電源装置
【課題】軽負荷時の電源効率をより向上させることのできる電源装置を提供する。
【解決手段】AC−DCコンバータは、第一のスイッチング素子107と、当該AC−DCコンバータの出力に応じて前記第一のスイッチング素子を制御し、当該AC−DCコンバータの出力を通常時に第一の電圧に制御する第一の制御部とを有し、DC−DCコンバータは、第二のスイッチング素子142と、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記第二のスイッチング素子を制御し、当該DC−DCコンバータの出力を通常時に前記第一の電圧より低い第二の電圧に制御する第二の制御部と、低消費電力を指示する信号が入力されたときに、当該DC−DCコンバータの出力に応じて第一のスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とし、当該DC−DCコンバータの出力を第二の電圧より低い第三の電圧に制御する第三の制御部とを有する電源装置により前記課題を解決する。
【解決手段】AC−DCコンバータは、第一のスイッチング素子107と、当該AC−DCコンバータの出力に応じて前記第一のスイッチング素子を制御し、当該AC−DCコンバータの出力を通常時に第一の電圧に制御する第一の制御部とを有し、DC−DCコンバータは、第二のスイッチング素子142と、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記第二のスイッチング素子を制御し、当該DC−DCコンバータの出力を通常時に前記第一の電圧より低い第二の電圧に制御する第二の制御部と、低消費電力を指示する信号が入力されたときに、当該DC−DCコンバータの出力に応じて第一のスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とし、当該DC−DCコンバータの出力を第二の電圧より低い第三の電圧に制御する第三の制御部とを有する電源装置により前記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に好適な電源装置に関し、特にその低消費電力時(画像形成装置の省エネルギモード時に対応)の効率の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14に、従来の自励式フライバック電源の基本回路図を示す。以下図14によりに従来の自励式フライバック電源の構成、動作を説明する。
【0003】
商用交流700に接続された、フィルタ回路701、整流回路702、平滑コンデンサ703により直流入力電圧が生成される。生成された直流入力電圧が印加されるトランス704の第一の一次巻線Npと、スイッチング素子707が直列に接続されている。直流入力の正端子とスイッチング素子707のゲート端子間には起動抵抗705が接続されている。直流入力より起動抵抗705を通してスイッチング素子707のゲート端子に供給される電圧が上昇するとドレイン電流が流れ、一次巻線Npに電流が流れる。
この結果、トランス704は励磁されて他方の一次巻線である補助巻線Nbに電圧が誘起される。これにより、スイッチング素子707のゲート電圧が上昇し、さらにスイッチング素子707のドレイン電流が増加し、補助巻線Nbの電圧までスッチング素子707のゲート電圧が上昇するというように正帰還が行なわれる。スイッチング素子707のゲート電圧は、抵抗711と抵抗708の分圧により供給される。一方で補助巻線Nbの出力は、抵抗717、コンデンサ718からなる積分回路にも供給されており、コンデンサ718の両端電圧がトランジスタ710のベース電圧となるよう接続されている。コンデンサ718の両端電圧が上昇してトランジスタ710がONすると、抵抗709を介してスイッチング素子707のゲート電圧を低下させることによりスイッチング素子707をターンオフさせるような構成となっている。
【0004】
スイッチング素子707がOFFすると、トランス704の各巻線には逆起電力が発生し、二次側の巻線Nsから二次整流ダイオード720を通して電流が流れ出す。この半波成分の電流はコンデンサ721により平滑されて直流出力となる。トランス704に蓄えられたエネルギーが零となると、電流も零となる。しかしながらトランスの残留エネルギーによるリンギングによってトランス704の補助巻線Nbには電圧が発生するため、再度スイッチング素子707が導通する。するとトランス704の一次巻線Npに電流が流れ、トランス704の補助巻線Nbの電圧が上昇し、スイッチング素子707のゲート端子に電圧が印加されると同時にコンデンサ718への電流供給が開始される。
【0005】
以降は前述したような一連の動作を繰り返すことで、スイッチング素子707のON,OFFを繰り返すことになる。以上のような動作を繰り返すなかで、出力電圧がシャントレギュレータ723の基準電圧まで上昇してくると、抵抗724、725の分圧電圧によりシャントレギュレータ723が動作し、抵抗722を介してフォトカプラ714に電流が流れる。これにより、フォトカプラ714のLED714−bが点灯し、フォトカプラ714内のフォトトランジスタ714−aのインピーダンスが低下することにより、トランジスタ710がONする。すると、スイッチング素子707はコンデンサ718が充電されてトランジスタ710をONする時間よりも短い時間でOFFする、という帰還動作によって矢印で示す出力端に一定電圧を出力するよう構成している。
【0006】
この一定電圧はレーザプリンタ内におけるモータやソレノイド、もしくは高圧電源といった電力や高い直流電圧(例えば+24V)供給を必要とする駆動系の電源として装置内に供給されている。
【0007】
また、一方でCPUやASICといった制御系への電源電圧(例えば+3.4V)は、該駆動系電源電圧をさらにDC−DCコンバータにて減圧することによりを得ている。
【0008】
DC−DCコンバータの動作を以下に示す。
【0009】
図14において、727はスイッチング素子、728はインダクタ、729はダイオード、730は電解コンデンサ、732はコンパレータ、738はツェナダイオードである。
【0010】
コンパレータ732は駆動系電源電圧の供給を受けている。コンパレータ732は検出抵抗735と739の分圧と、ツェナダイオード738の電圧を比較し、抵抗739の電圧がツェナダイオード738の電圧よりも低いときはコンパレータ732の出力をLoとする。この結果、スイッチング素子727のゲート端子には駆動系電源電圧を抵抗726と抵抗731により分圧した電圧が印加され、スイッチング素子727はONとなる。スイッチング素子727がONとなると、インダクタ728を介して、コンデンサ730に電流が供給され、コンデンサ730の両端電圧が上昇する。この電圧上昇に伴って抵抗739の電圧が上昇し、ツェナダイオード738の電圧よりも高くなると、コンパレータ732がHi(OFF)となり、スイッチング素子727がOFFとなる。インダクタ728はさらに電流を流しつづけようとするので、ダイオード729−インダクタ728−コンデンサ730からなる閉ループに電流が流れ、インダクタ728に蓄えた電流を回生する。
【0011】
該回生が終了するまでの間、コンパレータ732をOFFに保つため、抵抗739が接続されたコンパレータ732の入力端子から、ダイオード729のカソード端子間に、ダイオード729のカソード端子側がカソードとなるようダイオードを挿入しても良い。
【0012】
しかしながら、前述の従来の電源回路では、画像形成装置の省エネルギモード時などの軽負荷運転時、ロードスイッチなどにより駆動系電源電圧の供給を停止させるため駆動系電圧の負荷は極端に少なくなる。この結果、AC−DCコンバータのスイッチング素子をONさせる時間(ON時間)は短くなる。このようになるとスイッチング周波数が上昇すると共にスイッチングに伴う電力損失が増加するため、効率は低下する。
【0013】
スイッチング損失を低減させるため、従来様々な提案がなされてきた。AC−DCコンバータの出力を低下することでAC−DCコンバータのOFF時間を延長させ、スイッチング損失を低下させる提案が特許文献1ないし3などで提案されている。またこのような間欠動作を行うとスイッチングトランスより発振音が発生するため、間欠動作の周期を可聴域外で行うことが特許文献4で提案されている。図15は、AC−DCコンバータの出力を低下させた場合の、各部の電圧の遷移状態を示す例である。
【特許文献1】特許第2987992号公報
【特許文献2】特許第3386016号公報
【特許文献3】特開平7−322610号公報
【特許文献4】特許第3037050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、レーザプリンタやコピー機における省エネルギモード時などの軽負荷運転時にはAC−DCコンバータの効率低下だけではなく、DC−DCコンバータの効率低下も大きな問題となる。即ち駆動系電圧から制御系電圧を生成するDC−DCコンバータ部においても省エネルギモードでは各部への電流供給を遮断し、回路の動作を停止してしまうため、軽負荷運転となる。このようにDC−DCコンバータ部においても軽負荷運転時には効率が悪化する。
【0015】
電源としての総合効率はAC−DCコンバータの効率とDC−DCコンバータの効率の積となるために20〜30%程度の効率となってしまうといった問題があった。また、AC−DCコンバータの電圧を下げただけでは後続のDC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動電圧が低下するため、そのままではDC−DCコンバータのスイッチング素子を駆動できないといった問題があった。
【0016】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、軽負荷時の電源効率をより向上させることのできる電源装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため、本発明では、電源装置を次の(1)のとおりに構成する。
【0018】
(1)AC−DCコンバータと、前記AC−DCコンバータの出力を入力とするDC−DCコンバータとを備えた電源装置であって、
前記AC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該AC−DCコンバータの出力を制御する第一のスイッチング素子と、当該AC−DCコンバータの出力に応じて前記第一のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該AC−DCコンバータの出力を通常時に第一の電圧に制御する第一の制御部とを有し、
