説明

電磁波シールド性光透過窓材の製造方法及びその方法に用いられるメッキ装置

【課題】メッシュ状の導電層上に均一な膜厚でメッキ層を形成して、電磁波シールド性光透過窓材を製造する方法及びそのために有利な簡易なメッキ装置を提供する。
【解決手段】メッキ液が満たされるメッキ槽、該メッキ槽内に配置された陽極電極、及び該陽極電極に陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される被メッキ材料を、該陽極電極に対向して配置するための固定手段、さらに陽極電極と被メッキ材料との間に且つこれらと略並行となるように配置された遮蔽板を備え、該被メッキ材料に電気メッキを施すことにより電磁波シールド性光透過窓材を製造するためのメッキ装置であって、前記被メッキ材料が透明基板及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とするメッキ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPDP(プラズマディスプレーパネル)の前面フィルタや、病院などの電磁波シールドを必要とする建築物の窓材料(例えば貼着用フィルム)等として有用な電磁波シールド性光透過窓材の製造方法、及び窓材の製造に使用されるメッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OA機器や通信機器等の普及にともない、これらの機器から発生する電磁波によりもたらされる人体への影響が懸念されている。また、電磁波により精密機器の誤作動等を起こす場合もあり、電磁波が問題視されている。
【0003】
従来から、OA機器のPDPの前面フィルタとして、電磁波シールド性を有し、かつ光透過性の窓材が開発され、実用に供されている。このような窓材はまた、携帯電話等の電磁波から精密機器を保護するために、病院や研究室等の精密機器設置場所の窓材としても利用されている。
【0004】
このような電磁波シールド性光透過窓材としては、(1)金属銀を含む透明導電薄膜が設けられた透明フィルム、(2)金属線又は導電性繊維を網状にした導電メッシュを設けた透明フィルム、(3)透明フィルム上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、(4)透明フィルム上に導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等が知られている。
【0005】
(1)の透明導電薄膜は、例えば高屈折率透明薄膜と銀薄膜をスパッタリングにより交互積層したものであり、(2)の導電メッシュは、例えば有機繊維の網に銅メッキを施したものであり、そして(3)の網状の銅箔は、例えば銅箔をPET(ポリエチレンテレフタレート)に貼り付け、銅箔にレジスト材料を塗布し、特定形状のフォトマスクを介してレジストに露光、現像し、露出した銅箔をエッチングすることにより得られるものである(特許文献1:特開平11−337702号公報、段落番号0018参照)。(4)の導電性フィルムは、導電性微粒子をバインダに分散させたインクをフィルム上にメッシュパターン状に印刷したものである。
【0006】
しかしながら、(1)の透明導電薄膜は導電性が十分得られない。また(2)の導電メッシュは、一般に、メッシュを構成する導電性繊維の線径が太いものは目が粗く、線径が細くなると目が細かくなっている。これは、線径の太い繊維であれば、目の粗いメッシュとすることは可能であるが、線径の細い繊維で目の粗いメッシュを形成することは非常に困難であることによる。このため、このような導電性メッシュを用いた従来の電磁波シールド性光透過窓材では、光透過率の良いものでも、高々70%程度であり、良好な光透過性を得ることができないという欠点があった。
【0007】
(3)のエッチング加工及び(4)パターン印刷により、所望のメッシュ状の導電層を形成することができることから、線幅や間隔、網目形状の自由度は導電性メッシュに比べて格段に大きく、線幅200μm以下、開口率75%以上という細線で開口率の高いメッシュ状の導電層であっても形成可能である。但し、(3)ではエッチング加工において設備が必要であり、また工程が煩雑でコスト高となるとの不利がある。一方、(4)メッシュ状のパターン印刷は上記導電層の形成が特に容易で有利であり、このような細線で目の粗い導電層を形成した導電性印刷膜であれば、良好な光透過性を得ることができると共に、モアレ現象を防止することができる。
【0008】
しかしながら、(4)の導電性インクの印刷は、この導電性微粒子のインク中での分散状態を保つためにインクの粘性を十分に高くしておく必要があり、このため、インク線幅を著しく小さくすることはできず、開口率も著しく大きくすることはできなかった。
【0009】
特許文献2(特開2001−332889号公報)には、上記パターン印刷法を改良した、線幅が十分に小さく、開口率も著しく高いメッシュ状の導電層を有した電磁波シールド性光透過窓材を製造する方法が、開示されている。その製造方法は、フィルム面に、溶剤に対して可溶な物質によってドットを形成し、該フィルム面に該溶剤に対して不溶な導電材料よりなる導電材料層を形成し、該フィルム面を該溶剤と接触させて該ドット及び該ドット上の導電材料層を除去する方法である。
【0010】
このようにして形成された線幅が十分に小さく、開口率も著しく高いメッシュ状の導電層は、膜厚が小さいため、電磁波シールド性光透過窓材に好適に使用できる高い導電性とするには、この導電層上にさらにメッキを行って、膜厚を大きくした方が望ましい。
【0011】
【特許文献1】特開平11−337702号公報、段落番号0018
【特許文献2】特開2001−332889号公報
【特許文献3】特開平7−228992号公報
【特許文献4】特開2002−371399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記導電層上にメッキを施す場合、一般に、陽極電極板と、陰極電極である上記導電層を有するフィルムに、メッキ槽内において通電して行われるが、その際上記メッシュ状(又は格子状)の導電層に均一にメッキを施すことは極めて困難であることが明らかとなった。本発明者の検討によれば、これは、電磁波シールド性光透過窓材用の被メッキ材料である導電層を有するフィルムは、導電層としてメッシュ状の金属等の層を有しているが、その周囲に(連続フィルムの場合は両側に)通電のため帯状の導電層を有していること、及び透明シート状の片面にのみ導電層が設けられていることから、被メッキ材料の中央では給電部からの距離が大きくなりまた中央は開口部分が大きく抵抗が大きくなるため、特に電流分布が乱れやすいと考えられる。
【0013】
一方、例えば、FPC(フレキシブル・プリント配線板)上に金属メッキを行う装置、方法については種々検討が行われている。例えば、特許文献3(特開平7−228992号公報)には、メッキ膜厚を均一にするために、フィルム通過部分と陽極電極との間に導電板を配置することが開示されている。特許文献4(特開2002−371399号公報)には、メッキ膜厚のバラツキを改善するために、可撓性を持つ遮蔽板を、ロールトゥロール方式で基材(被メッキ材料)とほぼ同じ速度で並行して移動しながら電気メッキを行う方法が開示されている。
【0014】
