説明

電磁バルブ

【課題】、磁力が作用した場合に伸縮磁性弁体の弁孔が絞られるように動作する電磁バルブの提供を目的とする。
【解決手段】本発明の電磁バルブ10は、磁性粉粒体32含有した粘弾性体31に弁孔30Aを貫通形成してなる伸縮磁気弁体30を、バルブ本体19の流路10Aの途中に設け、その伸縮磁気弁体30に対して磁力を付与する電磁石20を備えている。伸縮磁性弁体30に磁力が作用すると、伸縮磁性弁体30が隔壁18に押し付けられて変形し、弁孔30Aが絞られる。直流電流の増加に伴って弁孔30Aの弁開度は小さくなり、弁孔30Aを完全に閉鎖することもできる。そして、伸縮磁性弁体30に作用する磁力が無くなると、伸縮磁性弁体30は原形に復帰して弁孔30Aが元の大きさまで拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粉粒体を含有した粘弾性体に弁孔を貫通形成してなる伸縮磁性弁体を流路の途中に備えて、弁孔の弁開度を電磁石の磁力によって変更可能な電磁バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電磁バルブとして、磁力によって伸縮磁性弁体が弾性変形した場合に弁孔が拡大するように動作するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−287815号公報(段落[0074]、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対し、上述した従来の電磁バルブとは逆の動作、即ち、磁力によって伸縮磁性弁体が弾性変形した場合に弁孔が絞られるように動作する新規な電磁バルブの開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、磁力が作用した場合に伸縮磁性弁体の弁孔が絞られるように動作する電磁バルブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る電磁バルブ(10)は、磁性粉粒体(32)を含有した粘弾性体(31)に弁孔(30A)を貫通形成してなる伸縮磁性弁体(30)を、バルブ本体(19)に形成した流路(10A)の途中に設けて、流体が弁孔(30A)を通過して流路(10A)内を流れるように構成し、電磁石(20)の磁力によって伸縮磁性弁体(30)を弾性変形させて弁孔(30A)の弁開度を変更可能とした電磁バルブ(10)において、バルブ本体(19)に、伸縮磁性弁体(30)の一端面に当接した弁体端面当接部(18)と、伸縮磁性弁体(30)の側面に密着して伸縮磁性弁体(30)の側面における流体の通過を防止すると共に伸縮磁性弁体(30)の側方への変形を規制する弁体側面当接部(11)とを形成し、電磁石(20)の磁力によって、伸縮磁性弁体(30)を弁体端面当接部(18)に押し付けて変形させることで弁孔(30A)が絞られるように構成したところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電磁バルブ(10)において、電磁石(20)に通電する直流電流の大きさを制御して、弁孔(30A)を通過する流体の流量の任意に変更可能としたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電磁バルブ(10)において、電磁石(20)は、ソレノイド(21)の内側に鉄心(22)を設けてなり、鉄心(22)の軸心に中心孔(22A)を貫通形成し、その中心孔(22A)で流路(10A)の一部を構成すると共に、鉄心(22)の一端面に弁体端面当接部(18)を配置して伸縮磁性弁体(30)の一端面を当接させたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の電磁バルブ(10)において、ソレノイド(21)の内側に磁性体で構成された支持パイプ(11)を配置して、その支持パイプ(11)内の一端から一端寄り位置に亘って伸縮磁性弁体(30)を嵌合すると共に、支持パイプ(11)内の一端寄り位置から他端に亘って鉄心(22)を嵌合し、ソレノイド(21)の外側に嵌合された外筒部(15)と、ソレノイド(21)の両端面に宛がわれた1対の端面プレート部(16,17)とを有したヨーク(12)を設け、一方の端面プレート部(16)が、鉄心(22)のうち伸縮磁性弁体(30)と反対側の端部に接続される一方、支持パイプ(11)のうち伸縮磁性弁体(30)が内側に嵌合された一端部(11B)をソレノイド(21)の一端面から突出させて、その突出部分に他方の端面プレート部(17)が接続されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
