電界電子放出源の製造方法
【課題】ヘリカルカーボンナノファイバを用いて電子放出能力の高い電界電子放出源を製造すること。
【解決手段】ビーカ204にカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水202を入れて混合し混合液203を作成し、ビーカ204をホットプレート205で20℃〜200℃の範囲で15分から60分間加熱した。次に、蒸留水でカーボンナノコイル201を洗浄しながら、吸引濾過器206を用いてカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水を分離して、カーボンナノコイルを含む炭素物質201の水溶液207を得た後、該水溶液207を電気炉208で空気中で乾燥させて、アッシング処理されたカーボンナノコイルを含む炭素物質を得る。このようにして得られたカーボンナノコイルを含む炭素物質を電界電子放出源の陰極に使用する。
【解決手段】ビーカ204にカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水202を入れて混合し混合液203を作成し、ビーカ204をホットプレート205で20℃〜200℃の範囲で15分から60分間加熱した。次に、蒸留水でカーボンナノコイル201を洗浄しながら、吸引濾過器206を用いてカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水を分離して、カーボンナノコイルを含む炭素物質201の水溶液207を得た後、該水溶液207を電気炉208で空気中で乾燥させて、アッシング処理されたカーボンナノコイルを含む炭素物質を得る。このようにして得られたカーボンナノコイルを含む炭素物質を電界電子放出源の陰極に使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた電界電子放出源の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子線で蛍光体を励起して表示を行う薄型の画像表示装置の開発が盛んになっており、この電子源としては電界電子放出源を用いた冷陰極が用いられる。電界電子放出源の材料としてナノ繊維、例えば炭素原子の六員環ネットが円筒状となったカーボンナノチューブ(CNT)が注目されている。CNTは直径が数nm〜数100nm程度、長さが数μmから1mm程度であり先端の曲率半径が小さく全体が細長い形状であるため先端部に電界が集中し易い。また炭素は化学的に安定であることから電子放出源に極めて好適と考えられている。
【0003】
CNTを画像表示装置の電子源として用いるときは、CNTと有機バインダとを混合した粘性溶液(ペースト)を作り、これをスクリーン印刷で基板上の所定位置に印刷し、乾燥・焼成して用いることが多い。しかしこの場合、CNTは有機バインダ層に埋もれたり、互いに絡み合ったりしてCNT先端に電界がかからないことが少なくなく、十分な電子放出が得られないことが多かった。
【0004】
そこで特許文献1に記載されているように、有機バインダ層をプラズマエッチングで除去し、CNTを有機バインダ層の表面に露出させて電子放出能力を高める処理が行われていた。
一方、特許文献2に記載されているように、かかる処理を要することなく電子放出が安定に行われるナノ炭素繊維として少なくとも一部に螺旋状の部分を含むヘリカルカーボンナノファイバ、例えばカーボンナノコイルを電子源に用いることも検討されていた。
【0005】
特許文献1に開示された処理はCNTの電子放出能力の向上にある程度の効果が認められる。しかし画像表示装置の電子源として用いる場合にはCNTを形成した基板面全面に渡って均一に処理を行う必要があり、プラズマエッチングでかかる均一性を得るのは容易ではない。
【0006】
特許文献2に記載されたカーボンナノコイルは螺旋部の長軸が基板面と平行に配設されても螺旋部が有機バインダ層から露出するため、カーボンナノチューブのように有機バインダ層の中に埋もれることがなく、この露出した螺旋部から電子放出を得ることができる。しかしカーボンナノコイルの螺旋部はCNTの端部より曲率半径が大きく電界が集中しづらい。そのためCNTよりも電子放出量が少ないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2003−213530号公報
【特許文献2】特開2001−240403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑み成されたもので、ヘリカルカーボンナノファイバを用いて電子放出能力の高い電界電子放出源を製造する電界電子放出源の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いる電界電子放出源の製造方法において、前記ヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を前記陰極として用いるようにしたことを特徴とする電界電子放出源の製造方法が提供される。
ヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を前記陰極として用いることにより電界電子放出源が製造される。本発明において「細線化」とは線径を一様に細くすることの他、線径を扁平にすること、線を複数に分裂させることも含む。細線化によりヘリカルカーボンナノファイバの断面における最外部の曲率半径が小さくシャープになり、又、エッジが形成される。
【0010】
前記アッシンングを過酸化水素水によって行うようにしてもよい。
また、前記過酸化水素水によるアッシングを液温80℃〜140℃、好ましくは110℃〜130℃で行うようにしてもよい。
また、前記ヘリカルカーボンナノファイバは断面が4角形〜8角形の角型ナノコイルであってもよい。
また、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバの断面におけるアスペクト(幅b/厚さa)が1.5〜100で、曲率半径が1nm〜500nmであってもよい。
【0011】
また、本発明によれば、炭素物質を陰極に用いる電界電子放出源の製造方法において、断面が角型のヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質と有機バインダとを混合したペーストを、陰極電極に塗布した後、焼成して前記有機バインダを除去することを特徴とする電界電子放出源の製造方法が提供される。
【0012】
断面が角型のヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質と有機バインダとを混合したペーストを、陰極電極に塗布した後、焼成して前記有機バインダを除去することにより、電界電子放出源が製造される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電界電子放出源の製造方法によれば、ヘリカルカーボンナノファイバを用いて電子放出能力の高い電界電子放出源を製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る電界電子放出源の製造方法に用いるヘリカルカーボンナノファイバ(HCNF)は、カーボンマイクロコイルより線径および外径が細い螺旋状(コイル状)若しくは捻じれ状(ツイスト状)などの主成分が炭素から成る炭素繊維物質をいう。すなわち、ヘリカルカーボンナノファイバは、カーボンナノコイル(CNC)とカーボンナノツイスト(CNTw)を言う。
陰極材料はヘリカルカーボンナノファイバ以外にもカーボンナノファイバ製造過程等で用いる金属触媒等他の成分を含んだ炭素物質である。
【0015】