しかしながら、このような単なる板状の上下対をなす金属板の導電板、或いは配線パターンに応じたスリットを有する遮蔽板を用いても、電磁波シールド性光透過窓材用の被メッキ材料である導電層上に均一にメッキすることは困難である。これは、FPCにおいては、配線パターンの微細化のために基板上のメッキされる部位の中に、基板の端の部分、又は孤立したパターン、或いは他と比較して面積の小さいパターン等が存在し、このような部位でメッキ膜厚が大きくなる傾向にあるが、本発明の電磁波シールド性光透過窓材では被メッキ材料が微細なメッシュ状の導電層であり、メッキ対象の形状が異なっていること、さらには前述のようにFPCでは一般に両面メッキであるが窓材においては片面メッキであることにより、FPCと同様な考え方が適用できないためと考えられる。
【0015】
本発明者等は、電磁波シールド性光透過窓材用の被メッキ材料であるシート上に設けられたメッシュ状導電層に均一にメッキする方法、そのメッキに好適なメッキ装置を求めて検討を重ね、本発明に到達したものである。
【0016】
従って、本発明は、メッシュ状の導電層上に均一な膜厚でメッキ層を形成して、電磁波シールド性光透過窓材を製造するために有利で簡易なメッキ装置を提供することを目的とする。
【0017】
また本発明は、メッシュ状の導電層上に均一な膜厚でメッキ層を容易に形成することができる電磁波シールド性光透過窓材の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
さらに本発明は製造方法により得られる電磁波シールド性光透過窓材、及びその窓剤を備えた電磁波シールド性のディスプレイ用フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、メッキ液が満たされるメッキ槽、該メッキ槽内に配置された陽極電極、及び該陽極電極に陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される被メッキ材料を、該陽極電極に対向して配置するための固定手段、さらに陽極電極と被メッキ材料との間に且つこれらと略並行となるように配置された遮蔽板を備え、該被メッキ材料に電気メッキを施すことにより電磁波シールド性光透過窓材を製造するためのメッキ装置であって、
前記被メッキ材料が透明基板(本発明では透明フィルムとも言う場合がある)及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とするメッキ装置にある。
【0020】
上記遮蔽板の中央とは、中心から1/4直径又は1/4最大対角線までの領域、そして遮蔽板の外側とは、上記中央領域以外の残りの領域を言う。
【0021】
前記メッキ装置において、遮蔽板は貫通孔部を複数有していることが好ましい。また、前記遮蔽板の貫通孔部の面積が、遮蔽板の中央から外側にかけて減少していることが好ましい。特に均一な膜厚のメッキ層が得られやすい。貫通孔部の形状は一般に円(或いは楕円)、多角形(例えば3、4、5或いは6角形等)又は環状(例えば枠状)である。特に環状(但し、一般に孔部の途中に支持部を有する)が好ましい。均一な膜厚のメッキ層が得られやすい。前記遮蔽板に対して貫通孔部の占める割合が、遮蔽板の最大対角線又は直径において、中心から1/4直径又は1/4最大対角線までの領域で50〜80%であり、上記中央領域以外の残りの領域で20%以上50%未満であることが好ましい。特に均一な膜厚のメッキ層が得られやすい。また貫通孔部の数が、3個以上であることが好ましい。被メッキ材料のメッシュ状導電層の周囲に、一般に幅5〜50mmの帯状の導電層が設けられている。
【0022】
遮蔽板の厚さは、一般に5〜20mmである。遮蔽板の材料としては、メッキ液に耐性があって不導体のものが好ましく例えばアクリル板を挙げることができる。
【0023】
前記金属導電層のメッシュの線幅が5〜40μm、その開口率が70〜95%であることが好ましい。優れた電磁波シールド性を有する光透過窓材を作製するのに好適である。前記導電層は、一般に、金属、合金、金属酸化物又は半金属酸化物、特に銀、銅又はアルミニウムである。金属メッキに使用する金属は、一般に銅である。
【0024】
一般に、前記陽極電極、被メッキ材料及び遮蔽板がメッキ槽の側面と略平行に配置するようにされているか、或いは前記陽極電極、被メッキ材料及び遮蔽板がメッキ槽の底面と略平行に配置するようにされている。
【0025】
本発明は、メッキ液が満たされた、陽極電極及び遮蔽板を相互に略平行の関係で具備するメッキ槽に、被メッキ材料を、遮蔽板を介して陽極電極と略平行に浸漬して、被メッキ材料に陰極電圧を、陽極電極に陽極電圧を印加して、該被メッキ材料に電気メッキを施す工程を電磁波シールド性光透過窓材の製造方法であって
前記被メッキ材料が透明基板及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とする製造方法にもある。
【0026】
上記製造方法において、前記装置の好適態様を適用することができる。
【0027】
また本発明は、メッキ液が満たされるメッキ槽、該メッキ槽内に配置された陽極電極、及び該陽極電極に陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される、該陽極電極上を移動する被メッキ連続フィルムを搬送するための搬送手段、さらに陽極電極と被メッキ材料との間に且つこれらと略並行になるように配置された遮蔽板を備え、該被メッキ材料に電気メッキを施すことにより電磁波シールド性光透過窓材を製造するためのロールトゥロール方式のメッキ装置であって、
前記被メッキ連続フィルムが連続フィルム及び該フィルム上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とするロールトゥロール方式のメッキ装置にもある。
【0028】
上記ロールトゥロール方式のメッキ装置においても、前記のメッキ装置における好適態様を適用し得る。
【0029】
さらに、本発明は、被メッキ連続フィルム(被メッキ材料)を搬送しながら、該連続フィルムに陰極電圧を印加し(一般に給電ロールにより)、次いで該連続フィルムを、メッキ液が満たされた陽極電極及び遮蔽板を相互に平行の関係で具備するメッキ槽に、遮蔽板を介して陽極電極と略平行に浸漬して、該連続フィルムに電気メッキを施すことを特徴とする電磁波シールド性光透過窓材の製造方法であって
前記被メッキ連続フィルムが透明基板及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とする製造方法。にもある。
【0030】
上記製造方法において、前記装置の好適態様を適用することができる。
【0031】
さらにまた本発明は、前記の製造方法により得られる電磁波シールド性光透過窓材;及び上記の製造方法により得られる電磁波シールド性光透過窓材が透明基体に貼り合わされてなるディスプレイ用フィルタにもある。
【発明の効果】
【0032】
本発明の装置又は製造方法を用いることにより、透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層にメッキ層を均一に形成することができる。従って、線幅の細い導電層であっても開口部を塞ぐことなくメッキを施すことができる。このため、本発明により、導電層上に均一な膜厚のメッキ層の形成を極めて容易に行うことができると言いうことができる。また、本発明により極めて容易に高導電性で、線幅の小さいメッシュ状導電線を設けることができる。
【0033】
このような線幅を小さいメッシュ状導電線を用いることにより、ディスプレイの画素に対してモアレの発生を抑えることができ、透明性を向上させる開口率も大きくすることができるので、本発明の方法、装置を用いることにより、優れた特性の電磁波シールド性光透過窓材を極めて容易に得ることができる。
【0034】