前記DC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該DC−DCコンバータの出力を制御する第二のスイッチング素子と、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記第二のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該DC−DCコンバータの出力を通常時に前記第一の電圧より低い第二の電圧に制御する第二の制御部と、低消費電力を指示する信号を入力する信号入力部と、前記信号入力部に前記低消費電力を指示する信号が入力されたときに、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記AC−DCコンバータの第一のスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とし、当該DC−DCコンバータの出力を前記第二の電圧より低い第三の電圧に制御する第三の制御部とを有する電源装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、軽負荷時の電源効率をより向上させることのできる電源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、電源装置の実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1である“電源装置”について説明する。図1は、本実施例の構成を示す回路図である。本実施例は、RCC方式のAC−DCコンバータとDC−DCコンバータの組み合わせの例である。詳しくは、前記AC−DCコンバータは、そのスイッチング素子のON/OFF制御により、通常時は第一の電圧を出力し、前記DC−DCコンバータは、そのスイッチング素子のON/OFF制御により、通常時は前記第一の電圧より低い第二の電圧を出力する。さらに前記DC−DCコンバータは、低消費電力を指示する信号が入力されたときに、前記AC−DCコンバータのスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とする。これにより、当該DC−DCコンバータの出力を前記第二の電圧より低い第三の電圧に制御するという電源装置の例である。
なお、本実施例は、レーザプリンタの電源装置を想定している。
【0022】
図1において、100は商用交流電源、101はフィルタ回路、102はダイオードブリッジ、103はコンデンサ、104はスイッチングトランスである。Npはトランスの一次巻線、Nsはトランスの二次巻線、Nbはトランスのバイアス巻線(帰還巻線)を示す。また、105は起動抵抗、107はスイッチング素子、108、109、111、113、116、117は抵抗、110はトランジスタ、112、118はコンデンサである。114−aはフォトカプラ114のフォトトランジスタ側、114−bはフォトカプラ114のLED側である。115,119はダイオードである。121は二次整流ダイオード、122は電解コンデンサ、123〜126は抵抗、128はツェナダイオード、130はコンパレータ、131は抵抗、132は負荷への出力/出力停止を行うロードスイッチである。
170はロードスイッチ132を介した出力端子、171はロードスイッチ132の制御端子、172はロードスイッチ132を介さない出力端子、173はGND端子である。
【0023】
AC−DCコンバータの出力電圧を受けて、さらに低い電圧を生成するDC−DCコンバータの回路の説明を行う。ロードスイッチを介さない172端子に接続される、DC−DCコンバータ入力端子が175、DC−DCコンバータのGND端子が176である。140,141、146、147、148、152、154、157は抵抗、142はDC−DCコンバータのスイッチング素子であり、一般的にはPchMOSFETが良く使用される。143,144はダイオード、149はツェナダイオード、150は平滑コンデンサ、151,156はコンパレータ、153はトランジスタ、155−bがフォトカプラ155のLED側である。また、トランジスタ153をON/OFFする制御端子が152、DC−DCコンバータより生成された低い電圧(例えば3.4V)の出力端子が177、GND端子が178である。
【0024】
商用交流電源100よりフィルタ回路101を介してダイオードブリッジ102にAC電源が印加されると、ダイオードブリッジ102により両波整流がなされ、コンデンサ103により、ピーク充電が行なわれる。これにより、コンデンサ103の両端にDC電圧を生成する。
【0025】
本電源装置の各部の電圧変化を示す図5、図6を参照し、本実施例の動作を説明する。まず、起動時に通常時(プリンタのプリントモード時)となる場合の動作を説明する。通常時、端子174はHiの信号が入力されるか、もしくはハイインピーダンスとなっているため、トランジスタ153はOFFとなり、フォトカプラ155のLED155−bが発光しないため、AC−DCコンバータ部分は、通常のAC−DCコンバータ回路内のフィードバック動作を行うことになる。即ちツェナダイオード128が動作する状態となっている。
【0026】
起動抵抗105とゲートソース間の抵抗108の分圧によりスイッチング素子107のゲート−ソース間に電圧が印加されると、スイッチング素子107がONし、トランス104の一次巻線Npに電流が流れ始める。この電流により、補助巻線Nbにさらにゲート電圧を高くする方向に電圧が発生し、コンデンサ112を充電しながら抵抗111を介してスイッチング素子107のゲート電圧を高くするよう電圧が印加される。また、同時に抵抗117を通じてコンデンサ118を充電する。コンデンサ118の充電が開始され、コンデンサ118の両端電圧がトランジスタ110のVbe以上になるとベース電流が流れ、トランジスタ110がONする。トランジスタ110がONするとスイッチング素子107がOFFし、スイッチング素子107のドレイン−ソース間電圧が上昇し始める。この結果、補助巻線Nbの電圧が降下し、逆方向に電流を流し始める。二次巻線Nsにはダイオード121が導通する方向に電流が流れ、コンデンサ122の電圧とダイオード121の順方向電圧の和以上の電圧となったときにコンデンサ122を充電する。同時に補助巻線Nbに現れた電圧はダイオード119をONし、抵抗116、ダイオード115を還流する方向に電流を流し、コンデンサ118を放電する。このようになるとトランジスタ110はOFFしてしまうため、スイッチング素子107のゲート電圧は、この後、起動抵抗105により供給される電流と、抵抗111とコンデンサ112を介して供給される補助巻線Nbに流れ込む電流により決まるようになる。
【0027】
スイッチング素子107のOFFを高速化する目的で、図2のよう、抵抗111を分割し、分割した片方の抵抗140に並列に、スイッチング素子107をOFFする方向にダイオード141を接続してもよい。図2のようにすることでより早く、確実にスイッチング素子107のゲート電圧を降下させることが可能となる。
【0028】
トランス104に蓄えられたエネルギーは、スイッチング素子107がOFFしている期間にコンデンサ122に移動するため、時間とともに巻線Nsの電圧が減少する。このようになると補助巻線Nb側での出力電圧が小さくなるため、起動抵抗105より流入する電流によりスイッチング素子107のゲート電圧が上昇してくる。スイッチング素子107のゲート電圧がONするための閾値よりも高くなると、スイッチング素子107はONし、巻線Npに、コンデンサ103の+端子からスイッチング素子107を通ってコンデンサ103の−端子の方向に電流が流れる。巻線Nbには、Nb巻線よりコンデンサ112、抵抗111、抵抗108、Nb巻線という方向に電流が流れるためスイッチング素子107のゲート電圧がさらに上昇する。そうして前述したように巻線Nbの電圧と抵抗117によりコンデンサ118が充電され、トランジスタ110をONすることでスイッチング素子107がOFFする。といった、一連の発振が継続され、スイッチング素子107のON期間にトランス104に蓄えられたエネルギーが、スイッチング素子107のOFF期間にコンデンサ122に蓄えられ、コンデンサ122の両端電圧は上昇していく。
【0029】
コンデンサ122の両端電圧の上昇に伴って、スイッチング素子107のOFF期間中の巻線Nsの電圧,およびNb巻線の逆方向電圧、およびトランスのエネルギーをコンデンサ122に吐き出した後のリンギング電圧が大きくなっていく。このため、起動抵抗105からの流入電流による電圧上昇に加えて、リンギング電圧の上昇によってスイッチング素子107のゲート電圧が上昇し、スイッチング素子107がONするようになる。このようになると安定したOFF時間で動作するようになり、コンデンサ122の電圧は急速に上昇していく。
【0030】
コンデンサ122の電圧が上昇していくと、コンデンサ122の電圧は抵抗124と125の分圧と、ツェナダイオード128により作られる基準電圧の比較によりコンパレータ130が動作し、コンパレータ130の出力はLoに反転し、フォトカプラ114のLED114−bが発光する。フォトカプラ114のフォトトランジスタ114−aは抵抗113とトランジスタ110のベースに接続されており、フォトカプラ114のLED114−bが発光するとフォトトランジスタ114−aが導通するため、トランジスタ110がONとなり、スイッチング素子107をOFFとする。
【0031】
逆にコンデンサ122の電圧が低くなった場合には、コンパレータ130が反転せず、スイッチング素子をOFFしないため、コンデンサ112と抵抗111により定まる最大ON時間までスイッチング素子107はONする。このようにして、抵抗125の両端電圧がツェナダイオード128の電圧と同一の電圧となるようにコンデンサ122の両端電圧は制御されている(図5の172 端子電圧、107 GS間電圧参照)。
【0032】
レーザプリンタの省エネルギモード時には、レーザプリンタの制御系から本電源装置に低消費電力を指示する信号が出力される。制御系が低消費電力を指示する信号を出力する機構は後述する。
【0033】
低消費電力を指示する信号が端子174に入力し、端子174がLoとされるとトランジスタ153がONとなる。抵抗146と抵抗147、157の分圧と抵抗148によりバイアスされたツェナダイオード149の両端電圧を比較し、ツェナダイオード149の電圧よりも抵抗147、157の両端電圧が高い場合にコンパレータ156の出力はLoとなる。これにより、フォトカプラ155のLED155−bが点灯し、フォトカプラ155のトランジスタ155−aが導通するため、トランジスタ110がONとなる。
ツェナダイオード149のツェナ電圧は、ツェナダイオード128のツェナ電圧よりも充分に低い値のものを選択している。
【0034】
この結果、AC−DCコンバータのスイッチング素子107がOFFとなり、端子172の電圧は降下していく(図5の172端子電圧参照)。後述するDC−DCコンバータはこの間も動作しつづけており(図5の142 端子電圧参照)、安定的に低い電圧(例えば3.4V、前記第二の電圧)を出力している(図5のC150 両端電圧参照)。
端子172の電圧が充分に低くなり、後続のDC−DCコンバータ出力電圧が低下して、抵抗146と抵抗147、157により分圧された値がツェナダイオード149の電圧よりも低くなると、コンパレータ156がHiを出力(OFF)する。これにより、フォトカプラ114のLED114−bが消灯する。この結果、トランジスタ110がOFFし、スイッチング素子107がONになる(図5の107 GS間電圧参照)。
【0035】
基準電圧を設けるためにツェナダイオードを用いた例を紹介したが、実際には低い電圧を生成するツェナダイオードは一般にツェナ電圧のばらつき、電流によるツェナ電圧依存性、温度特性が悪い。このため、高いツェナ電圧を持つツェナダイオードを用い抵抗により分圧したり、シャントレギュレータを基準電圧として使用しても良い。
【0036】
DC−DCコンバータの動作を以下に説明する。142はDC−DCコンバータのメインスイッチング素子、145はインダクタ、143は回生ダイオード、150はコンデンサ、146〜148は抵抗、149はツェナダイオード、157は抵抗、151および156はコンパレータである。