ヘリカルカーボンナノファイバは触媒CVD法(触媒化学気相成長法)や気相熱分解法など気相化学成長法により得られる。化学気相成長法(CVD法)は、熱CVD法,熱フィラメント支援CVD法,プラズマCVD法などが利用できる。また、反応炉の中に配置した触媒基板表面に堆積成長させる基板法若しくは反応炉に触媒微粒子を注入したり通過させたりすることで触媒微粒子から成長させる流動床法(流動気相法)を利用する。
【0016】
これらの炭素繊維物質を効率的にかつ大量に合成するために、特定触媒を用いる。該特定触媒は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、In、Sn、Sb、Cu、Al、Si、Ti、V、Nb、Mo、Hf、Ta、W又はこれらの酸化物の混合材料である。これらの触媒は,基板法の場合には膜状(層状)や粉末散布にして利用し、流動法や流動床法の場合には溶液,微粒子,若しくは微粒子混合溶液を用いる。
【0017】
図1に、ヘリカルカーボンナノファイバの種別を示す。カーボンナノコイルは内径を有するスパイラル状又はコイル状の炭素繊維である。カーボンナノツイストは内径を持たない他はカーボンナノファイバと同等の形状を有する炭素繊維である。
図1に示すように、カーボンナノツイスト及びカーボンナノコイルには、各々、繊維軸に沿った断面形状が角型のものと丸型(断面が円形状あるいは楕円状又は角が丸みを持っているもの)がある。本実施の形態に係る電界電子放出源の製造方法は、これらのヘリカルカーボンナノファイバを用いて電子放出能力の高い電界電子放出源を製造するものである。例えば、丸型カーボンナノツイストは触媒CVD法によりC2H2などの炭化水素系ガスを原料ガスとしてNiO−SnO2又はNi−Cuを触媒として550℃で形成でき、角型カーボンナノコイルは触媒CVD法によりC2H2などの炭化水素系ガスを原料ガスとしてFe−SnO2を触媒として700℃で形成できる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
先ず、本発明の実施の形態に係る電荷電子放出源の製造方法における、ヘリカルカーボンナノファイバのアッシング処理(酸化することによって一部の炭素を除去する処理)手順を概略説明する。
本実施の形態ではアッシング処理として、過酸化水素水にカーボンナノコイルを含むヘリカルカーボンナノファイバを浸漬した。
カーボンナノコイルは純度30〜40%のものを50mg使用した。過酸化水素水は特級、濃度30%(三徳化学工業(株)製)を10ml使用した。
【0019】
図2に沿って処理手順を説明すると、まず容量50mlのビーカ204にカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水202を入れて混合し、混合液203を作成した(同図(a))。そして混合液203が入ったビーカ204をホットプレート(アズワン(株)製、型番HP−2SA)205で所定温度に加熱し保持した(同図(b))。加熱温度は20℃〜200℃の範囲で、反応時間は15分から60分の範囲で試みた。
【0020】
その後、吸引濾過器(NALGEN社製、品名 super mach V)206を用いてカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水202を分離した。この際蒸留水でカーボンナノコイルを含む炭素物質201を洗浄してカーボンナノコイルを含む炭素物質201の水溶液を得た(同図(c))。そして前記水溶液207を電気炉(アブワン(株)製、型番 MMF−1)208で空気中で乾燥させて、アッシング処理されたカーボンナノコイルを含む炭素物質を得た(同図(d))。
【0021】
図3にアッシング処理前後のカーボンナノコイルの形状を示す。ここでは断面が概略4角形〜8角形である角型カーボンナノコイルの例を示す。
図3Cは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水30ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。また、同図Dは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水50ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。
処理前に直径が200〜300nmあった1本のカーボンナノコイルがアッシング処理により直径100nm以下の複数のカーボンナノコイルに分離している。螺旋部分の曲率半径もかなり小さくなっている。
【0022】
図4にもアッシング処理前後のカーボンナノコイルの形状を示す。ここでは断面が概略丸形である丸型カーボンナノコイルの例を示す。
図4Aは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水10ml、加熱温度80℃、反応時間180分の例である。また、同図Bは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水10ml、加熱温度120℃、反応時間30分の例である。
アッシング処理によりカーボンナノコイルの線径は細くなっており、螺旋部分の曲率半径は小さくなっている。しかし角型カーボンナノコイルのように複数のカーボンナノコイルに分離することはない。
【0023】
ここで角型カーボンナノコイルが丸型の場合と異なりアッシング処理により複数に分離する理由について考察する。
角型カーボンナノコイルは、図5の断面モデル図に示すように、炭素濃度の濃いヘリカル繊維数本を、薄い濃度の炭素層(角型断面の灰色の線状部分)がバインダ層として接続したような構造である。
アッシングによってそのバインダ層を除去し、ヘリカル繊維を分離することで、細線化するものと考えられる(図5(1)〜(4)参照)。図6(1)〜(4)に、各々、図5(1)〜(4)に対応するカーボンナノコイルを示す。
【0024】
一方丸型カーボンナノコイルは断面において炭素物質が均質に形成されているため全体が多少細線化しても複数に分離することはない(図5(5)参照)。但し、両端からアッシングされるため線長が短くなる。図6(5)に、図5(5)に対応するカーボンナノコイルを示す。
本実施の形態に係る製造方法では角型カーボンナノコイルの方が丸型カーボンナノコイルよりも好適と考えられる。しかしながら、丸形カーボンナノコイルの場合も、アッシング処理によって線長が短くなるため、端部から電子放出しやすくなり、電界電子放出源に効果的に利用できる。
【0025】
図7及び図8にアッシング処理前後のカーボンナノツイストの形状を示す。
図7は断面が概略4角形〜8角形である角型カーボンナノツイストの例である。同図Cは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト50mg、過酸化水素水30ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。また、同図Dは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト50mg、過酸化水素水50ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。
角型カーボンナノツイストは耐酸性を有し細線化しないが、線長が短くなっている。
【0026】
図8は断面が概略丸形である丸型カーボンナノツイストの例である。同図Aは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト20mg、過酸化水素水30ml、加熱温度120℃、反応時間120分の例である。また、同図Bは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト20mg、過酸化水素水20ml、加熱温度200℃、反応時間40分の例である。
丸型カーボンナノツイストも角型カーボンナノツイスト同様に、耐酸性を有し細線化しないが、線長が短くなっている。
