説明

電磁波吸収シート

【課題】 容易に貼る、剥がす作業を行うことができ、再使用および保管も可能な、平滑な被着面に対して良好な密着性を有する電磁波吸収シートを提供すること。
【解決手段】 細孔半径5〜300μmの微細孔を有し、かつ厚みが20〜500μmである発泡樹脂層に、電磁波吸収体を配合してなることを特徴とする電磁波吸収シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品から発生するノイズを抑制したり、オフィスビルや一般住居等の建物に電磁波吸収性を付与する等の目的に用いることのできる、平滑な被着面に対して良好な密着性を有する電磁波吸収シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高周波を利用するデジタル電子機器類の普及が進み、中でも準マイクロ波帯域を使用する移動通信機器類の普及がめざましい。携帯電話に代表される移動体通信機器やデジタルカメラは、小型化軽量化の要求が顕著であり、電子部品の高密度実装化が最大の技術課題の一つとなっている。従って、実装された電子部品類やプリント配線あるいはモジュール間配線等が互いに極めて接近している。加えて信号処理速度の高速化も図られているため、静電及び電磁結合による線間結合の増大化や放射ノイズによる干渉などが生じ、機器の正常な動作を妨げる事態が少なからず生じている。
【0003】
このような電磁障害に対して従来は、主に導体シールドを施す事による対策がなされてきた。しかしながら、導体シールドは空間とのインピーダンス不整合に起因する電磁波の反射を利用する電磁障害対策であるために、遮蔽効果は得られても不要輻射源からの反射による電磁結合が助長され、その結果二次的な電磁障害を引き起こす場合が少なからず生じている。
【0004】
この二次的な電磁障害対策として、磁性体の磁気損失、即ち虚数部透磁率μ″を利用した不要輻射ノイズの抑制が有効である。偏平な軟磁性金属やソフトフェライトを樹脂と混練分散した電磁波吸収シートが市販されている。これらシートは、移動体通信機器やデジタルカメラノイズ発生個所に貼り付け使用するため、通常、粘着剤層が設けられている。しかし、粘着剤層がついた電磁波吸収シートは、一度剥がしてしまうとそこに粘着剤が残存したり、粘着力が低減し、再使用や保管ができないという問題点がある。
また、電波を利用する情報処理及び通信技術の進歩に伴い、既存のオフィスビルや一般住居等の建物において、電子機器の誤動作防止や情報漏洩防止などの観点から、建物内部を外部に対して電磁的に遮蔽する必要が生じている。建物内部を電磁的に遮蔽する場合には、建物内部の壁面に、電磁波シールド性を有する電磁波シールド壁紙を貼り付けることがある。例えば、特許文献1には、壁紙基材と、金属を含む樹脂成分からなる金属含有樹脂被膜層とを有することを特徴とする電磁波シールド壁紙が開示されている。壁紙シートは大面積になると気泡の混入、しわ(皺)の発生により美しく貼れない難しさと、特に印刷シートが紙等の場合、たとえ上手く貼れたとしても大気中の湿度の変化により、貼付施工後にしわが発生すること、及び剥がした時に糊が壁に残ってその除去に苦労することがある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−221537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、容易に貼る、剥がす作業を行うことができ、再使用および保管も可能な、平滑な被着面に対して良好な密着性を有する電磁波吸収シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のとおりである。
1)細孔半径5〜300μmの微細孔を有し、かつ厚みが20〜500μmである発泡樹脂層に、電磁波吸収体を配合してなることを特徴とする電磁波吸収シート。
2)前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面が平滑であることを特徴とする上記1)記載の電磁波吸収シート。
3)細孔半径5〜300μmの微細孔を有し、かつ厚みが20〜500μmである発泡樹脂層と、電磁波吸収体を含有する電磁波吸収層とを積層してなることを特徴とする電磁波吸収シート。
4)前記発泡樹脂層にも電磁波吸収体を配合してなることを特徴とする上記3)に記載の電磁波吸収シート。
