説明

電界放出素子用絶縁層の製造方法および電界放出素子基板の製造方法

【課題】電界放出素子基板の製造プロセスを大幅に簡略化できる製造方法を提供する。
【解決手段】ビーズ6を含む塗膜7を形成する工程と、ビーズ6を除去する工程とをこの順に含む電界放出素子用絶縁層の製造方法であって、前記ビーズ6の粒径がビーズを含まない領域の塗膜の厚みより大きく、ビーズ6を含まない領域の塗膜から得られる絶縁層の空隙率が10%以下である電界放出素子用絶縁層の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界放出素子用絶縁層の製造方法、電界放出素子基板の製造方法、ならびに絶縁層用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電界電子放出型ディスプレイ(FED)や電界電子放出を用いた液晶用バックライトや照明の開発が近年盛んに行われている。FEDに用いられる電界放出素子基板の一例として、カーボンナノチューブを電界放出材料として用いた電界放出素子基板の最も一般的な構造を図1に示す。ガラス基板4上にカソード電極3、ビアホールが形成された絶縁層2とゲート電極1を有し、ビアホール内に露出したカソード電極上にカーボンナノチューブを含む(電界)電子放出層(CNTエミッタ5)が形成されている。一般的なFEDは、図1に示す電界放出素子基板と、スペーサーを介して対向させたアノード透明電極と蛍光体層が形成された前面基板とからなる。電子がゲート電極により電界電子放出層から引き出され、アノード電極上の蛍光体層に照射されることによって発光を得る。
【0003】
電界放出素子基板を低コストで製造するにあたり、いかにプロセス数を少なく絶縁層とゲート電極にビアホールを形成するかということは大きな課題となっている。そこで、例えば特許文献1では、透明な基板に透明な陰極を形成し、この陰極表面に紫外光に対して不透明な多数の粒子を分散状態で載せて陰極表面を部分的に覆い、分散マスクを形成し、その上にネガ型感光性絶縁材料層を形成して基板背面から露光、現像し、分散マスクの上に存在する絶縁材料層を除去し、さらにその上に導電層を形成した後、分散マスクとその上に存在する導電層を除去することによって電界放出素子基板を製造する方法が開示されている。この方法は、露光マスクを使用することなく、すべてセルフアラインで電界放出素子基板を製造することができる。従ってマスクアライナーのような高価な製造設備が不要となるなどの利点がある。しかしながら、ネガ型感光性絶縁材料を使用するため露光現像する工程は必須であり、さらにプロセスを簡略化することが望まれている。
【0004】
また、例えば特許文献2では、開口部が略円形状であり内周面が略球面状の多数の孔を有した無機多孔性薄膜の製造方法が開示されている。この方法は感光性材料を使用しないため露光現像する工程が不要である。しかしながら、開示された無機多孔性薄膜を用いて図1に示すようなゲート電極を形成すると絶縁破壊を生ずる懸念があり、図1に示す構成の電界放出素子基板に用いることができなかった。
【特許文献1】特開2005−116417号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2005−231966号公報(請求項5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題に着目し、電界放出素子基板の製造プロセスを大幅に簡略化できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、ビーズを含む塗膜を形成する工程と、ビーズを除去する工程とをこの順に含む電界放出素子用絶縁層の製造方法であって、前記ビーズの粒径がビーズを含まない領域の塗膜の厚みより大きく、ビーズを含まない領域の塗膜から得られる絶縁層の空隙率が10%以下である電界放出素子用絶縁層の製造方法である。また本発明は、ビーズを含む塗膜を形成する工程と、該塗膜上に導電性物質を含む層を形成する工程と、ビーズを除去する工程とをこの順に含む電界放出素子基板の製造方法であって、前記ビーズの粒径がビーズを含まない領域の塗膜と導電性物質を含む層の合計厚みより大きく、ビーズを含まない領域の塗膜から得られる絶縁層の空隙率が10%以下である電界放出素子基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、絶縁破壊電圧が高く、信頼性の高い電界放出素子基板の製造プロセス数を大幅に簡略化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の電界放出素子用絶縁層の製造方法について説明する。本発明の電界放出素子用絶縁層の製造方法は、ビーズを含む塗膜を形成する工程と、ビーズを除去する工程とをこの順に含み、ビーズの粒径がビーズを含まない領域の塗膜の厚みより大きく、ビーズを含まない領域の塗膜から得られる絶縁層の空隙率が10%以下であることを特徴とする。図2に電界放出素子用絶縁層の製造方法の模式図を示す。ガラス基板4上のカソード電極3にビーズ6が接するように絶縁層用組成物塗膜7を形成する。次いでビーズを除去することによって、ビアホールが形成された絶縁層を作製することができる。ガラス基板4上のカソード電極3上には、さらに電界放出源材料を含有する組成物塗膜が形成されていてもよい。
