説明

電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法

【課題】光透過性の低下及び表示装置の画質の低下を抑制し得る電磁波遮蔽フィルム、及びそれを製造するための方法を提供する。
【解決手段】光透過性のベース基板と、その上に設けられた導電性パターン3とを備える電磁波遮蔽フィルムの製造方法において、(a)光透過性のベース基板の一方の主面に、硬化後の可視光に対する反射率が導電性パターン3よりも低い黒色インクの液滴を噴きつけ、下地パターン2を形成する工程と、(b)下地パターン2の上に、導電性微粒子を含む導電インクの液滴を噴きつけ、導電性パターン3を形成する工程とを実行する。(a)の工程において、下地パターン2は網目状に形成されるのが好ましい。(b)の工程において、導電性パターン3は、下地パターン2の形状に合わせて、網目状に形成されるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器が発生する電磁波の遮蔽を行う電磁波遮蔽フィルム、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭やオフィスにおいて、映像機器や情報機器といった各種電子機器の使用が増加している。これらの電子機器は電磁波を発するため、電磁波による人体や他の機器への影響の懸念も増加している。このため、電子機器が発生する電磁波については法的な規制がなされており、これに対応するため、電子機器には、電磁波遮蔽のための各種手段が講じられている。
【0003】
例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)等の表示装置においては、表示画面から人体に向けて射出される電磁波を遮蔽するため、表示画面上に電磁波遮蔽効果のあるメッシュやフィルム(電磁波遮蔽手段)が貼付される。また、年々、高精細化により表示装置の電磁波量は増加傾向にあることから、表示装置用の電磁波遮蔽手段には、光透過性と電磁波遮蔽性との二つを同時に向上させることが求められる。
【0004】
表示装置用の電磁波遮蔽手段としては、例えば、導電繊維で編んだ電磁波シールドメッシュ(例えば、特許文献1参照)が知られている。また、透明基板の全面に銀や酸化インジウムチタン(ITO:Indium Tin Oxide)等によって導電性の薄膜を形成して得られたフィルム(例えば、特許文献2参照)も知られている。
【0005】
これらのうち、前者は、量産性に優れ、製造コストを安くできるという利点や、光透過性に優れているという利点を有している。しかし、前者には、網目の形状や大きさを均一にするのが難しく、電磁波遮蔽性の向上を図れないという問題がある。また、前者では、網目の縮小化に限界があるため、表示装置の高精細化への対応は困難である。
【0006】
一方、後者によれば、導電性の薄膜の厚みを大きくすることで、電磁波遮蔽性の向上を図ることができるが、これにより、光透過性を低下させてしまう。後者を用いた場合、光透過性と電磁波遮蔽性との二つを同時に向上させることは極めて困難である。
【0007】
このような問題を解決するため、透明基板上に網目状の導電性パターンを形成することによって構成された電磁波遮蔽フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この電磁波遮蔽フィルムでは、導電性パターンは、ウェットエッチング等のエッチングによって形成されるため、網目の形状や大きさは均一なものとなり、光透過性と電磁波遮蔽性との両方の向上が図られる。
【0008】
但し、近年の表示装置の大画面化に対応して電磁波遮蔽フィルムも大型化するため、エッチングによって導電性パターンを形成する場合は、生産設備の大型化も必要になる。また、エッチング速度の向上には限界があるため、量産性の向上は困難である。これらの理由から、エッチングによる導電性パターンを備えた電磁波遮蔽フィルムにおいては、生産コストが高いという問題がある。
【0009】
このため、近年においては、インクジェット印刷による導電性パターンの形成が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。インクジェット印刷によれば、生産設備を大型化することなく、導電性パターンの形成領域を拡大でき、しかも、エッチングの場合よりも形成速度の向上を図ることができると考えられる。よって、電磁波遮断フィルムのコス
トの削減化が図られる。
【特許文献1】特開平5−327274号公報
【特許文献2】特開平5−323101号公報
【特許文献3】特開平10−41682号公報
【特許文献4】特開2003−318593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献4に記載のインクジェット印刷による導電性パターンの形成は、導電性微粒子を分散させたインク(導電インク)の液滴を透明基板の表面に直接噴き付けることによって行われる。しかしながら、このとき、透明基板に衝突した液滴が必要以上に広がってしまう場合がある。この場合、導電性パターンの線幅が設定された値より大きくなってしまうため、光透過性が低下してしまう。
【0011】
また、導電性微粒子は低抵抗であることが求められ、実際には、導電性微粒子として金、銀、又は銅といった金属の粒子が用いられるが、このような材料で形成された導電性パターンは、可視光に対して高い反射特性を有している。よって、導電性パターンは外部から視認され易く、表示装置の画質の低下を引き起こす要因となっている。
【0012】
本発明の目的は、上記問題を解消し、光透過性の低下及び表示装置の画質の低下を抑制し得る電磁波遮蔽フィルム、及びそれを製造するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明における電磁波遮蔽フィルムの製造方法は、光透過性のベース基板と、その上に設けられた導電性パターンとを備える電磁波遮蔽フィルムの製造方法であって、(a)光透過性のベース基板の一方の主面に、可視光に対する反射率が前記導電性パターンよりも低い第1のインクの液滴を噴きつけ、下地パターンを形成する工程と、(b)前記下地パターンの上に、導電性微粒子を含む第2のインクの液滴を噴きつけ、前記導電性パターンを形成する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明における電磁波遮蔽フィルムは、光透過性のベース基板と、前記ベース基板の一方の主面上に設けられた下地パターンと、前記下地パターン上に設けられた導電性パターンとを備え、前記下地パターンは、可視光に対する反射率が前記導電性パターンよりも低い第1のインクの液滴の集合体によって形成され、前記導電性パターンは、導電性粒子を含む第2のインクの液滴の集合体によって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明においては、導電性パターンは下地パターンの上に形成されるため、透明基板の上に導電性パターンが直接形成される従来例に比べて、導電性パターンを構成する液滴の広がりが抑制される。また、下地パターンは、導電性パターンに比べ、可視光に対する反射率が低く、外部から視認され難いものとなっている。よって、本発明によれば、光透過性の低下及び表示装置の画質の低下が抑制された電磁波遮蔽フィルムが得られることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における電磁波遮蔽フィルムの製造方法は、光透過性のベース基板と、その上に設けられた導電性パターンとを備える電磁波遮蔽フィルムの製造方法であって、(a)光透過性のベース基板の一方の主面に、可視光に対する反射率が前記導電性パターンよりも低い第1のインクの液滴を噴きつけ、下地パターンを形成する工程と、(b)前記下地パ