またこの製造方法により得られる電磁波シールド性光透過窓材、これを用いた電磁波シールド性のディスプレイ用フィルタも同様の優位性を有する新規なものである。従って、本発明の電磁波シールド性光透過窓材は、電磁波シールド性に優れ、モアレの発生がほとんどなく、また開口率も高いことから透明性にも優れている。このため、本発明の窓材は、プラズマディスプレーパネル(PDP)の前面フィルタとして好適であり、また病院等の電磁波シールド性を必要とされる建築物の窓材料(例えば貼着用フィルム)等として有利に使用することができる。また本発明の製造方法は上記のような優れた性能の窓材を簡易に、高い生産性で製造することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
まず、導電性に優れた電磁波シールド性光透過窓材を簡易に製造するための本発明のメッキ装置、及びその窓材の製造方法について説明する。
【0036】
本発明のメッキ装置は、プラスチック等の透明基板(例、シート、フィルム)上に設けられたメッシュ状の導電層上に均一な膜厚でメッキ層を形成するのに好適である。透明基板上にメッシュ状の導電層を設ける方法は、従来の方法を利用することができる。その方法としては、前述の透明基板上の銅箔等の層をメッシュ状にエッチング加工し、開口部を設ける方法、透明基板上に導電性インクをメッシュ状に印刷する方法等を挙げることができる。特に、以下のように導電層の形成を行うことが、メッシュの線幅が小さく、その開口率の大きい導電層が得られ易いので好ましい。
【0037】
即ち、図1に本発明で好適な導電層の形成方法を説明する概略図を示す。まず(1)、(2)に示すように透明基板1上に水等の溶剤に対して可溶な材料を用いてドット2を印刷する。次いで、(3)に示すように、透明基板1のドット2の上及びドット2の間の透明基板露出面のすべてを覆うように導電材料層3を形成する。ドット上にも導電材料層3が設けられるが、余り厚すぎると後の洗浄でドットを除去できなくなる。次に、この透明基板1を水等の溶剤によって洗浄する。この際、必要に応じ、超音波照射やブラシ、スポンジ等で擦るなどの溶解促進手段を併用してもよい。
【0038】
上記洗浄により、(4)に示すように可溶性のドット2が溶解し、このドット2上の導電材料も透明基板1から剥れて除去される。そして、ドット同士の間の領域に形成された導電材料よりなる導電性パターン(導電層)4が透明基板1上に残る。この導電性パターン4は、ドット1間の領域を占めるものであるから、全体としてはメッシュ状(格子状)となる。
【0039】
従って、ドット2間の間隙を狭くしておくことにより、線幅の小さい格子状の導電性パターン4が形成される。また、各ドット2の面積を広くすることにより、開口率の大きなメッシュ状の導電性パターン4が形成される。ドット2を形成するための前記水等に対して可溶な印刷材料は、微粒子を分散させる必要のないものであり、低粘性のものでも充分使用できる。この低粘性の印刷材料を使用することにより、微細なドットパターンとなるようにドットを印刷することができる。
【0040】
なお、上記(4)の工程後、必要に応じ仕上げ洗浄(リンス)し、乾燥することにより、電磁波シールド性光透過窓材用の導電層が得られる。
【0041】
このような導電層は、一般に、矩形の透明基板(一般にフィルム又はシート)上、或いは連続フィルム上に形成することができる。矩形の透明基板に導電層を形成した場合、メッキはバッチ式で行われ、連続フィルム上に形成された場合は、連続式、一般にロールトゥロール方式で行われる。
【0042】
バッチ式で上記導電層上にメッキを行うために使用される本発明のメッキ装置について説明する。図2に、本発明のメッキ装置の一例の概略図が示されている。メッキ槽21内には、陽極電極22、及び陽極電極に陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される被メッキ材料を配置するための固定手段23A、そして陽極電極と被メッキ材料との間に遮蔽板24が設けられ、さらに固定手段23Aに被メッキ材料23が設置されている。固定手段23Aとしては、図のように上から吊り下げても良いし、底部で固定しても良い。そして、陽極電極22及び被メッキ材料23に、電源装置(図示せず)から送られた電圧を印加する整流器25が適当な位置に設けられている。陽極電極22が板状であり、被メッキ材料23も透明基板上に導電層が設けられているので板状であり、これらの陽極電極22及び被メッキ材料23、そして遮蔽板24は略平行に配置されている。またこれらの相互の距離は、導電層の模様(線幅、開口率等)、寸法、遮蔽板の材料、形状、寸法等により、適宜設定される。なお、図示していないが、メッキ槽21の底面にメッキ液吐出口があり、さらに隣接してオーバーフロー槽、ろ過器、加温槽等が通常設けられている。これによりメッキ液は循環、ろ過される。またメッキ液のイオン濃度を管理し、特に一定状態を保つために必要に応じて薬品を添加する。被メッキ材料23は、図3に示すように、透明基板上に周囲の端部以外はメッシュパターンの導電層31が設けられており、周囲には帯状の通電のため導電層32が設けられている。使用される透明基板(フィルム)は、1辺が400〜2500mm、特に500〜2000mmが好ましい。端部の導電層の幅は5〜50mmが好ましい。
【0043】
メッキ液はメッキ槽21の底面にメッキ液吐出口からメッキ槽21内に供給される。そして通常オーバーフローすることによって、循環している。陽極電極22及び被メッキ材料23間に、整流器25により、メッキ面積と電流密度を掛け合わせることで、あらかじめ求めておいた電流を通電すると(即ち電圧印加)、被メッキ材料23のメッシュパターンの導電層(及び周囲の帯状の導電層)上に所要の厚さの銅等の金属メッキ層が析出する。この際、陽極電極22から被メッキ材料23への電流密度は、被メッキ材料23の周囲の帯状の導電層付近に特に高くなるため、本発明の遮蔽板をこれらの途中に配置することにより電流密度を均一にすることができる。遮蔽板として、下記の図4に示す形状のものを用いることが好ましい。特に、本発明の陽極電極の使用は、上記の1辺が400〜2500mmの透明基板を用い、端部の導電層の幅は5〜50mmの場合に好ましい。
【0044】
本発明では、透明基板上にメッシュパターンの導電層が設けられており、裏側に導電層は無く、裏側にメッキを施すための配慮は必要としない。メッキ層形成後は水洗、乾燥される。
【0045】
上記メッキ装置に使用される遮蔽板24は、1個(好ましくは複数)の貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きい(即ち遮蔽板に対して貫通孔部の占める割合が遮蔽板の中央より外側の方が小さい)ものである。遮蔽板24の例を、図4の(1)〜(4)に示す。図4の(1)に示された遮蔽板は、多数の円形の貫通孔41が設けられており、板の中心に最大直径の円形孔が設けられ、その中心から半径方向に遠ざかるに従い円形孔の直径は縮小し、孔部の面積が小さくなり、孔部の無い部分の面積42が増大している。これにより、通常電流密度の高くなる被メッキ材の周辺には電流が流れ難くなり、このためメッキの形成が抑制され、板全体としては均一な膜厚のメッキ層が形成される。また図4の(2)に示された遮蔽板は、多数の矩形の貫通孔41が設けられており、板の中心に最大対角線長さの矩形孔が設けられ、その中心から半径方向に遠ざかるに従い矩形孔の対角線長さは縮小して孔部の面積が小さくなり、孔部の無い部分の面積42が増大している。図4の(3)に示された遮蔽板は、4角枠状の環状の孔部41(但し対角線に支持部分が設けられている)が多数設けられており、板の中心付近に大きい矩形孔部が設けられ、その中心から半径方向に遠ざかるに従い矩形孔部の幅は縮小して孔部の面積が小さくなり、孔部の無い部分の面積42が増大している。図4の(4)に示された遮蔽板は、3角形の孔部41が1個設けられており、板の中心付近に孔部のみで、中央より外側では孔部の無い部分の面積42が増大している(特に連続メッキに好適である、なお、連続メッキでは矢印がフィルムの走行方向である)。図4の(2)〜(4)においても(1)と同様の効果がえられる。上記の中で特に環状の形状が好ましい。これにより特に均一な膜厚のメッキ層が得られやすい。即ち、実際に遮蔽板無しに、本発明の特定の形状の被メッキ材料にメッキを施した場合、メッキ厚が中央にかけて徐々に薄くなる傾向があり、これを防止するための遮蔽板としては環状の形状が最も好ましい。
