説明

電磁シールドパネル、電磁シールド壁体及びその構築方法

【課題】位置あわせ精度、電気的接合の確実性、機械的安定性、さらには電磁遮蔽能力をより簡単な構造で実現することが可能な電磁シールドパネルを提供する。
【解決手段】一対の金属板11の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面13を形成し、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部17を形成するとともに、さらにその金属板11の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部15を形成し、溝部15にはガスケット19を充填し、一対の金属板11の下端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面13と当接可能な第2の当接面21を形成し、さらに下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部17に嵌合可能な嵌合凸部25を形成するとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジ23を形成し、エッジ23における第2の当接面21からの位置関係を、第1の当接面13から溝部15の位置関係に対応させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性を有する一対の金属板が互いに対向して設けられ、上記一対の金属板間に充填体が充填されることで構成される電磁シールドパネル、並びにこの電磁シールドパネルを互いに嵌合することにより構成される電磁シールド壁体及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコン内蔵の家電製品やコードレス電話の普及等により、電磁波ノイズの影響を受ける対象は、インテリジェントビルや研究所、更には住宅にまで及び、電磁波障害への社会的な関心が高まっている。特にLSIの高集積化、高速化等により各デバイスが小型大容量化し、その結果、耐ノイズ性能が低下する傾向にあることから、かかる電磁波障害に対する対策がより一層求められる状況になっている。
【0003】
特に電磁波障害の対策を講じる上では、シールド技術とともに各デバイスが正常に動作する場としての条件を備えた快適な空間を創造することが重要になる。近年では、電磁遮蔽機能力を持ったシールドビルが脚光を浴びている。このシールドビルでは、建物の用途や構造に基づいて、外壁や内壁、天井等に電磁シールド機能を持たせ、建物全体はもとより、各フロア単位、各部屋単位で電磁波をシールドすることができることから、建物内部において電磁波遮蔽空間を自在に作り出すことが可能となる。
【0004】
実際に、このシールドビルにおいて壁体等に電磁シールド機能を持たせる場合には、かかる壁体を、電磁シールド機能を持つ電磁シールドパネルを互いに嵌合することにより構成する場合が多い。この電磁シールドパネルは、シールドビルのみならず、電子機器から漏洩する電磁波を正確に測定するための測定施設としての電波暗室、或いは放送スタジオや音楽ホール等、あらゆる電磁遮蔽空間の壁体に適用されるものである。
【0005】
このような電磁シールドパネルにおいて、特に壁体の電磁シールドを簡単な改良で行うことを目的とした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1における開示技術は、表裏の金属板間に断熱材を充填した断熱パネルの接続構造に着目したものであって、この金属板を折り曲げて嵌合突部を形成するとともに、他端部に嵌合凹部を形成し、凹凸嵌合箇所における金属板間において導電性パッキンを電気的に導通状態で介装することにより、当該接続構造を構成している。
【0006】
また従来においては、低コストで所期の電磁遮蔽性能を確保する観点から、壁接合部において、導電性不織布又は導電性ゴムを介在させることにより電気的接続を図った電磁遮蔽壁も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
また、特許文献3では、高い遮音性能と電磁遮蔽性能を合わせ持つ遮蔽パネル構造が提案されている。この特許文献3の開示技術では、遮音板部材の両面に、相互に絶縁される第1及び第2の導電性板部材を接合して遮蔽パネルを形成し、この遮蔽パネルを、相互に絶縁される導電性の支柱部材と導電性の押さえ板により挟持している。その結果、上記第1の導電性板部材及び支柱本体と、上記第2の導電性板部材及び押さえ板との2層からなる電磁遮蔽層を形成することができ、電磁波の漏洩を確実に防止することが可能となる。
【0008】
また、特許文献4では、合成樹脂内に導電性を有する炭素繊維を一定割合混合して形成した電磁シールド層を、内壁若しくは外壁のいずれか一方以上に設けることにより、強度、施工性、耐久性の向上を図った電磁シールド構造が提案されている。
【0009】
さらに特許文献5では、電磁遮蔽性能を向上させるべく、パネル間に雨水侵入防止用のコンプリバンドパッキンとともに導電性材料を挟み込んだパネルジョイント部の電磁遮蔽構造も提案されている。
【特許文献1】特開平11−81519号公報