ターンの上に、導電性微粒子を含む第2のインクの液滴を噴きつけ、前記導電性パターンを形成する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
上記本発明における電磁波遮蔽フィルムの製造方法は、前記(a)の工程において、前記下地パターンが、網目状に形成され、前記(b)の工程において、前記導電性パターンが、前記下地パターンの形状に合わせて、網目状に形成される態様(第1の態様)とできる。上記第1の態様によれば、効率良く電磁波を遮蔽することができる。
【0018】
また、上記本発明における電磁波遮蔽フィルムの製造方法は、前記導電性パターン及び前記下地パターンを被覆する保護層を形成する工程を更に有する態様(第2の態様)とすることもできる。上記第2の態様によれば、導電性パターンの腐食や破壊を抑制することができ、電磁波遮蔽フィルムの寿命を延ばすことができる。
【0019】
上記本発明における電磁波遮蔽フィルムの製造方法においては、前記第1のインクが、黒色の顔料を含み、且つ、紫外線硬化性を有しており、前記(a)の工程において、噴きつけられた前記第1のインクの液滴に対して紫外線の照射が行われるのであっても良い。
【0020】
上記本発明における電磁波遮蔽フィルムの製造方法においては、前記(b)の工程において、噴きつけられた前記第2のインクの液滴に対して加熱が行われるのであっても良い。
【0021】
上記第2の態様は、光透過性及び紫外線硬化性を有する第3のインクの液滴を、前記保護層の形成が予定されている領域に噴きつけ、その後、噴きつけた前記第3のインクの液滴に対して紫外線を照射することによって、前記保護層が形成されるのであっても良い。
【0022】
また、上記第2の態様は、前記(a)の工程及び前記(b)の工程それぞれにおけるパターンの形成が、複数個の液滴を同時に噴射する印刷ヘッドを2つ用い、一方の印刷ヘッドによって、第1の方向に沿って配列された液滴の列を複数条形成し、他方の印刷ヘッドによって、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配列された別の液滴の列を複数条形成することによって行われているのであっても良い。
【0023】
更に、上記第2の態様は、前記(a)の工程及び前記(b)の工程それぞれにおけるパターンの形成が、複数個の液滴を同時に噴射する印刷ヘッドによって、第1の方向に沿って配列された液滴の列を複数条形成し、そして、前記印刷ヘッドによって、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って配列された別の液滴の列を複数条形成することによって行われているのであっても良い。
【0024】
本発明における電磁波遮蔽フィルムは、光透過性のベース基板と、前記ベース基板の一方の主面上に設けられた下地パターンと、前記下地パターン上に設けられた導電性パターンとを備え、前記下地パターンは、可視光に対する反射率が前記導電性パターンよりも低い第1のインクの液滴の集合体によって形成され、前記導電性パターンは、導電性粒子を含む第2のインクの液滴の集合体によって形成されていることを特徴とする。
【0025】
上記本発明における電磁波遮蔽フィルムは、前記下地パターン及び導電性パターンが、網目状の形状を備えているのが好ましい。この場合、効率良く電磁波を遮蔽することができる。また、上記本発明における電磁波遮蔽フィルムは、前記第1のインクが、黒色の顔料を含んでいる態様とすることができる。
【0026】
更に、上記本発明における電磁波遮蔽フィルムは、前記下地パターン及び導電性パターンを被覆する保護膜を更に備えているのが好ましい。この場合、導電性パターンの腐食や
破壊を抑制することができ、電磁波遮蔽フィルムの寿命を延ばすことができる。
【0027】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法について、図1〜図9を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの構成について図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの平面図である。図2は、図1に示した電磁波遮蔽フィルムの断面構成を示す断面図である。図3は、図1に示した電磁波遮蔽フィルムの一部分を拡大して示す平面図である。
【0028】
本実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムは、表示装置用であり、表示装置の表示画面に貼付される。図1及び図2に示すように、本実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムは、従来からの電磁波遮蔽フィルムと同様に、ベース基板1と、導電性パターン3とを備えている。ベース基板1は、光透過性を有した透明基板である。
【0029】
本実施の形態1では、ベース基板1としては、厚みが1mm〜3mmの強化ガラスの板材を用いることができる。また、PET(ポエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、アクリル、又はポリイミド等で形成され、厚みが50μm〜200μmのプラスチックフィルムを用いることもできる。更に、プラスチックフィルムをガラス板に粘着剤によって貼り付け、これをベース基板1として用いることもできる。
【0030】
導電性パターン3は、従来例と同様に、後述するインクジェット印刷によって網目状に形成されている。図3に示すように、導電性パターン3は、導電性粒子を含むインク(導電インク)の液滴の集合体によって形成されている。また、本実施の形態1では、導電性パターン3は、ベース基板1の長辺方向及び短辺方向に対して傾斜し、且つ、互いに直交する2方向に沿って形成されており、導電性パターン3の網目の形状は菱形に設定されている。
【0031】
上述のように本実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムは、従来例と同様の構成を備えているが、以下の点で従来例と異なっている。即ち、図2及び図3に示すように、本実施の形態1では、ベース基板1の一方の主面上に、下地パターン2が設けられている。導電性パターン3は、この下地パターン2の上に、つまり、下地パターン2を介して設けられている。なお、図1においては、下地パターン2の図示は省略している。
【0032】
また、図3に示すように、下地パターン2も、導電性パターン3と同様にインクジェット印刷によって形成され、インクの液滴の集合体によって構成されている。但し、下地パターン2用のインクとしては、可視光に対する反射率が導電性パターン3よりも低いインク(以下「黒色インク」という)が用いられている。
【0033】
このように、本実施の形態1では、導電性パターン3は、透明基板の上ではなく、インクで形成された下地パターン2の上に形成される。硬化後のインク表面の摩擦係数は、透明基板より高いことから、透明基板の上に直接導電性パターンが形成される従来例に比べて、導電性パターン3を構成する液滴の広がりが抑制される。この結果、光透過性の低下も抑制される。また、下地パターン2は、導電性パターン3に比べて可視光を反射せず、外部から視認され難くいため、導電性パターン3を目立たなくし、表示装置の画質の低下を抑制する。特に、表示装置の電源が切断されたときであっても、導電性パターン3の外部からの視認が抑制される。
【0034】
また、図1〜図3に示すように、本実施の形態1では、電磁波遮蔽フィルムは、導電性パターン3の腐食や破壊を防ぐため、導電性パターン3及び下地パターン2を被覆する保
護膜4を更に備えている。図1及び図3においては、保護膜4は、その外形のみを示している。
【0035】
具体的には、図1に示すように、保護膜4は、上方から見たときに、電磁波遮蔽フィルムの中央部分が被覆されるように面状に形成される。また、このとき、保護膜4は、導電性パターン3の端部(外縁)については被覆しないように形成される。これは、導電性パターン3の端部から外部へと電流を取り出せるようにするためである。
