説明

電磁弁マニホールド

【課題】シリンダポートの位置を変更することができる電磁弁マニホールドを提供する。
【解決手段】バルブブロック20及び給排気ブロック11は、互いの連結面となる左右の側面11a,20aが正方形状なす四角ブロック状に形成されている。そして、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの中心には集中給気流路14,24が形成されるとともに、集中給気流路14,24の周りには正方形の辺数と同数の集中排気流路15,25が等間隔ピッチで形成されている。さらに、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aには、集中給気流路14,24と集中排気流路15,25との間をシールするシール部材17,28が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電磁弁マニホールドとして、例えば特許文献1に開示のものがある。特許文献1の電磁弁マニホールドは、複数連結されたバルブブロックと、複数のバルブブロックのうちの一端に位置するバルブブロックに連結される給排気ブロックと、複数のバルブブロックのうちの他端及び給排気ブロックに連結される二つのエンドブロックとから構成されている。
【0003】
各バルブブロックは直方体状をなすとともに、一端面(一側面)には一対のシリンダポートが開口しており、各シリンダポートには直管状の継手(ストレート管継手)が埋設されている。そして、このシリンダポートに対向する位置に配置された流体圧機器に対し、継手を介してシリンダポートが配管接続されている。また、各バルブブロックには、給気通路及び排気通路が形成されている。給排気ブロックは直方体状をなすとともに、一端面(一側面)には給気ポート(供給ポート)及び排気ポート(排出ポート)が開口しており、各ポートには直管状の継手が埋設されている。また、給排気ブロックには、給気通路及び排気通路が形成されている。
【0004】
そして、外部から配管を介して給気ポートに給気が送り込まれると、給気は給排気ブロックの給気通路を介して各バルブブロックの給気通路へ供給される。すると、一方のシリンダポートから給気が流体圧機器へ出力されるとともに、他方のシリンダポートへの排気は、各バルブブロックの排気通路を介して給排気ブロックの排気通路へ流れる。そして、給排気ブロックの排気通路へ流れた排気は、給排気ブロックの排気ポートから外部(例えば排気用配管)へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−313488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の電磁弁マニホールドでは、流体圧機器の位置が変更されると、シリンダポートの位置が、流体圧機器と対向する位置ではなくなり、シリンダポートに埋設されたストレート管継手のままでは、位置変更された流体圧機器とシリンダポートとを配管で接続させることができなくなる。この場合は、ストレート管継手を、例えば、位置変更された流体圧機器に向けて延びる屈曲形成された継手(エルボ管継手)に交換して、シリンダポートと流体圧機器とを配管で接続しなければならず、シリンダポートと流体圧機器とを接続させるために他の部品が必要になり、コストが嵩んでしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、シリンダポートの位置を変更することができる電磁弁マニホールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シリンダポートが複数設けられるとともに前記シリンダポートと同数の電磁弁が搭載される複数のバルブブロックと、前記バルブブロックに連結されるとともに、前記バルブブロックに対し流体を供給する供給ポート、及び前記バルブブロックから排出された前記流体を排出する排出ポートが形成される給排気ブロックと、が連結機構により連結され、前記給排気ブロックには、前記供給ポートに連通する集中給気流路、及び前記排出ポートに連通する集中排気流路が形成されるとともに、前記バルブブロックには、前記給排気ブロックの集中給気流路及び前記シリンダポートに連通する集中給気流路と、前記給排気ブロックの集中排気流路及び前記シリンダポートに連通する集中排気流路とが形成される電磁弁マニホールドであって、前記バルブブロック及び前記給排気ブロックそれぞれは互いの連結面が正多角形状をなすブロック状に形成され、各連結面の中央部の周りには、前記集中給気流路及び前記集中排気流路うちのいずれか一方が等間隔ピッチで前記正多角形の辺数と同数形成されるとともに、他方が前記正多角形の一角度ずつ相対回転させたときに連通を維持できる位置に形成され、前記連結面それぞれには、前記集中給気流路と前記集中排気流路との間をシールするシール部材が配設されていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各連結面の中央部には、一つの前記集中給気流路及び前記集中排気流路のいずれか一方が形成されるとともに、該一方の流路の周りに前記正多角形の辺数と同数の他方の流路が等間隔ピッチで形成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記連結機構は、前記連結面それぞれの隅部に形成されるとともに前記中央部の周りに等間隔ピッチで設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、シリンダポートの位置を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態における電磁弁マニホールドを示す斜視図。