【特許文献2】特開平10−252178号公報
【特許文献3】特開2000−27332号公報
【特許文献4】特開平8−333821号公報
【特許文献5】特開昭63−128798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の電磁シールドパネルは、隣接するパネルを互いに嵌合して一枚の電磁波遮蔽壁体を構成する上において、その位置あわせ精度、電気的接合の確実性、嵌合時におけるガタつき防止性能を始めとした機械的安定性、さらには電磁遮蔽能力を全て満たすためには複雑な形状を採用せざるを得ないという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、隣接するパネルを互いに嵌合して一枚の電磁波遮蔽壁体を構成する際における位置あわせ精度、電気的接合の確実性、機械的安定性、さらには電磁遮蔽能力をより簡単な構造で実現することが可能な電磁シールドパネル、電磁シールド壁体及びその構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した課題を解決するために、一対の金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成し、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成するとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成し、上記溝部にはガスケットを充填し、一対の金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成し、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成するとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成し、エッジにおける第2の当接面からの位置関係を、第1の当接面から溝部の位置関係に対応させた電磁シールドパネルを発明した。
【0013】
本願請求項1に係る電磁シールドパネルは、導電性を有する金属板に充填体が取り付けられ、電磁波を遮蔽する壁体の一部を構成する電磁シールドパネルにおいて、上記金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、上記金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応していることを特徴とする。
【0014】
本願請求項2に係る電磁シールドパネルは、導電性を有する一対の金属板が互いに対向して設けられ、上記一対の金属板間に充填体が充填され、電磁波を遮蔽する壁体の一部を構成する電磁シールドパネルにおいて、上記一対の金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、上記一対の金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応していることを特徴とする。
【0015】
本願請求項3に係る電磁シールドパネルは、請求項1又は2にかかる発明において、上記嵌合凹部と上記嵌合凸部は、嵌合時において第1の当接面と第2の当接面とを当接させることにより、互いに接触するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
本願請求項4に係る電磁シールドパネルは、請求項1〜3のうち何れか1項に係る発明において、上記充填体は、電磁鋼板が略水平方向に埋設されていることを特徴とする。
【0017】
本願請求項5に係る電磁シールドパネルは、請求項4に係る発明において、上記充填体は、その側端部には補強材が設けられ、上記補強材は、上記電磁鋼板の埋設位置に応じて開口が形成されてなるとともに、当該開口を介して上記電磁鋼板の端部が突出されていることを特徴とする。
【0018】
本願請求項6に係る電磁シールド壁体は、導電性を有する金属板に充填体が取り付けられている電磁シールドパネルを互いに嵌合させることにより構成される電磁シールド壁体において、上記電磁シールドパネルは、上記金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、上記金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応し、一の上記電磁シールドパネルにおける第1の当接面に、他の上記電磁シールドパネルにおける第2の当接面が当接されてなることにより、一の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凹部が他の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凸部に嵌合され、一の上記電磁シールドパネルにおける溝部に充填されたガスケットに、他の上記電磁シールドパネルにおけるエッジが圧接していることを特徴とする。
【0019】
