説明

電磁波吸収性に優れた電子機器部材用樹脂塗装鋼板

【課題】 優れた電磁波吸収性を発揮し得、必要によって良好な加工性および導電性を兼ね備えており、特に電子機器筺体における構成素材として有用な電子機器部材用樹脂塗装鋼板を提供する。
【解決手段】 本発明の電子機器部材用樹脂塗装鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の裏面または表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板から見て外気側を意味する)に、20〜60%(質量%の意味、以下、同じ)の磁性粉末を含有する磁性塗膜が、厚さ:3〜50μmで被覆されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電子・電気・光学機器等(以下、電子機器で代表させる場合がある)における筐体等の構成素材として有用な、電磁波吸収性に優れた電子機器部材用樹脂塗装鋼板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化・小型化が進むなか、電子機器から発生する電磁波を外部に漏洩しないような特性(電磁波シールド性)が要求されており、こうした特性を如何に実現するかが電子機器設計者にとって重要な課題となっている。電子機器からの漏洩電磁波が多くなると、その電子機器の周辺の配置された精密機械等の誤作動を招くことになりかねない。こうした観点から日本では、電子機器からの不要放射レベルを規制する自主規制規格として運用されているVCCI規格において、波長域30MHz〜1GHzの漏洩電磁波が規制されている。
【0003】
一方、電子機器には良好な放熱性も要求されており、こうした放熱性を良好にするには、電子機器の筐体に空気穴が有る構造とすることが有効である(この点は、後程詳述する)。しかしながら、こうした構造では、電磁波シールド性という観点からすれば決して好ましいものとは言えず、空気穴の存在は電磁波が却って漏洩し易い箇所となる。即ち、電子機器の筐体において、放熱性を良好にする構造は、電磁波シールド性からすれば却ってマイナスの要因となるものであり、構造面からすれば放熱性と電磁波シールド性は相反する特性となる。
【0004】
この様に電子機器の構造面からでは上述した制約があることから、別の角度から電磁波シールド性を良好にする為の技術が提案されている。例えば「電磁波は、空気穴や配線穴から漏れるだけでなく、鋼板同士の隙間からも漏れる」ことに着目し、「導電性に優れた鋼板を用いれば、鋼板同士の隙間を減らすことができるので電磁波の漏洩を減少できる」という観点から、電子機器の筐体の素材として、電気亜鉛めっき鋼板等の導電性に優れた素材が使用されている。しかしながら、この方法ではせいぜい、鋼板同士の隙間から漏れる電磁波しか減らすことが出来ず、空気穴や配線穴からの電磁波の漏れを防止することは出来ず、良好な電磁波シールド性が得られない。
【0005】
一方、電磁波吸収特性を有するシートやテープを電磁波発信源や筐体隙間に貼り付けることによって、漏洩電磁波の発生を減少する技術も提案されている。例えば、特許文献1には、Cr:5〜35%程度含むFe基合金からなる軟磁性粉末を、ゴムや樹脂に分散させた電磁波吸収体について提案されている。また、特許文献2には、熱硬化性樹脂からなる絶縁性シートに軟磁性金属粉末を分散させた電磁波吸収体について提案されている。これらの技術は、電磁波吸収性の面からすれば優れているといえる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献では、優れた電磁波吸収性を達成する目的で、樹脂中に、実質的に多量(10体積%以上)の磁性粉末を含有させる必要があり、また膜厚も厚くなって(例えば、1mm以上)加工性が困難となる為、電磁波発信源の表面や電子機器隙間等の極く限られた箇所にしか適用し難いという欠点がある。
【0007】
一方、特許文献3には、ステンレス鋼からなる薄片状粉体を合成樹脂製材料からなる基材中に混合・分散させて形成した電磁波吸収層を、金属からなる電波反射層に積層した電波吸収体が提案されている。この技術は、より高い周波数の電磁波(1GHz以上)の吸収を達成するために提供されたものであるが、上記電磁波吸収層は前述した特許文献と同様、実質的に多くの磁性粉末を含有させる必要があり、また膜厚も厚くなって(1.5〜3.5mm程度)加工性の点で問題があり、折り曲げ加工等の苛酷な加工が要求される電子機器用筐体の構成素材として適用することは困難である。
【特許文献1】特開2000−200990号公報 特許請求の範囲等
【特許文献2】特開2002−111276号公報 特許請求の範囲等