【0036】
ここで、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造方法について図4〜図9を用いて説明する。本実施の形態1においては、電磁波遮蔽フィルムの製造は、インクジェット印刷によって下地パターン2及び導電性パターン3を形成することによって行われる。そこで、先ず、本実施の形態1における製造方法で用いられるインクジェット印刷用の印刷ヘッドについて図4〜図7を用いて説明する。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造に用いられる印刷ヘッドの概略構成を示す斜視図である。図5は、図4に示す印刷ヘッドの底面側を示す底面図である。図6は、図4に示す印刷ヘッドを構成するヘッドモジュールの底面側を拡大して示す図である。図7は、図4に示す印刷ヘッドを構成するヘッドモジュールが備えるヘッドセルの概略構成を示す断面図である。
【0038】
図4に示すように、印刷ヘッド20は、基板20a上に、複数個のヘッドモジュール21を斜めに配置して構成されている。また、図5に示すように、各ヘッドモジュール21は、底面側に、液滴状のインクを噴射するための複数個のノズル9を備えている。各ノズル9は、ノズル板8に形成されている。基板20aには、各ヘッドモジュール21のノズル板8を露出させる開口が形成されている。この構成により、印刷ヘッド20は、複数個の液滴を同時に噴射することができる。
【0039】
また、図6に示すように、各ヘッドモジュール21のノズル板8において、複数個のノズル9は、ノズル板8の長辺方向と、長辺方向に対して傾斜した方向とに沿って、2次元状に配列されている。言い換えると、長辺方向に沿って配列されたノズル列と、斜め方向(図中左下がりの方向)に沿って配列されたノズル列とが形成されている。この配列により、長辺方向のノズル列は、隣接する長辺方向のノズル列に対してオフセットされた状態となる。図6において、Pは長辺方向のノズル列におけるピッチを示している。OFは隣接するノズル列間におけるオフセット量を示している。
【0040】
本実施の形態1において、複数個のノズル9がこのように配置されているのは、各ヘッドモジュール21が斜めに配置されること(図4及び図5参照)と合わせて、噴射される液滴間のピッチを縮小化させ、これにより導電性パターン3の線幅を小さくするためである。なお、下地パターン2及び導電性パターン3の線幅を小さくすることが、要求されていない場合は、ヘッドモジュール21を斜めに配置したり、ノズル列間にオフセットを設けたりする必要はない(後述の実施の形態2参照。)。
【0041】
本実施の形態1において、ノズル列のピッチPやオフセット量OFの値、ノズル9の個数は、特に限定されるものではなく、求められる導電性パターンのピッチや形状に合わせて適宜設定できる。また、印刷ヘッド20に搭載されるヘッドモジュール21の個数や大きさも、特に限定されるものではない。ヘッドモジュール21の個数や大きさは、印刷対象物の大きさに応じて決定できる。
【0042】
例えば、ベース基板1の大きさが80cm(長辺)×50cm(短辺)×3mm(厚み)で、50cmの幅でインクジェット印刷が行われる場合は、ヘッドモジュール21を30個搭載した印刷ヘッドを用いることができる。この場合、各ヘッドモジュール21にお
いて、ノズル板8の大きさは4.5cm×1.5cm程度とするのが好ましい。また、各ヘッドモジュール21のノズル板8には、200個のノズル9で構成された長辺方向のノズル列が5列形成されるのが好ましい(ノズル合計:1000個)。更に、ノズルピッチPは100μmに設定され、隣接するノズル列間のオフセット量OFは20μmに設定されるのが好ましい。この場合、ノズル9は、最小径が10μm〜50μmとなるように形成されているのが好ましい。
【0043】
また、各ヘッドモジュール21のノズル板8の噴射側の反対側には、ノズル9毎に、図7に示すヘッドセル10が設けられる。図7に示すように、ヘッドセル10は、圧力室5が形成された本体11と、圧力室5の上部開口を塞ぐように配置されたピエゾアクチュエータ12とを備えている。
【0044】
本体11は、圧力室5の底面に設けられた貫通孔5aがノズル板8のノズル9の開口に整合するように配置されている。本実施の形態1においては、本体11はステンレスで形成されている。ピエゾアクチュエータ12は、電圧値に応じて体積が変動する板状のピエゾ素子6を電極板7aと7bとで挟み込んで形成されている。電極板7a及び7bには、制御装置(図示せず)から電圧が印加される。
【0045】
ここで、ヘッドセル10の動作について説明する。先ず、本体11の圧力室5にインク13が充填される。次に、制御装置は、ピエゾ素子の体積が増加するように電極板7aと7bとに電圧を印加し、圧力室5を加圧する。この結果、圧力室5に加えられた圧力により、インク13は液滴14となってノズル9から外に噴射される。噴射された液滴14は、対象物に着弾し、塗膜となる。
【0046】
このとき、制御装置は、電極板7a及び7bに印加する電圧の周波数や電圧値を調整し、液滴14の直径を例えば10μm〜100μm程度に調整することができる。また、電極板7a及び7bに印加する電圧のオン・オフにより、液滴14の噴射のオン・オフが行われる。よって、着弾した液滴の配列パターン、即ち、下地パターン2及び導電性パターン3のパターン形状は、制御装置が出力する電圧信号のパターンによって設定できる。
【0047】
なお、液滴14の直径は、ノズルの形状や直径によっても調整できる。また、本実施の形態においては、ヘッドセル10は、材料の選択性の広さの点から、ピエゾ方式を採用しているが、これに限定されるものではない。本発明においては、インクを加熱して気泡を発生させる、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式(又はサーマルインクジェット方式)を採用するヘッドセルを用いることもできる。
【0048】
次に、図4〜図7に示した印刷ヘッドによる電磁波遮蔽フィルムの製造工程について図8及び図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程を示す平面図である。図9は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである保護膜形成工程を示す平面図である。
【0049】
本実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造方法は、温度、湿度、更にクリーン度が管理されたクリーンルームで実施される。特に、後述するインクの粘度は、周囲の温度から強く影響を受けるために、実施が行われるクリーンルームの温度は、プラスマイナス1℃以内の範囲で厳密に管理される。また、図4〜図7に示した印刷ヘッドを搭載したインクジェット印刷装置も、このクリーンルームに設置されている。なお、以下の説明においては、適宜、図1〜図7を参照する。
【0050】
最初に、ベース基板1(図1及び図2参照)が、インクジェット印刷装置のベッド(図
示せず)に配置される。また、本実施の形態1においては、ベース基板1に対しては、事前に、表面の洗浄が実施されている。洗浄は、例えば、ベース基板1に対して、紫外線を照射したり、放電ガスを接触させたりすることによって行うことができる。
【0051】
更に、以下の説明においては、ベース基板1として、上述の大きさが80cm(長辺)×50cm(短辺)×3mm(厚み)の強化ガラスの板材が用いられるとする。また、印刷ヘッド20は、大きさが4.5cm×1.5cmのヘッドモジュール21(図4〜図6参照)を30個搭載しているとする。また、各ヘッドモジュール21のノズル板には、200個のノズル9で構成された長辺方向のノズル列が5列形成されているとする(ノズル合計:1000個)。更に、ノズルピッチPは100μm、オフセット量OFは20μm、ノズル9の最小径は10μmに設定されているとする。