【0046】
本発明の遮蔽板の形状は特に限定はないが、通常被メッキ材料に対応する形であり、一般に矩形であり、寸法も一般に被メッキ材料に対応させる。場合により陽極電極の形状も考慮する。本発明の遮蔽板に対して貫通孔部の占める割合(ある領域の遮蔽板の面積に対する貫通孔部の面積の比)は、遮蔽板の最大対角線又は直径において、中心から1/4直径又は1/4最大対角線の範囲で50〜80%であり、残りの範囲における面積比は20%以上50%未満であることが好ましい。前記貫通孔部の寸法が、最大1000〜10000mm2で、最小10〜100mm2であることが好ましく、貫通孔部の数が、3個以上、特に3〜200個(最大値は面積により異なる)であることが好ましい。
【0047】
図4の(1)〜(4)には、本発明の遮蔽板の例を示したが、貫通孔部を有し且つその貫通孔部の面積比が遮蔽板の中央から外側に減少するようにされているものであればどのような形状のものでも使用することができる。
【0048】
次に、導電層が連続フィルム上に形成された被メッキ材料を用いて、連続式、一般にロールトゥロール方式でメッキを行うための本発明の装置、方法について説明する。図5乃至7は、それぞれ本発明で使用できる連続式フィルム表面処理装置の各実施の態様の全体説明図である。
【0049】
図5には、長尺フィルムの搬送方向を変えるローラー(シンクローラー)を備えていない連続式フィルム表面処理装置が示されている。図5において、51は長尺フィルム送り出しロール、52は長尺フィルム巻き取りロール、53は長尺フィルム、54a及び54bは給電ローラー対をなし、54aは給電ローラー、54bはニップローラー、55は搬送補助のフリーローラー、56a及び56bは電気メッキ槽をなし、56aは電気メッキ槽外槽、56bは電気メッキ槽内槽、56cは電気メッキ槽内槽に開けられたスリット、57a及び57bは黒化処理槽をなし、57aは黒化処理槽外槽、57bは黒化処理槽内槽、57cは黒化処理槽内槽に開けられたスリット、58は陽極電極である。陽極電極58の近傍に本発明の遮蔽板が設けられる。
【0050】
図5の連続式フィルム表面処理装置においては、長尺フィルム53は送り出しロール51から送り出され、電気メッキ装置(54a、54b、56a、56b、56c及び58)、及び黒化処理装置(57a、57b及び57c)を経て、巻き取りロール52に巻き取られる。電気メッキ槽にはメッキ液が満たされており、図示されていない循環装置によってメッキ液は電気メッキ槽外槽56aから電気メッキ槽内槽56bへと常に汲み上げられ、陽極電極58及び長尺フィルム53を常にメッキ液で浸しつつ、スリット56cから電気メッキ槽外槽56aへと流出する。長尺フィルム53は、給電ローラー54aに接する側にメッシュ状の金属導電層が積層されており、ニップローラー54bによって給電ローラー54aへの接触を維持されつつ、搬送されて給電を受け、スリット56cを通じて電気メッキ槽56b内を通過し、陽極電極58を陽極としてメッキ液で電気メッキされる。黒化処理槽には黒化処理液が満たされており、電気メッキ槽と同様に図示されていない循環装置によって黒化処理液が黒化処理槽外槽57aから黒化処理内槽57bへと常に汲み上げられ、長尺フィルム53を常に黒化処理液で浸しつつ、スリット57cから黒化処理槽外槽57aへと流出する。長尺フィルム53は、スリット57cを通じて黒化処理内槽57bを通過し、黒化処理液で黒化処理を受ける。
【0051】
図5の連続式フィルム表面処理装置においては、長尺フィルム53は、送り出しロール51から巻き取りロール52まで、搬送方向の変化を受けることなく搬送されるために、ローラーによる搬送方向の変更に伴って金属導電層及びメッキ層等に損傷を受ける可能性がない利点を有する。
【0052】
図6には、長尺フィルムの搬送方向を変えるローラー(シンクローラー)を備えた連続式フィルム表面処理装置が示されている。図6において、61は長尺フィルム送り出しロール、62は長尺フィルム巻き取りロール、63は長尺フィルム、64a及び64bは給電ローラー対をなし、64aは給電ローラー、64bはニップローラー、65は搬送補助のフリーローラー、66は電気メッキ槽、67は黒化処理槽、68は陽極電極、69は搬送方向を変える液中ローラー(シンクローラー)である。
【0053】
図6の連続式フィルム表面処理装置においては、長尺フィルム63は送り出しロール61から送り出され、電気メッキ装置(64a、64b、66、68及び69)、及び黒化処理装置(67)を経て、巻き取りロール62に巻き取られる。電気メッキ槽66にはメッキ液が満たされており、長尺フィルム63は、給電ローラー64aに接する側にメッシュ状の金属導電層が積層されており、ニップローラー64bによって給電ローラー64aへの接触を維持されつつ、搬送されて給電を受け、電気メッキ槽66内を通過し、陽極電極68を陽極としてメッキ液で電気メッキされる。黒化処理槽には黒化処理液が満たされており、長尺フィルム63は、黒化処理槽67を通過し、黒化処理液で黒化処理を受ける。陽極電極68の近傍に本発明の遮蔽板が設けられる。
【0054】
図6の連続式フィルム表面処理装置においては、長尺フィルム63は、液中ローラー(シンクローラー)69によって搬送方向を変えられて液槽内部を通過するために、液槽内の処理経路の長さを長く確保する一方で、装置全体を小型にまとめることを可能にしている。そして、電気メッキ槽及び黒化処理槽内に設けられた液中ローラー69は、150mm以上の直径を有するローラーとしているために、長尺フィルム63の搬送方向の変更に伴う金属導電層及びメッキ層等の損傷は極めて低減されたものとなっている。
【0055】
上記の電気メッキ槽及び黒化処理槽内に設けられた搬送方向を変える液中ローラー(シンクローラー)は、これをさらに多数設置すれば、液槽内の処理経路の長さをさらに長く確保する一方で、装置全体を小型にまとめることが可能となる。
【0056】
図7に、電気メッキ槽及び黒化処理槽にそれぞれ複数のシンクローラーを備えた連続式フィルム表面処理装置を示す。図7において、71は長尺フィルム送り出しロール、72は長尺フィルム巻き取りロール、73は長尺フィルム、74a及び74bは給電ローラー対をなし、74aは給電ローラー、74bはニップローラー、75は搬送補助のフリーローラー、76は電気メッキ槽、77は黒化処理槽、78は陽極電極、79は搬送方向を変える液中ローラー(シンクローラー)である。陽極電極78の近傍に本発明の遮蔽板が設けられる。
【0057】
図5乃至7の連続式フィルム表面処理装置においては、長尺フィルム上に積層された金属導電層が、水平面上側を向く状態で搬送と処理がなされる態様としているが、この金属導電層が水平面下側を向く状態で搬送と処理がなされる装置とすることも可能である。その場合には、陽極電極及び給電ローラーは、フィルム上の金属導電層側へと配置される。
【0058】