【0037】
まず、通常時の説明を行う。コンパレータ151は、ツェナダイオード149の電圧と、出力電圧を抵抗146、147と抵抗157で分圧した電圧と比較する。ツェナダイオード149のツェナ電圧よりも抵抗1157の電圧が低くなると、コンパレータ151はLoを出力(ON)するため、スイッチ素子(P型FET)142のゲート電圧が供給されなくなり、スイッチング素子142はONする。このため、インダクタ145に電流が流れ、コンデンサ150を充電、コンデンサ150の電圧が上昇する。
【0038】
次にコンデンサ150の電圧が上昇して抵抗157の電圧がツェナダイオード149の電圧よりも高くなると、コンパレータ156がHiを出力(OFF)するため、スイッチング素子142のゲート電圧が上昇しスイッチング素子142はOFFとなる。インダクタ145はさらに電流を流し続けようとするため、回生ダイオード143がONし、インダクタ145に蓄えられたエネルギーをコンデンサ150に充電する。このとき、ダイオード144が導通し、コンパレータ151の−入力端子を低くするため、コンパレータ151は反転動作を行わずインダクタ145のエネルギーの吐き出しが終了するまでOFF時間を確保する。
以上のような一連の動作を繰り返すことによりDC−DCコンバータは発振を継続している(図5の142 GS間電圧参照)。
【0039】
レーザプリンタの省エネルギモードへの移行時には、端子174に低消費電力を指示する信号が入力され、端子174をLoとする。端子174への入力は通常モード時にはHiまたはハイインピーダンスとなっており、トランジスタ153は抵抗152によりプルアップされているためOFFしている。端子174がLoとなることにより、トランジスタ153がONになり、コンパレータ156の出力がLo、コンデンサ150の電圧が3.2Vよりも高い場合にフォトカプラ155のLED155−bが発光する。LED155−bが発光するとフォトカプラ155のフォトトランジスタ155−aが導通するため、トランジスタ110がONとなり、一次側のスイッチング素子107がOFFとなる。このとき、DC−DCコンバータのスイッチング素子142も停止(OFF)している。コンデンサ150への電流供給がなくなり負荷電流は流れ出しつづけるため、コンデンサ150の電圧は低下する。インダクタ145の回生電流が流れ終わりダイオード144による電流が無くなってツェなーダイオード49のツェナ電圧が復活し、かつ出力電圧を検出している抵抗147,157の電圧がツェナダイオード149の電圧以下となる。すると、再びコンパレータ156はHiを出力(OFF)し、DC−DCコンバータのスイッチング素子142がONすると共にフォトカプラ155のLED155−bが消灯すると、AC−DCコンバータのスイッチング素子107が発振を開始する。そして、AC−DCコンバータは、コンデンサ122を充電し始め、DC−DCコンバータはコンデンサ150を充電し始める(図5のBおよび図6参照)。
【0040】
さらに起動回路(起動抵抗)に直列に高耐圧トランジスタを接続し、トランジスタのベースエミッタ間にフォトカプラを接続することにより、スイッチング素子107の休止期間中に起動抵抗で消費する電流を停止するよう構成しても良い。このような接続例(実施例1の変形)を図8に示す。図8において、106−aがフォトカプラ106のフォトトランジスタ、106−bがフォトカプラ106のLEDである。レーザプリンタで省エネルギーモードが選択され、端子174に低電力消費を指示するLo信号が入力し、トランジスタ153がONした状態でコンパレータ156がLoを出力(ON)すると、フォトカプラ155のLED155−bと同時にフォトカプラ106のLED106−bが発光し、フォトカプラ106のフォトトランジスタ106−aがONとなる。このため、起動抵抗105に直列接続されたトランジスタ158がOFFとなって起動抵抗105に流れていた電流が停止するため、電源内での消費電力をさらに少なくすることが可能となる。
【0041】
図3にレーザプリンタの制御系と、端子174に接続される信号ラインの接続図を示す。図3において、188,189が制御回路の出力トランジスタ、190がCPU、もしくはASICである。185〜187、131,133は抵抗である。抵抗133のラインの信号により、FETを用いたロードスイッチ132をON,OFFし、駆動系(+24V)の出力をオンオフしている。図3のように構成することで、CPU190出力がHiの時には出力トランジスタ188,189はローインピーダンスとなり、CPU190出力がLoとなることで出力トランジスタ188,189はハイインピーダンス状態となる。
【0042】
レーザプリンタが省エネルギモードに入る場合の動作について図4のフローチャートをまじえて説明する。省エネルギモードに入る時、レーザプリンタはまず駆動系の負荷をステップ201(図ではS201と略記する、以下同様)で停止し、駆動系負荷への接続を遮断しても良いようにする。制御回路からの信号は、前記第一の電圧の供給を停止するためステップ202で出力トランジスタ188をオフし抵抗133より出力されている端子をHiもしくはハイインピーダンス状態とする。このようになると、ロードスイッチ132のFETがOFFするため、第一の電圧を端子170から電源装置外部に出力しなくなる。然る後にステップ203でロジック部の電流負荷の大きいところを遮断、停止して軽負荷運転可能な状態にする。さらにステップ204でトランジスタ189をオンし端子184がLoになり、低消費電力を指示する信号が端子174からDC−DCコンバータに入力される。すると、トランジスタ153がオンしてフォトカプラ155のLED155−bに電流が流れる状態になり、DC−DCコンバータのコンパレータ156の動作が有効になる。
【0043】
コンパレータ156は、ツェナダイオード149の基準電圧と抵抗147、157の電圧を比較するよう構成しており、ツェナダイオード149の基準電圧よりも抵抗147、157の電圧が高いとLoを出力(ON)する。すると、フォトカプラ155のLED155−bに電流を流しLEDを発光させる。フォトカプラ155の受光側のフォトトランジスタ155−aは、トランジスタ110のバイアスをON,OFFできるように接続されており、トランジスタ153をOFF、LED155−b消灯によりトランジスタ110をOFFとする。
【0044】
以上説明したよう、コンパレータ156により、DC−DCコンバータの出力電圧と基準電圧とを比較して第一のスイッチング素子107をON、OFFすることでDC−DCコンバータの出力として前記第三の電圧を得るよう制御している。このとき、DC−DCコンバータのコンパレータ151は、常に検出電圧(157の電圧)が目標電圧(ツェナダイオード149の電圧)値以下の値となっているために、第二のスイッチング素子142をONし続けるよう動作する。また、AC−DCコンバータにおける、第一の電圧(通常時)を得るためのフィードバック回路は、第一の電圧のときに適正な電流をフォトカプラ114のLED114−bに流すために抵抗123の抵抗値を大きくとっている。このため、第三の電圧となった際には電流不足になるためLED114−bが発光することが出来ず、スイッチング素子107は長いON時間での動作が可能となる。このためスイッチング周期を長く設定できるとともに3.3Vの増減にあわせた、長い周期でのバースト状態の動作休止が入ることになるため、スイッチング毎の休止を長くとることが出来、電源効率が飛躍的に上昇する。
図7に本実施例による電源装置の効率と、従来の電源装置の効率のグラフを示す。
【0045】
次に省エネルギモードからの復帰について図4のフローチャートに従って説明する。ステップ205でトランジスタ189をオフすることで起動抵抗105のON,OFF制御が止まり、AC−DCコンバータの出力電圧圧が目標電圧である前記第一の電圧(+24V)に向かって上昇を始める。ステップ206でAC−DCコンバータの出力電圧が目標電圧に達するまで数ms待ち合わせた後に、ステップ208で出力トランジスタ188をオンするとロードスイッチ132がオンして駆動系に端子170から電圧が供給される。なお駆動系の負荷で中途半端な電圧が加わって誤動作するような素子が無ければロードスイッチも無くして第一の電源電圧をオンオフしないようにしても良い。
【0046】
以上説明したように、本実施例によれば、DC−DCコンバータの出力電圧により、AC−DCコンバータを間欠動作させ、本実施例の変形ではさらに、起動抵抗をON/OFFさせることにより、AC−DCコンバータとDC−DCコンバータの軽負荷運転時の効率低下を避けることができる。また、このように構成することによりAC−DCコンバータのスイッチング素子のON/OFF回数を減少するとともに、ON時間を、起動時に代表されるように、電源として許される最も長いON時間とすることが可能となる。
【0047】
なお、コンパレータ130の回路は、請求項でいう第一の制御部に相当し、コンパレータ151の回路は、請求項でいう第二の制御部に相当し、コンパレータ156の回路は、請求項でいう第三の制御部に相当する。また、端子152は、請求項でいう信号入力部に相当し、トランス142は、請求項でいうAC−DCコンバータ内のトランスに相当する。
【実施例2】
【0048】
実施例2である“電源装置”について説明する。本実施例は、電源装置におけるDC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部を特にAC−DCコンバータに設ける例である。ここでは実施例1と重複する説明は省き、本実施例に特有の部分のみを説明する。
【0049】
図9は本実施例の構成を示す回路図である。図9において、Ns2はサブ電源巻線である。166はダイオード、167はコンデンサである。DC−DCコンバータのスイッチング素子に使用するFETは、Pch、ドレイン−ソース間電圧が30V〜60V、ゲート電圧4.5V駆動タイプのものが多い。本実施例ではAC−DCコンバータよりの出力電圧が24Vから3.2V程度まで低下するため、従来の構成では2.5V駆動のような、低ゲート閾値電圧のFETを使用する必要がある。特にドレイン−ソース間電圧が高いものは、低ゲート閾値のものが作りづらい。また、ゲート閾値を下げるためにはゲート絶縁層を薄くする必要があり、ゲート容量が増加してしまう。しかしながらゲート容量が増加すると、DC−DCコンバータのスイッチングロスが増大してしまうという問題点がある。
本実施例では、一般的に使用されている4.5V駆動タイプのFETを適用すべく、サブ電源巻線を設け、その整流電圧を利用するものである。
【0050】
このようにサブ電源巻線を設ける場合には、実施例2の変形である図10の電源装置のように、サブ電源巻線をより高い電圧が得られるように巻き、スイッチング素子142にPchではなく、NchのMOSFETを使用可能とすることができる。
【実施例3】
【0051】
実施例3である“電源装置”について説明する。本実施例は、電源装置における、DC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部に、ブートストラップ回路を用いる例である。ここでも実施例1、2と重複する説明は省き、本実施例に特有の部分のみを説明する。
【0052】
図11は実施例3の構成を示す回路図である。図11において、1101がコンデンサ、1102がダイオードブリッジ、1103、1105〜1107は抵抗、1103はNPNトランジスタ、1108はダイオード、1109はPNPトランジスタである。