【図2】バルブブロックの一端面側を示す平面図。
【図3】バルブブロックの縦断面図。
【図4】(a)は各バルブブロックと給排気ブロックとの連結状態を解除した状態を示す斜視図、(b)はバルブブロックを回転させた後に各バルブブロックと給排気ブロックとを連結させた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明において、電磁弁マニホールド10の給排気ブロック11において、供給ポート12及び排出ポート13が設けられた側面を前面とし、この前面を基準として「前」「後」「上」「下」「左」「右」を示すものとする。
【0014】
図1に示すように、電磁弁マニホールド10に対し流体としてのエアの給排を集中的に行う給排気ブロック11は、四角ブロック状に形成されるとともに、電磁弁マニホールド10の右側に配置されている。図4(a)に示すように、給排気ブロック11の左右両側面11aそれぞれは正方形状に形成されるとともに、左右両側面11aの中央部には、集中給気流路14が給排気ブロック11を左右方向(厚み方向)に貫通して形成されている。また、左右両側面11aにおいて、集中給気流路14の周りには、4つの集中排気流路15が給排気ブロック11を左右方向(厚み方向)に貫通するとともに、集中給気流路14の周方向に沿って等間隔おき(本実施形態では90度おき)に形成されている。
【0015】
給排気ブロック11の左側の側面11aには、ゴム製のシール部材17が集中給気流路14及び集中排気流路15を取り囲むように装着されている。詳細には、シール部材17は、集中給気流路14を取り囲むように略V字環状に形成された第1シール部17aと、3つの集中排気流路15を取り囲むように略U字環状に形成された第2シール部17bと、残りの1つの集中排気流路15を取り囲むように円環状に形成された第3シール部17cとが一体化されて形成されている。
【0016】
また、給排気ブロック11の左側の側面11aにおいて、第2シール部17bに囲まれた領域には、3つの集中排気流路15を連通させる連通部16が凹設されている。そして、集中給気流路14は第1シール部17aによって、他の流路からシールされているとともに、3つの集中排気流路15は第2シール部17bによって、他の流路からシールされている。また、1つの集中排気流路15は、第3シール部17cによって、他の流路からシールされている。
【0017】
給排気ブロック11の前面11b上部には、円筒状をなす供給ポート12が集中給気流路14に連通した状態で立設されるとともに、前面11bの下部には、円筒状をなす排出ポート13が集中排気流路15に連通した状態で立設されている。供給ポート12及び排出ポート13それぞれには、配管接続用の直管状をなす継手12a,13aが接続されている。また、給排気ブロック11において、左右の両側面11aの四隅部となる位置それぞれには、連結孔18が給排気ブロック11を左右方向(厚み方向)に貫通して形成されている。すなわち、連結孔18は、集中給気流路14の周りに等間隔ピッチ(90°おき)で形成されている。
【0018】
図1に示すように、電磁弁マニホールド10において、給排気ブロック11の左側の側面11aには、給排気ブロック11からのエアの給排が行われるバルブブロック20が互いに接合された状態で複数並べられている。図4(a)に示すように、各バルブブロック20は、四角ブロック状に形成されるとともに、給排気ブロック11又は別のバルブブロック20との連結面となる左右両側面20aそれぞれは、給排気ブロック11の左右両側面11aと同サイズの正方形状に形成されている。なお、給排気ブロック11の左側の側面11aは、バルブブロック20の右側の側面11aが連結される連結面として機能する。
【0019】
図3の右側に示すように、バルブブロック20において、矩形板状のポート形成ブロック31には4つのシリンダポート32が立設されるとともに、各シリンダポート32には配管接続用の直管状をなす継手32aが接続されている。また、ポート形成ブロック31には、各シリンダポート32に連通するポート連通路31aが形成されている。このバルブブロック20のポート形成ブロック31には、各種流路を形成するT字状の流路形成ブロック21が接合されている。流路形成ブロック21において、ポート形成ブロック31に接合される接合部22は矩形板状をなすとともに、この接合部22の長さ方向中央部からは矩形板状の取付部23が延設されている。