[請求項1の発明]
請求項1の発明によれば、磁力が作用していない場合、伸縮磁性弁体(30)は原形を留める。このとき弁孔(30A)の弁開度は全開であり、この弁孔(30A)を通過して流路(10A)内を流体が流れる。一方、伸縮磁性弁体(30)に磁力が作用すると、伸縮磁性弁体(30)が弁体端面当接部流路(18)に押し付けられて変形する。このとき伸縮磁性弁体(30)の側方への変形が弁体側面当接部(11)によって規制されているので、伸縮磁性弁体(30)を構成する粘弾性体(31)が弁孔(30A)の内側に迫り出して弁孔(30A)が絞られる。また、伸縮磁性弁体(30)に作用する磁力が無くなると、伸縮磁性弁体(30)は原形に復帰して弁孔(30A)が元の大きさまで拡大する。
【0011】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、電磁石(20)に流す直流電流を制御することで弁孔(30A)の大きさを調節し、流体の流量を任意に変更することが可能になる。
【0012】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、ソレノイド(21)への通電により、鉄心(22)と同軸上に配置された伸縮磁性弁体(30)が鉄心(22)に引き寄せられ、弁体端面当接部(18)に押し付けられて変形する。ソレノイド(21)の内側に鉄心(22)を設けたので、鉄心(22)を設けない場合に比べてソレノイド(21)の内側における磁束密度が向上する。これにより、伸縮磁性弁体(30)を変形させて弁孔(30A)を絞るために必要な電流を抑えたり、ソレノイド(21)の軽量化を図ることができる。換言すれば、消費電力及びソレノイド(21)の重量を増加させることなく、伸縮磁性弁体(30)に作用する磁力を強化することができる。
【0013】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、鉄心(22)、支持パイプ(11)、伸縮磁性弁体(30)及びヨーク(12)によってループ状の磁路が構成されるから、ヨーク(12)を備えないものに比べて磁気回路の磁気抵抗が減少する。これにより、伸縮磁性弁体(30)を変形させて弁孔(30A)を絞るために必要な電流を更に抑えたり、ソレノイド(21)の更なる軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る電磁バルブの側断面図
【図2】(A)無通電時における伸縮磁気弁体の側断面図、(B)弁孔が絞られた状態の伸縮磁気弁体の側断面図、(C)弁孔が閉鎖した状態の伸縮磁気弁体の側断面図
【図3】変形例に係る電磁バルブの(A)側断面図、(B)ヨーク底面図
【図4】変形例に係る電磁バルブの側断面図
【図5】変形例に係る電磁バルブの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電磁バルブ10の一実施形態を、図1及び図2に基づいて説明する。図1に示すように、電磁バルブ10は、内部に流路10Aを有したバルブ本体19を備えている。バルブ本体19のうち流路10Aの両端には、流体配管に接続するための接続部19A,19Aを備えている。
【0016】
バルブ本体19の内部には、支持パイプ11、電磁石20及び伸縮磁性弁体30が収容されている。支持パイプ11は磁性体で構成され、流路10Aと同軸上で延びた円筒形をなしている。
【0017】
電磁石20は、ソレノイド21の内側に鉄心22を設けてなる。ソレノイド21は、絶縁材料で形成された円筒状のボビン23に絶縁導線を巻回して構成されている。ボビン23は支持パイプ11の外側に嵌合しており、支持パイプ11の上流側端部11Bを除く全体がソレノイド21によって包囲されている。なお、図示しないが、ソレノイド21には可変抵抗器を介して直流電源が接続されている。
【0018】
鉄心22は、支持パイプ11の内面に密着した状態で嵌合されている。詳細には、鉄心22は、支持パイプ11の下流側端部11Aから上流側端部11B寄り位置まで延びている。鉄心22の軸心には、流路10Aの一部を構成する中心孔22Aが形成されている。中心孔22Aの断面は円形であり、軸方向で内径が一定になっている。なお、鉄心22の材質は、鉄に限定するものではない。
【0019】
ソレノイド21は筒状のヨーク12によって包囲されている。ヨーク12は、ソレノイド21の外側に嵌合された円筒形の外筒部15と、ソレノイド21の両端面に宛がわれた1対の端面プレート部16,17とから構成されている。1対の端面プレート部16,17は、外筒部15の両端部から径方向内側に向かって張り出している。