本願請求項7に係る電磁シールド壁体は、導電性を有する一対の金属板が互いに対向して設けられ、上記一対の金属板間に充填体が充填されている電磁シールドパネルを互いに嵌合させることにより構成される電磁シールド壁体において、上記電磁シールドパネルは、上記一対の金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、上記一対の金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応し、一の上記電磁シールドパネルにおける第1の当接面に、他の上記電磁シールドパネルにおける第2の当接面が当接されてなることにより、一の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凹部が他の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凸部に嵌合され、一の上記電磁シールドパネルにおける溝部に充填されたガスケットに、他の上記電磁シールドパネルにおけるエッジが圧接していることを特徴とする。
【0020】
本願請求項8に係る電磁シールド壁体は、請求項6又は7に係る発明において、上記嵌合凹部と上記嵌合凸部は、第1の当接面と第2の当接面との当接を介して、互いに接触するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
本願請求項9に係る電磁シールド壁体は、請求項6〜8のうち何れかに係る発明において、互いに側端部において隣接する一の電磁シールドパネルと他の電磁シールドパネル間には、それぞれ突出された電磁鋼板の端部を覆い、かつ上記金属板端部の鉛直方向全面に亘り密接するように金具が架設されていることを特徴とする。
【0022】
本願請求項10に係る電磁シールド壁体は、請求項6〜9のうち何れかに係る発明において、上記ガスケットと、上記エッジと、上記金属板が囲む空間における最大断面巾をgとし、さらに電磁シールドパネル1a又は1bと金具(41)が互いにラップする間隔をWとし、さらに所要シールド性能(dB)をSとしたとき、上記Wは、以下の式の範囲となるように調整されている。S×g/27<W<(S+40)×g/27
【0023】
本願請求項10に係る電磁シールド壁体は、請求項1〜5の何れかに記載の電磁シールドパネルを互いに嵌合して電磁シールド壁体を構築する電磁シールド壁体の構築方法において、一の上記電磁シールドパネルにおける第1の当接面に、他の上記電磁シールドパネルにおける第2の当接面を当接することにより、一の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凹部を他の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凸部に嵌合し、一の上記電磁シールドパネルにおける溝部に充填されたガスケットに、他の上記電磁シールドパネルにおけるエッジを圧接させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
上述した構成からなる本発明では、第1の当接面に対する第1の嵌合面と、第2の当接面に対する第2の嵌合面の位置関係を予め調整しておくことにより、第1の当接面と第2の当接面とを突き当てたときに、この第1の嵌合面と第2の嵌合面とをほぼ隙間なく当接させることができることから、隣接するパネルを互いに嵌合して一枚の電磁波遮蔽壁体を構成する際における位置あわせ精度を向上させることが可能となり、ひいては壁体の機械的安定性を向上させることが可能となる。
【0025】
また、本発明では、エッジにおける第2の当接面からの位置関係は、第1の当接面から溝部の位置関係に対応させているため、エッジとガスケットとの間における電気的接合を確実に行うことができ、ひいては電磁遮蔽能力を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、電磁波を遮蔽する壁体の一部を構成する電磁シールドパネルについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した電磁シールドパネル1が適用される電磁シールド壁体5の構成を示している。
【0028】
電磁シールド壁体5は、例えば、電磁遮蔽機能力を持たせるシールドビル等に適用される。この電磁シールド壁体5により遮蔽されるシールドビル内の閉空間2は、外部から電磁波の影響を受けることがない、いわゆる電磁遮蔽空間とすることが可能となる。ちなみに、この電磁シールド壁体5は、このようなシールドビルのみならず、電子機器から漏洩する電磁波を正確に測定するための測定施設としての電波暗室、或いは放送スタジオや音楽ホール等をはじめとしたあらゆる電磁波遮蔽空間の壁体に適用されるものである。電磁シールド壁体5は、電磁シールドパネル1を互いに組み合わせることにより構成される。この電磁シールドパネル1は、図中に示される水平方向A、鉛直方向Bにおいて互いに隣接する他の電磁シールドパネル1と接続されて構成されていることになる。
【0029】
図2は、この電磁シールドパネル1の斜視図であり、また図3は、図2に示す電磁シールドパネル1の断面図である。電磁シールドパネル1は、導電性を有する一対の金属板11が互いに対向して設けられ、この一対の金属板11間に充填体12が充填されて構成されている。
【0030】