5)前記発泡樹脂層の、電磁波吸収層を設けた面とは反対側の面が平滑であることを特徴とする上記3)または4)記載の電磁波吸収シート。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定の微細孔および厚さを有する発泡樹脂層に電磁波吸収体を配合するか、あるいは該発泡樹脂層に電磁波吸収層とを積層したため、容易に貼る、剥がす作業を行うことができ、再使用および保管も可能な、平滑な被着面に対して良好な密着性を有する電磁波吸収シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をさらに説明する。
本発明の電磁波吸収シートは、発泡樹脂層のみから構成されたものであってよいし、発泡樹脂層と他の任意の層を積層した構成であってもよい。前者の場合には、発泡樹脂層には電磁波吸収体を必須に含むことが必要である。後者の場合は、発泡樹脂層への電磁波吸収体の使用は任意であるが、少なくとも積層される層に電磁波吸収体を使用する必要がある。該積層される層としては、樹脂を主体した層、紙等が挙げられ、これらは発泡樹脂層と直接接着されていてもよいし、接着剤を介して積層されていてもよい。また該積層される層は、種々の色彩等が施された美観を有するものでもよい。
また、本発明の電磁波吸収シートは、必ずしもシートの全面に発泡樹脂層が存在する必要はなく、少なくとも被貼着物に貼着し得る密着力が確保されるのであればシートの一部に発泡樹脂層を設けるようにしてもよい。
まず、発泡樹脂層に電磁波吸収体を配合してなる電磁波吸収シートについて説明する。
【0010】
本発明における発泡樹脂層は、細孔半径5〜300μmの微細孔を有する。このような発泡樹脂層は、公知の技術により製造されたものを使用することができる。樹脂としては、とくに制限されるものではなく、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、シリコーン系、ポリ塩化ビニル系、ポリフッ素系、ポリビニルブチラール系、ポリエチレン系、スチレンブタジエン系、ニトリルブタジエン系、エポキシ系等の熱可塑性樹脂或いはそれらの共重合体、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂等をあげることができる。これらの合成樹脂は、溶剤に溶解した溶液、水に乳化分散したエマルジョン、チップ状の固形体などの形態で入手できる。
【0011】
本発明における発泡樹脂層は、その一部にポリイソシアネ−トまたはメラミン樹脂を用いるのが好ましい。
ポリイソシアネ−トとしては、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これらのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ−ト等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL、コロネ−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−トMR、ミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−トD−102,タケネ−トD−110N、タケネ−トD−200、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、デスモジュ−ルL、デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ルN、デスモジュ−ルHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで用いることができる。
【0012】
発泡樹脂層には、電磁波吸収体に対しより優れた分散効果と高い充填性を得るために、必要に応じ、COOM、SO3M、OSO3M、P=O(OM)2、O−P=O(OM)2(式中、Mは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アシル基、またはアリル基)、エポキシ基、SH、CNなどから選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
【0013】