【0027】
次に、カーボンナノコイルのアッシング処理を例にとってアッシング処理条件を説明する。
カーボンナノコイルを所定の一定量にすると共にアッシング用溶液として過酸化水素水を使用した場合、アッシング処理条件としては、過酸化水素水の量、反応温度及び反応時間がある。
【0028】
図9及び図10は、反応温度依存特性を示す図である。図9において、純度30〜40%のカーボンナノコイル50mgを濃度30%の過酸化水素水10mlに溶解し、反応時間を60分一定として、反応温度を20℃〜200℃の範囲で変化させた。
図9に反応温度対カーボンナノコイルの回収率(%)特性を示すように、回収率が120℃が最低となる(即ち、カーボンナノコイル中のバインダ層がアッシングされて多くのカーボンナノコイルが細線化される。)。
【0029】
アッシングの効果が得られたのが80℃以上であり又、反応温度としては過酸化水素の沸点よりも低い温度が好ましい。
実用的には、回収率が90パーセント以下で前記温度を満たす温度範囲である80℃〜140℃の範囲が適当であり、より好ましくは、回収率が70%以下になる温度範囲、即ち110℃〜130℃の範囲であることが、細線化されたカーボンナノコイルを適度に含むため望ましい。
図10に、20℃〜200℃までの反応温度の変化にともない、得られるカーボンナノコイルが変化する様子を示す。
【0030】
図11及び図12は、反応時間依存特性を示す図である。図11において、純度30〜40%のカーボンナノコイル50mgを濃度30%の過酸化水素水10mlに溶解し、反応温度を120℃一定とし、反応時間を15分、30分、45分、60分の4種に変化させた。
図11に反応時間対カーボンナノコイルの回収率(%)特性を示す。また、図12に各反応時間におけるカーボンナノコイルの様子を示す。
【0031】
図12に示すように、反応時間15分では殆どアッシング処理されていない。反応時間30分では、アッシング処理途中のものが多い。反応時間45分では、ほぼ全体的にアッシング処理によって分割加工され、細線化処理されている。反応時間60分では、アッシング処理によって、より全体的に分割加工され細線化処理されている。したがって、分割加工して細線化処理するという観点からは反応時間は60分の方がよい。
【0032】
図13及び図14は、過酸化水素水の量依存特性を示す図である。図13において、反応温度を120℃一定、反応時間を60分一定とし、純度30〜40%のカーボンナノコイル50mgを濃度30%の過酸化水素水5〜50ml(5、10、20、30、50ml)に溶解した。
【0033】
図13に過酸化水素水量対カーボンナノコイルの回収率(%)特性を示す。また、図14に各過酸化水素水量におけるカーボンナノコイルの様子を示す。
図14に示すように、過酸化水素水が10ml以上ではアッシング処理の効果に変化がなく又、20ml以上ではカーボンナノコイルの量が激減する。したがって、過酸化水素水量は10mlが最適な量である。
【0034】
図15はアッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。図15では、繊維軸に沿った前記ヘリカルカーボンナノファイバの断面(四角形状の面)を示している。
また、図16は図15に示したアッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバにおける各部位の寸法等の数値を示す表であり、前記数値は可能な範囲と現状の平均的範囲を示している。
【0035】
図15及び図16において、Lはヘリカルカーボンナノファイバの繊維長さ、aは繊維軸方向の繊維の厚さ、繊維半径方向の繊維の厚さ、(b/a)はアスペクト、Pdは螺旋ピッチ、Ridはヘリカルカーボンナノファイバ内径、Rodはヘリカルカーボンナノファイバ外径である。
【0036】
図17はアッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。図17では、繊維軸に沿った前記ヘリカルカーボンナノファイバの断面(端部が丸みを帯びた長方形状の面)を示している。
また、図18は図17に示したアッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバにおける各部位の寸法等の数値を示す表であり、前記数値は可能な範囲と現状の平均的範囲を示している。
【0037】
図17及び図18において、Lはヘリカルカーボンナノファイバの繊維長さ、aは繊維軸方向の繊維の厚さ、bは繊維半径方向の繊維の厚さ、θは繊維軸に沿った断面の最外部とその左右隣の断面の最外部が成す角度、(b/a)はアスペクト、rは繊維軸に沿った断面における最外部の曲率半径、Pdは螺旋ピッチ、Ridはヘリカルカーボンナノファイバ内径、Rodはヘリカルカーボンナノファイバ外径である。
細線化したヘリカルカーボンナノファイバの断面におけるアスペクト(幅b/厚さa)は1.5〜100が実現可能な範囲であり、又、曲率半径rは電界電子放出特性に影響を与える。したがって、良好な電界電子放出特性を得るという観点から、細線化したヘリカルカーボンナノファイバのアスペクトは1.5〜100で、曲率半径rは1nm〜500nmが好適な範囲である。
【0038】
次に、アッシング処理したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた電界電子放出源の電子放出特性の測定について説明する。
本実施の形態では、電子放出特性の測定に使用する電界電子放出源は、アッシング処理したカーボンナノコイルを含む炭素物質とアッシング処理していないカーボンナノコイルを含む炭素物質とを用いて、各々、絶縁基板に形成した陰極電極上にカーボンナノコイルを含む炭素物質を被着形成したもので、大きさが□30mmで厚さ1.1mmのホウケイ酸ガラス基板上に陰極電極を形成し、その上に□18mmの大きさに有機バインダとともカーボンナノコイルを含む炭素物質を層状に形成した後、前記有機バインダを除去したものである。
【0039】
前記電界電子放出源は、アッシング処理したカーボンナノコイルとアッシング処理していないカーボンナノコイルの各々について、図19に示す手順で作成した。図19において、まず有機バインダとしてエチルセルロースをテルピオネールに溶解した溶液を用いて、この溶液にカーボンナノコイルを含む炭素物質103を混合して乳鉢で30分間分散させてペーストを準備した。
【0040】
次に、陰極電極102が形成されたガラス基板101上に厚さ200μmの粘着テープ(3M製スコッチテープ)をスペーサ105として貼り付けて、枠104を形成した(同図(a))。
そして、陰極電極102上に炭素物質103を含む前記ペーストを塗布し(同図(b))、スペーサ105上にスキージを載せて移動させ前記ペーストの塗膜を形成した(同図(c))。そしてスペーサ105を除去することによって枠104内のみに前記ペーストを残した後に(同図(d))、これらを含むガラス基板101全体を空気中120℃で2時間乾燥し、その後空気中400℃で1時間焼成した。
【0041】
このようにして、陰極電極102、カーボンナノコイルを含む炭素物質(ナノカーボン膜)103が積層された電界電子放出源を作成した。
尚、炭素物質103を陰極電極102上に形成する方法としては、例えば、塗布法、印刷法(スプレー法、電着法、メッキ法、スキージ法、スクリーンプリント法、グラビア印刷法、インクジェット法、バブルジェット(登録商標)法、エレクトリックスプレー法等)がある。
【0042】
図20に、前記電界電子放出源の電子放出特性を測定する測定装置の概要を示す。
図20において、カーボンナノコイル103を含む炭素物質及び陰極電極102が積層されたガラス基板101と、陽極電極302を有しガラス基板101に対向する位置に配設されたガラス基板303とをスペーサ301、301によって所定間隔に保持した状態で、真空チャンバ304内に収容した。