また、この電磁シールドパネル1の上部の構造は、一対の金属板11の双方の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面13を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて第1の嵌合面14を形成させ、さらにその金属板11の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部15を形成させてなる。各溝部15にはそれぞれガスケット19が充填されている。
【0031】
このようにして一対の金属板11の上端を折り曲げることにより、電磁シールドパネル1の上部の構造は、両端に突出部16が形成されてなるとともに、中央において嵌合凹部17が設けられ、さらにこの嵌合凹部17の下端には、ガスケット19が充填された溝部15が突出部16に隣接するようにして設けられていることになる。このとき充填体12は、金属板11間に加えて、突出部16の内部においてほぼ隙間無く充填されていることになる。また、この充填体12は、嵌合凹部17の下端に至るまで充填されていることになる。
【0032】
また、この電磁シールドパネル1の下部の構造は、一対の金属板11の双方の下端を内側へ略垂直に折り曲げて第2の当接面21を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて第2の嵌合面22を形成させ、さらにその金属板11の先端を一度内側へ略垂直に折り曲げた後、さらに下側へ略垂直に折り曲げることにより、幅Dからなるエッジ23を形成させている。
【0033】
このようにして金属板11の下端を折り曲げることにより、電磁シールドパネル1の下部の構造は、両端において第2の当接面21と第2の嵌合面22とからなる窪み部24が形成されてなるとともに、中央において嵌合凸部25が設けられ、さらにこの嵌合凸部25の下端には、下側に突出された2本のエッジ23が伸びている構成となっている。このとき充填体12は、金属板11間に加えて、嵌合凸部25の内部においてほぼ隙間なく充填された状態となる。
【0034】
また、この電磁シールドパネル1は、電磁鋼板31が、その長手方向が水平方向Aとなるようにして、鉛直方向Bへ所定の間隔を持って複数枚に亘って充填体内部に埋設させてなる。ちなみに、この図3の例では電磁鋼板31を3枚に亘って配設している例を示しているが、これに限定されるものではなく、複数枚であればいかなる枚数で、またいかなる間隔をもって配設されるようにしてもよい。また、この電磁鋼板31は複数枚のみならず、1枚で構成されていてもよい。
【0035】
なお、図4(a)は、この電磁シールドパネル1の上から視認した断面構成を示している。電磁シールドパネル1の側端部には、それぞれ補強材32が設けられている。補強材32は、鋼板をコ字状に折り曲げた、又はロの字に折り曲げたものであって、図4(a)に示すように金属板11の内側に内接させて固定されている。この補強材32には、電磁鋼板31の端部を突出させるための開口33が、その電磁鋼板31の埋設位置に応じて形成されている。電磁鋼板31の端部は、この開口33を介して電磁シールドパネル1の水平方向Aの側端から外部へと突出されていることになる。
【0036】
図4(b)は、電磁鋼板31の幅が広い場合における構成例を示している。補強材32の開口33の幅もこれに伴って拡径されている。
【0037】
次に、この電磁シールドパネル1における各構成の詳細について説明をする。
【0038】
金属板11は、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板としてのガルバリウム鋼板、或いは亜鉛めっき鋼板等が適用される。ガルバリウム鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレスメッキ鋼板等の塗膜は金具との接合部において通常そのまま用いるが、剥離するようにしてもよい。この金属板11には、テフロンコーティング(テフロンは登録商標)、フッ素樹脂コーティング、或いは電気的絶縁材料からなる塗装等は施すことは必須とならない。ちなみに、この金属板11としては、ステンレス鋼板、アルミめっき鋼板等を適用するようにしてもよい。即ち、このような材質からなる金属板11は、安価であり、しかも高い電磁遮蔽能を発揮させることが可能となる。
【0039】
充填体12は、断熱性の材料で構成されていることが望ましいが、いかなる材料で構成されていてもよい。以下の例では、この充填体12につきロックウールで構成される場合を例にとり説明をする。即ち、ロックウールは、玄武岩、鉄鋼スラグ等に石灰等を混合し、高温中で溶解することにより形成する人造鉱物繊維である。なお、この充填体12の例としては、この他にグラスウール、炭化コルクといった繊維系の断熱材を用いるようにしてもよいし、けい酸カルシウムや撥水性パーライト、或いはポリエチレンフォーム等の発泡系断熱材を用いるようにしてもよい。さらにはグラスフォーム等のような発泡無機質系断熱材を適用するようにしてもよい。
【0040】
即ち、この電磁シールドパネル1では、一対の金属板11間に充填体12を充填する構成を基本としている。このため、外部から入射されてきた電磁波は金属板11において反射させることができる。
【0041】