【0052】
次いで、図4〜図7に示した印刷ヘッド20によって、ベース基板1の一方の主面に、黒色インクの液滴が噴きつけられ、下地パターン2が形成される。具体的には、後述の導電性パターン3の形成と同様に(図8参照)、印刷ヘッド20を固定した状態で、ベース基板1をX方向(ベース基板1の長辺方向)に沿って移動させながら、黒色インクの噴射が行われる。この結果、図1及び図3に示したように、網目状の下地パターン2が形成される。
【0053】
また、このとき、ノズル9の噴射側の開口面とベース基板1との距離は、液滴の直径や、求められる着弾位置精度を考慮しながら設定すれば良い。本実施の形態1においては、約0.5mmに設定される。更に、本実施の形態1において、例えば、下地パターン2の線幅は20μm〜40μm、ライン間隔(ライン間ピッチ)は100μm〜500μmに設定される。また、着弾した液滴の厚みが1μm〜3μmになるように調整される。着弾した液滴の厚みは、次に説明するベース基板1の移動速度と、印刷ヘッドの駆動周波数(例えば5kHz〜40kHzに設定)と、印刷ヘッドに印加される電圧の値(例えば5V〜35V)とを適宜設定することによって調整できる。
【0054】
ベース基板1の移動速度は、例えば、50mm/秒〜500mm/秒程度に設定すれば良い。また、印刷ヘッド20を移動させても良いし、ベース基板1と印刷ヘッド20との両方を移動させても良い。更に、図8の例では、ベース基板1の移動方向は、印刷ヘッドの基板20aの長手方向に垂直な方向となっているが、これに限定されず、ベース基板1の移動方向と、印刷ヘッド20(基板20a)の長辺方向に垂直な方向とが一致しない態様であっても良い。なお、下地パターン2の網目の形状は、特に限定されるものではなく、後述する導電性パターンの形状に合わせて設定される。
【0055】
本実施の形態1においては、下地パターン2の形成の迅速化を図るため、黒色インクは、紫外線硬化性を有するのが好ましい。この場合、印刷ヘッドによる噴きつけの後、黒色インクの液滴に対して、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、又はキセノンランプ等によって紫外線の照射が行われ、下地パターン2は短時間で硬化する。照射時間は、例えば、3秒〜10秒に設定される。積算光量は、例えば、200mJ/cm2〜1500mJ/cm2に設定される。
【0056】
また、本実施の形態1においては、黒色インクは、ベース基板1との接着性や、導電性パターン3を構成する液滴の広がりの抑制効果の点でも優れているのが好ましい。更に、後工程において導電性パターン3に対して加熱(焼成)が行われることから、黒色インクは、耐熱性を備えているのも好ましい。
【0057】
これらの要件を満たす黒色インクとしては、例えば、黒色顔料、紫外線硬化樹脂、分散剤、添加剤、重合開始剤を溶媒中に混合させて得られるインクが挙げられる。また、この
場合、黒色の顔料としては、例えば、酸化鉄、酸化コバルト、又は酸化ニッケル等の酸化金属の粒子(平均粒径:約50nm〜100nm)や、カーボンブラック等を用いることができる。また、黒色の顔料は、溶媒に対して10重量%〜30重量%の割合で配合されていれば良い。
【0058】
紫外線硬化樹脂としては、エポキシアクリレート樹脂やポリエステルアクリレート樹脂等が挙げられる。紫外線硬化樹脂は、オリゴマー又はモノマーの状態で溶媒に混合される。上記した紫外線硬化樹脂を用いた場合、紫外線による硬化は、ラジカル重合によって進む。本実施の形態1では、紫外線硬化樹脂として、紫外線による硬化が、カチオン重合によって進むシロキサン等を含む材料を用いることもできる。
【0059】
また、本実施の形態1では、上述したように、下地パターン2の形成にはインクジェット印刷が採用されている。よって、インクジェット方式による塗布がスムーズに行われるようにするため、黒色インクは、その粘度が5mP・s〜20mP・s程度の比較的低い粘度となるように調整されているのが好ましい。更に、液滴の発生を安定させるため、黒色インクは、その表面張力が30dyne/cm〜50dyne/cm程度となるようにも調整されているのが好ましい。
【0060】
続いて、図8に示すように、下地パターン2の形成の場合と同様に、印刷ヘッド20によって、下地パターン2の上に、そのパターン形状に沿って、導電インクの液滴が噴きつけられ、網目状の導電性パターン3(図3参照)が形成される。具体的には、印刷ヘッド20を固定した状態で、ベース基板1をX方向(ベース基板1の長辺方向)に沿って移動させながら、導電インクの噴射が行われる。図8においては、下地パターンの図示は省略している。なお、図8に示された印刷ヘッド20が備えるヘッドモジュール21の数は15個であるが、実際には、上述したように、印刷ヘッド20は、ヘッドモジュール21を30個搭載している。
【0061】
この場合も、ノズル9の噴射側の開口面とベース基板1との距離は、液滴の直径や、求められる着弾位置精度を考慮しながら設定され、例えば、約0.5mmに設定される。また、ベース基板1の移動速度も、例えば、50mm/秒〜500mm/秒程度に設定すれば良い。更に、印刷ヘッド20を移動させても良いし、ベース基板1と印刷ヘッド20との両方を移動させても良い。ベース基板の移動方向と、印刷ヘッド20の長辺方向に垂直な方向とが一致しない態様であっても良い。
【0062】
但し、導電性パターン3の形成においては、導電性パターン3の線幅は、導電性パターン3が下地パターン2からはみ出さないようにするため、下地パターン2の線幅より細く、例えば、10μm〜30μm程度に設定される。ライン間隔(ライン間ピッチ)は、下地パターン2の場合と同様に、100μm〜500μm程度となる。
【0063】
導電性パターン3の抵抗値は、着弾した液滴の厚みが厚い程低くなり、この場合、電磁波遮蔽効果は向上する。但し、液滴の厚みが厚くなると線幅は広がる傾向にある。よって、導電性パターン3の形成においては、着弾した液滴の厚みは、求められる線幅を考慮して決定するのが好ましい。具体的には、本実施の形態1においては、着弾した液滴の厚みは、例えば、1μm〜5μmに設定される。なお、着弾した液滴の厚みは、この場合も、ベース基板1の移動速度と、印刷ヘッド20の駆動周波数と、印刷ヘッド20に印加される電圧の値とを適宜設定することによって調整できる。
【0064】
また、本実施の形態1においては、導電性パターン3の網目の形状は、菱形に設定されているが、これに限定されるものではない。導電性パターン3の網目の形状は、モアレ等の画像障害が発生しないように、表示装置の画素のレイアウトや画素数等を考慮して設定
されていれば良い。網目の形状は、菱形以外の形状、例えば、正方形、長方形、平行四辺形、又は正六角形等であっても良い。
【0065】
更に、本実施の形態1において、導電インクに含有させる導電性粒子は、特に限定されないが、良好な電気導電性を示す点から、銀(Ag)や、銀銅合金(Ag−Cu)の微粒子を用いるのが好ましい。導電インクは、この導電性粒子と、界面活性剤等の添加剤とを溶媒中に一緒に混合することによって得ることができる。また、導電性粒子は、その平均粒径が5nm〜10nmであり、溶媒に対する配合比が約60重量%であるのが好ましい。溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラデカンといった有機溶剤や、水溶液が挙げられる。
【0066】
また、導電性パターン3の形成にもインクジェット印刷が採用されている。よって、導電インクも、下地パターン2を形成する黒色インクと同様に、その粘度が5mP・s〜20mP・s程度、その表面張力が30dyne/cm〜50dyne/cm程度となるように調整されているのが好ましい。