発泡樹脂層に細孔半径5〜300μmの微細孔を設けるためには、例えば液状樹脂、電磁波吸収体、整泡剤、増粘剤、硬化剤等を適当に混合・分散した液に、機械的に空気を吹き込みながら、微細気泡を無数に生成させた分散液を、塗工、乾燥して成膜すればよい。細孔半径の調節は、整泡剤および増粘剤の配合量、発泡倍率を適宜調節すること等により可能である。また微細孔は独立気泡、連続気泡のいずれであってもよいが、部材への密着性の点から、他の気泡と細径管にて連続した構造であるものが好ましい。
【0014】
前記微細孔の細孔半径は、15〜250μmの範囲にあることがさらに好ましい。
また前記微細孔は、発泡樹脂層の表面に約8000〜30000個/cm2形成されているのが好ましい。さらに好ましくは10000〜25000個/cm2である。この範囲内において、平滑な被着面に対して良好な密着性を提供することができる。
発泡樹脂層の厚みは20μm〜500μm、さらに好ましくは50μm〜400μmである。厚みが20μm未満では、被着面への密着力が不足する。500μmを超えると密着力が飽和し、厚みが増加するため高密度実装に適さず、微細孔が多く存在することになり電磁波吸収体の充填度が低下するので電磁波吸収効率も劣化する。
【0015】
電磁波吸収体は、目的とする周波数を吸収する物質、例えば軟磁性体、誘電体、導電体等が挙げられ、とくに制限されない。
軟磁性体の形状は、偏平状および/または針状の粉末であるのが好ましい。このような軟磁性体粉末としては、高周波透磁率の大きな鉄アルミ珪素合金(センダスト)、鉄ニッケル合金(パーマロイ)等をその代表的素材としてあげることができる。また、鉄粉、カルボニル鉄、ステンレス系、Fe−Si系、ナノ結晶軟磁性材料、スピネル型フェライト、六方晶フェライトなども好ましいものとして挙げられる。
誘電体としては、SiC繊維、カーボンブラックなどを使用することができる。
導電体としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、白金、チタン、コバルト、ベリリウム、パラジウムなどの金属、またはこれらの金属を含む合金などの導電性を有するものが用いられ、さらに導電性カーボン、導電性酸化チタンが好ましい。これらの中でも、特に、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルの中から選ばれる少なくとも一種以上が含まれていることが好ましい。なお、本発明の電磁波吸収シートを壁紙として使用する場合は、抗菌性や防かび性が発現することから、銀など抗菌性の高い金属がより好ましい。これらの金属の平均粒子径は、電磁波シールド性がより高くなることから、0.1〜20.0μmであることが好ましい。その形状は、球状、針状、鱗片状等いずれであってもよいが、表面抵抗を下げる観点からは鱗片状のものが好ましく、さらに好ましくは鱗片状の金属の中にこれに比べて平均粒子径が小さい金属粒子が少量混ざっているものである。
【0016】
電磁波吸収シートは、電磁波吸収体に対し発泡樹脂が5〜40質量%、好ましくは5〜30質量%となるように配合するのがよい。
【0017】
本発明における発泡樹脂層は、細孔半径5〜300μmの微細孔を有する。発泡樹脂層の少なくとも一方の面が平滑であることが好ましく、このような平滑な面と被着面とが接触し、良好な密着性を提供することができる。
【0018】
次に、発泡樹脂層と、電磁波吸収体を含有する電磁波吸収層とを積層してなる電磁波吸収シートについて説明する。
この形態において、発泡樹脂層の細孔半径、厚み、用いられる樹脂の種類、発泡方法については、前記と同様である。また電磁波吸収体の種類についても前記と同様である。
電磁波吸収層は、前記の電磁波吸収体を結合剤にて分散させた層である。この結合剤としては、前記の発泡樹脂層に用いられる樹脂と同じものが例示される。また、増粘剤等の各種添加剤も必要に応じて配合することができる。
電磁波吸収層における電磁波吸収体の配合割合は、結合剤に対し、50〜99質量%、好ましくは60〜95質量%がよい。
また電磁波吸収層の厚みは、10〜3000μm、好ましくは10〜2500μmがよい。