この状態で、陰極電極103と陽極電極302間に電源305から電圧を印加して、電流計306に流れる電流を側定した。
【0043】
図21及び図22に、カーボンナノコイルを含む炭素物質を陰極に使用した電界電子放出源において、アッシング処理の有無による電子放出特性の比較を示す。ここでは角型カーボンナノコイルについて未処理の場合(A:▲印)、過酸化水素水の量を5mlとした場合(B:■印)、過酸化水素水の量を15mlとした場合(C:●印)とを比較した。測定は真空度10−4〜10−5Pa、ガラス基板101、303間のギャップ長150μm、陰極電極103の電極面積0.125cm2として行った。
【0044】
図21に印加電圧に対する放出電流の比較(I-V特性)を示す。電子放出の開始が確認できた電圧は(A)と(B)が300V程度であるのに対し、(C)は200V程度でありアッシング処理が進むについて低くなる傾向がある。またその後の印加電圧に対する放出電流の増加率も(A)、(B)、(C)の順に高くなっている。
図22に、いわゆるF-Nプロットを示す。ここでも(A)、(B)、(C)の順に電子放出能力が高くなっていることが確認できる。
【0045】
以上のように本発明の実施の形態によれば、カーボンナノファイバをアッシングして細線化することで螺旋部の曲率半径を小さくし、電界集中を容易にして電子放出能力を向上させることができる。カーボンナノファイバが本来有する電子放出能力の安定性と相俟って電子放出能力と基板面全体の電子放出の均一性が共に優れた電界電子放出源を得ることができる。
【0046】
また、炭素繊維である細線化されたヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた電界電子放出源が製造され、前記電界電子放出源は、塗布法や印刷法によって陰極を作製した場合でも、炭素繊維を基板面に対して起立させる起毛処理等を行わずとも、良好な電子放出特性が得られる。
【0047】
尚、前記実施の形態ではアッシング処理として過酸化水素水への浸漬を行ったが、アッシング処理はこれに限るものではない。熱酸化、溶液酸化(過酸化水素水などへ漬ける)、プラズマ酸化など、従来から知られている酸化法が利用可能である。
また、前記実施の形態では、アッシング処理後の炭素物質を基板に被着形成するように構成したが、基板に被着した後にアッシング処理するように構成することもできる。
【0048】
また、本実施の形態に係る製造方法によって製造される電界電子放出源は、FED等の表示装置の電子源や分析機器の電子源をはじめとして、各種機器の電子源として利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた各種用途の電界電子放出源の製造方法に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ヘリカルカーボンナノファイバの種別を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるアッシング処理手順を示す図である。
【図3】アッシング処理前後のカーボンナノコイルの走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】アッシング処理前後のカーボンナノコイルの走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】カーボンナノコイルの断面モデル図である。
【図6】図5の断面モデル図に対応するカーボンナノコイルの走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】アッシング処理前後のカーボンナノツイストの走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】アッシング処理前後のカーボンナノツイストの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応温度依存特性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応温度依存特性を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応時間依存特性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応時間依存特性を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の過酸化水素水の量依存特性を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の過酸化水素水の量依存特性を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図15】アッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。
【図16】アッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバの寸法等を示す表である。
【図17】アッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。
【図18】アッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバの寸法等を示す表である。
【図19】本発明の実施の形態に係る電界電子放出源の製造方法の手順を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態において、電界電子放出源の電子放出特性測定用測定装置の概略図である。
【図21】本発明の実施の形態において、カーボンナノコイルを含む炭素物質を陰極に使用した電界電子放出源の電子放出特性(I-V特性)を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態において、カーボンナノコイルを含む炭素物質を陰極に使用した電界電子放出源の電子放出特性(F-Nプロット)を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
101・・・ガラス基板
102・・・陰極電極
103、201・・・炭素物質
104・・・枠
105・・・粘着テープ
202・・・過酸化水素水
203・・・混合液
204・・・ビーカ
205・・・ホットプレート
206・・・吸引濾過器
207・・・水溶液
208・・・電気炉
301・・・スペーサ
302・・・陽極電極
303・・・ガラス基板
304・・・真空チャンバ
305・・・電源
306・・・電流計
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた電界電子放出源の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子線で蛍光体を励起して表示を行う薄型の画像表示装置の開発が盛んになっており、この電子源としては電界電子放出源を用いた冷陰極が用いられる。電界電子放出源の材料としてナノ繊維、例えば炭素原子の六員環ネットが円筒状となったカーボンナノチューブ(CNT)が注目されている。CNTは直径が数nm〜数100nm程度、長さが数μmから1mm程度であり先端の曲率半径が小さく全体が細長い形状であるため先端部に電界が集中し易い。また炭素は化学的に安定であることから電子放出源に極めて好適と考えられている。
【0003】
CNTを画像表示装置の電子源として用いるときは、CNTと有機バインダとを混合した粘性溶液(ペースト)を作り、これをスクリーン印刷で基板上の所定位置に印刷し、乾燥・焼成して用いることが多い。しかしこの場合、CNTは有機バインダ層に埋もれたり、互いに絡み合ったりしてCNT先端に電界がかからないことが少なくなく、十分な電子放出が得られないことが多かった。