【特許文献3】特開2001−274587号公報 特許請求の範囲等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、優れた電磁波吸収性を発揮し得、必要によって良好な加工性および導電性を兼ね備えており、特に電子機器筺体における構成素材として有用な電子機器部材用樹脂塗装鋼板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成し得た本発明の電子機器部材用樹脂塗装鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の裏面または表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板から見て外気側を意味する)に、20〜60%(質量%の意味、以下、同じ)の磁性粉末を含有する樹脂製磁性塗膜が、厚さ:3〜50μmで被覆されたものであるところに要旨を有するものである。
【0010】
本発明で用いる磁性粉末としては、軟磁性フェライトや磁性金属粉末が挙げられるが、いずれを用いるにしても体積換算すると10体積%程度に相当するものである。また、磁性塗膜を構成する樹脂は、ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
【0011】
本発明の塗装鋼板において、上記磁性塗膜には、更に導電性付与剤を20〜40%程度添加して磁性塗膜に導電性を付与することができるが、この場合には良好な導電性を維持するために皮膜厚さは3〜15μmであることが好ましい。また導電性付与剤を添加する場合には、導電性付与剤と磁性粉末の合計含有量が30〜60%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記構成を採用することによって、優れた電磁波吸収性を発揮し得、必要によって良好な加工性および導電性も兼ね備えており、特に電子機器における構成素材として有用な電子機器部材用樹脂塗装鋼板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の電子機器部材用樹脂塗装鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の裏面または表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板から見て外気側を意味する)に、20〜60%の磁性粉末を含有する磁性塗膜が、厚さ:3〜50μmで被覆されたものであるところに特徴がある。
【0014】
電子機器から発生する電磁波は、鋼板に対して吸収するよりも反射することが多いことが判明している。かかる観点から、本発明者らは、加工性を低下させることなしに電磁波吸収性にも優れた塗装鋼板を提供する為には、電磁波吸収性筐体を構成する塗装鋼板において少なくとも裏面(筐体を構成する内部側面のこと;本明細書では「裏面」と呼ぶ)に、比較的薄い磁性塗膜を必要最小限の磁性粉を含有させた状態で形成してやれば、筐体内部で発生した電磁波が多重反射し、最終的に空気穴などから筐体外部に漏洩する電磁波の減衰が期待できるのではないかと考えた。
【0015】
即ち、図1(本発明の金属板による電磁波吸収性の原理を説明する図)に示す様に、筐体1内に電磁波発信源2が存在する場合に、この電磁波発信源2から発信された電磁波は、矢印A1〜A5に示すように筐体1の内面に何回か反射した後に、空気穴3等から外部に漏洩することになる(図中、4は筐体隙間を示す)。そして、1回の反射における減衰(素材鋼板比)が2dB(デシベル)とした場合には、例えば5回の多重反射によって10dBの電磁波シールド効果が発揮されることになる。この電磁波減衰効果は、素材鋼板単独のものと比較すると、電界強度が1/3になることを意味する。こうした観点から、本発明の塗装鋼板では、各要件を規定したのであるが、これらの要件による作用効果について説明する。
【0016】
(1)磁性塗膜中に、磁性粉末を20〜60%含有
本発明で用いる磁性粉末(電磁波吸収添加剤)は特に限定されず、代表的には軟磁性フェライト粉末や磁性金属粉末等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
【0017】
但し、いずれの磁性粉末を用いるにしても、磁性塗膜への添加量は合計で20〜60%とする必要がある。この添加量が20%未満では電磁波吸収特性が発揮され難く、60%を超えると電子機器部材用樹脂塗装鋼板として要求される特性(曲げ加工性、皮膜密着性および耐食性)が劣化する傾向にある。好ましい添加量は、使用する磁性粉末の種類や磁性塗膜の膜厚(後記する)等によっても変化し得るが、概ね、25%以上、50%以下;より好ましくは30%以上、45%以下である。