【0020】
取付部23の接合部22からの突出方向の先端面には、第1電磁弁41A及び第2電磁弁41Bが取付けられるとともに、取付部23の突出方向に直交する方向の両側面のうち一方には第3電磁弁41Cが取付けられ、他方には第4電磁弁41Dが取付けられている。これら第1〜第4電磁弁41A〜41Dは、コ字状をなす電磁弁カバー40によって覆われている。そして、バルブブロック20は、ポート形成ブロック31と、流路形成ブロック21と、4つの電磁弁41A〜41Dと、電磁弁カバー40とが一体化されて構成されている。
【0021】
なお、第1〜第4電磁弁41A〜41Dは全て同じ構成であるため、第3電磁弁41Cを例に挙げて説明し、その他の電磁弁41A,41B,41Dの説明は省略するとともに、第3電磁弁41Cと同じ部材番号を付す。第3電磁弁41Cにおいて、合成樹脂材料により有底四角筒状に形成されたボンネット42a内には、磁性材料で形成された磁気カバー42bが内嵌されている。磁気カバー42bの内面にはソレノイドコイル43が固定されるとともに、ソレノイドコイル43内には、プランジャ44が往復動可能に支持されている。また、プランジャ44はソレノイドコイル43のヨークを支点とするコイルスプリング44aの付勢力により、ソレノイドコイル43外に向かって付勢されている。そして、ソレノイドコイル43が励磁されると、プランジャ44はコイルスプリング44aの付勢力に抗してソレノイドコイル43内に向かって移動するようになっている。
【0022】
図3において拡大して示すように、磁気カバー42bに一体化された弁ボディ45内には弁室46が区画されるとともに、弁室46内にはゴム製の弁体47が配設されている。弁室46において、弁体47の一端面側には第1弁座46aが設けられるとともに、弁体47の他端面側には第2弁座46bが設けられている。弁体47の一端面と、この一端面に対向するプランジャ44との間には、弁ガイド(図示せず)が設けられるとともに、弁体47の他端面と、この他端面に対向する弁室46の内面との間には、弁付勢バネ48が配設されている。
【0023】
また、弁ボディ45には、第1弁座46aの内側を貫通して弁室46に連通する給気孔49が形成されるとともに、第2弁座46bの内側を貫通して弁室46に連通する排気孔50が形成されている。さらに、弁ボディ45には、弁室46に連通する出力孔51が形成されている。
【0024】
上記第1〜第4電磁弁41A〜41Dが取り付けられた取付部23において、バルブブロック20の左右両側面20aの中央部となる位置には、集中給気流路24が取付部23(バルブブロック20)を左右方向(厚み方向)に貫通して形成されている。また、取付部23において、集中給気流路24の周りには、4つの集中排気流路25が取付部23(バルブブロック20)を左右方向(厚み方向)に貫通するとともに、集中給気流路24の周方向に沿って等間隔おき(本実施形態では90度おき)に形成されている。
【0025】
図2に示すように、バルブブロック20の左側の側面20aである取付部23の側面には、ゴム製のシール部材28が集中給気流路24及び集中排気流路25を取り囲むように装着されている。シール部材28は、集中給気流路24を取り囲むように略V字環状に形成された第1シール部28aと、3つの集中排気流路25を取り囲むように略U字環状に形成された第2シール部28bと、残りの1つの集中排気流路25を取り囲むように円環状に形成された第3シール部28cとが一体化されて形成されている。
【0026】
また、バルブブロック20の左側の側面20aである取付部23の側面において、第2シール部28bに囲まれた領域には、3つの集中排気流路25を連通させる連通部27が凹設されている。また、第1シール部28aに囲まれた領域において、集中給気流路24の両側には連通口26が形成されている。そして、集中給気流路24は第1シール部28aによって、他の流路からシールされるとともに、3つの集中排気流路25は第2シール部28bによって、他の流路からシールされている。また、1つの集中排気流路25は、第3シール部28cによって、他の流路からシールされている。
【0027】
図3に示すように、取付部23には、第1及び第2電磁弁41A,41Bに形成された給気孔49と、集中給気流路24とを連通させる給気通路29aが形成されるとともに、第3及び第4電磁弁41C,41Dに形成された給気孔49と、連通口26とを連通させる給気通路29bが形成されている。よって、第3及び第4電磁弁41C,41Dに形成された給気孔49は、給気通路29b、連通口26、及び第1シール部28aに囲まれた領域を介して集中給気流路24に連通している。
【0028】
また、取付部23には、第1〜第4電磁弁41A〜41Dに形成された排気孔50と、4つの集中排気流路25のうちの二つと連通させる排気通路29cが形成されている。さらに、取付部23には、第1〜第4電磁弁41A〜41Dに形成された出力孔51と、各シリンダポート32とを連通させる連通通路29dが形成されている。