【0009】
ここで、ビーズとは最終的に除去される略球状材料のことで、粒径が3μm以上のものを指す。材質は、有機物であっても無機物であってもよい。有機物の場合、例えばポリスチレンなどの球状粒子を用いることができる。無機物の場合、例えばガラスやシリカやジルコニアなどの球状粒子を用いることができる。入手の容易さと粒径均一性の観点から、シリカやガラスビーズなどの液晶のスペーサー材料やポリスチレン球などのサイズ標準試料が好ましく用いられる。また、後述するビーズを除去する工程におけるプロセスを簡略化する観点から、有機物がより好ましい。
【0010】
すべてのビーズの粒径を、ビーズを含まない領域の塗膜の厚みよりも大きくすることで、塗膜から形成される絶縁層内に空洞が形成されることを防止することができる。これによって、絶縁層の空隙率を10%以下にすることができ、絶縁破壊電圧の低下や機械的強度の低下を抑制することができる。複数のビーズを有する場合も、全てのビーズの粒径を塗膜の厚みより大きくすることが必要である。ここで、塗膜の厚みとは、溶剤を含む塗液を塗布する場合には乾燥により溶剤を除去した後に得られる膜の厚みをさす。塗膜の厚みは、電子顕微鏡(例えば(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡H7100型)により断面を観察することによって測定することができる。ビーズの粒径は、電子顕微鏡(例えば(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡H7100型)によって測定することができる。ビーズの粒径によって、形成するビアホール径を調整することができる。ゲート電極と電界放出素子間の電気的ショートや絶縁破壊を抑制するため、一般的に用いられる電界放出素子用絶縁層の厚みは3μm以上が好ましいことから、本発明におけるビーズの粒径は3μm以上である。単位面積あたりのビアホール数を適切な範囲に調整するためには、ビーズの粒径は100μm以下が好ましい。ビーズの粒径が小さいと、電子放出源が形成されるビアホール底部の開口部と、ゲート電極が形成されるビアホールエッジとの距離を短くすることができ、ゲート電圧に印加する電圧を低減することができる。そのため、より好ましくは70μm以下である。さらに好ましくは、25μm以下であり、液晶用汎用駆動ドライバを用いることができる。
【0011】
ビーズを含む塗膜は、ビーズと絶縁材料を含む組成物の塗膜を指す。絶縁材料は、ポリイミドなどの有機絶縁材料であっても、ガラス粉末やセラミックス粉末などの無機絶縁材料であってもよい。無機絶縁材料含有塗膜は、焼成工程を経ることによって有機成分を除去することができ、真空中でもアウトガスが少ないため好ましい。特に、ビーズを含む塗膜がセラミックス粉末と比較して低温で焼成可能なガラス粉末を含むことが好ましい。ここで、ガラス粉末は粒径3μm未満のものをいい、粒径3μm以上の球状ガラス粒子はビーズに分類される。また、蒸着、スパッタ、CVDなどの真空薄膜プロセスにより作製されるシリカなどの絶縁性薄膜も用いることができる。ビーズを含まない領域の塗膜の厚みは、前述の通りゲート電極と電界放出素子間の電気的ショートや絶縁破壊を抑制するため、一般的に3μm以上である。また、100μm以下が好ましい。100μm以下とすることで、電子放出させるためのゲート電圧をより低くすることができる。より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。CNTの電子放出開始電圧はゲート電圧が10V/μm以下で電子放出することが多いため、塗膜の厚みが10μm以下であれば、ゲート電極用ドライバに耐圧100Vの汎用ICドライバを用いることができる。
【0012】
塗膜から形成される絶縁層の絶縁破壊を抑制するため、空隙率は10%以下であることが必要である。より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下にすることによって、絶縁破壊が生じる可能性をより小さくすることができる。
【0013】
絶縁層の空隙率(P)は、絶縁層の真比重(dth)、絶縁層の見掛比重(dex)を測定し、次式により算出する。
P=(dth−dex)/dth×100
絶縁層の真比重(dth)、見掛比重(dex)はいわゆるアルキメデス法を用いて算出する。絶縁層を、乳鉢を用いて指頭に感じない程度、325メッシュ以下位までに粉砕し、JIS−R2205(1992)に記載の方法で真比重を求める。見掛比重(dex)の測定は、絶縁層部分を形状を壊さないように削り取り、粉砕を行わないこと以外は上記と同様にしてアルキメデス法を用いて計測を行うことができる。