好ましい実施の態様において、連続式フィルム表面処理装置では、電気メッキ槽内での処理経路長さと、黒化処理槽内での処理経路長さとの比が、1:0.2〜1:1の範囲、好ましくは1:0.3〜0.7の範囲において設置されており、且つ、電気メッキ処理する工程を10〜60℃の範囲から選択した温度の電気メッキ槽で処理し、黒化処理する工程を35〜85℃の範囲から選択した温度の黒化処理槽で処理し、長尺フィルムを0.1〜5.0m/分の範囲から選択した搬送速度にて搬送することができるものとなっている。ここで、電気メッキ槽内での処理経路長さとは、長尺フィルム上の金属導電層が電気メッキ槽内でメッキ液に対して露出して、電気メッキ処理を受けることができる実質的な長さを意味し、メッキ液に浸されていない部分や、ローラー等の表面で被覆されたために電気メッキを実質的に受けることができない部分は除外した長さをいう。同様に、黒化処理槽内での処理経路長さとは、長尺フィルム上の金属導電層が黒化処理槽内で黒化処理液に対して露出して、黒化処理を受けることができる実質的な長さを意味し、黒化処理液に浸されていない部分や、ローラー等の表面で被覆されたために黒化処理を実質的に受けることができない部分は除外した長さをいう。このような態様により長尺フィルムに対して、電気メッキ処理と黒化処理とを連続的に同期して行うことが容易に可能となると同時に、小型の装置で安定した製造が可能となっている。
【0059】
本発明の連続式フィルム表面処理装置において、長尺フィルムを駆動するために、駆動ローラーとしては、例えば巻き取りロールを使用することができ、上記いずれかのローラーを駆動ローラーとすることもできるが、別途駆動ローラーを設置することが好ましい。
【0060】
給電ローラーでの給電は、長尺フィルムの上に積層された金属導電層の全体を給電ローラーに接触させて行うことも可能である。しかし、メッシュ状の金属層は、微細で損傷しやすい一方でその外観がディスプレイ用フィルタ等の視認性等の品質に直接に影響を与える。従って、透明基材層上に積層されたメッシュ状の金属導電層が、フィルム面中央部に設けられたメッシュ状の金属導電層、及びフィルム面両端部に沿って幅5〜90mm、好ましくは10〜90mm、特に好ましくは20〜80mmの帯状に設けられた金属導電層とからなる長尺フィルムを使用して、このフィルム面両端部にのみ給電ローラーを接触させて、給電を行うことが、メッシュ状部分の保護のために望ましい。
【0061】
給電ローラーが、長尺フィルムを挟み込んだまま、導電性水溶液の入った槽(給電槽)に浸されてなされる給電を行うこともできる。この給電槽を使用した給電では、給電ローラーと長尺フィルム上の金属導電層との直接接触による給電と共に、水溶液と長尺フィルム上の金属導電層との接触(浸漬)による給電ができる。広範な面積を通じた給電は、給電の抵抗を軽減可能である。さらに水溶液を通じた給電の併存は、振動によって瞬間的に給電ローラーと金属導電層との接触が絶たれた場合のスパークの発生等の可能性を無くすことが可能である。またこの給電槽は洗浄槽等を兼ねることもできる。
【0062】
図8は、上記で使用される陽極電極の好ましい実施の態様の一例を説明する斜視断面図である。図9は、図の一部を部分拡大した説明図である。図8において、陽極電極82は、フィルムの幅方向に3つに分割され(82a、82b、82c)、それぞれ独立に長尺フィルム81のフィルム面からの距離が設定可能である。さらに陽極電極は、そのフィルム面からの距離が、フィルム面中央部付近の陽極電極82aで最も小さく、フィルム面両端部の陽極電極82b及び82cでは、それより大きくなるように対向されている。各陽極電極は幅150mm以上であることが好ましく、隣接する陽極電極の中心間距離は、電極幅プラス30mm 以下であることが好ましい。フィルム面中央部付近の陽極電極のフィルム面からの高さは、10〜200mmの範囲、好ましくは20〜100mmの範囲とすることが好ましい。フィルム面両端部の陽極電極のフィルム面からの高さは、30〜400mmの範囲、好ましくは40〜200mmの範囲とすることが好ましい。このように陽極電極を配置することにより、メッキ厚をフィルム面中央部と両端部でより均一にすることができる。これは、電気メッキ液中での電流線を、フィルムの幅方向についてより一様にすることが可能となるためと考えられる。陽極電極は、フィルムの幅方向にさらに多数に分割した電極とすることもでき、これによりフィルム面からの距離をさらにそれぞれ詳細に設定することができる。しかし、メッキ装置の運用条件の変動が小さく、フィルム面からの距離の設定を固定して使用する場合には、フィルム面中央からフィルム面両端部にかけてフィルム面との距離が所望の程度で大きくなるような形状を有する1つの又は2分割された陽極電極を使用することもできる。
【0063】
上記の各陽極電極としては、公知のアノードバッグ及びメッシュバスケット(網籠)等に補充容易な形態の電極材料を入れて使用することができ、例えばチタン製のメッシュ状のバスケットにプラチナメッキをして使用して、その中に補充容易な形態にした陽極電極材料(例えば、球状、ブロック状等に形成した後述の金属)を投入したものとすることが好ましい。この例として図9では、プラチナメッキされたチタン製メッシュバスケット91に銅球92が投入された状態が示されている。電気メッキ処理が進行するにつれて銅球92は溶解して小さくなってゆくので、これを補うために矢印のように新たな銅球が投入されてゆく。
【0064】
メッシュバスケット等に補充等して使用される陽極電極の材料としては、公知の電極材料を使用することができ、一般に球状及びブロック状等に形成されて使用され、一般に銅、銅合金、ニッケル、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。
【0065】
電気メッキ槽のメッキ液は、公知のメッキ液を使用することができ、一般に硫酸銅、シアン化銅、ピロリン酸銅及び硫酸ニッケル等の水溶液等を使用することが可能であり、好ましくは、硫酸銅又はピロリン酸銅の水溶液であり、特に経済性の点から、硫酸銅水溶液を使用することが好ましい。
【0066】
電気メッキ処理によるメッキ厚は、一般に0.2〜10μmの範囲であり、2〜8μmの範囲が好ましい。特に銅による処理の場合には、3〜7μmの範囲とすることが好ましい。厚さが1μm未満では電磁波シールド性が不十分であり、10μmを超えるとメッキ層が幅方向に広がりやすくなり、線幅が太くなるために開口率を低下させる傾向にある。
【0067】
黒化処理槽では、電気メッキ槽で行ったメッキ金属に応じた公知の黒化処理をすることができ、これに応じた公知の黒化処理槽液を使用することができる。黒化処理としては、一般に酸化処理、硫化処理、クロムメッキ処理、及びスズ−ニッケル等の合金メッキ処理を挙げることができる。電気メッキ槽でのメッキ金属が銅である場合には、酸化処理、硫化処理、クロムメッキ処理、及びスズ−ニッケル等の合金メッキ処理をあげることができ、特に廃液処理の簡易性及び環境安全性の点から、酸化処理が好ましい。
【0068】
上記黒化処理として酸化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、次亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を使用することが好ましい。
【0069】
上記黒化処理として硫化処理を行う場合には、黒化処理液として、一般には硫化カリウム、硫化バリウム及び硫化アンモニウム等の水溶液を使用することが可能であり、好ましくは、硫化カリウム及び硫化アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫化アンモニウムを使用することが好ましい。