【0067】
本実施の形態1では、導電インクの噴きつけの後は、インクに含まれる溶媒を速やかに除去して液滴を乾燥させると共に導電性パターン3の固着を高めるため、導電インクの液滴に対して加熱が行われるのが好ましい。具体的には、先ず、大気中で80℃程度の温度で、1分間〜5分間程度の乾燥処理が実施され、溶媒の除去が行われる。次いで、大気中で120℃〜200℃の温度で、10分間〜60分間焼成が行われる。この焼成により、導電性粒子の周囲に付着している有機物が取り除かれ、個々の導電性粒子が互いに融着して一体化すると同時に下地パターン2の表面に固着する。
【0068】
その後、図9に示すように、導電性パターン3及び下地パターン2を被覆する保護膜4が形成される。図9においては、下地パターン2の図示は省略している。また、導電性パターン3の保護膜4によって被覆されている部分は破線で示している。
【0069】
本実施の形態1においては、保護膜4の形成も、下地パターン2及び導電性パターン3と同様にインクジェット印刷によって行われる。具体的には、印刷ヘッド22によって、光透過性を有するインク(透明インク)の液滴が、保護層4の形成が予定されている領域に噴きつけられる。また、保護膜4の形成においても、印刷ヘッド22を固定した状態で、ベース基板1をX方向(ベース基板1の長辺方向)に沿って移動させながら、透明インクの噴射が行われる。印刷ヘッド22は、図4〜図7に示した構造の印刷ヘッド20と同様に、複数個のヘッドモジュール21(図6参照)を搭載している。
【0070】
但し、保護膜4は、下地パターン2や導電性パターン3と異なり、面状に形成される。このため、印刷ヘッド22には、印刷ヘッド20(図4〜図7参照)に比べて、噴射される液滴間のピッチの縮小化は求められない。よって、印刷ヘッド22においては、複数個のヘッドモジュール21は、斜めではなく、いわゆる千鳥状に配置されている。
【0071】
具体的には、ヘッドモジュール21は、その長辺方向が印刷ヘッド20の長辺方向に一致するようにして、且つ、印刷ヘッド22の長辺方向に沿って2列で配置されている。また、複数個のヘッドモジュール21は、印刷ヘッド22の短辺方向においては、揃わないようにして配置されている。印刷ヘッド22におけるノズル9の最小径は、導電性パターン3を形成するための印刷ヘッド20におけるノズル9の最小径よりも大きな値に設定できる。
【0072】
なお、図9に示された印刷ヘッド22が備えるヘッドモジュール21の数は9個であるが、実際には、印刷ヘッド22は、ヘッドモジュール21を15個搭載している。また、
保護膜4は、下地パターン2及び導電性パターン3の形状に沿って網目状に形成されていても良い。この場合は、印刷ヘッド22の代わりに、図4〜図7に示した印刷ヘッド20が用いられる。
【0073】
保護膜4の形成においても、印刷ヘッドのノズルの噴射側の開口面とベース基板1との距離は、液滴の直径や、求められる着弾位置精度を考慮しながら設定され、例えば、約0.5mmに設定される。また、ベース基板1の移動速度も、例えば、50mm/秒〜500mm/秒程度に設定すれば良い。更に、印刷ヘッド22を移動させても良いし、ベース基板1と印刷ヘッド20との両方を移動させても良い。ベース基板の移動方向と、印刷ヘッド22の長辺方向に垂直な方向とが一致しない態様であっても良い。
【0074】
また、着弾した液滴の厚みは、例えば、1μm〜5μmに調整される。着弾した液滴の厚みの調整は、下地パターン2や導電性パターン3の場合と同様に、ベース基板1の移動速度と、印刷ヘッド20の駆動周波数と、印刷ヘッド20に印加される電圧の値とを適宜設定することによって行われる。
【0075】
ところで、保護膜4には、導電性パターン3を衝撃等から物理的に保護する機能や、導電性パターン3の劣化を防止する機能を備えていることが求められる。よって、透明インクは、光透過性に加え、良好な接着性、耐湿性、及び耐熱性等を備えているのが好ましい。また、透明インクは、硬化後に適度の硬度を発揮するのが好ましい。更に、透明インクも、上述した黒色インクと同様に、保護膜4の形成の迅速化を図るため、紫外線硬化性を有するのが好ましい。紫外線の照射は、上述した下地パターン2の場合と同様の条件で行えば良い。
【0076】
これらの要件を満たす透明インクとしては、例えば、紫外線硬化樹脂、添加剤、重合開始剤を溶媒中に混合させて得られるインクが挙げられる。紫外線硬化樹脂としては、ガラスに近い屈折率を持ち、硬化後の硬度が高い樹脂、例えば、ポリオールアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、又はエポキシアクリレート樹脂といったアクリレート樹脂や、メタクリレート樹脂が挙げられる。また、紫外線硬化樹脂は、オリゴマー又はモノマーの状態で溶媒に混合される。
【0077】
上記した紫外線硬化樹脂を用いた場合、紫外線による硬化は、ラジカル重合によって進む。本実施の形態1では、紫外線硬化樹脂として、紫外線による硬化が、カチオン重合によって進むシロキサン等を含む材料を用いることもできる。また、紫外線硬化樹脂の代わりに、ビニル基、アリル基などの不飽和結合を有する化合物を主剤として含む材料を用いることもできる。
【0078】
また、保護膜4の形成にも、インクジェット印刷が採用されている。よって、透明インクも、黒色インクや導電インクと同様に、粘度が5mP・s〜20mP・s程度、表面張力が30dyne/cm〜50dyne/cm程度となるように、組成や添加剤の種類によって調整されているのが好ましい。
【0079】
以上のように、本実施の形態1における製造方法によれば、インクジェット印刷によって電磁波遮蔽フィルムが作製される。よって、エッチングによって導電性パターンを形成する場合に比べて、生産設備の低コスト化や小型化を図ることができる。また、生産速度の向上を図ることができるため、電磁波遮蔽フィルムの量産性の向上も図られる。
【0080】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法について、図10〜図14を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態2における電磁波遮蔽フ
ィルムの構成について図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの平面図である。
【0081】
図10に示すように、本実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムも、実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムと同様に、ベース基板1と、導電性パターン3とを備えている。また、図10においては図示していないが、ベース基板1の一方の主面上には、下地パターンが設けられている。導電性パターン3は、この下地パターンの上に形成されている。なお、本実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムも、表示装置用であり、表示装置の表示画面に貼付される。
【0082】
但し、本実施の形態2においては、下地パターン及び導電性パターン3は、網目状ではあるが、ベース基板1の長辺方向及び短辺方向の2方向に沿って形成されている。また、網目の形状は、正方形に設定されている。これ以外の構成については、本実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムは、実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムと同様である。
【0083】
このように、本実施の形態2において下地パターン及び導電性パターン3の形状が実施の形態1と異なるのは、本実施の形態2で用いられる印刷ヘッドの構成が、実施の形態1で用いられる印刷ヘッドの構成と異なるからである。また、構成の違いにより、本実施の形態2においては、長辺方向に沿ってパターンを形成するための印刷ヘッドと、短辺方向に沿ってパターンを形成するための印刷ヘッドとの2つが用いられる。