【0053】
スイッチング素子であるFET142−2をOFFするため、トランジスタ1109がONするとFET142−2のゲート電圧が端子175の電圧V1まで上昇する。このときコンデンサ1101、ダイオード1102に電流が流れ、コンデンサ1101には端子175の電圧からダイオード1102の電圧降下分を差し引いた電圧が充電される。
【0054】
次にFET142−2をONするためにトランジスタ1109がOFFすると、FET142−2のゲート電圧は端子176のGND電圧に向けて降下し始める。と同時にコンデンサ1101の一方の端子である、トランジスタ1109のコレクタ側の方もGND電位となるため、コンデンサ1101の他方の端子である、ダイオード1102端子側はコンデンサ1101に充電された電圧だけ低くなり、−電位(−V1)となる。このときトランジスタ1103はONするため、FET142−2のゲート電圧は−V1まで降下するため、FET142−2のゲートソース間電圧は略−2V1となり、V1<Vth(VthはFET142−2のゲート閾値電圧)であっても駆動することが可能となる。
【0055】
本実施例のFETの駆動回路はあくまで一例であり、前記コンデンサとダイオードの組み合わせよりなるブートストラップ回路は、同様の効果を有する他の接続により実現しても良い。
【0056】
端子175の電圧V1が高いときにブートストラップ回路を動作しても無駄な電力を消費するとともに、FET142−2の耐電圧を超えてしまう場合がある。このようなときには端子175の電圧が所定値以下に低下したときだけブートストラップ回路を動作するよう構成しても良い。図12にそのような回路を、実施例3の変形として示す。
【0057】
図12において、1201〜1203、1205、1206、1209、1210、1212、1214、1215、1218、1220、1221、1223、1224、1226、1228、1229が抵抗、1204、1225はツェナダイオードである。また、1208,1211はダイオード、1207、1216,1217,1222,1227はトランジスタ、1213、1219はコンデンサである。
【0058】
端子175からの入力電圧が、ツェナダイオード1225のツェナ電圧とトランジスタ1222のベースエミッタ間電圧よりも充分に高いとき、トランジスタ1222はONするため、トランジスタ1217がOFFとなる。このため、FET142−2をOFFするためにトランジスタ1216がONした場合にはFET142−2はOFFとなるもののトランジスタ1217がOFFのため、コンデンサ1213とダイオード1211からなるブートストラップ回路は電流が流れず、コンデンサ1213の充電動作はしない。
【0059】
FET142−2をONするためトランジスタ1216をOFFした場合、FET142−2のゲート電圧は抵抗1205と抵抗1214により放電されることになる。なお、ツェナダイオード1204はFET142−2のゲート過電圧保護のために挿入しており、抵抗1203と抵抗1205,1214の分圧によりFET142−2のゲート耐電圧以下とできる場合には不要である。
【0060】
次に低消費電力が指示(省エネルギモード)され、端子175の電圧が低くなった場合の動作を説明する。端子175の電圧がツェナダイオード1225の電圧よりも低くなるとトランジスタ1222がOFFとなり、トランジスタ1217がONとなる。FET142−2をOFFするためにトランジスタ1216をONすると、コンデンサ1213−抵抗1212−ダイオード1211―トランジスタ1217を通じてGNDへ電流が流れ、コンデンサ1213に電源電圧即ち端子175の電圧が充電される。次にFET142−2をONするためにトランジスタ1216がOFFすると、トランジスタ1216のコレクタ側に接続されたコンデンサ1213の一方の端子の電圧がGND電圧(端子176電圧)まで降下する。したがってコンデンサ1213の他方の端子、即ちトランジスタ1207のエミッタ側はコンデンサ1213に蓄えた電圧によって−電位となる。よって、トランジスタ1207がONしてFET142−2のゲート電圧を、抵抗1205、トランジスタ1207を介してコンデンサ1213の他方の端子、すなわちトランジスタ1207のエミッタ端子側の電位まで引き込むことになる。これにより、端子175の電圧以上のゲート−ソース間電圧をFET142−2に与えることが可能となっている。
【0061】
図13に、図12の回路における、各状態でのFET142−2のゲート電圧を示す。
ここでは端子175の電圧を24V、12V、6Vと変化させたときの、FET142−2のゲート端子電圧と、トランジスタ1207のコレクタ端子電圧を示す。ツェナダイオード1225のツェナ電圧は15V、ゲート保護用ツェナダイオード1204のツェナ電圧も15Vとしている。
【0062】
まず端子175に24Vが入力されたとき、ゲート保護用ツェナダイオード1204により、ゲート電圧は15V以下となっている。また、トランジスタ1207のコレクタ端子電圧は。抵抗1214、1206の電圧と、抵抗1205、ゲート保護用ツェナダイオード1204の電圧で分圧された値となっている。
次に端子175の電圧が16Vになったとき、ゲート保護用ツェナダイオード1204のツェナ電圧よりもゲート電圧が低くなるため、抵抗1203と、抵抗1205、1206、1214の分圧がそのままゲート電圧として現れてくる。
端子175の電圧がさらに低下して6Vとなったとき、ブートストラップ回路が動作して4.5V程度の振幅を9Vまで大きくしていることが解る。
【0063】
以上説明したように、本実施例によると入力電圧が低下してFETのゲート閾値電圧よりも低くなったり、ゲート閾値電圧に近づいてしまってFETに所望のON抵抗が得られない場合、ブートストラップ回路を用いてゲート電圧をGND電位以下とすることで、ゲート閾値電圧が高いFETでも使用することが可能となる。また、単純にブートストラップ回路を設けただけではAC−DCコンバータの出力電圧が高い場合にゲート電圧が大きくなりすぎるため、本実施例の変形では、出力電圧が予め定められた電圧よりも低い場合にのみブートストラップ回路を動作させるようにしている。
【0064】
本実施例ではPchMOSFETを使用した例を示している。しかしながら同様の考え方をすることによりNchMOSFETでの駆動が可能である。NchMOSFETは低ゲート閾値電圧のものが多く、同じON抵抗を得るにはチップサイズを小さくできるため、コスト的にも有利となる。
【0065】
また、ブートストラップ回路においては充電時間を確保しつつ放電時間を制限する必要がある。特にレーザプリンタの通常モードから省エネルギモードへの遷移時は、DC−DCコンバータの入力電圧が低下するため、何も制御を行わない場合にはDC−DCコンバータのスイッチング素子であるFET142−2のON時間が長くなってしまう。このON時間が長くなりすぎるとコンデンサ1213が放電してしまい、FET142−2のゲート−ソース間電圧を所望の電圧値にすることが出来なくなるため、ON時間制限を行ってOFF時間による電圧制御となるようにDC−DCコンバータを構成している。ON時間制限の手法は、不図示ではあるもののON時間とOFF時間の比(デューティ)を100%まで延ばさなくするデューティ制御がある。ON時間を単に制限するON時間制御の手法のほか、ブートストラップ回路の電圧を監視して該電圧が予め定められた値以下の時にON時間制御をする制御手法などによって行っても良い。
【0066】
以上説明したように、本実施例によれば、AC−DCコンバータの出力電圧が予め定められた電圧以下となった場合には、ブートストラップ回路によりDC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動電圧を充分に確保することができる。また、第二のスイッチング素子がONし続けることを阻止するON時間制限手段により、ブートストラップ回路の動作を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1の構成を示す回路図
【図2】ゲート駆動回路の変形を示す回路図
【図3】レーザプリンタ本体との接続関係を示す回路図
【図4】レーザプリンタが省エネルギモードに入る場合および通常モードに戻る場合の動作を示すフローチャート
【図5】実施例1における各部の電圧変化を示す図
【図6】実施例1における各部の電圧変化を示す図
【図7】実施例1の効率と従来例の効率を示す図
【図8】実施例1の変形の構成を示す回路図
【図9】実施例2の構成を示す回路図
【図10】実施例2の変形の構成を示す回路図
【図11】実施例3の構成を示す回路図
【図12】ブートストラップ回路の変形を示す回路図
【図13】図12の回路におけるゲート電圧の変化を示す図
【図14】従来例の構成を示す回路図
【図15】従来例における各部の電圧変化を示す図
【符号の説明】
【0068】
107 スイッチング素子
142 スイッチング素子
130 コンパレータ
151 コンパレータ
156 コンパレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に好適な電源装置に関し、特にその低消費電力時(画像形成装置の省エネルギモード時に対応)の効率の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14に、従来の自励式フライバック電源の基本回路図を示す。以下図14によりに従来の自励式フライバック電源の構成、動作を説明する。
【0003】
商用交流700に接続された、フィルタ回路701、整流回路702、平滑コンデンサ703により直流入力電圧が生成される。生成された直流入力電圧が印加されるトランス704の第一の一次巻線Npと、スイッチング素子707が直列に接続されている。直流入力の正端子とスイッチング素子707のゲート端子間には起動抵抗705が接続されている。直流入力より起動抵抗705を通してスイッチング素子707のゲート端子に供給される電圧が上昇するとドレイン電流が流れ、一次巻線Npに電流が流れる。
この結果、トランス704は励磁されて他方の一次巻線である補助巻線Nbに電圧が誘起される。これにより、スイッチング素子707のゲート電圧が上昇し、さらにスイッチング素子707のドレイン電流が増加し、補助巻線Nbの電圧までスッチング素子707のゲート電圧が上昇するというように正帰還が行なわれる。スイッチング素子707のゲート電圧は、抵抗711と抵抗708の分圧により供給される。一方で補助巻線Nbの出力は、抵抗717、コンデンサ718からなる積分回路にも供給されており、コンデンサ718の両端電圧がトランジスタ710のベース電圧となるよう接続されている。コンデンサ718の両端電圧が上昇してトランジスタ710がONすると、抵抗709を介してスイッチング素子707のゲート電圧を低下させることによりスイッチング素子707をターンオフさせるような構成となっている。
【0004】
スイッチング素子707がOFFすると、トランス704の各巻線には逆起電力が発生し、二次側の巻線Nsから二次整流ダイオード720を通して電流が流れ出す。この半波成分の電流はコンデンサ721により平滑されて直流出力となる。トランス704に蓄えられたエネルギーが零となると、電流も零となる。しかしながらトランスの残留エネルギーによるリンギングによってトランス704の補助巻線Nbには電圧が発生するため、再度スイッチング素子707が導通する。するとトランス704の一次巻線Npに電流が流れ、トランス704の補助巻線Nbの電圧が上昇し、スイッチング素子707のゲート端子に電圧が印加されると同時にコンデンサ718への電流供給が開始される。