なお、本形態において、発泡樹脂層には電磁波吸収体を配合してもしなくてもよいが、良好な電磁波吸収効率を提供するために、前記の配合割合において、発泡樹脂層に電磁波吸収体を配合するのが好ましい。 とくに、複数の吸収波長に対応するため、発泡樹脂層と電磁波吸収層の電磁波吸収体(例えば軟磁性体)を変更して使用する場合は、被着面に接する発泡樹脂層に高周波を吸収する軟磁性体を使用するのがよい。また発泡樹脂層と電磁波吸収層で同種の軟磁性体を使用する場合であっても、発泡樹脂層は微細孔部があるので充填度が低く、高周波を吸収できる。さらに発泡樹脂層と電磁波吸収層で充填度を変更することで吸収周波数幅を広げることができる。
また、本形態において、発泡樹脂層の、電磁波吸収層を設けた面とは反対側の面が平滑であることが、被着面との良好な密着性を確保する上で好ましいことは、前記形態と同様である。
【0019】
発泡樹脂層と電磁波吸収層との積層方法はとくに制限されず、公知の手段を適用することができる。例えば、支持体上に電磁波吸収層を塗布により形成した後、公知の接着剤層を介しまたは介さずに、発泡樹脂層を塗布する方法、支持体に発泡樹脂層を形成し、別の支持体上に形成した電磁波吸収層にラミネートにより積層する方法等が挙げられる。支持体表面には離型剤を含む剥離層が設けられていることが好ましく、上記支持体は着脱自在な保護シートとして用いてもよいし、電磁波吸収シート作製の過程乃至作製後にそれらの全部または一部を除去してもよい。また、作製された電磁波吸収シートの発泡樹脂層等の表面が露出している場合には所望により上記とは別の着脱自在な保護シートを両面もしくは片面に設けてもよい。
【0020】
本発明の電磁波吸収シートは、不燃紙のような公知の壁紙基材に、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイソシアネート樹脂のような接着剤を用いて発泡樹脂層を接着することにより、電磁波吸収壁紙として使用することもできる。このようにすれば、発泡樹脂層の平滑な表面が被着面と接触し、良好な密着性を提供することから、熟練者でなくても壁紙に気泡の混入、しわ(皺)等が発生しにくく有用である。また、壁紙を剥がした後に、糊が残ることもなく、再使用、保管が可能である。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1〜5
カルボニル鉄 90質量部
(平均粒子径3.5μm、Hc 0.52kA/m、σs 201.5A・m2/kg)
アクリル共重合樹脂25%水溶液 40質量部
(大日本インキ化学工業社製、商品名:DICNAL MDP−20WO)
増粘剤10%水溶液 10質量部
(大日本インキ化学工業社製、商品名:DICNALMX)
メラミン樹脂10%水溶液 5質量部
(大日本インキ化学工業社製)
上記の各成分を混合し、アクリルエマルジョン(エマルジョン1)を作成し、2分した。一方のアクリルエマルジョンを乾燥膜厚150μmとなるように剥離層つきポリエステルフィルムに塗布し乾燥した(シートA)。もう一方のアクリルエマルジョンに整泡剤(大日本インキ化学工業社製、商品名:DICNAL M−40)10%水溶液10質量部を添加し、機械的発泡機を通して空気を混入させ、発泡倍率を1.5倍とした(エマルジョン2)。エマルジョン2をシートAのアクリルエマルジョン塗布面に表1に示す乾燥膜厚(μm)となるように塗布し、電磁波吸収シートとした。
【0023】
比較例1
前記エマルジョン1を乾燥膜厚275μmとなるように剥離層つきポリエステルフィルムに塗布し、塗膜上に厚み30μmの両面粘着剤シートを貼り付け、電磁波吸収シートとした。
【0024】
CPU上部に、実施例、比較例で作成した電磁波吸収シートを貼り付け、0.5、1.0、2.0GHzの輻射ノイズを測定した。試験装置は、電磁界波源用発振器と電磁界強度測定器(受信用素子)とにそれぞれループ径2mm以下の電磁界送信用微小ループアンテナ、及び電磁界受信用微小ループアンテナを接続した装置である。測定は、試料の片面に、電磁界送信用微小ループアンテナと電磁界受信用微小ループアンテナとを対向させて行った。なお、電磁界強度測定器には、スペクトラムアナライザが接続されており、試料が存在しない状態での電磁界強度を基準とした。比較例1の輻射ノイズを0.0dBとし、測定した結果を表1に示した。
さらに、シートサンプルの発泡樹脂層の窒素吸着等温線を測定し、BJH式を使用して、細孔分布を計算した。細孔半径に対する積算細孔容積曲線より全積算細孔容積に対して10%、50%、90%の積算細孔容積を示したときの細孔半径をD10、D50、D90とした。本発明における発泡樹脂層の細孔半径とは、D50に相当する値である。得られた結果を表1に示す。