【0018】
上記磁性粉末のうち、軟磁性フェライト粉末としては、軟磁性のNi−Zn系フェライト粉末やMn−Zn系フェライト粉末等が挙げられる。
【0019】
また、磁性金属粉末としては、パーマロイ(Ni−Fe系合金でNi含有量が35%以上のもの)やセンダスト(Si−Al−Fe系合金)等が挙げられる。代表的には、後記する実施例に記載のものを使用すれば良い。
【0020】
尚、上記塗装体では、電磁波吸収性及び加工性の向上に加えて導電性も高めたい場合がある。その場合は、上述した磁性粉末のうち特に磁性金属粉末の使用が有用であり、当該磁性金属粉末を磁性塗膜に添加するだけで、更に導電性も高めることができる。上記磁性金属粉末中に、導電性付与剤として有用なNiが既に含まれているからである。
【0021】
一方、上述した磁性粉末のうち軟磁性フェライト粉末を使用する場合には、これ単独で導電性を向上させることは困難である。従って、導電性の向上も意図する場合には、磁性塗膜中に、軟磁性フェライト粉末の他に、後述する導電性付与剤(導電性フィラー)を添加することが好ましく、これらの含有量を適切に制御することが好ましい(この点については、後述する)。
【0022】
上記の磁性粉末は、平均粒径が15μm以下であることが好ましく、大粒径(例えば、20μm以上)の粉末はできるだけ除去することが好ましい。これによって、磁性塗膜の形成が容易となって、加工性、耐食性の低下を抑制できる。
【0023】
ここで、上記磁性粉末の平均粒径は、一般的な粒度分布計によって分級後の磁性粉末粒子の粒度分布を測定し、その測定結果に基づいて算出される小粒径側からの積算値50%の粒度(D50)を意味する。斯かる粒度分布は、磁性粉末粒子に光を当てることにより生じる回折や散乱の強度パターンによって測定することができ、この様な粒度分布計としては、例えば、日機装社製のマイクロトラック9220FRAやマイクロトラックHRA等が例示される。
【0024】
尚、上述した好ましい平均粒径を満足する磁性粉末は、市販品を使用しても良い。例えば後記する実施例に記載の磁性粉末が挙げられる。
【0025】
(2)磁性塗膜の膜厚を3〜50μm
本発明では、上記磁性塗膜の膜厚を3〜50μmとする。上記膜厚が3μm未満および50μm超では曲げ加工性、皮膜密着性および耐食性が低下してしまう。好ましい膜厚は、使用する磁性粉末の種類や添加量等によっても変化し得るが、概ね、4μm以上、40μm以下;より好ましくは5μm以上、30μm以下である。
【0026】
尚、上述した磁性皮膜は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも裏面(電子機器部材用樹脂塗装鋼板の内側)に形成されていれば良い。電磁波シールド性は、電子機器部材の内側で問題となるからである。具体的には上記第一の塗装体には図5に示す通り、裏面に磁性皮膜が被覆されている態様[図5(a)]と、表裏面に磁性皮膜が被覆されている態様[図5(b)]の両方が包含される。尚、図5中、21は磁性粉末、22は合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0027】
以上が、本発明における磁性塗膜の特徴部分に関する説明である。
【0028】
尚、上記磁性塗膜を構成する樹脂(ベース樹脂)の種類としては、電磁波吸収性の観点からは特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、およびこれらの混合または変性した樹脂などを適宜使用することができる。但し、本発明の塗装鋼板は電子機器の筐体として使用されるので、曲げ加工性、皮膜密着性および耐食性などの特性が要求されることを考慮すると、ポリエステル樹脂若しくは変性ポリエステル樹脂(例えば、不飽和ポリエステル樹脂にエポキシ樹脂を加えて変性させた樹脂)であることが好ましい。この磁性塗膜には、架橋剤を添加することができる。こうした架橋剤としては、例えばメラミン系化合物やイソシアネート系化合物が挙げられ、これら1種または2種以上を0.5〜20%の範囲で添加することが好ましい。
【0029】
塗装鋼板の電磁波シールド性を高めたいときは、導電性を付与すれば良いことが知られている。こうした観点からすれば、磁性塗膜中に導電性付与剤を添加する方法が有用である。この様な導電性付与剤としては、Ag,Zn,Fe,Ni,Cu等の金属単体やFeP等の金属化合物が挙げられる。このうち、特に好ましいのはNiである。尚、その形状は特に限定されないが、より優れた導電性を得るためには、麟片状のものを使用することが推奨される。