【0014】
ビーズを含む塗膜がガラス粉末を含む場合、ガラス粉末の平均粒径は、塗膜の増粘を防止するために0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。また、平滑で高精細なビアホールを有する絶縁層を形成するためにはガラス粉末の平均粒径は小さいことが好ましく、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。ここで、ガラス粉末の平均粒径は、粒度分布計(例えば日機装(株)製、マイクロトラック9320HRA)を用いて得られる累積50%粒径をいう。また、ガラス粉末のガラス軟化点が600℃以下であると、安価なガラス基板を用いることができるため好ましい。より好ましくは500℃以下であり、安価なソーダライムガラス基板を用いることができる。さらに、電界放出源にカーボンナノチューブを用いる場合、カーボンナノチューブは500℃以上で焼成すると電界放出特性が劣化するが、ガラス粉末のガラス軟化点が450℃以下であれば、電界放出特性を維持したままカーボンナノチューブと同時に焼成することができるためより好ましい。ガラス粉末は鉛系ガラス、ビスマス系ガラス、アルカリ系ガラスなどの低軟化点ガラスを用いることができる。環境負荷の観点からビスマス系ガラス、アルカリ系ガラスが好ましい。
【0015】
ビーズを含む塗膜には、必要に応じてフィラーや分散剤を含んでもよい。フィラーは粒径が3μm未満のものをいう。無機酸化物、セラミックス、さらに軟化点が焼成温度よりも高ければガラス粉末を用いることができる。フィラーの平均粒径は、塗膜の増粘を防止するために0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。また、平滑で高精細なビアホールを有する絶縁層を形成するために、2μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
【0016】
ガラス粉末とフィラーの含有量比によりパターン形状や空隙率を調整することができる。フィラー比を大きくするほどパターン形状を保持しやすいが、空隙率が大きくなる。従って、焼成温度やガラス粉末の軟化点にもよるが、パターン形状を保持しつつ空隙率を10%以下にするために、体積比でガラス粉末/フィラー=95/5〜65/35が好ましい。さらに好ましくは、95/5〜70/30にすることによって、5%以下にすることができる。さらに好ましくは、95/5〜90/10にすることによって、3%以下にすることができる。
【0017】
ビーズを含む塗膜を形成する工程としては、あらかじめビーズ含有組成物を作製し、基板上にビーズ含有組成物を塗布する方法、あらかじめビーズを含まない組成物によって塗膜を作製しておき、次にビーズを配置する方法、あらかじめビーズを配置しておき、その上からビーズを含まない組成物を塗布する方法などが挙げられる。プロセス数が少ないという点で、あらかじめビーズ含有組成物を作製し、基板上にビーズ含有組成物を塗布する方法が好ましい。ビーズ含有の有無にかかわらず、組成物の塗布方法としては、スクリーン印刷、スリットダイコーター、スピンナーなどの公知の塗布方法を用いることができる。スクリーン印刷、スリットダイコーターが塗布面積を制御しやすいためより好ましい。
【0018】
ビーズを含む塗膜の形成後、さらにビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程を含むことが好ましい。ここで垂直下向きとは、ビーズを含む塗膜を基板に垂直に押し当てる向きである。垂直下向きの力を加えることによって、ビーズとその下にあるカソード電極または電子放出材料を含有する組成物塗膜との接触面積が広がる。その結果、ビーズを除去した後の開口面積を広げ電子放出源の形成可能な領域を増やすことができ、電界電子放出特性(電流電圧特性)を向上させることができる。開口面積は1μm以上であることが好ましい。例えば図4のように、カソード電極3上に電子放出材料を含有する組成物塗膜11が形成されている場合、電子放出材料を含有する組成物塗膜にビーズが押し込まれることによって、ビアホール底部の開口面積を広げることができる。また、図5のように、ビーズが有機物の場合、ビーズ自体が押しつぶされることによって、ビアホール底部の開口面積を広げることができる。
【0019】
ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程において、力とともに熱を加えることが好ましい。熱を加えることによって、ビーズまたはビーズを含む塗膜の流動性を向上させることができ、ビアホール底部の開口面積をより広げることができる。ビーズが有機物の場合は、ビーズのガラス転移温度以上に熱を加えることが好ましく、そうすることで、ビーズが容易に押しつぶされるようになり、開口面積をより広げることができる。ビーズを含む塗膜がバインダーなどのポリマー成分を含む場合、該ポリマー成分のガラス転移温度以上になるように熱を加えることが好ましく、そうすることで、ビーズを含む塗膜の流動性を向上させることができ、開口面積をより広げることができる。ビーズとビーズを含む塗膜のガラス転移温度以上に熱を加えると、ビーズの柔軟性、ビーズを含む塗膜の流動性がともに向上するためより好ましい。ガラス転移温度の測定方法は、示差走査熱量測定装置(例えば島津製作所(株)製DSC−50型測定装置)を用い、一定の昇温速度で昇温し、ベースラインの偏起の開始する温度をガラス転移温度とすることができる。