【0029】
バルブブロック20の四隅部(電磁弁カバー40の2つの角部、及びポート形成ブロック31の2つの端部)には、連結孔40aがバルブブロック20の左右方向(厚み方向)に貫通して形成されている。これら4つの連結孔40aは、バルブブロック20の左右両側面20aの集中給気流路24周りに等間隔ピッチで4つ設けられている。
【0030】
そして、図1に示すように、給排気ブロック11の供給ポート12及び排出ポート13に対し、全てのバルブブロック20のシリンダポート32が同一平面(前面)上で並ぶように、給排気ブロック11に対しバルブブロック20を並べる。それらバルブブロック20の連結孔40aと給排気ブロック11の連結孔18とに連結ロッド(図示せず)を挿通すると、給排気ブロック11と複数のバルブブロック20が互いに連結される。よって、本実施形態では、各連結孔18,40a及び連結ロッドにより連結機構が構成されている。
【0031】
さらに、連結された状態の給排気ブロック11の右側の側面11aにエンドブロック60を取り付けるとともに、最も左に位置するバルブブロック20の左側の側面20aにエンドブロック61を取り付ける。すると、給排気ブロック11の右側の側面11a、最も左に位置するバルブブロック20の左側の側面20aに開口する集中給気流路14,24及び集中排気流路15,25の開口部が、エンドブロック60,61により閉塞される。
【0032】
上記構成の電磁弁マニホールド10において、供給源から配管を介して供給ポート12にエアが供給されると、給排気ブロック11の給気通路を介して給排気ブロック11の集中給気流路14にエアが流入する。すると、給排気ブロック11の集中給気流路14に流入したエアは、各バルブブロック20の集中給気流路24に流入する。そして、集中給気流路24のエアは、各給気通路29aを介して第1及び第2電磁弁41A,41Bに形成された給気孔49へ供給されるとともに、連通部27、連通口26及び各給気通路29bを介して第3及び第4電磁弁41C,41Dに形成された給気孔49へ供給される。
【0033】
第1〜第4電磁弁41A〜41Dのソレノイドコイル43に対して通電されると、ソレノイドコイル43が励磁されて、プランジャ44がソレノイドコイル43内に向かって移動するとともに、弁体47が第1弁座46aから第2弁座46bに着座する。これにより、給気孔49と出力孔51とが連通し、給気孔49に供給されたエアが、出力孔51、連通通路29d、シリンダポート32及び配管を介してシリンダポート32と対向配置された流体圧機器に出力される。
【0034】
流体圧機器に対するエアの出力が終わると、ソレノイドコイル43に対する通電が終わり、プランジャ44が元の位置に復帰するとともに、弁体47が第2弁座46bから第1弁座46aに着座し、出力孔51と排気孔50とが連通した状態になる。ここで、流体圧機器側からの排気が、配管、シリンダポート32、及び連通通路29dを介して出力孔51に向けて流入される。そして、出力孔51に流入された排気は、排気孔50及び排気通路29cを介して集中排気流路25に流入されるとともに、集中排気流路25に流入された排気は、各バルブブロック20に対応する集中排気流路25に流入しながら給排気ブロックの集中排気流路15に向けて流れ込む。さらに、集中排気流路15に流入された排気は、給排気ブロック11の排気通路及び排出ポート13を介して排気用配管へ排出される。
【0035】
次に、例えば、流体圧機器の位置が変更され、屈曲配管等を使用せずに、流体圧機器とバルブブロック20とを直管状の配管によって接続する場合について説明する。
図4(a)に示すように、まず、給排気ブロック11及びバルブブロック20に対するエンドブロック60,61の連結を解除するとともに、各連結孔18,40aに挿通された連結ロッドを抜き取って、各バルブブロック20と給排気ブロック11との連結状態を解除する。次に、給排気ブロック11に対し、位置変更された流体圧機器に対応したバルブブロック20を90°又は180°回転させて、シリンダポート32の位置を調節する。
【0036】
このとき、集中給気流路24は、バルブブロック20の側面20aの中央部に位置するため、バルブブロック20を回転させても、集中給気流路24の位置は変更されない。また、集中排気流路25は、集中給気流路24の周りに等間隔ピッチを空けた場所に位置するため、バルブブロック20を90°又は180°回転させても、集中排気流路25の位置は変更されない。よって、シリンダポート32の位置が調節されて、電磁弁マニホールド10が組み立てられても、給排気ブロック11の集中給気流路14に対し、バルブブロック20の集中給気流路24は連通した状態が維持されるとともに、バルブブロック20同士でも集中給気流路24が連通した状態が維持される。さらに、シリンダポート32の位置が調節されて、電磁弁マニホールド10が組み立てられても、給排気ブロック11の集中排気流路15に対し、バルブブロック20の集中排気流路25は連通した状態が維持されるとともに、バルブブロック20同士でも集中排気流路25が連通した状態が維持される。また、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の集中給気流路14,24、及び集中排気流路15,25の位置関係は、シール部材17,28による集中給気流路14,24と集中排気流路15,25との間がシールされた状態で維持される。