【0084】
ここで、本実施の形態2における製造方法で用いられるインクジェット印刷用の印刷ヘッドの構成について図11及び図12を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造に用いられる印刷ヘッドの概略構成を示す斜視図である。図12は、図11に示す印刷ヘッドの底面側を示す底面図である。
【0085】
図11に示すように、本実施の形態2で用いられる印刷ヘッド30は、複数個のヘッドモジュール31を備えている。印刷ヘッド30は、長辺方向に沿ってパターンを形成する場合に利用される。短辺方向に沿ってパターンを形成する場合は、後述の図14に示す印刷ヘッド32が用いられる。印刷ヘッド30と印刷ヘッド32とは、搭載されるヘッドモジュルール31の数が異なる以外は、同一の構成を備えている。
【0086】
図11及び図12に示すように、図9に示した保護膜形成用の印刷ヘッド22の場合と同様に、複数個のヘッドモジュール31は、いわゆる千鳥状に配置されている。具体的には、ヘッドモジュール31は、その長辺方向が印刷ヘッド30の長辺方向に一致するようにして、且つ、印刷ヘッド30の長辺方向に沿って2列で配置されている。また、複数個のヘッドモジュール31は、印刷ヘッド30の短辺方向においては、揃わないようにして配置されている。
【0087】
図12に示すように、各ヘッドモジュール31は、底面側に、複数個のノズル9が形成されたノズル板8を備えている。但し、複数個のノズル9のレイアウトは、図6に示したヘッドモジュール21のそれとは異なっている。ヘッドモジュール31においては、複数個のノズル9もいわゆる千鳥状に配置されている。つまり、ノズル9は、ノズル板8の長辺方向に沿って2列となり、且つ、ノズル板8の短辺方向においては各列のノズル9が互いに揃わないように配置されている。
【0088】
また、ヘッドモジュール31において、長辺方向に延びる列におけるノズル間のピッチは、図6に示したヘッドモジュール21の場合と同程度に設定される。一方、隣接するノズル列間のオフセット量は、図6に示したヘッドモジュール21の場合よりも大きな値に設定される。更に、印刷ヘッド30(又は印刷ヘッド32)に搭載されるヘッドモジュー
ル31の個数は、ベース基板1の大きさが同程度であるならば、印刷ヘッド20に搭載されるヘッドモジュール21の個数よりも少なくなる。
【0089】
例えば、ベース基板1の大きさが80cm(長辺)×50cm(短辺)×3mm(厚み)、ヘッドモジュール31のノズル板の大きさが4.5cm×1.5cmである場合について説明する。この場合、長辺方向に沿ってパターンを形成する印刷ヘッド30(図13)には、ヘッドモジュール31は、15個搭載される。短辺方向に沿ってパターンを形成する印刷ヘッド32(図14参照)には、ヘッドモジュールは、25個搭載される。
【0090】
また上記の場合、各ヘッドモジュール31のノズル板8には、例えば、長辺方向の列毎に200個のノズル9が100μmピッチで形成される(ノズル合計:400個)。そして、隣接するノズル列間のオフセット量OFは、例えば50μmに設定される。
【0091】
このように、本実施の形態2における印刷ヘッド30(印刷ヘッド32)によれば、図4〜図6に示した実施の形態1における印刷ヘッド20よりも構成を簡略化することができる。なお、ノズル9の最小径は、印刷ヘッド20の場合と同様に、10μm〜50μmに設定される。各ヘッドモジュール31のノズル板8の噴射側の反対側には、本実施の形態9においても、ノズル9毎に、図7に示すヘッドセル10が設けられる。
【0092】
次に、本実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造工程について図13及び図14を用いて説明する。図13は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(前半)を示す平面図である。図14は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(後半)を示す平面図である。
【0093】
本実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造工程は、下地パターン及び導電性パターン3の形成に、図11及び図12に示した印刷ヘッド30と、印刷ヘッド32とが用いられる以外は、実施の形態1と同様に行われる。
【0094】
最初に、下地パターン(図示せず)が形成されるが、このとき、先ず、印刷ヘッド30によって、ベース基板1の長辺方向に沿って黒色インクが噴射され、複数条の黒色インクの液滴の列(長辺方向のパターン)が形成される(図13参照)。また、本実施の形態2において、この長辺方向のパターンの形成は、印刷ヘッド30を固定した状態で、ベース基板1をX方向(ベース基板1の長辺方向)に沿って移動させることによって行われる。
【0095】
続いて、印刷ヘッド32によって、ベース基板1の短辺方向に沿って黒色インクが噴射され、複数条の黒色インクの液滴の列(短辺方向のパターン)が形成される(図14参照)。そして、網目状の下地パターンが完成する。また、本実施の形態2においては、この短辺方向のパターンの形成は、印刷ヘッド32を固定した状態で、ベース基板1をY方向(ベース基板1の短辺方向)に沿って移動させることによって行われる。
【0096】
次に、下地パターンのパターン形状に沿って、導電性パターン3が形成される。本実施の形態1においては、図13に示すように、先ず、印刷ヘッド30によって、ベース基板1の長辺方向に沿って導電インクが噴射され、複数条の導電インクの液滴の列(長辺方向のパターン3a)が形成される。パターン3aの形成も、印刷ヘッド30を固定した状態で、ベース基板1をX方向に沿って移動させることによって行われる。
【0097】
続いて、図14に示すように、印刷ヘッド32によって、ベース基板1の短辺方向に沿って導電インクが噴射され、複数条の導電インクの液滴の列(短辺方向のパターン3b)が形成される。そして、網目状の導電性パターン3が完成する。パターン3bの形成も、
印刷ヘッド32を固定した状態で、ベース基板1をY方向に沿って移動させることによって行われる。
【0098】
以上の工程により、本実施の形態2においても、ベース基板1の上に、下地パターンを介して導電性パターン3が形成される。その後、実施の形態1と同様に、保護膜4の形成が行われる。なお、本実施の形態2において、黒色インク及び導電インクの組成、ノズル9の噴射側の開口面とベース基板1との距離、ベース基板1の移動速度は実施の形態1と同様に設定される。
【0099】
また、図13に示された印刷ヘッド30が備えるヘッドモジュール31の数は9個であるが、実際には、印刷ヘッド30は、ヘッドモジュール31を15個搭載している。図14に示された印刷ヘッド32が備えるヘッドモジュール31の数は21個であるが、実際には、印刷ヘッド32は、ヘッドモジュール31を25個搭載している。
【0100】
本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、黒色インクを噴きつけた後、紫外線の照射が行われる。また、導電インクを噴きつけた後、加熱及び焼成が行われる。更に、本実施の形態2においては、下地パターン及び導電性パターン3のいずれの形成工程おいても、短辺方向のパターンを形成した後に、長辺方向のパターンを形成する態様としても良い。また、ベース基板1の代わりに、印刷ヘッド30又は32を移動させても良いし、ベース基板1と、印刷ヘッド30及び32との両方を移動させても良い。
【0101】