【0020】
ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程は、ローラーやプレス機などの公知のものを用いることができる。ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力とともに熱を加える工程は、熱プレス機や加熱ローラープレス機などの公知のものを用いることができる。垂直下向きに加える力は、ガラス基板の厚みにもよるが1m面積あたり10−1〜10Nが好ましい。この範囲にすることで、ガラス基板が割れることなくビアホール底部の開口面積を広げることができる。
【0021】
ビーズを除去する工程としては、ビーズが選択的に溶解する溶媒を用いて除去する方法、エアーブローなどで強制的に除去する方法、加熱により熱分解させて除去する方法などが挙げられる。用いるビーズの種類により好ましい方法を選択することができる。ビーズが有機物の場合、ビーズが選択的に溶解する溶媒を用いて除去する方法、加熱により熱分解させて除去する方法が好ましい。ビーズが無機物の場合、ビーズが選択的に溶解する溶媒を用いて除去する方法、エアーブローなどで強制的に除去する方法が好ましい。プロセスを簡略化する観点から、有機物のビーズを用いて加熱により熱分解させて除去する方法がより好ましい。
【0022】
ビーズ含有組成物がガラス粉末を含む場合には、塗膜に焼成処理を施すことによって、絶縁層を形成することができる。焼成を行う場合、前記ビーズを除去する工程において焼成してもよく、ビーズを除去した後に、別途焼成工程を設けてもよい。
【0023】
次に、本発明の電界放出素子基板の製造方法について説明する。本発明の電界放出素子基板の製造方法は、ビーズを含む塗膜を形成する工程とビーズを除去する工程とをこの順に含み、ビーズの粒径がビーズを含まない領域の塗膜の厚みより大きく、ビーズを含まない領域の塗膜から得られる絶縁層の空隙率が10%以下であることを特徴とする。また、ビーズを含む塗膜を形成する工程の後に、該塗膜上に導電性物質を含む層を形成する工程を含むことも、本発明の電界放出素子基板の製造方法の別の態様として好ましい。図3に電界放出素子用基板の製造方法の模式図を示す。ガラス基板4上のカソード電極3にビーズ6が接するように絶縁層用組成物塗膜7を形成し、さらに導電性物質含有組成物塗膜8を形成する。次いでビーズを除去することによって、ヴィアホールが形成された絶縁層と導電性物質を含む層を作製することができる。導電性物質を含む層は、ゲート電極として好ましく用いることができる。導電性物質とは、体積抵抗率が10Ωcm以下のものをいう。
【0024】
なお、ガラス基板4上のカソード電極3上には、さらに電子放出源材料を含有する組成物塗膜が形成されていてもよい。この場合、電子放出源材料を含有する組成物塗膜にビーズ6が接するように絶縁層用組成物塗膜7を形成することができる。
【0025】
導電性物質を含む層は、導電性物質または導電性物質を含む組成物から得られる層を指す。金属粒子などの導電性物質含有組成物の塗膜であっても、蒸着、スパッタ、CVDなどの真空薄膜プロセスにより作製される導電性薄膜であってもよい。導電性物質を含む層の厚みは、導電性物質含有組成物の塗布膜の場合は0.5〜5μm、真空薄膜プロセスにより作製される導電性薄膜の場合は0.05〜1μmであることが導電性物質を含む層の抵抗を下げることができるという点で好ましい。
【0026】
導電性物質含有組成物は、金属粒子や導電性酸化物の導電性粒子、バインダーポリマー、溶剤を主成分とするものが好ましく、必要に応じて下地との接着性を得るためのガラス粒子を含有してもよい。導電性粒子は、導電性の点から金属粒子が好ましく、酸化しにくく扱いやすいという点で銀粒子がより好ましい。
【0027】
ビーズを含む塗膜を形成する工程は、先に電界放出素子用絶縁層の製造方法において説明したとおりである。先に述べたように、ビーズを含む塗膜の形成後、さらにビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程を含むことが好ましい。また、ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程において、力とともに熱を加えることが好ましい。これらの工程は、ビーズを含む塗膜上に導電性物質を含む層を形成する工程の前でも後でもよい。該塗膜上に導電性物質を含む層を形成する工程としては、金属材料または導電性酸化物を蒸着やスパッタなどの真空プロセスによって形成する方法や、導電性物質含有組成物を塗布する方法が挙げられる。プロセスコストの観点から、導電性物質含有組成物を塗布する方法が好ましい。導電性物質は、金、銀または銅が好ましい。また、ガラス粒子を含有してもよく、下地との接着性を向上させることができる。導電性物質含有組成物塗布方法としては、スクリーン印刷、スリットダイコーター、スピンナーなどの公知の塗布方法を用いることができる。スクリーン印刷、スリットダイコーターが塗布面積を制御しやすいためより好ましい。
