形態においては、予め、或いは、通信により設定された電源グループに対して、電源出力の起動および終了シーケンス動作を設定するようにしている。これにより、安全かつ確実に電源の起動を行うことができ、また異常動作によりシステムが動作不能に陥った状態でも、予め設定されたシーケンスに従い出力停止動作が可能になる。そのため、電源供給先の回路の保護を行うと共に、確実な電源の停止処理を行うことを可能としている。
【0107】
さらに、電源出力の起動および終了シーケンスを、書き換え可能なROMに記憶されたパラメータに従い制御しているため、シーケンスの変更を極めて容易に行うことができる。
【0108】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態は、複数の回路が1つの電源を共有している場合の例である。図5は、本第2の実施形態に適用可能な撮像装置の構成例を示すブロック図である。この図5の構成は、第1の実施形態で説明した図1の構成に対して撮影部230を追加したものとなっている。例えば撮影部230は、光学系と、CCDやCMOSイメージャからなる撮像素子と、撮像素子から出力される撮像信号を映像信号に変換する信号処理部と、信号処理部から出力される映像信号に映像処理を施す映像処理部を有する。映像処理部から出力された映像信号は、表示部210に供給され表示パネル209に表示されたり、圧縮符号化して図示されない記憶媒体に記憶したりする。
【0109】
撮影部230の追加に伴い、電源IC402は、図1で示した電源IC202に対して、撮影部230に対して電源を供給する電源チャンネルである電源CH7およびCH8が追加される。それと共に、電源IC402に対し、撮影部230に対してリセット信号を送信するための汎用ポート214が追加される。
【0110】
なお、図5において、上述した図1と共通する部分については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、電源IC402は、上述のように図1の電源IC202に対して電源チャンネルと汎用ポートとが追加された構成となっており、基本的な構成は電源IC202と共通するので、内部の詳細な説明を省略する。
【0111】
この例では、電源CH7の出力電圧は15V、電源CH8の出力電圧は−7.5Vとなっている。撮影部230は、電源CH7およびCH8と共に、第2の電源グループの電源CH4による出力が電源として供給される。すなわち、電源CH4は、表示部210と撮影部230とで共有される電源である。撮影部230に電源を供給する電源チャンネルである電源CH4、電源CH7および電源CH8で、第3の電源グループを形成する。汎用ポート214は、第3の電源グループに対応する。
【0112】
図6は、撮影部230に対する第3の電源グループによる電源出力の起動シーケンスの例を示す。図6に例示されるように、電源CH4による電源出力の後に撮影部230のリセットを解除し(時間t21)、その後電源CH7による電源出力を行い(時間t23、t24)、最後に電源CH8による電源出力を行う(時間t25、t26)ようになっている。
【0113】
CPU204は、起動後に、電源チャンネルのグルーピングについて、電源IC402に対して設定を行っているものとする。すなわち、CPU204は、表示部210に対して電源の供給を行う第2の電源グループを定義すると共に、撮影部230に電源を供給する、電源CH4、電源CH7および電源CH8による第3の電源グループを定義する。また、撮影部230に対するリセット信号出力のタイミングを、電源CH4による電源出力後の所定時間経過後として定義する。
【0114】
なお、グループは、ROM312に記憶された情報に基づき定義することもできるし、通信線220を介してなされるシリアル通信により電源IC402の外部から定義することも可能である。
【0115】
これら第3の電源グループおよびリセット信号出力タイミングの定義は、CPU204から電源IC402に対して設定される。設定された内容は、例えば通信線220によるシリアル通信でCPU204から電源IC402に送信され、ROM312に書き込まれる。
【0116】
以下では、表示部210の動作が既に開始されており、例えば操作者による操作部207に対する入力に従い、撮影部230に対して電源を出力し、オフ状態の撮影部230をオン状態にする場合について考える。なお、第3の電源グループに関する起動および終了シーケンスに関するパラメータは、既にCPU204から通信線220を介して電源IC402に対して送信され、制御部315によりレジスタにセットされているものとする。
【0117】
表示部210の動作が開始されているので、第1の電源グループおよび第2の電源グループによる起動シーケンスが既に完了しており、電源CH4、CH5およびCH6による電源出力が行われている。一方、撮影部230はオフ状態にされておるので、電源CH4による電源出力がなされていても、汎用ポート214による撮影部230へのリセット信号は、Lowレベルのままとなっている。
【0118】
操作部207に対して撮影部230の動作をオン状態とする操作が行われたとする。この操作に応じて、CPU204は、撮影部230に対する他の電源(電源CH7およびCH8)による電源出力を開始させるため、通信線222により、撮像部電源制御信号をHighレベルとする(図6の時間t20)。電源IC402は、撮像部電源制御信号がHighレベルとされると、電源CH7およびCH8による電源出力を開始する。