更に、ベース基板1の移動方向と、印刷ヘッド30及び32の長辺方向に垂直な方向とが一致しない態様であっても良い。この場合は、ベース基板1の全面にわたってインクを噴射できるようにするため、ベース基板1の移動方向に対する印刷ヘッド30及び32の傾斜角度に応じて、各印刷ヘッドに搭載するヘッドモジュール31の数を増加させておくのが好ましい。
【0102】
本実施の形態2においては、2個の印刷ヘッドが必要となり、実施の形態1の場合よりも必要なヘッドモジュールの数は多くなるが、ヘッドモジュール1個当たりのコストは実施の形態1よりも低くなる。また、本実施の形態2では、ベース基板1の移動方向に平行にパターンが形成されるため、ノズルピッチを小さくすることなく、線幅の狭小化と安定化とを図ることができる。よって、総合的には、本実施の形態2によれば、実施の形態1に比べてコストの削減化を図ることができる。なお、本実施の形態2における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法を用いた場合も、実施の形態1における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0103】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法について、図15及び図16を参照しながら説明する。図15は、本発明の実施の形態3における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(前半)を示す平面図である。図16は、本発明の実施の形態3における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(後半)を示す平面図である。
【0104】
本実施の形態3における製造方法においては、実施の形態2において図14に示した印刷ヘッド32のみを用いて、下地パターン及び導電性パターンの形成が行われる。また、本実施の形態3で使用されるインクジェット印刷装置は、ベース基板1が載置されるベッドを90度回転させる機構を備えている。これらの点以外については、本実施の形態3における製造方法は、実施の形態2における製造方法と同様に実施される。また、本実施の形態3における電磁波遮蔽フィルムは、実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムと同様の構成を備えている。
【0105】
ここで、以下に、本実施の形態3における製造方法での導電性パターン3の形成工程について図15及び図16を用いて説明する。なお、下地パターン(図示せず)の形成は、以下に説明する導電性パターンの形成工程に準じて、予め行われている。
【0106】
図15に示すように、先ず、インクジェット印刷装置のベッド(図示せず)に、ベース基板1を配置する。このとき、ベース基板1は、その短辺方向がX方向(ベッドの移動方向)と一致した状態で、ベッドに配置される。そして、印刷ヘッド32を固定した状態で、ベース基板1をX方向(ベース基板1の短辺方向)に沿って移動させながら、印刷ヘッド32から導電インクを噴射させる。これにより、ベース基板1の短辺方向に沿って、複数条の導電インクの液滴の列(短辺方向のパターン3b)が形成される。
【0107】
続いて、インクジェット印刷装置のベッドを90度回転させる。これにより、図16に示すように、ベース基板1は、その法線を中心に90度回転し、その長辺方向がX方向と一致した状態となる。次に、この状態で、ベース基板1をX方向(ベース基板1の長辺方向)に沿って移動させながら、印刷ヘッド32から導電インクを噴射させる。これにより、ベース基板1の長辺方向に沿って、複数条の導電インクの液滴の列(長辺方向のパターン3a)が形成され、網目状の導電性パターン3が完成する。
【0108】
以上の工程により、本実施の形態3においても、ベース基板1の上に、下地パターンを介して導電性パターン3が形成される。その後、実施の形態1と同様に、保護膜4の形成が行われる。なお、本実施の形態3において、黒色インク及び導電インクの組成、ノズルの噴射側の開口面とベース基板1との距離、ベース基板1の移動速度は実施の形態1と同様に設定される。また、図15及び16に示された印刷ヘッド32が備えるヘッドモジュール31の数は21個であるが、実際には、印刷ヘッド32は、ヘッドモジュール31を25個搭載している。
【0109】
更に、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、黒色インクを噴きつけた後、紫外線の照射が行われる。また、導電インクを噴きつけた後、加熱及び焼成が行われる。本実施の形態3においては、下地パターン及び導電性パターン3のいずれの形成工程おいても、短辺方向のパターンを形成した後に、長辺方向のパターンを形成する態様としても良い。また、ベース基板1の代わりに、印刷ヘッド32を移動させても良いし、ベース基板1と、印刷ヘッド32との両方を移動させても良い。
【0110】
更に、ベース基板1の移動方向と、印刷ヘッド32の長辺方向に垂直な方向とが一致しない態様であっても良い。この場合は、ベース基板1の全面にわたってインクを噴射できるようにするため、ベース基板1の移動方向に対する印刷ヘッド32の傾斜角度に応じて、搭載するヘッドモジュール31の数を増加させておくのが好ましい。また、本実施の形態3は、ベッドを回転させる代わりに、印刷ヘッドを回転させる態様とすることもできる。
【0111】
このように、本実施の形態3においては、インクジェット印刷装置がベッド(又は印刷ヘッド)を回転させる機構を備えている必要があるが、印刷ヘッドは一つで良い。また、ヘッドモジュールの構成は、実施の形態2の場合と同様であり、実施の形態1の場合よりも簡略化される。更に、必要なヘッドモジュールの数は、実施の形態1及び2のいずれよりも少なくできる。よって、総合的には、実施の形態3によれば、最もコストの削減化を図ることができる。なお、本実施の形態3における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法を用いた場合も、実施の形態1における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法と同様の効果を得ることができる。
【実施例1】
【0112】
図4〜図7に示した印刷ヘッド20を用い、図8及び図9に示した工程に準じて、下地パターン2、導電性パターン3、及び保護膜4を形成し、電磁波遮蔽フィルム(図1〜図3参照)を作製した。そして、作製した電磁波遮蔽フィルムに対して、表面抵抗値の測定を行い、更に、電磁波遮蔽性能、光透過性能を調べた。
【0113】
作製した電磁波遮蔽フィルムの仕様は以下の通りである。先ず、下地パターン2において、その線幅は30μm、その厚みは3μmに設定した。導電性パターン3において、その線幅は20μm、その厚みは5μmに設定した。両者において、ライン間隔は300μmに設定した。保護膜はその厚みが3μmとなるように面状に形成した。また、黒色インクとしては、カーボンブラックを含むポリエステルアクリレート系のインクを用いた。導電インクとしては、Agの微粒子をテトラデカンの溶剤中に分散させて得られたインクを用いた。透明インクとしては、ウレタンアクリレート樹脂を含むインクを用いた。
【0114】
また、表面抵抗値の測定は、三菱化学社製のロレスタAP HCP−T400(4端子法を採用する測定装置)によって行った。電磁波遮蔽性能の評価は、ADVANTEST社製のEMIプローブTR17301と同スペクトラムアナライザーTR4172とを用い、500MHzの電磁波に対する遮蔽率を測定することによって行った。また、光透過性能の評価は、島津製作所社製の可視紫外光分光光度計UV−3150を用い、波長が550nmの光の透過率を測定することによって行なった。
【0115】