【0028】
次に、本発明の絶縁層用組成物について説明する。前記電界放出素子用絶縁層の製造方法および電界放出素子基板の製造方法において、ビーズを含む塗膜を形成する工程に好ましく用いられる組成物である。
【0029】
本発明の絶縁層用組成物は、粒径が3μm以上100μm以下であるビーズと、ポリマーと、ガラス粉末と、溶剤を含み、必要に応じてフィラーや分散剤を含むことができる。
【0030】
ビーズとしては、先に電界放出素子用絶縁層の製造方法の説明において例示したものを用いることができる。
【0031】
ポリマーとしては、アクリル系、エチルセルロース系の低温熱分解ポリマーが好ましく用いられる。ポリマーの熱分解温度は、ソーダライムガラス基板を用いることができることから500℃以下が好ましい。また、カーボンナノチューブの焼成劣化を防ぐために、400℃以下がさらに好ましい。ここで、熱分解温度は、例えば次の方法で求めることができる。TG測定装置(TGA−50、(株)島津製作所(株)製)に約5mgの試料をセットし、空気または窒素雰囲気で流量20ml/分、昇温速度10℃/分で800℃まで昇温する。その結果、温度(縦軸)と重量変化(横軸)の関係がプロットされたチャートを印刷し、分解後(横軸に平行な部分)の部分と分解中で傾きが最も大きい部分で接線を引き、その交点の温度を熱分解温度とする。
【0032】
ガラス粉末としては、先に電界放出素子用絶縁層の製造方法の説明において例示したものを用いることができる。
【0033】
溶媒としては、塗布安定性を考慮して沸点が150℃以上250℃以下の高沸点溶媒が好ましく用いられる。
【0034】
フィラーとしては、先に電界放出素子用絶縁層の製造方法の説明において例示したものを用いることができる。
【0035】
以下に、カーボンナノチューブを電界放出源とした電界放出素子基板の製造方法と、それを用いたバックライトの製造方法を、図6を例に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるわけではなく、カーボンナノチューブ以外の電界放出材料を用いた電界放出素子基板の製造方法にも適用されるものである。
【0036】
ソーダガラスやプラズマディスプレイパネル(PDP)用の耐熱ガラスである旭硝子社製のPD200等のガラス基板4上に、所望のパターンをもつカソード電極3を形成する。カソード電極3の材質はITO、SnO、Cr、Alなどが好ましく用いられる。パターン加工方法は、感光性レジストを用いたエッチングプロセスなど公知の方法が挙げられる。
【0037】
次に、カソード電極3上にカーボンナノチューブ含有組成物を塗布、乾燥する。塗布方法としては、スクリーン印刷、スリットダイコーター、スピンナーなどの公知の塗布方法を用いることができる。スクリーン印刷が塗布面積を制御しやすいためより好ましい。カーボンナノチューブ含有組成物は、カーボンナノチューブ、バインダーポリマー、溶剤を主成分とし、カーボンナノチューブをカソード電極上に接着させるためにガラス粉末を含むことが好ましい。また、カーボンナノチューブとカソード電極との接触抵抗低減のため導電性物質を含んでもよい。カーボンナノチューブ含有組成物を塗布、乾燥して得られる膜は、焼成によってバインダーポリマーが除去され、カーボンナノチューブ含有電界放出膜(CNTエミッタ5)となる。カーボンナノチューブ含有組成物を塗布後、焼成してもよいし、この後の工程で焼成工程がある場合、そこで一括して焼成してもよい。
【0038】
この上に、前述のビーズを含む塗膜を形成する。例えば、ポリスチレンなどの有機ビーズを含有する絶縁層用組成物を塗布、乾燥して、ビーズを含む塗膜を形成する。この上に、導電性物質を含む層を形成する。例えば、前述の導電性物質含有組成物を塗布、乾燥することにより形成できる。
【0039】
次にビーズを除去する。ビーズがポリスチレンであれば、ポリスチレンを溶解するリモネンなどの有機溶剤に浸すことによって、ポリスチレンを溶解除去することができる。また、加熱により熱分解させて除去する場合、ビーズを含む塗膜ごとビーズの熱分解温度以上に加熱することによって、分解除去することができる。このビーズの熱分解温度以上に加熱する工程は、塗布膜がガラス粉末を含む場合や、導電性物質を含む層を形成する場合には、その焼成工程を兼ねることもできる。従って、焼成工程を経る場合は、加熱によりビーズを熱分解させて除去する方法が、プロセス数をへらすことができるため好ましい。
【0040】