【0030】
上記導電性付与剤の添加量は概ね、磁性塗膜中に20〜40%とすることが好ましいが、厳密には、使用する磁性粉末の種類等に応じてその添加量を適切に調整することが推奨される。前述した通り、磁性粉末として軟磁性フェライト粉末を用いる場合には、それ単独で導電性を付与することはできない為、上記範囲内(20〜40%)のなかでも、導電性付与剤をできるだけ多く添加することが好ましい(例えば25%以上)。これに対して、磁性粉末として磁性金属粉末を用いる場合は、それ自体で導電性を有しているので、上記範囲内(20〜40%)のなかでも、できるだけ少なく添加するのが良い(例えば30%以下)。
【0031】
一方、導電性付与剤は、上記磁性粉末と同様に加工性等に悪影響を及ぼす恐れがあることを考慮すれば、磁性塗膜中に含まれる導電性付与剤と磁性粉末の合計含有量は60%以下とすることが好ましい。
【0032】
これらを総合的に勘案すれば、磁性塗膜中に磁性粉末と導電性付与剤を両方添加する場合には、まず、磁性粉末として軟磁性フェライト粉末を用いるときには、その含有量を20〜40%程度とし、導電性付与剤の含有量を20〜40%程度(合計で60%以下)とすることが好ましく;一方、磁性粉末として磁性金属粉末を用いるときには、その含有量を30〜50%程度とし、導電性付与剤の含有量を10〜30%(合計で60%以下)とすることが好ましい。
【0033】
ところで、電子機器部材の筐体においては、放熱性も良好であることが要求されることがある。こうした筐体に使用することを想定した本発明の塗装鋼板においても、樹脂製磁性皮膜中に放熱性付与剤を含有させて、こうした放熱性を具備させることも有効である。こうした放熱性添加剤としては、代表的にはカーボンブラックが挙げられる。尚、放熱性付与剤の好ましい含有量は、1〜60%程度であり、より好ましくは1〜20%程度である。
【0034】
本発明では、上記のような磁性皮膜が形成される鋼板(素地鋼板)として、合金化溶融めっき鋼板を採用した。即ち、本発明者らが、各種鋼板[冷延鋼板、熱延鋼板、電気亜鉛めっき鋼板(EG)、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、5%Al−Znめっき鋼板等]について、素地鋼板として用いたときの電磁波吸収性について検討したところ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)を用いたときにその特性に飛躍的向上が認められることが判明したのである。尚、電磁波吸収性だけを考慮した場合には、素地鋼板として冷延鋼板を用いた場合にも同様の効果が認められたのであるが、耐食性の点で問題があるので、本発明では合金化溶融亜鉛めっき鋼板を採用した。
【0035】
本発明で用いる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、通常使用されているものを用いることによってその効果が発揮されるものであり、そのめっき付着量についても通常程度(10〜70g/m2程度)であれば良いが、めっき付着量が余り多くなると加工性の点で問題が生じるので40g/m2以下であることが好ましい。
【0036】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に磁性皮膜を被覆することによって、電磁波吸収性が向上する理由については、その全てを解明し得た訳ではないが、おそらく皮膜を透過した電磁波が電磁波吸収性を有するめっき層にて更に吸収され、その結果電磁波吸収性が向上したものと考えられる。
【0037】
上記合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性向上、塗膜の密着性向上等を目的として、クロメート処理やリン酸塩処理等の表面処理が施されていてもよいが、一方、環境汚染等を考慮して、ノンクロメート処理した金属板を使用してもよく、いずれの態様も本発明の範囲内に包含される。
【0038】
上記「ノンクロメート処理」する方法(下地処理)は特に限定されず、通常、使用される公知の下地処理を行えば良い。具体的には、リン酸塩系、シリカ系、チタン系、ジルコニウム系等の下地処理を、単独で、若しくは併用して行うことが推奨される。
【0039】