【0037】
そして、シリンダポート32の位置が、流体圧機器に対向する所望の位置に調節されたら、図4(b)に示すように、各バルブブロック20及び給排気ブロック11を連なるように配設するとともに、各連結孔18,40aに連結ロッドを挿入して、給排気ブロック11とバルブブロック20とを互いに連結させる。さらに、連結された状態の給排気ブロック11及びバルブブロック20を両側から挟むようにしてエンドブロック60,61を配設する。これにより、シリンダポート32が所望の位置に調節された状態の電磁弁マニホールド10が構成される。
【0038】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)バルブブロック20及び給排気ブロック11は、互いの連結面となる左右の側面11a,20aが正方形状なす四角ブロック状に形成されている。そして、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの中心には集中給気流路14,24が形成されるとともに、集中給気流路14,24の周りには正方形の辺数と同数の集中排気流路15,25が等間隔ピッチで形成されている。さらに、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aには、集中給気流路14,24と集中排気流路15,25との間をシールするシール部材17,28が配設されている。このため、各バルブブロック20を給排気ブロック11に対し90°ずつ回転させても、集中給気流路14,24及び集中排気流路15,25を互いに連通させた状態を維持することができる。よって、各バルブブロック20を給排気ブロック11に対し等間隔ピッチで回転させることができ、この回転により、シリンダポート32の位置を、流体圧機器に対向する所望の位置に変更することができる。したがって、位置変更された流体圧機器とシリンダポート32とを接続させる場合に、例えば、直管状の継手32aを、屈曲形成された継手に交換する必要がなく、交換用の継手にかかるコストを削減することができる。
【0039】
(2)各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの中心には集中給気流路14,24が形成されるとともに、集中給気流路14,24の周りには正方形の辺数と同数(4つ)の集中排気流路15,25が等間隔ピッチで形成されている。よって、例えば、集中給気流路14,24が、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの中心の周りに等間隔ピッチで正方形の辺数と同数形成されている場合に比べて、集中給気流路14,24の数を少なくすることができる。その結果、各バルブブロック20及び給排気ブロック11に集中給気流路14,24を複数形成する必要がなく、集中給気流路14,24を形成する手間を最小限に抑えることができる。
【0040】
(3)各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの四隅部には、連結ロッドが挿入可能な連結孔18,40aが等間隔ピッチで設けられている。よって、バルブブロック20を給排気ブロック11に対し回転させたとしても、各連結孔18,40aの位置関係が維持されるため、給排気ブロック11に対し、回転させたバルブブロック20を連結させることができる。
【0041】
(4)位置変更された流体圧機器とシリンダポート32とを接続させる場合に、例えば、直管状の継手32aを、上方に向けて屈曲形成された継手に交換した場合、それら継手は、上方に延びる部位が重ならないようにするために、下側の継手ほど上側の継手に重合しない位置まで直管状に延ばした後、上方へ屈曲させなければならない。その結果、継手の延設方向の長さが長くなる。しかし、本実施形態では、給排気ブロック11に対して各バルブブロック20を等間隔ピッチで回転させることで、シリンダポート32の位置を、流体圧機器に対向する所望の位置に変更することができるため、継手の延設方向の長さが長くなることによる無駄なスペースを無くすことができる。
【0042】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの一方の四隅部に、凸部が等間隔ピッチで形成されるとともに、各バルブブロック20の側面11aの他方の四隅部に凸部が嵌合可能な凹部が等間隔ピッチで形成されていてもよい。そして、これら凸部と凹部との嵌合により、各バルブブロック20及び給排気ブロック11とが連結される。この場合、これら凸部及び凹部により連結機構が構成される。