ビーズを除去する工程が焼成工程を兼ねていない場合は、ビーズ除去後に焼成を行うことが好ましい。これによって、カーボンナノチューブ含有組成物を塗布、乾燥して得られる膜の脱バインダー処理を行う。また、ビーズを含む塗膜がガラス粉末を含む場合には、ガラス粉末の焼成を行い、絶縁層2を得る。また、導電性物質を含む層の脱バインダー処理を行い、ゲート電極1を得る。焼成温度はガラスの軟化点以上が必要であるが、ガラス基板を用いることができるため600℃以下が好ましく、より安価なソーダガラス基板を用いることができるため500℃以下がより好ましく、カーボンナノチューブの劣化を抑制することができるため450℃以下がより好ましい。焼成雰囲気は、大気雰囲気でも窒素雰囲気でもよいが、カーボンナノチューブの焼成劣化を抑制するためには窒素雰囲気で焼成することが好ましい。
【0041】
次に、必要に応じてカーボンナノチューブ含有電界放出膜の活性化処理を行う。この活性化処理は、テープ剥離、サンドブラスト、レーザー照射などの公知の方法を用いることができる。
【0042】
次に、前面基板を作製する。ソーダライムガラスやPDP用の耐熱ガラスである旭硝子(株)製のPD200等のガラス基板上にITOを成膜し、アノード電極10を形成する。アノード電極10上に白色の蛍光体層9を印刷法により積層する。電界放出素子基板と前面基板を、スペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、容器に接続した排気管により真空排気することにより電界放出を用いたバックライトを作製することができる。アノード電極に1〜10kV、ゲート電極に1〜200Vのパルス電圧を供給することで、カーボンナノチューブから電子が放出され蛍光体発光を得ることができる。
【0043】
図7に本発明の電界放出素子基板の製造プロセスの一例と特許文献1に記載の電界放出素子基板の製造プロセスの比較表を示す。本発明の製造プロセス数が半分以下にすることができる。また、露光現像工程も必要ないため、高価な露光装置も不要である。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。各組成物に用いた材料は次のとおりである。
ビーズ1:ポリスチレンビーズ(テクノケミカル(株)製マイクロビーズ、粒径4.7〜5.49μm、ガラス転移温度100℃)
ビーズ2:ポリスチレンビーズ(テクノケミカル(株)製メガビーズ、粒径9.7〜10.5μm、ガラス転移温度100℃)
ビーズ3:ポリスチレンビーズ(テクノケミカル(株)製メガビーズ、粒径19.2〜20.8μm、ガラス転移温度100℃)
ビーズ4:ポリスチレンビーズ(テクノケミカル(株)製メガビーズ、粒径48.0〜52.0μm、ガラス転移温度100℃)
ビーズ5:ポリスチレンビーズ(テクノケミカル(株)製メガビーズ、粒径96.0〜104μm、ガラス転移温度100℃)
ビーズ6:ポリスチレンビーズ(テクノケミカル(株)製メガビーズ、粒径122〜128μm、ガラス転移温度100℃)
ビーズ7:ジルコニアビーズ(東レ(株)製トレセラム、粒径30μm)
ビーズ8:ジルコニアビーズ(東レ(株)製トレセラム、粒径50μm)
バインダー1:ポリメタクリル酸メチル、ガラス転移温度105℃
溶剤1:α−テルピネオール(和光純薬工業(株)製)
溶媒2:3−メトキシメチルブタノール(和光純薬工業(株)製)
ガラス粉末1:ビスマス系ガラス(酸化ビスマス:85wt%、酸化ホウ素:4wt%、酸化ケイ素:1.5wt%、酸化亜鉛:9.5wt%)、ガラス軟化点415℃、平均粒径0.5μm、密度6g/cm
フィラー粉末1:チタニア(石原産業(株)製、TTO−55、粒径35〜45nm、密度4.26g/cm
導電性粒子1:銀粉末、三井金属鉱業(株)製、SPQ05S、比表面積1.08m/g、密度10.5g/cm、平均粒径0.53μm
カーボンナノチューブ1:ShinzhenNanotechPortCo.,Ltd.製S−DWNT。
【0045】
ビーズの粒径の測定方法
用いたビーズの粒径は、(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡H7100型により測定した。
【0046】
ガラス粉末、導電性粒子、フィラーの平均粒径の測定方法
用いたガラス粉末、導電性粒子、フィラーの累積50%粒径を粒子径分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック9320HRA)を用いて測定した。
【0047】
ガラス軟化点の測定
用いたガラス粉末のガラス転移温度を熱機械分析装置(セイコーインスツル(株)製、EXTER6000 TMA/SS)を用いて測定した。ガラス粒子を800℃で溶融し、直径5mm、高さ2cmの円柱状に加工して測定サンプルとした。
【0048】
ビーズ含有絶縁層用組成物の作製方法
ビーズを3g、ガラス粉末/フィラー粉末の体積比が82/18となるようにガラス粉末1を26g、フィラー粉末を4g、そしてバインダー1を20g、溶剤2を47g秤量後、ハイブリッドミキサー(キーエンス(株)製、HM−500)にて混合した。