尚、一般にノンクロメート処理すると耐食性が低下することから、耐食性向上の目的で、塗膜中または下地処理の際、防錆剤を使用しても良い。上記防錆剤としては、シリカ系化合物、リン酸塩系化合物、亜リン酸塩系化合物、ポリリン酸塩系化合物、イオウ系有機化合物、ベンゾトリアゾール、タンニン酸、モリブデン酸塩系化合物、タングステン酸塩系化合物、バナジウム系化合物、シランカップリング剤等が挙げられ、これらを単独で若しくは併用することができる。特に好ましいのは、シリカ系化合物(例えばカルシウムイオン交換シリカ等)と、リン酸塩系化合物、亜リン酸塩系化合物、ポリリン酸塩系化合物(例えばトリポリリン酸アルミニウム等)との併用であり、シリカ系化合物:(リン酸塩系化合物、亜リン酸塩系化合物、またはポリリン酸塩系化合物)を、質量比率で0.5〜9.5:9.5〜0.5(より好ましくは1:9〜9:1)の範囲で併用することが推奨される。この範囲に制御することにより、所望の耐食性と加工性の両方を確保することができる。
【0040】
上記防錆剤の使用によりノンクロメート処理金属板の耐食性は確保できるが、その反面、防錆剤の添加による加工性低下も知られている。その為、塗膜の形成成分として、特にエポキシ変性ポリエステル系樹脂及び/又はフェノール誘導体を骨格に導入したポリエステル系樹脂、及び架橋剤(好ましくはイソシアネート系樹脂及び/又はメラミン系樹脂、より好ましくは両者の併用)を組み合わせて使用することが推奨される。
【0041】
このうちエポキシ変性ポリエステル系樹脂及びフェノール誘導体を骨格に導入したポリエステル系樹脂(例えばビスフェノールAを骨格に導入したポリエステル系樹脂等)は、ポリエステル系樹脂に比べ、耐食性及び塗膜密着性に優れている。
【0042】
一方、イソシアネート系架橋剤は加工性向上作用(加工後の外観向上作用を意味し、後記する実施例では、密着性曲げ試験におけるクラック数で評価している)を有しており、これにより、防錆剤を添加したとしても優れた加工性を確保することが可能となる。
【0043】
また、メラミン系架橋剤は、優れた耐食性を有することが本発明者らの検討結果により明らかになった。従って、本発明では、前述した防錆剤と併用することにより、非常に良好な耐食性が得られることになる。
【0044】
これらのイソシアネート系架橋剤及びメラミン系架橋剤は単独で使用しても良いが、両者を併用すると、ノンクロメート処理金属板における加工性及び耐食性を一層向上させることができる。具体的には、イソシアネート系樹脂100質量部に対し、メラミン系樹脂を5〜80質量部の比率で含有することが推奨される。メラミン系樹脂が5質量部未満の場合、所望の耐食性が得られず、一方、メラミン系樹脂が80質量部を超えると、イソシアネート系樹脂の添加による効果が良好に発揮されず、所望の加工性向上作用が得られない。より好ましくは、イソシアネート系樹脂100質量部に対し、10質量部以上、40質量部以下、更により好ましくは15質量部以上、30質量部以下である。
【0045】
本発明に係る塗装鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(上記下地処理したものも含む)の表面に、上記の様な各種添加剤を含む樹脂製磁性皮膜が被覆されたものであるが、必要によって、耐疵付き性や耐指紋性の付与を目的として、樹脂製磁性皮膜の表面に更に別の樹脂皮膜(以下、「表面側樹脂皮膜」と呼ぶ)を施した二層膜構造とすることも有効である。この表面側樹脂皮膜の好ましい膜厚は、樹脂皮膜に付与する機能によっても変化する。
【0046】
即ち、樹脂製磁性皮膜に導電性添加剤(導電性フィラー)を添加しない場合には、少なくとも優れた電磁波吸収性を維持しつつ、しかも耐疵付き性と耐指紋性の向上を図るためには、表面側樹脂皮膜の膜厚を0.1〜10μm程度に制御することが推奨される。0.1μm未満では耐疵付き性と耐指紋性の向上効果が発揮されない。但し、膜厚を10μmよりも厚くしても、耐疵付き性等の向上効果が飽和してしまい、皮膜コストが増加するのみで不経済である。
【0047】
一方、樹脂製磁性皮膜に導電性を付与する場合には、良好な電磁波吸収性および導電性を維持しつつ、しかも耐疵付き性と耐指紋性の向上を図るためには、表面側樹脂皮膜の膜厚を0.1〜3μm程度に制御することが推奨される。0.1μm未満では耐疵付き性と耐指紋性の向上効果が発揮されない。但し、膜厚が厚くなり過ぎると、導電性に悪影響を及ぼす為、その上限を3μmにすることが好ましい。
【0048】
表面側樹脂皮膜を構成する樹脂としては、特に限定されない。こうした樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、およびこれら樹脂の混合物または変性した樹脂等が挙げられる。また、この表面側樹脂皮膜中には、本発明の作用を損なわない範囲で、架橋剤、ワックス、艶消し剤等の添加剤を添加しても良い。これにより、皮膜の潤滑性や強度等を容易に調整することが可能になり、その結果、耐疵付き性を更に高めることができる。表面側樹脂皮膜中に含有される添加剤としては、皮膜中に通常使用され、上記作用を有効に発揮し得るものであれば、特に限定されず、例えばメラミン系架橋剤、ブロックイソシアネート系架橋剤等の架橋剤が挙げられる。