【0043】
○ 実施形態において、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの中央部に集中排気流路が形成されるとともに、集中排気流路の周りに正方形の辺数と同数の集中給気流路が等間隔ピッチで形成されていてもよい。
【0044】
○ 実施形態において、正方形の辺数と同数の集中給気流路及び集中排気流路を、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の側面11a,20aの中央部の周りに等間隔ピッチで形成してもよい。
【0045】
○ 実施形態において、各バルブブロック20及び給排気ブロック11は、三角ブロック状に形成されていてもよいし、五角ブロック状に形成されていてもよく、各バルブブロック20及び給排気ブロック11の連結面それぞれが正多角形状であれば、それら形状は特に限定されるものではない。
【0046】
○ 本発明を、エア以外の流体をバルブブロック20に対し供給する電磁弁マニホールド10に具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0047】
(イ)前記連結面の中央部に前記集中排気流路が形成されるとともに、前記集中排気流路の周りに前記集中排気流路が等間隔ピッチで形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電磁弁マニホールド。
【0048】
(ロ)前記バルブブロック及び前記給排気ブロックそれぞれは互いの連結面が正方形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3、及び前記技術的思想(イ)のいずれか一項に記載の電磁弁マニホールド。
【0049】
(ハ)前記バルブブロックには前記電磁弁が4つ搭載されるとともに前記シリンダポートが4つ設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3、及び前記技術的思想(イ)、(ロ)のいずれか一項に記載の電磁弁マニホールド。
【符号の説明】
【0050】
10…電磁弁マニホールド、11…給排気ブロック、12…供給ポート、13…排出ポート、14,24…集中給気流路、15,25…集中排気流路、17,28…シール部材、18,40a…連結機構を構成する連結孔、20…バルブブロック、32…シリンダポート、41A〜41D…電磁弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダポートが複数設けられるとともに前記シリンダポートと同数の電磁弁が搭載される複数のバルブブロックと、
前記バルブブロックに連結されるとともに、前記バルブブロックに対し流体を供給する供給ポート、及び前記バルブブロックから排出された前記流体を排出する排出ポートが形成される給排気ブロックと、が連結機構により連結され、
前記給排気ブロックには、前記供給ポートに連通する集中給気流路、及び前記排出ポートに連通する集中排気流路が形成されるとともに、
前記バルブブロックには、前記給排気ブロックの集中給気流路及び前記シリンダポートに連通する集中給気流路と、前記給排気ブロックの集中排気流路及び前記シリンダポートに連通する集中排気流路とが形成される電磁弁マニホールドであって、
前記バルブブロック及び前記給排気ブロックそれぞれは互いの連結面が正多角形状をなすブロック状に形成され、各連結面の中央部の周りには、前記集中給気流路及び前記集中排気流路うちのいずれか一方が等間隔ピッチで前記正多角形の辺数と同数形成されるとともに、他方が前記正多角形の一角度ずつ相対回転させたときに連通を維持できる位置に形成され、前記連結面それぞれには、前記集中給気流路と前記集中排気流路との間をシールするシール部材が配設されていることを特徴とする電磁弁マニホールド。
【請求項2】
各連結面の中央部には、一つの前記集中給気流路及び前記集中排気流路のいずれか一方が形成されるとともに、該一方の流路の周りに前記正多角形の辺数と同数の他方の流路が等間隔ピッチで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁マニホールド。
【請求項3】
前記連結機構は、前記連結面それぞれの隅部に形成されるとともに前記中央部の周りに等間隔ピッチで設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁弁マニホールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−97776(P2012−97776A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243935(P2010−243935)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】