【0004】
そこで特許文献1に記載されているように、有機バインダ層をプラズマエッチングで除去し、CNTを有機バインダ層の表面に露出させて電子放出能力を高める処理が行われていた。
一方、特許文献2に記載されているように、かかる処理を要することなく電子放出が安定に行われるナノ炭素繊維として少なくとも一部に螺旋状の部分を含むヘリカルカーボンナノファイバ、例えばカーボンナノコイルを電子源に用いることも検討されていた。
【0005】
特許文献1に開示された処理はCNTの電子放出能力の向上にある程度の効果が認められる。しかし画像表示装置の電子源として用いる場合にはCNTを形成した基板面全面に渡って均一に処理を行う必要があり、プラズマエッチングでかかる均一性を得るのは容易ではない。
【0006】
特許文献2に記載されたカーボンナノコイルは螺旋部の長軸が基板面と平行に配設されても螺旋部が有機バインダ層から露出するため、カーボンナノチューブのように有機バインダ層の中に埋もれることがなく、この露出した螺旋部から電子放出を得ることができる。しかしカーボンナノコイルの螺旋部はCNTの端部より曲率半径が大きく電界が集中しづらい。そのためCNTよりも電子放出量が少ないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2003−213530号公報
【特許文献2】特開2001−240403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑み成されたもので、ヘリカルカーボンナノファイバを用いて電子放出能力の高い電界電子放出源を製造する電界電子放出源の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いる電界電子放出源の製造方法において、前記ヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を前記陰極として用いるようにしたことを特徴とする電界電子放出源の製造方法が提供される。
ヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を前記陰極として用いることにより電界電子放出源が製造される。本発明において「細線化」とは線径を一様に細くすることの他、線径を扁平にすること、線を複数に分裂させることも含む。細線化によりヘリカルカーボンナノファイバの断面における最外部の曲率半径が小さくシャープになり、又、エッジが形成される。
【0010】
前記アッシンングを過酸化水素水によって行うようにしてもよい。
また、前記過酸化水素水によるアッシングを液温80℃〜140℃、好ましくは110℃〜130℃で行うようにしてもよい。
また、前記ヘリカルカーボンナノファイバは断面が4角形〜8角形の角型ナノコイルであってもよい。
また、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバの断面におけるアスペクト(幅b/厚さa)が1.5〜100で、曲率半径が1nm〜500nmであってもよい。
【0011】
また、本発明によれば、炭素物質を陰極に用いる電界電子放出源の製造方法において、断面が角型のヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質と有機バインダとを混合したペーストを、陰極電極に塗布した後、焼成して前記有機バインダを除去することを特徴とする電界電子放出源の製造方法が提供される。
【0012】
断面が角型のヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質と有機バインダとを混合したペーストを、陰極電極に塗布した後、焼成して前記有機バインダを除去することにより、電界電子放出源が製造される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電界電子放出源の製造方法によれば、ヘリカルカーボンナノファイバを用いて電子放出能力の高い電界電子放出源を製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る電界電子放出源の製造方法に用いるヘリカルカーボンナノファイバ(HCNF)は、カーボンマイクロコイルより線径および外径が細い螺旋状(コイル状)若しくは捻じれ状(ツイスト状)などの主成分が炭素から成る炭素繊維物質をいう。すなわち、ヘリカルカーボンナノファイバは、カーボンナノコイル(CNC)とカーボンナノツイスト(CNTw)を言う。
陰極材料はヘリカルカーボンナノファイバ以外にもカーボンナノファイバ製造過程等で用いる金属触媒等他の成分を含んだ炭素物質である。
【0015】
ヘリカルカーボンナノファイバは触媒CVD法(触媒化学気相成長法)や気相熱分解法など気相化学成長法により得られる。化学気相成長法(CVD法)は、熱CVD法,熱フィラメント支援CVD法,プラズマCVD法などが利用できる。また、反応炉の中に配置した触媒基板表面に堆積成長させる基板法若しくは反応炉に触媒微粒子を注入したり通過させたりすることで触媒微粒子から成長させる流動床法(流動気相法)を利用する。
【0016】
これらの炭素繊維物質を効率的にかつ大量に合成するために、特定触媒を用いる。該特定触媒は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、In、Sn、Sb、Cu、Al、Si、Ti、V、Nb、Mo、Hf、Ta、W又はこれらの酸化物の混合材料である。これらの触媒は,基板法の場合には膜状(層状)や粉末散布にして利用し、流動法や流動床法の場合には溶液,微粒子,若しくは微粒子混合溶液を用いる。
【0017】
図1に、ヘリカルカーボンナノファイバの種別を示す。カーボンナノコイルは内径を有するスパイラル状又はコイル状の炭素繊維である。カーボンナノツイストは内径を持たない他はカーボンナノファイバと同等の形状を有する炭素繊維である。
図1に示すように、カーボンナノツイスト及びカーボンナノコイルには、各々、繊維軸に沿った断面形状が角型のものと丸型(断面が円形状あるいは楕円状又は角が丸みを持っているもの)がある。本実施の形態に係る電界電子放出源の製造方法は、これらのヘリカルカーボンナノファイバを用いて電子放出能力の高い電界電子放出源を製造するものである。例えば、丸型カーボンナノツイストは触媒CVD法によりC2H2などの炭化水素系ガスを原料ガスとしてNiO−SnO2又はNi−Cuを触媒として550℃で形成でき、角型カーボンナノコイルは触媒CVD法によりC2H2などの炭化水素系ガスを原料ガスとしてFe−SnO2を触媒として700℃で形成できる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
先ず、本発明の実施の形態に係る電荷電子放出源の製造方法における、ヘリカルカーボンナノファイバのアッシング処理(酸化することによって一部の炭素を除去する処理)手順を概略説明する。
本実施の形態ではアッシング処理として、過酸化水素水にカーボンナノコイルを含むヘリカルカーボンナノファイバを浸漬した。
カーボンナノコイルは純度30〜40%のものを50mg使用した。過酸化水素水は特級、濃度30%(三徳化学工業(株)製)を10ml使用した。
【0019】
図2に沿って処理手順を説明すると、まず容量50mlのビーカ204にカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水202を入れて混合し、混合液203を作成した(同図(a))。そして混合液203が入ったビーカ204をホットプレート(アズワン(株)製、型番HP−2SA)205で所定温度に加熱し保持した(同図(b))。加熱温度は20℃〜200℃の範囲で、反応時間は15分から60分の範囲で試みた。