ガスケット19は、弾性材の周囲に高導電性の不織布又は織布を巻き回すことにより構成される。このガスケット19を構成する弾性材は、例えば、ゴムやシリコンを始めスポンジや発泡性プラスチック、ウレタン、ネオプレン(登録商標)、EDPM(エチレンプロピルゴム)等を適用するようにしてもよい。また、ガスケット19として弾性材を適用することにより、後述するように、エッジ23との接触の確実性を向上させることが可能となる。また、このガスケット19において周囲に巻き回されてなる不織布又は織布は、金属メッシュを適用するようにしてもよい。ちなみに、この不織布又は織布の例としては、銀コーティング、ニッケルメッキを施したナイロン繊維、モネル等の特殊金属メッシュ、モネル線等を埋め込んだシリコンゴム、シリコンに銀等の導電性粒子を混入したもの等が適用される。ガスケットとしては、モネル等の特殊金属メッシュをひも状に成形したものであってもよい。
【0042】
電磁鋼板31は、短冊形磁性体で構成され、例えば長手方向の透磁率が横断面方向の透磁率よりも大きい電磁鋼板からなる。この電磁鋼板31を鉛直方向Bに向けて所定の間隔をあけて配設することにより、この電磁鋼板31を鉛直方向Bへすだれ状に配置することが可能となる。電磁鋼板31をすだれ状に配置することにより、全面磁気シールドと実質上同等の磁気シールド効果を得ることができることは、例えば特開平2002−164686号公報において開示されている。本発明においても、磁気シールドに関しては、当該公報に記載されている技術を組み合わせることによりこれを実現するようにしてもよい。ちなみに、最適な磁気シールド効果を得るためには、例えば電磁鋼板31の比透磁率と、電磁鋼板31の断面積の割合が予め調整されていることが必要になる。
【0043】
次に、本発明を適用した電磁シールドパネル1を組み合わせて電磁シールド壁体5を構築する方法について説明をする。
【0044】
最初に、互いに鉛直方向Bに隣接する電磁シールドパネル1を嵌合する方法について図5を用いて詳細に説明をする。
【0045】
先ず図5(a)に示すように、一の電磁シールドパネル1aにおける嵌合凹部17aに対して、他の電磁シールドパネル1bにおける嵌合凸部25bを鉛直方向Bから嵌め込む。このとき、電磁シールドパネル1bにおける第1の嵌合面14bに第2の嵌合面22aを当接させるとともに、この第1の嵌合面14bを第2の嵌合面22aに沿って押し込んでいく。
【0046】
そして図5(b)に示すように、電磁シールドパネル1aにおける第1の当接面13aに、電磁シールドパネル1bにおける第2の当接面21bが当接されるまで押し込まれていくことになる。またこの第1の当接面13aに第2の当接面21bがちょうど当接された状態にあるとき、電磁シールドパネル1bにおけるエッジ23bが電磁シールドパネル1aにおけるガスケット19aに押し込まれていくことになる。ガスケット19aは弾性材により構成されていることから、エッジ23bによる押し込み力を受けて弾性変形することになる。その結果、ガスケット19aとエッジ23bは互いに所定の圧力が負荷された状態で接触された状態で静止することになる。即ち、このガスケット19を弾性材で構成することにより、エッジ23との接触力を向上させることができ、互いを隙間無く確実に接触させることが可能となる。
【0047】
また、この図5(b)に示す状態においては、電磁シールドパネル1bにおける第1の嵌合面14bは、電磁シールドパネル1aにおける第2の嵌合面22aにより密接している状態にあり、嵌合凸部25bは、嵌合凹部17aに嵌合されて固定されている状態にある。特にこの第1の嵌合面14bと第2の嵌合面22aとの間隔を密接させることにより、互いに嵌合された各電磁シールドパネル1a、1bが前後方向に揺動するのを防止することが可能となる。
【0048】
また、本発明では、電磁波の漏洩防止の観点においても所期の効果を得ることができる。外部から入射されてくる電磁波は、特にこの電磁シールドパネル1a、1bの嵌合部を介して内部へと漏洩する危険性があるが、本発明では、先ず第1の当接面13aと第2の当接面21bとを互いに当接された状態にあることから、当該箇所において先ず電磁波の漏洩を防止することができる。また、仮にこの第1の当接面13a、第2の当接面21bにおいて、互いの当接が不十分である箇所が一部にでも存在する場合には、電磁波がそこから内部へ漏洩してしまう可能性が出てくるが、かかる場合においても、本発明では第1の嵌合面14bと第2の嵌合面22aとを密接させていることから、電磁波の漏洩を抑えることができ、さらにそこから漏洩した電磁波は、エッジ23bとガスケット19aを介して反射させることにより内部への漏洩を防止することが可能となる。エッジ23bとガスケット19aは互いに圧接されている状態にあることから、両者間には隙間が形成されることが殆ど無く、漏洩してきた電磁波をほぼ確実に遮蔽することが可能となる。特にガスケット19aは周囲に高導電性の不織布又は織布を巻き回してなることから、これにエッジ23bを圧接させることにより、内部への漏れを強固に抑制し得る電磁遮蔽構造を作り出すことが可能となる。
【0049】