【0049】
導電性粒子含有組成物の作製方法
導電性粒子1を59g、ガラス粉末1を1g、バインダー1を15g、溶剤2を25g秤量後、ハイブリッドミキサー(キーエンス(株)製、HM−500)にて混合した。
【0050】
カーボンナノチューブ含有組成物の作製方法
カーボンナノチューブ1を1g、ガラス粉末1を1g、バインダー1を18g、溶剤1を80g秤量後、3本ローラーで混練した。
【0051】
空隙率の測定方法
空隙率(P)は、絶縁層の真比重(dth)、絶縁層の見掛比重(dex)を測定し、次式により算出した。
P=(dth−dex)/dth×100
絶縁層の真比重(dth)はいわゆるアルキメデス法を用いて算出した。絶縁層を乳鉢を用いて指頭に感じない程度、325メッシュ以下位までに粉砕した。そしてJIS−R2205(1992)に記載の方法で真比重を求めた。次に見掛比重(dex)の測定は絶縁層部分を形状を壊さないように削り取り、粉砕を行わないこと以外は上記と同様にしてアルキメデス法を用いて計測を行った。
【0052】
ビーズを含まない領域の塗膜の厚みの測定方法
基板を小片にし、電子顕微鏡((株)日立製作所製透過型電子顕微鏡H7100型)により5000倍で、15μm幅の断面を10箇所観察し、厚みの最大値と最小値の中間点を厚みとした。
【0053】
絶縁破壊電圧の測定方法
菊水電子工業(株)製耐電圧・絶縁抵抗試験器TOS9201を用い、DC100V/秒で昇圧し、絶縁破壊によって生じた10mAを超える電流を検知した際の電圧を絶縁破壊電圧とした。
【0054】
ビアホール底部の開口部の面積の測定方法
ビアホール底部の開口部の面積は、Nikon(株)製光学顕微鏡ECLIPSE L200にNikon(株)製デジタルカメラDXM1200Fが付随したものにより観察した画像を、画像解析ソフトACT−2U vers.40により解析し、算出した。
【0055】
電界電子放出特性(電流電圧特性)の測定方法
真空度を5×10−4Paにした真空チャンバー内に、ITO基板上に1cm×1cm角の電界放出素子が形成された背面基板と、ITO基板上に厚み5μmの蛍光体層(P22)を形成した前面基板を、100μmのギャップフィルムを挟んで対向させた。次に、前面基板のITO電極に1kV、背面基板のカソード電極はグランドとし、ゲート電極にデューティー比50%、パルス幅5msecのパルス電圧を徐々に増加させながら印加したときに得られた電流電圧曲線から1mAに達する電圧を求めた。電圧は低いほど好ましく、特に40Vを下回ると、液晶用汎用駆動ドライバを用いることができるため特に好ましい。
【0056】
実施例1〜6
厚み1.8mmのソーダガラス基板上にITOをスパッタにより成膜しカソード電極を形成した。得られたカソード電極上にカーボンナノチューブ含有組成物をスクリーン印刷により塗布、乾燥した。カーボンナノチューブ含有塗布膜上に、表1に記載のビーズを用いたビーズ含有絶縁層用組成物をスクリーン印刷により印刷、乾燥した。さらにこのビーズ含有絶縁層用組成物から形成された塗膜上に、導電性粒子含有組成物をスクリーン印刷により印刷、乾燥した。窒素雰囲気で450℃、15分間焼成(昇温速度5℃/分)することによって電界放出素子基板を得た。カーボンナノチューブ膜を剥離接着強さ0.5N/20mmのテープにより活性化処理した。
【0057】
また、新たにITOをスパッタしたガラス基板上に蛍光体を印刷し、アノード基板を作製した。電界放出素子基板とアノード基板とを、スペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、容器に接続した排気管により真空排気することにより電界放出素子パネルを作製した。アノード電極に1kVの電圧を、ゲート電極に100Vのパルス電圧を供給し、CNTから得られる電子放出による蛍光体発光を確認した。
【0058】
比較例1
ビーズ1のかわりに、テクノケミカル(株)製マイクロビーズ(ポリスチレンビーズ、粒径0.6〜1.4μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に電界放出素子基板を作製した。テクノケミカル(株)製マイクロビーズの大部分が絶縁層用塗膜に内包されてしまい、ビアホールを形成することができなかった。また、テクノケミカル(株)製マイクロビーズを含有した絶縁層用組成物が増粘し、塗布膜厚が均一でなかった。また、絶縁破壊電圧が100Vを下回った。
【0059】
実施例7〜8
ビーズ含有絶縁層組成物におけるガラス粉末とフィラー粉末の量を、実施例7ではガラス粉末/フィラー粉末の体積比が72/28となるようにガラス粉末23.4g、フィラー粉末を6.6gに、実施例8ではガラス粉末/フィラー粉末の体積比が68/32となるようにガラス粉末22.5g、フィラー粉末を7.5gにしたこと以外は、実施例2と同様に電界放出素子基板を作製した。
【0060】
比較例2