【0020】
その後、吸引濾過器(NALGEN社製、品名 super mach V)206を用いてカーボンナノコイルを含む炭素物質201と過酸化水素水202を分離した。この際蒸留水でカーボンナノコイルを含む炭素物質201を洗浄してカーボンナノコイルを含む炭素物質201の水溶液を得た(同図(c))。そして前記水溶液207を電気炉(アブワン(株)製、型番 MMF−1)208で空気中で乾燥させて、アッシング処理されたカーボンナノコイルを含む炭素物質を得た(同図(d))。
【0021】
図3にアッシング処理前後のカーボンナノコイルの形状を示す。ここでは断面が概略4角形〜8角形である角型カーボンナノコイルの例を示す。
図3Cは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水30ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。また、同図Dは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水50ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。
処理前に直径が200〜300nmあった1本のカーボンナノコイルがアッシング処理により直径100nm以下の複数のカーボンナノコイルに分離している。螺旋部分の曲率半径もかなり小さくなっている。
【0022】
図4にもアッシング処理前後のカーボンナノコイルの形状を示す。ここでは断面が概略丸形である丸型カーボンナノコイルの例を示す。
図4Aは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水10ml、加熱温度80℃、反応時間180分の例である。また、同図Bは、アッシング処理条件が、カーボンナノコイル50mg、過酸化水素水10ml、加熱温度120℃、反応時間30分の例である。
アッシング処理によりカーボンナノコイルの線径は細くなっており、螺旋部分の曲率半径は小さくなっている。しかし角型カーボンナノコイルのように複数のカーボンナノコイルに分離することはない。
【0023】
ここで角型カーボンナノコイルが丸型の場合と異なりアッシング処理により複数に分離する理由について考察する。
角型カーボンナノコイルは、図5の断面モデル図に示すように、炭素濃度の濃いヘリカル繊維数本を、薄い濃度の炭素層(角型断面の灰色の線状部分)がバインダ層として接続したような構造である。
アッシングによってそのバインダ層を除去し、ヘリカル繊維を分離することで、細線化するものと考えられる(図5(1)〜(4)参照)。図6(1)〜(4)に、各々、図5(1)〜(4)に対応するカーボンナノコイルを示す。
【0024】
一方丸型カーボンナノコイルは断面において炭素物質が均質に形成されているため全体が多少細線化しても複数に分離することはない(図5(5)参照)。但し、両端からアッシングされるため線長が短くなる。図6(5)に、図5(5)に対応するカーボンナノコイルを示す。
本実施の形態に係る製造方法では角型カーボンナノコイルの方が丸型カーボンナノコイルよりも好適と考えられる。しかしながら、丸形カーボンナノコイルの場合も、アッシング処理によって線長が短くなるため、端部から電子放出しやすくなり、電界電子放出源に効果的に利用できる。
【0025】
図7及び図8にアッシング処理前後のカーボンナノツイストの形状を示す。
図7は断面が概略4角形〜8角形である角型カーボンナノツイストの例である。同図Cは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト50mg、過酸化水素水30ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。また、同図Dは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト50mg、過酸化水素水50ml、加熱温度120℃、反応時間60分の例である。
角型カーボンナノツイストは耐酸性を有し細線化しないが、線長が短くなっている。
【0026】
図8は断面が概略丸形である丸型カーボンナノツイストの例である。同図Aは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト20mg、過酸化水素水30ml、加熱温度120℃、反応時間120分の例である。また、同図Bは、アッシング処理条件が、カーボンナノツイスト20mg、過酸化水素水20ml、加熱温度200℃、反応時間40分の例である。
丸型カーボンナノツイストも角型カーボンナノツイスト同様に、耐酸性を有し細線化しないが、線長が短くなっている。
【0027】
次に、カーボンナノコイルのアッシング処理を例にとってアッシング処理条件を説明する。
カーボンナノコイルを所定の一定量にすると共にアッシング用溶液として過酸化水素水を使用した場合、アッシング処理条件としては、過酸化水素水の量、反応温度及び反応時間がある。
【0028】
図9及び図10は、反応温度依存特性を示す図である。図9において、純度30〜40%のカーボンナノコイル50mgを濃度30%の過酸化水素水10mlに溶解し、反応時間を60分一定として、反応温度を20℃〜200℃の範囲で変化させた。
図9に反応温度対カーボンナノコイルの回収率(%)特性を示すように、回収率が120℃が最低となる(即ち、カーボンナノコイル中のバインダ層がアッシングされて多くのカーボンナノコイルが細線化される。)。
【0029】
アッシングの効果が得られたのが80℃以上であり又、反応温度としては過酸化水素の沸点よりも低い温度が好ましい。
実用的には、回収率が90パーセント以下で前記温度を満たす温度範囲である80℃〜140℃の範囲が適当であり、より好ましくは、回収率が70%以下になる温度範囲、即ち110℃〜130℃の範囲であることが、細線化されたカーボンナノコイルを適度に含むため望ましい。
図10に、20℃〜200℃までの反応温度の変化にともない、得られるカーボンナノコイルが変化する様子を示す。
【0030】
図11及び図12は、反応時間依存特性を示す図である。図11において、純度30〜40%のカーボンナノコイル50mgを濃度30%の過酸化水素水10mlに溶解し、反応温度を120℃一定とし、反応時間を15分、30分、45分、60分の4種に変化させた。
図11に反応時間対カーボンナノコイルの回収率(%)特性を示す。また、図12に各反応時間におけるカーボンナノコイルの様子を示す。
【0031】
図12に示すように、反応時間15分では殆どアッシング処理されていない。反応時間30分では、アッシング処理途中のものが多い。反応時間45分では、ほぼ全体的にアッシング処理によって分割加工され、細線化処理されている。反応時間60分では、アッシング処理によって、より全体的に分割加工され細線化処理されている。したがって、分割加工して細線化処理するという観点からは反応時間は60分の方がよい。
【0032】
図13及び図14は、過酸化水素水の量依存特性を示す図である。図13において、反応温度を120℃一定、反応時間を60分一定とし、純度30〜40%のカーボンナノコイル50mgを濃度30%の過酸化水素水5〜50ml(5、10、20、30、50ml)に溶解した。
【0033】
図13に過酸化水素水量対カーボンナノコイルの回収率(%)特性を示す。また、図14に各過酸化水素水量におけるカーボンナノコイルの様子を示す。
図14に示すように、過酸化水素水が10ml以上ではアッシング処理の効果に変化がなく又、20ml以上ではカーボンナノコイルの量が激減する。したがって、過酸化水素水量は10mlが最適な量である。
【0034】