また、本発明では、エッジ23における第2の当接面21からの位置関係は、第1の当接面13から溝部15の位置関係に対応させている。具体的には、図5(b)に示すように、第2の当接面21bからエッジ23b先端までの距離X1は、第1の当接面13aから溝部15a底面までの距離X2並びに溝部15a底面からガスケット19表面までの間隔X3と対応している。ここで距離X1をエッジ23における第2の当接面21からの位置関係とし、距離X2、X3を第1の当接面13から溝部15の位置関係としたとき、少なくともX1>X2−X3で構成されていることが必須となる。その理由として、仮にX1≦X2−X3である場合には、エッジ23がガスケット19に接触しない状況になるためである。また、単にX1>X2−X3を満たしているのみでは足りず、実際にエッジ23がガスケット19に対してどのくらい圧入されていれば、所期の接触圧力を得ることができるかを予め調査した上で、これらX1〜X3が決定されていることが望ましい。より具体的には、エッジ23が圧入されたときにガスケット19の撓みが約30%になる程度に距離X1〜X3が調整されていることが望ましい。
【0050】
また、本発明では、第1の当接面13に対する第1の嵌合面14と、第2の当接面21に対する第2の嵌合面22の位置関係を予め調整しておくことにより、第1の当接面13と第2の当接面21とを突き当てたときに、この第1の嵌合面14と第2の嵌合面22とをほぼ隙間なく当接させることができることから、嵌合時における各部材の上下左右の相対位置を高い精度で確保することが可能となる。
【0051】
特に本発明では、嵌合時において第1の当接面13と第2の当接面21とを当接させることを必須のプロセスとしている。このため、これら互いに当接される第1の当接面13並びに第2の当接面21を基準としてエッジ23と溝部15との位置関係が調整されていれば、ガスケット19に対するエッジ23の所期の接触圧力を得ることが可能となる。
【0052】
なお、第2の当接面21bからエッジ23b先端までの距離X1は、約10mm〜30mm程度で構成されていることが望ましい。この距離X1が10mm以下では、嵌合凸部25の長さが小さくなり、互いに嵌合された各電磁シールドパネル1a、1bの前後方向の揺れに対して対向することができず、またこの距離X1が30mmを超えてしまうと、ガスケット19に対して圧接すべきエッジ23の位置制御性が悪化してしまうためである。
【0053】
また、このエッジ23の幅Dは、例えば、0.3mm〜1.0mmで構成することが望ましい。エッジ23の幅Dが1.0mmを超えてしまうと、これに圧接されるガスケット19の反力が増大し、所望の接合形態を実現することが困難になる。これに対して、エッジ23の幅Dが0.3mm未満では、エッジ23の先端が鋭利になり、これをガスケット19に圧接させたときにそのガスケット19そのものに傷がついてしまうためである。このとき、このガスケット19の周囲に金属メッシュを巻き回して構成した場合には、エッジ23先端の接触に伴うガスケット19の損傷を効果的に防止することが可能となる。
【0054】
次に、互いに水平方向Aに隣接する電磁シールドパネル1を接合する方法について図6を用いて詳細に説明をする。
【0055】
図6に示すように電磁シールドパネル1の端部に設けられる補強材32の開口33からは、電磁鋼板31が突出されている。接合時においては、この水平方向Aに隣接する電磁シールドパネル1からそれぞれ突出されている電磁鋼板31を互いに近接させ、重ね合わせるようにする。
【0056】
次に、この隣接する電磁シールドパネル1間を金具41により固定する。この金具41は、表裏両面に設けられることが望ましく、かかる場合には、ねじ42により2枚の金具41を締め付け固定することが可能となる。金具41は、ハット形で構成されており、金属板11表面に接触可能な面が端部において形成されている。金具41の端部に形成された面を隣接する電磁シールドパネル1における金属板11にそれぞれ密着することにより、金具41の中央部はパネル内側に凹んだ形で固定されることになる。
【0057】
この金具41は、電磁遮蔽を担うものであって、材質は、金属板11と同様のものを適用するようにしてもよい。また、この金具41を電磁シールドパネル1間において表裏両面に配設することにより、これら金具41と補強材42との間で囲まれる空間43が形成されることになる。
【0058】
なお、このハット形の金具41は、互いに外側に凸となるように配置するようにしてもよい、また、この金具41は、上述の如くハット形で構成される場合に限定されるものではなく、平板状に構成されていてもよい。
【0059】
また、金具41と金属板11との間に図示しない導電性を有するガスケットを挟むようにしてもよい。施工の過程において生じたズレにより、金属板11と金具41との間に隙間が空いてしまう場合もあるが、これらの間にガスケットを狭持させることにより、電磁波の漏洩を防止可能とすることができる。
【0060】
外部から入射されてくる電磁波は、特にこの水平方向Aにおいて隣接する電磁シールドパネル1間を通じて内部へと漏洩する危険性があるが、本発明では、電磁遮蔽性能を持つ金具41を設けることにより、当該箇所からの電磁波の漏洩を防止することが可能となる。
【0061】
また、電磁鋼板31の端部を空間43内部まで突出させる構成としているため、水平方向Aに隣接する電磁シールドパネル1間から磁場が漏洩してしまうのを効果的に防止することが可能となる。
【0062】