【0020】
下流側の端面プレート部16は、鉄心22のうち伸縮磁性弁体30とは反対側の端部に接続されている。一方、上流側の端面プレート部17は、ソレノイド21から突出した支持パイプ11の上流側端部11Bに接続されている。ここで、ヨーク12のうち、下流側の端面プレート部16は、外筒部15及び鉄心22に一体形成されており、上流側の端面プレート部17は、外筒部15の内側にソレノイド21を嵌合させた後で、外筒部15の端部に溶接されている。
【0021】
鉄心22の先端面には隔壁18が当接している。隔壁18は支持パイプ11の内周面から中心に向かって張り出した円板状をなしている。隔壁18は非磁性体(例えば、樹脂)で構成され、支持パイプ11に一体形成又は支持パイプ11とは別部品で構成されている。隔壁18の中心部には、中心孔22Aと略同径の連通孔18Aが貫通形成されている。また、連通孔18Aのうち次述する伸縮磁性弁体30側の開口縁はR面取り形状になっている。なお、隔壁18は、本発明の「弁体端面当接部」に相当する。
【0022】
支持パイプ11の上流側端部11B側、即ち、隔壁18を挟んで鉄心22とは反対側には円柱状の弁体受容空間が形成され、ここに伸縮磁性弁体30が嵌合されている。伸縮磁性弁体30は、粘弾性体31(例えば、シリコーンゴム又はシリコーンゲル)に磁性粉粒体32(例えば、カルボニル鉄又はフェライト)を均一に分散させかつ固定化したものである。詳細には、液状にした粘弾性体31と磁性粉粒体32とを所定の比率で減圧脱泡しながら均一に撹拌し、その混合物を成形型に充填して加熱硬化させることで製造されたものである。なお、粘弾性体31は、シリコーンゴム又はシリコーンゲルに限定されるものではなく、磁性粉粒体32は、カルボニル鉄又はフェライトに限定されるものではない。
【0023】
伸縮磁性弁体30の原形は、弁体受容空間に対応して円柱構造をなしており、その外周面が支持パイプ11の内周面に密着して伸縮磁性弁体30の側面における流体の通過を防止している。また、伸縮磁性弁体30の軸方向の一端面は隔壁18に密着している。なお、支持パイプ11(詳細には、伸縮磁性弁体30が嵌合した上流側端部11B)は、本発明の「弁体側面当接部」に相当する。
【0024】
ここで、伸縮磁性弁体30の脱落や位置ずれを防止するために、伸縮磁性弁体30の外周面を接着剤によって支持パイプ11の内周面に固着させてもよいし、伸縮磁性弁体30の端面を接着剤によって隔壁18に固着させてもよい。
【0025】
伸縮磁性弁体30の軸心には流体が通過可能な弁孔30Aが貫通形成されている。伸縮磁性弁体30が原形のときの弁孔30Aの断面は円形であり、その内径は伸縮磁性弁体30の軸方向で一定でかつ中心孔22A及び連通孔18Aより小径になっている。
【0026】
そして、伸縮磁性弁体30は電磁石20の磁力が作用すると、次述するように弾性変形する。以上が、電磁バルブ10の構成に関する説明である。
【0027】
次に、電磁バルブ10の動作について説明する。ソレノイド21への通電が行われていない場合、伸縮磁性弁体30に磁力が作用しないので、伸縮磁性弁体30は原形を留める。このとき、伸縮磁性弁体30の弁孔30Aは、図2(A)に示すように全開である。
【0028】
ソレノイド21への通電が行われると、支持パイプ11内を軸方向に貫通した磁束が発生する。このとき、鉄心22、支持パイプ11、伸縮磁性弁体30及びヨーク12がループ状の磁路を構成し、磁束は、鉄心22の軸方向に延びて支持パイプ11内を貫き、伸縮磁性弁体30、支持パイプ11、上流側の端面プレート部17、外筒部15、下流側の端面プレート部16を通って鉄心22に帰還する。
【0029】
このとき、伸縮磁性弁体30を鉄心22側に引き寄せる磁力が発生し、伸縮磁性弁体30は隔壁18に押し付けられて弾性変形する。詳細には、伸縮磁性弁体30は、径方向外側への変形が支持パイプ11によって規制されているので、図2(B)に示すように、隔壁18に近づくに従って弁孔30Aの内側に迫り出すように弾性変形して、弁孔30Aの下流端が絞られる。
【0030】
ここで、連通孔18Aのうち、伸縮磁性弁体30側の開口縁はR面取り形状になっているので、隔壁18に押し付けられた伸縮磁性弁体30に連通孔18Aの開口縁が食い込むことを防止することができ、延いては、伸縮磁性弁体30の傷付きを防止することができる。
【0031】