【0070】
上記黒化処理として、クロムメッキ処理を行う場合には、黒化処理液として、一般にはクロム酸と酢酸の水溶液、及びクロム酸とケイフッ化水素酸の水溶液等を使用することが可能であり、特に経済性の点から、クロム酸と酢酸の水溶液を使用することが好ましい。
【0071】
また、連続式フィルム表面処理装置にはさらに、各槽の前及び/又は後に、脱脂槽、純水洗浄槽、乾燥槽等を所望により設置することが可能である。
【0072】
次に、導電層が連続フィルム上に形成された被メッキ材料を用いて、ロールトゥロール方式でメッキを行うために使用される特に好適な本発明のメッキ装置について説明する。
【0073】
ロールトゥロール方式でメッキを行うために使用される本発明のメッキ装置について説明する。図10に、本発明に従うロールトゥロール方式のメッキ装置の一例の概略図が示されている。メッキ槽101内では、陽極電極102、及び陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される給電ロール107a、b(これにより被メッキ材料103(即ち陰極電極)に印加される)、さらに陽極電極と被メッキ材料との間の遮蔽板104が設けられている。被メッキ材料103は連続フィルムであり、この連続フィルムは搬送手段であるフィルム送り出しロール105から送り出され、給電ロール107aで陰極電圧が印加され、メッキ槽101に導入され、シンクローラ108を介してメッキ槽から出て、給電ロール107bを介して搬送手段であるフィルム巻き取りロール106に巻き取られる。給電ロール107aで陰極電圧が印加された連続フィルムはメッキ槽101内に入ると、すでに陽極電極にも印加されているので、その表面の導電層に金属が析出する。フィルム送り出しロール105と給電ロール107aとの間には、脱脂槽、電解脱脂槽等が適宜設けられ、給電ロール107bとフィルム巻き取りロール106との間には、黒化処理槽、後純水洗浄槽、乾燥槽等が適宜設けられる。
【0074】
陽極電極102と被メッキ材料103との間に遮蔽板104が略平行に配置されている。一般に図4に示された形状は矢印のフィルム走行方向に沿って配置される。またこれらの相互の距離は、導電層の模様(線幅、開口率等)、寸法、遮蔽板の模様、寸法等により、適宜設定される。なお、図示していないが、メッキ槽101の底面にメッキ液吐出口があり、さらに隣接してオーバーフロー槽、加温槽等が通常設けられている。被メッキ材料103は、フィルム上に幅方向の両端部以外はメッシュパターンの導電層が設けられており、両端部には帯状の通電のため導電層が設けられている。使用されるフィルムは、幅が400〜2500mm、特に500〜2000mmが好ましい。端部の導電層の幅は5〜20mmが好ましい。
【0075】
上記図10において、陰極に電圧を印加する給電ロール107a、bとしては、公知のものを使用することができるが、以下の給電ロールを使用することが好ましい。即ち、軸を回転しながら長尺状の被メッキ材料に接触して、該メッキ材料に給電するメッキ装置用給電ロールであって、並列に配置された2個以上(好ましくは3個以上)の、少なくとも両側にロール部分を有する回転体からなる圧力ロールと、該圧力ロールの両側のロール部分上の外側端部領域のそれぞれに、該端部領域と接触状態で圧力ロールの回転と共に回転するように巻着されたループ状のエンドレスベルトとからなり、該エンドレスベルトが、その内周側のゴムを含むクッション層と、該クッション層上に設けられた外周側の金属導電層とからなり、そして該外周側の金属導電層が、給電バーからの給電により長尺状の被メッキ材料の両側端部に接触して印加することができる給電ロールを使用することができる。
【0076】
このような給電ロールは、軸を回転しながら長尺状の被メッキ材料に接触して、該メッキ材料に給電するメッキ装置用給電ロールであり、ロール端部で給電が円滑に行われるように、並列に配置された2個以上(好ましくは3個以上、特に3〜5個)の圧力ロール(以下、単にロールともいう)と、該圧力ロールの両側の端部領域のそれぞれに接触状態で回転するループ状のエンドレスベルトとからなる、いわゆる無限軌道の構造を有する給電ロールである。
【0077】
上記給電ロール110、及び給電ロール110と裏面圧着ロール120とからなる給電ロール装置の一例の断面図を、図11に示す。3個のロール111A、111B及び111Cが小さな間隔をおきながら並列に配置され、これら両端部のそれぞれにエンドレスベルト114が巻着されている。3個のロール111A、111B及び111Cは、回転可能なように、例えばベアリングを介して回転可能に固定されており、これらのロールは3個とも同じ方向、同じ回転数で回転する。或いは、例えば、ロールを電動で回転させ、ロールの両側でロール軸を回転可能なように支持しても良い。ロールと同じ回転方向、この回転数の移動速度と同じ移動速度で、エンドレスベルト114も移動する。従って、ロール111A、111B及び111Cとエンドレスベルト114とは、同じ方向に同じ移動速度となるように回転することができるように設計されている。即ち、ロール111A、111B及び111Cと接触するエンドレスベルト114の内側のクッション層112は、ゴム等により構成されており、ロール表面との摩擦が大きいことから、ロールの回転と共に同方向、同一速度でエンドレスベルト114も回転することができる。しかしながら、より回転を円滑にするために、クッション層112のロールと接触する表面及び/又はロール表面に、輪転用案内突起又は駆動突起を設けても良い。この場合、例えば、エンドレスベルト114の幅を帯状の導電層117Bの幅より大きくし、エンドレスベルト114の、帯状の導電層と接触していない外側(或いは内側)の領域にのみ上記突起を設けることができる。即ち、被メッキ材と接触する部分には突起を設けないことが好ましい。下記のエンドレスベルト116も同様である。
【0078】
本発明において、連続式、一般にロールトゥロール方式でメッキを行う場合には、陰極に電圧を印加する給電ロール107a、b(図10)として、上記のロールを用いることが好ましい。
【0079】
上記のようにして本発明の電磁波シールド性光透過窓材を得ることができる。
【0080】
本発明で使用される遮蔽板の材料としては、メッキ液に耐性があって不導体のものが好ましく、例えばアクリル板、ポリカーボネート板、耐熱性ポリエチレンテレフタレート(PET)のシート等を挙げることができる。遮蔽板の厚さは、一般に5〜20mmである。
【0081】
陽極電極の材料としては、例えばチタンケースの中に金属銅を入れたもの等を挙げることができる。
【0082】
メッキ液としては、銅、ニッケル等の金属メッキ用の公知のメッキ液を使用することができる。金属材料としては、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、銀及び金を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種以上の合金として使用しても良い。メッキ層の厚さは、一般に0.1〜10μmの範囲、2〜5μmが好ましい。厚さが1μm未満では、電磁波シールド効果付与が充分でなく、10μmを超えるとメッキ層が幅方向に広がりやすくなり、線幅が太くなる傾向になる。
【0083】
被メッキ材料に使用される透明基板(フィルム)としては、透明性(特に、可視光に対して)を有する基板であれば良く、その材料の例として、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる。これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PC、PMMAが好ましい。