ビーズ含有絶縁層組成物におけるガラス粉末とフィラー粉末の量を、ガラス粉末/フィラー粉末の体積比が62/38となるようにガラス粉末21g、フィラー粉末を9gにしたこと以外は、実施例1と同様に電界放出素子基板を作製した。ビアホールは形成できたが、絶縁破壊電圧が100Vを下回り、ゲート電極に電圧を印加することができなかった。
【0061】
比較例3
ビーズ含有絶縁層用組成物をスクリーン印刷により印刷、乾燥を3回繰り返したこと以外は実施例2と同様に電界放出素子基板を作製した。ビーズを含まない領域の塗膜の厚みは30μmとなりビーズが絶縁層用組成物塗布膜に内包されてしまい、ビアホールを形成することができなかった。
【0062】
実施例9〜16
表3に記載のビーズ含有絶縁層用組成物の塗膜を形成後、基板をホットプレートにて120℃に加熱後、同じく120℃に加熱したガラス基板を塗膜上に設置し、5分間垂直下向きに1m面積あたり6.3×10Nの力を加える工程をいれた以外は、実施例1と同様に電界放出素子基板を作製した。
【0063】
実施例17〜18
表4に記載のビーズ含有絶縁層用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に電界放出素子基板を作製した。
【0064】
実施例19〜20
表4に記載のビーズ含有絶縁層用組成物を用いたこと以外は、実施例9と同様に電界放出素子基板を作製した。
【0065】
各実施例・比較例の結果を表1〜4に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】カーボンナノチューブを電子放出材料とした電界放出素子基板の模式図
【図2】電界放出素子用絶縁層の製造方法の模式図
【図3】電界放出素子基板の製造方法の模式図
【図4】ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程の模式図
【図5】有機ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程の模式図
【図6】カーボンナノチューブを電子放出源としたバックライトの模式図
【図7】電界放出素子の製造プロセスの比較
【符号の説明】
【0071】
1:ゲート電極
2:絶縁層
3:カソード電極
4:ガラス基板
5:CNTエミッタ
6:ビーズ
7:絶縁層用組成物塗膜
8:導電性物質含有組成物塗膜
9:蛍光体層
10:アノード電極
11:電子放出材料含有塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーズを含む塗膜を形成する工程と、ビーズを除去する工程とをこの順に含む電界放出素子用絶縁層の製造方法であって、前記ビーズの粒径がビーズを含まない領域の塗膜の厚みより大きく、ビーズを含まない領域の塗膜から得られる絶縁層の空隙率が10%以下である電界放出素子用絶縁層の製造方法。
【請求項2】
ビーズが有機物である請求項1に記載の電界放出素子用絶縁層の製造方法。
【請求項3】
ビーズの粒径が3μm以上100μm以下である請求項1または2に記載の電界放出素子用絶縁層の製造方法。
【請求項4】
ビーズを含む塗膜がガラス粉末を含む請求項1〜3のいずれかに記載の電界放出素子用絶縁層の製造方法。
【請求項5】
ビーズを含む塗膜を形成する工程と、該塗膜上に導電性物質を含む層を形成する工程と、ビーズを除去する工程とをこの順に含む電界放出素子基板の製造方法であって、前記ビーズの粒径がビーズを含まない領域の塗膜と導電性物質を含む層の合計厚みより大きく、ビーズを含まない領域の塗膜から得られる絶縁層の空隙率が10%以下である電界放出素子基板の製造方法。
【請求項6】
ビーズが有機物である請求項5に記載の電界放出素子基板の製造方法。
【請求項7】
ビーズの粒径が3μm以上100μm以下である請求項5または6に記載の電界放出素子基板の製造方法。
【請求項8】
ビーズを含む塗膜がガラス粉末を含む請求項5〜7のいずれかに記載の電界放出素子用絶縁層の製造方法。
【請求項9】
ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程をさらに含む請求項1〜8のいずれかに記載の電界放出素子基板の製造方法。
【請求項10】
ビーズを含む塗膜に略垂直下向きに力を加える工程において、力とともに熱を加える請求項9に記載の電界放出素子基板の製造方法。
【請求項11】
粒径が3μm以上100μm以下であるビーズと、ポリマーと、粒径がビーズの粒径よりも小さいガラス粉末と、溶剤を含む絶縁層用組成物。
【請求項12】
ビーズが有機物である請求項11に記載の絶縁層用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−94055(P2009−94055A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237521(P2008−237521)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】