【0025】
実施例6
扁平状センダスト粉 90質量部
(平均径 30μm、アスペクト比10、Hc 0.67kA/m、σs 120A・m2/kg)
ポリウレタン樹脂 8質量部
(東洋紡社製、商品名:UR8300)
硬化剤(イソシアネート化合物) 2質量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)
メチルエチルケトン(MEK)/トルエン(3:1混合物) 40質量部
上記の各成分を混合し、磁性体ペーストを作成した(ペーストA)。ペーストAに整泡剤(大日本インキ化学工業社製、商品名:MEGAFAC F−177)10%トルエン溶液10質量部、MEK30質量部を添加し、機械的発泡機を通して空気を混入させ、発泡倍率を1.5倍とした(ペーストB)。剥離層つきポリエステルフィルムに乾燥膜厚が200μmとなるようにペーストAを塗布し乾燥した。この上にペーストB乾燥膜厚が150μmとなるように塗布し、電磁波吸収シートを得た。この電磁波吸収シートに対し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
【0026】
【表1】

【0027】
実施例7
多面体状の銀粒子(平均径0.1μm)36質量%と、ポリウレタン樹脂(東洋紡社製、商品名:UR8300)4質量%と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)/トルエン(TOL)からなる混合溶媒(DMF30質量%/TOL 70質量%)60質量%とを含む銀含有ポリウレタン樹脂液を調製した。銀含有ポリウレタン樹脂液100質量部に整泡剤(大日本インキ化学工業社製、商品名:MEGAFAC F−177)10%MEK液10質量部を添加し、機械的発泡機を通して空気を混入させ、発泡倍率を1.5倍とした。得られた発泡銀含有ポリウレタン溶液を乾燥膜厚75μmとなるように離型紙上に塗布し、120℃で3分間乾燥して金属含有樹脂被膜層を設けた。次いで、2液ポリウレタン樹脂30質量%と、イソシアネート12質量%と、MEK58質量%とからなる接着剤を調製した。次いで、この接着剤を、乾燥後の金属含有樹脂被膜層と接着剤層との合計の厚さが90μmになるように金属含有樹脂被膜層の上に塗布し、120℃で3分間乾燥して接着剤層を設けた。そして、接着剤層上に、壁紙基材として坪量(m2当たり)175gの不燃紙を貼り合わせ、次いで、温度120℃、圧力0.4MPaで熱圧着してラミネート加工品を得た。このラミネート加工品を60℃の雰囲気に24時間放置して接着剤を十分に硬化させた後、離型紙からラミネート加工品を剥離して、電磁波吸収壁紙を得た。電磁波吸収壁紙の発泡樹脂層は平滑な表面に対し、接着した。
KEC法(電界)にて500MHz、1GHzの電磁波シールド性能を測定した。その結果、500MHzで78dBであり、1GHzで60dBであり、良好な電磁波シールド性能を有している。また本実施例の電磁波吸収壁紙は、熟練者でなくても皺なく施工することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔半径5〜300μmの微細孔を有し、かつ厚みが20〜500μmである発泡樹脂層に、電磁波吸収体を配合してなることを特徴とする電磁波吸収シート。
【請求項2】
前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面が平滑であることを特徴とする請求項1記載の電磁波吸収シート。
【請求項3】
細孔半径5〜300μmの微細孔を有し、かつ厚みが20〜500μmである発泡樹脂層と、電磁波吸収体を含有する電磁波吸収層とを積層してなることを特徴とする電磁波吸収シート。
【請求項4】
前記発泡樹脂層にも電磁波吸収体を配合してなることを特徴とする請求項3に記載の電磁波吸収シート。
【請求項5】
前記発泡樹脂層の、電磁波吸収層を設けた面とは反対側の面が平滑であることを特徴とする請求項3または4記載の電磁波吸収シート。

【公開番号】特開2006−128280(P2006−128280A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312429(P2004−312429)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】