【0084】
この透明シートの厚さは、電磁波シールド性光透過窓材の用途等によっても異なるが、通常の場合1μm〜5mmの範囲、特に10μm〜1mmの範囲にあることが好ましい。
【0085】
電磁波シールド性光透過窓材を透明基体に貼り合わせることにより得られるディスプレイ用フィルタの透明基体も、上記透明シートと同じ材料を使用することができ、さらにガラスを使用することができる。透明基体としては、特にガラスが好ましい。その厚さは、通常の場合50μm〜10mmの範囲、特に500μm〜5mmの範囲にあることが好ましい。
【0086】
被メッキ材料である導電層付き透明基板を作製する場合に使用する材料について以下に説明する。
【0087】
透明基板1上に形成するドットは印刷により形成されることが好ましい。印刷材料としては、ドットを除去させる溶剤に対して可溶な材料の溶液が用いられる。このドットを除去させる溶剤としては、有機溶剤であってもよいが、安価であると共に、環境への影響の点からして水が好ましい。水は、通常の水のほか、酸、アルカリ又は界面活性剤を含んだ水溶液であってもよい。この印刷材料には、印刷仕上り状況を確認し易くするために顔料や染料を混合してもよい。
【0088】
溶剤をこのように水とする場合、ドット形成材料としては水溶性の高分子材料が好ましくは、具体的にはポリビニルアルコールなどが好適である。
【0089】
ドット2は、それらの間の透明基板露出領域がメッシュ状となるように印刷される。好ましくは、この透明基板露出領域の線幅が30μm以下となるように印刷される。印刷手法としてはグラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷が好適であるが、細線化のためにはグラビア印刷が好適である。
【0090】
ドットの性状は、円、楕円、角形など任意であるが、角形とくに正方形であることが好ましい。ドットの印刷厚さは、特に限定されるものではないが、一般には0.1〜5μm程度である。
【0091】
ドットの印刷後、好ましくは乾燥し、次いで導電材料層3を形成する。この材料としては、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、すず、カドミウム、銀、プラチナ、銅、チタン、コバルト、鉛等の金属又は合金或いはITO等の導電性酸化物が好適である。この導電材料層3の厚さは、薄過ぎると電磁波シールド性能が不足するので好ましくなく、厚過ぎると得られる電磁波シールド性光透過窓材の厚さに影響を及ぼすと共に、視野角を狭くしてしまうことから、0.5〜100μm程度とするのが好ましい。
【0092】
導電材料層3の形成手法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、化学蒸着などの気相メッキ法や、液相メッキ(電解メッキ、無電解メッキ等)、印刷、塗布などが例示されるが、広義の気相メッキ(スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、化学蒸着)又は液相メッキが好適である。
【0093】
この導電材料層3の形成後、前記の通り、溶剤好ましくは水を用いてドット2を除去し、必要に応じ乾燥して本発明で使用する導電層付き透明基板が得られる。これをそのまま電磁波シールド性光透過窓材として使用しても良い。
【0094】
なお、得られたメッシュパターン(格子状を含む)の導電層の線幅は、一般に20μm以下、好ましくは5〜15μmで、特に5〜12μmを有する。線のピッチは200μm以下が好ましい。また、開口率は75〜95%であることが好ましく、特に80〜95%である。なお、開口率とはメッシュの線幅と1インチ幅に存在する線の数から計算で求めたものである。
【0095】
導電層の線で囲まれた開口部の形状は、円、楕円、多角形など任意の形状とすることができるが、一般に多角形であり、特に正方形であることが好ましい。また線は網状であるが、格子状とすることが好ましい。
【0096】
本発明の電磁波シールド性光透過窓材の製造方法においては、所望により防眩層等、他の層を設けるための工程をさらに行っても良い。防眩層は、たとえば黒化処理、即ち金属膜の酸化処理、クロム合金等の黒色メッキ、黒又は暗色系インキの塗布、により形成することができる。
【0097】
本発明の装置又は製造方法を用いることにより、透明基板上に設けられた導電層にメッキ層を均一に形成することができる。従って、線幅の細い導電層であっても開口部を塞ぐことなくメッキを施すことができる。このため、本発明により、導電層上に均一な膜厚のメッキ層の形成を極めて容易に行うことができるとも言いうことができる。また、本発明により極めて容易に高導電性で、線幅の小さい導電線を設けることができる。
【0098】
このような線幅を小さい導電線を用いることにより、ディスプレイの画素に対してモアレの発生を抑えることができ、透明性を向上させる開口率も大きくすることができるので、本発明の方法、装置を用いることにより優れた特性の電磁波シールド性光透過窓材を極めて容易に得ることができると言える。
【0099】
本発明の窓材のメッキ層上の表面抵抗率は、3Ω/□以下が好ましく、特に1Ω/□以下が好ましい。表面抵抗率が3Ω/□を超えると導電性が不充分で電磁シールド効果が満足でるものではない。
【0100】
本発明の電磁波シールド性光透過窓材は、前述のように電磁波シールド性に優れ、モアレの発生がほとんどなく、また開口率も高いことから透明性にも優れている。このため、本発明の窓材が、プラズマディスプレー(PDP)の前面フィルタとして好適であり、また病院等の電磁波シールド性を必要とされる建築物の窓材料(例えば貼着用フィルム)等として有利に使用することができる。
【0101】
本発明のPDP等のディスプレー用フィルタは、上記電磁波シールド性光透過窓材を、ガラス板等の透明基体に貼り合わせることにより得ることができる。
【実施例】
【0102】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0103】
[実施例1]
[被メッキ材料の作製]
厚さ500μmのポリエチレンフィルムの上に、ポリビニルアルコールの20%水溶液をドット状に印刷した。ドット1個の大きさは1辺が234μmの正方形状であり、ドット同士間の間隔は20μmであり、ドット配列は正方格子状である。印刷厚さは、乾燥後で約5μmである。その上に、アルミニウムを平均膜厚1000Åとなるように真空蒸着した。次いで、常温の水に浸漬し、スポンジで擦ることによりドット部分を溶解除去し、次いで水でリンスした後、乾燥して導電層付き透明フィルム(被メッキ材料)とした。
【0104】
このフィルム表面の導電層は、正確にドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μm、開口率は77%であった。また、導電層(アルミニウム層)の平均厚さは1000Åであった。
【0105】
[メッキ層の形成(電磁波シールド性光透過性窓材の作製)]。
【0106】
得られた導電層付き透明フィルム(被メッキ材料)を、図2示したメッキ装置を用い、図4(1)の遮蔽板を用いて以下のようにメッキ層を形成した。
【0107】
メッキ槽(寸法:600×900×900mm)
容量:400L;
陽極電極:材料 チタンケース入り銅球;
被メッキ材料:上記で得られたもの、寸法700×500mm;