図15はアッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。図15では、繊維軸に沿った前記ヘリカルカーボンナノファイバの断面(四角形状の面)を示している。
また、図16は図15に示したアッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバにおける各部位の寸法等の数値を示す表であり、前記数値は可能な範囲と現状の平均的範囲を示している。
【0035】
図15及び図16において、Lはヘリカルカーボンナノファイバの繊維長さ、aは繊維軸方向の繊維の厚さ、繊維半径方向の繊維の厚さ、(b/a)はアスペクト、Pdは螺旋ピッチ、Ridはヘリカルカーボンナノファイバ内径、Rodはヘリカルカーボンナノファイバ外径である。
【0036】
図17はアッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。図17では、繊維軸に沿った前記ヘリカルカーボンナノファイバの断面(端部が丸みを帯びた長方形状の面)を示している。
また、図18は図17に示したアッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバにおける各部位の寸法等の数値を示す表であり、前記数値は可能な範囲と現状の平均的範囲を示している。
【0037】
図17及び図18において、Lはヘリカルカーボンナノファイバの繊維長さ、aは繊維軸方向の繊維の厚さ、bは繊維半径方向の繊維の厚さ、θは繊維軸に沿った断面の最外部とその左右隣の断面の最外部が成す角度、(b/a)はアスペクト、rは繊維軸に沿った断面における最外部の曲率半径、Pdは螺旋ピッチ、Ridはヘリカルカーボンナノファイバ内径、Rodはヘリカルカーボンナノファイバ外径である。
細線化したヘリカルカーボンナノファイバの断面におけるアスペクト(幅b/厚さa)は1.5〜100が実現可能な範囲であり、又、曲率半径rは電界電子放出特性に影響を与える。したがって、良好な電界電子放出特性を得るという観点から、細線化したヘリカルカーボンナノファイバのアスペクトは1.5〜100で、曲率半径rは1nm〜500nmが好適な範囲である。
【0038】
次に、アッシング処理したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた電界電子放出源の電子放出特性の測定について説明する。
本実施の形態では、電子放出特性の測定に使用する電界電子放出源は、アッシング処理したカーボンナノコイルを含む炭素物質とアッシング処理していないカーボンナノコイルを含む炭素物質とを用いて、各々、絶縁基板に形成した陰極電極上にカーボンナノコイルを含む炭素物質を被着形成したもので、大きさが□30mmで厚さ1.1mmのホウケイ酸ガラス基板上に陰極電極を形成し、その上に□18mmの大きさに有機バインダとともカーボンナノコイルを含む炭素物質を層状に形成した後、前記有機バインダを除去したものである。
【0039】
前記電界電子放出源は、アッシング処理したカーボンナノコイルとアッシング処理していないカーボンナノコイルの各々について、図19に示す手順で作成した。図19において、まず有機バインダとしてエチルセルロースをテルピオネールに溶解した溶液を用いて、この溶液にカーボンナノコイルを含む炭素物質103を混合して乳鉢で30分間分散させてペーストを準備した。
【0040】
次に、陰極電極102が形成されたガラス基板101上に厚さ200μmの粘着テープ(3M製スコッチテープ)をスペーサ105として貼り付けて、枠104を形成した(同図(a))。
そして、陰極電極102上に炭素物質103を含む前記ペーストを塗布し(同図(b))、スペーサ105上にスキージを載せて移動させ前記ペーストの塗膜を形成した(同図(c))。そしてスペーサ105を除去することによって枠104内のみに前記ペーストを残した後に(同図(d))、これらを含むガラス基板101全体を空気中120℃で2時間乾燥し、その後空気中400℃で1時間焼成した。
【0041】
このようにして、陰極電極102、カーボンナノコイルを含む炭素物質(ナノカーボン膜)103が積層された電界電子放出源を作成した。
尚、炭素物質103を陰極電極102上に形成する方法としては、例えば、塗布法、印刷法(スプレー法、電着法、メッキ法、スキージ法、スクリーンプリント法、グラビア印刷法、インクジェット法、バブルジェット(登録商標)法、エレクトリックスプレー法等)がある。
【0042】
図20に、前記電界電子放出源の電子放出特性を測定する測定装置の概要を示す。
図20において、カーボンナノコイル103を含む炭素物質及び陰極電極102が積層されたガラス基板101と、陽極電極302を有しガラス基板101に対向する位置に配設されたガラス基板303とをスペーサ301、301によって所定間隔に保持した状態で、真空チャンバ304内に収容した。
この状態で、陰極電極103と陽極電極302間に電源305から電圧を印加して、電流計306に流れる電流を側定した。
【0043】
図21及び図22に、カーボンナノコイルを含む炭素物質を陰極に使用した電界電子放出源において、アッシング処理の有無による電子放出特性の比較を示す。ここでは角型カーボンナノコイルについて未処理の場合(A:▲印)、過酸化水素水の量を5mlとした場合(B:■印)、過酸化水素水の量を15mlとした場合(C:●印)とを比較した。測定は真空度10−4〜10−5Pa、ガラス基板101、303間のギャップ長150μm、陰極電極103の電極面積0.125cm2として行った。
【0044】
図21に印加電圧に対する放出電流の比較(I-V特性)を示す。電子放出の開始が確認できた電圧は(A)と(B)が300V程度であるのに対し、(C)は200V程度でありアッシング処理が進むについて低くなる傾向がある。またその後の印加電圧に対する放出電流の増加率も(A)、(B)、(C)の順に高くなっている。
図22に、いわゆるF-Nプロットを示す。ここでも(A)、(B)、(C)の順に電子放出能力が高くなっていることが確認できる。
【0045】
以上のように本発明の実施の形態によれば、カーボンナノファイバをアッシングして細線化することで螺旋部の曲率半径を小さくし、電界集中を容易にして電子放出能力を向上させることができる。カーボンナノファイバが本来有する電子放出能力の安定性と相俟って電子放出能力と基板面全体の電子放出の均一性が共に優れた電界電子放出源を得ることができる。
【0046】
また、炭素繊維である細線化されたヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた電界電子放出源が製造され、前記電界電子放出源は、塗布法や印刷法によって陰極を作製した場合でも、炭素繊維を基板面に対して起立させる起毛処理等を行わずとも、良好な電子放出特性が得られる。
【0047】
尚、前記実施の形態ではアッシング処理として過酸化水素水への浸漬を行ったが、アッシング処理はこれに限るものではない。熱酸化、溶液酸化(過酸化水素水などへ漬ける)、プラズマ酸化など、従来から知られている酸化法が利用可能である。
また、前記実施の形態では、アッシング処理後の炭素物質を基板に被着形成するように構成したが、基板に被着した後にアッシング処理するように構成することもできる。
【0048】
また、本実施の形態に係る製造方法によって製造される電界電子放出源は、FED等の表示装置の電子源や分析機器の電子源をはじめとして、各種機器の電子源として利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いた各種用途の電界電子放出源の製造方法に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ヘリカルカーボンナノファイバの種別を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるアッシング処理手順を示す図である。