結果、表面抵抗値は0.8Ω/□〜1.0Ω/□であった。遮蔽率は−38dB〜−35dBであった。光透過率は75%〜80%であった。これらの結果から、作製した電磁波遮蔽フィルムは、電磁波遮蔽性能と光透過性能とに優れていることが確認できる。また、モアレの発生は確認されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上のように、本発明によれば、光透過性の低下及び表示装置の画質の低下が抑制された電磁波遮蔽フィルムが得られる。本発明における電磁波遮蔽フィルム及びその製造方法は産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの平面図である。
【図2】図2は、図1に示した電磁波遮蔽フィルムの断面構成を示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示した電磁波遮蔽フィルムの一部分を拡大して示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造に用いられる印刷ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す印刷ヘッドの底面側を示す底面図である。
【図6】図6は、図4に示す印刷ヘッドを構成するヘッドモジュールの底面側を拡大して示す図である。
【図7】図7は、図4に示す印刷ヘッドを構成するヘッドモジュールが備えるヘッドセルの概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程を示す平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである保護膜形成工程を示す平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの平面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造に用いられる印刷ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11に示す印刷ヘッドの底面側を示す底面図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(前半)を示す平面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(後半)を示す平面図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態3における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(前半)を示す平面図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態3における電磁波遮蔽フィルムの製造工程の一つである導電性パターン形成工程(後半)を示す平面図である。
【符号の説明】
【0118】
1 ベース基板
2 下地パターン
3 導電性パターン
3a 長辺方向のパターン
3b 短辺方向のパターン
4 ワイドレンズ
5 圧力室
6 ピエゾ素子
7a、7b 電極板
8 ノズル板
9 ノズル
10 ヘッドセル
11 ヘッドセルの本体
12 ピエゾアクチュエータ
13 インク
14 液滴
21、31 ヘッドモジュール
20、22、30、32 印刷ヘッド
20a、30a 印刷ヘッドの基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性のベース基板と、その上に設けられた導電性パターンとを備える電磁波遮蔽フィルムの製造方法であって、
(a)光透過性のベース基板の一方の主面に、可視光に対する反射率が前記導電性パターンよりも低い第1のインクの液滴を噴きつけ、下地パターンを形成する工程と、
(b)前記下地パターンの上に、導電性微粒子を含む第2のインクの液滴を噴きつけ、前記導電性パターンを形成する工程とを有することを特徴とする電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記(a)の工程において、前記下地パターンが、網目状に形成され、
前記(b)の工程において、前記導電性パターンが、前記下地パターンの形状に合わせて、網目状に形成される請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記導電性パターン及び前記下地パターンを被覆する保護層を形成する工程を更に有する請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記第1のインクが、黒色の顔料を含み、且つ、紫外線硬化性を有しており、
前記(a)の工程において、噴きつけられた前記第1のインクの液滴に対して紫外線の照射が行われる請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記(b)の工程において、噴きつけられた前記第2のインクの液滴に対して加熱が行われる請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項6】
光透過性及び紫外線硬化性を有する第3のインクの液滴を、前記保護層の形成が予定されている領域に噴きつけ、その後、噴きつけた前記第3のインクの液滴に対して紫外線を照射することによって、前記保護層が形成される請求項3に記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記(a)の工程及び前記(b)の工程それぞれにおけるパターンの形成が、複数個の液滴を同時に噴射する印刷ヘッドを2つ用い、一方の印刷ヘッドによって、第1の方向に沿って配列された液滴の列を複数条形成し、他方の印刷ヘッドによって、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配列された別の液滴の列を複数条形成することによって行われている請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記(a)の工程及び前記(b)の工程それぞれにおけるパターンの形成が、複数個の液滴を同時に噴射する印刷ヘッドによって、第1の方向に沿って配列された液滴の列を複数条形成し、そして、前記印刷ヘッドによって、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って配列された別の液滴の列を複数条形成することによって行われている請求項2に記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項9】
光透過性のベース基板と、前記ベース基板の一方の主面上に設けられた下地パターンと、前記下地パターン上に設けられた導電性パターンとを備え、
前記下地パターンは、可視光に対する反射率が前記導電性パターンよりも低い第1のインクの液滴の集合体によって形成され、
前記導電性パターンは、導電性粒子を含む第2のインクの液滴の集合体によって形成されていることを特徴とする電磁波遮蔽フィルム。
【請求項10】
前記下地パターン及び導電性パターンが、網目状の形状を備えている請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルム。
【請求項11】
前記第1のインクが、黒色の顔料を含んでいる請求項9に記載の電磁波遮蔽フィルム。
【請求項12】
前記下地パターン及び導電性パターンを被覆する保護膜を更に備えている請求項9に記載の電磁波遮蔽フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−205316(P2008−205316A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41374(P2007−41374)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】