遮蔽板:材料 アクリル板、寸法800×600mm、貫通孔部の直径が、中央に50mmのものが1個、その外側に80mmのものが6個、その外側に50mmのものが18個、その外側に20mmのものが40個、その外側に10mmのものが60個である、遮蔽板に対する貫通孔部の占める割合は中心から外側に向かって80%から40%に減少していた。
【0108】
メッキ液の組成
硫酸銅: 200〜250g/L
金属銅: 50〜62g/L
硫酸: 35〜75g/L
硫酸/金属銅: 約1/1
塩素: 20〜40mg/L
添加剤: 光沢剤等を適量
(メッキ条件)
浴温: 30℃
電流密度: 1〜10A/dm2
処理時間: 30分間
【0109】
上記条件でメッキ浴を撹拌しながら(エアー撹拌)実施した。
【0110】
得られたメッキフィルムを水洗して、電磁波シールド性光透過性窓材を得た。
【0111】
得られた窓材の導電層上の銅メッキ膜の厚さを蛍光X線膜厚計で測定したところ、メッキ層の最も薄い部分で6μm、最も厚い部分で7μmであった。従って、膜厚のバラツキはほとんど認められなかった。
【0112】
遮蔽板を用いないでメッキを行なった場合、同様にメッキ膜厚を測定すると4〜10μm程度のばらつきが発生することから、メッキ12の膜厚に関してばらつきが大きく改善した。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明で好適な導電層の形成方法を説明する概略図である。
【図2】本発明に従うバッチ式のメッキ装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の被メッキ材料の形状の1例を示す図である。
【図4】本発明の遮蔽板の例を示す図である。
【図5】長尺フィルムの搬送方向を変えるローラーを備えていない、本発明の連続式フィルム表面処理装置の説明図である。
【図6】長尺フィルムの搬送方向を変えるローラーを備えた、本発明の連続式フィルム表面処理装置の説明図である。
【図7】電気メッキ槽及び黒化処理槽にそれぞれ複数のシンクローラーを備えた、本発明の連続式フィルム表面処理装置の説明図である。
【図8】陽極電極の好ましい実施の態様の一例を説明する斜視断面図である。
【図9】図8の一部を部分拡大した説明図である。
【図10】本発明のロールトゥロール方式のメッキ装置の一例を示す概略図である。
【図11】本発明で使用される給電ロール及び給電ロール装置の一例の断面図である。
【符号の説明】
【0114】
1 透明基板
2 ドット
3 導電材料層
4 導電性パターン(導電層)
21,51 メッキ槽
22,52 陽極電極
23,53 被メッキ材料
23A 被メッキ材料の固定手段
24,54 遮蔽板
25 整流器
31 メッシュパターン
32 帯状の通電のため導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ液が満たされるメッキ槽、該メッキ槽内に配置された陽極電極、及び該陽極電極に陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される被メッキ材料を、該陽極電極に対向して配置するための固定手段、さらに陽極電極と被メッキ材料との間に且つこれらと略並行となるように配置された遮蔽板を備え、該被メッキ材料に電気メッキを施すことにより電磁波シールド性光透過窓材を製造するためのメッキ装置であって、
前記被メッキ材料が透明基板及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とするメッキ装置。
【請求項2】
前記遮蔽板が貫通孔部を複数有する請求項1に記載のメッキ装置。
【請求項3】
前記遮蔽板に対する貫通孔部の占める割合は、遮蔽板の最大対角線又は直径において、中心から1/4直径又は1/4最大対角線までの領域で50〜80%であり、上記中央領域以外の残りの領域で20%以上50%未満である請求項1又は2に記載のメッキ装置。
【請求項4】
前記貫通孔部の面積が、遮蔽板の中央から外側に減少している請求項2又は3に記載のメッキ装置。
【請求項5】
前記貫通孔部の形状が、円形、多角形又は環状である請求項1〜4のいずれかに記載のメッキ装置。
【請求項6】
前記金属導電層のメッシュの線幅が5〜40μm、その開口率が70〜95%である請求項1〜5のいずれかに記載のメッキ装置。
【請求項7】
前記導電層が、金属、合金、金属酸化物又は半金属酸化物である物請求項1〜6のいずれかにのいずれかに記載のメッキ装置。
【請求項8】
金属メッキに使用する金属が、銅である請求項1〜7のいずれかに記載のメッキ装置。
【請求項9】
被メッキ材料のメッシュ状導電層の周囲に、幅5〜50mmの帯状の導電層が設けられている請求項1〜8のいずれかに記載のメッキ装置。
【請求項10】
前記陽極電極、被メッキ材料及び遮蔽板がメッキ槽の側面と略平行に配置されるようにされている請求項1〜9のいずれかに記載のメッキ装置。
【請求項11】
前記陽極電極、被メッキ材料及び遮蔽板がメッキ槽の底面と略平行に配置されるようにされている請求項1〜10のいずれかに記載のメッキ装置。
【請求項12】
メッキ液が満たされた、陽極電極及び遮蔽板を相互に略平行の関係で具備するメッキ槽に、被メッキ材料を、遮蔽板を介して陽極電極と略平行に浸漬して、被メッキ材料に陰極電圧を、陽極電極に陽極電圧を印加して、該被メッキ材料に電気メッキを施す工程を含む電磁波シールド性光透過窓材の製造方法であって
前記被メッキ材料が透明基板及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とする製造方法。
【請求項13】
メッキ液が満たされるメッキ槽、該メッキ槽内に配置された陽極電極、及び該陽極電極に陽極電圧が印加されると同時に陰極電圧が印加される、該陽極電極上を移動する被メッキ連続フィルムを搬送するための搬送手段、さらに陽極電極と被メッキ材料との間に且つこれらと略並行になるように配置された遮蔽板を備え、該被メッキ材料に電気メッキを施すことにより電磁波シールド性光透過窓材を製造するためのロールトゥロール方式のメッキ装置であって、
前記被メッキ連続フィルムが連続フィルム及び該フィルム上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とするロールトゥロール方式のメッキ装置。
【請求項14】
被メッキ連続フィルムを搬送しながら、該連続フィルムに陰極電圧を印加し、次いで該連続フィルムを、メッキ液が満たされた陽極電極及び遮蔽板を相互に平行の関係で具備するメッキ槽に、遮蔽板を介して陽極電極と略平行に浸漬して、該連続フィルムに電気メッキを施す工程を含む電磁波シールド性光透過窓材の製造方法であって
前記被メッキ連続フィルムが透明基板及び該透明基板上に設けられたメッシュ状の導電層からなり、そして遮蔽板が貫通孔部を有し且つ遮蔽板の貫通孔部を除いた面積が遮蔽板の中央より外側の方が大きいことを特徴とする製造方法。
【請求項15】
請求項12又は14に記載の製造方法により得られる電磁波シールド性光透過窓材。
【請求項16】
請求項12又は14に記載の製造方法により得られる電磁波シールド性光透過窓材が透明基体に貼り合わされてなるディスプレイ用フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−144120(P2006−144120A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304372(P2005−304372)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(593020485)吉野電化工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】