なお、上述した実施の形態では、金属板11からエッジ23、ガスケット19に至る電磁遮蔽構造をパネル両面に設ける場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、当該電磁遮蔽構造がパネルの片側のみに形成されていれば、所期の効果を実現することができる。但し、金属板11からエッジ23、ガスケット19に至る電磁遮蔽構造をパネル両面に設ける場合については、いわゆる二重遮蔽構造とすることができ、電磁波の漏れをより強固に抑えることができる。
【0063】
更に第2の当接面21b及び第1の当接面13aから進入する電磁波は、電磁シールドパネル1a、1bの端面にも向かうが、図6A−A´断面図としての図7(a)に示すように、エッジ23b、第2の嵌合面22a、ガスケット19aが囲む空間45による導波管効果により遮蔽することも可能となる。
【0064】
第2の当接面21bと第1の当接面13a間、並びに第1の嵌合面14bと第2の嵌合面22a間は、金具41により締め付けられるため密接されており、電磁波が漏洩することは殆ど無い。しかし、必要があれば、第2の当接面21bと第1の当接面13a間、並びに第1の嵌合面14bと第2の嵌合面22a間にメッシュ、ガスケット、導電性不織布・織布等の介装体121を介装するようにしてもよい。これにより、上述の導波管効果を効率よく発揮させることが可能となる。
【0065】
以下、空間45による導波管効果を発揮させるための条件について説明をする。先ず図7(b)に示すように、金具41と、電磁シールドパネル1a、1bとが互いにラップする間隔をWとする。また、図7(c)に示すように、空間45における最大断面巾をgとする。
【0066】
導波管効果を発揮させるためには、このWの条件として、W=(S+x)×g/27を満たす必要がある。ここでSは所要シールド性能(dB)であり、式中のxは、安全率を考慮したものである。本発明では、所期の導波管効果を発揮させるために、この安全率としてのxを0〜40までに設定している。即ち、このWの条件は下記の式で表される。
【0067】
S×g/27<W<(S+40)×g/27
【0068】
また本発明は、いかなる周波数帯域の電磁波が放射される環境においても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明を適用した電磁シールドパネルが適用される電磁シールド壁体の構成図である。
【図2】電磁シールドパネルの斜視図である。
【図3】電磁シールドパネルの断面図である。
【図4】電磁シールドパネルの上から視認した断面構成図である。
【図5】鉛直方向Bに隣接する電磁シールドパネルを嵌合する方法について説明するための図である。
【図6】互いに水平方向Aに隣接する電磁シールドパネルを接合する方法について説明するための図である。
【図7】本発明において導波管効果を発生させる例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0070】
1 電磁シールドパネル
2 閉空間
5 電磁シールド壁体
11 金属板
12 充填体
13 第1の当接面
14 第1の嵌合面
15 溝部
16 突出部
17 嵌合凹部
19 ガスケット
21 第2の当接面
22 第2の嵌合面
23 エッジ
24 窪み部
25 嵌合凸部
31 電磁鋼板
32 補強材
33 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する金属板に充填体が取り付けられ、電磁波を遮蔽する壁体の一部を構成する電磁シールドパネルにおいて、
上記金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、
上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、
上記金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、
上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応していること
を特徴とする電磁シールドパネル。
【請求項2】
導電性を有する一対の金属板が互いに対向して設けられ、上記一対の金属板間に充填体が充填され、電磁波を遮蔽する壁体の一部を構成する電磁シールドパネルにおいて、
上記一対の金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、
上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、
上記一対の金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、
上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応していること
を特徴とする電磁シールドパネル。
【請求項3】
上記嵌合凹部と上記嵌合凸部は、嵌合時において第1の当接面と第2の当接面とを当接させることにより、互いに接触するように構成されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の電磁シールドパネル。
【請求項4】
上記充填体は、その側端部には補強材が設けられていること