【0005】
以降は前述したような一連の動作を繰り返すことで、スイッチング素子707のON,OFFを繰り返すことになる。以上のような動作を繰り返すなかで、出力電圧がシャントレギュレータ723の基準電圧まで上昇してくると、抵抗724、725の分圧電圧によりシャントレギュレータ723が動作し、抵抗722を介してフォトカプラ714に電流が流れる。これにより、フォトカプラ714のLED714−bが点灯し、フォトカプラ714内のフォトトランジスタ714−aのインピーダンスが低下することにより、トランジスタ710がONする。すると、スイッチング素子707はコンデンサ718が充電されてトランジスタ710をONする時間よりも短い時間でOFFする、という帰還動作によって矢印で示す出力端に一定電圧を出力するよう構成している。
【0006】
この一定電圧はレーザプリンタ内におけるモータやソレノイド、もしくは高圧電源といった電力や高い直流電圧(例えば+24V)供給を必要とする駆動系の電源として装置内に供給されている。
【0007】
また、一方でCPUやASICといった制御系への電源電圧(例えば+3.4V)は、該駆動系電源電圧をさらにDC−DCコンバータにて減圧することによりを得ている。
【0008】
DC−DCコンバータの動作を以下に示す。
【0009】
図14において、727はスイッチング素子、728はインダクタ、729はダイオード、730は電解コンデンサ、732はコンパレータ、738はツェナダイオードである。
【0010】
コンパレータ732は駆動系電源電圧の供給を受けている。コンパレータ732は検出抵抗735と739の分圧と、ツェナダイオード738の電圧を比較し、抵抗739の電圧がツェナダイオード738の電圧よりも低いときはコンパレータ732の出力をLoとする。この結果、スイッチング素子727のゲート端子には駆動系電源電圧を抵抗726と抵抗731により分圧した電圧が印加され、スイッチング素子727はONとなる。スイッチング素子727がONとなると、インダクタ728を介して、コンデンサ730に電流が供給され、コンデンサ730の両端電圧が上昇する。この電圧上昇に伴って抵抗739の電圧が上昇し、ツェナダイオード738の電圧よりも高くなると、コンパレータ732がHi(OFF)となり、スイッチング素子727がOFFとなる。インダクタ728はさらに電流を流しつづけようとするので、ダイオード729−インダクタ728−コンデンサ730からなる閉ループに電流が流れ、インダクタ728に蓄えた電流を回生する。
【0011】
該回生が終了するまでの間、コンパレータ732をOFFに保つため、抵抗739が接続されたコンパレータ732の入力端子から、ダイオード729のカソード端子間に、ダイオード729のカソード端子側がカソードとなるようダイオードを挿入しても良い。
【0012】
しかしながら、前述の従来の電源回路では、画像形成装置の省エネルギモード時などの軽負荷運転時、ロードスイッチなどにより駆動系電源電圧の供給を停止させるため駆動系電圧の負荷は極端に少なくなる。この結果、AC−DCコンバータのスイッチング素子をONさせる時間(ON時間)は短くなる。このようになるとスイッチング周波数が上昇すると共にスイッチングに伴う電力損失が増加するため、効率は低下する。
【0013】
スイッチング損失を低減させるため、従来様々な提案がなされてきた。AC−DCコンバータの出力を低下することでAC−DCコンバータのOFF時間を延長させ、スイッチング損失を低下させる提案が特許文献1ないし3などで提案されている。またこのような間欠動作を行うとスイッチングトランスより発振音が発生するため、間欠動作の周期を可聴域外で行うことが特許文献4で提案されている。図15は、AC−DCコンバータの出力を低下させた場合の、各部の電圧の遷移状態を示す例である。
【特許文献1】特許第2987992号公報
【特許文献2】特許第3386016号公報
【特許文献3】特開平7−322610号公報
【特許文献4】特許第3037050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、レーザプリンタやコピー機における省エネルギモード時などの軽負荷運転時にはAC−DCコンバータの効率低下だけではなく、DC−DCコンバータの効率低下も大きな問題となる。即ち駆動系電圧から制御系電圧を生成するDC−DCコンバータ部においても省エネルギモードでは各部への電流供給を遮断し、回路の動作を停止してしまうため、軽負荷運転となる。このようにDC−DCコンバータ部においても軽負荷運転時には効率が悪化する。
【0015】
電源としての総合効率はAC−DCコンバータの効率とDC−DCコンバータの効率の積となるために20〜30%程度の効率となってしまうといった問題があった。また、AC−DCコンバータの電圧を下げただけでは後続のDC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動電圧が低下するため、そのままではDC−DCコンバータのスイッチング素子を駆動できないといった問題があった。
【0016】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、軽負荷時の電源効率をより向上させることのできる電源装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため、本発明では、電源装置を次の(1)のとおりに構成する。
【0018】
(1)AC−DCコンバータと、前記AC−DCコンバータの出力を入力とするDC−DCコンバータとを備えた電源装置であって、
前記AC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該AC−DCコンバータの出力を制御する第一のスイッチング素子と、当該AC−DCコンバータの出力に応じて前記第一のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該AC−DCコンバータの出力を通常時に第一の電圧に制御する第一の制御部とを有し、
前記DC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該DC−DCコンバータの出力を制御する第二のスイッチング素子と、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記第二のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該DC−DCコンバータの出力を通常時に前記第一の電圧より低い第二の電圧に制御する第二の制御部と、低消費電力を指示する信号を入力する信号入力部と、前記信号入力部に前記低消費電力を指示する信号が入力されたときに、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記AC−DCコンバータの第一のスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とし、当該DC−DCコンバータの出力を前記第二の電圧より低い第三の電圧に制御する第三の制御部とを有する電源装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、軽負荷時の電源効率をより向上させることのできる電源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、電源装置の実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1である“電源装置”について説明する。図1は、本実施例の構成を示す回路図である。本実施例は、RCC方式のAC−DCコンバータとDC−DCコンバータの組み合わせの例である。詳しくは、前記AC−DCコンバータは、そのスイッチング素子のON/OFF制御により、通常時は第一の電圧を出力し、前記DC−DCコンバータは、そのスイッチング素子のON/OFF制御により、通常時は前記第一の電圧より低い第二の電圧を出力する。さらに前記DC−DCコンバータは、低消費電力を指示する信号が入力されたときに、前記AC−DCコンバータのスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とする。これにより、当該DC−DCコンバータの出力を前記第二の電圧より低い第三の電圧に制御するという電源装置の例である。
なお、本実施例は、レーザプリンタの電源装置を想定している。
【0022】
図1において、100は商用交流電源、101はフィルタ回路、102はダイオードブリッジ、103はコンデンサ、104はスイッチングトランスである。Npはトランスの一次巻線、Nsはトランスの二次巻線、Nbはトランスのバイアス巻線(帰還巻線)を示す。また、105は起動抵抗、107はスイッチング素子、108、109、111、113、116、117は抵抗、110はトランジスタ、112、118はコンデンサである。114−aはフォトカプラ114のフォトトランジスタ側、114−bはフォトカプラ114のLED側である。115,119はダイオードである。121は二次整流ダイオード、122は電解コンデンサ、123〜126は抵抗、128はツェナダイオード、130はコンパレータ、131は抵抗、132は負荷への出力/出力停止を行うロードスイッチである。
170はロードスイッチ132を介した出力端子、171はロードスイッチ132の制御端子、172はロードスイッチ132を介さない出力端子、173はGND端子である。
【0023】
AC−DCコンバータの出力電圧を受けて、さらに低い電圧を生成するDC−DCコンバータの回路の説明を行う。ロードスイッチを介さない172端子に接続される、DC−DCコンバータ入力端子が175、DC−DCコンバータのGND端子が176である。140,141、146、147、148、152、154、157は抵抗、142はDC−DCコンバータのスイッチング素子であり、一般的にはPchMOSFETが良く使用される。143,144はダイオード、149はツェナダイオード、150は平滑コンデンサ、151,156はコンパレータ、153はトランジスタ、155−bがフォトカプラ155のLED側である。また、トランジスタ153をON/OFFする制御端子が152、DC−DCコンバータより生成された低い電圧(例えば3.4V)の出力端子が177、GND端子が178である。
【0024】
商用交流電源100よりフィルタ回路101を介してダイオードブリッジ102にAC電源が印加されると、ダイオードブリッジ102により両波整流がなされ、コンデンサ103により、ピーク充電が行なわれる。これにより、コンデンサ103の両端にDC電圧を生成する。
【0025】
本電源装置の各部の電圧変化を示す図5、図6を参照し、本実施例の動作を説明する。まず、起動時に通常時(プリンタのプリントモード時)となる場合の動作を説明する。通常時、端子174はHiの信号が入力されるか、もしくはハイインピーダンスとなっているため、トランジスタ153はOFFとなり、フォトカプラ155のLED155−bが発光しないため、AC−DCコンバータ部分は、通常のAC−DCコンバータ回路内のフィードバック動作を行うことになる。即ちツェナダイオード128が動作する状態となっている。
【0026】