【0119】
電源IC402では、設定された起動シーケンスに従って第3の電源グループによる電源出力を開始する。第3の電源グループにおいて、電源CH4については、既に表示部210で使用するために電源出力されている。そのため、電源IC402は、電源CH4の電源出力が完了しているとして次のシーケンスへ進む。
【0120】
電源IC402は、タイマ部315cに対して時間tR4を設定し、撮像部電源制御信号がHighレベルとなった時間t20から時間の計測を開始する。計測の結果、時間t20から時間tR4だけ経過したと判定されたら、電源IC402は、汎用ポート214から撮影部230に出力されるリセット信号をHighレベルとし、撮影部230のリセット状態を解除する。すなわち、時間tR4が、撮影部230に対するリセット遅延時間となる。撮影部230のリセット状態を解除した後、電源IC402は、シーケンスに従い電源CH7および電源CH8による電源出力を順次行う。
【0121】
ここで、リセット遅延時間tR4は、電源CH4による電源出力開始後の遅延時間として撮影部230に定義されているリセット遅延時間をそのまま用いることが考えられる。この例では、撮影部電源制御信号がHighレベルになった時点で、既に電源CH4による電源出力が行われている。そこで、CPU204からの通信線220によるシリアル通信を用いて、撮影部230に定義されているリセット遅延時間より短いリセット遅延時間tR4を電源IC402に送信して設定することも可能である。これにより、撮影部230の起動時間を短縮することができる。
【0122】
撮影部230のリセット状態が解除されると、電源CH7による電源出力が開始され(時間t23、t24)、次に、電源CH8による電源出力が開始される(時間t25、t26)。このようにして、撮影部230に対する電源出力の起動シーケンスが完了される。
【0123】
なお、表示部210に対する電源出力が開始される前に撮影部230に対して電源出力が開始される場合も考えられる。この場合でも、表示部210に対する電源出力の起動シーケンスとしては、電源CH4による電源出力後の表示用IC208のリセット解除処理から開始することで、同様にして電源CH4を撮影部230と表示部210とで共有することができる。
【0124】
次に、表示部210および撮影部230の両方に電源が供給されている状態から、撮影部230に対する電源の供給のみを停止させる場合について説明する。操作部207に対する入力により撮影部230の動作停止の命令がCPU204に供給されると、CPU204は、撮影部230に対してシリアル通信を行い、撮影部230の動作の終了処理を開始する。撮影部230において動作が終了されると、CPU204は、通信線222に送信される撮像部電源制御信号をLowレベルとする。
【0125】
電源IC402は、通信線222に送信される撮像部電源制御信号がLowレベルになったことを検出すると、第3の電源グループの電源の出力停止処理を開始する。第3の電源グループの出力停止処理は、上述した立ち上げ処理の例と同様の処理となる。すなわち、CPU204から、第3の電源グループの終了シーケンスを示すパラメータが通信線220によるシリアル通信で電源IC402に送信され、電源IC402内の制御部315によりレジスタにセットされる。受信したパラメータを一旦ROM312に書き込むようにしてもよい。これに限らず、第3の電源グループの終了シーケンスを示すパラメータをROM312に予め記憶しておくようにしてもよい。
【0126】
第3の電源グループの出力停止処理において、電源IC402は、先ず電源CH8の電源出力を停止し、次に電源CH7の電源出力を停止する。電源CH7の電源出力の停止動作が終了すると、電源IC402は、汎用ポート214から撮影部230へ出力しているリセット信号をLowレベルに設定し、撮影部230をリセット状態にする。電源IC402は、撮影部230に対するリセット信号をLowレベルに設定してから所定時間の経過後、電源CH4の電源出力の停止処理に移行することになる。
【0127】
ここで、撮影部230と電源CH4を共有する表示部210は、動作が停止されていない。そのため、電源IC402は、電源CH4の電源出力の停止処理を中止する一方、撮影部230に対する電源CH4による電源出力を停止したものとして処理を継続する。電源IC402は、第3の電源グループの出力停止処理が終了したことを示す終了フラグをレジスタにセットすると共に、CPU204に対して通信線220によるシリアル通信で割り込み信号を送信する。この割り込み信号の送信から所定時間以内にCPU204から通信線220によるシリアル通信が発生すると、電源IC402は、レジスタにセットした終了フラグをクリアし、第3の電源グループによる電源出力の終了シーケンスが完了する。CPU204は、撮影部230の動作停止後、表示部210の動作を継続させたままで、次の動作に移行する。
【0128】
以上述べてきたように、本第2の実施形態においては、電源ICが複数の電源グループで共有される電源チャンネルを持っている場合でも、安全かつ確実に電源の起動を行うことができる。また、複数の機能ブロック(IC)に跨って電源を供給する電源チャンネルを持つ電源グループにおいては、各機能ブロック毎の設定を単独の電源グループの設定と見做すことで、高速な立ち上げが可能となる。それと共に、ICの保護と同時に高速で確実な電源の停止処理を行うことができる。