を特徴とする請求項1〜3のうち何れかに記載の電磁シールドパネル。
【請求項5】
上記充填体は、電磁鋼板が略水平方向に埋設され、
上記補強材は、上記電磁鋼板の埋設位置に応じて開口が形成されてなるとともに、当該開口を介して上記電磁鋼板の端部が突出されていること
を特徴とする請求項4記載の電磁シールドパネル。
【請求項6】
導電性を有する金属板に充填体が取り付けられている電磁シールドパネルを互いに嵌合させることにより構成される電磁シールド壁体において、
上記電磁シールドパネルは、
上記金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、
上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、
上記金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、
上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応し、
一の上記電磁シールドパネルにおける第1の当接面に、他の上記電磁シールドパネルにおける第2の当接面が当接されてなることにより、一の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凹部が他の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凸部に嵌合され、
一の上記電磁シールドパネルにおける溝部に充填されたガスケットに、他の上記電磁シールドパネルにおけるエッジが圧接していること
を特徴とする電磁シールド壁体。
【請求項7】
導電性を有する一対の金属板が互いに対向して設けられ、上記一対の金属板間に充填体が充填されている電磁シールドパネルを互いに嵌合させることにより構成される電磁シールド壁体において、
上記電磁シールドパネルは、
上記一対の金属板の上端を内側へ略垂直に折り曲げて第1の当接面を形成させ、次に下側へ略垂直に折り曲げて嵌合凹部を形成させるとともに、さらにその金属板の先端をコ字状に折り曲げて上側に開口した溝部を形成させ、
上記溝部には導電性を有するガスケットが充填され、
上記一対の金属板の下端を内側へ略垂直に折り曲げて上記第1の当接面と当接可能な第2の当接面を形成させ、さらに下側へ略垂直に折り曲げて上記嵌合凹部に嵌合可能な嵌合凸部を形成させるとともに、さらにその先端に上記ガスケットに圧接させるためのエッジを形成させ、
上記エッジにおける上記第2の当接面からの位置関係は、上記第1の当接面から上記溝部の位置関係に対応し、
一の上記電磁シールドパネルにおける第1の当接面に、他の上記電磁シールドパネルにおける第2の当接面が当接されてなることにより、一の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凹部が他の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凸部に嵌合され、
一の上記電磁シールドパネルにおける溝部に充填されたガスケットに、他の上記電磁シールドパネルにおけるエッジが圧接していること
を特徴とする電磁シールド壁体。
【請求項8】
上記嵌合凹部と上記嵌合凸部は、第1の当接面と第2の当接面との当接を介して、互いに接触するように構成されていること
を特徴とする請求項6又は7記載の電磁シールド壁体。
【請求項9】
互いに側端部において隣接する一の電磁シールドパネルと他の電磁シールドパネル間には、それぞれ突出された電磁鋼板の端部を覆い、かつ上記金属板端部の鉛直方向全面に亘り密接するように金具が架設されていること
を特徴とする請求項6〜8のうち何れかに記載の電磁シールド壁体。
【請求項10】
上記ガスケットと、上記エッジと、上記金属板が囲む空間における最大断面巾をgとし、さらに電磁シールドパネル1a又は1bと金具(41)が互いにラップする間隔をWとし、さらに所要シールド性能(dB)をSとしたとき、上記Wは、以下の式の範囲となるように調整されていること
S×g/27<W<(S+40)×g/27
を特徴とする請求項6〜9のうち何れかに記載の電磁シールド壁体。
【請求項11】
請求項1〜5の何れかに記載の電磁シールドパネルを互いに嵌合して電磁シールド壁体を構築する電磁シールド壁体の構築方法において、
一の上記電磁シールドパネルにおける第1の当接面に、他の上記電磁シールドパネルにおける第2の当接面を当接することにより、一の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凹部を他の上記電磁シールドパネルにおける嵌合凸部に嵌合し、
一の上記電磁シールドパネルにおける溝部に充填されたガスケットに、他の上記電磁シールドパネルにおけるエッジを圧接させること
を特徴とする電磁シールド壁体の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−46851(P2009−46851A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212916(P2007−212916)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】