【0049】
本発明の塗装鋼板を製造するに当っては、上記成分を含む塗料を、公知の塗装方法で合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に塗布し、乾燥させて製造することができる。塗装方法は特に限定されないが、例えば表面を清浄化して、必要に応じて塗装前処理(例えばリン酸塩処理、クロメート処理など)を施した長尺金属帯表面に、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法などを用いて塗料を塗工し、熱風乾燥炉を通過させて乾燥させる方法などが挙げられる。被膜厚さの均一性や処理コスト、塗装効率などを総合的に勘案して実用上好ましいのは、ロールコーター法である。
【0050】
本発明の塗装鋼板が適用される電子機器部材としては、閉じられた空間に発熱体を内蔵する電子機器部材であって、該電子機器部材は、その外壁の全部または一部が上記電子機器部材用塗装体で構成されている電子機器部材も包含される。上記電子機器部材としては、CD、LD、DVD、CD−ROM、CD−RAM、PDP、LCD等の情報記録製品;パソコン、カーナビ、カーAV等の電気・電子・通信関連製品;プロジェクター、テレビ、ビデオ、ゲーム機等のAV機器;コピー機、プリンター等の複写機;エアコン室外機等の電源ボックスカバー、制御ボックスカバー、自動販売機、冷蔵庫等が挙げられる。
【0051】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することはすべて本願発明に含まれる。
【実施例】
【0052】
素地鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板(板厚:0.8mm;表裏面に夫々、めっき付着量:30g/m2または45g/m2)を用い、これに表1および2に示す各種添加剤(磁性粉末、導電性付与剤、カーボンブラック)を添加した磁性塗膜(ベース樹脂:エポキシ変性ポリエステル、架橋剤:イソシアネート)を両面(表裏面)に形成し、得られた各塗装鋼板における電磁波吸収性、導電性、加工性、放熱性等の特性を評価した。尚、各特性は下記(1)〜(3)の評価方法に従って夫々、評価した。
【0053】
また、素地鋼板として電気亜鉛めっき鋼板(板厚:0.8mm;表裏面に夫々、めっき付着量:20g/m2)を用い、これに表3および4に示す各種添加剤(磁性粉末、導電性付与剤、カーボンブラック)を添加した磁性塗膜(ベース樹脂:エポキシ変性ポリエステル、架橋剤:イソシアネート)を両面(表裏面)に形成し、得られた各塗装鋼板における上記各特性についても調査した。
【0054】
(1)電磁波吸収性評価方法
図2は、塗装鋼板における電磁波吸収性能を評価する方法を説明する為の図である。直方体形状の筐体1内に、高周波ループアンテナ5を設置し、磁界結合させるように構成されている。この高周波ループアンテナ5は、コネクタ(図示せず)を介して同軸ケーブル6の一端に接続され、同軸ケーブル6の他端はネットワークアナライザ7に接続されている。ネットワークアナライザ7では、周波数を掃引しながら電磁波を発生し、同軸ケーブル6、高周波ループアンテナ5を経由して筐体1内に入力(高周波入力波:矢印B)するようにされている。筐体1の共振周波数では、入力された電磁波が蓄積されるために、反射量が少なくなる特性が観察される(図3参照)。そして、この高周波反射波は、観察値としてネットワークアナライザ7に入力(高周波反射波:矢印C)される。
【0055】
このとき、筐体1における下記(1)式で求められるQ値を計測すれば、筐体1内で蓄積されるエネルギーの大きさが分かる。尚、下記(1)式から求められるQ値は、アドミタンス軌道が満足する条件から、求まる周波数差Δfと共振周波数frから計算されるものである(例えば、中島将光著、「森北電気工学シリーズ3 マイクロ波工学 −基礎と原理−」森北出版株式会社発行、第159〜163頁)。
Q値=fr/Δf ‥‥(1)
【0056】
上記(1)式から求められるQ値が小さくなるほど、筐体1内で蓄積されるエネルギーが減ることを意味する。従って、Q値が小さくなる程、筐体1から内部に反射される電磁界レベルも減ることになる。
【0057】