起動抵抗105とゲートソース間の抵抗108の分圧によりスイッチング素子107のゲート−ソース間に電圧が印加されると、スイッチング素子107がONし、トランス104の一次巻線Npに電流が流れ始める。この電流により、補助巻線Nbにさらにゲート電圧を高くする方向に電圧が発生し、コンデンサ112を充電しながら抵抗111を介してスイッチング素子107のゲート電圧を高くするよう電圧が印加される。また、同時に抵抗117を通じてコンデンサ118を充電する。コンデンサ118の充電が開始され、コンデンサ118の両端電圧がトランジスタ110のVbe以上になるとベース電流が流れ、トランジスタ110がONする。トランジスタ110がONするとスイッチング素子107がOFFし、スイッチング素子107のドレイン−ソース間電圧が上昇し始める。この結果、補助巻線Nbの電圧が降下し、逆方向に電流を流し始める。二次巻線Nsにはダイオード121が導通する方向に電流が流れ、コンデンサ122の電圧とダイオード121の順方向電圧の和以上の電圧となったときにコンデンサ122を充電する。同時に補助巻線Nbに現れた電圧はダイオード119をONし、抵抗116、ダイオード115を還流する方向に電流を流し、コンデンサ118を放電する。このようになるとトランジスタ110はOFFしてしまうため、スイッチング素子107のゲート電圧は、この後、起動抵抗105により供給される電流と、抵抗111とコンデンサ112を介して供給される補助巻線Nbに流れ込む電流により決まるようになる。
【0027】
スイッチング素子107のOFFを高速化する目的で、図2のよう、抵抗111を分割し、分割した片方の抵抗140に並列に、スイッチング素子107をOFFする方向にダイオード141を接続してもよい。図2のようにすることでより早く、確実にスイッチング素子107のゲート電圧を降下させることが可能となる。
【0028】
トランス104に蓄えられたエネルギーは、スイッチング素子107がOFFしている期間にコンデンサ122に移動するため、時間とともに巻線Nsの電圧が減少する。このようになると補助巻線Nb側での出力電圧が小さくなるため、起動抵抗105より流入する電流によりスイッチング素子107のゲート電圧が上昇してくる。スイッチング素子107のゲート電圧がONするための閾値よりも高くなると、スイッチング素子107はONし、巻線Npに、コンデンサ103の+端子からスイッチング素子107を通ってコンデンサ103の−端子の方向に電流が流れる。巻線Nbには、Nb巻線よりコンデンサ112、抵抗111、抵抗108、Nb巻線という方向に電流が流れるためスイッチング素子107のゲート電圧がさらに上昇する。そうして前述したように巻線Nbの電圧と抵抗117によりコンデンサ118が充電され、トランジスタ110をONすることでスイッチング素子107がOFFする。といった、一連の発振が継続され、スイッチング素子107のON期間にトランス104に蓄えられたエネルギーが、スイッチング素子107のOFF期間にコンデンサ122に蓄えられ、コンデンサ122の両端電圧は上昇していく。
【0029】
コンデンサ122の両端電圧の上昇に伴って、スイッチング素子107のOFF期間中の巻線Nsの電圧,およびNb巻線の逆方向電圧、およびトランスのエネルギーをコンデンサ122に吐き出した後のリンギング電圧が大きくなっていく。このため、起動抵抗105からの流入電流による電圧上昇に加えて、リンギング電圧の上昇によってスイッチング素子107のゲート電圧が上昇し、スイッチング素子107がONするようになる。このようになると安定したOFF時間で動作するようになり、コンデンサ122の電圧は急速に上昇していく。
【0030】
コンデンサ122の電圧が上昇していくと、コンデンサ122の電圧は抵抗124と125の分圧と、ツェナダイオード128により作られる基準電圧の比較によりコンパレータ130が動作し、コンパレータ130の出力はLoに反転し、フォトカプラ114のLED114−bが発光する。フォトカプラ114のフォトトランジスタ114−aは抵抗113とトランジスタ110のベースに接続されており、フォトカプラ114のLED114−bが発光するとフォトトランジスタ114−aが導通するため、トランジスタ110がONとなり、スイッチング素子107をOFFとする。
【0031】
逆にコンデンサ122の電圧が低くなった場合には、コンパレータ130が反転せず、スイッチング素子をOFFしないため、コンデンサ112と抵抗111により定まる最大ON時間までスイッチング素子107はONする。このようにして、抵抗125の両端電圧がツェナダイオード128の電圧と同一の電圧となるようにコンデンサ122の両端電圧は制御されている(図5の172 端子電圧、107 GS間電圧参照)。
【0032】
レーザプリンタの省エネルギモード時には、レーザプリンタの制御系から本電源装置に低消費電力を指示する信号が出力される。制御系が低消費電力を指示する信号を出力する機構は後述する。
【0033】
低消費電力を指示する信号が端子174に入力し、端子174がLoとされるとトランジスタ153がONとなる。抵抗146と抵抗147、157の分圧と抵抗148によりバイアスされたツェナダイオード149の両端電圧を比較し、ツェナダイオード149の電圧よりも抵抗147、157の両端電圧が高い場合にコンパレータ156の出力はLoとなる。これにより、フォトカプラ155のLED155−bが点灯し、フォトカプラ155のトランジスタ155−aが導通するため、トランジスタ110がONとなる。
ツェナダイオード149のツェナ電圧は、ツェナダイオード128のツェナ電圧よりも充分に低い値のものを選択している。
【0034】
この結果、AC−DCコンバータのスイッチング素子107がOFFとなり、端子172の電圧は降下していく(図5の172端子電圧参照)。後述するDC−DCコンバータはこの間も動作しつづけており(図5の142 端子電圧参照)、安定的に低い電圧(例えば3.4V、前記第二の電圧)を出力している(図5のC150 両端電圧参照)。
端子172の電圧が充分に低くなり、後続のDC−DCコンバータ出力電圧が低下して、抵抗146と抵抗147、157により分圧された値がツェナダイオード149の電圧よりも低くなると、コンパレータ156がHiを出力(OFF)する。これにより、フォトカプラ114のLED114−bが消灯する。この結果、トランジスタ110がOFFし、スイッチング素子107がONになる(図5の107 GS間電圧参照)。
【0035】
基準電圧を設けるためにツェナダイオードを用いた例を紹介したが、実際には低い電圧を生成するツェナダイオードは一般にツェナ電圧のばらつき、電流によるツェナ電圧依存性、温度特性が悪い。このため、高いツェナ電圧を持つツェナダイオードを用い抵抗により分圧したり、シャントレギュレータを基準電圧として使用しても良い。
【0036】
DC−DCコンバータの動作を以下に説明する。142はDC−DCコンバータのメインスイッチング素子、145はインダクタ、143は回生ダイオード、150はコンデンサ、146〜148は抵抗、149はツェナダイオード、157は抵抗、151および156はコンパレータである。
【0037】
まず、通常時の説明を行う。コンパレータ151は、ツェナダイオード149の電圧と、出力電圧を抵抗146、147と抵抗157で分圧した電圧と比較する。ツェナダイオード149のツェナ電圧よりも抵抗1157の電圧が低くなると、コンパレータ151はLoを出力(ON)するため、スイッチ素子(P型FET)142のゲート電圧が供給されなくなり、スイッチング素子142はONする。このため、インダクタ145に電流が流れ、コンデンサ150を充電、コンデンサ150の電圧が上昇する。
【0038】
次にコンデンサ150の電圧が上昇して抵抗157の電圧がツェナダイオード149の電圧よりも高くなると、コンパレータ156がHiを出力(OFF)するため、スイッチング素子142のゲート電圧が上昇しスイッチング素子142はOFFとなる。インダクタ145はさらに電流を流し続けようとするため、回生ダイオード143がONし、インダクタ145に蓄えられたエネルギーをコンデンサ150に充電する。このとき、ダイオード144が導通し、コンパレータ151の−入力端子を低くするため、コンパレータ151は反転動作を行わずインダクタ145のエネルギーの吐き出しが終了するまでOFF時間を確保する。
以上のような一連の動作を繰り返すことによりDC−DCコンバータは発振を継続している(図5の142 GS間電圧参照)。
【0039】
レーザプリンタの省エネルギモードへの移行時には、端子174に低消費電力を指示する信号が入力され、端子174をLoとする。端子174への入力は通常モード時にはHiまたはハイインピーダンスとなっており、トランジスタ153は抵抗152によりプルアップされているためOFFしている。端子174がLoとなることにより、トランジスタ153がONになり、コンパレータ156の出力がLo、コンデンサ150の電圧が3.2Vよりも高い場合にフォトカプラ155のLED155−bが発光する。LED155−bが発光するとフォトカプラ155のフォトトランジスタ155−aが導通するため、トランジスタ110がONとなり、一次側のスイッチング素子107がOFFとなる。このとき、DC−DCコンバータのスイッチング素子142も停止(OFF)している。コンデンサ150への電流供給がなくなり負荷電流は流れ出しつづけるため、コンデンサ150の電圧は低下する。インダクタ145の回生電流が流れ終わりダイオード144による電流が無くなってツェなーダイオード49のツェナ電圧が復活し、かつ出力電圧を検出している抵抗147,157の電圧がツェナダイオード149の電圧以下となる。すると、再びコンパレータ156はHiを出力(OFF)し、DC−DCコンバータのスイッチング素子142がONすると共にフォトカプラ155のLED155−bが消灯すると、AC−DCコンバータのスイッチング素子107が発振を開始する。そして、AC−DCコンバータは、コンデンサ122を充電し始め、DC−DCコンバータはコンデンサ150を充電し始める(図5のBおよび図6参照)。
【0040】
さらに起動回路(起動抵抗)に直列に高耐圧トランジスタを接続し、トランジスタのベースエミッタ間にフォトカプラを接続することにより、スイッチング素子107の休止期間中に起動抵抗で消費する電流を停止するよう構成しても良い。このような接続例(実施例1の変形)を図8に示す。図8において、106−aがフォトカプラ106のフォトトランジスタ、106−bがフォトカプラ106のLEDである。レーザプリンタで省エネルギーモードが選択され、端子174に低電力消費を指示するLo信号が入力し、トランジスタ153がONした状態でコンパレータ156がLoを出力(ON)すると、フォトカプラ155のLED155−bと同時にフォトカプラ106のLED106−bが発光し、フォトカプラ106のフォトトランジスタ106−aがONとなる。このため、起動抵抗105に直列接続されたトランジスタ158がOFFとなって起動抵抗105に流れていた電流が停止するため、電源内での消費電力をさらに少なくすることが可能となる。
【0041】
図3にレーザプリンタの制御系と、端子174に接続される信号ラインの接続図を示す。図3において、188,189が制御回路の出力トランジスタ、190がCPU、もしくはASICである。185〜187、131,133は抵抗である。抵抗133のラインの信号により、FETを用いたロードスイッチ132をON,OFFし、駆動系(+24V)の出力をオンオフしている。図3のように構成することで、CPU190出力がHiの時には出力トランジスタ188,189はローインピーダンスとなり、CPU190出力がLoとなることで出力トランジスタ188,189はハイインピーダンス状態となる。