【図3】アッシング処理前後のカーボンナノコイルの走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】アッシング処理前後のカーボンナノコイルの走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】カーボンナノコイルの断面モデル図である。
【図6】図5の断面モデル図に対応するカーボンナノコイルの走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】アッシング処理前後のカーボンナノツイストの走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】アッシング処理前後のカーボンナノツイストの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応温度依存特性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応温度依存特性を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応時間依存特性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の反応時間依存特性を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の過酸化水素水の量依存特性を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるアッシング処理の過酸化水素水の量依存特性を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図15】アッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。
【図16】アッシング処理前のヘリカルカーボンナノファイバの寸法等を示す表である。
【図17】アッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバの形状、寸法を示す図である。
【図18】アッシング処理後のヘリカルカーボンナノファイバの寸法等を示す表である。
【図19】本発明の実施の形態に係る電界電子放出源の製造方法の手順を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態において、電界電子放出源の電子放出特性測定用測定装置の概略図である。
【図21】本発明の実施の形態において、カーボンナノコイルを含む炭素物質を陰極に使用した電界電子放出源の電子放出特性(I-V特性)を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態において、カーボンナノコイルを含む炭素物質を陰極に使用した電界電子放出源の電子放出特性(F-Nプロット)を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
101・・・ガラス基板
102・・・陰極電極
103、201・・・炭素物質
104・・・枠
105・・・粘着テープ
202・・・過酸化水素水
203・・・混合液
204・・・ビーカ
205・・・ホットプレート
206・・・吸引濾過器
207・・・水溶液
208・・・電気炉
301・・・スペーサ
302・・・陽極電極
303・・・ガラス基板
304・・・真空チャンバ
305・・・電源
306・・・電流計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いる電界電子放出源の製造方法において、
前記ヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を前記陰極として用いるようにしたことを特徴とする電界電子放出源の製造方法。
【請求項2】
前記アッシンングを過酸化水素水によって行うことを特徴とする請求項1記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項3】
前記過酸化水素水によるアッシングを液温80℃〜140℃、好ましくは110℃〜130℃で行うことを特徴とする請求項2記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項4】
前記ヘリカルカーボンナノファイバは断面が4角形〜8角形の角型ナノコイルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項5】
前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバの断面におけるアスペクト(幅b/厚さa)が1.5〜100で、曲率半径が1nm〜500nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項6】
炭素物質を陰極として用いる電界電子放出源の製造方法において、
断面が角型のヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質と有機バインダとを混合したペーストを、陰極電極に塗布した後、焼成して前記有機バインダを除去することを特徴とする電界電子放出源の製造方法。
【請求項1】
ヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を陰極に用いる電界電子放出源の製造方法において、
前記ヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質を前記陰極として用いるようにしたことを特徴とする電界電子放出源の製造方法。
【請求項2】
前記アッシンングを過酸化水素水によって行うことを特徴とする請求項1記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項3】
前記過酸化水素水によるアッシングを液温80℃〜140℃、好ましくは110℃〜130℃で行うことを特徴とする請求項2記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項4】
前記ヘリカルカーボンナノファイバは断面が4角形〜8角形の角型ナノコイルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項5】
前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバの断面におけるアスペクト(幅b/厚さa)が1.5〜100で、曲率半径が1nm〜500nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の電界電子放出源の製造方法。
【請求項6】
炭素物質を陰極として用いる電界電子放出源の製造方法において、
断面が角型のヘリカルカーボンナノファイバをアッシングすることによって細線化し、前記細線化したヘリカルカーボンナノファイバを含む炭素物質と有機バインダとを混合したペーストを、陰極電極に塗布した後、焼成して前記有機バインダを除去することを特徴とする電界電子放出源の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−59527(P2009−59527A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224334(P2007−224334)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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