このときの様子を模式的に図4に示すが、この図は、Ez=0、TE011という最も低い周波数の共振モードでの電磁界分布を図示したものであり、図中、Eは高周波磁界、Fは高周波電界を夫々示している。上記Ezはz方向の電界強度を意味し、TE011は、共振モードの電磁界分布の姿態を示している。このTEは、z方向に波が進むとして、その横方向に電界が存在することを意味している。添字「011」は、x、y、z方向に対して、y及びz方向には電界の強度分布が1つあり、x方向には電界の強度分布が変化しないことを示している(例えば、上記文献第141〜144頁参照)。
【0058】
また、図4に示した電磁界分布は、以下の式で表せる。
z=H011・cos(ky・y)・sin(kz・z)
y=(−kz・ky/kc2)・H011・sin(ky・y)・cos(kz・z)
x=(−jωμky/kc2)・H011・sin(ky・y)・sin(kz・z)
ここで、ky=π/b、kz=π/c、kc=kyである。b、cは図4の直方体(筐体1)のy、z方向の長さ、jは虚数、ωは各周波数、μは空気の透磁率を夫々示す。
【0059】
本発明者らは、サンプル鋼板の内面に占める割合を100%近くまで(即ち、筐体内面の全面まで)高めることのできる筐体を作製した。図6はこの筐体を構成するSUS製フレーム(枠体)を示す説明図であり、図6(a)は平面図、6図(b)は正面図、6図(c)は左側面図を夫々示している。尚、このフレームは上下左右が対象となるように構成されており、従って底面図は平面図[図6(a)]と、背面図は正面図[図6(b)]と、右側面図は左側面図[6(c)]と、夫々同一に現れるものである。
【0060】
図6に示したフレームに、図7、8に示すサンプル鋼板およびSUS板を貼りつけて(取り付けネジ)、筐体(240×180×90mm)とした。尚、図7(a)はフレームの正面・背面部分に配置されるサンプル鋼板(2枚)、図7(b)はフレームの左右側面部分に配置されるサンプル鋼板(2枚)、図8(a)は上面部分に配置されるSUS板、図8(b)は底面部分に配置されるSUS板を、夫々示している。
【0061】
上記のような構成によって、筐体を作製すればその内面が100%に近い割合までサンプル鋼板で占めることができる。また、取り付けネジは、そのピッチを20〜40mmとし、接触抵抗を低減しているので、多数個のネジ止めを要するものである。ネジ止めは、トルクを管理することによって、Q値測定の再現性を高めることができる。こうした筐体を用いてQ値を測定し(前記図2)、下記の式によって電磁波吸収性を算出した。
サンプル鋼板の電子波吸収性(dB)=10×log10([EG]/[A])
但し、[EG]:基板となる電気亜鉛めっき鋼板のQ値
[A] :サンプル鋼板のQ値
【0062】
本発明では、上記方法によって算出された値(dB)が高いほど電磁波吸収性に優れると評価されるものであり、3.5dB以上のものを「本発明例」として評価する。
【0063】
(2)導電性評価方法
導電性測定装置として三菱化学社製「ロレスタEP」、プローブは三菱化学社製4探針プローブ(ESPプローブ:MCP−TPO8P)を使用し、サンプルの抵抗率を測定した。本発明では、下記評価基準に基づいた結果が◎または○のものを「本発明例」として評価する。
[評価基準]
◎:0.1mΩ未満
○:0.1〜1Ω未満
△:1〜106Ω未満
×:106Ω以上
【0064】
(3)加工性評価方法
JIS K 5400に準拠した耐屈曲性試験(180°密着曲げ試験)を行ない、試験後の皮膜の割れ(クラック)およびテーピング後の皮膜の剥離程度を目視にて観察し、下記の基準で評価した。本発明では、下記評価基準に基づいた結果が◎、○または△のものを「本発明例」として評価する。
[評価基準]
◎:異常なし
○:僅かにクラック、剥離あり
△:クラック、剥離あり
×:クラック、剥離全面発生
【0065】
これらの結果を、磁性塗膜構成と共に下記表1および2に示す。また、素地鋼板として電気亜鉛めっき鋼板を用いた場合の結果について、磁性塗膜構成と共に下記表3および4に示す。尚、表中、各添加剤の詳細は以下の通りである。
[磁性粉末]
Ni−Zn系軟磁性フェライト
[戸田工業(株)製BSN−125、平均粒径13.0μm]
パーマロイ(78%Ni)
[日本アトマイズ加工(株)製SFR−PC78、平均粒径5.7μm]
パーマロイ(45%Ni)
[日本アトマイズ加工(株)製SFR−PB45、平均粒径5.8μm]
センダスト
[日本アトマイズ加工(株)製SFR−FeSiAl(84.5-10-5.5)、平均粒径6.9μm]
[放熱性付与剤]
カーボンブラック
[三菱化学社製「三菱カーボンブラック」、平均粒径:25nm]
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