【0042】
レーザプリンタが省エネルギモードに入る場合の動作について図4のフローチャートをまじえて説明する。省エネルギモードに入る時、レーザプリンタはまず駆動系の負荷をステップ201(図ではS201と略記する、以下同様)で停止し、駆動系負荷への接続を遮断しても良いようにする。制御回路からの信号は、前記第一の電圧の供給を停止するためステップ202で出力トランジスタ188をオフし抵抗133より出力されている端子をHiもしくはハイインピーダンス状態とする。このようになると、ロードスイッチ132のFETがOFFするため、第一の電圧を端子170から電源装置外部に出力しなくなる。然る後にステップ203でロジック部の電流負荷の大きいところを遮断、停止して軽負荷運転可能な状態にする。さらにステップ204でトランジスタ189をオンし端子184がLoになり、低消費電力を指示する信号が端子174からDC−DCコンバータに入力される。すると、トランジスタ153がオンしてフォトカプラ155のLED155−bに電流が流れる状態になり、DC−DCコンバータのコンパレータ156の動作が有効になる。
【0043】
コンパレータ156は、ツェナダイオード149の基準電圧と抵抗147、157の電圧を比較するよう構成しており、ツェナダイオード149の基準電圧よりも抵抗147、157の電圧が高いとLoを出力(ON)する。すると、フォトカプラ155のLED155−bに電流を流しLEDを発光させる。フォトカプラ155の受光側のフォトトランジスタ155−aは、トランジスタ110のバイアスをON,OFFできるように接続されており、トランジスタ153をOFF、LED155−b消灯によりトランジスタ110をOFFとする。
【0044】
以上説明したよう、コンパレータ156により、DC−DCコンバータの出力電圧と基準電圧とを比較して第一のスイッチング素子107をON、OFFすることでDC−DCコンバータの出力として前記第三の電圧を得るよう制御している。このとき、DC−DCコンバータのコンパレータ151は、常に検出電圧(157の電圧)が目標電圧(ツェナダイオード149の電圧)値以下の値となっているために、第二のスイッチング素子142をONし続けるよう動作する。また、AC−DCコンバータにおける、第一の電圧(通常時)を得るためのフィードバック回路は、第一の電圧のときに適正な電流をフォトカプラ114のLED114−bに流すために抵抗123の抵抗値を大きくとっている。このため、第三の電圧となった際には電流不足になるためLED114−bが発光することが出来ず、スイッチング素子107は長いON時間での動作が可能となる。このためスイッチング周期を長く設定できるとともに3.3Vの増減にあわせた、長い周期でのバースト状態の動作休止が入ることになるため、スイッチング毎の休止を長くとることが出来、電源効率が飛躍的に上昇する。
図7に本実施例による電源装置の効率と、従来の電源装置の効率のグラフを示す。
【0045】
次に省エネルギモードからの復帰について図4のフローチャートに従って説明する。ステップ205でトランジスタ189をオフすることで起動抵抗105のON,OFF制御が止まり、AC−DCコンバータの出力電圧圧が目標電圧である前記第一の電圧(+24V)に向かって上昇を始める。ステップ206でAC−DCコンバータの出力電圧が目標電圧に達するまで数ms待ち合わせた後に、ステップ208で出力トランジスタ188をオンするとロードスイッチ132がオンして駆動系に端子170から電圧が供給される。なお駆動系の負荷で中途半端な電圧が加わって誤動作するような素子が無ければロードスイッチも無くして第一の電源電圧をオンオフしないようにしても良い。
【0046】
以上説明したように、本実施例によれば、DC−DCコンバータの出力電圧により、AC−DCコンバータを間欠動作させ、本実施例の変形ではさらに、起動抵抗をON/OFFさせることにより、AC−DCコンバータとDC−DCコンバータの軽負荷運転時の効率低下を避けることができる。また、このように構成することによりAC−DCコンバータのスイッチング素子のON/OFF回数を減少するとともに、ON時間を、起動時に代表されるように、電源として許される最も長いON時間とすることが可能となる。
【0047】
なお、コンパレータ130の回路は、請求項でいう第一の制御部に相当し、コンパレータ151の回路は、請求項でいう第二の制御部に相当し、コンパレータ156の回路は、請求項でいう第三の制御部に相当する。また、端子152は、請求項でいう信号入力部に相当し、トランス142は、請求項でいうAC−DCコンバータ内のトランスに相当する。
【実施例2】
【0048】
実施例2である“電源装置”について説明する。本実施例は、電源装置におけるDC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部を特にAC−DCコンバータに設ける例である。ここでは実施例1と重複する説明は省き、本実施例に特有の部分のみを説明する。
【0049】
図9は本実施例の構成を示す回路図である。図9において、Ns2はサブ電源巻線である。166はダイオード、167はコンデンサである。DC−DCコンバータのスイッチング素子に使用するFETは、Pch、ドレイン−ソース間電圧が30V〜60V、ゲート電圧4.5V駆動タイプのものが多い。本実施例ではAC−DCコンバータよりの出力電圧が24Vから3.2V程度まで低下するため、従来の構成では2.5V駆動のような、低ゲート閾値電圧のFETを使用する必要がある。特にドレイン−ソース間電圧が高いものは、低ゲート閾値のものが作りづらい。また、ゲート閾値を下げるためにはゲート絶縁層を薄くする必要があり、ゲート容量が増加してしまう。しかしながらゲート容量が増加すると、DC−DCコンバータのスイッチングロスが増大してしまうという問題点がある。
本実施例では、一般的に使用されている4.5V駆動タイプのFETを適用すべく、サブ電源巻線を設け、その整流電圧を利用するものである。
【0050】
このようにサブ電源巻線を設ける場合には、実施例2の変形である図10の電源装置のように、サブ電源巻線をより高い電圧が得られるように巻き、スイッチング素子142にPchではなく、NchのMOSFETを使用可能とすることができる。
【実施例3】
【0051】
実施例3である“電源装置”について説明する。本実施例は、電源装置における、DC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部に、ブートストラップ回路を用いる例である。ここでも実施例1、2と重複する説明は省き、本実施例に特有の部分のみを説明する。
【0052】
図11は実施例3の構成を示す回路図である。図11において、1101がコンデンサ、1102がダイオードブリッジ、1103、1105〜1107は抵抗、1103はNPNトランジスタ、1108はダイオード、1109はPNPトランジスタである。
【0053】
スイッチング素子であるFET142−2をOFFするため、トランジスタ1109がONするとFET142−2のゲート電圧が端子175の電圧V1まで上昇する。このときコンデンサ1101、ダイオード1102に電流が流れ、コンデンサ1101には端子175の電圧からダイオード1102の電圧降下分を差し引いた電圧が充電される。
【0054】
次にFET142−2をONするためにトランジスタ1109がOFFすると、FET142−2のゲート電圧は端子176のGND電圧に向けて降下し始める。と同時にコンデンサ1101の一方の端子である、トランジスタ1109のコレクタ側の方もGND電位となるため、コンデンサ1101の他方の端子である、ダイオード1102端子側はコンデンサ1101に充電された電圧だけ低くなり、−電位(−V1)となる。このときトランジスタ1103はONするため、FET142−2のゲート電圧は−V1まで降下するため、FET142−2のゲートソース間電圧は略−2V1となり、V1<Vth(VthはFET142−2のゲート閾値電圧)であっても駆動することが可能となる。
【0055】
本実施例のFETの駆動回路はあくまで一例であり、前記コンデンサとダイオードの組み合わせよりなるブートストラップ回路は、同様の効果を有する他の接続により実現しても良い。
【0056】
端子175の電圧V1が高いときにブートストラップ回路を動作しても無駄な電力を消費するとともに、FET142−2の耐電圧を超えてしまう場合がある。このようなときには端子175の電圧が所定値以下に低下したときだけブートストラップ回路を動作するよう構成しても良い。図12にそのような回路を、実施例3の変形として示す。
【0057】
図12において、1201〜1203、1205、1206、1209、1210、1212、1214、1215、1218、1220、1221、1223、1224、1226、1228、1229が抵抗、1204、1225はツェナダイオードである。また、1208,1211はダイオード、1207、1216,1217,1222,1227はトランジスタ、1213、1219はコンデンサである。
【0058】
端子175からの入力電圧が、ツェナダイオード1225のツェナ電圧とトランジスタ1222のベースエミッタ間電圧よりも充分に高いとき、トランジスタ1222はONするため、トランジスタ1217がOFFとなる。このため、FET142−2をOFFするためにトランジスタ1216がONした場合にはFET142−2はOFFとなるもののトランジスタ1217がOFFのため、コンデンサ1213とダイオード1211からなるブートストラップ回路は電流が流れず、コンデンサ1213の充電動作はしない。
【0059】
FET142−2をONするためトランジスタ1216をOFFした場合、FET142−2のゲート電圧は抵抗1205と抵抗1214により放電されることになる。なお、ツェナダイオード1204はFET142−2のゲート過電圧保護のために挿入しており、抵抗1203と抵抗1205,1214の分圧によりFET142−2のゲート耐電圧以下とできる場合には不要である。
【0060】
次に低消費電力が指示(省エネルギモード)され、端子175の電圧が低くなった場合の動作を説明する。端子175の電圧がツェナダイオード1225の電圧よりも低くなるとトランジスタ1222がOFFとなり、トランジスタ1217がONとなる。FET142−2をOFFするためにトランジスタ1216をONすると、コンデンサ1213−抵抗1212−ダイオード1211―トランジスタ1217を通じてGNDへ電流が流れ、コンデンサ1213に電源電圧即ち端子175の電圧が充電される。次にFET142−2をONするためにトランジスタ1216がOFFすると、トランジスタ1216のコレクタ側に接続されたコンデンサ1213の一方の端子の電圧がGND電圧(端子176電圧)まで降下する。したがってコンデンサ1213の他方の端子、即ちトランジスタ1207のエミッタ側はコンデンサ1213に蓄えた電圧によって−電位となる。よって、トランジスタ1207がONしてFET142−2のゲート電圧を、抵抗1205、トランジスタ1207を介してコンデンサ1213の他方の端子、すなわちトランジスタ1207のエミッタ端子側の電位まで引き込むことになる。これにより、端子175の電圧以上のゲート−ソース間電圧をFET142−2に与えることが可能となっている。
【0061】