弁孔30Aの収縮部分(下流端)における内径(以下、「弁開度」という)は、ソレノイド21に流す直流電流の大きさで変更することができる。即ち、直流電流を減少させることで弁孔30Aの弁開度を大きくすることができる一方、直流電流を増加させることで弁孔30Aの弁開度を小さくすることができる。そして、直流電流を所定値以上に大きくすると、図2(C)に示すように、弁孔30Aの下流端が閉鎖される。即ち、伸縮磁性弁体30によって流量を制御すると共に、流体の流れを遮断することができる。ソレノイド21への通電が停止して伸縮磁性弁体30に磁力が作用しなくなると、粘弾性体31の弾発力により伸縮磁性弁体30が原形に復帰し、弁孔30Aが全開状態に戻される(図2(A)参照)。
【0032】
このように本実施形態によれば、磁力が作用していない場合、伸縮磁性弁体30は原形を留め、弁孔30Aが全開となる。一方、伸縮磁性弁体30に磁力が作用すると、伸縮磁性弁体30が隔壁18に押し付けられて変形し、弁孔30Aが絞られる。直流電流の増加に伴って弁孔30Aの弁開度は小さくなり、弁孔30Aを完全に閉鎖することもできる。そして、伸縮磁性弁体30に作用する磁力が無くなると、伸縮磁性弁体30は原形に復帰して弁孔30Aが元の大きさまで拡大する。
【0033】
また、ソレノイド21に流す直流電流の大きさを制御することで弁孔30Aの弁開度を制御することができ、弁孔30Aを通過する流体の流量及び流体圧を任意に変更することができる。さらに、ソレノイド21の中心に鉄心22が挿入されたので鉄心22を設けない場合に比べて支持パイプ11内における磁束密度が向上する。これにより、伸縮磁性弁体30を変形させて弁孔30Aを絞るために必要な直流電流を抑えたり、ソレノイド21の軽量化を図ることができる。換言すれば、消費電力及びソレノイド21の重量を増加させることなく、伸縮磁性弁体30に作用する磁力を強化することができる。
【0034】
なお、ソレノイド21に流す直流電流が抑えられると、ソレノイド21の発熱が軽減され、ソレノイド21に対する強制冷却手段を省くことが可能になる。また、磁力を強化することができれば、より粘弾性の高い(硬い)粘弾性体31を伸縮磁性弁体30に使用することが可能となり、粘弾性体31の選択の自由度が高まる。また、粘弾性の高い粘弾性体31を伸縮磁性弁体30に使用することで耐圧性の向上を図ることができる。
【0035】
さらに、鉄心22、支持パイプ11、ヨーク12及び伸縮磁性弁体30によりループ状の磁路が構成されるから、磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができる。これにより、伸縮磁性弁体30を変形させて弁孔30Aを絞るために必要な直流電流を更に抑えたり、ソレノイド21の更なる軽量化を図ることができる。
【0036】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0037】
(1)前記実施形態では、鉄心22が支持パイプ11の内面に密着した状態で嵌合され、鉄心22を貫通した中心孔22A内を流体が通過可能となっていたが、図3(A)に示すように、鉄心22を支持パイプ11内に遊嵌する細軸状にして、支持パイプ11の内周面と鉄心22の外側面との間の隙間を流体が通過するようにすると共に、同図(B)に示すように端面プレート部16に流体が通過可能な流体通過孔13を貫通形成してもよい。
【0038】
(2)上記実施形態では、鉄心22の先端と伸縮磁性弁体30との間に、「弁体端面当接部」としての隔壁18を備えていたが、隔壁18を設けずに鉄心22の先端を伸縮磁性弁体30に当接させた構成にしてもよい。この場合、鉄心22の先端が本発明の「弁体端面当接部」に相当する。
【0039】
(3)前記実施形態では、伸縮磁性弁体30に突き合わされた鉄心22の先端部がソレノイド21の内側に没入していたが、例えば、図4に示すように、鉄心22の両端部をソレノイド21の両端面から突出させて、そのソレノイド21から突出した一方の端部に伸縮磁性弁体30を重ねて配置してもよい。
【0040】
(4)図5に示すように、バルブ本体19にL字状に屈曲した流路10Aを形成して、L字における一方の直線部の途中に伸縮磁性弁体30を配設すると共に、隔壁18及び流路10Aの屈曲部を挟んで伸縮磁性弁体30とは反対側に電磁石20を配置し、磁力によって伸縮磁性弁体30を電磁石20側に引き寄せ、隔壁18側に押し付けて変形させることで、弁孔30Aが絞られるようにように構成してもよい。
【0041】
(5)前記実施形態では、鉄心22を備えていたが、鉄心22を備えていなくてもよい。
【0042】
(6)前記実施形態では、ヨーク12を備えていたがヨーク12を備えていなくてもよい。