これらの結果から、以下の様に考察できる。まず、磁性塗膜に関する要件(磁性粉末の含有量、および磁性塗膜の膜厚)が本発明の範囲を満足する供試材(No.1〜11、16〜27、30〜38)はいずれも、電磁波吸収性および加工性の点で良好な特性が発揮されている。
【0071】
特に上記供試材のうち、磁性粉末として磁性金属粉末(パーマロイ)を用いた例(No.18〜27、30〜36、38)では、導電性添加剤の有無に拘らず、優れた導電性が発揮されている。また、磁性粉として導電性を有さないNi−Zn軟磁性フェライトを用いた例(No.1〜11、16、17)では、上記磁性粉単独では良好な導電性は発揮されないが(No.1〜6、16、17)、磁性塗膜中に適量の導電性付与剤を添加すると、優れた導電性が発揮されている(No.7〜11)。
【0072】
これに対し、本発明で規定する要件のいずれかが外れる供試材は夫々、以下の不具合を有している。まず、No.12は、磁性塗膜の膜厚が2μmと、本発明の範囲を下回る例であり、電磁波吸収性は良好であるが、加工性に劣っている。
【0073】
一方、No.13は、磁性塗膜の膜厚が60μmと、本発明の範囲を超える例であり、電磁波吸収性および加工性の双方が低下している。また、No.14および28は、磁性粉末の添加量が10%と、本発明の範囲を下回る例であり、加工性は良好であるが、電磁波吸収性が低下している。更に、No.15及び29は、磁性粉末の添加量が70%と、本発明の範囲を超える例であり、電磁波吸収性は良好であるが、加工性が低下している。
【0074】
また、素地鋼板として電気亜鉛めっき鋼板を用いたものでは(表3,4)、磁性塗膜構成に応じて、良好な加工性や導電性が発揮されているものも認められるが、素地鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用いたものに比べて電磁波吸収性の点で全体的に劣化している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の塗装鋼板による電磁波吸収性の原理を説明する図である。
【図2】塗装鋼板における電磁波吸収性能の評価方法を説明する図である。
【図3】入力された電磁波が筐体の共振周波数で反射量が少なくなる状態を説明する図である。
【図4】電磁波吸収性を測定したときの状態を模式的に示した説明図である。
【図5】本発明の塗装鋼板の概要を示す説明図である。
【図6】電磁波吸収性を測定するための筐体を構成するSUS製フレーム(枠体)を示す説明図である。
【図7】フレームの左右側面部分に配置されるサンプル鋼板の形状を示す説明図である。
【図8】フレームの上面部分および底面部分に配置されるサンプル鋼板の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 筐体
2 電磁波発信源
3 空気穴
4 筐体隙間
5 高周波ループアンテナ
6 同軸ケーブル
7 ネットワークアナライザ
21 磁性粉末
22 合金化溶融亜鉛めっき鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の裏面または表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装鋼板から見て外気側を意味する)に、20〜60%(質量%の意味、以下、同じ)の磁性粉末を含有する樹脂製磁性塗膜が、厚さ:3〜50μmで被覆されたものであることを特徴とする電磁波吸収性に優れた電子機器部材用樹脂塗装鋼板。
【請求項2】
前記磁性粉末が軟磁性フェライト粉末である請求項1に記載の樹脂塗装鋼板。
【請求項3】
前記磁性粉末が磁性金属粉末である請求項1に記載の樹脂塗装鋼板。
【請求項4】
前記磁性塗膜を構成する樹脂は、ポリエステル系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂塗装鋼板。
【請求項5】
前記磁性塗膜の少なくとも一方には、更に導電性付与剤が20〜40%含まれると共に、該導電性付与剤を含有する樹脂製磁性塗膜の厚さが3〜15μmである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂塗装鋼板。
【請求項6】
前記導電性付与剤と磁性粉末の含有量が合計で30〜60%である請求項5に記載の樹脂塗装鋼板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−161129(P2006−161129A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357162(P2004−357162)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】