図13に、図12の回路における、各状態でのFET142−2のゲート電圧を示す。
ここでは端子175の電圧を24V、12V、6Vと変化させたときの、FET142−2のゲート端子電圧と、トランジスタ1207のコレクタ端子電圧を示す。ツェナダイオード1225のツェナ電圧は15V、ゲート保護用ツェナダイオード1204のツェナ電圧も15Vとしている。
【0062】
まず端子175に24Vが入力されたとき、ゲート保護用ツェナダイオード1204により、ゲート電圧は15V以下となっている。また、トランジスタ1207のコレクタ端子電圧は。抵抗1214、1206の電圧と、抵抗1205、ゲート保護用ツェナダイオード1204の電圧で分圧された値となっている。
次に端子175の電圧が16Vになったとき、ゲート保護用ツェナダイオード1204のツェナ電圧よりもゲート電圧が低くなるため、抵抗1203と、抵抗1205、1206、1214の分圧がそのままゲート電圧として現れてくる。
端子175の電圧がさらに低下して6Vとなったとき、ブートストラップ回路が動作して4.5V程度の振幅を9Vまで大きくしていることが解る。
【0063】
以上説明したように、本実施例によると入力電圧が低下してFETのゲート閾値電圧よりも低くなったり、ゲート閾値電圧に近づいてしまってFETに所望のON抵抗が得られない場合、ブートストラップ回路を用いてゲート電圧をGND電位以下とすることで、ゲート閾値電圧が高いFETでも使用することが可能となる。また、単純にブートストラップ回路を設けただけではAC−DCコンバータの出力電圧が高い場合にゲート電圧が大きくなりすぎるため、本実施例の変形では、出力電圧が予め定められた電圧よりも低い場合にのみブートストラップ回路を動作させるようにしている。
【0064】
本実施例ではPchMOSFETを使用した例を示している。しかしながら同様の考え方をすることによりNchMOSFETでの駆動が可能である。NchMOSFETは低ゲート閾値電圧のものが多く、同じON抵抗を得るにはチップサイズを小さくできるため、コスト的にも有利となる。
【0065】
また、ブートストラップ回路においては充電時間を確保しつつ放電時間を制限する必要がある。特にレーザプリンタの通常モードから省エネルギモードへの遷移時は、DC−DCコンバータの入力電圧が低下するため、何も制御を行わない場合にはDC−DCコンバータのスイッチング素子であるFET142−2のON時間が長くなってしまう。このON時間が長くなりすぎるとコンデンサ1213が放電してしまい、FET142−2のゲート−ソース間電圧を所望の電圧値にすることが出来なくなるため、ON時間制限を行ってOFF時間による電圧制御となるようにDC−DCコンバータを構成している。ON時間制限の手法は、不図示ではあるもののON時間とOFF時間の比(デューティ)を100%まで延ばさなくするデューティ制御がある。ON時間を単に制限するON時間制御の手法のほか、ブートストラップ回路の電圧を監視して該電圧が予め定められた値以下の時にON時間制御をする制御手法などによって行っても良い。
【0066】
以上説明したように、本実施例によれば、AC−DCコンバータの出力電圧が予め定められた電圧以下となった場合には、ブートストラップ回路によりDC−DCコンバータのスイッチング素子の駆動電圧を充分に確保することができる。また、第二のスイッチング素子がONし続けることを阻止するON時間制限手段により、ブートストラップ回路の動作を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1の構成を示す回路図
【図2】ゲート駆動回路の変形を示す回路図
【図3】レーザプリンタ本体との接続関係を示す回路図
【図4】レーザプリンタが省エネルギモードに入る場合および通常モードに戻る場合の動作を示すフローチャート
【図5】実施例1における各部の電圧変化を示す図
【図6】実施例1における各部の電圧変化を示す図
【図7】実施例1の効率と従来例の効率を示す図
【図8】実施例1の変形の構成を示す回路図
【図9】実施例2の構成を示す回路図
【図10】実施例2の変形の構成を示す回路図
【図11】実施例3の構成を示す回路図
【図12】ブートストラップ回路の変形を示す回路図
【図13】図12の回路におけるゲート電圧の変化を示す図
【図14】従来例の構成を示す回路図
【図15】従来例における各部の電圧変化を示す図
【符号の説明】
【0068】
107 スイッチング素子
142 スイッチング素子
130 コンパレータ
151 コンパレータ
156 コンパレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC−DCコンバータと、前記AC−DCコンバータの出力を入力とするDC−DCコンバータとを備えた電源装置であって、
前記AC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該AC−DCコンバータの出力を制御する第一のスイッチング素子と、当該AC−DCコンバータの出力に応じて前記第一のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該AC−DCコンバータの出力を通常時に第一の電圧に制御する第一の制御部とを有し、
前記DC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該DC−DCコンバータの出力を制御する第二のスイッチング素子と、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記第二のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該DC−DCコンバータの出力を通常時に前記第一の電圧より低い第二の電圧に制御する第二の制御部と、低消費電力を指示する信号を入力する信号入力部と、前記信号入力部に前記低消費電力を指示する信号が入力されたときに、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記AC−DCコンバータの第一のスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とし、当該DC−DCコンバータの出力を前記第二の電圧より低い第三の電圧に制御する第三の制御部とを有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記AC−DCコンバータは、前記第二のスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部を有することを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置において、
前記電圧供給部は、前記AC−DCコンバータ内のトランスの補助巻線の電圧を利用するものであることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電源装置において、
前記第二のスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部に、コンデンサとダイオードよりなるブートストラップ回路を有することを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置において、
前記DC−DCコンバータは、前記信号入力部に前記低消費電力を指示する信号が入力されたときの前記ブートストラップ回路の動作を確実にするために、前記第二のスイッチング素子がONし続けることを阻止する、ON時間制限手段を有することを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電源装置において、
前記第一のスイッチング素子の駆動回路を起動する起動抵抗と、前記起動抵抗に直列接続されたスイッチとを有し、前記第三の制御部は、前記スイッチのON/OFFも制御することを特徴とする電源装置。
【請求項1】
AC−DCコンバータと、前記AC−DCコンバータの出力を入力とするDC−DCコンバータとを備えた電源装置であって、
前記AC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該AC−DCコンバータの出力を制御する第一のスイッチング素子と、当該AC−DCコンバータの出力に応じて前記第一のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該AC−DCコンバータの出力を通常時に第一の電圧に制御する第一の制御部とを有し、
前記DC−DCコンバータは、ON/OFFにより当該DC−DCコンバータの出力を制御する第二のスイッチング素子と、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記第二のスイッチング素子のON/OFFを制御し、当該DC−DCコンバータの出力を通常時に前記第一の電圧より低い第二の電圧に制御する第二の制御部と、低消費電力を指示する信号を入力する信号入力部と、前記信号入力部に前記低消費電力を指示する信号が入力されたときに、当該DC−DCコンバータの出力に応じて前記AC−DCコンバータの第一のスイッチング素子のON/OFF動作を間欠動作状態とし、当該DC−DCコンバータの出力を前記第二の電圧より低い第三の電圧に制御する第三の制御部とを有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記AC−DCコンバータは、前記第二のスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部を有することを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置において、
前記電圧供給部は、前記AC−DCコンバータ内のトランスの補助巻線の電圧を利用するものであることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電源装置において、
前記第二のスイッチング素子の駆動回路に電圧を供給する電圧供給部に、コンデンサとダイオードよりなるブートストラップ回路を有することを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置において、
前記DC−DCコンバータは、前記信号入力部に前記低消費電力を指示する信号が入力されたときの前記ブートストラップ回路の動作を確実にするために、前記第二のスイッチング素子がONし続けることを阻止する、ON時間制限手段を有することを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電源装置において、
前記第一のスイッチング素子の駆動回路を起動する起動抵抗と、前記起動抵抗に直列接続されたスイッチとを有し、前記第三の制御部は、前記スイッチのON/OFFも制御することを特徴とする電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−178533(P2010−178533A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19686(P2009−19686)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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