【0043】
(7)前記実施形態では、弁孔30A、連通孔18A、中心孔22Aがそれぞれ1つずつであったが、鉄心22に、その軸方向に沿って延びたに複数の貫通孔を設けると共に、それら各貫通孔に対応させて、弁孔30A及び連通孔18Aをそれぞれ複数ずつ設けてもよい。
【0044】
(8)前記実施形態では、伸縮磁性弁体30が上流側に配置されるように電磁バルブ10を流体配管に接続した場合を例示したが、伸縮磁性弁体30が下流側に配置されるように電磁バルブ10を流体配管に接続してもよい。但し、伸縮磁性弁体30が磁力で引き寄せられる方向と、弁孔30Aに流れ込む流体の流れの方向とが一致するように配置すること、即ち、前記実施形態のように、伸縮磁性弁体30が上流側になるように配置することが好ましい。
【0045】
(9)上記実施形態では、連通孔18Aのうち伸縮磁性弁体30側の開口縁がR面取り形状になっていたが、テーパー状の面取り形状にしても、伸縮磁性弁体30への開口縁の食い込みを防止することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 電磁バルブ
10A 流路
11 支持パイプ(弁体側面当接部)
12 ヨーク
15 外筒部
16,17 端面プレート部
18 隔壁(弁体端面当接部)
19 バルブ本体
20 電磁石
21 ソレノイド
22 鉄心
22A 中心孔
30 伸縮磁性弁体
30A 弁孔
31 粘弾性体
32 磁性粉粒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粉粒体(32)を含有した粘弾性体(31)に弁孔(30A)を貫通形成してなる伸縮磁性弁体(30)を、バルブ本体(19)に形成した流路(10A)の途中に設けて、流体が前記弁孔(30A)を通過して前記流路(10A)内を流れるように構成し、電磁石(20)の磁力によって前記伸縮磁性弁体(30)を弾性変形させて前記弁孔(30A)の弁開度を変更可能とした電磁バルブ(10)において、
前記バルブ本体(19)に、前記伸縮磁性弁体(30)の一端面に当接した弁体端面当接部(18)と、前記伸縮磁性弁体(30)の側面に密着して前記伸縮磁性弁体(30)の側面における流体の通過を防止すると共に前記伸縮磁性弁体(30)の側方への変形を規制する弁体側面当接部(11)とを形成し、
前記電磁石(20)の磁力によって、前記伸縮磁性弁体(30)を前記弁体端面当接部(18)に押し付けて変形させることで前記弁孔(30A)が絞られるように構成したことを特徴とする電磁バルブ(10)。
【請求項2】
前記電磁石(20)に通電する直流電流の大きさを制御して、前記弁孔(30A)を通過する流体の流量の任意に変更可能としたことを特徴とする請求項1に記載の電磁バルブ(10)。
【請求項3】
前記電磁石(20)は、ソレノイド(21)の内側に鉄心(22)を設けてなり、
前記鉄心(22)の軸心に中心孔(22A)を貫通形成し、その中心孔(22A)で前記流路(10A)の一部を構成すると共に、前記鉄心(22)の一端面に前記弁体端面当接部(18)を配置して前記伸縮磁性弁体(30)の一端面を当接させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁バルブ(10)。
【請求項4】
前記ソレノイド(21)の内側に磁性体で構成された支持パイプ(11)を配置して、その支持パイプ(11)内の一端から一端寄り位置に亘って前記伸縮磁性弁体(30)を嵌合すると共に、前記支持パイプ(11)内の一端寄り位置から他端に亘って前記鉄心(22)を嵌合し、
前記ソレノイド(21)の外側に嵌合された外筒部(15)と、前記ソレノイド(21)の両端面に宛がわれた1対の端面プレート部(16,17)とを有したヨーク(12)を設け、
一方の前記端面プレート部(16)が、前記鉄心(22)のうち前記伸縮磁性弁体(30)と反対側の端部に接続される一方、前記支持パイプ(11)のうち前記伸縮磁性弁体(30)が内側に嵌合された一端部(11B)を前記ソレノイド(21)の一端面から突出させて、その突出部分に他方の前記端面プレート部(17)が接続されたことを特徴とする請求項3に記載の電磁バルブ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−158025(P2011−158025A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19908(P2010−19908)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】