【0129】
さらに、電源出力の起動および終了シーケンスを、書き換え可能なROMに記憶されたパラメータに従い制御しているため、シーケンスの変更を極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施形態に適用可能なデータ表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に適用可能な電源ICの一例の構成を示す回路図である。
【図3】本第1の実施形態による第1の電源グループにおける電源出力の起動シーケンスの例を示すシーケンス図である。
【図4】本第1の実施形態による第2の電源グループにおける電源電圧の起動シーケンスの例を示すシーケンス図である。
【図5】本第2の実施形態に適用可能な撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】本第2の実施形態による撮像部に対する第3の電源グループによる電源出力の起動シーケンスの例を示すシーケンス図である。
【図7】従来技術による、電池などの直流電源電圧を入力電源として動作を行う電源装置の一例の回路図を示す。
【図8】PWMコンパレータによるPWM信号発生の原理を説明するための略線図である。
【図9】従来の技術による、電源装置に複数の異なる負荷が接続されるシステム構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0131】
201 電池
202,402 電源IC
203 メインスイッチ
204 CPU
208 表示用IC
210 表示部
211 リセットIC
212,213,214 汎用ポート
220 通信線
230 撮像部
308 A/D変換器
309,310 スイッチング素子
311 通信インターフェイス
312 ROM
313 比較器
314 PWM生成部
315 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を出力する複数の電源出力手段と、
機能ブロックの動作開始を制御する動作開始制御信号を出力する1または複数の通信手段と、
1の前記通信手段と、該1の通信手段により出力される前記動作開始制御信号によって動作開始を制御される前記機能ブロックに電源電圧を出力する1または複数の前記電源出力手段とからなるグループごとに、起動時および終了時の少なくとも一方について、前記電源出力手段による前記電源電圧の供給または供給の終了のタイミングと、前記動作開始制御信号の出力タイミングを含む動作シーケンスを制御するための制御情報を記憶する記憶手段と、
前記制御情報に従い前記通信手段と前記電源出力手段とを制御する制御手段と
を備える
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
少なくとも、複数の前記電源出力手段のうち最初に前記電源電圧を出力する該電源出力手段を含む前記グループによる前記動作シーケンスを制御する前記制御情報が、前記記憶手段に予め記憶されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
少なくとも最初に電源電圧の出力を行うグループに含まれる前記電源出力手段の該電源電圧の出力の対象の前記機能ブロックとデータ通信が可能なデータ通信手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記データ通信手段を介した通信に従い、前記グループに対し前記通信手段および前記電源出力手段を割り当てる
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記データ通信を介して前記グループに対する動作シーケンスを制御するための前記制御情報が供給されると、該制御情報に従い該グループの前記動作シーケンスを制御する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記記憶手段に、前記グループごとの前記動作シーケンスが予め記憶され、
前記制御手段は、
前記データ通信手段を介した通信により選択された、前記記憶手段から次の前記グループに対する前記制御情報に従い該次のグループの動作シーケンスを制御する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電源装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶される前記制御情報に従い、前記グループに対して前記通信手段および前記電源出力手段を割り当てる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記動作開始制御信号は、前記機能ブロックの機能をリセットするリセット信号である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−296852(P2009−296852A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150837(P2008−150837)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】